説明

加湿装置および加湿機能付空気清浄装置

【課題】本発明は加湿装置および加湿機能付空気清浄装置に関するもので、加湿能力を向上させることができるものである。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、吸気口2と排気口3を有する本体ケース4内に加湿手段6を備え、この加湿手段6は、水槽7、加湿フィルター部8、給水部9、フィルター枠部10、回転手段12とから形成され、吸気口2から排気口3へ空気を送風する送風手段13を加湿手段6の風路風下側に設け、給水部9は、フィルター枠部10の風路風上側の周縁部に位置し、略箱形状で第1の開口部15と第2の開口部16を備え、第1の開口部15は、フィルター枠部10の回転方向の下流側に開口し、第2の開口部16は、フィルター枠部10の中心方向に開口し、第2の開口部16とフィルター枠部10とを連通する連通路部26を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を加湿することのできる加湿装置、および空気を浄化しながら加湿することのできる加湿機能付空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の加湿装置の構成は以下のようになっていた。
【0003】
すなわち、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けられた加湿手段を備え、この加湿手段は円板状の加湿フィルターと、この加湿フィルターを固定し回転自在に設けられた加湿フィルター枠と、前記加湿フィルターの下部に設けた略椀状の水槽と、この水槽に一定量の水を供給する水タンクと、前記加湿フィルター枠を回転させる回転手段とから形成され、前記吸気口から前記本体ケース内に吸気した空気を前記加湿フィルターを介して前記排気口へと送風する送風手段を設け、前記加湿フィルター枠は外周部に給水部を備え、この給水部の一部が前記水槽に供給された水に常時浸るように前記加湿フィルター枠を設けると共に、前記回転手段によって前記加湿フィルター枠を回転させることにより前記加湿フィルター枠の前記給水部で前記水槽から水を汲み上げ前記加湿フィルターに給水する構成となっていた。(例えば、これに類似する先行文献は下記特許文献1に記載されている)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−282980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例における課題は、加湿能力が低いということであった。
【0006】
すなわち、従来の物においては、円板状の加湿フィルターの外周部端面より、給水部から水槽の水を汲み上げ給水していた。この加湿フィルターの外周部端面に給水された水は、加湿フィルター内を通りながら加湿フィルターの下部に流れ落ち、加湿フィルター全体に水を含ませ、この水を含んだ加湿フィルターに送風手段によって送風することによって、空気を加湿するものであった。
【0007】
そこで、加湿能力を向上させる為、送風手段による風量を増加させ、水を含んだ加湿フィルターを通過する風量を多くすると、加湿フィルターの外周部端面に給水された水は、送風手段によって加湿フィルターに送風される空気により、加湿フィルター内を下方に流れ落ちることなく、風下側の加湿フィルター面に流れ込むこととなる。つまり、加湿フィルターの外周部端面より加湿フィルター内を通りながら中央部に流れ落ちさせようとしていた水は、前記送風によって、加湿フィルターの風下側へ水平方向に流れ込み、結果として加湿フィルター内全体に水を含ませることができず、つまり加湿フィルターの狭い面積にしか水を含ませることができず、これにより、風量を上げて加湿能力を向上させることが困難であった。
【0008】
そこで本発明は、加湿能力の向上を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そしてこの目的を達成するために本発明は、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けられた加湿手段を備え、この加湿手段は水を溜める水槽と、この水槽内の水に下端が浸漬される円板状の加湿フィルター部と、この加湿フィルター部に前記水槽の水を汲み上げ、給水する給水部と、前記加湿フィルター部を覆うとともに、その外周部に前記給水部を固定したフィルター枠部と、このフィルター枠部の中央部の軸部を中心に回転させる回転手段とから形成され、前記吸気口から前記排気口へ空気を送風する送風手段を前記加湿手段の風路風下側に設け、前記給水部は、前記フィルター枠部の風路風上側の周縁部に