説明

前高血圧被験者における高血圧を予防するためのドロスピレノンの使用

本発明は、高血圧の進行傾向にある被験者における高血圧(≧140/90mmHg)の進行を予防するための薬剤の製造のための、ドロスピレノンの使用に関する。本発明は、予防を必要とする被験者にドロスピレノンを投与することにより、高血圧の進行傾向にある被験者における高血圧(≧140/90mmHg)の進行を予防する方法にさらに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2006年5月17日に出願された米国仮出願第60/800,834号に基づく利益を主張し、当該基礎出願をここに全体として本願明細書中に援用する。
【0002】
本発明の分野
本発明は、高血圧の進行傾向にある(高血圧前症として定義する)被験者における高血圧(≧140/90mmHg、高血圧として定義する)の進行を予防するための薬剤の製造のためのドロスピレノンの使用に関する。
【0003】
本発明は、高血圧の予防を必要とする被験者にドロスピレノンを投与することにより、高血圧の進行傾向にある被験者における高血圧(≧140/90mmHg)の進行を予防する方法にさらに関する。
【0004】
何人かの被験者は、血圧(BP)における証明可能な増大を伴って高ナトリウム摂取に応答し(「塩分感受性」として言及される)、一方、他の者は全くBP変化しないかわずかな変化を伴って応答すること(「塩分抵抗性」として言及される)が知られている(MYRON H.WEINBERGER,塩分感受性 of Blood Pressure in Humans,高血圧,1996;27:481−490)。
【0005】
塩分感受性は、高血圧(BP≧140/90mmHg)、及び前高血圧(BP=120−139/80−89mmHg)の被験者に非常によく見られる。さらに、塩分感受性の存在は、年齢とともにBPのかなりの増大を予測させ、塩分感受性が高血圧の発症に重要であることを示唆している。さらに、塩分感受性の被験者における循環器疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)のより高い危険性を例証するいくつかの疫学的証拠がある。
【0006】
結局のところ、薬理学的に高血圧前症及び塩分感受性の現象に影響を与えることは、臨床及び公衆衛生の観点から重要となるだろう、というのは、このことが高血圧を防止するか高血圧前症及び塩分感受性の高血圧への進行を遅らせるだろうからである。
【0007】
それ故、本発明の目的は、高血圧の進行傾向にあり予防の必要がある被験者における高血圧(>140/90mmHg)の進行を予防する方法を提供することである。
【0008】
本発明において、予防を必要とする被験者にドロスピレノンを投与することにより、この目的が達成されることがわかった。
【0009】
塩分感受性の発症は、完全には理解されていない。しかしながら、いくつかの調査において、腎臓による異常なナトリウム及びカリウム処理を引き起こす異常な高アルドステロン活性がナトリウム感受性及び本態性高血圧の原因かもしれないことが示唆される。
【0010】
ドロスピレノンは、閉経後の女性においてホルモン治療として使用するために17β−エストラジオール(E2)と組み合わせて開発されている、抗アルドステロン活性を有する新規プロゲスチンである(国際特許公開第01/52857号)。臨床研究において、ドロスピレノンは、単独か他の剤との組み合わせのいずれかで、高血圧の閉経後の女性において常にかつ十分に血圧を下げることを示している(国際特許公開第03/090755号;Preston RAら,AJH 2005; White Wら,Circulation 2005;White Wら,Hypertension 2006,近刊)。さらに、ドロスピレノンは、カリウム節約効果を示す。
【0011】
ドロスピレノンは、そのアルドステロン受容体ブロッキング及びカリウム節約効果に起因する血圧の塩分感受性を、驚くほど薬理学的に軽減し、それにより高血圧を予防するか進行を遅らせることが見つかっていた。
【0012】
ドロスピレノンは商業的に入手可能であり(例えばSchering Aktienge−sellschaftから)、また、慣習的な方法{例えば、米国特許USP6,121,465、及びDrugs of the Future 2000,25(12),1247−1256に記載される方法}により合成可能である。
【0013】
本分野における既知のものとして、かつ例えばホルモン補充療法に使用され得るものとして、任意の様々なエストロゲンは、場合により、本発明においてドロスピレノンと一緒に使用され得る。かかるエストロゲンは、例えば、エチニル・エストラジオール(EE)、メストラノール、エストラジオール(特に17β−エストラジオール、E2として知られる)、及びそのエステル(例えば、吉草酸塩、酢酸塩、安息香酸塩又はウンデシレン酸塩);エストリオール;コハク酸エストリオール;リン酸ポリエストリオール;エストロン;硫酸エストロン;天然又は合成エストロゲン;、並びに結合型エストロゲンを含む。
【0014】
DRSP、及び場合によりエストロゲンは、慣習的な投与計画、キット、投与形式、及び投与量を使用して、慣習的な手段で被験者に投与され得、それらの全ては、本分野におけるいわゆる当業者によく知られている。
