説明

加湿装置

【課題】水の処理状況を知らせることで、清潔性を維持することができる加湿装置を提供する。
【解決手段】本発明の加湿装置は、タンクと、加湿部と、送風機と、タンクに貯蔵された水の交換を促すための報知を行う報知部と、空気の加湿度及び貯水量を検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて加湿部または送風機を制御する制御部と、所定動作の動作時間を示す時間情報を記録する記録部とを備える。また、加湿部を動作させる動作モードである第1モードと、加湿部を動作させず送風機による送風動作を行う動作モードである第2モードとの切り換え指示を受け付ける切換部を備える。制御部は、第2モードで動作している場合に、第2モードに移行してからの経過時間を時間情報に基づいて判定し、経過時間が予め定められた基準時間を超えた場合に報知を行うよう報知部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿装置に関するものであり、特に放置された水の処理を知らせる機能を備えた加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な加湿装置は、ファンモータ及び加湿フィルタを備えている。ファンモータが回転することによって、屋内の空気が加湿装置の内部へ吸入され、加湿フィルタを通過した後、加湿装置の内部から屋内へ送出される。
【0003】
加湿フィルタは、自身を空気が通過した時に加湿する。具体的には、加湿装置の内部に吸入された空気が加湿フィルタを通過することによって、加湿フィルタにしみ込んでいる水分が蒸発し、加湿される。この加湿フィルタにしみ込ますための水が所定量を下回ると、給水アラームを鳴らし、給水が必要であることを知らせる。
【0004】
また近年、正(プラス)及び/又は負(マイナス)のイオンにより、居住空間内の空気を浄化する技術が盛んに用いられている。例えば、加湿装置をはじめとするイオン発生装置では、内部の通風路の途中に正及び/又は負のイオンを発生させるイオン発生器を配設し、発生させたイオンを空気と共に外部の空間へ放出するようにしている。
【0005】
イオンが放出された空間においては、セラチア菌、バチルス菌等の細菌に対して有意な除菌効果が得られる。また、空気中のイオンは、浮遊粒子を不活性化させると共に臭気成分を変性させる。これにより、居住空間全体の空気が清浄化される。
【0006】
上記のようにイオン発生器を備えた加湿装置の中には、イオン発生器を単独運転させる機能を備えたものがある。イオン単独運転中は加湿動作を行わず、上述した効果を生むイオンを発生させる動作のみを行う。このような加湿装置は、部屋の湿度を検知して加湿するだけでなく、適度に湿度が保たれており加湿が不要である場合に、イオンのみを発生させて部屋を浄化するイオン発生器としても使うことができる。
【0007】
上記に関連して特許文献1には、タンク内の水を排水した後、洗浄液でタンク内を洗浄して清浄に保つ他、水の分裂処理に先立って浄化処理を行う、或いはタンク内の水を循環しつつ浄化処理を行う負イオン発生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−300139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような加湿機能とイオン発生機能との両方を備えた加湿装置においては、イオン発生機能のみが使用され続けた場合、タンク中の水が放置されるおそれがあった。特に長時間放置されると水が腐敗し、タンクの黄ばみや悪臭の原因となり、タンクの早期劣化に繋がる。また、加湿フィルタも劣化する可能性がある。
【0010】
このような腐敗した水が放置された状況で加湿運転を行うと、非常に不衛生である。また、劣化したタンクや加湿フィルタは、ユーザが洗浄するか、或いは交換する必要がある。従って、短期間で劣化する程、交換の手間や費用が増加するという問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、加湿機能を含む複数の機能を備えた加湿装置において、タンクの水が長時間放置されるのを回避することにより、装置内の清潔性を維持することが可能な加湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る加湿装置は、水を貯蔵するタンクと、前記タンクに貯蔵された水を用いて加湿を行う加湿部と、前記タンクに貯蔵された水の交換を促すための報知を行う報知部と、空気の加湿度と、前記タンクに貯蔵されている水の貯水量と、を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて前記加湿部を制御する制御部と、予め定められた動作の動作時間を示す時間情報を記録する記録部と、前記加湿部を動作させる動作モードである第1モードと、前記加湿部を除く装置部を動作させる動作モードである第2モードと、の切り換え指示を受け付ける切換部とを備え、前記制御部は、前記第2モードで動作している場合に、前記第2モードに移行してからの経過時間を前記時間情報に基づいて判定し、前記経過時間が予め定められた基準時間を超えた場合に前記報知を行うよう前記報知部を制御することを特徴とする構成(第1の構成)とされている。