位置し、略箱形状で第1の開口部と第2の開口部を備え、前記第1の開口部は、前記フィルター枠部の回転方向の下流側に開口し、前記第2の開口部は、前記フィルター枠部の中心方向に開口し、前記第2の開口部と前記フィルター枠部とを連通する連通路部を備え、この連通路部は、前記第2の開口部から前記フィルター枠部の中心部へ延び、前記第2の開口部の前記フィルター枠部の回転方向の上流側に設けた上流側壁部と、前記第2の開口部の前記フィルター枠部の回転方向の下流側に設けた下流側壁部と、上流側壁部と下流側壁部との間の風路風上側を塞ぐ風上側壁部とから形成したものであり、これにより、初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けられた加湿手段を備え、この加湿手段は水を溜める水槽と、この水槽内の水に下端が浸漬される円板状の加湿フィルター部と、この加湿フィルター部に前記水槽の水を汲み上げ、給水する給水部と、前記加湿フィルター部を覆うとともに、その外周部に前記給水部を固定したフィルター枠部と、このフィルター枠部の中央部の軸部を中心に回転させる回転手段とから形成され、前記吸気口から前記排気口へ空気を送風する送風手段を前記加湿手段の風路風下側に設け、前記給水部は、前記フィルター部の風路風上側の周縁部に位置し、略箱形状で第1の開口部と第2の開口部を備え、前記第1の開口部は、前記フィルター枠部の回転方向の下流側に開口し、前記第2の開口部は、前記フィルター枠部の中心方向に開口し、前記第2の開口部と前記フィルター枠部とを連通する連通路部を備え、この連通路部は、前記第2の開口部から前記フィルター枠部の中心部へ延び、前記第2の開口部の前記フィルター枠部の回転方向の上流側に設けた上流側壁部と、前記第2の開口部の前記フィルター枠部の回転方向の下流側に設けた下流側壁部と、上流側壁部と下流側壁部との間の風路風上側を塞ぐ風上側壁部とから形成したものであり、加湿能力を高めることができるものである。
【0011】
すなわち、フィルター枠部に固定された給水部は、回転することにより、第1の開口部から水槽の水を汲み上げ、第2の開口部より連通路部を介して、加湿フィルター部に水槽の水を給水するものである。この連通路部は、上流側壁部と、下流側壁部と、風上側壁部とによって囲まれ、第2の開口部とフィルター枠部とを連通するので、給水部が、第1の開口部から水槽の水を汲み上げ、時計の例えば10時から12時(最上部)に回転するまでは、主に、上流側壁部を伝いながら加湿フィルター部に水が流れ、時計の12時(最上部)からほぼ午後2時に回転するまでは、主に、下流側壁部を伝いながら加湿フィルター部に水が流れる。ここで、風上側壁部によって送風手段の送風による影響を抑制できるので、加湿フィルター部の周縁部から中心部まで水が流れ、加湿フィルター部の風路風上側の広い面積に水を含ませることができるものである。
【0012】
これらの結果により、加湿能力を向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1の加湿機能付空気清浄装置の概略図
【図2】本発明の実施の形態1の加湿機能付空気清浄装置の概略断面を示す図
【図3】本発明の実施の形態1の加湿手段の断面を示す図
【図4】本発明の実施の形態1の加湿手段の概略図
【図5】本発明の実施の形態1の給水部の概略図
【図6】本発明の実施の形態1のフィルター枠部と給水部及び加湿フィルター部の概略図
【図7】本発明の実施の形態1の上流側フィルター枠と給水部の概略図
【図8】本発明の実施の形態1のフィルター枠部の正面拡大図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態を添付図面を用いて説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1から図4に示すように、本実施形態の加湿機能付空気清浄装置1は、吸気口2と排気口3を有する本体ケース4と、この本体ケース4内に設けた空気清浄手段5と、この空気清浄手段5の下流側に加湿手段6とを備えている。
【0016】
吸気口2は、本体ケース4の両側面、および本体ケース4の前面下部とに位置し、排気口3は、本体ケース4の上面に位置している。
【0017】
空気清浄手段5は、縦長箱形状の空気清浄フィルター5aで、濾材が蛇腹形状に折られたものであり、吸気口2の風路風下側に設けている。
【0018】
加湿手段6は、空気清浄手段5である空気清浄フィルター5aの風路風下側に設けており、一定量の水が溜まった水槽7と、この水槽7の水に下端が常に浸漬した円板状の加湿フィルター部8と、この加湿フィルター部8に水槽7の水を汲み上げ、給水する給水部9と、加湿フィルター部8と給水部9とを固定する円板状のフィルター枠部10と、このフィルター枠部10の中央部の軸部11を中心に回転させる回転手段12とから形成されている。加湿手段6の風路風下側に、吸気口2から排気口3へ空気を送風する送風手段13を設けている。
