説明

加湿機およびそれを備えた加湿温風機

【課題】給水タンクの給水作業やメンテナンスを容易に行うことができる加湿機を提供すること。
【解決手段】送風機160と、加湿フィルタ230と、加湿フィルタ230に給水する加湿トレー220と、加湿トレー220に給水する給水タンク210とを含み、給水タンク210は給水口212を備えたタンク本体211と、給水口212に着脱自在な蓋215と、給水口212から取り外した蓋215をタンク本体211の底部213に結合させる結合機構219とを備え、タンク本体211の底部213に蓋215を結合させた状態で、蓋215を架台として給水口212を上方に開口した状態で給水タンク210を自立させることが可能な構成とすることにより、給水タンク210の充填作業やメンテナンスを容易に行うことが可能な使い勝手の良い加湿機を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水した加湿フィルタに空気を送給して気化させる気化式の加湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加湿機は、本体1の側面部2の下部より挿入および取り出し可能な貯水トレー3と、本体1の側面部2に着脱可能な給水タンク4を備え、給水タンク4はタンク本体4aとタンク本体4aの下部に突出して設けられた注水口4bに螺合されるキャップ4cとタンク本体4aの上部に固定されたカバー4dで構成されている。
【0003】
貯水トレー3は本体1に装着された場合、給水部3aが本体1の側面より突出した状態で配置される。給水タンク4はタンク本体4aの下部に突出して配置されたキャップ4cを貯水トレー3の給水部3aに挿入し、タンク本体4aの下部を支点として回動させながらタンク本体4aの上部に固定されたカバー4dを本体1に押し付けることにより本体1の側面部2に固定される構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図13は特許文献1に記載された従来の加湿機の給水タンクを取り外した状態の斜視図を示すものである。
【0005】
図13に示すように、加湿機の本体1の下部には貯水トレー3が装着されており、貯水トレー3の給水部3aは本体1の側面部2より突出している。
【0006】
給水タンク4はタンク本体4aの下部に一体に設けられた注水口4bにキャップ4cが螺合されており、タンク本体4aの上部にはカバー4dが固定された構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−39326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、給水タンクをタンク本体の下部を支点として回動させながらタンク本体の側面に装着させる構成とするためには、カバーの外側部より内側部を低くすることが必須となり、給水タンク上面に水平面を構成することができず、給水タンクを本体から取り外した状態では横に倒して置くことしかできないものである。
【0009】
そのため、給水タンクへの水の充填作業やメンテナンスを行う場合は、給水タンクを常に手で保持しながら作業を行う必要があり、作業性の面で改善の余地があった。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、給水タンクを本体から取り外した状態で倒立させることを可能な構成とすることにより使い勝手が良い加湿機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加湿器は、本体の外面に開口された吸気口と吹出口とを連通する風路と、風路の途中に配置され空気を送風する送風機と、送風機で送風された空気を加湿する加湿フィルタと、加湿フィルタに給水する加湿トレーと、加湿
トレーに給水する水を貯水する給水タンクとを含み、給水タンクは、給水口を備えたタンク本体と、給水口に着脱自在な蓋と、給水口から取り外した蓋をタンク本体の底部に結合させる結合機構とを備え、タンク本体の底部に蓋を結合させた状態で、蓋を架台として給水口を上方に開口した状態で給水タンクを自立させることが可能なものである。
【0012】