【0015】
計画は、慣習的であり、避妊及びHRT目的の分野においてよく知られる。DRSPとエストロゲンは、いずれかの期間の間、同時に投与され得る、例えば毎日、1週間に1〜4回、毎週、1月に2〜3回などである。かかる2つの成分は、例えば、慣習的なキット経由で別々に(例えば米国特許USP6,083,528に記載のように)、又は混合製剤(例えばタブレット又はカプセル)として投与され得る。
【発明の開示】
【0016】
本発明の医薬組成物は、例えば、経口(例えば、溶液、懸濁液、タブレット、糖衣錠、カプセル又は錠剤)、非経口(皮下注射又は静脈内、筋肉内、若しくは胸骨内注射又は注入技術を含む)、吸入噴霧、経皮的、直腸、若しくは膣内(例えば、膣内リング又はクリームによる)投与を含む慣習的な様々な方法により投与され得る。前記2つの成分は、同じ方法又は異なる方法により投与され得る(例えば、経皮的にエストロゲン、かつ膣内でDRSPなど)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明について、ドロスピレノンの経口投与における典型的な有効量は、0.25〜3.0mg/日である。この範囲は、ドロスピレノン含有経口避妊薬{Yasmin(登録商標)、Yaz(登録商標)}、及びHRT製剤{Angeliq(登録商標)}において典型的に使用される用量を含む。
【0018】
効果的なホルモン補充療法を「有効」なものとする用量は、エストロゲンの低減量による悪い生理的効果又は兆候(例えば、骨粗しょう、結果として生じる構造変形など)を予防又は減少(緩和)する量である。血圧を低減するのに「有効」である本発明の組成物の用量は、血圧の測定可能な低減を達成し得る量である。いずれかの有効量が、好ましくは低用量処方で、本発明の方法において投与され得る。
【0019】
避妊に有効である用量は、典型的に、ドロスピレノンの3.0mgである。
【0020】
エストロゲンの有効量は、慣習的であり本分野においてよく知られている。経口投与の典型的なおよその用量は、例えば、エチニル・エストラジオール(0.001−0. 030mg/日)、メストラノール(5−25mcg/日)、エストラジオール(17βエストラジオールを含む)(0.5−6mg/日)、リン酸ポリエストリオール(2−8mg)、及び結合型エストロゲン(0.3−1.2mg/日)である。他のデリバリー方法のための用量は、当業者に明らかであろう。例えば、経皮的用量は、使用される媒体の吸収有効性に従って変化するだろう。
【0021】
等価用量は、子宮内膜に関する効果(OCのための避妊効果及び循環制御)についての同等効果、あるいは血管運動症状又は骨粗しょう症(HRT)の予防/治療についての同等効果を引き起こす用量をいう。
【0022】
本発明の好ましい組み合わせは、経口投与のために、3mgのDRSP/1mgのE2、及び2mgのDRSP/1mgのE2又は3mgのDRSP/0.03mgのEE、及び3mgのDRSP/0.02mgのEEを含む。
【0023】
特定の被験者に対する特定の用量レベル、及び投与頻度は、使用される特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性や活性の長さ、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与形態及び投与時間、排出比、混合薬、特定の状態の重篤度、及び治療を受けている宿主を含むさまざまな因子に依存するだろうことが、当然ながら、理解されるだろう。
【0024】
本発明の方法は避妊又はHRTに効果を与えることに関し得るので、必然的に、エストロゲン及びDRSPの個別用量は、長期(すなわち、1ヶ月以上、通常少なくとも数ヶ月、及び1又は複数年、通常10又は数十年)に渡り投与される。その期間の間、エストロゲンかDRSPのいずれか、あるいはその両方の個別用量のサイズは、少なくとも1回、しばしば複数回変化させられ得、通常、エストロゲンの場合には、最小有効治療量が見出されるまで段階的に増大させられる。例えば閉経期の前から後の被験者の進行につれて、しばしば、再度低減されるだろう、なぜなら、閉経期の骨粗しょう症を防ぐためのエストロゲンの用量は、通常、更年期の不満の効果的な処置のために必要とされる用量よりも高いからである。
【0025】
本発明の組成物は、任意に与えられた剤形のために、慣習的に医薬として許容された媒体、担体、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤、香味料、及び/又はアジュバントを伴う許容された薬務に従って配合され得る。
【0026】
