説明

加湿器

【課題】簡素な構造で、液体加熱体が本体から落下することがなく、液体加熱体を容易かつ安定した状態で装置本体に取り付けることができると共に、液漏れにより液体加熱体に取り付けられた電気部品が損傷したり発火することを防止できる液体加熱体の装置内取付構造およびそれを備えた加湿器を提供する。
【解決手段】本発明の加湿器1は、表面で水と接触して加熱可能な液体加熱体2を有する加湿器であって、液体加熱体2は、外表面3に設けられた係止部4と、係止部4付近に設けられ外表面の全周に渡って形成された螺合部5とを有し、他方、加湿器本体6は液体加熱体装着部7を有し、液体加熱体2は、螺合部5と螺合する螺合手段8によって、液体加熱体装着部7が係止部4と螺合手段8との間に挟持されて加湿器本体6に取り付けられ、さらに、液体加熱体2内には、ヒーター9とサーモスタット10または/および温度ヒューズ11が配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水などの液体を加熱する液体加熱体を加熱器等の装置内に取り付けるための装置内取付構造およびそれを備えた加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水などの液体を加熱して霧化等させる液体加熱体が加湿器等装置内に取り付けられている。このような液体加熱体は、通常、図6または図8に示すように、凹状の液体加熱体81を下側からケーシング80の一部80aにパッキン82を介して押し当て、多数の螺子83a,83b,83c,83d,83e,83fにて固定して取り付けられていた。また、液体加熱体81を加熱するためのヒーター84、液体加熱体81の温度制御を行うためのサーモスタット85、或いは、電気回路に異常電流が流れた際に電源からの電力供給を遮断するための温度ヒューズ86などの電気部品は、液体加熱体81の下面に露呈した状態で取り付けられていた(例えば、特開平11−63588号公報または特開2000−104959号公報)。
【0003】
しかし、液体加熱体81を下側から押し当てて固定する構造では、液体加熱体81が落下しないように多数の螺子83a,83b,83c,83d,83e,83fで固定する必要があり、固定部87a,87b,87c,87d,87e,87fも多数必要で液体加熱体81の構造が複雑化すると共に、取り付け作業が極めて煩雑で、かつ均等な螺子締めが困難で取付状態が不安定になる傾向があった。
また、図8に示すように、液体加熱体81の上端開口はパッキン82を介してケーシングの一部80aに固定されているが、金属製の液体加熱体81と樹脂製のパッキン82との熱膨張率の相違やパッキン82の経時劣化などにより水等が液体加熱体81外に漏れることがあり、この漏れた水等が液体加熱体81の外面を伝わって下面に至り、液体加熱体81の下面に取り付けられた電気部品を損傷したり発火させるおそれがあった。
【特許文献1】特開平11−63588号公報
【特許文献2】特開2000−104959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の第1の課題は、極めて簡素な構造で、液体加熱体が本体から落下することがなく、液体加熱体を容易かつ安定した状態で装置本体に取り付けることができる液体加熱体の装置内取付構造およびそれを備えた加湿器を提供することにある。
【0005】
また、本発明の第2の課題は、極めて簡素な構造で、液体加熱体が本体から落下することがなく、液体加熱体を容易かつ安定した状態で装置本体に取り付けることができると共に、液漏れにより液体加熱体に取り付けられた電気部品が損傷したり発火することを防止できる液体加熱体の装置内取付構造およびそれを備えた加湿器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1の課題を解決するものは、表面で液体と接触して加熱可能な液体加熱体を装置本体に取り付けるための液体加熱体の装置内取付構造であって、前記液体加熱体は、外表面に設けられた係止部と、該係止部付近に設けられ外表面の全周に渡って形成された螺合部とを有し、他方、前記装置本体は液体加熱体装着部を有し、前記液体加熱体は、前記螺合部と螺合する螺合手段によって、前記液体加熱体装着部が前記係止部と前記螺合手段との間に挟持されて装置本体に取り付けられていることを特徴とする液体加熱部の装置内取付構造である。
【0007】
また、上記第1の課題を解決するものは、表面で液体と接触して加熱可能な液体加熱体を有する加湿器であって、前記液体加熱体は、外表面に設けられた係止部と、該係止部付近に設けられ外表面の全周に渡って形成された螺合部とを有し、他方、前記加湿器本体は液体加熱体装着部を有し、前記液体加熱体は、前記螺合部と螺合する螺合手段によって、前記液体加熱体装着部が前記係止部と前記螺合手段との間に挟持されて加湿器本体に取り付けられていることを特徴とする加湿器である。