これにより、給水タンクを本体より取り出した場合、給水口を上方に開口させた状態で給水タンクを卓上や床面に安定して置くことができ、給水タンクの給水作業やメンテナンスを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の加湿器は、給水タンクの給水作業やメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における加湿温風機の外観斜視図
【図2】図1にAAで示す断面図
【図3】図1にBBで示す断面図
【図4】本発明の実施の形態1における加湿温風機の給水タンクの着脱操作途中を示す背面側の斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における加湿温風機の本体から給水タンクと加湿トレーを取り外した状態を示す斜視図
【図6】本発明の実施の形態1における給水タンクの起立状態の斜視図
【図7】本発明の実施の形態1における給水タンクの蓋を取り外した倒立状態の斜視図
【図8】本発明の実施の形態1における給水タンクの倒立状態を示す斜視図
【図9】本発明の実施の形態1における給水タンクの倒立状態を示す断面図
【図10】本発明の実施の形態1における結合部と結合受部を結合させた部位の詳細を示す断面図
【図11】本発明の実施の形態1における加湿トレーとフィルタトレーと加湿フィルタの分解状態を示す斜視図
【図12】本発明の実施の形態1における加湿レートの平面図
【図13】従来の加湿機の給水タンクを取り外した状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、本体の外面に開口された吸気口と吹出口とを連通する風路と、前記風路の途中に配置され空気を送風する送風機と、前記送風機で送風された空気を加湿する加湿フィルタと、前記加湿フィルタに給水する加湿トレーと、前記加湿トレーに給水する水を貯水する給水タンクとを含み、前記給水タンクは、給水口を備えたタンク本体と、前記給水口に着脱自在な蓋と、前記給水口から取り外した前記蓋を前記タンク本体の底部に結合させる結合機構とを備え、前記タンク本体の底部に前記蓋を結合させた状態で、前記蓋を架台として前記給水口を上方に開口した状態で前記給水タンクを自立させることが可能な加湿機である。
【0016】
これにより、給水タンクを本体より取り出した場合、給水口を上方に開口させた状態で給水タンクを卓上や床面に安定して置くことができ、給水タンクの給水作業やメンテナンスを容易に行うことができる。
【0017】
第2の発明は、特に第1の発明において、前記結合機構は、前記タンク本体の前記底部の外面に形成された略円柱状の結合部と、前記蓋の内面に形成された略円筒状の結合受部とで構成されたものである。
【0018】
これにより、結合部と結合受部を簡単な形状で実施することができ、タンク本体および蓋と一体成型することも可能となり、低コストで実施することができる。
【0019】
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、前記給水タンクは、前記本体の立面に設けられた開口部より着脱可能な構成とし、前記給水タンクは、前記開口部を閉塞する閉塞部材を一体に備え、前記給水タンクを前記本体に装着した状態で、前記閉塞部材は前記開口部の略全面を閉塞する構成としたものである。
【0020】
これにより、給水タンクの着脱作業を容易に行うことができるとともに、タンク本体を閉塞部材で隠蔽することにより加湿機の外観のデザイン性を向上することができる。
【0021】
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つの加湿機と、前記風路の前記送風機と前記加湿フィルタとの間に空気を加熱するヒータとを備え、前記吹出口より加湿された温風を吹き出すことを特徴とする加湿温風機である。
【0022】
これにより、湿度が低い温風に加湿することができ、適度な湿度を備えた温風で暖房効果を発揮させることができる。
【0023】
第5の発明は、特に第4の発明において、前記風路は前記ヒータの下流側で、前記加湿フィルタに連通する加湿風路と、前記加湿フィルタを通過させずに前記吹出口に直接連通する温風風路とに分岐し、前記風路の分岐点に、前記加湿風路および前記温風風路のいずれか一方または両方に温風を選択的に送風するダンパと、前記ダンパの操作を行う操作手段を備え、前記ダンパの操作により、温風と加湿温風の吹き出しが選択可能としたものである。
【0024】