経口投与のための製剤は、本分野において慣習的なものである。例えば、タブレットは、通常、医薬として許容される担体、例えば、トラガカント・ゴム、アカシア、コーンスターチ又はゼラチンの如き結合剤;第二リン酸カルシウム又はセルロースの如き賦形剤;コーンスターチ又はアルギン酸の如き崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムの如き滑剤;及び/又は甘味剤か香味剤を含む。剤形がカプセルの場合、上記の材料に加えて、脂肪油の如き液体担体を含み得る。様々な他の材料が、コーティングとして、さもなければ当該薬剤単位の物理的形状を改良するために存在し得る。例えば、タブレット又はカプセルは、セラック、糖類又はその両方でコーティングされ得る。シロップ又はエリキシル剤は、担体として活性化合物、水、アルコールなど、可溶化剤として具リセロール、甘味剤としてスクロース、防腐剤としてメチル及びプロピルパラベン、サクランボ又はオレンジの如き染料や香味剤を含み得る。懸濁液として経口で投与されるとき、これらの組成物は、本分野において知られる、バルクを与えるための微結晶性セルロース、懸濁剤としてのアルギン酸又はアルギン酸ナトリウム、粘性増進剤としてのメチルセルロース、甘味剤や香味剤を含み得る。即時放出タブレットとして、これらの組成物は、本分野において知られる微結晶性セルロース、第二リン酸カルシウム、スターチ、 ステアリン酸マグネシウム、及びラクトース、並びに/あるいは他の賦形剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、及び滑剤を含み得る。
【0027】
注入使用に好適な製剤は、滅菌水溶液又は分散液、並びに滅菌注入溶液又は分散液の即時製造のための滅菌粉末を含む。当該溶液は、安定であり、細菌及び菌類の如き微生物の汚染作用に対抗して保存される。当該注入溶液又は懸濁液は、本分野において知られるように、好適な非毒性で非経口的に許容される希釈剤又は溶媒(例えば、マンニトール、1,3ブタンジオール、水、リンガー溶液又は生理食塩水、あるいは、合成モノ又はジグリセリドを含む滅菌、無菌、固定油、及びオレイン酸を含む脂肪酸の如き好適な分解又は湿潤、並びに懸濁化剤)を使用して配合され得る。
【0028】
座薬の形状で直腸投与されるとき、これらの組成物は、前記薬物と、ココアバター、合成グリセリドエステル又はポリエチレングリセロールの如き好適な非刺激性賦形剤を混合することにより製造され得、通常の温度で固体であるが、前記薬物を放出するために直腸腔内で液体となる、及び/又は溶解する。
【0029】
局所適用(例えば、押し出し可能な粘性液、ゲルの如き半固体製剤、軟膏又はクリーム、あるいはスティックデオドラントの如き塗ることができる固体として)のためのHRT組成物を製造する方法、及びそれらを被験者に適用する方法(例えば、皮膚又は粘膜の如き表面に)は、米国特許第6,083,528号に記載される。
【実施例】
【0030】
高血圧前症を有する閉経後の女性における血圧及び腎臓におけるナトリウム処理に関するドロスピレノン/エストラジオール(Angeliq)(登録商標)、及び酢酸メドロキシプロゲステロン/結合型エストロゲン(Prempro)(登録商標)の効果を、二重盲検法、無作為試験、活性制御試験において評価する。
【0031】
前記試験の第1目的は、8週間に渡り、高血圧前症を有する閉経後の女性における血圧について、ドロスピレノン/エストラジオール、及び酢酸メドロキシプロゲステロン/結合型ウマエストロゲン処置を評価することである。前記試験の第2目的は、前高血圧の閉経後の女性の部分母集団において、腎臓におけるナトリウム処理を試験的に調査することである。
【0032】
被験者
血圧の正常高値(臨床的SBP130〜139mmHg又はDBP85〜89mmHg)を有し、HTを必要とし、閉経後(≧月経停止1年)で、45〜60歳の女性である90人(1つの処置腕あたり30人の無作為に選ばれた被験者;1つの処置腕あたり24人の補助者)が、本試験において含まれる。
【0033】
除外基準
血清カリウム>5.3mEq/L(正常値の上限);
血清クレアチニン>1.2mg/dl又はクレアチニン・クリアランス<60ml/分:
既知の腎血管疾患又は循環器疾患、高血圧又は心臓麻痺;
利尿薬、NSAID、ステロイド、あるいは血圧、腎臓機能又はナトリウムの処理に影響を与えることで知られる他の薬剤の摂取。
【0034】
血圧測定:
SpaceLab測定装置を使用する24時間自由行動下血圧測定(ABPM)、目盛り付の血圧計を使用するオフィス血圧計バンドの血圧測定、中央研究所で実施される実験室評価を含む安全性パラメーター、及び中心群により評価される12誘導ECG。
【0035】
ナトリウム処理、及びナトリウム感受性評価
約18人の被験者の部分群において、以下の治験プロトコールを使用してナトリウム処理を評価する:175±25mmolのナトリウム食事摂取により達成される3日間のナトリウム荷重期間、その後24時間採尿において測定されるNa排出(4日目)、処置のランダム化(5日目)、その後、6日目及び7日目で再度24時間採尿において測定されるNa排出。
【0036】
以下の臨床試験を実施する:
血液学:赤血球(RBC)数及び白血球(WBC)数、ヘマトクリット数、ヘモグロビン数、血小板数、及び白血球百分率。
血液生化学検査:グルコース、血中尿素窒素(BUN)クレアチニン、カリウム、ナトリウム、塩素、カルシウム、リン、総タンパク質、アルブミン、総ビリルビン、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)、コレステロール、トリグリセリド、高密度リポタンパク質(HDL)、及び低密度リポタンパク質(LDL)。
