説明

加湿装置

【課題】本発明は、乾燥した室内を加湿するための加湿装置に関するもので、加湿運転停止時に加湿作用を確実に停止し、水の無駄な消費を抑制しながら、供給水への雑菌の混入、繁殖をなくした安全性の高い加湿装置を提供するとともに、供給水のスケール成分の濃縮をなくし、加湿効率の低下を抑制することができる加湿装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、水を給水する給水タンク7と、給水タンク7から供給される水を気化させる気化部材4と、給水タンク7から気化部材4まで一定量の水を運び、気化部材4に給水する給水手段とを備え、気化部材4より上部に給水タンク7を配置し、気化部材4からの余剰水を貯水する排水タンク8を備え、排水タンク8を気化部材4の下部に配置するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥した室内を加湿するための加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、回転部材に水を含ませて気化させる加湿装置が広く普及している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の加湿装置は、貯水容器、気化素子及び水車を備えており、気化素子は、貯水容器の満水時の水位よりも上側に配置され、貯水容器から水車により運ばれてきた水を気化させている。気化素子は貯水容器の水面から離れており、水車の稼働を停止すれば加湿運転停止時に水が気化素子へ移動しないので、加湿を確実に停止させることができる。このように、加湿運転停止時に加湿作用を確実に停止し、水の無駄な消費を抑制する加湿装置を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−97849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の加湿装置は、少なくとも水車が水没する程度の貯水容器を設ける必要があり、装置が大型化するという課題を有していた。
【0006】
また、水車は一方では室内空気に晒され、一方では貯水容器には水没され、この状態を繰り返すことになるので、室内空気に含まれる雑菌を貯水容器に混入させることになる。さらに、気化素子に供給される水分の一部は、気化されずに、最終的に貯水容器に滴下することになり室内空気に含まれる雑菌を貯水容器に混入させることになる。このような場合、貯水容器内で雑菌が繁殖し、雑菌を含んだ水を気化素子に供給してしまうという課題を有していた。
【0007】
また、加湿用には水道水が使用されるが、一般的に水道水には、カルシウムやマグネシウムなどが含まれており、上記のように気化素子に供給した水分の一部が気化し、残りが貯水容器に戻るような構造とした場合、加湿運転が進み、貯水容器内の水が減少してくると、貯水容器内では上記、カルシウム、マグネシウムなどの濃度が上昇した所謂スケール成分の濃度が上昇した水が残留することになる。この場合、最終的にスケール成分濃度の高い水を気化素子に供給することになり、気化素子上でのスケール成分の析出が起こりやすい状態となり、析出が進むと、気化能力の低下、すなわち加湿能力の低下という課題を有していた。
【0008】
そこで本発明は、このような課題を解決するものであり、加湿運転停止時に加湿作用を確実に停止し、水の無駄な消費を抑制しながら、供給水への雑菌の混入、繁殖をなくした安全性の高い加湿装置を提供するとともに、供給水のスケール成分の濃縮をなくし、加湿効率の低下を抑制することができる加湿装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために本発明は、水を給水する給水タンクと、前記給水タンクから供給される水を気化させる気化部材と、前記給水タンクから前記気化部材まで一定量の水を運び、前記気化部材に給水する給水手段とを備え、前記気化部材より上部に前記給水タンクを配置するものである。
【0010】
また、気化部材からの余剰水を貯水する排水タンクを備え、前記排水タンクを前記気化部材の下部に配置するものである。
【0011】
また、給水タンクは、下部に給水口と、前記給水口を閉塞し前記給水タンクを密閉する閉塞弁を備え、給水手段は前記閉塞弁を所定時間、開口することにより、一定量の給水を行うものである。
【0012】
また、閉塞弁を駆動する駆動手段を備えたものである。
【0013】