【0008】
さらに、上記第2の課題を解決するものは、表面で液体と接触して加熱可能な液体加熱体を装置本体に取り付けるための液体加熱体の装置内取付構造であって、前記液体加熱体は、外表面に設けられた係止部と、該係止部付近に設けられ外表面の全周に渡って形成された螺合部とを有し、他方、前記装置本体は液体加熱体装着部を有し、前記液体加熱体は、前記螺合部と螺合する螺合手段によって、前記液体加熱体装着部が前記係止部と前記螺合手段との間に挟持されて装置本体に取り付けられ、さらに、前記液体加熱体内には、該液体加熱体を加熱するためのヒーターと、前記液体加熱体の温度制御を行うためのサーモスタットまたは/および電気回路に異常電流が流れた際に電源からの電力供給を遮断するための温度ヒューズが配されていることを特徴とする液体加熱部の装置内取付構造である。
【0009】
さらに、上記第2の課題を解決するものは、表面で液体と接触して加熱可能な液体加熱体を有する加湿器であって、前記液体加熱体は、外表面に設けられた係止部と、該係止部付近に設けられ外表面の全周に渡って形成された螺合部とを有し、他方、前記加湿器本体は液体加熱体装着部を有し、前記液体加熱体は、前記螺合部と螺合する螺合手段によって、前記液体加熱体装着部が前記係止部と前記螺合手段との間に挟持されて加湿器置本体に取り付けられ、さらに、前記液体加熱体内には、該液体加熱体を加熱するためのヒーターと、前記液体加熱体の温度制御を行うためのサーモスタットまたは/および電気回路に異常電流が流れた際に電源からの電力供給を遮断するための温度ヒューズが配されていることを特徴とする加湿器である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、簡素な構造で、液体加熱体が本体から落下することがなく、液体加熱体を容易かつ安定した状態で装置本体に取り付けることができる。
請求項2に記載の発明によれば、簡素な構造で、液体加熱体が本体から落下することがなく、液体加熱体を容易かつ安定した状態で装置本体に取り付けることができると共に、液漏れにより液体加熱体に取り付けられた電気部品が損傷したり発火することを防止できる。
請求項3に記載の発明によれば、簡素な構造で、液体加熱体が本体から落下することがなく、液体加熱体を容易かつ安定した状態で加湿器本体に取り付けることができる。
請求項4に記載の発明によれば、簡素な構造で、液体加熱体が本体から落下することがなく、液体加熱体を容易かつ安定した状態で加湿器本体に取り付けることができると共に、液漏れにより液体加熱体に取り付けられた電気部品が損傷したり発火することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、螺合手段によって、液体加熱体装着部が係止部と螺合手段との間に挟持されて、液体加熱体が装置本体に取り付けられる構造を採用したため、液体加熱体が本体から落下することがなく、液体加熱体を容易かつ安定した状態で装置本体に取り付けることができる液体加熱部の装置内取付構造およびそれを備えた加湿器を実現した。
また、螺合手段によって、液体加熱体装着部が係止部と螺合手段との間に挟持されて、液体加熱体が装置本体に取り付けられる構造を採用したため、液体加熱体が本体から落下することがなく、液体加熱体を容易かつ安定した状態で加湿器本体に取り付けることができると共に、液体加熱体内に、液体加熱体を加熱するためのヒーターと、液体加熱体の温度制御を行うためのサーモスタットまたは/および電気回路に異常電流が流れた際に電源からの電力供給を遮断するための温度ヒューズを配することによって、液漏れにより液体加熱体に取り付けられた電気部品が損傷したり発火することを防止できる液体加熱部の装置内取付構造およびそれを備えた加湿器を実現した。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明の液体加熱部の装置内取付構造を備えた加湿器の一実施例の正面図であり、図2は図1の加湿器の底部内面を示す平面図であり、図3は図2のA―A線における液体加熱部付近の拡大断面図であり、図4は図2のB―B線における液体加熱部付近の断面図であり、図5は図1に示した加湿器の液体加熱体を逆さにした状態の斜視図である。
【0013】
