説明

加工装置

【課題】連続する帯状のワークを所定の走行経路に沿って走行させるなかで、前記ワークを間欠的に停止させて加工処理を行う加工装置において、前記ワークの間欠的な停止に伴って生じ得る前記ワークの張力変動を有効に抑制する。
【解決手段】連続する帯状のワーク1を複数の搬送ロール31,32に掛け回して前記ワーク1の走行経路PLを形成することにより前記ワーク1を搬送するワーク搬送部30において、前記ワーク1を、往復移動可能に案内された第1移動体34aと、第2移動体34bと、前記ワーク1の蓄積量の増減動作を連動して移動させる連動部34と、前記搬送ロール31,32、前記第1移動体34a、及び、前記第2移動体34bに掛け回された無端環状体37aを間欠的に停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続する帯状のワークを所定の走行経路に沿って走行させるなかで、前記ワークを間欠的に停止させて加工処理を行う加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ等の生産ライン5には、図1に示すように、複数の加工ポジションP1,P2,…が水平方向の前後に沿って整列配置されている。そして、連続する帯状ワーク1の形態でおむつの半製品が連続搬送される過程において、各加工ポジションP1,P2,…では各種加工処理が施され、これにより完成品へと仕上げられる。
【0003】
ここで、上記加工ポジションP1,P2,…のうちの一つにおいてプレス加工を行う場合には、プレス金型による型押し動作の度に、帯状ワーク1の搬送を間欠的に停止することになるが、当該停止の影響は、その直近上下流の加工ポジションでの搬送にも及んでしまい、つまり、これら直近の加工ポジションでも帯状ワーク1を一時停止せざるを得なくなる。
【0004】
この点につき、特許文献1に開示された加工装置90によれば、当該加工装置90の上下流の位置では帯状ワーク1の搬送を止めずに、当該加工装置90の搬送のみを間欠停止させることができる。
【0005】
すなわち、この加工装置90は、図2に示すように、セパレーター93により前後に間隔を隔てつつ連結された一対のロール91a,91bからなるロール対91を有し、当該ロール対91に帯状ワーク1が掛け回されて前記帯状ワーク1の走行経路が形成されている。そして、このロール対91が、帯状ワーク1の走行速度Vtと同じ速度で逆向きに移動することにより、この移動速度Vmと前記走行速度Vtとを相殺させて、前記ロール91a,91b同士の間の位置に擬似的に前記帯状ワーク1の停止状態を作り出し、この停止状態の間に加工処理部95にて加工処理を行うようにしている。
【特許文献1】特許第3452577号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
但し、この停止状態は、帯状ワーク1を物理的に停止するものではない。このため、例えば移動速度Vmと走行速度Vtとの同期不良によって、帯状ワーク1が微妙に動いてしまう場合があって、その結果、帯状ワーク1の加工位置が目標位置からずれてしまう可能性がある。
【0007】
ここで、この問題を解決する加工装置として、図3の側面図に示すような装置100が考えられる。この加工装置100は、帯状ワーク1の走行経路PLを形成する複数の搬送ロール31a,31b,32a,32bを有し、この走行経路PL内に設定された加工ポジションPnを前後に跨るように、シーソー部材34が配置されている。そして、シーソー部材34の前後両端のロール34a,34bには、帯状ワーク1が掛け回されており、シーソー部材34の揺動動作によって加工ポジションPnの前後に帯状ワーク1のループ1a,1bを形成して帯状ワーク1を蓄積可能になっている。また、加工ポジションPnとシーソー部材34のロール34aとの間の搬送ロール31bは、サーボモーター等により駆動回転するドライブロール31bであり、当該ドライブロール31bは帯状ワーク1と当接して設けられている。
【0008】
よって、この加工装置100によれば、当該ドライブロール31bを停止することにより、加工ポジションPnでの帯状ワーク1の物理的な停止状態を確実に確保することができる。
【0009】
また、当該停止の際には、上流側の加工ポジションPn−1から加工装置100へと送り込まれる帯状ワーク1は、図3の2点鎖線で示すシーソー部材34のシーソー動作により上流側のループ1aが大きくなることによって蓄積される一方、加工装置100から下流側の加工ポジションPn+1へと送り出されるべき加工処理済みの帯状ワーク1は、同じく前記シーソー動作により下流側のループ1bが小さくなることによって払い出され、これをもって、当該加工装置100における帯状ワーク1の停止の影響が、その直近上下流の加工ポジションPn−1,Pn+1での搬送に及ばないようにしている。
【0010】
しかし、このシーソー部材34は、帯状ワーク1から力を付与されて上下揺動する従動部材であり、また、搬送ロール32aも帯状ワーク1から回転力が付与されて回転する従動ロールである。よって、帯状ワーク1の停止の際には、シーソー部材34のロール34bが帯状ワーク1に引き上げられて上昇を開始するが、その際には、例えばシーソー部材34の揺動動作のイナーシャ(慣性)が帯状ワーク1に作用して、帯状ワーク1に大きな張力変動が生じてしまう。更には、この停止時には、帯状ワーク1によって連れ回っていた搬送ロール32aが停止するために、当該搬送ロール32aの回転動作のイナーシャが帯状ワーク1に作用して、これによっても、帯状ワーク1に張力変動が生じてしまう。
【0011】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、連続する帯状のワークを所定の走行経路に沿って走行させるなかで、前記ワークを間欠的に停止させて加工処理を行う加工装置において、前記ワークの間欠的な停止に伴って生じ得る前記ワークの張力変動を有効に抑制可能な加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための主たる発明は、
連続する帯状のワークを複数の搬送ロールに掛け回して前記ワークの走行経路を形成することにより前記ワークを搬送するワーク搬送部と、
前記走行経路内に設けられ、前記ワークが間欠的に停止している間に加工処理を行う加工処理部と、を備えた加工装置であって、
前記ワーク搬送部は、
前記加工処理部よりも前記走行経路内の上流側に設けられ、上流から搬送される前記ワークを、往復移動可能に案内された第1移動体に掛け回すことにより蓄積可能な入側バッファー機構と、
前記加工処理部よりも前記走行経路内の下流側に設けられ、下流へ搬送すべき前記加工処理済みのワークを、往復移動可能に案内された第2移動体に掛け回すことにより蓄積可能な出側バッファー機構と、
前記ワークの蓄積量の増減動作が、前記入側バッファー機構と前記出側バッファー機構とで互いに逆動作となるようにしつつ、互いの前記ワークの蓄積量の変化量が等しくなるように、前記1移動体と前記第2移動体とを連動して移動させる連動部と、
前記入側バッファー機構を通過した前記ワークに当接して前記ワークを間欠的に停止する停止動作及び前記加工処理部へ送り出す送り出し動作を繰り返す間欠送り出し部と、
前記走行経路において前記ワークに沿うように、前記搬送ロール、前記第1移動体、及び、前記第2移動体に掛け回された無端環状体と、
前記無端環状体を周回駆動することにより、前記搬送ロールに回転力を付与するとともに、前記第1移動体及び前記第2移動体に前記往復移動の移動力を付与する第1駆動ロールと、を備え、
前記無端環状体が前記走行経路と沿う範囲において前記無端環状体が前記ワークと同じ走行動作及び蓄積動作をするように、前記第1駆動ロールは前記無端環状体を所定速度で連続して周回駆動するとともに、前記間欠送り出し部は、前記ワークの前記停止動作に合わせて、前記無端環状体を間欠的に停止することを特徴とする加工装置である。
