説明

剥離性コーティング剤製造用組成物、これを用いた剥離性コーティング剤の製造方法及びこれから製造された剥離性コーティング剤

【課題】 本発明は剥離性コーティング剤製造用組成物、これを用いた剥離性コーティング剤の製造方法及びこれから製造された剥離性コーティング剤に関する。
【解決手段】 熱可塑性ゴム100重量部と、0.1ないし100重量部の充填剤と、0.1ないし50重量部の1次離型剤と、0.1ないし50重量部の2次離型剤と、0.1ないし50重量部の顔料と、0.1ないし200重量部の1次溶剤と、0.1ないし500重量部の2次溶剤とを含んでなることを特徴とする剥離性コーティング剤製造用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離性コーティング剤製造用組成物、これを用いた剥離性コーティング剤の製造方法及びこれから製造された剥離性コーティング剤に関するものであって、より詳しくは顆粒状の熱可塑性ゴム材料を所定の有機溶剤に溶かして液状やエアゾール(aerosol)状に変換させた後、様々な道具を用いてコーティングを行ってから必要によって剥離させ得る剥離性コーティング剤製造用組成物、これを用いた剥離性コーティング剤の製造方法及びこれから製造された剥離性コーティング剤に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の外周面、各種のケーブルのトレー及びブラケット等の外面を外気に放置すると腐食が生じたり、外力によってスクラッチ等ができたりするため、製品の保護のために別途の外部保護被膜を形成するのが一般的である。従来には、外部保護被膜を被着面自体に付着させるよりは離隔された状態で包装を行ったり、テープを付着させる方式等を用いて保護層を形成したりしてきた。しかし、前者の場合には、製品保護の点において被着面と緊密に付着されないため保護の目的が達成されない短所があり、後者の場合には、被着面に密着されるようにテープを付着させる方法が容易ではないのみならず、今後これを剥がす作業が付着と反対の手順によって行わなければならないので作業上の面倒が存在し、場合によっては接着テープが完全に剥離されないため、一部の残留物が被着体面に残留するようになる問題点が生じている。
【0003】
このような従来の方式の持つ問題点のため、被着面に対する保護層の形成又は付着とともに既に形成された保護層の除去又は剥離がより容易にできる、被着体の表面を保護するための剥離性コーティング剤の開発が要求されている。
【0004】
このような技術的背景の下で、腐食防止等の被着面に対する保護機能を行える剥離性コーティング剤を開発するための努力が関連分野において続けられてきており、その結果として本発明が案出されたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の問題点に鑑みて本発明が解決しようとする技術的課題は、被着面の保護のための臨時又は半永久的な剥離性コーティング層の形成ができるコーティング剤を提供する一方、コーティング層を形成する作業が様々な形態で具現できるようにすることによって作業の便利性を図ることが目的であり、このような技術的課題の解決ができる剥離性コーティング剤製造用組成物、これを用いた剥離性コーティング剤の製造方法及びこれから製造された剥離性コーティング剤を提供することに本発明の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題の達成のため、本発明において提供する剥離性コーティング剤製造用組成物は、熱可塑性ゴム100重量部と、0.1ないし100重量部の充填剤と、0.1ないし50重量部の1次離型剤と、0.1ないし50重量部の2次離型剤と、0.1ないし50重量部の顔料と、0.1ないし200重量部の1次溶剤と、0.1ないし500重量部の2次溶剤を含んでなることを特徴とする。このとき、上記充填剤はタルクであり、上記1次離型剤はステアリン酸(stearic acid、化学式 C1735COOHで表現される)、植物性油及びプロセスオイルから選ばれた何れか一つであり、上記2次離型剤は亜鉛(Zn)が添加されたステアリン酸、植物性油及びプロセスオイル(process oil)から選ばれた何れか一つであり、上記顔料はトナー(toner)であり、上記1次溶剤及び2次溶剤は極性炭化水素系の有機溶剤であり、上記極性炭化水素系の有機溶剤はトルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、キシレン、イソオクタン及びヘプタンから選ばれた何れか一つ以上の物質であれば望ましい。
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題の達成のため、本発明において提供する剥離性コーティング剤の製造方法は、(a)前述した剥離性コーティング剤組成物の各成分物質を定量して用意する段階と、(b)上記用意された組成物の成分の中の熱可塑性ゴムを1次溶剤に沈積させる段階と、(c)上記沈積された熱可塑性ゴムと1次溶剤の混合物を1次強制攪拌させながら、上記用意された組成物の成分の中の顔料成分を添加する段階と、(d)上記顔料成分が添加された混合物を2次強制攪拌させながら、上記用意された組成物の成分の中の充填剤及び1次離型剤を添加する段階と、(e)上記結果物に2次離型剤及び2次溶剤を順次添加する段階とを含んで行うことを特徴とする。