【0019】
水槽7は、上面が開口した略横長箱形状で、水槽7の端部には水タンク14が装着され、その水タンク14から水が供給され、これにより水槽7内の水位は略一定状態が保たれる様になっている。
【0020】
加湿フィルター部8は、2枚の円板状の第1の層の間に第2の層を挟んだ3層構造であり、第2の層は第1の層に対し垂直方向の複数の糸により形成されている。つまり、第2の層は第1の層を繊維で連結した三次元構造体としたものである。
【0021】
図5に示すように、給水部9は、略箱形状で第1の開口部15と第2の開口部16を備えている。第1の開口部15は、給水部9のフィルター枠部10の回転方向の下流側の面で、外周側に位置した略四角形状で、第2の開口部16は、給水部9のフィルター枠部10の中心方向、つまり内周面で、フィルター枠部10の回転方向の下流側に位置した略四角形状である。
【0022】
図3と図6に示すように、フィルター枠部10は、円板状の上流側フィルター枠17と円板状の下流側フィルター枠18とから形成している。上流側フィルター枠17は、中央部に回転の中心である外方に延びた円柱形状の上流側軸部19を設け、周縁部には、給水部9の固定部20を備えている。下流側フィルター枠18は、中央部に回転の中心である外方に延びた円柱形状の下流側軸部21を設け、周縁部には、上流側フィルター枠17の外周部を覆う円筒形状の円筒部22を備え、これら下流側軸部21と円筒部22との間には、回転手段の回転動力を伝える円筒形状のギア部23を設けている。下流側軸部21から半径方向に延びた長方形平板形状の桟部24と、円形平板形状の桟部24とによって、下流側軸部21と円筒部22とを連結している。
【0023】
加湿手段6は、上流側フィルター枠17の外周に設けた固定部20に給水部9を装着し、この上流側フィルター枠17と下流側フィルター枠18との間に加湿フィルター部8を入れ、上流側フィルター枠17と下流側フィルター枠18とを嵌め合わせ、水槽7の軸受部25に上流側フィルター枠17の上流側軸部19と、下流側フィルター枠18の下流側軸部21とを回動自在に装着し、回転手段12によって、下流側フィルター枠18のギア部23を介してフィルター枠部10、給水部9、および加湿フィルター部8を回転するものである。
【0024】
このような構成における空気清浄および、加湿動作について説明する。
【0025】
水タンク14より水槽7に常時一定の水位となるように水が供給される。この水に加湿手段6の給水部9と加湿フィルター部8の一部が常時浸かった状態となる。ここで回転手段12によってフィルター枠部10を回転させることで、水を汲んだ給水部9と加湿フィルター部8が回転し、給水部9によって汲み上げられた水が頂上付近で、加湿フィルター部8に水を供給する。つまり回転手段12によりフィルター枠部10を回転させ続けることで加湿フィルター部8は常時水を保持した状態に保たれる。
【0026】
ここで、送風手段13を動かすことにより、吸気口2から本体ケース4内に空気が吸い込まれ、この空気は本体ケース4内に備えられた空気清浄フィルター5aと水を保持した状態の加湿フィルター部8とを通過し加湿清浄空気となり、排気口3から室内に排出される。
【0027】
本実施形態における特徴は、図5から図7に示すように、給水部9の第2の開口部16から加湿フィルター部8へ水を供給する構造にある。上流側フィルター枠17の固定部20に装着された給水部9の第2の開口部16と、フィルター枠部10とを連通する連通路部26を備え、この連通路部26は、上流側壁部27と下流側壁部28と風上側壁部29との3面によって囲まれた断面形状が略コの字形状で、上流側フィルター枠17の固定部20に装着された給水部9の第2の開口部16からフィルター枠部10の中心部である上流側軸部19へ延びている。上流側壁部27は、第2の開口部16のフィルター枠部10の回転方向の上流側に位置し、下流側壁部28は、第2の開口部16のフィルター枠部10の回転方向の下流側に位置し、風上側壁部29は、上流側壁部27と下流側壁部28との間の風路風上側に位置し、上流側壁部27と下流側壁部28とを繋ぎ、上流側壁部27と下流側壁部28との間の風路を塞ぐものである。
【0028】
