説明

加圧タンク装置

【課題】設置領域を比較的小さくすることができ、また、簡単に据付けることができる加圧タンク装置の提供。
【解決手段】燃料タンク7の容器本体10の内部に設置される隔壁14によって形成され、エンジン35の燃料40が収容される収容部13と、この収容部13に収容された燃料40の上面に接触可能に設けられ、収容部13に収容された燃料40の減少に伴って下方へ移動する移動蓋15と、この移動蓋15を下方に付勢するばね21とを備え、収容部13に収容された燃料40を加圧する加圧手段が、容器本体10の内壁と移動蓋15とばね21とから成る構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルなどの建設機械等に備えられ、容器本体に収容された液体を加圧する加圧手段を備えた加圧タンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、薬液(液体)を収容する容器本体すなわちキャニスターと、このキャニスターの外部に設けられ、キャニスターに収容された薬液を加圧する加圧手段、すなわち窒素ガス供給手段とを備えた構成になっている。窒素ガス供給手段には、窒素ガス容器と、この窒素ガス容器内の窒素ガスをキャニスターに導く配管系統の他、特許文献1中に明記されていないが当業者の常識として、窒素ガスを配管系統を介してキャニスターに送り込む電磁ポンプ等が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平1−53572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで建設機械にあっては、従来、燃料タンクに蓄えられる燃料をエンジンに安定的に供給するための供給手段として、電磁式の燃料ポンプが備えられているが、このような構成に代えて、燃料が蓄えられる加圧タンク装置を設ける構成とすることが要望されている。上述した従来技術は、薬液が収容されるキャニスターの外部に、窒素ガス容器、配管系統、及び電磁ポンプ等を含む窒素ガス供給手段、すなわち薬液の加圧手段を要することから、設置領域が大きくなる問題がある。したがって、設置領域に制約を受ける場合には、この従来技術の考え方を採用することは困難となる。例えば加圧タンクを、油圧ショベルの旋回体上に搭載され、エンジンの燃料が収容される燃料タンクとする場合に、上述した従来技術の考え方を採用しようとすると、燃料タンクの外部に電磁ポンプ等を含む加圧手段を配置することが必要になる。しかしながら、油圧ショベルの旋回体上には各種油圧機器、及びこれらの油圧機器を接続する配管系統などが密集して配置されることから、加圧手段の設置領域の確保が難しくなりやすい。
【0005】
また、上述した従来技術では据付けに際して、キャニスターの据付け作業、加圧手段の据付け作業、及び配管系統の接続作業を要し、据付け作業が煩雑になる問題がある。したがって、従来技術にあっては据付け作業の能率の向上を見込み難い。
【0006】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、設置領域を比較的小さくすることができ、また、簡単に据付けることができる加圧タンク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係る加圧タンク装置は、液体を収容する容器本体と、この容器本体に収容された液体を加圧する加圧手段とを備えた加圧タンク装置において、上記容器本体の内部に上記加圧手段を配置したことを特徴としている。
【0008】
このように構成した本発明は、容器本体の液体を加圧する加圧手段が容器本体の内部に配置されるので、容器本体の外部に加圧手段の設置領域を確保しないで済む。これにより設置領域を比較的小さくすることができる。また、据付けに際しては、加圧手段を据付ける作業等が不要になり、容器本体の据付け作業を実施するだけで済む。したがって、簡単に据付けることができる。
【0009】
また、本発明に係る加圧タンク装置は、上記発明において、上記容器本体の内部に立設される隔壁によって形成され、上記液体が収容される収容部と、この収容部に収容された上記液体の上面に接触可能に設けられ、上記収容部に収容された上記液体の減少に伴って下方向に移動する移動蓋と、この移動蓋を下方に付勢する付勢手段とを備え、上記加圧手段は、上記容器本体の内壁と上記移動蓋と上記付勢手段とから成ることを特徴としている。
【0010】
このように構成した本発明は、容器本体の収容部に収容された液体の上面に移動蓋を接触させた状態において、付勢手段によって移動蓋を下方に付勢することにより、移動蓋と容器本体の内壁とを介して収容部に収容された液体を付勢手段の付勢力に応じて加圧することができる。
【0011】