これにより、温風のみの送風と加湿温風の選択が可能となり、短時間の暖房をする場合は温風を選択することにより短時間で昇温することが可能となり、長時間の暖房する場合は加湿温風を選択することにより快適な暖房効果を得ることができる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0026】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態における加湿機を備えた加湿温風機の外観を示す斜視図であり、図2は図1に示すAA断面図を示し、図3は図1に示すBB断面図を示し、図4は貯水タンクの着脱操作途中を示す斜視図であり、図5は本体から給水タンクと給水トレーを取り外した状態を示す斜視図である。
【0027】
なお、本実施の形態においては、図1に示す加湿温風機の吹出口を設けた前面側を前とし、吸気口を設けた背面側を後とし、前面から背面に向かって右側を右とし、左側を左として説明をおこなう。また着脱可能な部材については本体に設置した状態での方向に従って説明を行う。
【0028】
<1>加湿機の構成
図1および図4に示すように、加湿温風機100の本体110の上面には操作部120が、背面には吸気口130が、前面には吹出口140が設けられており、図2に示すように本体110内には吸気口130から吹出口140まで風路150が連通している。風路150には、吸気口130に近い最も上流側には送風機160が配置されており吸気口130から吸引した外気を風路150に送風する。
【0029】
送風機160の下流にはヒータ170が配置されている。ヒータ170は全体で1200Wの容量であるが、全体を2分割した構成であり、低容量の加熱を行うときは、その半分にのみに通電することで600Wの容量で加熱することができる。
【0030】
風路150は送風機160とヒータ170との間で2本に分岐しており、分岐した風路は静電霧化部180を介して吹出口140に連通する静電霧化風路151を形成している。送風機160から送風された少量(約5%)の風量は常時静電霧化風路151に供給される構成となっている。
【0031】
また、風路150はヒータ170の下流で2本に分岐しており、一方は吹出口140に直接連通する温風風路152と、他方は加湿部190を介して吹出口140に連通する加湿風路153が形成されている。
【0032】
風路150の分岐点にはダンパ200が設置されており、ダンパ200はタイミングモータとギアとクランク等で構成された駆動機構(図示せず)を備えており、ヒータ170で加熱された温風を、温風風路152のみ、または温風風路152と加湿風路153の両方に送風することを操作部120の操作で選択的に切り替えることができる。
【0033】
図2に示すようにダンパ200が位置Cの場合、温風は温風風路152と加湿風路153の両方に同時に送風される。この場合、風量の約10%を温風風路152に送風し、残りを加湿風路153に送風する。
【0034】
ダンパ200が加湿風路153を閉じる位置Dに切り替えられた場合は、温風風路152にのみ温風が送風される。
【0035】
操作部120には、加湿温風機100の電源の「入」、「切」を行う電源スイッチ121と、温風運転を連続的に行う温風連続スイッチ122と、設定温度に合わせて温風運転を行う温風室温スイッチ123と、加湿運転を行う加湿スイッチ124と、静電霧化運転を行う静電霧化スイッチ125と、入タイマを設定する入タイマスイッチ126と、切タイマを設定する切タイマスイッチ127と、子供のいたずら等の誤操作をロックするロックスイッチ128と、加湿部190のメンテナンス後に操作するリセットスイッチ129が設けられている。
【0036】
また、操作部120には上記の各種スイッチの操作状態を表示する複数の表示ランプが設置されている。
【0037】
なお、本実施の形態における加湿温風機100は、加湿風路153とは別に温風風路152を設けるとともに、風路を切り替えるダンパ200と切り替え操作を行う操作スイッチとを設け、「温風」と「加湿温風」とが選択できる構成としたが、これに限るものではなく、例えば、風路は加湿風路153のみとし、ダンパ200および切り替え操作を行う操作スイッチを設けない構成とし、送風機160による送風が全て加湿部190に供給されるものを加湿機と定義する。なお、ヒータ170は加湿機の必須の構成要素ではないが、加湿性能を向上するためにヒータ170を備えた構成であってもよい。また、静電霧化部180も加湿機の必須の構成要素ではない。
【0038】
<2>静電霧化部の構成
