説明

割当評価装置

【課題】出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で同じような時刻とするために、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てるかを判定する。
【解決手段】入力手段に入力された出庫情報に基づいて、複数種の物品の夫々について単位期間当りでの出庫回数を演算する演算手段12を設け、演算手段12は、記憶手段13にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて区分状態変更設定手段16にて変更設定された区分け状態に基づいて複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、複数の自動倉庫設備の夫々に対して割り当てられる物品の単位期間当りでの出庫回数の合計出庫回数から自動倉庫設備同士での出庫比率を演算するように構成され、出力手段14は、演算手段12にて演算された出庫比率を表示手段15に出力するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の自動倉庫設備に対して複数種の物品を保管するに当り、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てるかを判定するための割当評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫設備は、搬入された複数種の物品を物品収納棚に順次保管して、複数種の物品のうちのどの種類の物品でも物品収納棚に保管するようにしている。物品を出庫する際には、複数種の物品のうち出庫要求された種類の物品のみを出庫するようにしており、出庫要求された種類の物品を物品収納棚から物品搬出箇所に出庫するようにしている。物品としては、例えば、同一種類の物品を積み重ねる状態で複数の物品を載置させたパレットである。物品搬出箇所では、出庫されたパレットから必要数の物品を取り出して出荷用ケース等に収納するピッキング作業を行い、複数の物品を出荷用ケースに纏めた状態で出荷するようにしている。
【0003】
自動倉庫設備には、物品を搬入する物品搬入箇所と、物品を搬出する物品搬出箇所と、複数の物品収納棚とが設けられている。物品収納棚としては、例えば、一対の物品収納棚を一組として、複数組設けられている。各組の物品収納棚に対して、物品収納棚に保管する物品を載置させる入庫部と物品収納棚から出庫する物品を載置させる出庫部とが設けられている。各組の物品収納棚に対して、入庫部と複数の収納部との間及び複数の収納部と出庫部との間で物品を搬送する第1物品搬送装置(例えば、スタッカークレーン)が設けられている。物品搬入箇所と各入庫部との間及び各出庫部と物品搬出箇所との間で物品を搬送する複数の第2物品搬送装置(例えば、有軌道式の物品搬送車)が設けられている。そして、物品搬入箇所に搬入された物品を物品収納棚に保管するときには、第2物品搬送装置が物品搬入箇所から複数の入庫部の何れかに物品を搬送し、第1物品搬送装置が入庫部から物品収納棚における複数の収納部の何れかに物品を搬送する。自動倉庫設備から物品を出庫するときには、まず、保管されている物品から出庫要求された種類の物品を選択し、第1物品搬送装置がその選択した物品を収納部から出庫部に搬送し、第2物品搬送装置が出庫部から物品搬出箇所に搬送するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
このような自動倉庫設備では、扱う物品数や物品の種類数の増加等に伴い物品の保管量の増加が求められていることから、既設の自動倉庫設備に加えて、あらたに自動倉庫設備を増設することにより、複数の自動倉庫設備を設けているものがある。
【0004】
【特許文献1】特開平11−49345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動倉庫設備を複数設けた場合には、単位期間にどれだけの物品を出庫可能であるかを示す出庫能力が自動倉庫設備によって異なっていることがある。例えば、あらたに自動倉庫設備を増設した場合には、第1物品搬送装置や第2物品搬送装置の搬送能力が既設の自動倉庫設備よりも高くなり、既設の自動倉庫設備よりもあらたに増設する自動倉庫設備の方が出庫能力が高いものとなる。
単位期間当たりの出庫能力が自動倉庫設備同士で異なる場合には、複数の自動倉庫設備の夫々に対して、複数種の物品のうちのどの種類の物品でも保管するようにすると、以下のような問題を生じる。
【0006】
例えば、同数の物品を出庫するに当たり、単位期間当たりの出庫能力が低い自動倉庫設備では、その出庫作業に要する時間が長くなるのに対して、単位期間当たりの出庫能力が高い自動倉庫設備では、その出庫作業に要する時間を短くできる。よって、例えば、1日の出庫作業として複数の自動倉庫設備の夫々から同数の物品を出庫するようにした場合には、単位期間当たりの出庫能力が低い自動倉庫設備の方が単位期間当たりの出庫能力が高い自動倉庫設備よりも出庫作業終了時刻が遅くなる。このように、例えば、1日の出庫作業終了時刻が自動倉庫設備によって異なることがある。
また、単位期間当たりの出庫能力が高い自動倉庫設備については、保管可能な物品数を多くしても効率よく出庫することができる。しかしながら、複数の自動倉庫設備から物品を出庫するに当たり、保管可能な物品数が多い自動倉庫設備から物品が出庫される確率が高くなる。よって、単位期間当たりの出庫能力が高い自動倉庫設備の方が単位期間当たりの出庫能力が低い自動倉庫設備よりも保管可能な物品数を多くすると、単位期間当たりの出庫能力が高い自動倉庫設備からの出庫回数が増大して、出庫能力が追いつかなくなる恐れがある。その結果、単位期間当たりの出庫能力が高い自動倉庫設備の方が単位期間当たりの出庫能力が低い自動倉庫設備よりも出庫作業終了時刻が遅くなり、1日の出庫作業終了時刻が自動倉庫設備によって異なることがある。
以上の如く、1日の出庫作業終了時刻が自動倉庫設備によって異なると、ある自動倉庫設備での出庫作業が終了しても、全ての自動倉庫設備での出庫作業が終了するまで出庫すべき物品の全てが揃わず、物品を出荷できない状況となってしまう。よって、物品を効率よく出荷できないという問題が生じる虞がある。
【0007】
そこで、複数の自動倉庫設備に対して複数種の物品を保管するに当り、複数の自動倉庫設備の夫々に対して、複数種の物品のうちのどの種類の物品でも保管するのではなく、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てれば、出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で同じような時刻とすることができるのかを判定することが求められている。
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で同じような時刻とするために、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てるかを判定できる割当評価装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る割当評価装置の第1特徴構成は、複数の自動倉庫設備に対して複数種の物品を保管するに当り、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てるかを判定するための割当評価装置であって、