また、本発明に係る加圧タンク装置は、上記発明において、上記収容部への上記液体の供給時に、上記移動蓋を所定の上方位置に保持するとともに、上記移動蓋の下方への移動を阻止する移動蓋ロック機構と、この移動蓋ロック機構によるロックを解除し、上記移動蓋の下方への移動を許容させる移動蓋ロック解除機構とを備えたことを特徴としている。
【0012】
このように構成した本発明は、移動蓋ロック機構を働かせて移動蓋を上方位置に保持させた状態において、収容部へ液体を安定して供給することができ、また、移動蓋ロック解除機構を働かせ、付勢手段によって移動蓋を下方へ移動させることにより、この移動蓋と容器本体の内壁を介して収容部に収容された液体を付勢手段の付勢力に応じて加圧することができる。
【0013】
また、本発明に係る加圧タンク装置は、上記発明において、上記容器本体は、上方に開口部を有し、底部側に上記液体を排出させる排出口を有するとともに、上記容器本体の上記開口部を覆い、上記容器本体に着脱可能に設けられる容器蓋と、上記容器本体の上記排出口に接続され、上記加圧手段で加圧された上記液体を所定の部位に供給する供給管とを備えたことを特徴としている。
【0014】
このように構成した本発明は、容器蓋を外すことにより、容器本体の開口部を介して加圧手段を容器本体の内部に容易に配置することができる。また、加圧手段で加圧された容器本体の液体を、供給管を介して所定の部位に導くことができる。
【0015】
また、本発明に係る加圧タンク装置は、上記発明において、エンジンが搭載される旋回体を有する建設機械に備えられ、上記液体が上記エンジンの燃料から成り、上記加圧タンクが上記旋回体上に配置される燃料タンクから成ることを特徴としている。
【0016】
このように構成した本発明は、設置領域に制約を受けやすい建設機械の旋回体上に、加圧手段を備えた当該燃料タンク装置を容易に配置することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る加圧タンク装置は、液体を収容する容器本体の内部に加圧手段を配置したことから、容器本体の外部に加圧手段の設置領域を確保しないで済み、設置領域を比較的小さくすることができる。これにより、従来よりも設置領域に対する制約を緩和させることができる。また、据付けに際しては、従来におけるような加圧手段の据付け作業等を要しないことから、簡単に据付けることができ、従来に比べて据付け作業の能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る加圧タンク装置の一実施形態が備えられる建設機械の一例として挙げたクローラ式油圧ショベルを示す側面図である。
【図2】本実施形態に係る加圧タンク装置の全体構成を示す図で、(a)図は要部を断面して示す側面図、(b)図は正面図である。
【図3】図2に示す本実施形態に備えられる開閉蓋部分を拡大して示した図で、(a)図は燃料を収容部に供給するときの開閉蓋の状態を示す図、(b)図は収容部に燃料が供給されたときの開閉蓋の状態を示す図である。
【図4】図2に示す本実施形態に備えられる移動蓋ロック機構、移動蓋ロック解除機構部分を拡大して示した図で、(a)図は収容部に燃料を供給するときの移動蓋ロック機構によるロック状態を示す図、(b)図は収容部に収容された燃料を加圧するときの移動蓋ロック解除機構によるロック解除状態を示す図である。
【図5】本実施形態に係る加圧タンク装置が備えられる建設機械の別の例として挙げたホイール式油圧ショベルを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る加圧タンク装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明に係る加圧タンク装置の一実施形態が備えられる建設機械の一例として挙げたクローラ式油圧ショベルを示す側面図である。
【0021】
本実施形態に係る加圧タンク装置は、建設機械、例えばクローラ式油圧ショベルに備えられる。このクローラ式油圧ショベルは、図1に示すように、履帯すなわちクローラ1aを有する走行体1と、この走行体1上に配置される旋回体2と、この旋回体2に上下方向の回動可能に取り付けられ、土砂の掘削作業等を行なうフロント作業機3とを備えている。旋回体2の前側位置には運転室4が備えられ、後側位置には重量バランスを確保するカウンタウエイト5が備えられている。運転室4とカウンタウエイト5との間にはエンジン室6が備えられている。本実施形態の対象とする加圧タンクは、例えばエンジン室6に配置される後述のエンジン35の燃料40が収容される燃料タンク7であり、同図1において、運転室4の裏側の位置に配置されている。
【0022】