図2に示すように、静電霧化部180は、送風機160とヒータ170との間の風路150から分岐した静電霧化風路151内に静電霧化ユニット181が設置されている。
【0039】
静電霧化ユニット181は、送風機160で送風された空気中の水分を結露させて水を
生成する結露水生成部と、生成された水に電圧を印加する霧化電極と、霧化電極に対向して設けられた対向電極とで構成されている。
【0040】
結露水生成部は、冷却基板と放熱基板とを有するペルチェ素子を主構成部材とし、ペルチェ素子の冷却基板には尖鋭形状の霧化電極が設置されており、ペルチェ素子の冷却基板に結露した水が霧化電極に搬送される構成となっている。
【0041】
尖鋭形状の霧化電極と対向する位置に、霧化電極を包囲するように略ドーム状の対向電極が配置されており、霧化電極と対向電極の間に約3500Vの直流電流が印加することにより、霧化電極に搬送された結露水にレイリー分裂を生じさせ、ナノメートルサイズの帯電微粒子水が発生する。
【0042】
すなわち、静電霧化ユニット181を通過後の空気は、ナノメートルサイズの帯電微粒子水が含まれたものであり、吹出口140から帯電微粒子水が放出される。ナノメータサイズの帯電微粒子水は、アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸、メタン、一酸化炭素、一酸化窒素、ホルムアルデヒド等の臭気成分の分解除去と各種菌類への殺菌効果を備えており、室内に浮遊および壁面や床面に付着した臭気成分や菌類に対して脱臭と除菌および殺菌の効果を発揮することができる。
【0043】
<3>加湿部の構成
図6は給水タンクの起立状態の斜視図を示し、図7は給水タンクの蓋を外した倒立状態の斜視図を示し、図8は蓋とタンク本体を結合させた状態で蓋を架台として倒立させた給水タンクの斜視図を示し、図9は蓋とタンク本体を結合させた状態で蓋を架台として倒立させた給水タンクの断面図を示し、図10は結合部と結合受部を結合させた状態の詳細断面図を示し、図11は加湿レートとフィルタトレーと加湿フィルタの分解状態を示す斜視図であり、図12は加湿レートの平面図を示すものである。なお、図11および図12は加湿トレーを後ろ側から見た状態を示したものである。
【0044】
図2および図3に示すように、加湿部190は、加湿に使用する水を貯水する給水タンク210と、給水タンク210から流出した水を貯溜する加湿トレー220と、水を気化させる加湿フィルタ230と、加湿フィルタ230を加湿トレー220に取り付けるフィルタトレー250を主構成部材として構成されている。
【0045】
また、給水タンク210の側部には閉塞部材113が設置されており、閉塞部材113は給水タンク210を本体110に設置した状態で、タンク開口111の全面を閉塞し、外表面は本体110の外表面と連続的な形状を成すように形成されている。
【0046】
閉塞部材113の上端部には閉塞部材113を本体110に係止する係止部113bが設置されている。係止部113bは弾性により本体110に係止され、開放する場合は閉塞部材113の上部に設けられたロック解除ボタン113cを押すことにより開放される。
【0047】
また、閉塞部材113の上部には表面より凹陥した引き手113dが形成されており、引き手113dに指をかけて引き出すことにより閉塞部材113の下端部を支点とするように回動させながら給水タンク210を本体110より取り外すことができる。
【0048】
閉塞部材113の下端部を支点として回動させる着脱方式を採用した本実施の形態の構成においては、閉塞部材113より内方に配置されるタンク本体211の上端部は閉塞部材113の上縁113aより低い位置となるように配置することが必須であり、閉塞部材113の上縁113aとタンク本体211の上端部とは高さレベルが異なるため、給水タ
ンク210を本体110から取り出し、給水口212を上方に向けた倒立状態では自立させることができない構成となっている。
【0049】
なお、本実施の形態においては、給水タンク210を本体110に設置された状態である給水口212を下に向けた状態を給水タンクの起立状態とし、給水口212を上に向けた状態を給水タンクの倒立状態として説明する。
【0050】
図6に示すように、給水タンク210は、半透明の樹脂材料で成型された容量約3リットルのボトル形状のタンク本体211と蓋215とで構成されており、タンク本体211の側部にはタンク開口111を閉塞する閉塞部材113がねじを介して取り付けられている。