【0013】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、連続する帯状のワークを所定の走行経路に沿って走行させるなかで、前記ワークを間欠的に停止させて加工処理を行う加工装置において、前記ワークの間欠的な停止に伴って生じ得る前記ワークの張力変動を有効に抑制可能な加工装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0016】
連続する帯状のワークを複数の搬送ロールに掛け回して前記ワークの走行経路を形成することにより前記ワークを搬送するワーク搬送部と、
前記走行経路内に設けられ、前記ワークが間欠的に停止している間に加工処理を行う加工処理部と、を備えた加工装置であって、
前記ワーク搬送部は、
前記加工処理部よりも前記走行経路内の上流側に設けられ、上流から搬送される前記ワークを、往復移動可能に案内された第1移動体に掛け回すことにより蓄積可能な入側バッファー機構と、
前記加工処理部よりも前記走行経路内の下流側に設けられ、下流へ搬送すべき前記加工処理済みのワークを、往復移動可能に案内された第2移動体に掛け回すことにより蓄積可能な出側バッファー機構と、
前記ワークの蓄積量の増減動作が、前記入側バッファー機構と前記出側バッファー機構とで互いに逆動作となるようにしつつ、互いの前記ワークの蓄積量の変化量が等しくなるように、前記1移動体と前記第2移動体とを連動して移動させる連動部と、
前記入側バッファー機構を通過した前記ワークに当接して前記ワークを間欠的に停止する停止動作及び前記加工処理部へ送り出す送り出し動作を繰り返す間欠送り出し部と、
前記走行経路において前記ワークに沿うように、前記搬送ロール、前記第1移動体、及び、前記第2移動体に掛け回された無端環状体と、
前記無端環状体を周回駆動することにより、前記搬送ロールに回転力を付与するとともに、前記第1移動体及び前記第2移動体に前記往復移動の移動力を付与する第1駆動ロールと、を備え、
前記無端環状体が前記走行経路と沿う範囲において前記無端環状体が前記ワークと同じ走行動作及び蓄積動作をするように、前記第1駆動ロールは前記無端環状体を所定速度で連続して周回駆動するとともに、前記間欠送り出し部は、前記ワークの前記停止動作に合わせて、前記無端環状体を間欠的に停止することを特徴とする加工装置。
【0017】
このような加工装置によれば、前記無端環状体を周回駆動することにより、前記搬送ロールに回転力を付与するとともに、前記第1移動体及び前記第2移動体に前記往復移動の移動力を付与するので、搬送ロールの回転動作に係るイナーシャや、第1移動体及び第2移動体の移動動作に係るイナーシャのワークへの作用が軽減されて、その結果、ワークの張力変動を抑制可能となる。
【0018】
また、前記第1駆動ロール及び前記間欠送り出し部によって、無端環状体は、ワークと沿う範囲においてワークと同じ走行動作及び蓄積動作をする。よって、任意のタイミングでワークに作用し得る搬送ロールの回転動作に係るイナーシャや、第1及び第2移動体の移動動作に係るイナーシャを、ワークの代わりに確実に受けることができて、その結果、ワークの張力変動を有効に抑制可能となる。
【0019】
ちなみに、上記加工装置が加工処理を行うべく、間欠送り出し部が加工処理部のワークを停止した際には、この加工装置の上流から送り込まれるワークは、入側バッファー機構によって蓄積される一方、出側バッファー機構からは、蓄積されていた加工処理済のワークが加工装置の下流へと払い出される。従って、当該加工装置でのワークの停止の影響が、その直近上下流の加工ポジションでのワークの搬送に及ぶことは有効に防止される。
【0020】
また、間欠送り出し部がワークと当接してワークを停止するので、当該ワークは物理的に制動され、もって、ワークの加工処理の目標位置に対して高い精度で加工処理を施すことができる。
【0021】
更には、前記連動部を備えているので、ワークの蓄積量の増減動作は、入側バッファー機構と出側バッファー機構とで互いに逆動作となるようにしつつ、互いのワークの蓄積量の変化量が等しくなるように行われる。よって、ワークの停止時及び当該停止の解除時の何れにおいても、ワークの張力を概ね一定に維持可能となる。
【0022】
かかる加工装置であって、
前記入側バッファー機構の前記第1移動体は、従動回転するロールであり、
前記出側バッファー機構の前記第2移動体は、従動回転するロールであり、
これらロールは、前記無端環状体の周回駆動によって回転力を付与されて回転するのが望ましい。
このような加工装置によれば、第1移動体及び第2移動体に掛け回されたワークは、第1移動体及び第2移動体たる前記ロールの従動回転によって円滑に搬送される。
【0023】
また、前記ロールは、無端環状体の周回駆動によって回転力を付与されて回転するので、これらロールの回転動作のイナーシャがワークに作用するのを有効に防ぐことができて、その結果、ワークの張力変動を有効に抑制可能となる。
【0024】
かかる加工装置であって、
所定の軸周りに揺動するシーソー部材を前記連動部として備え、
前記シーソー部材に前記第1移動体及び前記第2移動体が設けられており、
前記軸は、前記第1移動体の設置位置と前記第2移動体の設置位置との中点に位置していて、前記シーソー部材の揺動動作によって、前記第1移動体及び前記第2移動体は、往復移動するのが望ましい。
このような加工装置によれば、前記連動部としてシーソー部材を用いている。よって、ワークの蓄積量の増減動作が、入側バッファー機構と出側バッファー機構とで互いに逆動作となるようにしつつ、互いの前記ワークの蓄積量の変化量を等しくすることを容易に達成可能となる。
【0025】
かかる加工装置であって、
前記シーソー部材は、前記ワークをつづら折り状に掛け回すべく前記第1移動体を複数有しているとともに、前記加工処理済みのワークをつづら折り状に掛け回すべく前記第2移動体を複数有しているのが望ましい。
このような加工装置によれば、ワークをつづら折り状に掛け回さない場合、つまり第1移動体及び第2移動体をそれぞれ1個ずつ有している場合と比較して、前記シーソー部材の揺動ストローク量を縮小できるので、その揺動動作の低速化を通じて反転時の衝撃を軽減可能となる。
【0026】
かかる加工装置であって、
前記無端環状体に係る前記所定速度は、前記第1駆動ロールとの当接位置における速度であり、
前記所定速度は、前記入側バッファー機構よりも上流側におけるワークの走行速度、又は、前記出側バッファー機構よりも下流側における前記加工処理済みのワークの走行速度と等しいのが望ましい。
このような加工装置によれば、無端環状体の走行動作をワークの走行動作に一致させることができる。よって、ワークの停止動作や送り出し動作に伴ってワークに作用し得る搬送ロールや第1移動体及び第2移動体のイナーシャを、ワークの代わりに無端環状体が確実に受けることができて、その結果、ワークの張力変動を有効に抑制可能となる。
【0027】
かかる加工装置であって、
前記間欠送り出し部は、前記入側バッファー機構からの前記ワークを外周面に巻き付けながら駆動回転することにより、前記ワークを前記加工処理部へ搬送する第2駆動ロールであり、
前記第2駆動ロールに前記無端環状体が巻き付けられているのが望ましい。
このような加工装置によれば、ワークは第2駆動ロールに巻き付いていて、当該第2駆動ロールの駆動回転によって搬送される。よって、当該第2駆動ロールの停止により、ワークを確実に制動できて、その結果、ワークを確実に停止状態にすることができる。
【0028】