【0013】
なお、上記第1の構成から成る加湿装置は、前記制御部が、前記経過時間の積算時間を前記時間情報に基づいて判定し、前記積算時間が前記基準時間を超えた場合に前記報知を行うよう前記報知部を制御することを特徴とする構成(第2の構成)にするとよい。
【0014】
なお、上記第2の構成から成る加湿装置は、前記制御部が、前記貯水量と予め定められた基準水量とを比較し、前記貯水量が前記基準水量よりも少ないと判定された場合に、前記報知を行うよう前記報知部を制御することを特徴とする構成(第3の構成)にするとよい。
【0015】
なお、上記第3の構成から成る加湿装置は、前記制御部が、前記経過時間または前記積算時間が予め定められた基準時間を超えた場合であっても、前記貯水量が前記基準水量よりも少ないと判定された場合は、前記報知を行わないよう前記報知部を制御することを特徴とする構成(第4の構成)にするとよい。
【0016】
なお、上記第4の構成から成る加湿装置は、気流を発生させる送風機を備え、前記第2モードが、前記加湿部を動作させず前記送風機による送風動作を行う動作モードであることを特徴とする構成(第5の構成)にするとよい。
【0017】
なお、上記第5の構成から成る加湿装置は、前記記録部が、不揮発性メモリであることを特徴とする構成(第6の構成)にするとよい。
【0018】
なお、上記第6の構成から成る加湿装置は、前記報知部が、警報音を発する音響装置を含むことを特徴とする構成(第7の構成)にするとよい。
【0019】
なお、上記第7の構成から成る加湿装置は、前記報知部が、LED(Light Emitting Diode)からなる発光装置を含むことを特徴とする構成(第8の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、加湿部を動作させず送風機のみを単独運転させる第2モードの運転積算時間を計測し、運転積算時間が予め定められた基準時間を越えた時点で、報知を行う。このため、加湿部が動作しないことに起因してタンクの水が長期間放置されるのを、防止することができる。結果として、タンク内の水の清潔性を保ち、清潔な加湿運転を行うことができる。
[その他の実施の形態]
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る加湿装置の正面側斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る加湿装置の背面側斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る加湿装置の上面の一部を示す上面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る加湿装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る通常運転処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る送風運転処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の一実施形態に係る加湿装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る加湿装置の正面側斜視図、図2は、図1に示す加湿装置の背面側斜視図、図3は、図1に示す加湿装置の上面図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、加湿装置1は、前面キャビネット2aと後面キャビネット2bとを含む本体ケーシング2を有する。前面キャビネット2aは、本体ケーシング2の前面及び側面の一部を覆うように本体ケーシング2に取り付けられている。
【0025】
本体ケーシング2の底面には、加湿装置1を持ち上げて搬送する際の利便性を考慮した、把手部5が設けられている。また本体ケーシング2に隣接して、加湿に用いる水を貯蔵するためのタンク3が設けられている。タンク3内に貯蔵された水の水位は、フロート6により計測可能となっている。
【0026】
後面キャビネット2bの背面には、外部から空気を吸い込む吸込口9が設けられている。本体ケーシング2の上部には、吸込口9から吸い込んだ空気を加湿した後、外部に吹き出す吹出口4が設けてある。
【0027】