【0051】
図7、図8、図9に示すように、タンク本体211の倒立状態における上端部には給水口212が開口しており、給水口212の外周には雄ねじが一体に成形されており、蓋215を螺合させることができる構成となっている。
【0052】
また、タンク本体211を倒立状態における下端部となるタンク本体211の底部213の中央部には略円柱状に突起した結合部214が一体に成形されている。図10に示すように結合部214の外周は先端部の外径が基部より小さくなるようにテーパ状に形成されており、外周面の複数箇所には外周面を周回する環状の突起部214aが形成されている。
【0053】
蓋215は略円形の閉塞面215aの外周部に起立した周壁215bを備え、周壁215bの内面には給水口212の外周に設けた雄ねじに螺合する雌ねじが形成されている。また、蓋215の閉塞面215aの中央部にはばねの付勢力により自動的に閉止される閉止栓216が設けられており、給水タンク210が加湿トレー220の所定位置にセットされた場合に閉止栓216が自動的に開放され、給水タンク210の水が加湿トレー220に供給される。
【0054】
閉止栓216の周辺には略円筒形状に突起した結合受部217が一体に成形されている。結合受部217の内周は先端部の内径が基部より大きくなるようにテーパ状に成形されている。結合受部217の内径寸法はタンク本体211の結合部214に形成した突起部214aの外径より僅かに大きい寸法となっており、結合受部217と結合部214が突起部214aを介して嵌合可能な寸法関係となっている。
【0055】
上記のように、タンク本体211の結合部214と蓋215の結合受部217は、蓋215をタンク本体211の底部213に結合させる機能を備えた結合機構219を構成している。
【0056】
結合受部217には対向する周縁に先端部から基部まで連続するスリット218が成形されている。このスリット218設けることにより、図3に示すように給水タンク210を本体110にセットした使用状態において、給水タンク210の水は蓋215の閉止栓216を介して加湿トレー220に給水されるが、給水タンク210の残水が少なくなり水位が低下したときには残水がスリット218を通過して閉止栓216に流れ込むことにより、給水タンク210の全ての水を加湿トレー220に流出させることが可能となる。
【0057】
図9および図10に示すように、タンク本体211の結合部214を蓋215の結合受部217に嵌入させることにより、蓋215は閉塞部材113の上縁113aより突出した状態で嵌合されるため、給水タンク210は蓋215を架台として給水口212を上方に開口させた倒立状態で自立させることができる。
【0058】
このとき、図10に示すように結合部214の外周面に突起部214aを設けたことにより、結合部214を結合受部217に容易に嵌入できるとともに、結合部214と結合受部217を確実に嵌合させることができるので給水タンク210を安定して自立させることができる。
【0059】
図11および図12に示すように、加湿トレー220は給水タンク210から水を受ける水受部221と、加湿フィルタ230に供給する水を貯水する貯水部222と、貯水部の水位を検知する水位検知部の構成部材であるフロート槽240で構成されている。本実施の形態においては、加湿トレー220の右側に水受部221と、中央部に貯水部222と左側にフロート槽240が配置されている。
【0060】
水受部221は略円形の凹陥形状であり、その中央には円柱状の突出部223が形成されており、給水タンク210の閉止栓216が突出部223に当接することにより、閉止栓216が開放される構成となっている。
【0061】
貯水部222は略長方形の箱状に形成されており、貯水部222の内部には貯水部222と略相似形のフィルタトレー250が設置されている。フィルタトレー250の底面には複数の開口が設けられており、貯水部222に貯水された水が流入する構成となっている。フィルタトレー250は加湿トレー220より耐熱性の高い樹脂材料で成型されており、加湿部190に送風される温風で加湿トレー220が変形することを防止するとともに、加湿フィルタ230を加湿トレー220に固定する機能を備えている。
【0062】
水受部221と貯水部222とフロート槽240は連通溝で連通しており、水受部221で給水タンク210より給水された水は連通溝を介して貯水部222とフロート槽240に供給されて一定の水位で維持される。