すなわち、フィルター枠部10に固定された給水部9は、回転することにより、第1の開口部15から水槽7の水を汲み上げ、第2の開口部16より連通路部26を介して、加湿フィルター部8に水槽7の水を給水するものである。この連通路部26は、上流側壁部27と、下流側壁部28と、風上側壁部29とによって囲まれ、第2の開口部16とフィルター枠部10とを連通するので、給水部が、第1の開口部から水槽の水を汲み上げ、時計の例えば10時から12時(最上部)に回転するまでは、主に、上流側壁部27を伝いながら加湿フィルター部8に水が流れ、時計の12時(最上部)からほぼ午後2時に回転するまでは、主に、下流側壁部28を伝いながら加湿フィルター部8に水が流れる。ここで、風上側壁部29によって送風手段13の送風による影響を抑制できるので、加湿フィルター部8の周縁部から中心部まで水が流れ、加湿フィルター部8の風路風上側の広い面積に水を含ませることができるものである。
【0029】
これらの結果により、加湿能力を向上させることができるものである。
【0030】
また、連通路部26の上流側壁部27は、略縦長平板形状で、フィルター枠部10の周縁部からフィルター枠部10の中心部へ徐々にフィルター枠部10の軸方向の寸法が小さくなり、加湿フィルター部8との距離が大きくなる構成である。具体的には、連通路部26の上流側壁部27は、略縦長平板形状で、風路風下側端面、つまり加湿フィルター部8側の端面が、周縁部からフィルター枠部10の中心部へ向かうにつれ、風路風上側、つまり風上側壁部側に近づくように傾斜するものである。
【0031】
すなわち、上流側フィルター枠17の固定部20に給水部9を装着し、この上流側フィルター枠17と下流側フィルター枠18との間に加湿フィルター部8を入れ、上流側フィルター枠17と下流側フィルター枠18とを嵌め合わせると、連通路部26の上流側壁部27の風路風下側端面が加湿フィルター部8に接触する。ここで、加湿フィルター部8は、2枚の円板状の第1の層の間に第2の層を挟んだ3層構造であり、第2の層は第1の層に対し垂直方向の複数の糸により形成され、弾力性があるので、加湿フィルター部8風上側の面は、連通路部26の上流側壁部27の風路風下側端面に沿って傾斜することになる。これにより、給水部9が、第1の開口部15から水槽7の水を汲み上げ、時計の例えば10時から12時(最上部)に回転する間に、連通路部26の上流側壁部27を伝って流れるが、上流側壁部27の風路風下側端面寄りを伝う水は、主に、加湿フィルター部8の周縁部に給水し、上流側壁部27の風上側壁部29寄りを伝う水は、主に、加湿フィルター部8の中央部に給水することとなり、結果として、加湿フィルター部8の広い面積にほぼ均等に給水することが出来る。
【0032】
また、連通路部26の前記下流側壁部28は、略縦長平板形状で、フィルター枠部10の周縁部からフィルター枠部10の中心部へ徐々にフィルター枠部10の軸方向の寸法が小さくなり、加湿フィルター部8との距離が大きくなる構成である。具体的には、連通路部26の下流側壁部28は、略縦長平板形状で、風路風下側端面、つまり加湿フィルター部8側の端面が、周縁部からフィルター枠部10の中心部へ向かうにつれ、風路風上側、つまり風上側壁部29側に近づくように傾斜するものである。
【0033】
すなわち、上流側フィルター枠17の固定部20に給水部9を装着し、この上流側フィルター枠17と下流側フィルター枠18との間に加湿フィルター部8を入れ、上流側フィルター枠17と下流側フィルター枠18とを嵌め合わせると、連通路部26の下流側壁部28の風路風下側端面が加湿フィルター部8に接触する。ここで、加湿フィルター部8は、2枚の円板状の第1の層の間に第2の層を挟んだ3層構造であり、第2の層は第1の層に対し垂直方向の複数の糸により形成され、弾力性があるので、加湿フィルター部8風上側の面は、連通路部26の下流側壁部28の風路風下側端面に沿って傾斜することになる。これにより、給水部9が、第1の開口部15から水槽7の水を汲み上げ、時計の12時(最上部)からほぼ2時に回転する間に、連通路部26の下流側壁部28を伝って流れるが、下流側壁部28の風路風下側端面寄りを伝う水は、主に、加湿フィルター部8の周縁部に給水し、下流側壁部28の風上側壁部29寄りを伝う水は、主に、加湿フィルター部8の中央部に給水することとなり、結果として、加湿フィルター部8の広い面積にほぼ均等に給水することが出来る。
【0034】
また、連通路部26の上流側壁部27は、風路風上側から風路風下側にいくにつれ、下流側壁部28との距離が広がったものである。具体的には、給水部9が、第1の開口部15から水槽7の水を汲み上げ、時計の例えば6時から12時(最上部)に回転する間の、9時の位置で、連通路部26の上流側壁部27の風路風下側端面、つまり加湿フィルター部8側の端面が下がり、上流側壁部27が下方向に傾斜したものである。
【0035】