また、間欠送り出し部をなす前記第2駆動ロールに無端環状体が巻き付けられているので、ワークの停止動作に同期させて無端環状体を停止したり、ワークの送り出し動作に同期させて無端環状体を送り出したりすることができる。つまり、ワークの走行動作と無端環状体の走行動作との同期性を高めることができる。よって、停止動作や送り出し動作に伴ってワークに作用し得る搬送ロールのイナーシャや第1、第2移動体のイナーシャを、ワークの代わりに無端環状体が確実に受けることができて、その結果、ワークの張力変動を有効に抑制可能となる。
【0029】
かかる加工装置であって、
前記ワークの前記停止動作の解除時には、前記間欠送り出し部によって、前記出側バッファー機構の蓄積量の増加動作及び前記入側バッファー機構の蓄積量の減少動作が併行して行われ、
前記増加動作及び前記減少動作は、前記入側バッファー機構と前記出側バッファー機構との間における前記ワークの走行速度を、前記入側バッファー機構よりも上流側におけるワークの走行速度、及び、前記出側バッファー機構よりも下流側における前記加工処理済みのワークの走行速度よりも速くすることで行われるのが望ましい。
このような加工装置によれば、次回のワークの停止動作に確実に備えることができる。すなわち、出側バッファー機構に加工処理済みのワークを蓄積して、下流側へ払い出し可能な状態に戻すことができるともに、入側バッファー機構に蓄積されたワークを払い出して、上流側から送り込まれるワークを蓄積可能な状態に戻すことができる。
【0030】
===第1実施形態===
図4A及び図4Bは、第1実施形態の加工装置10の側面図である。なお、図の錯綜を防ぐべく、図4Aには、加工装置10の一構成要素である張力変動抑制機構37を取り外して示している一方、逆に、図4Bでは張力変動抑制機構37を示す代わりに、帯状ワーク1を取り外して示している。
【0031】
また、以下では、図4Aに示すように、鉛直方向を上下方向とも言い、鉛直方向と直交する水平方向を前後方向とも言う。ちなみに、前後方向の前方が帯状ワーク1の搬送方向の下流側であり、後方が同上流側である。また、加工装置10の上流側を入側とも言い、同下流側を出側とも言う。
【0032】
第1実施形態に係る加工装置10は、図1の連続生産ライン5が具備する複数の加工ポジションP1,P2,…のうちの1つの加工ポジションPnに組み込まれている。そして、図4Aに示すように、帯状ワーク1は、直近上流の加工ポジションPn−1から入側搬送速度Vinで加工装置10へと引き込まれる一方、加工装置10での所定の加工処理後に、出側搬送速度Voutで直近下流の加工ポジションPn+1へと引き出される。
【0033】
ここで、マスフロー一定の原則に基づけば、基本的に加工装置10の入側搬送速度Vinと出側搬送速度Voutとは互いに等速になるはずであるが、帯状ワーク1が不織布等の伸縮性素材の場合には、その伸縮変形に基づいて入側搬送速度Vinと出側搬送速度Voutとが互いに相違する場合もあり得て、例えば入側搬送速度Vinが出側搬送速度Voutの95〜105%の範囲になることもある。但し、以下では、入側搬送速度Vinと出側搬送速度Voutとは、互いに等しく基準速度V0になるように制御されている前提で説明する。
【0034】
ところで、この加工装置10が担当する加工処理は、例えばプレス加工である。よって、このプレス加工時には帯状ワーク1の搬送を間欠停止する必要があるが、この加工装置10においては、その間欠停止によらずに、前記入側搬送速度Vin及び前記出側搬送速度Voutをほぼ前記基準速度V0に一定に維持できるように工夫されている。つまり、この加工装置10では、その直近上下流の加工ポジションPn−1,Pn+1での帯状ワーク1の搬送を一切止めずに連続搬送しながら、加工装置10のみを間欠搬送可能になっている。以下、この加工装置10について詳細に説明する。
【0035】
この加工装置10は、図4Aに示すように、連続する帯状ワーク1を複数の搬送ロール31,32に掛け回して前記帯状ワーク1の走行経路PLを形成することにより帯状ワーク1を搬送するワーク搬送部としての間欠搬送装置30と、前記走行経路PL内に設けられ、帯状ワーク1が間欠的に停止している間に加工処理を行う加工処理部としてのプレス装置20と、これらプレス装置20や間欠搬送装置30の状態を検出するセンサー群41,42,43と、センサー群41,42,43の検出結果に基づいて、プレス装置20と間欠搬送装置30とを連携させて制御するコントローラー(不図示)と、を有している。
【0036】
<<<プレス装置20>>>
図4Aに示すように、プレス装置20は、例えば、鉛直方向の上下に昇降駆動可能な雄金型21aと、雄金型21aの下方に対向配置された雌金型21bとを有する。また、これら雄雌金型21a,21b同士の上下方向の間には、帯状ワーク1の走行経路として略水平なパスラインPLが設定されている。よって、当該パスラインPLに沿って、帯状ワーク1の加工対象部位が水平方向に搬送された後、当該搬送が間欠停止している間に前記雄金型21aが雌金型21bの方へ下降して帯状ワーク1の加工対象部位を挟圧することによりプレス加工が施される。そして、雄金型21aが上昇してプレス動作が終了したら、帯状ワーク1の搬送動作が再開され、帯状ワーク1の次の加工対象部位が雄金型21aの下方に移動して停止するまでプレス装置20は待機する。なお、ここでは、雄金型21aの昇降動作の駆動源として油圧シリンダー(不図示)が用いられているが、これに限らない。
【0037】
<<<間欠搬送装置30>>>
図4A及び図4Bに示すように、間欠搬送装置30は、プレス装置20に対して帯状ワーク1のパスラインPLを形成する複数の搬送ロールとしてのパスラインロール群31,32と、プレス装置20よりもパスラインPL内の上流側に設けられ、帯状ワーク1を鉛直方向の下に凸のループ状に張った状態で蓄積可能な入側バッファー機構34aと、プレス装置20よりもパスラインPL内の下流側に設けられ、プレス加工済みの帯状ワーク1を鉛直方向の下に凸のループ状に張った状態で蓄積可能な出側バッファー機構34bと、これら入側バッファー機構34a及び出側バッファー機構34bを互いに連動して動作させるための連動部としてのシーソー部材34と、帯状ワーク1の張力変動を抑制するための張力変動抑制機構37と、を有している。
【0038】
パスラインロール群31,32は、図4Aに示すように、例えば、プレス装置20の上流側に互いに同高に配置された一対のパスラインロール31a,31bと、プレス装置20の下流側に互いに同高に配置された一対のパスラインロール32a,32bとから主に構成される。そして、これらパスラインロール31a,31b,32a,32bに帯状ワーク1が掛け回されて支持されることにより、帯状ワーク1のパスラインPLが、水平方向の前後にプレス装置20を跨いで形成されている。
【0039】
ここで、プレス装置20の直近上流のパスラインロール31b(以下ではドライブロール31bとも言う)には、サーボモーター等の駆動源が直結されており、当該パスラインロール31bだけは駆動回転する駆動ロールとして構成されている。よって、プレス装置20内における帯状ワーク1の搬送状態は、当該ドライブロール31b(間欠送り出し部及び第2駆動ロールに相当)の回転数制御によって制御される。例えば、このドライブロール31bが回転すれば、プレス装置20内の帯状ワーク1は搬送される一方、ドライブロール31bが停止すれば、プレス装置20内の帯状ワーク1の搬送も停止する。そして、この加工装置10によれば、この物理的な搬送停止下において上記のプレス加工が行われるので、帯状ワーク1上の目標位置に正確にプレス加工を施すことができる。
【0040】
なお、このドライブロール31bの外周面には、当該ドライブロール31bと平行な回転軸周りに従動回転する押し付けロール31cが所定の押し付け圧力で押し付けられている。そして、このドライブロール31bと押し付けロール31cとの間に挟まれて帯状ワーク1はドライブロール31bとの相対滑り無く搬送される。よって、ドライブロール31bによる帯状ワーク1の搬送動作の応答性が高められ、その結果、帯状ワーク1の停止位置精度の向上が図られている。
【0041】