また、閉塞弁を給水口に押し付け、前記給水口を閉塞するバネ部材と、下方からの押圧により前記閉塞弁を押し上げ、前記給水口を開口する押圧棒を備え、駆動手段は前記押圧棒を押し上げることにより前記閉塞弁を開口するものである。
【0014】
また、給水タンクから流出する水を受ける水受部を備え、水受部は押圧棒を押し上げる押上げ手段を有し、水受部を上下に駆動する駆動手段を備え、水受部が上下に駆動することにより押上げ手段が押圧棒を押し上げるものである。
【0015】
また、気化部材を駆動する駆動手段を備え、駆動手段はモーターとモーターギアを設け、前記モーターギアと噛み合うギアを前記気化部材の周囲に備え、水受部を押し上げる水受部押上げ手段を前記気化部材の周囲に備えるものである。
【0016】
また、水受部が下に駆動し、押上げ手段が押圧棒から離れたのち、前記水受部にためられた水を気化部材に給水するものである。
【0017】
また、水受部が上に駆動し、押上げ手段が押圧棒を押し上げるとき、前記水受部の貯水上端は、給水タンクの給水口よりも高い位置になるものである。
【0018】
また、水受部の下部に水受部開口部を設け、前記水受部開口部を閉塞する水受部閉塞弁を備え、前記水受部が駆動し、下に移動したとき、前記水受部閉塞弁が駆動し、前記水受部開口部が開口し、前記水受部に溜められた水を気化部材に供給するものである。
【0019】
また、水受部閉塞弁を水受部開口部に押し付けるバネ部材を備え、通常状態では前記バネ部材は前記水受部閉塞弁を水受部開口部に押し付けるものである。
【0020】
また、水受部を取外し可能に設置するものである。
【0021】
また、加湿能力以上の水を気化部材に供給するものである。
【0022】
また、排水タンクに水位センサーを備え、所定の水量に達すると、加湿運転を停止するものである。
【0023】
また、排水タンクに水位センサーを備え、所定の水量に達すると、水分供給を停止するものである。
【0024】
また、加湿運転停止時には、給水タンクが密閉された状態で駆動を停止するものである。
【0025】
また、水は気化部材の中心より上方に供給するものである。
【0026】
また、水を気化部材の回転に対して上方に移動する部分に供給するものである。
【0027】
そして、これら手段により、初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0028】
以上のように本発明は、水を給水する給水タンクと、前記給水タンクから供給される水を気化させる気化部材と、前記給水タンクから前記気化部材まで一定量の水を運び、前記気化部材に給水する給水手段とを備え、前記気化部材より上部に前記給水タンクを配置するものであるので、給水タンクから水を直接、気化部材に供給するので、運転停止時にも、水は周囲の空気に触れることないので、供給水に雑菌の混入をなくした安全性の高い加湿装置を供給できる。また、給水タンクが気化部材より上方に配置されているので、水の落下により水を供給できるので、ポンプなどの特別な駆動力を必要とせず、簡単な構成で上記を実現できる。
【0029】
また、気化部材からの余剰水を貯水する排水タンクを備え、前記排水タンクを前記気化部材の下部に配置するものであるので、周囲の条件により、気化部材での気化量は変化するが、気化量が少ない場合でも、気化できなかった水分は排水タンクに貯水されるので、水漏れの心配はない。さらに、水道水に含まれるスケール成分は、気化しないので、気化できなかった水分に濃縮されることになるが、排水タンクに貯水されるのでこの水を再度気化部材に供給されることがなく、気化部材でのスケール成分の析出による加湿能力の低下を抑制できる加湿装置を供給できる。
【0030】
また、給水タンクは、下部に給水口と、前記給水口を閉塞し前記給水タンクを密閉する閉塞弁を備え、給水手段は前記閉塞弁を所定時間、開口することにより、一定量の給水を行うものであるので、給水タンクに設けられた給水口とこの給水口を閉塞する閉塞弁を備え、閉塞弁の開口と、開口時間により給水量を調整できるので、簡単な構成で、水の供給と水量を調整できる。
【0031】
また、閉塞弁を駆動する駆動手段を備えたものであるので、駆動手段で開口と開口時間を調整できる。
【0032】
また、閉塞弁を給水口に押し付け、前記給水口を閉塞するバネ部材と、下方からの押圧により前記閉塞弁を押し上げ、前記給水口を開口する押圧棒を備え、駆動手段は前記押圧棒を押し上げることにより前記閉塞弁を開口するものであるので、バネの張力で閉塞弁を給水口に押し付けることにより閉塞し、押圧棒でバネを縮め閉塞弁を給水口から離すことで開口し水を給水することができ、簡単な構成で水を供給することができる。