すなわち、給水部9が、第1の開口部15から水槽7の水を汲み上げ、時計のほぼ10時から12時(最上部)に回転する間に、連通路部26の上流側壁部27を伝って流れる水は、加湿フィルター部8側へ流れ易くなるので、加湿フィルター部8に流れずに水槽7に流れ落ちる水の量を低減することが出来る。
【0036】
また、連通路部26の下流側壁部28は、風路風上側から風路風下側にいくにつれ、上流側壁部27との距離が広がったものである。具体的には、給水部9が、第1の開口部15から水槽7水を汲み上げ、時計の例えば12時(最上部)からほぼ6時に回転する間の、3時の位置で、連通路部26の下流側壁部28の風路風下側端面、つまり加湿フィルター部8側の端面が下がり、下流側壁部28が下方向に傾斜したものである。
【0037】
すなわち、給水部9が、第1の開口部15から水槽の水を汲み上げ、時計の例えば12時(最上部)からほぼ2時に回転する間に、連通路部26の下流側壁部28を伝って流れる水は、加湿フィルター部8側へ流れ易くなるので、加湿フィルター部8に流れずに水槽7に流れ落ちる水の量を低減することが出来る。
【0038】
また、連通路部26内に、水流方向変更手段を設けたものである。この連通路部26内の水流方向変更手段は、風上側壁部29から連通路部26内に突出した突起部30である。具体的には、水流方向変更手段は、連通路部26内で、給水部9の第2の開口部16と上流側フィルター枠17の上流側軸部19との間のほぼ中間部に位置し、風上側壁部29から連通路部26内に、上流側壁部27と下流側壁部28と繋げるように突出した突起部30である。
【0039】
すなわち、上流側壁部27または下流側壁部28の風上側壁部29寄りを伝う水は、給水部9の第2の開口部16から上流側フィルター枠17の上流側軸部19に流れる途中で、水流方向変更手段である突起部30に当たり、加湿フィルター部8方向へ水の流れの方向が変わるので、加湿フィルター部8に流れずに水槽7に流れ落ちる水の量を低減することが出来る。
【0040】
また、給水部9の第2の開口部16の開口面積は、第1の開口部15の開口面積より小さいものである。
【0041】
すなわち、給水部9の第2の開口部16の開口面積は、第1の開口部15の開口面積より小さいので、給水部9の第2の開口部16から、給水部9内の水がすべて流れ落ちるまでの時間が長くなるので、給水時間が長くなり、加湿フィルター部8の吸水率を向上することが出来る。
【0042】
また、給水部9の第2の開口部16は、連通路部26の下流側壁部28と連通した構成である。具体的には、給水部9は、一面が開口した略箱形状で、この給水部9の第1の開口部15の一辺に略四角形状の第2の開口部16を備えている。給水部9の第1の開口部15は、フィルター枠部10の回転方向の下流側に位置し、給水部9の第2の開口部16は、フィルター枠部10の中心方向に位置するように、給水部9は、上流側フィルター枠17の固定部20に装着されている。この固定部20は、給水部9の第1の開口部15に対向した面を挟むように、上流側フィルター枠17からフィルター枠部10の内方に延びた爪部31と、給水部9の第2の開口部16を有する面を覆うように、連通路部26の上流側壁部27の周端部からフィルター枠部10の回転方向の上流側に延びた略平板形状の第1の固定壁部32と、給水部9の第1の開口部15のほぼ半分の面積を覆うように、連通路部26の下流側壁部28の周端部からフィルター枠部10の半径方向外周側に延びた略平板形状の第2の固定壁部33とから形成されている。
【0043】
すなわち、フィルター枠部10が、時計の例えば5時から7時に回転する間に、水槽7の水を給水部9である第1の開口部15から汲み上げ、次に、フィルター枠部10が、時計のほぼ10時から12時(最上部)に回転する間に、給水部9の第2の開口部16から連通路部26の上流側壁部27に水を流し、更に、フィルター枠部10が、時計の12時(最上部)からほぼ午後2時に回転する間に、給水部9の第2の開口部16から連通路部26の下流側壁部28に水を流すが、ここで、給水部9内の水は、第2の固定壁部33と給水部9の3面、つまり給水部9の第2の開口部16を有する面、給水部9の第2の風路風上側の面、および給水部9の風路風下側の面とによって囲まれた空間に水が溜まり、この空間の底部に第2の開口部16が位置するものである。結果として、給水部9内の水は、給水部9内に残ることなく、第2の開口部16から連通路部26の下流側壁部28に流れ出ることが出来る。
【0044】
また、給水部9は、複数設けられ、給水部9から延びた各々の連通路部26は、それら連通路部26同士がフィルター枠部10の中央部で連通した構成である。具体的には、隣り合った連通路部26の上流側壁部27のフィルター枠部10の中央部側の端部と、連通路部26の下流側壁部28のフィルター枠部10の中央部側の端部とが連結したものである。