前記複数の自動倉庫設備は、単位期間においてどれだけの物品を出庫可能であるかを示す出庫能力が互いに異なるように構成され、前記複数の自動倉庫設備の夫々において出庫された物品についての出庫情報を入力する入力手段と、前記入力手段に入力された出庫情報に基づいて、前記複数種の物品の夫々について単位期間当りでの出庫回数を演算する演算手段と、前記演算手段にて演算された前記出庫回数を記憶し、且つ、単位期間当りでの出庫回数の多い種類の物品から順に並ぶ形態で前記複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときの区分け状態を記憶する記憶手段と、前記演算手段にて演算された演算結果を出力可能な出力手段と、前記複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定可能な区分状態変更設定手段とを設け、前記記憶手段は、各自動倉庫設備に対して複数の出庫回数ランクのうちのどの出庫回数ランクを割り当てるかを定めた出庫回数ランク割当パターンを記憶するように構成され、前記演算手段は、前記記憶手段にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて前記区分状態変更設定手段にて変更設定された区分け状態に基づいて前記複数種の物品を前記複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、前記複数の自動倉庫設備の夫々に対して割り当てられる物品の単位期間当りでの出庫回数の合計出庫回数から自動倉庫設備同士での出庫比率を演算するように構成され、前記出力手段は、前記演算手段にて演算された前記出庫比率を表示手段に出力するように構成されている点にある。
【0009】
すなわち、複数種の物品を単位期間当りでの出庫回数の多い種類の物品から順に並ぶ形態で複数の出庫回数ランクに区分け、各自動倉庫設備に対してどの出庫回数ランクを割り当てるかを定めることにより、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てるかを定めることができる。出庫回数ランク割当パターンは、各自動倉庫設備に対してどの出庫回数ランクを割り当てるかを定めたものであり、この出庫回数ランク割当パターンが記憶手段に記憶されている。
例えば作業者が区分状態変更設定手段にて複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定すると、演算手段は、記憶手段にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて変更設定された区分け状態にて複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、自動倉庫設備同士での出庫比率を演算することになる。演算手段にて演算された出庫比率は、出力手段にて表示手段に出力されて表示される。これにより、作業者は、複数の出庫回数ランクの区分け状態をどのような区分け状態とすると、自動倉庫設備同士での出庫比率がどのような値になるのかを把握することができる。
【0010】
複数の自動倉庫設備で単位期間当たりでの出庫能力が異なっている場合には、自動倉庫設備同士で出庫作業に要する時間に差が生じ、その時間差は自動倉庫設備同士での出庫能力差に応じて生じることになる。そこで、自動倉庫設備同士での出庫能力差を解消するように、自動倉庫設備同士での出庫比率を設定すれば、出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で同じような時刻とすることができる。よって、作業者は、複数の出庫回数ランクの区分け状態をどのような区分け状態とすると、自動倉庫設備同士での出庫比率がどのような値になるのかを把握しながら、複数の出庫回数ランクの区分け状態を繰り返し変更設定することができる。その結果、自動倉庫設備同士での出庫能力差を解消するための出庫比率を目標出庫比率とすると、表示手段にて表示される自動倉庫設備同士での出庫比率を目標出庫比率にするためには、複数の出庫回数ランクの区分け状態をどのような区分け状態とすればよいかを判定できる。
【0011】
これにより、例えば、1日において出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で同じような時刻とするために、複数の出庫回数ランクの区分け状態をどのような区分け状態とすればよいかを判定することができる。その結果、出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で合わせるために、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てればよいかを判定できるに至った。
【0012】
本発明に係る割当評価装置の第2特徴構成は、前記演算手段は、前記記憶手段にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて前記区分状態変更設定手段にて変更設定された区分け状態に基づいて前記複数種の物品を前記複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、前記複数の自動倉庫設備の夫々に対して割り当てられる物品を保管したときの各自動倉庫設備における充填率を演算するように構成され、前記出力手段は、前記演算手段にて演算された充填率を前記表示手段に出力するように構成されている点にある。
【0013】
すなわち、作業者が区分状態変更設定手段にて複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定すると、演算手段は、記憶手段にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて変更設定された区分け状態にて複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、各自動倉庫設備における充填率を演算することになる。演算手段にて演算された充填率は、出力手段にて表示手段に出力されて表示される。これにより、作業者は、各自動倉庫設備における充填率が適正値を越えていないかを確認しながら、出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で同じような時刻とするために、複数の出庫回数ランクの区分け状態がどのような区分け状態とすればよいかを判定できる。
【0014】
本発明に係る割当評価装置の第3特徴構成は、複数の自動倉庫設備に対して複数種の物品を保管するに当り、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てるかを判定するための割当評価装置であって、