また、本体ケーシング2の内部には、吸込口9から吸い込んだ空気を加湿する加湿フィルタ8(=加湿部)と、不図示の送風機とが設けられている。送風機は、吸込口9から空気を吸い込み外部に吹き出すための気流を発生させるファンと、このファンを回転駆動するモータ15(図4参照)等を備えている。
【0028】
なお、前面キャビネット2aは、加湿装置1の動作中に、送風機にて発生する騒音が加湿装置1の外部(室内)へ漏れ出すことを抑制するための遮音部材として機能する。また、加湿装置1の外観上の美観を確保する機能を有する。
【0029】
背面側の吸込口9の上部には、温湿度センサ7(=検出部)が設けられている。温湿度センサ7は、空気の温度と湿度を検出するものであり、空気中の水分が多いほど湿度が高い。
【0030】
また図3に示すように、本体ケーシング2の上面には、パネル11が設けられている。パネル11には、図3に示すように、表示部12、運転スイッチ13、モード切換スイッチ14(=切換部)が配設されている。
【0031】
表示部12は、加湿装置1の各種動作状態を示す複数個のランプを有する。なお各ランプは、例えばLED(Light Emitting Diode)等により発光する。図3に示すように表示部12には、給水ランプ12a(=報知部)、水処理ランプ12b、湿度表示ランプ12c、加湿運転ランプ12d、及び送風運転ランプ12eが含まれている。なお加湿運転ランプ12dは複数設けられているが、風量の違いによって、対応するランプが点灯する。
【0032】
モード切換スイッチ14には、加湿運転切換スイッチ14aと、加湿運転しないモードで動作させるための送風運転スイッチ14bとが含まれている。
【0033】
次に、加湿装置1の制御構成を、図4を用いつつ説明する。図4は本発明の一実施形態に係る加湿装置の制御構成を示すブロック図である。
【0034】
図4に示すように加湿装置1は、フロート6、温湿度センサ7、表示部12、運転スイッチ13、モード切換スイッチ14、モータ15、制御部16、メモリ部17(=記録部、不揮発性メモリ)、及び音声出力部18(=報知部、音響装置)を備える。
【0035】
制御構成の中枢となる制御部16には、温湿度センサ7、運転スイッチ13、及びモード切換スイッチ14が接続され、各スイッチ及びセンサの信号が入力されている。また、制御部16には、表示部12、モータ15、及び音声出力部18が接続され、制御部16から駆動信号が出力される。
【0036】
また制御部16には、メモリ部17及び音声出力部18が接続されている。制御部16はメモリ部17との間で情報の送受信を行う。音声出力部18はブザー装置であり、例えば電磁石を利用して振動板を振動させることにより、ブザー音を発生させる。なお制御部16、メモリ部17、及び音声出力部18は、本体ケーシング2に内蔵されている。
【0037】
ただし音声出力部18は、ブザー装置に限定されるものではない。例えば、音声出力部18は、所定の音声、又はメロディが録音されている音声スピーカで構成され、録音されている音声等をスピーカから出力する構成でもよい。また、音声出力部18は、出力音声を切り換え可能であってもよい。例えば、耳障りでユーザの注意を喚起しやすいブザー音の出力と、耳障りではなくユーザを不必要に驚かせるおそれのないメロディ等の出力とを、切り換え可能とした構成でもよい。
【0038】
特に、音声出力部18からガイダンス音声を出力したり、表示部12に含まれるLEDによる発光を行ったりすれば、加湿装置1を初めて使用するユーザであっても、水の処理を行う必要があることを容易に理解することができる。
【0039】
制御部16は加湿装置1の制御中枢である。制御部16では、制御部16が備えるCPU(Central Processing Unit)が、図示しないRAMを作業領域として用い、図示しないROMに記憶されたコンピュータプログラムに従って加湿装置1の各部を制御し、各種処理を実行する。
【0040】
例えば制御部16は、送風機に接続されたモータ15の回転数を変更制御する。これにより、吸込口9から吸い込み、加湿フィルタ8を通過させる空気の量を調節して、加湿能力を調整する。また制御部16は、温湿度センサ7の検出結果に基づいて、空気の加湿度が所定加湿度よりも高いか否かを判定する。空気の加湿度が所定加湿度よりも高い場合には、室内の加湿度が十分であると判定する。空気の加湿度が所定加湿度以下である場合には、室内の加湿度が不足していると判定する。
【0041】
制御部16は、室内の加湿度が不足していると判定した場合に、モータ15の回転数を増加させ、回転速度を速くすることで、加湿装置1の内部を通過する空気量を増加させる。これにより、加湿能力を高くし、加湿完了までの時間を短くする。一方、室内の加湿度が十分であると判定した場合には、モータ15の回転数を低減し、回転速度を遅くすることで、加湿装置1の内部を通過する空気量を減少させる。これにより、加湿能力を低くする。