【0045】
すなわち、給水部9の第2の開口部16から連通路部26に流れ、加湿フィルター部8に流れずに、連通路部26のフィルター枠部10中央部まで流れた水は、他の連通路部26に流れ込み、この連通路部26から加湿フィルター部8に水が流れ込むことができる。結果として、加湿フィルター部8のより広い面積に給水できるので、加湿フィルター部8の広い面積にほぼ均等に給水することが出来る。
【0046】
また、フィルター枠部10の中央部で、連通路部26内に水分散手段を設けたものである。この水分散手段は、連通路部26内に突出した突起部34である。具体的には、フィルター枠部10である上流側フィルター枠17から、連通路部26内の上流側フィルター枠17の中央部、つまり各々の連通路部26が連通している連通路部26内に突出した複数の略平板形状の突起部34である。
【0047】
すなわち、給水部9の第2の開口部16から連通路部26に流れ、加湿フィルター部8に流れずに、連通路部26のフィルター枠部10中央部まで流れた水は、水分散手段である複数の略平板形状の突起部34に当たり、水が分散し、他の複数の連通路部26、つまり時計の例えば6時の位置にある連通路部26ばかりでなく、時計のほぼ4時から5時、および時計のほぼ7時から8時の位置にある連通路部26にも流れ込み易くなる。結果として、複数の連通路部26から加湿フィルター部8に水が流れ込むので、加湿フィルター部8のより広い面積に給水でき、加湿フィルター部8の広い面積にほぼ均等に給水することが出来る。
【0048】
また、連通路部26の上流側壁部27と下流側壁部28との間隔は、フィルター枠部10の中央部が最も大きい構成である。具体的には、連通路部26の上流側壁部27と下流側壁部28との間隔は、フィルター枠部10の周縁部から中央部近傍までは同じ寸法の間隔であるが、この中央部近傍から隣り合った連通路部26の上流側壁部27と下流側壁部28とが連結する部分までは、徐々に連通路部26の上流側壁部27と下流側壁部28との間隔が広がるものである。
【0049】
すなわち、給水部9の第2の開口部16から連通路部26に流れ、加湿フィルター部8に流れずに、連通路部26のフィルター枠部10中央部まで流れた水が、水分散手段である複数の略平板形状の突起部34に当たり、水が分散し、他の複数の連通路部26、つまり時計の例えば6時の位置にある連通路部26ばかりでなく、更に時計のほぼ4時から5時、および時計のほぼ7時から8時の位置にある連通路部26にも流れ込み易くなる。結果として、複数の連通路部26から加湿フィルター部8に水が流れ込むので、加湿フィルター部8のより広い面積に給水でき、加湿フィルター部8の広い面積にほぼ均等に給水することが出来る。
【0050】
また、図6、8に示すように、フィルター枠部10は、給水部9の第1の開口部15のフィルター枠部10の回転方向の下流側の外周面に開口した水抜き孔部35を設け、この水抜き孔部35に、水膜防止手段を備えたものである。このフィルター枠部10の水膜防止手段は、水抜き孔部35と連通したフィルター枠部10の風路風上側の面に開口した連通孔部36と、この連通孔部36内から、水抜き孔部35に対向するように延びた略平板形状の平板部37とで形成し、この平板部37のフィルター枠部10の軸方向の寸法は、水抜き孔部35の水抜き孔部35の軸方向の寸法より大きい構成としたものである。
【0051】
具体的には、フィルター枠部10の下流側フィルター枠18で、給水部9の第1の開口部15のフィルター枠部10の回転方向の下流側の円筒部に略四角形状の開口した水抜き孔部35を設け、この水抜き孔部35に、水膜防止手段を備えたものである。この水膜防止手段は、水抜き孔部35と連通した上流側フィルター枠17部の風路風上側の面に開口した連通孔部36と、この連通孔部36内から、水抜き孔部35に対向するように上流側フィルター枠17部から延びた略四角平板形状の平板部37とで形成し、この平板部37のフィルター枠部10の軸方向の寸法は、水抜き孔部35のフィルター枠部10の軸方向の寸法より大きい、つまり水抜き孔部35より風路風下側に飛び出した構成としたものである。
【0052】
