説明

加温式ビン蓋開け器

【課題】ビンの蓋を加温するとパッキンの粘着力が小さくなり軽く開くことが一般的に知られている。本発明は、コードのある電熱器を使用せず、身近な台所用品を活用してビンの蓋を加温する使い勝手の良い方法を提供する。
【解決手段】リング状に繋がった誘電加熱導体1を内蔵した装置を電子レンジの中に入れて一定時間通電すると誘導電流により発熱する。一定の温度または電流値を超えると膨張により誘電加熱導体の一部が離れ、電流が遮断して発熱が止まる。耐熱柔軟素材の摩擦抵抗の大きいパッドに熱が伝わり、電子レンジから取り出して一定時間蓋に密着させると蓋3の粘着力が小さくなり容易に開く状態になる。ツマミ4を摘むとツマミが内側に移動し、てこの原理で蓋を強く挟みこみ下方に押しつけて回すと、パッドの摩擦抵抗とツマミの挟み込み力とで滑ることなく蓋が開く。他の加温方法として蓄熱パッドやHIヒーターあるいは温水を用いても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電熱ヒーターを使用せず、電子レンジやIHヒーターあるいは電気ポット等の台所用品で装置を加温した後にビンの蓋に装着して蓋を加温し、軽い力で蓋を開ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大小を問わず瓶詰め食材が多く出回っているが、開ける際に多大の力を必要とし、非力な子供、婦女子、老人には開けることができない場合もある。また食品メーカーにおいても蓋の開けやすい構造のビンが開発されていない。装置が小さく、装着までの時間が短く、装着後軽い力で開けることができる蓋開け器があれば、食生活の改善に貢献できる。
【0003】
ビンの蓋開け装置については既に多く考案されているが、装置が大きい、操作行程が多い、構造が複雑、簡単構造であるが力を必要とする、等多くの解決すべき技術的課題が残されている。また、いずれの装置も蓋側に装着し、パッキンの粘着力で固着している蓋を力で開けるものであり、ビン側は素手で保持するので大きな力を必要とし、非力な人を含めた万人向きとなっていないのが現状である。
【0004】
一方、蓋を加温すると簡単に開くことは多くの人々が周知しているが、中身を加温せずに蓋のみを加温するには複雑な作業手順を要して面倒である。例えば熱湯を満たした皿にビンを逆さに浸した後に蓋を開ける方法があるが、手間がかかる上に熱湯による火傷の恐れもあり、またビンを逆さにすることに抵抗感がある。
【0005】
これを解決する一つの手段として、電熱ヒーターで加温する方法があるが、装置が大形となりしかもコードが邪魔になって使い勝手が損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許出願2004−204005 容器の蓋開け具特許出願2006−351889 蓋開け器具特許出願平11−100454 固定具付きビン蓋開け器
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上より、パッキンの粘着力で固着している蓋を力任せに開けるのではなく、使い勝手のよくないコードの付いている電熱器具を用いるのでもなく、手軽な方法で蓋を加温することによって粘性を小さくし、軽く開けることのできることが解決すべき課題となる。
【0008】
したがって本願発明は、身近にある台所用品である電子レンジやIHヒーターあるいは電気ポットの湯を活用し、簡単な操作で短時間に蓋を加温して、軽い力で蓋を開けることのできる使い勝手の良い単純な構造の装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、身近にある台所用品を用いて蓋開け装置を加温する方策によって上記の課題を解決するもので、具体的には以下の内容を含む。
【0010】
すなわち、本発明にかかる1つの態様は、リング状に繋がった誘電発熱導体を蓋開け装置に内蔵し、電子レンジ内のマイクロ波によって誘導電流を発生させて誘電発熱導体を短時間で加温する方法に関する。
【0011】
本発明はさらに、誘電発熱導体が一定の温度を超えたとき、または一定の電流値を超えたとき、導体が膨張または反り返りあるいはその両方によってリング状に繋がった一部を切り離し、誘導電流を遮断して加温を中止する方法に関する。
【0012】
本発明はさらに、リングの一部を切り離して誘電発熱導体内部をリングに沿って流れる誘導電流を遮断する場合は、誘電発熱導体断面に流れる渦電流を抑えるような太さと金属材料にし、リングが切り離された場合は発熱量が小さくなる方法に関する。
【0013】
本発明はさらに、耐熱性に優れ熱伝導が良く摩擦抵抗が大きく柔らかい素材の熱伝パッドを用いて誘電発熱導体が直接蓋に接することがなく、蓋を加温して滑ることなく開ける操作ができる方法に関する
【0014】
本発明はさらに、ツマミスライド溝を設けて大小さまざまな蓋の寸法に対応し、ツマミを摘んだ時にてこの原理によって蓋をしっかり挟む構造をも包含している。
【0015】
本発明はさらに、誘電発熱導体と熱伝パッドの代わりに保冷材のごとく蓄熱材パッドを用いて電子レンジで短時間加温して使うことのできる構造をも包含している。
【0016】
本発明はさらに、誘電発熱導体の変わりに、HIヒーターの鍋検知が動作する大きさの金属板を用いてHIヒーターで短時間加温して使うことのできる構造をも包含している。
【0017】
本発明はさらに、温水を注いだ容器を蓋の上にのせて加温する手軽な方法をも包含している。なお温水は電子レンジで加熱しても電気ポット等の湯を用いても良い。
【発明の効果】
【0018】