【0063】
フロート槽240には水位の変動により浮動するフロート270が設置されており、フロート270に内蔵された磁石(図示せず)と本体110に設置されたリードスイッチ(図示せず)で構成された水位検知部の検知結果に基づいて加湿温風機100の運転が制御される。
【0064】
また、加湿トレー220の後方上部には、加湿トレー220を本体110にロックするロック機構224が設置されており、背面下部には加湿トレー220を本体110から引き出すときに使用する引き手225が一体に形成されている。
【0065】
加湿フィルタ230は樹脂材料で成型した略直方体のフィルタケース231と、フィルタケース231に内装されたフィルタ材232で構成されている。フィルタケース231は網目状に形成されており、その内外が通風可能な構成となっている。フィルタ材232は樹脂繊維の不織布を蛇行形状に折り曲げて形成した吸水性能および耐熱性の優れたものである。
【0066】
図5に示すように、加湿トレー220は本体110背面の下部に設けられたトレー開口112より収容および取り出しを行うことができる。また、本実施の形態におけるタンク開口111とトレー開口112は中間部に仕切等を配設せず連続して一体的に形成された開口となっている。
【0067】
<4>加湿温風機の動作、作用
加湿温風機100を使用する場合、準備作業として第1に給水タンク210への水の充填作業を行う。充填作業を行うときは、タンク本体211から蓋215を取り外し、タン
ク本体211の結合部214と蓋215の結合受部217とを嵌合させることにより、タンク本体211の給水口212を上方に開口させた倒立状態で自立させることができる。
【0068】
この状態で給水口212からタンク本体211内に水を充填する。充填終了後に蓋215を閉めることにより充填作業は終了する。
【0069】
次に、加湿フィルタ230とフィルタトレー250を加湿トレー220の貯水部222にセットし、本体110背面のトレー開口112から押し込む。加湿トレー220が所定位置まで押し込まれたら、ロック機構224により本体110に固定される。
【0070】
次に水を充填した給水タンク210を底部213が上になる起立状態で保持し、タンク開口111から蓋215を加湿トレー220の水受部221に挿入して、上部をタンク開口111に押し付けることにより、閉塞部材113の係止部113bが本体110に係止して給水タンク210は本体110に固定される。
【0071】
上記の準備作業完了状態において、給水タンク210の水は加湿トレー220の水受部221に流出して貯水部222およびフロート槽240に流入し、所定の水位に達したら停止する。この状態で加湿フィルタ230の下側の約1/3は水没した状態になり、毛細管現象によりフィルタ材232全体が吸水状態となる。
【0072】
貯水部222が所定の水位に達して給水が停止した状態において、フロート270はフロート槽240の所定の高さに浮き上がっており、水位検知部のリードスイッチ(図示せず)はONの状態となっており、操作部120の加湿スイッチ124の操作が可能な状態となる。
【0073】
加湿温風機100の運転を開始する場合、まず操作部120の電源スイッチ121を「入」にし、次に好みの運転モードを選択する。運転モードとしては、「温風」、「加湿」、「静電霧化」3つの基本的な運転モードがあるが、これに加え「温風」と「加湿」を同時に行う「加湿温風」の運転モードがある。また、「静電霧化」の運転モードは単独の運転モードに加え、他の「温風」、「加湿」、「加湿温風」の運転モードとの同時運転が可能な構成となっている。
【0074】
温風モードの運転を行う場合は、温風連続スイッチ122か温風室温スイッチ123のどちらかを選択操作する。温風連続スイッチ122を選択した場合には、加湿温風機100はヒータ170が「強」または「弱」の容量で室温に関係なく温風を吹き出す。また、温風室温スイッチ123を選択した場合、室温に連動してヒータ170の容量を切り換えて室温を所定温度に保つように運転する。
【0075】
温風モードの運転を行う場合は、ダンパ200は加湿風路153を閉じる位置Dに配置され、温風は温風風路152のみに供給され吹出口140から直接吹き出す。この場合、吹き出す温風は高温で乾燥した状態のものであり、このモードは短時間の部屋の暖房や、乾燥を目的とした使用に適している。