この実施例の加湿器1は、表面で液体(水)と接触して加熱可能な液体加熱体2を有する加湿器であって、図3または図4に示すように、液体加熱体2は、外表面3に設けられた係止部4と、係止部4付近に設けられ外表面の全周に渡って形成された螺合部5とを有し、他方、加湿器本体6(装置本体)は液体加熱体装着部7を有し、液体加熱体2は、螺合部5と螺合する螺合手段8によって、液体加熱体装着部7が係止部4と螺合手段8との間に挟持されて加湿器本体6に取り付けられ、さらに、液体加熱体2内には、液体加熱体2を加熱するためのヒーター9と、液体加熱体2の温度制御を行うためのサーモスタット10および電気回路に異常電流が流れた際に電源からの電力供給を遮断するための温度ヒューズ11が配されている。以下、各構成について順次詳述する。
【0014】
この実施例の加湿器1は、図1または図2に示すように、箱型の加湿器本体6の中に、上部に給水タンク(図示しない)を装着するための給水タンク装着部12と、水を加熱して蒸気を発生させるための蒸気発生部13と、給水タンク内の水を蒸気発生部13に適宜流入させるための給水路14とを有している。加湿器本体6の正面側には操作部15が設けられ、加湿器本体6の上部蓋体16の後方側には蒸気吹出部17が設けられている。そして、給水タンクから給水路14を介して蒸気発生部13に配された水は、後述する液体加熱体2により加熱され霧化されて、蒸気発生部13の上方に設けられた蒸気吹出部17より放出され室内を加湿する。
【0015】
本発明の加湿器1の特徴は、蒸気発生部13における液体加熱体2の取付構造にあり、液体加熱体が本体から落下することがなく、液体加熱体を容易かつ安定した状態で加湿器本体に取り付けることができるように構成されている。
【0016】
具体的には、この実施例の液体加熱体2は、図3または図4に示すように、蒸気発生部13内に取り付けられると上方に突出し、その外表面3で水と接触して加熱気化させる加熱体本体部21と、加熱体本体部21の下部付近の外表面3に一体に設けられた係止部(環状リブ)4と、加熱体本体部21の下部に一体に設けられた円環状筒状部22と、係止部4の下方で、かつ円環状筒状部22の外表面の全周に渡って形成された螺合部5とを有している。
【0017】
そして、この液体加熱体2は、図4に示すように、加熱器本体6の蒸気発生部13に設けられた液体加熱体装着部(蒸気発生部13を構成する側壁7aの下部より内側(水平方向)に向かって延出した環状リブ)7の上部に、液密性を保持するためのパッキン18を介して配され、他方、螺合部5と螺合する螺合手段(六角ナット)8をワッシャ19を介して液体加熱体装着部7の下側から螺合させ堅結することにより、加湿器本体6に取り付けられている。
【0018】
このように、本発明の液体加熱体2は、液体加熱体装着部7が係止部4と螺合手段8との間に挟持(この実施例では、上下方向から押圧された状態で挟持)されて加湿器本体6に取り付けられているため、1つの螺合手段による取り付けでも液体加熱体2が加湿器本体6から落下することがなく、極めて簡素な構造で液体加熱体2を容易かつ安定した状態で取り付けることができる。
【0019】
なお、この実施例の液体加熱体2の加熱体本体部21は、図2に示すように、側部に内側に窪む把持用凹部21a,21bを有している。このため、液体加熱体2を液体加熱体装着部7に取り付ける際には、これら把持用凹部21a,21bを把持した状態で下側から螺合手段(六角ナット)8を螺合させれば、加熱体本体部21が螺合手段8と共に回転することなく、より容易に堅結することができる。
【0020】
また、液体加熱体2内には、液体加熱体2を加熱するためのヒーター9が内蔵されている。具体的には、この実施例では、図4に示すように、ヒーター9が縦断面形状で逆U字型に湾曲された状態で液体加熱体2(加熱体本体部21)内に配されている。
【0021】
さらに、液体加熱体2の温度制御を行うためのサーモスタット10と、電気回路に異常電流が流れた際に電源からの電力供給を遮断するための温度ヒューズ11も、図3に示すように、液体加熱体2(加熱体本体部21)内に配されている。より具体的には、図5に示すように、サーモスタット10は、加熱体本体部21内に設けられたサーモスタット挿入穴23内に挿入されており、温度ヒューズ11は、加熱体本体部21内に設けられた温度ヒューズ挿入穴24内に挿入されている。
【0022】
そして、ヒーター9、サーモスタット10および温度ヒューズ11はいずれも、配線される端子が円環状筒状部22内に位置するように構成されている。これらの構造によく、万一、液漏れして水が垂下しても、電気部品に水が接触することがなく、よって、電気部品が損傷したり発火することを防止することができる。
【0023】