入側バッファー機構34a及び出側バッファー機構34bは、図4Aに示すように、前記シーソー部材34の前後両端部に従動回転可能に支持された一対のロール34a,34bである(第1移動体及び第2移動体に相当)。ここで、これらロール34a,34bは互いに同径同重量のロールであり、そして、これらロール34a,34bが取り付けられた状態において、前記シーソー部材34は、ロール34a,34b同士の中間に位置する前記揺動中心軸34c周りに正逆回転自在な釣り合い状態となっている。
【0042】
また、各ロール34a,34bは、それぞれに、前記一対のパスラインロール31a,31b同士の間の位置、及び、前記一対のパスラインロール32a,32b同士の間の位置に配置されていて、これにより、各ロール34a,34bには、それぞれに、前記一対のパスラインロール31a,31bの間に掛け渡された帯状ワーク1の部分1a、及び、前記一対のパスラインロール32a,32bの間に掛け渡された帯状ワーク1の部分1bが、各ロール32a,32bの下方から掛け回されている。
【0043】
よって、シーソー部材34が揺動すると、下降した方のロール34b(34a)が形成する帯状ワーク1のループ量(蓄積量)は増加して帯状ワーク1が蓄積される一方、逆に、上昇した方のロール34a(34b)が形成する帯状ワーク1のループ量(蓄積量)は減少して帯状ワーク1が払い出され、つまり、常に、入側バッファー機構のロール34aと出側バッファー機構のロール34bとは互いに逆動作の関係で動作する。その結果、常に、これらロール34a,34bが形成するループ1a,1bの長さの合算値は一定に維持され、もって、帯状ワーク1の張力をほぼ一定に維持しつつ、加工装置10の入側搬送速度Vinと出側搬送速度Voutとの同期を確実に取ることができる。
【0044】
これについて詳しく説明する。先ず、初期状態を、図4Aに実線で示すように出側バッファー機構のロール34bにループ1bが大きく蓄積され、入側バッファー機構のロール34aにはループ1aがほぼ無い状態とする。そして、この状態において、プレス装置20内の帯状ワーク1の搬送を間欠停止すべく前記ドライブロール31bの回転が前記サーボモーターにより停止しても、当該停止に拘わらず下流の加工ポジションPn+1へは帯状ワーク1を出側搬送速度Voutで送らねばならないが、その場合には、図5A乃至図5Cに示すように、帯状ワーク1の張力等により出側バッファー機構のロール34b(以下、出側ロール34bとも言う)が上に持ち上げられ、これにより、出側バッファー機構34bのループ1bから帯状ワーク1が払い出される。よって、前記ドライブロール31bの停止に拘わらず帯状ワーク1を基準速度V0と同速の搬送速度Voutで送り出すことができる。
【0045】
一方、この時には、図5A乃至図5Cに示すように、上限位置にある入側バッファー機構のロール34a(以下、入側ロール34aとも言う)は下降して、上流の加工ポジションPn−1から搬送される帯状ワーク1を下に引っ張りながら下に凸のループ状に蓄積するが、ここで、この入側ロール34aも、上記の出側ロール34bと同様にシーソー部材34に設けられている。よって、入側ロール34aの下降動作は、上述した出側ロール34aの上昇動作から動作遅れすること無く同時並行的にその逆動作として行われ、つまり、入側ロール34aは、前記出側ロール34bの上昇速度と同じ速さで下降するとともに、その下降量は、同ロール34bの上昇量と同じである。よって、この入側バッファー機構のロール34aに蓄積される帯状ワーク1の量は、出側バッファー機構のロール34bから払い出される帯状ワーク1の量と同量になり、その結果として、入側搬送速度Vinと出側搬送速度Voutとをほぼ等しくすることができる、つまり、入側搬送速度Vinと出側搬送速度Voutとの同期を確実に取ることができる。
【0046】
なお、この間欠停止状態を解除したら、ドライブロール31bの回転が再開されて、これにより、次の間欠停止の位置に達するまでプレス装置20内の帯状ワーク1の搬送が行われる。但し、その搬送中には、次の間欠停止への準備として、シーソー部材34を、図5Cの状態から図5Aの初期状態へ戻しておく必要があるが、当該初期状態への復帰は、この間欠搬送時のプレス装置20内の帯状ワーク1の搬送速度Vの設定によって行われる。
【0047】
すなわち、間欠停止が解除されると、図6Aに示すように、前記ドライブロール31bが回転を再開するが、その際の回転速度Vは、入側搬送速度Vin及び出側搬送速度Voutよりも高く設定される。すると、図6A乃至図6Cに示すように、プレス装置20内の帯状ワーク1は、入側搬送速度Vin及び出側搬送速度Voutよりも速い速度Vで搬送されるので、入側搬送速度Vinで入側ロール34aに供給される帯状ワーク1の量よりも、入側ロール34aから払い出される帯状ワーク1の量の方が多くなって足りなくなり、もって、入側ロール34aのループ量は減少し入側ロール34aは下限位置から上限位置へと上昇する。他方、上限位置にある出側ロール34bからは、搬送速度Voutで帯状ワーク1が払い出されるが、出側ロール34bには前記搬送速度Voutよりも速い速度Vで帯状ワーク1が供給されるので帯状ワーク1が余ることになり、もって、出側ロール34bのループ量は増加し、出側ロール34bは上限位置から下限位置へと下降する。すなわち、入側ロール34aが上昇し出側ロール34bが下降するというシーソー動作をシーソー部材34は行って、これにより、シーソー部材34は上述の初期状態へと復帰される。
【0048】
張力変動抑制機構37は、上記シーソー動作等に起因した帯状ワーク1の張力変動を抑制する目的で設けられている。すなわち、このプレス装置20において、加工処理のインターバルが短くなって加工処理が短ピッチで行われるようになると、シーソー部材34の揺動周期も短くなる。すると、シーソー部材34の揺動動作に係るイナーシャや、従動回転するパスラインロール31a,32a,32bの回転動作に係るイナーシャの帯状ワーク1への影響が無視できなくなって帯状ワーク1に張力変動を来してしまう。
【0049】
例えば、帯状ワーク1の停止の際には、図5A及び図5Bに示すように、シーソー部材34の出側ロール34bが帯状ワーク1に引き上げられて上昇を開始するが、その際には、シーソー部材34の揺動動作のイナーシャが帯状ワーク1に作用して、これが、帯状ワーク1の張力変動となる。また、同じく帯状ワーク1の停止時には、帯状ワーク1によって連れ回っていたパスラインロール32aが停止するために(図5Aを参照)、当該パスラインロール32aの回転動作のイナーシャが帯状ワーク1に作用し、これによっても帯状ワーク1に張力変動が生じてしまう。そして、このような張力変動は、帯状ワーク1の停止位置精度を悪化させてしまい、ひいては、帯状ワーク1の加工位置が目標位置からずれてしまう虞がある。
【0050】
そのため、この加工装置10は、図4Bに示すように、シーソー部材34の揺動動作等に係るイナーシャやパスラインロール31a,32a,32bの回転動作に係るイナーシャを帯状ワーク1の代わりに受けるべく張力変動抑制機構37を備えている。
【0051】
この張力変動抑制機構37は、いわゆる巻き掛け伝動装置であり、帯状ワーク1の幅方向(図4Bでは紙面を貫通する方向)の隣に帯状ワーク1と並んで併走しつつ周回駆動する無端ベルト37a(無端環状体に相当)を本体とする。すなわち、無端ベルト37aは、帯状ワーク1と同じようにパスラインPLに沿って、パスラインロール31a、シーソー部材34の入側ロール34a、ドライブロール31b、パスラインロール32a、シーソー部材34の出側ロール34b、パスラインロール32bの順に掛け回されているとともに、更に、これらの下方に位置する従動ロール37b,37c,37dにも掛け回されていて、これをもって、無端ベルト37aの周回軌道が形成されている。
【0052】