【0076】
加湿モードの運転を行う場合は加湿スイッチ124を操作する。加湿モードの運転の場合、ヒータ170の容量は低容量(約600)に設定される。ダンパ200は温風を主に加湿風路153に送風する位置Cに配置され、低温の温風は温風風路152と加湿風路153の両方に送風され、温風風路152を通過した乾燥状態の温風と、加湿風路153を通過し加湿部190で加湿された加湿空気が吹出口140の手前で混合され、吹出口140から吹き出す。
【0077】
このモードの場合、温風の一部を温風風路152から直接吹き出させることにより、流速の早い温風が吹出口140の手前で混合する加湿空気を効率的に吸引して吹き出す効果を得ることができる。
【0078】
温風モードの運転と加湿モードの運転を同時に行う加湿温風モードの運転を行う場合を、上記のように温風連続スイッチ122か温風室温スイッチ123のどちらかと加湿スイッチを操作する。
【0079】
加湿温風モードの運転の場合、ダンパ200の位置および送風状態は加湿運転の場合と同じであるが、ヒータ170の容量が1200Wの最大容量で運転される。そのため、適度に加湿された温風が吹き出し、長時間に亘り部屋を快適に暖房する場合に最も適したモードである。
【0080】
静電霧化モードの運転を行う場合は静電霧化スイッチ125を操作する。静電霧化スイッチ125を操作することにより、静電霧化ユニット181に通電され、静電霧化ユニット181は送風機160から送風された空気に含まれる水分からナノメートルサイズの帯電微粒子を発生し、帯電微粒子を含む空気を吹出口140から吹き出す。
【0081】
静電霧化モードの運転は、単独運転で実施することに加え、温風運転、加湿運転、加湿温風運転の各運転モードと同時に運転することが可能であり、いずれ運転モードにおいても室内に浮遊および壁面や床面に付着した臭気成分や菌類に対して脱臭と除菌および殺菌の効果を発揮することができる。
【0082】
運転を停止する場合は、電源スイッチ121を「切」操作することにより、加湿温風機100の運転が停止する。
【0083】
運転停止の状態で、給水タンク210の水の補充や加湿フィルタ230のメンテナンス等を実施することができる。給水タンク210を本体110から取り外す場合は、閉塞部材113の上部に設置されたロック解除ボタン113cを押しながら引き手113dに指を掛けて引けば上部を手前に引き出すことができ、給水タンク210を上方に引き出せば本体110より取り外すことができる。
【0084】
加湿トレー220を本体110から取り外すときは、加湿トレー220の背面の引き手225に指を掛けて強く引っ張ることにより本体110から引き出すことができる。
【0085】
加湿フィルタ230メンテナンスを行う場合は、加湿フィルタ230とフィルタトレー250を加湿トレー220から取り外して水洗いをすることによりフィルタ材の中に堆積したスケールやごみを取り除ことができる。
【0086】
以上のように、本実施に形態の加湿温風機100は、加湿トレー220と給水タンク210は本体110の背面に設けられた開口部より着脱可能な構成としたことにより、給水タンク210の着脱作業には給水タンク210を高い位置まで持ち上げる必要がなく、本体110の低い位置のタンク開口111から着脱可能となり安全かつ容易に着脱作業を行うことができる。
【0087】
特に、給水タンク210と閉塞部材113を一体構造として形成し、ワンタッチで着脱可能としたことにより、着脱作業を容易に行うことができるとともに、給水タンク210を閉塞部材113で隠蔽することにより加湿温風機の外観のデザイン性を向上することができる。
【0088】
また、タンク本体211の結合部214と蓋215の結合受部217を結合機構219として嵌合可能とし、給水タンク210は蓋215を架台として給水口212を上方に開口させた倒立状態で自立可能な構成としたことにより、給水タンク210への給水作業を容易に行うことができる。
【0089】
また、タンク開口111とトレー開口112を本体110の背面に設けたことにより、本体110の前面と上面および側面に発生する接合部を少なくすることができ、特に本体110上面には広いスペースの操作部120を設置することが可能となり、デザイン性が高くかつ操作性の高い使い勝手のより加湿温風機を提供することができる。
【0090】