【0033】
また、給水タンクから流出する水を受ける水受部を備え、水受部は押圧棒を押し上げる押上げ手段を有し、この水受部が上下に駆動することにより押圧棒を押し上げるものであるので、水受部を設けることにより、いったん一定量の水を水受部にためてから気化部材に供給することになるので、安定した量の水を気化部材に供給することができる。
【0034】
また、気化部材を駆動する駆動手段を備え、駆動手段はモーターとモーターギアを設け、前記モーターギアと噛み合うギアを前記気化部材の周囲に備え、水受部を押し上げる水受部押上げ手段を前記気化部材の周囲に備えるものであるので、ギアとモーターの組み合わせで気化部材を回転することになり、簡単に構成できる。気化部材が回転することにより、供給された水が気化部材に均一に行き渡ることにより加湿効率が向上する。また、この回転に合わせて閉塞弁を開閉することにより、一定間隔で水を供給することができ気化部材に均一に水を供給することができる。また、気化部材の周囲に押上げ手段を配置することにより、押し上げる間隔や、時間を調整しやすく、簡単な構成で、水量の調整が可能になる。
【0035】
また、水受部が下に駆動し、押上げ手段が押圧棒から離れたのち、前記水受部にためられた水を気化部材に給水するものであるので、水受部から気化部材に給水するときには、給水タンクの閉塞弁を閉塞することにより、一定量の水を気化部材に供給できるとともに、給水タンクから水が流れ続けることを抑制することができる。
【0036】
また、水受部が上に駆動し、押上げ手段が押圧棒を押し上げるとき、前記水受部の貯水上端は、給水タンクの給水口よりも高い位置になるものであるので、水受部が上に駆動し、押上げ手段が押圧棒を押し上げるとき、水受部の貯水上端は、給水タンクの給水口よりも高い位置になるので、水受部に水が満たされた後、給水タンクの給水口が開いていても、水の供給が止まり、水が供給され続けることがない。
【0037】
また、水受部の下部に水受部開口部を設け、前記水受部開口部を閉塞する水受部閉塞弁を備え、前記水受部が駆動し、下に移動したとき、前記水受部閉塞弁が駆動し、前記水受部開口部が開口し、前記水受部に溜められた水を気化部材に供給するものであるので、水受部に水受部閉塞弁を設け、気化部材に水を供給するときに開口することにより水を気化部材に給水することができる。
【0038】
また、水受部閉塞弁を水受部開口部に押し付けるバネ部材を備え、通常状態では前記バネ部材は前記水受部閉塞弁を水受部開口部に押し付けるものであるので、バネの張力で水受部閉塞弁を水受部開口部に押し付けることにより閉塞し、バネを縮め水受部閉塞弁を水受部開口部から離すことで開口し水を給水することができ、簡単な構成で水を供給することができる。
【0039】
また、水受部を取外し可能に設置するものであるので、水受部を取外し可能に設置することにより、ユーザーが取り外して清掃することができ、清潔な加湿装置を提供できる。
【0040】
また、加湿能力以上の水を気化部材に供給するものであるので、必ず、排水することにより、スケール成分が濃縮された水を排水タンクに排水することができ、気化部材へのスケール成分析出を抑制できる。
【0041】
また、排水タンクに水位センサーを備え、所定の水量に達すると、加湿運転を停止するものであるので、排水タンクに水位センサーを備え、所定の水量に達すると、加湿運転を停止するので、排水タンクからの水の溢れを抑制できる。
【0042】
また、排水タンクに水位センサーを備え、所定の水量に達すると、水分供給を停止するものであるので、排水タンクに水位センサーを備え、所定の水量に達すると、水分供給を停止するので、水の供給が止まり、排水タンクからの水の溢れを抑制できる。
【0043】
また、加湿運転停止時には、給水タンクが密閉された状態で駆動を停止するものであるので、加湿運転停止時には、給水タンクが密閉された状態で駆動を停止するので、水と空気が触れることがなく雑菌の混入などがない。また、給水タンクから水が供給され続けることがなく、漏水などの不具合のない、加湿装置を提供することができる。
【0044】
また、水は気化部材の中心より上方に供給するものであるので、水は気化部材の中心より上方に供給することにより、重力により水が下方に広がっていく作用を利用し、気化部材に均一に水を供給することができる。