前記複数の自動倉庫設備は、単位期間においてどれだけの物品を出庫可能であるかを示す出庫能力が互いに異なるように構成され、前記複数の自動倉庫設備の夫々において出庫された物品についての出庫情報を入力する入力手段と、前記入力手段に入力された出庫情報に基づいて、前記複数種の物品の夫々について単位期間当りでの出庫回数を演算する演算手段と、前記演算手段にて演算された前記出庫回数を記憶し、且つ、単位期間当りでの出庫回数の多い種類の物品から順に並ぶ形態で前記複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときの区分け状態を記憶する記憶手段と、前記演算手段にて演算された演算結果を出力可能な出力手段と、前記複数の自動倉庫設備の夫々に物品を割り当てたときに各自動倉庫設備に対して割り当てた物品の単位期間当りでの出庫回数の合計出庫回数についての自動倉庫設備同士での目標出庫比率を設定可能な目標出庫比率設定手段とを設け、前記記憶手段は、各自動倉庫設備に対して複数の出庫回数ランクのうちのどの出庫回数ランクを割り当てるかを定めた出庫回数ランク割当パターンを記憶するように構成され、前記演算手段は、前記記憶手段にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて前記記憶手段にて記憶している区分け状態に基づいて前記複数種の物品を前記複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、前記複数の自動倉庫設備の夫々に対して割り当てられる物品の出庫回数の合計出庫回数から自動倉庫設備同士での出庫比率を求め、その求めた出庫比率が前記目標出庫比率設定手段にて設定された前記目標出庫比率となるように、前記複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定するように構成され、前記記憶手段は、記憶している区分け状態を前記演算手段にて変更設定された区分け状態に更新して記憶するように構成されている点にある。
【0015】
すなわち、上記第1特徴構成で述べた如く、出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で同じような時刻とするためには、自動倉庫設備同士での出庫比率を自動倉庫設備同士での出庫能力差を解消するような値にすることが求められている。例えば作業者は、自動倉庫設備同士での出庫比率について、目標出庫比率設定手段にて自動倉庫設備同士での出庫能力差を解消する目標出庫比率を設定することができる。このように目標出庫比率を設定すると、演算手段は、記憶手段にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて記憶手段にて記憶している区分け状態にて複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、自動倉庫設備同士での出庫比率を求め、その求めた出庫比率が目標出庫比率となるように、複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定することになる。演算手段にて変更設定された複数の出庫回数ランクの区分け状態は、記憶手段にて更新して記憶される。これにより、作業者は、記憶手段に更新して記憶された複数の出庫回数ランクの区分け状態を確認することにより、自動倉庫設備同士での出庫比率が目標出庫比率となる複数の出庫回数ランクの区分け状態がどのような区分け状態であるかを判定できる。
【0016】
その結果、例えば、1日において出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で同じような時刻とするために、複数の出庫回数ランクの区分け状態をどのような区分け状態とすればよいかを判定でき、出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で同じような時刻とするために、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てればよいかを判定できるに至った。
【0017】
本発明に係る割当評価装置の第4特徴構成は、前記複数の自動倉庫設備の夫々は、物品収納棚に保管されている物品を出庫部に搬送する第1物品搬送装置と、前記出庫部に搬送された物品を複数の物品搬出箇所の何れかに選択的に搬送する第2物品搬送装置とを備え、前記演算手段は、前記第2物品搬送装置により物品を前記複数の物品搬出箇所の何れかへ搬送するとその物品を1回出庫したとして、前記複数種の物品の夫々について単位期間当りでの出庫回数を演算するように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、例えば、同一種類の物品を積み重ねる状態で複数の物品を載置させたパレットにて物品収納棚に保管するものでは、パレットを物品搬出箇所に搬送することになるが、一つのパレットに複数の物品が載置されていることから、一つのパレットを複数の物品搬出箇所に搬送することがある。このとき、パレットは、第1物品搬送装置にて出庫部に搬送され、第2物品搬送装置にて複数の物品搬出箇所に搬送されることになる。演算手段は、第1物品搬送装置により物品を出庫部に搬送するとその物品を1回出庫したとするのではなく、第2物品搬送装置により物品を複数の物品搬出箇所の何れかへ搬送するとその物品を1回出庫したとする。これにより、複数種の物品の夫々について単位期間当りでの出庫回数を正確に演算することができる。
【0019】
本発明に係る割当評価装置の第5特徴構成は、前記自動倉庫設備として、第1自動倉庫設備と単位期間における出庫能力が前記第1自動倉庫設備よりも高い第2自動倉庫設備とを設け、前記複数の出庫回数ランクは、単位期間当りでの出庫回数の多い上位ランクと、単位期間当りでの出庫回数の少ない下位ランクと、単位期間当りでの出庫回数が前記上位ランクと前記下位ランクとの間である中位ランクとの3つのランクから構成され、前記記憶手段にて記憶されている出庫回数ランク割当パターンは、前記第1自動倉庫設備に前記中位ランクを割り当て且つ前記第2自動倉庫設備に前記上位ランク及び前記下位ランクを割り当てるように定めた出庫回数ランク割当パターンである点にある。
【0020】
すなわち、複数の出庫回数ランクのうち、単位期間当りでの出庫回数の多い上位ランクの物品は、多量に出庫されることがあるが、単位期間における出庫能力が第1自動倉庫設備よりも高い第2自動倉庫設備に割り当てることにより、多量に出庫されても対応可能となる。仮に、上位ランクに加えて中位ランクも第2自動倉庫設備に割り当てると、単位期間当たりでの出庫回数の多いランクが第2自動倉庫設備に偏った状態で割り当てられることになり、第1自動倉庫設備よりも第2自動倉庫設備の方が出庫回数が多くなり過ぎる可能性が生じる。よって、第1自動倉庫設備に中位ランクを割り当て且つ第2自動倉庫設備に上位ランク及び下位ランクを割り当てるように定めた出庫回数ランク割当パターンは、好適な出庫回数ランク割当パターンとなっており、この好適な出庫回数ランク割当パターンを記憶手段に記憶させることができる。その結果、好適な出庫回数ランク割当パターンにおいて、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てればよいかの判定を的確に且つ好適に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る割当評価装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
この割当評価装置は、複数の自動倉庫設備に対して複数種の物品を保管するに当り、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てれば、例えば、1日の出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で同じような時刻とすることができるのかを判定するためのものである。
【0022】
まず、複数の自動倉庫設備について図1に基づいて説明する。
