説明

剥離シート付両面粘着テープ及び両面粘着テープによる貼付方法

【課題】後加工における作業性を大幅に向上した剥離シート付両面粘着テープ、及び両面粘着テープによる貼付方法を提供すること。
【解決手段】剥離シート1bと両面粘着テープ1aが貼り合わされた剥離シート付両面粘着テープ1において、上記剥離シート1bの一部に片面粘着テープ2の一部が貼付されている剥離シート付両面粘着テープ1。上記剥離シート1bの剥離剤と、上記片面粘着テープ2の粘着剤とが同系の材料(シリコーン系の材料)から構成されている剥離シート付両面粘着テープ。上記の剥離シート付両面粘着テープ1を被着体に貼付し、上記剥離シート1bの一部に片面粘着テープ2の一部を貼付し、該片面粘着テープ2を掴持して上記剥離シート1bを引き剥がし、両面粘着テープ1aを露出させる両面粘着テープによる貼付方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、カーシートヒータなど、種々の物品を貼り付けるために使用される剥離シート付両面粘着テープ、両面粘着テープによる貼付方法、及び、剥離シート付両面粘着テープが貼り付けられた物品に係り、特に、後加工における作業性を大幅に向上したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、両面が接着性を有する両面粘着テープは、種々の形態のものが一般に販売されており、片面が剥離シートで覆われた状態で巻物状に巻かれたものや、両面を剥離シートで挟持されたものなどが知られている。この両面粘着テープは、片面に剥離シートを付したまま、もう一方の面を物品に貼付し、その後、剥離シートを剥離して、他の物品と貼り合せるものである。
【0003】
このような両面粘着テープは、例えば、車両用シートにおけるヒータユニット(所謂カーシートヒータ)においても、ヒータユニットを車両用シートのクッション部に固定するために使用されている。ここで、ヒータユニットの製造と車両用シートの組立は通常別の工程である。そのため、工程間でヒータユニットを搬送する際には、ゴミや他の物品等が貼り付かないように、両面粘着テープの片面を剥離シートで覆ったままの状態としておき、車両用シートに組み付ける際に、剥離シートを剥離して、車両用シートにヒータユニットを固定することになる。
【0004】
本件に関連する技術として、例えば、特許文献1が当該出願人より出願されている。また、ヒータユニットに関連する技術としては、当該出願人より、例えば特許文献2などが出願されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−70682公報:クラベ
【特許文献2】特許第4202071号公報:クラベ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記した従来の両面粘着テープの場合、両面粘着テープの端部と剥離シートの端部が均一に揃ってしまっているため、剥離シートのみを掴持することができず、剥離シートのみを剥離することが困難である。実際の作業においては、作業者の怪我防止や製品の保護のため、作業者は軍手等の保護具を装着して作業を行うため、剥離シートのみを剥離することは更に困難になる。このような困難な作業であるため、剥離シートのみを剥離しようとして、両面粘着テープまでもヒータユニットから剥がしてしまうことがあった。特に、不織布を基材布としたヒータユニットにおいては、一度貼り付けた両面粘着テープを剥がすと、両面粘着テープに不織布の繊維が付着するため、貼り直しをすることはできない。ヒータユニットを車両用シートに組み付ける作業は、正確な位置合わせをしなければ、設計で意図した加熱ができなくなるとともに、シートヒータにシワが発生してヒータ線の断線を引き起こしてしまうことになる。そのため、シートヒータ組み付け作業における負担を軽減するように、できるかぎり剥離シートを剥離する作業を容易なものとする必要があった。
【0007】
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、後加工における作業性を大幅に向上した剥離シート付両面粘着テープ、及び両面粘着テープによる貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく、本発明の請求項1による剥離シート付両面粘着テープによる貼付方法は、剥離シートと両面粘着テープが貼り合わされた剥離シート付両面粘着テープにおいて、上記剥離シートの一部に片面粘着テープの一部が貼付されていることを特徴とする剥離シート付両面粘着テープ。
又、請求項2記載の剥離シート付両面粘着テープは、上記剥離シートの剥離剤と、上記片面粘着テープの粘着剤とが同系の材料から構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項3記載の剥離シート付両面粘着テープは、上記剥離シートの剥離剤と、上記片面粘着テープの粘着剤とがシリコーン系の材料から構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項4記載の両面粘着テープによる貼付方法は、上記の剥離シート付両面粘着テープを被着体に貼付し、上記剥離シートの一部に片面粘着テープの一部を貼付し、該片面粘着テープを掴持して上記剥離シートを引き剥がし、両面粘着テープを露出させるものである。
又、請求項5記載の物品は、上記の剥離シート付両面粘着テープが貼り付けられたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、片面粘着テープの部分を掴持して引き剥がすことができるため、作業者は剥離シート自体を掴持する必要はない。掴持しやすい片面粘着テープの部分を掴持すれば良いため、例え軍手などの保護具を装着していても容易に作業することができ、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による剥離シート付両面粘着テープの構成を示す概略斜視図である。