なお、この実施例の液体加熱体2は、加熱体本体部21が蒸気発生部13に取り付けられると上方に突出する凸形態に構成されているが、図6ないし図8に示した従来例のような凹形態(蒸発皿の形態)のものも本発明の範疇に包含される。この場合、凹形態の加熱体本体部に同様に係止部(例えば環状リブ等)が設けられ、さらに、凹形態の加熱体本体部の下部に外表面に螺合部を備えた円環状筒状部が設けられ、その円環状筒状部内にヒーター、サーモスタット、温度ヒューズなどが収納されればよい。また、この実施例の加湿器は、サーモスタットおよび温度ヒューズを備えるものであるため、両者が液体加熱体内に位置するように構成されているが、いずれか一方のみ有する場合は、一方のみ液体加熱体内に配したものも本発明の範疇に包含される。さらに、この実施例では、液体加熱体内にヒーター、サーモスタット、温度ヒューズが配されているが、円環状筒状部内にヒーター、サーモスタット、温度ヒューズが配されたものも本発明の範疇に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の液体加熱部の装置内取付構造は、加湿器に適用した例を実施例として説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は水等の液体を加熱するために装置内に液体加熱体を取り付けるものに広く適用可能であり、例えば電気ケトルなどにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の液体加熱部の装置内取付構造を備えた加湿器の一実施例の正面図である。
【図2】図1の加湿器の底部内面を示す平面図である。
【図3】図2のA―A線における液体加熱部付近の拡大断面図である。
【図4】図2のB―B線における液体加熱部付近の断面図である。
【図5】図1に示した加湿器の液体加熱体を逆さにした状態の斜視図である。
【図6】従来の加湿器における液体加熱部の装置内取付構造を説明するための底部裏面図である。
【図7】図6に示した従来の加湿器の底部内面を示す平面図である。
【図8】図7のC―C線における液体加熱部付近の断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 加湿器
2 液体加熱体
3 液体加熱体の外表面
4 係止部
5 螺合部
6 加湿器本体
7 液体加熱体装着部
8 螺合手段
9 ヒーター
10 サーモスタット
11 温度ヒューズ
12 給水タンク装着部
13 蒸気発生部
14 給水路
15 操作部
16 上部蓋体
17 蒸気吹出部
18 パッキン
19 ワッシャ
21 加熱体本体部
22 円環状筒状部
23 サーモスタット挿入穴
24 温度ヒューズ挿入穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面で液体と接触して加熱可能な液体加熱体を装置本体に取り付けるための液体加熱体の装置内取付構造であって、
前記液体加熱体は、外表面に設けられた係止部と、該係止部付近に設けられ外表面の全周に渡って形成された螺合部とを有し、
他方、前記装置本体は液体加熱体装着部を有し、
前記液体加熱体は、前記螺合部と螺合する螺合手段によって、前記液体加熱体装着部が前記係止部と前記螺合手段との間に挟持されて装置本体に取り付けられることを特徴とする液体加熱部の装置内取付構造。
【請求項2】
前記液体加熱体内には、該液体加熱体を加熱するためのヒーターと、前記液体加熱体の温度制御を行うためのサーモスタットまたは/および電気回路に異常電流が流れた際に電源からの電力供給を遮断するための温度ヒューズが配されている請求項1に記載の液体加熱部の装置内取付構造。
【請求項3】
表面で液体と接触して加熱可能な液体加熱体を有する加湿器であって、
前記液体加熱体は、外表面に設けられた係止部と、該係止部付近に設けられ外表面の全周に渡って形成された螺合部とを有し、
他方、前記加湿器本体は液体加熱体装着部を有し、
前記液体加熱体は、前記螺合部と螺合する螺合手段によって、前記液体加熱体装着部が前記係止部と前記螺合手段との間に挟持されて加湿器本体に取り付けられることを特徴とする加湿器。
【請求項4】
前記液体加熱体内には、該液体加熱体を加熱するためのヒーターと、前記液体加熱体の温度制御を行うためのサーモスタットまたは/および電気回路に異常電流が流れた際に電源からの電力供給を遮断するための温度ヒューズが配されている請求項3に記載の加湿器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−74773(P2009−74773A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246523(P2007−246523)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(596159522)株式会社ミュージーコーポレーション (2)
【Fターム(参考)】