自動倉庫設備1として、第1自動倉庫設備1aと第2自動倉庫設備1bとの2つを設けている。単位期間においてどれだけの物品を入出庫可能であるかを示す入出庫能力(出庫能力に相当する)が第1自動倉庫設備1aと第2自動倉庫設備1bとで異なるように構成されている。第1自動倉庫設備1aよりも第2自動倉庫設備1bの方が入出庫能力が高くなるように構成されている。また、保管可能な物品数については、第1自動倉庫設備1aよりも第2自動倉庫設備1bの方が多くなるように構成されている。例えば、第1自動倉庫設備1aが既設の自動倉庫設備であり、扱う物品数や物品の種類数の増加等に伴って増設した自動倉庫設備を第2自動倉庫設備1bである。
【0023】
自動倉庫設備1は、例えば、同一種類の物品を積み重ねる状態で複数の物品を載置させたパレットを物品として保管するように構成されている。以下、複数の物品が載置されたパレットを「物品」と呼称するものとする。
【0024】
第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々は、複数の収納部を有する物品収納棚2を物品の出し入れ方向が互いに対向する状態で一対設け、その一対の物品収納棚2を一組とし、物品収納棚2を複数組(例えば、6組)設けている。図示は省略するが、自動倉庫設備1に保管する物品は複数の物品が載置されたパレットであり、高さの異なるパレットが存在することになる。第1自動倉庫設備1aは、物品収納棚2の全てが高さの高いパレットでも高さの低いパレットでも収納できるように構成されている。それに対して、第2自動倉庫設備1bは、複数の物品収納棚2の一部が高さの高いパレットでも高さの低いパレットでも収納可能な高棚用の物品収納棚であり、残りの一部が高さの低いパレットのみを収納可能な低棚用の物品収納棚である。
各組の物品収納棚2には、物品収納棚2に収納する物品を載置させる入庫部3及び物品収納棚2から取り出した物品を載置させる出庫部4が設けられている。また、各組の物品収納棚2には、一対の物品収納棚2の間に形成された移動空間を移動して、入庫部3と複数の収納部との間及び複数の収納部と出庫部4との間で物品を搬送する第1物品搬送装置5(例えば、スタッカークレーン)が設けられている。
【0025】
第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々には、物品収納棚2に収納する物品を搬入する物品搬入箇所6の複数と、物品収納棚2から搬送された物品を搬出する物品搬出箇所7の複数とが設けられている。物品搬出箇所7には、例えば、物品を載置して搬送する3つのコンベヤが平面視でコ字状になるように配置されており、物品としてのパレットから必要な物品をピッキングするピッキング作業箇所として構成されている。ちなみに、第1自動倉庫設備1aには、5つのピッキング用物品搬出箇所7bが設けられ、第2自動倉庫設備1bには、8つのピッキング用物品搬出箇所7bが設けられている。物品搬入箇所6は、例えば、物品を載置して搬送するコンベヤであり、その搬送方向を逆転することにより物品搬出箇所7としても機能できるように構成されている。
【0026】
第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々には、複数の入庫部3、複数の出庫部4、複数の物品搬入箇所6、及び、複数の物品搬出箇所7を経由するように走行レール8が配設されている。走行レール8を走行する第2物品搬送装置9(例えば、搬送台車)が複数設けられ、各第2物品搬送装置9が、入庫部3、出庫部4、物品搬入箇所6、物品搬出箇所7の夫々に対して物品を搬送可能に構成されている。
【0027】
自動倉庫設備1の夫々には、第1物品搬送装置5や第2物品搬送装置9の作動等を制御する制御装置が設けられている。この自動倉庫設備1の制御装置は、物品搬入箇所6に搬入された物品を複数の入庫部3の何れかに搬送するように第2物品搬送装置9の作動を制御し、且つ、入庫部3に搬送された物品を物品収納棚2における複数の収納部の何れかに収納するように第1物品搬送装置5の作動を制御することにより、物品搬入箇所6に搬入された物品を物品収納棚2に保管するように構成されている。このとき、制御装置は、どの収納部にどの種類のどの物品を収納しているか等の収納情報を管理するように構成されている。また、自動倉庫設備1の制御装置は、出庫要求された種類の物品がどの収納部に収納されているかを選択してその選択した収納部の物品を出庫部4に搬送するように第1物品搬送装置5の作動を制御し、且つ、出庫部4に搬送された物品を複数の物品搬出箇所7の何れかに搬送するように第2物品搬送装置9の作動を制御することにより、物品収納棚2に保管されている物品を物品搬出箇所7に出庫するように構成されている。
【0028】
第1自動倉庫設備1aと第2自動倉庫設備1bとの間で物品を授受できるように、第1自動倉庫設備1aと第2自動倉庫設備1bとの間で物品を搬送する渡りコンベヤ10が複数(例えば、2つ)設けられている。この渡りコンベヤ10は、搬送方向の一端部が第1自動倉庫設備1aにおける第2物品搬送装置9との間で物品を移載するための移載ステーションで、且つ、搬送方向の他端部が第2自動倉庫設備1bにおける第2物品搬送装置9との間で物品を移載するための移載ステーションとなっている。渡りコンベヤ10は、例えば、搬送方向の一端部に第1自動倉庫設備1aにおける第2物品搬送装置9にて物品が移載されると、その物品を搬送方向の他端部に搬送して第2自動倉庫設備1bにおける第2物品搬送装置9がその物品を移載できるようにしている。
【0029】
本発明に係る割当評価装置Wについて、図2〜図5に基づいて説明する。
割当評価装置Wは、図2に示すように、入力手段11、演算手段12、記憶手段13、出力手段14、及び、表示手段15を備えている。
入力手段11は、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々において出庫された物品についての出庫情報を入力するように構成されている。このときの出庫情報は、出庫された物品がどの種類の物品で且つその出庫時刻はいつか等を識別できる情報である。演算手段12は、入力手段11に入力された出庫情報に基づいて、複数種の物品の夫々について単位期間(例えば1日)当たりでの出庫回数を演算するように構成されている。ここで、演算手段12は、第2物品搬送装置9により物品を複数の物品搬出箇所7の何れかへ搬送するとその物品を1回出庫したとして、複数種の物品の夫々について単位期間当りでの出庫回数を演算するように構成されている。
出力手段14は、演算手段12にて演算された演算結果を出力可能に構成されている。表示手段15は、出力手段14にて出力された出力情報を表示するように構成されている。
【0030】
記憶手段13は、演算手段12にて演算された複数種の物品の夫々についての単位期間当たりでの出庫回数を記憶し、且つ、単位期間当たりでの出庫回数の多い種類の物品から順に並ぶ形態で複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときの区分け状態を記憶するように構成されている。複数の出庫回数ランクは、例えば、図3に示すように、単位期間当たりでの出庫回数の多い上位ランクと、単位期間当たりでの出庫回数の少ない下位ランクと、単位期間当たりでの出庫回数が上位ランクと下位ランクとの間である中位ランクとの3つのランクから構成されている。記憶手段13は、区分け状態として、単位期間当たりでの出庫回数の多い種類の物品から順に並べたときに、上位ランクと中位ランクとの第1境界線K1がどの種類の物品とどの種類の物品との間に位置するか、及び、中位ランクと下位ランクとの第2境界線K2がどの種類の物品とどの種類の物品との間に位置するかを記憶するように構成されている。
【0031】