【0042】
ユーザは、上記の加湿機能を動作させるモードである通常運転(=第1モード)を所望する場合に、運転スイッチ13の操作を行った後、モード切換スイッチ14を操作する。また、通常運転の終了を所望する場合も、運転スイッチ13の操作を行う。
【0043】
運転スイッチ13は、ユーザによって操作される都度、所定の制御信号(以下、「運転信号」という)を制御部16へ出力する。加湿装置1が運転されていない状態で運転信号が入力された場合、制御部16は加湿装置1の運転を開始する。運転されている状態で運転信号が入力された場合、制御部16は、加湿装置1の運転を終了する。つまり、制御部16は、運転スイッチ13によって、加湿装置1の運転/停止を制御する。
【0044】
加湿装置1は、上記の通常運転の他に、加湿機能を動作させず送風のみを行う送風運転(=第2モード)を行う機能を有する。ユーザは、通常運転と送風運転との切り換えを所望する場合に、モード切換スイッチ14の操作を行う。
【0045】
モード切換スイッチ14は、ユーザによって操作される都度、所定の制御信号(以下、「切換信号」という)を制御部16へ出力する。制御部16は、切換信号が入力される都度、通常運転と送風運転とを切り換える。モード切換スイッチ14は、加湿運転切換スイッチ14aと送風運転スイッチ14bとを含むように構成されている。
【0046】
具体的には例えば、加湿装置1のデフォルト(運転開始時)には通常運転が設定されており、通常運転を送風運転へ切り換えたい場合に、ユーザは送風運転スイッチ14bを操作する。送風運転に切り換えられた場合、加湿装置1は、イオンを発生させるイオン発生機として動作する。逆に送風運転を通常運転へ切り換えたい場合に、ユーザは加湿運転切換スイッチ14aを操作する。以上により、モード切換スイッチ14は、本発明の一実施形態における切換部として機能する。
【0047】
なお、通常運転から送風運転へ切り換えられた場合、制御部16は、表示部12に設けられているランプの内、送風運転スイッチ14bの近傍に配されている送風運転ランプ12eを点灯させる。一方、送風運転から通常運転へ切り換えられた場合、制御部16は、送風運転ランプ12eを消灯させる。つまり、制御部16は、送風運転ランプ12eのON/OFFによって、加湿装置1が通常運転及び送風運転の何れで動作しているかをユーザに報知する。
【0048】
次に、加湿装置1で実行される運転処理の手順について、図5及び図6を用いつつ説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る加湿装置1における、通常運転処理の手順を示すフローチャートである。また図6は、本発明の一実施形態に係る加湿装置1で実行される送風運転処理の手順を示すフローチャートである。
【0049】
図5に示す処理フローは、加湿装置1が運転されていない状態から処理スタートするものとする。この状態において制御部16は、運転スイッチ13から運転信号が入力されたか否かを判定し(ステップS11)、運転信号が入力されていない場合(ステップS11:NO)、ステップS11の処理を繰り返す。
【0050】
運転信号が入力された場合(ステップS11:YES)、制御部16は、加湿装置1の運転を開始する(ステップS12)。運転を開始すると、制御部16は、デフォルトとして通常運転に設定し、各部の動作制御を行う。通常運転では、送風運転ランプ12eは点灯させない。また通常運転では、温湿度センサ7の検出結果に基づいて、モータ15の回転数を変更制御する。
【0051】
次いで、制御部16は、モード切換スイッチ14から切換信号が入力されたか否かを判定し(ステップS13)、切換信号が入力された場合(ステップS13:YES)、制御部16は、通常運転と送風運転とを切り換える(ステップS14)。
【0052】
具体的には、ステップS14の切換処理実行時に通常運転に設定されており、且つ送風運転への切り換えを指示する切換信号が入力された場合、制御部16は、送風運転に切り換え、図6に示す送風運転処理の実行を開始する。なおこの際、制御部16は、表示部12の送風運転ランプ12eを点灯させる。
【0053】
一方、ステップS14の切換処理実行時に送風運転に設定されており、且つ通常運転への切り換えを指示する切換信号が入力された場合、制御部16は、通常運転に切り換える。なおこの際、制御部16は送風運転ランプ12eを消灯させ、更に図6に示す送風運転処理の実行を中断し、通常運転の実行を開始する。
【0054】
ステップS14の処理が終了した場合、又は、切換信号が入力されていない場合(ステップS13:NO)、制御部16は、運転スイッチ13から運転信号が入力されたか否かを判定し(ステップS15)、入力されていない場合(ステップS15:NO)、処理をステップS13へ移す。
【0055】