図2は本実施形態に係る加圧タンク装置の全体構成を示す図で、(a)図は要部を断面して示す側面図、(b)図は正面図、図3は図2に示す本実施形態に備えられる開閉蓋部分を拡大して示した図で、(a)図は燃料を収容部に供給するときの開閉蓋の状態を示す図、(b)図は収容部に燃料が供給されたときの開閉蓋の状態を示す図、図4は図2に示す本実施形態に備えられる移動蓋ロック機構、移動蓋ロック解除機構部分を拡大して示した図で、(a)図は収容部に燃料を供給するときの移動蓋ロック機構によるロック状態を示す図、(b)図は収容部に収容された燃料を加圧するときの移動蓋ロック解除機構によるロック解除状態を示す図である。
【0023】
図2に示すように、本実施形態に係る燃料タンク7は、上方に開口部10aを有し、底部側、例えば底壁20に排出口33を有する容器本体10と、この容器本体10の開口部10aを覆い、容器本体10に着脱可能に設けられ、供給口12を有する容器蓋11とを備えている。容器本体10の排出口33には、エンジン35に燃料40を供給する供給管34を接続させてある。
【0024】
容器本体10の内部には隔壁14が立設されており、この隔壁14によって液体、すなわち燃料40が収容される収容部13が形成されている。この収容部13には、当該収容部13に収容された燃料40の上面に接触可能に設けられ、収容部13に収容された燃料40の減少に伴って下方に移動する例えば合成樹脂より成る移動蓋15と、この移動蓋15を下方に付勢する付勢手段、例えば上端が移動蓋15に連結され、下端が容器本体10の底壁20に連結されるばね21を配置してある。
【0025】
移動蓋15の側端部には、収容部13に収容された燃料40の漏れを防ぐシール部材16を一体的に設けてある。このシール部材16は移動蓋15とともに収容部13の側壁に摺接しながら移動するようになっている。また、図3にも示すように、移動蓋15には開口部17を形成してある。さらに、この移動蓋15に、開口部17を開閉可能な、例えば合成樹脂よりなる開閉蓋19を取り付けてある。この開閉蓋19は、移動蓋15の裏面に設けた回動軸18を中心に回動可能になっている。
【0026】
また、本実施形態は、容器本体10の収容部13への燃料40の供給時に、移動蓋15を所定の上方位置に保持するとともに、移動蓋15の下方への移動を阻止する移動蓋ロック機構と、この移動蓋ロック機構によるロックを解除し、移動蓋15の下方への移動を許容させる移動蓋ロック解除機構とを備えている。
【0027】
移動蓋ロック機構は、図2に示すように、容器本体10の内壁に固定され回動自在なプーリ24,25と、一端が移動蓋15に連結され、プーリ24,25に巻回されるワイヤ26と、容器本体10の上下方向に形成されたスリット22とを含んでいる。また、図4にも示すように、ワイヤ26の他端が連結され、容器本体10に形成されたスリット22に挿入されて、上下方向に移動可能なスライド部材23を含んでいる。また、容器本体10に固定された回動軸27を中心に回動可能に設けられ、スライド部材24の上方向への移動を阻止する係止部28aを有するロックレバー28と、回動軸27を挟んで係止部28aとは反対側に位置するロックレバー28の端部28bに設けた軸29に一端が連結され、他端が隔壁14に連結されて、ロックレバー28を図4の時計回りに付勢するばね30とを含んでいる。
【0028】
移動蓋ロック解除機構は、例えば容器本体10のスリット20の下方に位置する部分に形成された貫通穴32と、この貫通穴32に挿入されるロック解除ピン31とを含んでいる。ロック解除ピン31は、一方の端部がロックレバー28の端部28bに設けた軸29に相対的回動可能に連結される軸部31aと、この軸部31aの他方の端部に設けられ、容器本体10の外部に露出するつまみ部31bとを備えている。ばね30の力に抗してロック解除ピン31を容器本体10の外方に向って引くことにより、ロックレバー28が回動軸27を中心に反時計回りに回動し、ロックレバー28の係止部28aとスライド部材23との係合が解かれるようになっている。
【0029】
本実施形態は、容器本体10の収容部13に収容された燃料40を加圧する加圧手段を備えており、この加圧手段を容器本体10の内部に配置してある。この加圧手段は、容器本体10の内壁と移動蓋15とばね21とから成っている。
【0030】
このように構成した本実施形態にあって、燃料タンク7の容器本体10の内部に形成される収容部13に燃料40を供給する際には、図4の(a)図に示すように、スライド部材23を下方に移動させ、ロックレバー28の係止部28aによってスライド部材23を係止させることが行なわれる。これによって移動蓋15は、プーリ24,25に巻回されたワイヤ26を介して下方に移動しないように所定の上方位置に保持される。このとき、図3の(a)図に示すように、移動蓋15に設けた開閉蓋19は自重により下方に回動した状態となっており、移動蓋15の開口部17は開放された状態となる。
【0031】
この状態において、例えば燃料40を供給する図示しないパイプが容器蓋11の供給口12、移動蓋15の開口部17を介して収容部13に差し込まれ、収容部13内に図示しないパイプによって燃料40が供給される。
【0032】