複数種の物品を単位期間当たりでの出庫回数の多い種類の物品から順に並べて上位ランクと中位ランクと下位ランクとの複数の出庫回数ランクに区分けする。そして、各自動倉庫設備1に対して複数の出庫回数ランクのうちのどの出庫回数ランクを割り当てるかを定めており、記憶手段13は、各自動倉庫設備1に対して複数の出庫回数ランクのどの出庫回数ランクを割り当てるかを定めた出庫回数ランク割当パターンを記憶するように構成されている。この記憶手段13が記憶している出庫回数ランク割当パターンは、例えば、図4に示すように、第1自動倉庫設備1aに中位ランクを割り当て且つ第2自動倉庫設備1bに上位ランク及び下位ランクを割り当てるように定めた出庫回数ランク割当パターンである。
【0032】
演算手段12は、記憶手段13にて記憶されている出庫回数ランク割当パターンにおいて記憶手段13にて記憶されている区分け状態に基づいて複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、現状における、各ランクに該当する物品の種類数と全物品の種類数に対する各ランクに該当する物品の種類数の比率を演算するように構成されている。つまり、図3に示すように、演算手段12が、複数種の物品を単位期間当たりの出庫回数に応じて上位ランクと中位ランクと下位ランクとに区分けしたときに、各ランクにどれだけの種類の物品が該当するのか、及び、各ランクにそのランクに該当する物品の種類数は全物品の種類数に対してどれだけの比率であるかを演算する。
【0033】
出力手段14は、演算手段12にて演算された現状における物品の種類数及び比率を表示手段15に出力するように構成されている。これにより、表示手段15は、図5(a)に示すように、現状における物品の種類数(図示のものではアイテム数)及び比率を表示するように構成されている。
【0034】
ここで、中位ランクについては、単位期間当たりでの出庫回数の多い第1中位ランクと単位期間当たりでの出庫回数の少ない第2中位ランクとに中位ランクの中で2つのランクに区分けしている。下位ランクについても、中位ランクと同様に、下位ランクの中で第1下位ランクと第2下位ランクとの2つのランクに区分けしている。よって、演算手段12は、中位ランク及び下位ランクの夫々について、第1と第2との2つのランクに区分けした状態で現状における物品の種類数及び比率を演算している。これにより、図5(a)に示すように、中位ランク及び下位ランクの夫々については、第1と第2との2つのランクに区分けした状態で現状での物品の種類数(アイテム数)及び比率が表示されている。
【0035】
演算手段12は、記憶手段13にて記憶されている出庫回数ランク割当パターンにおいて記憶手段13にて記憶されている区分け状態に基づいて複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、現状における、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々に対して割り当てられる物品の単位期間当りでの出庫回数の合計出庫回数、及び、その合計出庫回数から自動倉庫設備同士での出庫比率を演算するように構成されている。出力手段14は、演算手段12にて演算された現状における合計出庫回数及び出庫比率を表示手段15に出力するように構成されている。表示手段15は、図5(b)に示すように、現状における第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備の夫々での合計出庫回数(図示のものでは出庫回数)及び出庫比率を表示するように構成されている。ここで、出庫比率は、第1自動倉庫設備1aにおける単位期間(例えば1日)当たりでの合計出庫回数を第2自動倉庫設備1bにおける単位期間(例えば1日)当たりでの合計出庫回数にて割った値となっている。
【0036】
演算手段12は、記憶手段13にて記憶されている出庫回数ランク割当パターンにおいて記憶手段13にて記憶されている区分け状態に基づいて複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、現状における、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々に対して割り当てられる物品を保管したときの各自動倉庫設備1における保管物品数及び充填率を演算するように構成されている。出力手段14は、演算手段12にて演算された現状における第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備の夫々についての保管物品数及び充填率を表示手段15に出力するように構成されている。これにより、表示手段15は、図5(c)に示すように、現状における第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備の夫々についての保管物品数(図示のものでは保管棚)及び充填率を表示するように構成されている。ちなみに、図5(c)において、第2自動倉庫設備1bについては、高棚用の物品収納棚2と低棚用の物品収納棚2とに区分けして表示している。また、棚数は、その物品収納棚2に収納可能な最大物品数を示している。
【0037】
図2に戻り、割当評価装置Wは、入力手段11や演算手段12等の他に、複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定可能な区分状態変更設定手段16を備えている。区分状態変更設定手段16は、各ランクにおける物品の種類数(アイテム数)、及び、全物品の種類数に対する各ランクにおける物品の種類数の比率の一方又は両方を変更設定することにより、複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定するように構成されている。つまり、作業者は、区分状態変更設定手段16を用いて、図5(a)において、各ランクの物品の種類数(アイテム数)及び比率を変更設定することができ、この変更設定によって図3における第1境界線K1及び第2境界線K2の夫々がどの位置とするのかが変更設定される。
【0038】
区分状態変更設定手段16にて複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定すると、演算手段12は、記憶手段13にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて区分状態変更設定手段16にて変更設定された区分け状態に基づいて複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、変更後における、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々に対して割り当てられる物品の単位期間当りでの出庫回数の合計出庫回数、及び、その合計出庫回数から自動倉庫設備1同士での出庫比率を演算するように構成されている。出力手段14は、演算手段12にて演算された変更後における合計出庫回数及び出庫比率を表示手段15に出力するように構成されている。表示手段15は、図5(b)に示すように、変更後における第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備の夫々での合計出庫回数(図示のものでは出庫回数)及び出庫比率を表示するように構成されている。
【0039】
これにより、作業者は、複数の出庫回数ランクの区分け状態をどのような区分け状態に変更設定すると、自動倉庫設備1同士での出庫比率がどのような値になるのかを把握することができる。よって、作業者は、複数の出庫回数ランクの区分け状態をどのような区分け状態とすると、自動倉庫設備1同士での出庫比率がどのような値になるのかを把握しながら、複数の出庫回数ランクの区分け状態を繰り返し変更設定することができる。ここで、例えば、1日において出庫作業終了時刻を第1自動倉庫設備1aと第2自動倉庫設備1bとで同じような時刻とするためには、自動倉庫設備1同士での出庫能力差を解消するように自動倉庫設備1同士での出庫比率を目標出庫比率とすればよい。