本考案は、ビンの蓋を開けたい時に本装置を手に取り、電子レンジやIHヒーターあるいは電気ポットの湯で短時間加温し、ビンに被せて蓋を加温してパッキンの粘着力を低くし、ツマミをスライドさせて寸法の異なる蓋を挟んで軽く回して開けることのできる便利性を提供するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る、蓋開け装置を加温してビンの蓋を開ける構造、同方法の概要を示す断面図及び展開図である。
【図2】図1に示す実施の形態に係わるツマミを移動させて寸法の異なる蓋を挟み込み、てこの原理で蓋を締め付ける動作原理図である。
【図3】図1に示す実施の形態に係わる誘電発熱導体の変わりに蓄熱材パッドを用いて電子レンジで加温する動作原理図である。
【図4】図1に示す実施の形態に係わる誘電発熱導体の変わりに金属板を用いてIHヒーターで加温する動作原理図である。
【図5】図1に示す実施の形態に係わる誘電発熱導体の変わりに温水を注いで蓋を加温する動作原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1の実施の形態に係る蓋開け装置を事前に加温して蓋に装着し、蓋を一定時間加温した後に開ける方法について、図面を参照して説明する。図1はその概要を示している。
【0021】
蓋開け装置全体を電子レンジの中に入れて電源を入れるとマグネトロンからマイクロ波が照射される。誘電加熱導体1に誘導電流が発生してリング状のコイルを電流が流れて発熱する。一定の温度を超えると誘電加熱導体1が膨張あるいは反り返りまたはその両方によりリングの接点部12が離れ、電流が遮断して発熱が止まる。耐熱性に優れ摩擦抵抗が大きく柔軟な素材の熱伝パッド2に熱が伝わり、電子レンジから取り出して一定時間蓋3に密着させると蓋3のパッキンの粘着力が低下して容易に開く状態になる。
【0022】
図2は加温した後の寸法の異なる蓋3を開ける動作原理図である。ツマミ4を摘むとツマミスライド溝5に沿ってツマミ4が内側に移動する。蓋3に接触子6が接し更にツマミ4に力を加えるとツマミ先端41が更に内側に移動する。ツマミ4と接触子6は一体であり軸42が支点となりてこの原理で接触子6が蓋3を強く挟みこむ。ツマミ4を挟みながら装置本体を下方に押しつけて回すと、熱伝パッド2の摩擦抵抗と接触子6の挟み込み力とで滑ることなく蓋3が開く。
【0023】
図3は誘電発熱導体1の変わりに蓄熱材パッド7を用いて電子レンジで加温する動作原理図である。蓋開け装置全体を電子レンジの中に入れて電源を入れると蓄熱材パッド7が加温される。電子レンジから取り出して一定時間蓋3に密着させると蓋3の粘性が低下して容易に開く状態になる。ツマミ4の動作原理は図2と同じである。
【0024】
図4は誘電発熱導体1の変わりに金属板8を用いてIHヒーターで加温する動作原理図である。蓋開け装置全体をIHヒーターの上に置き電源を入れると金属板8が加温される。IHヒーターから取り外して一定時間蓋3に密着させると蓋3の粘性が低下して容易に開く状態になる。ツマミ4の動作原理は図2と同じである。
【0025】
図5は更に簡素な装置であり容器9に温水を満たして蓋3を加温する原理図である。容器9の水を電子レンジで加温してもよいが身近の電気ポット等の温水を注いでも良い。容器の底10は薄く柔らかい素材であり蓋3に密着させて一定時間蓋3を加温した後に手で直接蓋3を回して開ける。
【産業上の利用可能性】
【0026】
パッキンの粘着力で固着したビンの蓋を力で開けるのではなく、身近な台所用品である電子レンジ又は電気ポット等を利用して蓋を加温し、軽い操作で蓋を開けることができ、使い勝手及び便利性を増すことができる。
【符号の説明】
【0027】
1.誘電加熱導体、12 .リングの接点部、3.蓋、4.ツマミ、41.ツマミ先端、42.軸、5.ツマミスライド溝、6.接触子、7.蓄熱材パッド、8.金属板、9・容器、10.容器の底。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状に繋がった誘電発熱導体を蓋開け装置に内蔵し、電子レンジ内のマイクロ波によって誘導電流を発生させて誘電発熱導体を短時間で加温する方法。
【請求項2】
誘電発熱導体が一定の温度または電流を超えたときに誘電発熱導体が膨張または反り返りあるいはその両方によってリング状に繋がった誘電発熱導体の一部を切り離し、誘導電流を遮断して加温を中止する方法。
【請求項3】
本発明はさらに、リング状に繋がった誘電発熱導体の一部を切り離して誘導電流を遮断する場合は、誘電発熱導体断面に流れる渦電流を抑えて発熱量を小さくする太さと金属材料にする方法に関する。
【請求項4】
耐熱性に優れ熱伝導が良く摩擦抵抗が大きく柔らかい素材の熱伝パッドを用いて誘電発熱導体が直接蓋に接することがなく蓋を加温して、滑らずに開ける操作ができる方法。
【請求項5】
ツマミスライド溝を設けてツマミを移動して大小さまざまな蓋の寸法に対応し、ツマミを摘んだ時にてこの原理によって蓋をしっかり挟む方法。
【請求項6】
蓄熱材パッドを電子レンジで短時間加温した後に蓋に装着して加温する方法。
【請求項7】
HIヒーターの鍋検知が動作する大きさの金属板を用いてHIヒーターで加温する方法。
【請求項8】
湯を注いだ容器を蓋の上に乗せ蓋を加温する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−82467(P2013−82467A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222560(P2011−222560)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(504215047)
【出願人】(510321790)
【出願人】(511243820)
【Fターム(参考)】