そして、当該無端ベルト37aが帯状ワーク1と沿う範囲において、無端ベルト37aに帯状ワーク1と同じ走行動作及び蓄積動作をさせることにより、任意のタイミングで帯状ワーク1に作用し得る前記イナーシャを帯状ワーク1の代わりに無端ベルト37aに受けさせて、これによって、帯状ワーク1の張力変動を抑制している。
【0053】
そのための構成として、まず、帯状ワーク1と同じ走行動作をさせるべく、無端ベルト37aの周回軌道には、サーボモーターを駆動源として駆動回転する駆動ロール37e(第1駆動ロールに相当)が配置されており、この駆動ロール37aに無端ベルト37aが所定の巻き付け角度でもって掛け回されている。そして、この駆動ロール37aは、帯状ワーク1の入側搬送速度Vin又は出側搬送速度Voutと同じ周速V0で回転し、これにより無端ベルト37aは帯状ワーク1の入側搬送速度Vin又は出側搬送速度Voutと同じ前記基準速度V0で周回する。なお、この無端ベルト37aの周回動作によって、無端ベルト37aが掛け回された前記ロール31a,34a,32a,34b,32bも回転される。
【0054】
また、帯状ワーク1と同じ蓄積動作をさせるべく、この無端ベルト37aを、帯状ワーク1の搬送を司る前記ドライブロール31bに掛け回している。そして、これにより、ドライブロール31bは、前記基準速度V0で周回する無端ベルト37aに対しても、帯状ワーク1と同じタイミングで間欠停止及び間欠停止の解除を行うことが可能となり、もって、当該無端ベルト37aは、シーソー部材34の入側ロール34a及び出側ロール34bにおいて帯状ワーク1と同じ蓄積動作をすることになる。
【0055】
例えば、図8Cに示すように、ドライブロール31bにより帯状ワーク1が搬送されている間は、無端ベルト1はその全周に亘って帯状ワーク1と同じ搬送速度V0で走行しているが、図7Aに示すように、ドライブロール31bが間欠停止したら、ドライブロール31bと搬送ロール32aとの間に位置する帯状ワーク1と同じように、ドライブロール31bと搬送ロール32aとの間に位置する無端ベルト37aもドライブロール31bによって間欠停止される。また、その際には、図7B及び図7Cに示すように、シーソー部材34の揺動動作による帯状ワーク1の入側のループ量の増加に伴って同じように無端ベルト37aの入側のループ量も増加し、帯状ワーク1の出側のループ量の減少に伴って無端ベルト37aの出側のループ量も減少する。一方、間欠停止が解除されたら、図8Aに示すように、無端ベルト37aも帯状ワーク1と同じ速度Vでドライブロール31bにより送られる。すると、図8B及び図8Cに示すように、シーソー部材34の揺動動作による帯状ワーク1の入側のループの減少に伴って、同じように無端ベルト37aの入側のループ量も減少し、帯状ワーク1の出側のループ量の増加に伴って無端ベルト37aの出側のループ量も増加し、最終的に、図8Cに示す初期状態に復帰する。
【0056】
<<<センサー群41,42,43>>>
センサー群41,42,43は、図4Aに示すように、プレス装置20のプレス動作を監視するプレス動作監視センサー41と、帯状ワーク1上の加工対象部位の位置を監視する加工対象部位監視センサー42と、シーソー部材34の揺動動作を監視する揺動動作監視センサー43と、を有している。
【0057】
プレス動作監視センサー41は、例えば、雄金型21aの上限位置に設置された近接スイッチであり、雄金型21aが上限位置に到達する度に検出信号が出力される。
【0058】
加工対象部位監視センサー42は、プレス装置20の直近上流側に配置され、帯状ワーク1上に所定ピッチで形成された加工位置を示すマーク(以下、加工位置マークという)を検出する度に検出信号を出力するセンサーである。その一例としては、受けた光量に応じた大きさの信号を出力する光電管等が挙げられる。
【0059】
揺動動作監視センサー43は、例えば、シーソー部材34の出側ロール34bの下限位置近傍に設置された近接スイッチであり、出側ロール34bが下限位置に達すると、近接スイッチからは検出信号が出力される。なお、ここでは、下限位置として、下限上位置と、この下限上位置よりも少し低位の下限下位置との2つが設定されており、各位置には、それぞれ、近接スイッチ43a,43bが配置されている。
【0060】
<<<コントローラー>>>
コントローラーは、適宜なシーケンサーやコンピュータ等であり、上記のセンサー群41,42,43から出力される検出結果に基づいて、加工装置10に係る各種駆動源を制御する。つまり、プレス装置20の雄金型21aを昇降駆動する前記油圧シリンダーを制御し、また、前記ドライブロール31bの駆動源たる前記サーボモーターを回転数制御し、更に、張力変動抑制機構37の前記駆動ロール37aの周速が、帯状ワーク1の入側搬送速度Vin又は出側搬送速度Voutと同じ前記基準速度V0になるように駆動ロール37aのサーボモーターを回転数制御する。
【0061】
<<<加工装置10の動作例>>>
以上のような構成からなる加工装置10によれば、以下に説明するようにドライブロール31bが回転することにより、プレス装置20の上流及び下流の加工ポジションPn−1,Pn+1では帯状ワーク1の搬送速度Vin,Voutを定常の基準速度V0に維持したまま、プレス装置20内では、張力変動を抑制しつつ帯状ワーク1を間欠搬送して帯状ワーク1に適宜ピッチでプレス加工を施すことができる。
【0062】
図9は、ドライブロール31bの回転速度Vのチャートであり、横軸には時間を、縦軸には速度(メートル/秒)を取っている。なお、このドライブロール31bによってプレス装置20内での帯状ワーク1の搬送が制御されていることから、図9の縦軸は、プレス装置20内を搬送する帯状ワーク1の搬送速度Vでもある。
【0063】
先ず、初期状態として、シーソー部材34の入側ロール34a及び出側ロール34bは、図8Cに示すように、それぞれ上限位置及び下限位置に位置しているとともに、ドライブロール31bによりプレス装置20内の帯状ワーク1は、入側搬送速度Vin及び出側搬送速度Voutと同じ基準速度V0で搬送されているものとする。
【0064】
この初期状態で搬送する図9の定常域A1において、加工対象部位監視センサー42から、帯状ワーク1上の加工位置マークの検出信号が送信されると、コントローラーは、図9の減速域A2に示すように、既定の減速パターンでドライブロール31bの回転を停止し、これにより、プレス装置20内における帯状ワーク1の搬送は間欠停止される。
【0065】
そして、この間欠停止中A3に、コントローラーは、プレス装置20にプレス動作を行わせる(図7A及び図7B)。
【0066】
なお、この間欠停止中A3には、前述したように、初期状態(図7A)からその逆の状態(図7C)へとシーソー部材34が揺動動作をし(つまり、入側ロール34aが下降し出側ロール34bが上昇し)、これにより、上流の加工ポジションPn−1から基準速度V0で送り込まれる帯状ワーク1を張った状態で受け取るとともに、下流の加工ポジションPn+1へと基準速度V0で帯状ワーク1を払い出すことができ、もって、これら上下流の加工ポジションPn−1,Pn+1における搬送状態は、当該間欠停止によって何等阻害されることはない。また、上記の揺動動作は、基本的にはシーソー部材34の出側ロール34bが帯状ワーク1の張力による持ち上げられることによりなされるが、この時には、無端ベルト37aの張力も出側ロール34bを持ち上げる方向に作用するので、これをもって、帯状ワーク1の張力変動が抑制される。
【0067】