【0040】
例えば、この実施形態では、第1自動倉庫設備1aに対して第2自動倉庫設備1bの単位期間(例えば、1日)における出庫能力が1.5倍になっている。よって、自動倉庫設備1同士での出庫能力差を解消するための目標出庫比率は、単位期間における第1自動倉庫設備1aの出庫能力を第2自動倉庫設備1bの出庫能力にて割った67%(1.0÷1.5)となる。これにより、作業者は、図5に示すように、変更後の出庫比率が67%になるように区分状態変更設定手段16にて複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定することができる。変更後の出庫比率が目標出庫比率となる複数の出庫回数ランクの区分け状態を設定すると、その設定状態での図3における第1境界線K1及び第2境界線K2の夫々がどの位置になるのかが定まる。
【0041】
記憶手段13にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて、変更後の出庫比率が目標出庫比率となる複数の出庫回数ランクの区分け状態を設定して、その設定した区分け状態に複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けすると、1日において出庫作業終了時刻を第1自動倉庫設備1aと第2自動倉庫設備1bとで同じような時刻とすることができることになる。このようにして、例えば、1日において出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で同じような時刻とするために、複数の出庫回数ランクの区分け状態をどのような区分け状態とすればよいかを判定して、各自動倉庫設備1に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てればよいかを判定することができる。
【0042】
演算手段12は、記憶手段13にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて区分状態変更設定手段16にて変更設定された区分け状態に基づいて複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、変更後における、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々に対して割り当てられる物品を保管したときの各自動倉庫設備1における保管物品数及び充填率を演算するように構成されている。出力手段14は、演算手段12にて演算された現状における第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備の夫々についての保管物品数及び充填率を表示手段15に出力するように構成されている。これにより、表示手段15は、図5(c)に示すように、現状における第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備の夫々についての保管物品数(図示のものでは保管棚)及び充填率を表示するように構成されている。
【0043】
これにより、作業者は、変更後の出庫比率が目標出庫比率となる複数の出庫回数ランクの区分け状態を設定した状態において、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備の夫々の充填率が100%を越えていないかを確認することができる。よって、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備の夫々の充填率が100%を越えないようにしながら、1日において出庫作業終了時刻を複数の自動倉庫設備で同じような時刻とするために、各自動倉庫設備1に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てればよいかを判定することができる。
【0044】
割当評価装置Wは、変更後の出庫比率が目標出庫比率となる複数の出庫回数ランクの区分け状態を設定したときに、その区分け状態を出力手段14にて出力可能に構成されている。これにより、自動倉庫設備1の全体の作動を制御する上位制御装置は、出力手段14にて出力される区分け状態に複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けし、記憶手段13にて記憶している出庫回数ランク割当パターンとなるように、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々に出庫回数ランクを割り当てる。そして、上位制御装置は、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々に対して割り当てた出庫回数ランクの物品を保管するように、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々の作動を制御するように構成されている。
【0045】
つまり、記憶手段13が記憶している出庫回数ランク割当パターンは、図4に示すように、第1自動倉庫設備1aに中位ランクを割り当て且つ第2自動倉庫設備1bに上位ランク及び下位ランクを割り当てるように定めた出庫回数ランク割当パターンである。よって、例えば、第1自動倉庫設備1aにおける物品搬入箇所6に中位ランクの物品が搬入されると、その物品は、第1自動倉庫設備1aにおける第2物品搬送装置9及び第1物品搬送装置5にて搬送されて、第1自動倉庫設備1aの物品収納棚2に保管される。第2自動倉庫設備1bにおける物品搬入箇所6に上位ランク又は下位ランクの物品が搬入されると、その物品は、第2自動倉庫設備1bにおける第2物品搬送装置9及び第1物品搬送装置5にて搬送されて、第2自動倉庫設備1bの物品収納棚2に保管される。第1自動倉庫設備1aにおける物品搬入箇所6に上位ランク又は下位ランクの物品が搬入されると、その物品は、第1自動倉庫設備1aにおける第2物品搬送装置9にて渡りコンベヤ10に搬送されて第1自動倉庫設備1aから第2自動倉庫設備1bに搬送されたのち、第2自動倉庫設備1bにおける第2物品搬送装置9及び第1物品搬送装置5にて搬送されて、第2自動倉庫設備1bの物品収納棚2に保管される。
【0046】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態は、上記第1実施形態における割当評価装置Wの別実施形態である。以下、第2実施形態における割当評価装置W1について、図6に基づいて説明する。
割当評価装置W1は、上記第1実施形態と同様に、入力手段11、演算手段12、記憶手段13、出力手段14、及び、表示手段15を備えており、上記第1実施形態における区分状態変更設定手段16に代えて、目標出庫比率設定手段17を備えている。目標出庫比率設定手段17は、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々に物品を割り当てたときに各自動倉庫設備1に対して割り当てた物品の単位期間当たりでの出庫回数の合計出庫回数についての自動倉庫設備1同士での目標出庫比率を設定可能に構成されている。つまり、目標出庫比率設定手段17は、上記第1実施形態において、自動倉庫設備1同士での出庫比率を自動倉庫設備1同士での出庫能力の比率に応じた比率を目標出庫比率(例えば67%)として設定することができる。