【0045】
また、水を気化部材の回転に対して上方に移動する部分に供給するものであるので、水を気化部材の回転に対して上方に移動する部分に供給することにより、重力により水の下方への広がりと、気化部材の上方への回転により、水が均一の気化部材に広がることができ、気化効率のよい加湿装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態の斜視図
【図2】本発明の一実施形態の断面図
【図3】同概略構成図
【図4】同給水手段の動作を示す概略図((a)水受部が上位置にある状態を示す図、(b)水受部が下位置にある状態を示す図)
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0048】
図1に本実施の形態の加湿装置の斜視図を示し、図2に加湿装置の断面図を示す。加湿装置の本体1は略箱形に形成され、本体1の側面には吸込口2を設けており、天面に吹出口3を設けている。本体1内には、空気を加湿するために水を気化させる気化部材4と、この気化部材4に通風する送風手段としてファンモーター5を備えている。このファンモーター5は気化部材4の通風方法の下流側に位置するものである。気化部材4は、本体1に回転可能に軸支されており、駆動手段であるモーター6により回転駆動される。気化部材4の上部には、水を給水する給水タンク7を備え、給水タンク7から気化部材4に水が供給される。供給された水は、気化部材4の回転により気化部材4全体に広がり、ファンモーター5により室内から供給された空気に気化されていく。そして、吹出口3から加湿空気として室内に供給される。気化部材4に供給された水の一部は、気化されずに余剰水として下方に流出し、気化部材4の下に設置された排水タンク8に排水され、貯水される。
【0049】
排水タンク8には、水位センサー9を備えている。水位センサー9は、水に浮くフロートとこのフロートに取り付けられた磁石、さらに磁石の磁力を検出するホールICにより構成され、排水タンク8に余剰水が満水になった時、フロートが水に浮き、磁力の変化をホールICが検出し満水状態を検出する。そして、水位センサー9が満水を検出すると給水タンク7からの水の供給を停止する。
【0050】
図3は、加湿装置の概略構成図を示す。気化部材4は、中心軸を有するフレーム10に入れられ、フレーム10の周囲にはギア11を有している。ギア11は、駆動手段であるモーター6に取り付けられたモーターギア12と回転可能に噛み合う。モーター6によりモーターギア12が回転され、ギア11を介して気化部材4が回転することになる。
【0051】
給水タンク7は、下部に給水口13を備え、給水口13を閉塞する閉塞弁14を備えている。閉塞弁14は、ゴムなどの材質で作成されており、その形状を変形さえながら給水口13を閉塞する。閉塞弁14には、押圧棒15が配置され、バネ部材16で給水タンク7に取り付けられている。このバネ部材16の張力により押圧棒15に取り付けられた閉塞弁14が給水口13に押し付けられ、給水タンク7を密閉することになる。そして、押圧棒15を押し上げると、閉塞弁14が給水口13から離れ、給水がなされることになる。
【0052】
給水タンク7の給水口13の下部には、水受部17を備えている。水受部17は給水タンク7から供給される水を受けるように配置されている。水受部17は上下方向に移動可能に設置されている。水受部17は、水受部開口部18を下部に有し、この水受部開口部18を閉塞するように水受部閉塞弁19が設けられている。水受部閉塞弁19には、押圧棒20が接続され、バネ部材21を介して水受部17に設置されている。水受部17が下方に移動したとき、押圧棒20が水受部閉塞弁19を押し上げ、水受部開口部18が開口することにより、水受部17に貯水された水が流出する。一方、水受部閉塞弁19には、押圧棒20と同軸上に押上げ手段22を備えている。水受部17が上方向に移動したとき、給水タンク7の押圧棒15を押し上げることになり、閉塞弁14を上方向に移動させ、給水タンク7を開口することにより水を流出させる。なお、このとき、水受部17において、水受部閉塞弁19は水受部開口部18を閉塞する方向に力がかかるので、水受部開口部18は閉塞され、給水タンク7から流出する水は、一旦、水受部17に貯水される。さらに、水受部17が上方向に移動したとき、水受部17の上端は、給水タンク7の給水口13より鉛直上方の位置にくるように配置されている。このように配置することにより、給水タンク7から流出する水は、水受部17内で、水面が給水タンク7の給水口13の下端位置まで上昇したところで、流出が停止する。