しかる後に、プレス動作監視センサー41からプレス動作の完了信号を受信したら、コントローラーはドライブロール31bの回転を再開する。但し、この時には、図9の加速域A4に示すように、既定の加速パターンに基づいて回転速度を高くしていき、最終的には入側搬送速度Vin及び出側搬送速度Voutよりも高速にすべく前記基準速度V0よりも高速にし、これにより図8Aの状態のシーソー部材34を、図8Cに示す初期状態に戻して次ぎのプレス動作の間欠停止に備えるようにする。なお、この際のシーソー部材34の揺動動作も、基本的にはシーソー部材34の入側ロール34aが帯状ワーク1の張力による持ち上げられることによりなされるが、この時には、無端ベルト37aの張力も入側ロール34aを持ち上げる方向に作用するので、これをもって、帯状ワーク1の張力変動が抑制される。
【0068】
ちなみに、シーソー部材34が初期状態(図8C)へ復帰したことは、揺動動作監視センサー43により検出される。詳しくは、初期状態への復帰の直前に、出側ロール34bは、先ず下限上位置のセンサー43a位置を通過するので、当該下限上位置のセンサー43aから検出信号が送信される。そうしたら、コントローラーは、図9中の減速域A5に示すように、ドライブロール31bの減速を開始する。そして、出側ロール34bが下限下位置に達して、下限下位置のセンサー43bから検出信号が送信されたら、ドライブロール31bの回転速度を、前記基準速度V0にし、これをもって、加工サイクルの1サイクルが終了する。
【0069】
そして、その後は、加工対象部位監視センサー42が帯状ワーク1の加工位置マークを検出する度に、上述の加工サイクルが繰り返し行われる。
【0070】
===第2実施形態===
図10は第2実施形態の加工装置10aの側面図である。上述の第1実施形態では、プレス装置20内の帯状ワーク1の搬送状態の制御をドライブロール31bにより行っていたが、この第2実施形態では、ドライブロール31bの代わりに設けられたブレーキ付き非駆動ロール31dと、シーソー部材34を揺動駆動する揺動駆動装置36とによって搬送状態を制御している。つまり、ブレーキ付き非駆動ロール31dと揺動駆動装置36とが、間欠送り出し部に相当する。そして、これ以外の点はほぼ第1実施形態と同じであり、例えば、張力変動抑制機構37も同様に設けられている。
【0071】
ブレーキ付き非駆動ロール31dは、前記ドライブロール31bの代わりに同位置に据え付けられた非駆動ロール31dと、この非駆動ロール31dの回転を制動するドラム式又はディスク式等のブレーキ機構(不図示)と、を備えている。よって、ブレーキ機構の非作動下においては、非駆動ロール31dは、これに接触する帯状ワーク1及び無端ベルト37aの搬送に応じて連れ回りするが、ブレーキ機構の作動下においては自身のみならず、これに接触する帯状ワーク1及び無端ベルト37aも停止させる。
【0072】
揺動駆動装置36は、例えばエアーシリンダーであり、そのピストン36aの先端部がシーソー部材34に連結されている。よって、電磁弁等の切換弁を介して、所定の圧空源からの圧縮空気(圧力空気)をエアーシリンダー内のシリンダー室に供給することにより、ピストン36aの昇降動作を介して前記シーソー部材34を上下揺動させることができる。
【0073】
そして、これら非駆動ロール31d及び揺動駆動装置36は、前記コントローラーによって制御され、これにより、帯状ワーク1は、次のようにしてプレス装置20内を間欠搬送される。
【0074】
前述と同様に、加工装置10aは図8Cの初期状態にある前提で説明する。すなわち、シーソー部材34の入側ロール34a及び出側ロール34bは、それぞれ、図10の実線で示すように上限位置及び下限位置に位置しているとともに、下流の加工ポジションPn+1から引っ張られて、プレス装置20内の帯状ワーク1は、入側搬送速度Vin及び出側搬送速度Voutと同じ基準速度V0で搬送されている。
【0075】
この初期状態での搬送下において、加工対象部位監視センサー42から加工位置マークの検出信号が送信されると、コントローラーは、ブレーキ機構を作動して非駆動ロール31dの回転を止め、これにより、プレス装置20内の帯状ワーク1及び無端ベルト37aは間欠停止される。
そして、この間欠停止中に、コントローラーは、プレス装置20にプレス動作を行わせる。
【0076】
なお、この間欠停止中には、エアーシリンダー36のシリンダー室は前記切換弁により前記圧空源から縁切りされて大気開放され、これにより、シーソー部材34はごく小さな負荷で揺動自在な状態にされる。よって、シーソー部材34の出側ロール34bは、帯状ワーク1の張力及び無端ベルト37aの張力により持ち上げられて上昇するとともに、入側ロール34aはその逆動作として下降する。すなわち、シーソー部材34は、図10の実線で示す初期状態から2点鎖線で示す逆の状態へと揺動動作される。よって、シーソー部材34は、上流の加工ポジションPn−1から入側搬送速度Vinで送り込まれる帯状ワーク1を張った状態で受け取るとともに、下流の加工ポジションPn+1へと出側搬送速度Voutで帯状ワーク1を払い出すことができ、もって、上下流の加工ポジションPn−1,Pn+1における搬送状態は、当該間欠停止によって何等阻害されることはない。
【0077】
そして、プレス動作監視センサー41からプレス動作の完了信号を受信したら、コントローラーは、非駆動ロール31dのブレーキを解除する。すると、非駆動ロール31dは、下流の加工ポジションPn+1から引っ張られて搬送される帯状ワーク1及び無端ベルト37aにより連れ回わるようになる。但し、この搬送中には、次の間欠停止に対処すべく、シーソー部材34を、実線で示す初期状態(つまり、入側ロール34aが上限位置で、出側ロール34bが下限位置の状態)に戻しておく必要がある。そのため、コントローラーは前記切換弁を切り換えて、前記圧空源からの圧縮空気をエアーシリンダー36のシリンダー室へ供給し、これにより、エアーシリンダー36のピストン36aを伸長させてシーソー部材34を揺動し、つまり入側ロール34aを上昇するとともに出側ロール34bを下降する。
【0078】
なお、この初期状態に復帰したことは、揺動動作監視センサー43により検出される。詳しくは、出側ロール34bが下限下位置に達して、下限下位置のセンサー43bから検出信号が送信されたら、エアーシリンダー36の伸長動作を停止し、これをもって、加工サイクルの1サイクルが終了する。
【0079】
ところで、上述の第2実施形態では、帯状ワーク1の間欠停止及びその解除を行うべく、ブレーキ付き非駆動ロール31dを用いていたが、これに代えて、ブレーキ機構の無い単なる非駆動ロール(従動ロール)を用いても良い。但し、その場合には、帯状ワーク1及び無端ベルト37aを規制して停止させるための機構が別途必要になる。その一例としては、前記非駆動ロールの直近下流に配置されて、帯状ワーク1及び無端ベルト37aをその上下から挟み込み可能に設けられた上下一対の挟み込み部材を有するニップ機構が挙げられる。そして、帯状ワーク1の搬送を停止する場合には、前記上下一対の挟み込み部材が互いに近づいて帯状ワーク1及び無端ベルト37aを同時に挟み込み、これにより帯状ワーク1及び無端ベルト37aの下流への移動を規制する一方、帯状ワーク1の搬送を再開する場合には、前記挟み込み部材が互いに離れることにより、前記帯状ワーク1及び無端ベルト37aの挟み込み状態を解除する。
【0080】
===第2実施形態の変形例===
図11は第2実施形態の変形例の加工装置10bの側面図である。上述の第2実施形態では、シーソー部材34の揺動駆動装置36としてエアーシリンダーを用いていたが、この変形例では、カム機構を用いている。これ以外の点はほぼ第2実施形態と同じであり、例えば、ドライブロール31bの代わりにブレーキ付き非駆動ロール31dを配置している点なども、上述の第2実施形態と同じである。
【0081】
揺動駆動装置38は、例えば所定の軸38c周りに回転可能な略楕円板状の板カム38を本体とする。そして、そのカム面としての外周面が、シーソー部材34の揺動中心軸34cよりも入側位置においてシーソー部材34の下面に当接するように当該板カム38は配置されている。よって、駆動源としてのサーボモーターにて板カム38を前記軸38c周りに回転させることにより、前記シーソー部材34を上下揺動させることができる。