【0047】
この第2実施形態における割当評価装置W1も、上記第1実施形態における割当評価装置Wと同様に、図5に示すように、現状における、各ランクの物品の種類数(アイテム数)及び比率や、各自動倉庫設備1での単位期間当たりでの出庫合計回数(出庫回数)等が表示されるように構成されている。
以下、第2実施形態における割当評価装置W1について、上記第1実施形態における割当評価装置Wとは異なる構成についてのみ説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0048】
演算手段12は、記憶手段13にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて記憶手段13にて記憶している区分け状態に基づいて複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、複数の自動倉庫設備の夫々に対して割り当てられる物品の出庫回数の合計出庫回数から自動倉庫設備同士での出庫比率を求めるように構成されている。そして、演算手段12は、求めた出庫比率が目標出庫比率設定手段17にて設定された目標出庫比率となるように、複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定するように構成されている。記憶手段13は、記憶している区分け状態を演算手段12にて変更設定された区分け状態に更新して記憶するように構成されている。出力手段14は、演算手段12にて変更設定された区分け状態を表示手段15に出力するように構成されている。表示手段15は、図3に示すように、変更設定された区分け状態での第1境界線K1及び第2境界線K2を表示するように構成されている。ここで、例えば、表示手段15は、変更設定された区分け状態を表示するだけでなく、現在からどのように変更したかを示すように表示することもできる。例えば、表示手段15は、まず、現在の第1境界線K1及び第2境界線K2を表示しておく。出力手段14にて演算手段12にて変更設定された区分け状態が出力されると、表示手段15は、第1境界線K1及び第2境界線K2を上下させて、変更設定された区分け状態での第1境界線K1及び第2境界線K2を表示する。
【0049】
図3に基づいて区分け状態の変更設定について説明する。
演算手段12は、記憶手段13にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて、第1境界線K1及び第2境界線K2の夫々の位置を繰り返し変更設定し、変更設定した夫々について出庫比率を求め、その出庫比率が目標出庫比率となる第1境界線K1及び第2境界線K2の組み合わせを求める。これにより、演算手段12は、出庫比率が目標出庫比率設定手段17にて設定された目標出庫比率となる複数の出庫回数ランクの区分け状態を演算する。例えば、演算手段12は、第1境界線K1をある位置に仮設定し、第2境界線K2の位置を繰り返し変更設定し、変更設定した夫々について出庫比率を求め、その出庫比率が目標出庫比率となる第2境界線K2の位置を求める。演算手段12は、第1境界線K1をある位置に仮設定して第2境界線K2を求める処理を繰り返し行うことにより、出庫比率が目標出庫比率となる第1境界線K1と第2境界線K2との組み合わせを求める。
【0050】
演算手段12は、求めた第1境界線K1と第2境界線K2との組み合わせが複数ある場合には、その複数の組み合わせから最適な組み合わせを演算する。例えば、演算手段12は、第1境界線K1と第2境界線K2との複数の組み合わせの夫々について、各組み合わせにおいて第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々に対して割り当てられる物品を保管したときの第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々の充填率を演算している。これにより、演算手段12は、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々の充填率が100%を越える組み合わせがあるか否かを判別し、充填率が100%を越える組み合わせを除外している。
また、演算手段12は、第1境界線K1と第2境界線K2との複数の組み合わせの夫々について、その組み合わせとしたときに現状の保管状態からどれだけの物品を移動させなければならないかの移動物品数を演算している。つまり、第1境界線K1と第2境界線K2との組み合わせによっては、例えば、現在第1自動倉庫設備1aに保管している物品を第2自動倉庫設備1bに保管することが必要となる。その為に、物品を第1自動倉庫設備1aから第2自動倉庫設備1bに移動させなければならない。そこで、演算手段12は、第1境界線K1と第2境界線K2との複数の組み合わせの夫々について、移動物品数を演算しており、この移動物品数が最も少ない組み合わせを最適な組み合わせと演算している。
【0051】
以上の如く、作業者は、目標出庫比率設定手段17にて自動倉庫設備1同士での出庫能力差を解消する目標出庫比率を設定すると、演算手段12にて変更設定された複数の出庫回数ランクの区分け状態が記憶手段13にて更新して記憶される。記憶手段13に更新して記憶される複数の出庫回数ランクの区分け状態は表示手段15に表示されるので、作業者は、自動倉庫設備1同士での出庫比率が目標出庫比率となる複数の出庫回数ランクの区分け状態がどのような区分け状態であるかを判定できる。しかも、単に、目標出庫比率設定手段17にて目標出庫比率を設定するだけでよいので、作業の簡素化を図ることができる。
【0052】
割当評価装置W1は、出庫比率が目標出庫比率となる複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定したときに、その変更設定した区分け状態を出力手段14にて出力可能に構成されている。これにより、自動倉庫設備1の全体の作動を制御する上位制御装置は、出力手段14にて出力される区分け状態に複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けし、記憶手段13にて記憶している出庫回数ランク割当パターンとなるように、第1自動倉庫設備1a及び第2自動倉庫設備1bの夫々に出庫回数ランクを割り当てる。
【0053】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、演算手段12が、第2物品搬送装置9により物品を複数の物品搬出箇所7の何れかへ搬送するとその物品を1回出庫したとして、複数種の物品の夫々について単位期間当りでの出庫回数を演算するように構成されている。これに代えて、演算手段12が、第1物品搬送装置5により物品を出庫部4に搬送するとその物品を1回出庫したとして、複数種の物品の夫々について単位期間当りでの出庫回数を演算するように構成することもできる。
【0054】
(2)上記実施形態では、第1自動倉庫設備1aに中位ランクを割り当て且つ第2自動倉庫設備1bに上位ランク及び下位ランクを割り当てるように定めた出庫回数ランク割当パターンを記憶手段13にて記憶するようにしているが、どのような出庫回数ランク割当パターンを記憶するかは適宜変更が可能である。例えば、第1自動倉庫設備1aに上位ランクを割り当て且つ第2自動倉庫設備1bに中位ランク及び下位ランクを割り当てるように定めた出庫回数ランク割当パターンとすることもできる。
【0055】