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題の達成のために本発明において提供する剥離性コーティング剤は、腐食防止層、接着剤層、または幼児用遊び器具の保護コーティング層を形成するための様々な用途に用いられることができる特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、様々なコーティング剤の粘度を調節することによって、様々な形態のコーティング道具、例えば、筆、ローラー、高圧噴射機(エアゾール缶)を用いることができるため、コーティング層を形成する作業性に優れ、被着体の外形形態に依存することなく自由に剥離性コーティング層を容易に形成することができる。また、本発明によって製造された剥離性コーティング層は、従来の腐食防止方法の一つである表面めっき方法が持つ、硬化時間が長期間要求されたり、多くの装備が必要であったり、作業条件がややこしかったり、大量に作業をしなければならなかったり、価格が高い短所を克服することができ、被着面に緊密に付着されて耐食性が増進されることはもとより、剥離の際、被着面に残存物質なく完璧に分離されるので被着面に対する後続加工を容易にする長所を持つ。特に、本発明によって製造されたコーティング層は被着体の外部温度に対する耐性が強くて、被着体の形状変化にもそのまま適応するので加工性が容易であり、必要によっては様々な色相を発現させ得る長所を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて説明し、発明に対する理解を助けるために添付図面を参照して詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は種々の異なる形態に変形されることができ、本発明の範囲が下記で詳述する実施例に限定されるものとして解釈されてはいけない。本発明の実施例は当業界において平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0011】
図1は本発明によって剥離性コーティング剤を製造する過程を説明するための製造工程流れ図である。
【0012】
図1に示したように、本発明による剥離性コーティング層製造用組成物の各成分物質を定量して用意する(S1)。上記用意された組成物の成分の中の熱可塑性ゴムを1次溶剤に沈積させ(S2)、上記沈積された熱可塑性ゴムと1次溶剤の混合物を1次強制攪拌させながら、上記用意された組成物の成分の中の顔料成分を添加して(S3)、上記顔料成分が添加された混合物を2次強制攪拌させながら、上記用意された組成物の成分の中の充填剤及び1次離型剤を添加する(S4)。以後、上記結果物に2次離型剤を添加し(S5)、2次溶剤を添加(S6)する段階を順次行う。
【0013】
前述したS1段階において予め用意される各成分の含量は、熱可塑性ゴム100g、充填剤としてタルク10g、1次離型剤として亜鉛が添加されたステアリン酸1.5g、2次離型剤としてステアリン酸3g、1次溶剤としてトルエン100g及び2次溶剤としてトルエン80gであり、これらの各々を各段階ごとに工程条件に従って投入し混合組成物を製造すると剥離性コーティング剤が製造される。
【0014】
前述したS2段階において、1次溶剤であるトルエンに熱可塑性ゴム(ポリマー)を4時間くらい沈積しておくとよく希釈されて、このような希釈作業がより早く進行されるように強制攪拌を伴った。このとき、熱可塑性ゴム(ポリマー)が周りに飛び出さないように攪拌速度(1rpmないし5000rpmの範囲内)を適切に調節しなければならない。前述したS3段階において、投入される顔料が十分に分散されているか否かを考慮して攪拌が行われるべきであり、具体的には、攪拌の際、周りに攪拌物質が飛び出さないように注意しながら約20分くらいの攪拌時間と適切な範囲の速度(1rpmないし5000rpmの範囲内)で攪拌が行われるようにした。前述したS4段階において、投入される1次離型剤が十分に分散されているか否かを考慮して攪拌が行われるべきであり、具体的には、攪拌の際、周りに攪拌物質が飛び出さないように注意しながら10分ないし30分くらい、望ましくは約20分くらいの攪拌時間と適切な範囲の速度(1rpmないし5000rpmの範囲内)で攪拌が行われるようにした。前述したS6段階において、目的する粘度を考慮しながら2次溶剤の量を調節し、攪拌は攪拌の際、周りに攪拌物質が飛び出さないように注意しながら、10分ないし30分、望ましくは約20分くらいの攪拌時間を持ちながら、1rpmないし5000rpmの速度で攪拌が行われるようにした。
【0015】
本発明による剥離性コーティング剤製造用組成物は、熱可塑性ゴム材質を主原料とする臨時的剥離性コーティング層を形成するためのものであって、粘度を適切に調節することによって、筆、ローラー、高圧噴射機等の様々なコーティング道具を用いることができ、使用目的に応じた取捨選択が自由な長所を持つ。特に、エアゾール缶を用いて噴射方式でコーティング層を塗布する場合には、被着面の外形的屈曲が存在するとしても均一なコーティング層の形成が可能な長所を持つ。また、コーティング層を形成した後、必要によってこれを除去する剥離作業が簡単であり、被着面から完全に剥離が行われるので残留物除去の作業が不要である長所がある。これとともに、本発明によって製造されたコーティング層は、被着面の材質と関係なく密着性が優れており腐食性ガスや湿気の浸透を防止することができて被着面の保護層として十分に機能する。一方、本発明によって製造されたコーティング層は、温度変化による物性変化が少ないため保護層として長期間機能を奏することができるので望ましい。最後に、本発明によってコーティングが完了されて硬化が進行された後には、所望の形状に被着体に対する加工を行っても被着面と同一の形状をそのまま維持することによって持続的な保護層としての機能を奏することができて、コーティング剤に所定の色相を発現させ得る顔料を別途添加することによって所望の色相のコーティング層を形成できるので味感的に様々な製品を具現できる長所がある。