尿検査:pH、比重、白血球(WBC)、赤血球(RBC)、及びタンパク質。
他の試験:血しょうレニン活性、及び血清アルドステロン。
【0037】
スクリーニング(臨検1)、4週間(臨検4)、及び8B週/最終B(臨検6)で、血液学、血液生化学、尿検査、並びに血しょうレニン及び血清アルドステロンを実施する。もし必要ならば、頸部/膣内スメアを、スクリーニング(臨検1)で実施するだろう。
【0038】
試験薬として以下の組成物を投与する:
1.Angeliq:2mgのDRSP/1mgのE2を含むタブレット、毎日1つのカプセル型タブレットの経口投与。
2.Angeliq:0.5mgのDRSP/1mgのE2を含むタブレット、毎日1つのカプセル型タブレットの経口投与。
3.Prempro:1.5mgのMPA/0.3mgのCEE(結合型ウマエストロゲン)を含むタブレット、毎日1つのカプセル型タブレットの経口投与。
全カプセルは、二重盲試験を続けるために区別できないように見える。
【0039】
第1評価項目:
・平均24時間心臓収縮ABPM血圧における、基準から8週目への変化
第2評価項目:
・平均24時間心臓拡張ABPM血圧における、基準から8週目への変化
・トラフでの、心臓収縮オフィス血圧計バンドの血圧における、基準から8週目への変化
・トラフでの心臓拡張オフィス血圧計バンドの血圧における、基準から8週目への変化
・日中(06:00〜21:59)の平均心臓収縮ABPM血圧における、基準から8週目への変化
・日中(06:00〜21:59)の平均心臓拡張ABPM血圧における、基準から8週目への変化
・夜間(22:00〜05:59)の平均心臓収縮ABPM血圧における、基準から8週目への変化
・日中(22:00〜05:59)の平均心臓拡張ABPM血圧における、基準から8週目への変化
・トラフで測定される心臓収縮ABPM血圧における、基準から8週目への平均変化
・トラフで測定される心臓拡張ABPM血圧における、基準から8週目への平均変化
・平均体重における、基準から8週目への平均変化
【0040】
24時間ナトリウム排出の記述統計学を表にする。
【0041】
特定の要求条項
ABPMは全被験者に実施され、基準臨検と最終臨検の間、24時間間隔の処置の効果を測定する。ABPMは、Spacelab90207装置を使用して実施される。
【0042】
オフィス血圧計バンドの血圧測定は、トラフで測定される(すなわち、前投与後24±3時間)。全てのオフィス血圧計バンドの血圧測定は、適切な血圧計バンドサイズ(腕の少なくとも80%を取り巻く血圧計バンド袋)を有する目盛り付の血圧計を使用して測定され、正確性を確かなものとする。全ての測定は、非優位腕で実施され、被験者は座っている。最初の測定は、少なくとも5分休憩後に行われる。最初のオフィス血圧計バンドの血圧測定の時間をCRFに記録し、同様に残る2回を個別に測定する。少なくとも2分単位で区切られる3回の測定の平均を、各臨検で計算する(3回の心臓収縮測定値の平均/3回の心臓拡張測定値の平均)。
【0043】
実験室評価を、検査値の確立された標準測定を有する中央研究所により実施する。
【0044】
前高血圧の女性におけるDRSP/E2処置期間の間の、24時間心臓収縮及び心臓拡張の自由行動下24時間血圧測定(ABBP)の基準、及び臨床血圧値からの平均低減を観察した。第8週で、2mgのDRSP/1mgのE2で処置される前高血圧の女性は、心臓収縮/心臓拡張血圧値における著しい低減を経験する。血圧低下効果は、より高いDRSP用量でより明らかとなる。当該効果は、DRSP/E2処置の2週間以内に明らかとなり、処置の開始から6週間以内で最大効果を達成する。プレンプロ(Prempro)処置群において、心臓収縮/拡張BP値のわずかな増大を記録する。
【0045】
それ故、本発明者は、DRSPが高血圧の進行傾向にある被験者における高血圧の進行を阻害し得る又は遅らせ得ると結論付ける。
【0046】
さらなる詳述なしで、本分野における当業者ならば上記の説明を使用し、本発明を最大限に利用することが可能であろう。それ故、上記好ましい特定の態様は、ほんの例証として解釈されるべきであり、それらに限定されるべきではない。
【0047】
特段の指定のない限り、前述の記載及び実施例において、全ての温度は訂正なしの摂氏表記で説明され、全部分及びパーセンテージは重量によるものである。
【0048】
本明細書中に引用される全ての明細書、特許、刊行物の全内容、及び2006年5月17日に出願された米国仮出願番号第60/800,834号に対応する全内容を、本明細書中に援用する。
【0049】
上記例は、一般的又は特異的に記載された反応物質を置換すること、及び当該例において使用するための本発明の条件で操作することにより、似たような成功を繰り返し得る。
【0050】
上記記載から、本分野における当業者は、本発明の本質的特長を容易に解明し得、その本質及び範囲を逸脱することなく、様々な利用及び条件を本発明に採用し、本発明の様々な変化及び改良を実施し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高血圧の進行傾向にある被験者における高血圧(>140/90mmHg)の進行の予防用薬剤の製造のためのドロスピレノンの使用。