このようにして、収容部13に燃料40が供給された後、図示しないパイプを容器蓋11の供給口12から引き戻し、図4の(a)図に示すロック解除ピン31のつまみ部31bを把持して、このロック解除ピン31をばね30の力に抗して引く動作が行なわれる。
【0033】
これによって、同図4の(b)図に示すように、ロックレバー28が反時計回りに回動し、このロックレバー28の係止部28aがスライド部材23から離脱する。これに伴って、スライド部材23には移動蓋15の自重及びばね21の力による引き上げ力がワイヤ26を介して与えられ、スリット22内を例えばわずかに上方へ移動する。この動作と同時に、移動蓋15は自重及びばね21の力によって収容部13に収容された燃料40の上面に接触して、ばね21の力に応じて燃料40を加圧する。この間、移動蓋15に取り付けられ、燃料40に接触した開閉蓋19は浮力によって図3の(a)図の反時計回りに回動し、図3の(b)図に示すように移動蓋15の開口部17を閉じる。
【0034】
このようにして加圧された容器本体10の収容部13に収容された燃料40は、底壁20に形成された排出口33を介して供給管34に流出し、この供給管34を介してエンジン35に供給される。これによってエンジン5が駆動し、このエンジン35によって図示しない油圧ポンプが駆動する。したがって、この図示しない油圧ポンプから吐出される圧油によって、走行体1、旋回体2、及びフロント作業機3に係る各油圧アクチュエータを作動させて、所望の作業を実施することができる。
【0035】
このように構成した本実施形態によれば、燃料タンク7の容器本体10の収容部13に収容された燃料40を加圧する加圧手段が、容器本体10の内部に配置されるので、容器本体10の外部に加圧手段の設置領域を確保しないで済む。これにより、設置領域を小さくすることができ、設置領域に対する制約を緩和させることができる。また、据付けに際しては、加圧手段を据付ける作業等が不要になり、容器本体10の据付け作業を実施するだけで済む。したがって、簡単に据付けることができ、据付け作業の能率を向上させることができる。
【0036】
また、ばね21によって移動蓋15を下方に引っ張り、移動蓋15を下方に移動させるようにしたことから、移動蓋15と容器本体10の内壁とを介して、収容部13に収容された燃料40をばね21の力に応じて加圧し、この燃料40を圧送可能とすることができる。したがって、ばね21の力を適宜選定することにより、燃料40の圧力を所望の値に調整することができる。このように燃料タンク7が燃料を圧送する機能を有するので、電磁式の燃料ポンプ等の別の燃料供給手段を必要としない。
【0037】
また、収容部13に収容された燃料40の上面は、ばね21によって引っ張り力が与えられ下方に付勢される移動蓋15に常時接触することから、本実施形態が備えられる油圧ショベルが例えば傾斜地において作業し、燃料タンク7が傾くことがあっても、移動蓋15と、収容部13を形成する容器本体10の底壁20とを互いに平行な状態に維持できる。すなわち、収容部13に収容された燃料40が常時、容器本体10の底壁20に形成した排出口33に臨む状態に保つことができる。これにより、燃料タンクが傾く状態にあって収容部13内の燃料が少なくなったときでも、底壁20の排出口33が収容部13内で露出して供給管34に燃料40を流出させられなくなる事態を生じることがない。したがって、このような状況にあっても排出口33から供給管34に燃料40を安定して流出させることができる。
【0038】
また、移動蓋ロック機構を働かせて移動蓋15を上方に保持させた状態で、容器本体10の収容部13に燃料40を供給するようにしたことから、収容部13に燃料40を安定して供給することができる。
【0039】
また、容器蓋11を容器本体10に対して離脱可能に設けたことから、容器蓋11を容器本体10から取り外し、開口部10aを開放状態に保つことにより、開口部10aを介して加圧手段、移動蓋ロック機構、移動蓋ロック解除機構のそれぞれを、容器本体10の内部に容易に配置することができる。
【0040】
特に、図1に示すクローラ式油圧ショベルの旋回体2上には、各種の油圧機器、これらの油圧機器を接続する配管系統が密集して配置され、設置領域に制約を受けやすいが、このように設置領域に制約を受けやすい場合であっても、本実施形態では上述したように加圧手段を備えた燃料タンク7を、旋回体2上に容易に配置することができる。
【0041】
図5は本実施形態に係る加圧タンク装置が備えられる建設機械の別の例として挙げたホイール式油圧ショベルを示す側面図である。
【0042】
この図5に示すホイール式油圧ショベルは、タイヤ51aを有する走行体51と、この走行体51上に配置される旋回体52と、この旋回体52に上下方向の回動可能に取り付けられ、土砂の掘削作業等を行なうフロント作業機53とを備えている。旋回体52の前側位置には運転室54が備えられ、後側位置にはカウンタウエイト55が備えられ、運転室54とカウンタウエイト55との間にはエンジン室56が備えられている。エンジン室56の前側の位置に、本実施形態に係る燃料タンク56が配置されている。本実施形態は、この図5に示すようにホイール式油圧ショベルにも設置することができる。また、エンジンを有する油圧ショベルとは異なる他の建設機械にも設置が可能である。