(3)上記実施形態では、複数の自動倉庫設備1として、第1自動倉庫設備1aと第2自動倉庫設備1bとの2つを設けた例を示しているが、自動倉庫設備1の数については適宜変更が可能である。
【0056】
(4)上記実施形態において、複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けするに当たり、上位ランク、中位ランク、下位ランクの3つのランクに区分けするものに限らず、2つや4つ以上のランクに区分けしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】複数の自動倉庫設備を示す平面図
【図2】第1実施形態における割当評価装置を示すブロック図
【図3】複数の出庫回数ランクを示す図
【図4】記憶手段が記憶している出庫回数ランク割当パターンを示す図
【図5】表示手段の表示状態を示す図
【図6】第2実施形態における割当評価装置を示すブロック図
【符号の説明】
【0058】
1 自動倉庫設備
1a 第1自動倉庫設備
1b 第2自動倉庫設備
2 物品収納棚
4 出庫部
5 第1物品搬送装置
7 物品搬出箇所
9 第2物品搬送装置
11 入力手段
12 演算手段
13 記憶手段
14 出力手段
15 表示手段
16 区分状態変更設定手段
17 目標出庫比率設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動倉庫設備に対して複数種の物品を保管するに当り、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てるかを判定するための割当評価装置であって、
前記複数の自動倉庫設備は、単位期間においてどれだけの物品を出庫可能であるかを示す出庫能力が互いに異なるように構成され、
前記複数の自動倉庫設備の夫々において出庫された物品についての出庫情報を入力する入力手段と、
前記入力手段に入力された出庫情報に基づいて、前記複数種の物品の夫々について単位期間当りでの出庫回数を演算する演算手段と、
前記演算手段にて演算された前記出庫回数を記憶し、且つ、単位期間当りでの出庫回数の多い種類の物品から順に並ぶ形態で前記複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときの区分け状態を記憶する記憶手段と、
前記演算手段にて演算された演算結果を出力可能な出力手段と、
前記複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定可能な区分状態変更設定手段とを設け、
前記記憶手段は、各自動倉庫設備に対して複数の出庫回数ランクのうちのどの出庫回数ランクを割り当てるかを定めた出庫回数ランク割当パターンを記憶するように構成され、
前記演算手段は、前記記憶手段にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて前記区分状態変更設定手段にて変更設定された区分け状態に基づいて前記複数種の物品を前記複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、前記複数の自動倉庫設備の夫々に対して割り当てられる物品の単位期間当りでの出庫回数の合計出庫回数から自動倉庫設備同士での出庫比率を演算するように構成され、
前記出力手段は、前記演算手段にて演算された前記出庫比率を表示手段に出力するように構成されている割当評価装置。
【請求項2】
前記演算手段は、前記記憶手段にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて前記区分状態変更設定手段にて変更設定された区分け状態に基づいて前記複数種の物品を前記複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、前記複数の自動倉庫設備の夫々に対して割り当てられる物品を保管したときの各自動倉庫設備における充填率を演算するように構成され、
前記出力手段は、前記演算手段にて演算された充填率を前記表示手段に出力するように構成されている請求項1に記載の割当評価装置。
【請求項3】
複数の自動倉庫設備に対して複数種の物品を保管するに当り、各自動倉庫設備に対して複数種の物品のうちのどの種類の物品を割り当てるかを判定するための割当評価装置であって、
前記複数の自動倉庫設備は、単位期間においてどれだけの物品を出庫可能であるかを示す出庫能力が互いに異なるように構成され、
前記複数の自動倉庫設備の夫々において出庫された物品についての出庫情報を入力する入力手段と、
前記入力手段に入力された出庫情報に基づいて、前記複数種の物品の夫々について単位期間当りでの出庫回数を演算する演算手段と、
前記演算手段にて演算された前記出庫回数を記憶し、且つ、単位期間当りでの出庫回数の多い種類の物品から順に並ぶ形態で前記複数種の物品を複数の出庫回数ランクに区分けしたときの区分け状態を記憶する記憶手段と、
前記演算手段にて演算された演算結果を出力可能な出力手段と、
前記複数の自動倉庫設備の夫々に物品を割り当てたときに各自動倉庫設備に対して割り当てた物品の単位期間当りでの出庫回数の合計出庫回数についての自動倉庫設備同士での目標出庫比率を設定可能な目標出庫比率設定手段とを設け、
前記記憶手段は、各自動倉庫設備に対して複数の出庫回数ランクのうちのどの出庫回数ランクを割り当てるかを定めた出庫回数ランク割当パターンを記憶するように構成され、
前記演算手段は、前記記憶手段にて記憶している出庫回数ランク割当パターンにおいて前記記憶手段にて記憶している区分け状態に基づいて前記複数種の物品を前記複数の出庫回数ランクに区分けしたときに、前記複数の自動倉庫設備の夫々に対して割り当てられる物品の出庫回数の合計出庫回数から自動倉庫設備同士での出庫比率を求め、その求めた出庫比率が前記目標出庫比率設定手段にて設定された前記目標出庫比率となるように、前記複数の出庫回数ランクの区分け状態を変更設定するように構成され、
前記記憶手段は、記憶している区分け状態を前記演算手段にて変更設定された区分け状態に更新して記憶するように構成されている割当評価装置。
【請求項4】
前記複数の自動倉庫設備の夫々は、物品収納棚に保管されている物品を出庫部に搬送する第1物品搬送装置と、前記出庫部に搬送された物品を複数の物品搬出箇所の何れかに選択的に搬送する第2物品搬送装置とを備え、
前記演算手段は、前記第2物品搬送装置により物品を前記複数の物品搬出箇所の何れかへ搬送するとその物品を1回出庫したとして、前記複数種の物品の夫々について単位期間当りでの出庫回数を演算するように構成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の割当評価装置。
【請求項5】
前記自動倉庫設備として、第1自動倉庫設備と単位期間における出庫能力が前記第1自動倉庫設備よりも高い第2自動倉庫設備とを設け、
前記複数の出庫回数ランクは、単位期間当りでの出庫回数の多い上位ランクと、単位期間当りでの出庫回数の少ない下位ランクと、単位期間当りでの出庫回数が前記上位ランクと前記下位ランクとの間である中位ランクとの3つのランクから構成され、
前記記憶手段にて記憶されている出庫回数ランク割当パターンは、前記第1自動倉庫設備に前記中位ランクを割り当て且つ前記第2自動倉庫設備に前記上位ランク及び前記下位ランクを割り当てるように定めた出庫回数ランク割当パターンである請求項1〜4の何れか1項に記載の割当評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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