すなわち、加湿フィルター部8のメンテナンスをする場合に、水槽7のからフィルター枠部10を取り外すが、この時、フィルター枠部10内の水が早く流れ出す為に、水抜き孔部35を設けている。例えば、この水抜き孔部35をフィルター枠部10の外周面に設け、水膜防止手段を備えていないと、回転手段12によってフィルター枠部10を回転させることで、水抜き孔部35が水槽7の水に浸かり、この水から出ると、水抜き孔部35に水膜ができ、この水膜が送風により、フィルター枠部10の外周面の水抜き孔部35からフィルター枠部10外側に飛び出すこととなる。そこで、水抜き孔部35をフィルター枠部10の外周面に設け、この水抜き孔部35に水膜防止手段を設けると、水膜は、水抜き孔部35の風路風下側端部と、水膜防止手段である平板部37の風路風下側端部とを繋ぐようにできるが、この平板部37の風路風下側端部は、水抜き孔部35の風路風下側端部より風路風下側に位置するので、水膜はフィルター枠部10外側に飛び出すことなく、加湿フィルター部8に飛ぶので、加湿フィルター部8への給水量を増加することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように本発明は、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けられた加湿手段を備え、この加湿手段は一定量の水が溜まった水槽と、この水槽の水に下端が常に浸漬した円板状の加湿フィルター部と、この加湿フィルター部に前記水槽の水を汲み上げ、給水する給水部と、前記加湿フィルター部と前記給水部とを固定するフィルター枠部と、このフィルター枠部の中央部の軸部を中心に回転させる回転手段とから形成され、前記吸気口から前記排気口へ空気を送風する送風手段を前記加湿手段の風路風下側に設け、前記給水部は、前記フィルター部の風路風上側の周縁部に位置し、略箱形状で第1の開口部と第2の開口部を備え、前記第1の開口部は、前記フィルター枠部の回転方向の下流側に開口し、前記第2の開口部は、前記フィルター枠部の中心方向に開口し、前記第2の開口部と前記フィルター部とを連通する連通路部を備え、この連通路部は、前記第2の開口部から前記フィルター枠部の中心部へ延び、前記第2の開口部の前記フィルター枠部の回転方向の上流側に設けた上流側壁部と、前記第2の開口部の前記フィルター枠部の回転方向の下流側に設けた下流側壁部と、上流側壁部と下流側壁部との間の風路風上側を塞ぐ風上側壁部とから形成したものであり、加湿能力を高めることができるものである。
【0054】
すなわち、フィルター枠部に固定された給水部は、回転することにより、第1の開口部から水槽の水を汲み上げ、第2の開口部より連通路部を介して、加湿フィルター部に水槽の水を給水するものである。この連通路部は、上流側壁部と、下流側壁部と、風上側壁部とによって囲まれ、第2の開口部とフィルター枠部とを連通するので、給水部が、第1の開口部から水槽の水を汲み上げ、時計のほぼ10時から12時(最上部)に回転するまでは、主に、上流側壁部を伝いながら加湿フィルター部に水が流れ、時計の12時(最上部)からほぼ2時に回転するまでは、主に、下流側壁部を伝いながら加湿フィルター部に水が流れる。ここで、風上側壁部によって送風手段の送風による影響を抑制できるので、加湿フィルター部の周縁部から中心部まで水が流れ、加湿フィルター部の風路風上側に水を含ませることができるものである。
【0055】
これらの結果により、加湿能力を向上させることができるものである。
【0056】
従って、家庭用や事務所用などの、加湿装置および加湿機能付空気清浄装置として活用が期待されるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 加湿機能付空気清浄装置
2 吸気口
3 排気口
4 本体ケース
5 空気清浄手段
5a 空気清浄フィルター
6 加湿手段
7 水槽
8 加湿フィルター部
9 給水部
10 フィルター枠部
11 軸部
12 回転手段
13 送風手段
14 水タンク
15 第1の開口部
16 第2の開口部
17 上流側フィルター枠
18 下流側フィルター枠
19 上流側軸部
20 固定部
21 下流側軸部
22 円筒部
23 ギア部
24 桟部
25 軸受部
26 連通路部
27 上流側壁部
28 下流側壁部
29 風上側壁部
30 突起部
31 爪部
32 第1の固定壁部
33 第2の固定壁部
34 突起部
35 水抜き孔部
36 連通孔部
37 平板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けられた加湿手段を備え、この加湿手段は水を溜める水槽と、この水槽内の水に下端が浸漬される円板状の加湿フィルター部と、この加湿フィルター部に前記水槽の水を汲み上げ、給水する給水部と、前記加湿フィルター部を覆うとともに、その外周部に前記給水部を固定したフィルター枠部と、このフィルター枠部の中央部の軸部を中心に回転させる回転手段とから形成され、前記吸気口から前記排気口へ空気を送風する送風手段を前記加湿手段の風路風下側に設け、前記給水部は、前記フィルター部の風路風上側の周縁部に位置し、略箱形状で第1の開口部と第2の開口部を備え、前記第1の開口部は、前記フィルター枠部の回転方向の下流側に開口し、前記第2の開口部は、前記フィルター枠部の中心方向に開口し、前記第2の開口部と前記フィルター枠部とを連通する連通路部を備え、この連通路部は、前記第2の開口部から前記フィルター枠部の中心部へ延び、前記第2の開口部の前記フィルター枠部の回転方向の上流側に設けた上流側壁部と、前記第2の開口部の前記フィルター枠部の回転方向の下流側に設けた下流側壁部と、上流側壁部と下流側壁部との間の風路風上側を塞ぐ風上側壁部とから形成した加湿装置。