【図2】本発明による剥離シート付両面粘着テープが貼り付けられたヒータユニットを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、示す図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
まず、剥離シート付両面粘着テープ1として、一般に両面テープとして市販されているものを用意する。これは、両面が接着性を有する両面粘着テープ1aと、該両面粘着テープ1aの片面を覆う剥離シート1bとからなるもので、幅30mmの帯状のものが巻物状に巻き取られた形状となっている。なお、剥離シート1bは、両面にシリコーン系の剥離材が塗布されたものである。
【0013】
このような剥離シート付両面粘着テープ1は、例えば、図2に示すような、不織布からなる基材布11と、所定のパターン形状にて上記基材11上に配設されるコード状ヒータ12とからなるヒータユニット20に2列で貼り付けられる。ヒータユニットの詳細な態様については、例えば、上記特許文献2などを参照できる。なお、剥離シート付両面粘着テープ1は、ヒータユニット20の基材布11におけるコード状ヒータ12を配設した側の面に貼り付けてもよいし、コード状ヒータ12を配設しない側の面に貼り付けてもよい。
【0014】
次いで、上記剥離シート付両面粘着テープ1の剥離シート1bの端部近傍に、片面粘着テープ2を貼付する。この片面粘着テープ2は、片面に剥離面が形成され、もう一方の面にシリコーン系の粘着剤からなる粘着面が形成されたものである。このとき、片面粘着テープ2は、全面を貼付するのではなく、一部のみを貼付する。貼付しない部分については、例えば、粘着面側を谷にして折り返しておく等すれば、それ以上は貼付されなくなる。
【0015】
こうすることにより、作業者は、例え軍手等の保護具を装着した状態であっても、片面粘着テープ2を掴持して引き剥がすことで、両面粘着テープ1aまで剥がしてしまうことなく、剥離シート1bのみを剥離することができる。
【0016】
剥離シート1bの表面は、通常、粘着し難くなるように剥離剤が塗布等されている。ここで、剥離シート1bと片面粘着テープ2との粘着力が、剥離シート1bと両面粘着テープ1aとの粘着力よりも大きくないと、片面粘着テープ2が剥離シート1bから剥がれてしまい、剥離シート1bを剥離することができなくなる。そこで、剥離シート1bの剥離剤と、上記片面粘着テープ2の粘着材が同系の材料であれば、剥離シート1bと片面粘着テープ2とがしっかりと貼付されることになるため好ましい。特に、剥離シート1bの剥離剤と、片面粘着テープ2の粘着剤とがシリコーン系の材料から構成されていることが好ましい。
【0017】
上記の実施の形態においては、剥離シート付両面粘着テープ1をヒータユニット20に貼り付けた後に、片面粘着テープ2を剥離シート1bに貼付したが、予め、片面粘着テープ2を剥離シート1bに貼付しておき、その後、剥離シート付両面粘着テープ1をヒータユニット20に貼り付けても良い。また、上記の実施の形態において、剥離シート付両面粘着テープ1は2列であったが、勿論、3列又はそれ以上となっても良い。
【0018】
剥離シート付両面粘着テープ1や片面粘着テープ2についても、上記実施の形態のものに限定されることはなく、公知の種々粘着テープを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上詳述したように本発明によれば、作業性を大幅に向上した剥離シート付両面粘着テープ、剥離シート付両面粘着テープによる貼付方法、及び、剥離シート付両面粘着テープが貼り付けられた物品を提供することができる。本発明の応用分野は、ヒータユニットに限られず、両面粘着テープを使用した種々の貼付の態様に応用することが可能である。また、貼り直しがきかないものへの接着や、比較的接着しにくいものへの接着には有効である。例えば、封筒、障子、襖などの紙製品への適用、接着層との接触面積が少ない多孔体や表面凹凸形状の物品等への適用、貼り直すことで接着層の接着性が低下してしまう布材、皮材、メッキ製品、塗装品への適用、など種々の態様が考えられる。
【符号の説明】
【0020】
1 剥離シート付両面粘着テープ
1a 両面粘着テープ
1b 剥離シート
2 片面粘着テープ
11 基材布
12 コード状ヒータ
20 ヒータユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離シートと両面粘着テープが貼り合わされた剥離シート付両面粘着テープにおいて、上記剥離シートの一部に片面粘着テープの一部が貼付されていることを特徴とする剥離シート付両面粘着テープ。
【請求項2】
上記剥離シートの剥離剤と、上記片面粘着テープの粘着剤とが同系の材料から構成されていることを特徴とする請求項1記載の剥離シート付両面粘着テープ。
【請求項3】
上記剥離シートの剥離剤と、上記片面粘着テープの粘着剤とがシリコーン系の材料から構成されていることを特徴とする請求項2記載の剥離シート付両面粘着テープ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の剥離シート付両面粘着テープを被着体に貼付し、上記剥離シートの一部に片面粘着テープの一部を貼付し、該片面粘着テープを掴持して上記剥離シートを引き剥がし、両面粘着テープを露出させる両面粘着テープによる貼付方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項3何れか記載の剥離シート付両面粘着テープが貼り付けられた物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−17397(P2012−17397A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155233(P2010−155233)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000129529)株式会社クラベ (125)
【Fターム(参考)】