【0053】
水受部17の下方には、水受部17から流出する水を気化部材4に導く、導水部23を備えている。導水部23には、水受部17が下方向に移動してきたときに、水受部17の押圧棒20を押すことになる凸部24と、気化部材4の方向へ下向きの傾斜を持ち、水を気化部材4に導く傾斜部25を有している。
【0054】
気化部材4のフレーム10の周囲には、水受部17を押し上げる水受部押上げ手段26である凸部を複数個備えている。一方、水受部17には水受部押上げ手段26の凸部を受ける受凸部27を備えている。フレーム10の回転に伴い水受部押上げ手段26が水受部17の受凸部27と当接し、水受部17を押上げる。その後さらに回転すると水受部押上げ手段26と、受凸部27は離れ、水受部17は、その重力により下方向に移動する。この水受部17は図示しないが、バネを介して本体に設置し、そのバネの張力の作用により下方向に移動する構成としてもよい。そして、フレーム10の回転に伴い、順次連続的に水受部押上げ手段26が水受部17の受凸部27に当接し、水受部17を上下させることになる。
【0055】
図4に、給水手段の動作の概略を示す。水受部17が上方向に移動してきたとき(a)、水受部17の水受部開口部18は水受部閉塞弁19により閉じられている。一方、給水タンク7の給水口13は、水受部17の押上げ手段22が給水タンク7の閉塞弁14を押上げることにより、開口することになる。これにより、給水タンク7の水は、給水口13から水受部17に流出する。水は水受部17に流出されるが、その水面が給水口13の位置まで上昇したとき、水面により給水口13が塞がれることになり、水の流出が停止する。すなわち、一定量の水が水受部17に溜まったところで、給水が停止することになる。
【0056】
水受部17が下方向に移動してきたとき(b)、給水タンク7の閉塞弁14を押し上げていた押上げ手段22も下方向に移動することになり、閉塞弁14がバネ部材16の張力により給水口13に押し付けられるので閉塞する。これにより、給水タンク7は密閉されることになる。一方、水受部17は、水受部17の下方に設置されている導水部23の凸部24に水受部17の押圧棒20が当接し、水受部閉塞弁19を水受部開口部18から離す方向へ押上げるので、水受部開口部18が開口することになる。これにより水受部17に溜まっていた水は水受部開口部18から下方向に流出することになる。流出した水は、導水部23の傾斜部25に沿って、気化部材4の方向へ流出していくことになる。
【0057】
このように、水受部17の上下の動きにより、連続的に一定量の水が気化部材4に向け給水されることになる。
【0058】
そして、気化部材4への給水量は、水受部17の容量、および水受部17の上下運動のサイクルスピードを調整することにより、任意に設定することが可能となる。また、水受部17の上下運動のサイクルスピードは、気化部材4の回転スピードおよび、気化部材4のフレーム10の水受部押上げ手段26の個数により、任意に設定可能である。
【0059】
このように、水を供給するための水ポンプのような特別な動力を装備しなくとも、気化部材4の回転に連動させることにより、一定量の水を気化部材4に供給できる簡単な構成の給水手段とすることができる。
【0060】
上記構成において、給水タンク7から直接、気化部材4に水を供給することができるので、加湿装置の運転を停止した時でも、加湿する水が周囲の空気と触れることを防止することができ、空気中の雑菌が供給水に混入して雑菌の繁殖などの不具合を起こすことを防止できる。また、水受部17を介しているが、加湿装置の運転が停止する時には、水受部17の上下位置を下の位置で運転を停止するように制御すれば、水受部17が空の状態で運転を停止することができ、加湿運転停止時に、供給水が周囲の空気と触れることを抑制することができる。
【0061】
さらに、気化部材4より給水タンク7を上方向に設置する構成としているため、水の供給は、その重力により流下させることでなされるので、特に給水ポンプなどの動力を必要とせず、簡単な構成で、上記を実現できる。
【0062】