【0016】
本発明によって製造された剥離性コーティング剤は次のように用いるとさらに望ましい。まず、被着体の表面に存在する油気や湿気を完全に除去する。一方、コーティング剤の濃度を希釈するために適切な溶剤を用いて、コーティング剤を溶剤に混ぜた後、均一な混合のためよくかき混ぜる。以後、接着力の程度や接着方法等を考慮して適切に溶剤に混合されたコーティング剤を筆、ローラー又はスクイーザーで被着面の上部に塗るための塗布作業を行う。一方、エアゾール状に塗布するために別途包装されたエアゾール用缶を用いる場合には缶の内部に沈積され得るコーティング剤の原液が均一に混合されるようによく振って用いる。被着体に塗布するコーティング層の厚さを考慮して塗布の回数を調節することができる。なお、本発明によって製造された剥離性コーティング剤は自然硬化性製品であるため、常温に放置すると時間の経過によって自然に硬化するので、硬化促進等のための別途措置が不要である。一方、季節的に大気の温度に差があるため硬化に所要される時間に偏差があるが、総じて冬に比べて夏に硬化時間が短縮される特性を有する。
【0017】
以上本発明の最適の実施例が開示された。ここで特定の用語が用いられているが、これはただ当業者に本発明を詳しく説明するための目的で用いられただけであって、意味の限定や特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するために用いられたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明によって剥離性コーティング剤を製造する過程を説明するための製造工程流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ゴム100重量部と、
0.1ないし100重量部の充填剤と、
0.1ないし50重量部の1次離型剤と、
0.1ないし50重量部の2次離型剤と、
0.1ないし50重量部の顔料と、
0.1ないし200重量部の1次溶剤と、
0.1ないし500重量部の2次溶剤を含んでなることを特徴とする剥離性コーティング剤の組成物。
【請求項2】
上記充填剤はタルク(Talc)であることを特徴とする請求項1に記載の剥離性コーティング剤の組成物。
【請求項3】
上記1次離型剤は亜鉛(Zn)が添加されたステアリン酸(stearic acid)、植物性油及びプロセスオイル(process oil)から選ばれた何れか一つであることを特徴とする請求項1に記載の剥離性コーティング剤の組成物。
【請求項4】
上記2次離型剤はステアリン酸、植物性油及びプロセスオイルから選ばれた何れか一つであることを特徴とする請求項1に記載の剥離性コーティング剤の組成物。
【請求項5】
上記顔料はトナーであることを特徴とする請求項1に記載の剥離性コーティング剤の組成物。
【請求項6】
上記1次溶剤及び2次溶剤は極性炭化水素系の有機溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の剥離性コーティング剤組成物。
【請求項7】
上記極性炭化水素系の有機溶剤はトルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、キシレン、イソオクタン及びヘプタンから選ばれた何れか一つ以上の物質であることを特徴とする請求項6に記載の剥離性コーティング剤の組成物。
【請求項8】
(a)上記請求項1ないし請求項7から選ばれた何れか一項に記載の組成物の各成分物質を定量して用意する段階と、
(b)上記用意された組成物の成分の中、熱可塑性ゴムを1次溶剤に沈積させる段階と、
(c)上記沈積された熱可塑性ゴムと1次溶剤の混合物を1次強制攪拌させながら、上記用意された組成物の成分の中の顔料成分を添加する段階と、
(d)上記顔料成分が添加された混合物を2次強制攪拌させながら、上記用意された組成物の成分の中の充填剤及び1次離型剤を添加する段階と、
(e)上記結果物に2次離型剤及び2次溶剤を順次添加する段階と、を含んで行うことを特徴とする剥離性コーティング剤の製造方法。
【請求項9】
第8項に記載の製造方法によって製造された剥離性コーティング剤は、剥離性腐食防止層の形成、接着剤の代用、または幼児用遊び器具の保護コーティング層の形成の用途に用いられることを特徴とする剥離性コーティング剤。

【図1】
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【公開番号】特開2006−199911(P2006−199911A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127301(P2005−127301)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(505156606)テウォン インダストリー カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】