【請求項2】
前記被験者が塩分感受性の被験者である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記被験者がヒトである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記被験者が男性のヒトである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
前記被験者が女性のヒトである、請求項3に記載の使用。
【請求項6】
エストロゲンと一緒である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記エストロゲンが、エチニル・エストラジオール、メストラノール、キネストラノール、エストラジオール、エストロン、エストラン、エストリオール、エステトロール、及び結合型ウマエストロゲンからなる群より選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記エストロゲンがエストラジオールである、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記エストロゲンが結合型ウマエストロゲン(CEE)である、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
前記エストロゲンがエチニル・エストラジオールである、請求項7に記載の使用。
【請求項11】
ドロスピレノンの量が、毎日ベースで計算される0.25mg〜3.0mgである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
ドロスピレノンの量が、1日の投与単位あたり0.25mg〜3.0mgである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
エストロゲンの量が、エストラジールの最大2.0mgまで又は他のエストロゲンの生物学的同等量である、請求項6〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
予防を必要とする被験者にドロスピレノンを投与することにより、高血圧の進行傾向にある被験者において高血圧(≧140/90mmHg)の進行を予防する方法。
【請求項15】
前記被験者が、塩分感受性被験者である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記被験者がヒトである、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記被験者が男性のヒトである、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項18】
前記被験者が女性のヒトである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ドロスピレノンに加えて、エストロゲンが投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記エストロゲンが、エチニル・エストラジオール、メストラノール、キネストラノール、エストラジオール、エストロン、エストラン、エストリオール、エステトロール、又は結合型ウマエストロゲンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記エストロゲンがエストラジオールである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記エストロゲンが結合型ウマエストロゲン(CEE)である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記エストロゲンがエチニル・エストラジオールである、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
投与されるドロスピレノンの量が、毎日ベースで計算される0.25mg〜3.0mgである、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
ドロスピレノンの量が、1日の投与単位あたり0.25mg〜3.0mgである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
エストロゲンの量が、エストラジールの最大2.0mgまで又は他のエストロゲンの生物学的同等量である、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2009−537470(P2009−537470A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510366(P2009−510366)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004556
【国際公開番号】WO2007/131805
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】