また、排水タンク8を気化部材4の下方に備え、気化部材4に供給された水のうち、余剰となった水は、この排水タンク8に流下するように構成されている。気化部材4が気化できる能力を超える水を供給し、供給した水から、気化された水の差分が排水タンク8に貯水されるようになっている。通常、加湿装置に使用される水は、水道水を用いるのが一般的である。これは、水道水は、水道法により厳しくその含有成分が管理されており、全国で非常に安全で、安定した水であることに要因がある。また、塩素消毒がなされており、密閉した状態では、雑菌などの繁殖が比較的起こらないことも要因である。しかしながら、微量のカルシウムやマグネシウムなどの所謂スケール成分が含有されている。
【0063】
気化部材4表面で、水の気化が進むと、このスケール成分は気化されずに残留するので、次第にスケール成分の濃度が上昇してくる。そして、一定の濃度を超えると、スケール成分が析出しやすくなる。そして、このスケール成分が気化部材4表面に析出すると、気化能力の低下が起こり、加湿効率の低下が起こることになる。
【0064】
上記のように、排水タンク8に余剰水を流出する構成とすることにより、気化部材4上で気化が進みスケール成分濃度が上昇した水を排水することができ、気化部材4上での析出を抑制することができ、加湿性能の低下を抑制することができる。
【0065】
また、水受部17を取外し可能に設置するものであるので、水受部17を取外し可能に設置することにより、ユーザーが取り外して清掃することができ、清潔な加湿装置を提供できる。
【0066】
また、排水タンク8に水位センサー9を備え、所定の水量に達すると、加湿運転を停止するものであるので、排水タンク8からの水の溢れを抑制できる。
【0067】
すなわち、水位センサー9が排水タンク8の満水を検出した時、気化部材4を駆動するモーター6の駆動を停止し、気化部材4の回転を停止するとともに、水受部17の上下駆動も停止する。これにより、気化部材4への水の供給が停止することになり、排水タンク8への余剰水の流出も停止することになる。このように、排水タンク8の満水を超えて余剰水が流入することがなく、水があふれ、漏水することを防止できる。この時、水受部17の上下位置において、下位置にて停止するような位置でモーター6を停止することにより、水受部17内に水をすべて排水状態で加湿装置を停止することができ、水受部17での雑菌の繁殖などを抑制することができる。
【0068】
また、モーター6を停止し、気化部材4への水の供給を停止した時、ファンモーター5の運転は継続することもできる。この場合、気化部材4への水の供給が停止するので、排水タンク8の満水を超えての水の流出が抑えられるので、漏水の防止が可能となるうえ、気化部材4の回転が停止した後も、ファンモーター5による送風は継続されているので、気化部材4が乾燥してから運転を停止することができる。これにより、気化部材4上での、雑菌の繁殖を抑制することができ、臭いなどの不具合を抑制することができる。
【0069】
また、水は気化部材4の中心より上方に供給するものであるので、水は気化部材4の中心より上方に供給することにより、重力により水が下方に広がっていく作用を利用し、気化部材4に均一に水を供給することができる。
【0070】
また、水を気化部材4の回転に対して上方に移動する部分に供給するものであるので、水を気化部材4の回転に対して上方に移動する部分に供給することにより、重力により水の下方への広がりと、気化部材4の上方への回転により、水が均一の気化部材4に広がることができ、気化部材4に均一に水を供給することができる。このように、気化効率のよい加湿装置とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
水の落下により水を供給し、ポンプなどの特別な駆動力を必要とせず簡単な構成で、給水タンクから水を直接、気化部材に供給するので、運転停止時にも、水は周囲の空気に触れることないので、供給水に雑菌の混入をなくした安全性の高い加湿ができるので、加湿機、加湿空気清浄機等として有用である。
【符号の説明】
【0072】
1 本体
2 吸込口
3 吹出口
4 気化部材
5 ファンモーター
6 モーター
7 給水タンク
8 排水タンク
9 水位センサー
10 フレーム
11 ギア
12 モーターギア
13 給水口
14 閉塞弁
15 押圧棒
16 バネ部材
17 水受部
18 水受部開口部
19 水受部閉塞弁
20 押圧棒
21 バネ部材
22 押上げ手段
23 導水部
24 凸部
25 傾斜部
26 水受部押上げ手段
27 受凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を給水する給水タンクと、
前記給水タンクから供給される水を気化させる気化部材と、