【0082】
そして、この板カム38と前記ブレーキ付き非駆動ロール31dとを前記コントローラーが制御することにより、帯状ワーク1は、次のようにしてプレス装置20内を間欠搬送される。
【0083】
前述と同様に、加工装置10bは図8Cの初期状態にある前提で説明する。すなわち、図11の実線で示すように、シーソー部材34は、上死点で停止中の板カム38によって下方から揺動不能に支持されており、これにより、シーソー部材34の入側ロール34a及び出側ロール34bは、それぞれ、上限位置及び下限位置に位置している。また、帯状ワーク1は、下流の加工ポジションPn+1から引っ張られて、プレス装置20内を入側搬送速度Vin及び出側搬送速度Voutと同じ基準速度V0で搬送されている。
【0084】
この初期状態での搬送下において、加工対象部位監視センサー42から加工位置マークの検出信号が送信されると、コントローラーは、ブレーキ機構を作動して非駆動ロール31dの回転を止め、これにより、プレス装置20内の帯状ワーク1及び無端ベルト37aは間欠停止される。
そして、この間欠停止中に、コントローラーは、プレス装置20にプレス動作を行わせる。
【0085】
なお、この間欠停止時には板カム38が回転を開始して、板カム38はシーソー部材34を支持しない状態になり、これにより、シーソー部材34はごく小さな負荷で揺動自在な状態にされる。よって、シーソー部材34の出側ロール34bは、帯状ワーク1の張力及び無断ベルト37aの張力により持ち上げられて上昇するとともに、入側ロール34aはその逆動作として下降する。すなわち、シーソー部材34は、図11の実線で示す初期状態から2点鎖線で示す逆の状態へと揺動動作される。よって、シーソー部材34は、上流の加工ポジションPn−1から入側搬送速度Vinで送り込まれる帯状ワーク1を張った状態で受け取るとともに、下流の加工ポジションPn+1へと出側搬送速度Voutで帯状ワーク1を払い出すことができ、もって、上下流の加工ポジションPn−1,Pn+1における搬送状態は、当該間欠停止によって何等阻害されることはない。
【0086】
そして、プレス動作監視センサー41からプレス動作の完了信号を受信したら、コントローラーは、非駆動ロール31dのブレーキを解除する。すると、非駆動ロール31dは、下流の加工ポジションPn+1から引っ張られて搬送される帯状ワーク1及び無端ベルト37aにより連れ回わるようになる。但し、この搬送中には、次の間欠停止に対処すべく、シーソー部材34を、実線で示す初期状態(つまり、入側ロール34aが上限位置で、出側ロール34bが下限位置の状態)に戻しておく必要がある。そのため、コントローラーは、板カム38を回転させてシーソー部材34の下面に当接してシーソー部材34を揺動し、これにより、入側ロール34aは上昇されるとともに出側ロール34bは下降される。
【0087】
なお、この初期状態に復帰したことは、揺動動作監視センサー43により検出される。詳しくは、初期状態の復帰の直前には、出側ロール34bが下限上位置のセンサー43a位置を通過するので、当該下限上位置のセンサー43bから検出信号が送信されたら、コントローラーは、先ず、板カム38の回転動作の減速を開始する。そして、出側ロール34bが下限下位置に達して、下限下位置のセンサー43bから検出信号が送信されたら、板カム38の回転動作を停止し、これをもって、加工サイクルの1サイクルが終了する。
【0088】
===その他の実施形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形が可能である。
【0089】
上述の第1実施形態では、間欠送り出し部としてドライブロール31bを例示し、当該ドライブロール31bに無端ベルト37aを直接掛け回した構成を例示したが、間欠送り出し部が帯状ワーク1と同様の間欠停止を無端ベルト37aに対して行える構成であれば、何等これに限るものではない。
【0090】
例えば、直接には無端ベルト37aがドライブロール31bに掛け回されていなくても、ドライブロール31bの駆動源から回転力が、適宜な巻き掛け伝動装置を介して伝達されることにより、無端ベルト37aが帯状ワーク1と同じタイミングで間欠停止されるようになっていれば、それでも良い。
【0091】
上述の実施形態では、図4B又は図8Cに示すように、無端ベルト37aが帯状ワーク1のパスラインPL(走行経路)に沿う範囲を、パスラインロール31aからパスラインロール32bまでの全範囲に設定していたが、当該範囲は何等これに限るものではなく、パスラインPLにおける一部を沿わせないようにしても良い。
【0092】
例えば、図12に示すような従動ロール37f,37gを設置してこれらロールに37f,37gにも無端ベルト37aを掛け回すことにより、プレス装置20の位置、すなわち、ドライブロール31bとパスラインロール32aとの間については無端ベルト37aを帯状ワーク1に沿わせないようにしても良い。
【0093】
上述の実施形態では、入側バッファー機構の入側ロール34aと、出側バッファー機構の出側ロール34bとを互いに連動して逆動作させる連動部としてシーソー部材34を例示したが、互いに連動して逆動作を行わせるものであれば何等これに限るものではなく、つまり、シーソー部材34によって一体に連結しなくても良い。
【0094】
例えば、入側ロール34aと出側ロール34bとを、それぞれに適宜なガイドレール等によって上下方向に往復移動可能に案内するとともに、これら入側ロール34a及び出側ロール34を、それぞれエアーシリンダー等の駆動源により上下昇降可能に構成し、これら入側ロール34aと出側ロール34bとが互いに逆動作(互いに同じ速さで逆方向に移動すること)するように、コンピューター等の適宜なコントローラーにより前記エアーシリンダーを制御しても良い。
【0095】
上述の実施形態では、帯状ワーク1の素材等について特に説明していなかったが、帯状物で適度な可撓性を有していれば適用可能であり、例えば、不織布や織布、シート、フィルム状物等を例示できる。また、その素材としては、合成樹脂等の樹脂やパルプ等でも良い。
【0096】
上述の実施形態では、帯状ワーク1への加工処理としてプレス加工を例示したが、何等これに限るものではなく、例えば、型押しにより凹凸模様を付与するエンボス加工や、帯状ワーク1を溶着するシール加工等でも良い。
【0097】
上述の実施形態では、シーソー部材34に対して入側ロール34a及び出側ロール34bを各々一つずつ設けて、これにより、下に凸のループを一つずつ形成したが、各ループ数を複数に増やしても良い。例えば、図13に示すように、シーソー部材34の入側ロール34a及び出側ロール34bをそれぞれ2本ずつにするとともに、入側ロール34a,34a同士の間、及び、出側ロール34b,34b同士の間に各々固定ロール35(移動しないように定位置に固定されたロール)を設けて、帯状ワーク1をつづら折り状に掛け回し、これにより、前記帯状ワーク1のループを複数(この例の場合は2つ)形成しても良い。なお、このようにループ数を複数にすれば、ループ数が1つの場合と比較して、シーソー部材34の揺動動作のストローク量を縮小できるので、その揺動動作の低速化を通じて上下反転時の衝撃を軽減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】複数の加工ポジションP1,P2,…を有する生産ライン5の概念図である。
【図2】従来の加工装置90の一例を示す側面図である。
【図3】従来の加工装置90の問題を解決する加工装置100の側面図である。
【図4】図4A及び図4Bは、第1実施形態の加工装置10の側面図である。
【図5】図5A乃至図5Cは、帯状ワーク1の間欠停止時におけるシーソー部材34の揺動動作の説明図である。
【図6】図6A乃至図6Cは、帯状ワーク1の間欠停止の解除時におけるシーソー部材34の揺動動作の説明図である。