【請求項2】
連通路部の前記上流側壁部は、略縦長平板形状で、前記フィルター枠部の周縁部から前記フィルター枠部の中心部へ徐々に前記フィルター枠部の軸方向の寸法が小さくなり、前記加湿フィルター部との距離が大きくなる構成である請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
連通路部の前記下流側壁部は、略縦長平板形状で、前記フィルター枠部の周縁部から前記フィルター枠部の中心部へ徐々に前記フィルター枠部の軸方向の寸法が小さくなり、前記加湿フィルター部との距離が大きくなる構成である請求項1または2のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項4】
連通路部の前記上流側壁部は、風路風上側から風路風下側にいくにつれ、下流側壁部との距離が広がった請求項1〜3のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項5】
連通路部の前記下流側壁部は、風路風上側から風路風下側にいくにつれ、上流側壁部との距離が広がった請求項1〜4のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項6】
連通路部内に、水流方向変更手段を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項7】
連通路部内の水流方向変更手段は、風上側壁部から連通路部内に突出した突起部である請求項1〜6のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項8】
給水部の前記第2の開口部の開口面積は、第1の開口部の開口面積より小さい請求項1〜7のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項9】
給水部の前記第2の開口部は、前記連通路部の下流側壁部と連通した構成である請求項1〜8のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項10】
給水部は、複数設けられ、前記給水部から延びた各々の前記連通路部は、それら前記連通路部同士が前記フィルター枠部の中央部で連通した構成である請求項1〜9のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項11】
連通路部の前記上流側壁部と前記下流側壁部との間隔は、フィルター枠部の中央部が最も大きい構成である請求項10に記載の加湿装置。
【請求項12】
フィルター枠部の中央部で、前記連通路部内に水分散手段を設けた請求項10または11のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項13】
フィルター枠部の前記水分散手段は、前記連通路部内に突出した突起部である請求項12に記載の加湿装置。
【請求項14】
フィルター枠部は、前記給水部の前記第1の開口部の前記フィルター枠部の回転方向の下流側の外周面に開口した水抜き孔部を設け、この水抜き孔部に、水膜防止手段を備えた請求項1〜13のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項15】
フィルター枠部の水膜防止手段は、前記水抜き孔部と連通した前記フィルター枠部の風路風上側の面に開口した連通孔部と、この連通孔部内から、前記水抜き孔部に対向するように延びた略平板形状の平板部とで形成し、この平板部の前記フィルター枠部の軸方向の寸法は、前記水抜き孔部の前記フィルター枠部の軸方向の寸法より大きい構成とした請求項14に記載の加湿装置。
【請求項16】
加湿手段の上流側に空気清浄手段を設けた請求項1〜15のいずれかに記載の加湿空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−33303(P2011−33303A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182161(P2009−182161)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】