前記給水タンクから前記気化部材まで一定量の水を運び、前記気化部材に
給水する給水手段と、
前期気化部材からの余剰水を貯水する排水タンクを備え、
前記気化部材より上部に前記給水タンクを配置し、
前記排水タンクを前記気化部材の下部に配置する、
加湿装置。
【請求項2】
給水タンクは、下部に給水口と、
前記給水口を閉塞し前記給水タンクを密閉する閉塞弁を備え、
給水手段は前記閉塞弁を所定時間、開口することにより、一定量の給水を行うことを特徴とする、
請求項1記載の加湿装置。
【請求項3】
閉塞弁を駆動する駆動手段を
備えたことを特徴とする
請求項2記載の加湿装置。
【請求項4】
閉塞弁を給水口に押し付け、前記給水口を閉塞するバネ部材と、
下方からの押圧により前記閉塞弁を押し上げ、前記給水口を開口する押圧棒を備え、
駆動手段が前記押圧棒を押し上げることにより前記閉塞弁を開口することを特徴とする
請求項3記載の加湿装置。
【請求項5】
給水タンクから流出する水を受ける水受部を備え、
前記水受部は押圧棒を押し上げる押上げ手段を有し、
前記水受部を上下に駆動する駆動手段を備え、
前記水受部が上下に駆動することにより前記押上げ手段が前記押圧棒を押し上げる
ことを特徴とする
請求項4記載の加湿装置。
【請求項6】
駆動手段は気化部材を駆動し、
前記駆動手段はモーターとモーターギアを設け、
前記モーターギアと噛み合うギアを前記気化部材の周囲に備え、
水受部を押し上げる水受部押上げ手段を前記気化部材の外周に備える
ことを特徴とする請求項5記載の加湿装置。
【請求項7】
水受部が下に駆動し、押上げ手段が押圧棒から離れたのち、前記水受部にためられた水を気化部材に給水することを特徴とする
請求項6記載の加湿装置。
【請求項8】
水受部が上に駆動し、押上げ手段が押圧棒を押し上げるとき、
前記水受部の貯水上端は、給水タンクの給水口よりも高い位置になることを特徴とする
請求項7記載の加湿装置。
【請求項9】
水受部の下部に水受部開口部を設け、
前記水受部開口部を閉塞する水受部閉塞弁を備え、
前記水受部が駆動し、下に移動したとき、前記水受部閉塞弁が駆動し、
前記水受部開口部が開口し、前記水受部に溜められた水を気化部材に供給する
ことを特徴とする
請求項8記載の加湿装置。
【請求項10】
水受部閉塞弁を水受部開口部に押し付けるバネ部材を備え、
通常状態では前記バネ部材は前記水受部閉塞弁を水受部開口部に押し付ける
ことを特徴とする
請求項9に記載の加湿装置。
【請求項11】
水受部を取外し可能に設置することを特徴とする
請求項5乃至10のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項12】
加湿能力以上の水を気化部材に供給する
ことを特徴とする
請求項1乃至11のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項13】
排水タンクに水位センサーを備え、
所定の水量に達すると、加湿運転を停止する
ことを特徴とする
請求項1乃至12のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項14】
排水タンクに水位センサーを備え、
所定の水量に達すると、水分供給を停止する
ことを特徴とする
請求項1乃至13のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項15】
加湿運転停止時には、給水タンクが密閉された状態で駆動を停止することを特徴とする
請求項1乃至14のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項16】
水は気化部材の中心より上方に供給することを特徴とする
請求項6乃至15のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項17】
水を気化部材の回転に対して上方に移動する部分に供給することを特徴とする
請求項6乃至16のいずれかに記載の加湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−225579(P2012−225579A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93763(P2011−93763)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】