【図7】図7A乃至図7Cは、帯状ワーク1の間欠停止時におけるシーソー部材34の揺動動作の説明図である。
【図8】図8A乃至図8Cは、帯状ワーク1の間欠停止の解除時におけるシーソー部材34の揺動動作の説明図である。
【図9】ドライブロール31bの回転速度Vのチャートである。
【図10】第2実施形態の加工装置10aの側面図である。
【図11】第2実施形態の変形例の加工装置10bの側面図である。
【図12】その他の実施形態の加工装置10cの側面図である。
【図13】その他の実施形態の加工装置10dの側面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 帯状ワーク(ワーク)、1a 部分(ループ)、1b 部分(ループ)、
5 連続生産ライン、10 加工装置、10a 加工装置、
10c 加工装置、10d 加工装置、
20 プレス装置(加工処理部)、21a 雄金型、21b 雌金型、
30 間欠搬送装置(ワーク搬送部)、
31 パスラインロール群(搬送ロール)、
31a パスラインロール(搬送ロール)、
31b ドライブロール(間欠送り出し部、第2駆動ロール)、
31c 押し付けロール、
31d ブレーキ付き非駆動ロール(間欠送り出し部)、
32 パスラインロール群(搬送ロール)、
32a パスラインロール(搬送ロール)、
32b パスラインロール(搬送ロール)、
34 シーソー部材(連動部)、
34a 入側ロール(第1移動体、入側バッファー機構)、
34b 出側ロール(第2移動体、出側バッファー機構)、
34c 揺動中心軸、
36 エアーシリンダー(間欠送り出し部、揺動駆動装置)、36a ピストン、
37 張力変動抑制機構、37a 無端ベルト(無端環状体)、
37b 従動ロール、37c 従動ロール、37d 従動ロール、
37e 駆動ロール(第1駆動ロール)、
37f 従動ロール、37g 従動ロール、
38 板カム(間欠送り出し部、揺動駆動装置)、38c 軸、
41 プレス動作監視センサー、
42 加工対象部位監視センサー、
43 揺動動作監視センサー、
43a 下限上位置のセンサー、43b 下限下位置のセンサー、
90 加工装置、91a ロール、91b ロール、
93 セパレーター、95 加工処理部、
100 加工装置、
1La ループ、1Lb ループ、
Pn−1 加工ポジション、Pn 加工ポジション、Pn+1 加工ポジション、
PL パスライン(走行経路)、
V 搬送速度(走行速度)、
Vin 入側搬送速度(走行速度)、Vout 出側搬送速度(走行速度)、
A1 定常域、A2 減速域、A3 間欠停止域、A4 加速域、A5 減速域、
Vt 走行速度、Vm 移動速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する帯状のワークを複数の搬送ロールに掛け回して前記ワークの走行経路を形成することにより前記ワークを搬送するワーク搬送部と、
前記走行経路内に設けられ、前記ワークが間欠的に停止している間に加工処理を行う加工処理部と、を備えた加工装置であって、
前記ワーク搬送部は、
前記加工処理部よりも前記走行経路内の上流側に設けられ、上流から搬送される前記ワークを、往復移動可能に案内された第1移動体に掛け回すことにより蓄積可能な入側バッファー機構と、
前記加工処理部よりも前記走行経路内の下流側に設けられ、下流へ搬送すべき前記加工処理済みのワークを、往復移動可能に案内された第2移動体に掛け回すことにより蓄積可能な出側バッファー機構と、
前記ワークの蓄積量の増減動作が、前記入側バッファー機構と前記出側バッファー機構とで互いに逆動作となるようにしつつ、互いの前記ワークの蓄積量の変化量が等しくなるように、前記1移動体と前記第2移動体とを連動して移動させる連動部と、
前記入側バッファー機構を通過した前記ワークに当接して前記ワークを間欠的に停止する停止動作及び前記加工処理部へ送り出す送り出し動作を繰り返す間欠送り出し部と、
前記走行経路において前記ワークに沿うように、前記搬送ロール、前記第1移動体、及び、前記第2移動体に掛け回された無端環状体と、
前記無端環状体を周回駆動することにより、前記搬送ロールに回転力を付与するとともに、前記第1移動体及び前記第2移動体に前記往復移動の移動力を付与する第1駆動ロールと、を備え、
前記無端環状体が前記走行経路と沿う範囲において前記無端環状体が前記ワークと同じ走行動作及び蓄積動作をするように、前記第1駆動ロールは前記無端環状体を所定速度で連続して周回駆動するとともに、前記間欠送り出し部は、前記ワークの前記停止動作に合わせて、前記無端環状体を間欠的に停止することを特徴とする加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加工装置であって、
前記入側バッファー機構の前記第1移動体は、従動回転するロールであり、
前記出側バッファー機構の前記第2移動体は、従動回転するロールであり、
これらロールは、前記無端環状体の周回駆動によって回転力を付与されて回転することを特徴とする加工装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の加工装置であって、
所定の軸周りに揺動するシーソー部材を前記連動部として備え、
前記シーソー部材に前記第1移動体及び前記第2移動体が設けられており、
前記軸は、前記第1移動体の設置位置と前記第2移動体の設置位置との中点に位置していて、前記シーソー部材の揺動動作によって、前記第1移動体及び前記第2移動体は、往復移動することを特徴とする加工装置。
【請求項4】
請求項3に記載の加工装置であって、
前記シーソー部材は、前記ワークをつづら折り状に掛け回すべく前記第1移動体を複数有しているとともに、前記加工処理済みのワークをつづら折り状に掛け回すべく前記第2移動体を複数有していることを特徴とする加工装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の加工装置であって、
前記無端環状体に係る前記所定速度は、前記第1駆動ロールとの当接位置における速度であり、
前記所定速度は、前記入側バッファー機構よりも上流側におけるワークの走行速度、又は、前記出側バッファー機構よりも下流側における前記加工処理済みのワークの走行速度と等しいことを特徴とする加工装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の加工装置であって、
前記間欠送り出し部は、前記入側バッファー機構からの前記ワークを外周面に巻き付けながら駆動回転することにより、前記ワークを前記加工処理部へ搬送する第2駆動ロールであり、
前記第2駆動ロールに前記無端環状体が巻き付けられていることを特徴とする加工装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の加工装置であって、
前記ワークの前記停止動作の解除時には、前記間欠送り出し部によって、前記出側バッファー機構の蓄積量の増加動作及び前記入側バッファー機構の蓄積量の減少動作が併行して行われ、
前記増加動作及び前記減少動作は、前記入側バッファー機構と前記出側バッファー機構との間における前記ワークの走行速度を、前記入側バッファー機構よりも上流側におけるワークの走行速度、及び、前記出側バッファー機構よりも下流側における前記加工処理済みのワークの走行速度よりも速くすることで行われることを特徴とする加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−208953(P2009−208953A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56618(P2008−56618)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】