なお、本実施の形態においては、タンク本体の結合部と蓋の結合受部を結合させた状態において、蓋の大部分の部位が閉塞部材の上縁より突出した状態となっているが、これに限るものではなく、蓋の上面部のみが閉塞部材の上縁より突出した構成、または蓋の上面部と閉塞部材の上縁が同一レベルになる構成でもよい。
【0091】
また、本実施の形態においては、円柱形状である結合部の外周面の複数箇所には外周面を周回する突起部を設ける構成としたが、これに限るものではなく、円筒状の結合受部のない周面に同様の突起部を設けた構成であっても同様な効果を得ることができる。
【0092】
また、本実施の形態においては、結合機構としてはタンク本体の底部に設けた円柱状の結合部と、蓋の内面に設けた円筒状の結合受部を嵌合させる構成としたが、結合機構の構成はこれに限るものではなく、例えば、タンク本体に設ける結合部を円筒状とし、蓋に設ける結合受部を円柱状にした構成でも同様な作用効果を得ることができる。
【0093】
また、タンク本体の底部に給水口の外周に設けたねじと同じねじ径の雄ねじを結合部として形成し、蓋を雄ねじ形状の結合部に螺合構成の結合機構等も考えることができ、結合機構としては、蓋をタンク本体の底部に工具等を使用しないで容易に結合することができ、結合した状態で給水タンクを倒立状態で自立させることが可能な構成であれば他の構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上のように、本発明にかかる加湿機は、給水タンクの充填作業やメンテナンスを容易に行うことが可能となるので、水および他の液体を使用する他の民生用機器等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0095】
100 加湿温風機
110 本体
111 タンク開口(開口部)
113 閉塞部材
120 操作部(操作手段)
130 吸気口
140 吹出口
150 風路
152 温風風路
153 加湿風路
160 送風機
170 ヒータ
200 ダンパ
210 給水タンク
211 タンク本体
212 給水口
213 底部
214 結合部
215 蓋
217 結合受部
219 結合機構
220 加湿トレー
230 加湿フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の外面に開口された吸気口と吹出口とを連通する風路と、
前記風路の途中に配置され空気を送風する送風機と、
前記送風機で送風された空気を加湿する加湿フィルタと、
前記加湿フィルタに給水する加湿トレーと、
前記加湿トレーに給水する水を貯水する給水タンクと、を含み、
前記給水タンクは、給水口を備えたタンク本体と、前記給水口に着脱自在な蓋と、前記給水口から取り外した前記蓋を前記タンク本体の底部に結合させる結合機構と、を備え、
前記タンク本体の底部に前記蓋を結合させた状態で、前記蓋を架台として前記給水口を上方に開口した状態で前記給水タンクを自立させることが可能な、
加湿機。
【請求項2】
前記結合機構は、前記タンク本体の前記底部の外面に形成された略円柱状の結合部と、前記蓋の内面に形成された略円筒状の結合受部と、で構成された、
請求項1に記載の加湿機。
【請求項3】
前記給水タンクは、前記本体の立面に設けられた開口部より着脱可能な構成とし、
前記給水タンクは、前記開口部を閉塞する閉塞部材を一体に備え、
前記給水タンクを前記本体に装着した状態で、前記閉塞部材は前記開口部の略全面を閉塞する構成の、
請求項1または2に記載の加湿機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の加湿機と、
前記風路の前記送風機と前記加湿フィルタとの間に空気を加熱するヒータと、を備え、
前記吹出口より加湿された温風を吹き出すことを特徴とする、
加湿温風機。
【請求項5】
前記風路は前記ヒータの下流側で、前記加湿フィルタに連通する加湿風路と、前記加湿フィルタを通過させずに前記吹出口に直接連通する温風風路とに分岐し、
前記風路の分岐点に、前記加湿風路および前記温風風路のいずれか一方または両方に温風を選択的に送風するダンパと、
前記ダンパの操作を行う操作手段を備え、
前記、ダンパの操作により、温風と加湿温風の吹き出しが選択可能な、
請求項4に記載の加湿温風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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