【0043】
なお、上記実施形態では、加圧手段を構成するばね21が移動蓋15の下方に設けられ、移動蓋15を下方に引っ張るものから成っているが、このようなばね21に代えて、移動蓋15の上方に配置され、移動蓋15を下方に向って押圧するばねを設けてもよい。
【0044】
また上記では、付勢手段としてばね21を設けたが、このようなばね21を備えずに、付勢手段を、例えば重量の重い鉄板等で形成した移動蓋15自体によって構成してもよく、あるいは移動蓋15の上に載置される重りによって構成するようにしてもよい。これらのように構成したものも、収容部13に収容された燃料40を加圧することができる。
【0045】
また上記では、加圧タンクとして燃料タンク7を挙げたが、本発明に係る加圧タンクは燃料タンク7に限定されない。加圧タンクが、作動油を収容する作動油タンクから成るものであってもよく、また、水を収容する給水タンクから成るものであってもよく、また、薬液を収容する薬液タンクから成るものであってもよい。要するに、加圧される液体を収容可能なタンクであって、タンク内の液体を所定の部位に供給可能とするものであれば本発明の対象となり得る。
【0046】
また上記では、油圧ショベルに備えられる燃料タンク7、すなわち加圧タンクを挙げたが、このような加圧タンクが油圧ショベル等の建設機械とは異なる装置に備えられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 走行体
2 旋回体
3 フロント作業機
7 燃料タンク(加圧タンク)
10 容器本体(加圧手段)
10a 開口部
11 容器蓋
12 供給口
13 収容部
14 隔壁
15 移動蓋(加圧手段)
17 開口部
19 開閉蓋
20 底壁
21 ばね(加圧手段)
28 ロックレバー(移動蓋ロック機構)
30 ばね(移動蓋ロック機構)
31 ロック解除ピン(移動蓋ロック解除機構)
32 貫通穴(移動蓋ロック解除機構)
33 排出口
34 供給管
35 エンジン
40 燃料(液体)
51 走行体
52 旋回体
53 フロント作業機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器本体と、この容器本体に収容された液体を加圧する加圧手段とを備えた加圧タンク装置において、
上記容器本体の内部に上記加圧手段を配置したことを特徴とする加圧タンク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加圧タンク装置において、
上記容器本体の内部に立設される隔壁によって形成され、上記液体が収容される収容部と、この収容部に収容された上記液体の上面に接触可能に設けられ、上記収容部に収容された上記液体の減少に伴って下方向に移動する移動蓋と、この移動蓋を下方に付勢する付勢手段とを備え、
上記加圧手段は、上記容器本体の内壁と上記移動蓋と上記付勢手段とから成ることを特徴とする加圧タンク装置。
【請求項3】
請求項2に記載の加圧タンク装置において、
上記収容部への上記液体の供給時に、上記移動蓋を所定の上方位置に保持するとともに、上記移動蓋の下方への移動を阻止する移動蓋ロック機構と、
この移動蓋ロック機構によるロックを解除し、上記移動蓋の下方への移動を許容させる移動蓋ロック解除機構とを備えたことを特徴とする加圧タンク装置。
【請求項4】
請求項1に記載の加圧タンク装置において、
上記容器本体は、上方に開口部を有し、底部側に上記液体を排出させる排出口を有するとともに、
上記容器本体の上記開口部を覆い、上記容器本体に着脱可能に設けられる容器蓋と、
上記容器本体の上記排出口に接続され、上記加圧手段で加圧された上記液体を所定の部位に供給する供給管とを備えたことを特徴とする加圧タンク装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の加圧タンク装置において、
エンジンが搭載される旋回体を有する建設機械に備えられ、
上記液体が上記エンジンの燃料から成り、
上記加圧タンクが上記旋回体上に配置される燃料タンクから成ることを特徴とする加圧タンク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−42286(P2011−42286A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192433(P2009−192433)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】