運転信号が入力された場合(ステップS15:YES)、制御部16は、加湿装置1の運転を終了する(ステップS16)。具体的には、制御部16は、表示部12の点灯又は点滅している各種ランプを消灯させ、実行中の通常運転又は送風運転を停止する。ステップS16の処理終了後、制御部16は処理をステップS11へ戻す。
【0056】
なお、ステップS16において加湿装置1の運転を終了する時点で送風運転に設定されていた場合、次回の運転開始時のステップS12において、制御部16が、通常運転ではなく送風運転をデフォルトとして設定するように構成してもよい。
【0057】
次に、図6を用いて、送風運転について説明する。送風運転ではまず、タンク3に水が無い状態で誤って水処理を報知するのは望ましくないため、フロート6によってタンク3の水の有無を確認する(ステップS21)。水が無い場合(ステップS21:NO)、後述するステップS25へ移る。
【0058】
水が有る場合(ステップS21:YES)、制御部16は、送風運転の運転積算時間が、予め定められている基準時間、例えば一般的な水道水の保存期間である72時間を、超えたか否かを判定する(ステップS22)。
【0059】
なお、本実施形態における運転積算時間は、送風運転のON/OFFにより断続的に計測された運転時間の積算時間をさすものとする。積算時間の算出は、例えば各種運転の運転時間を示す時間情報を随時、メモリ部17に記録することにより行う。運転積算時間は、所定の条件が満たされた時点、例えばタンク3に貯蔵されている水が交換された時点で、リセットされるものとする。
【0060】
運転積算時間が基準時間を超えた場合(ステップS22:YES)、制御部16は、音声出力部18を作動させてブザー音を鳴らし、報知を行う(ステップS23)。また、水処理ランプ12bを点灯させる(ステップS24)。以上のように音声出力部18は、本発明の一実施形態における音響手段として機能する。
【0061】
その後、制御部16は、水処理がなされたか否かをフロート6を用いて判断する(ステップS25)。具体的には例えば、タンク3より水が排出された場合や、新しい水に交換された場合等に、水処理がなされたとみなす。
【0062】
水処理がなされていない場合(ステップS25:NO)、ブザー音の出力(ステップS23)とLEDの点灯(ステップS24)を継続して実行する。水処理がなされた場合(ステップS25:YES)、報知を終了し(ステップS26)、送風運転を引き続き実行する。
【0063】
タンク3が空になった場合、または72時間経過後でもタンク3に水がある場合、またはタンク3が正しく装着されていない状態でフロート6が作動した場合、制御部16は所定の方法により報知を行う。
【0064】
なお、上記実施形態では運転積算時間が72時間を超えた時点で報知を行っているが、報知を開始してから所定時間フロート6が作動しなければ、水処理がなされたと判断し、運転積算時間をリセットする形態でもよい。この場合、送風運転中はタンク3が空になっても、報知を行わない。
【0065】
以上説明したように、本実施形態の加湿装置1によれば、加湿を行わない送風運転で部屋を除菌している状態において、タンク3内の水の状況、特に長時間放置された水の存在を報知することができるため、清潔な加湿運転を行うことができる。
[その他の実施の形態]
【0066】
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0067】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0068】
(A)上記実施形態では、本発明の一実施形態として加湿装置1を例示しているが、本発明はこの形態に限定されるものではなく、これ以外の加湿を行う機器においても応用可能である。主に加湿空気調節機、加湿機能付きイオン発生機等、通常の装備として加湿をする機器に適用可能である。
【0069】
(B)上記実施形態では、報知を行う場合に、音声出力部18によってブザー音を発しているが、例えば、所定の警告メッセージを音声ガイダンスで発するようにしてもよい。また、強力な光を発する発光手段(ランプ等)を設け、ユーザに報知するようにしてもよい。
【0070】
(C)上記実施形態では、S22において運転積算時間と基準時間とを比較しているが、連続的に計測された送風運転の連続運転時間を基準時間と比較し、連続運転時間が基準時間を超える場合に報知を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 加湿装置
2a 前面キャビネット
2b 後面キャビネット
3a タンク
3b タンク取手
3c タンクキャップ
4 吹出口
5 把手部
6 フロート(水検出部)
7 温湿度センサ(検出部)
8 加湿フィルタ(加湿部)
9 エアフィルタ
10 トレー
11 パネル
12 表示部(報知部)
12a 給水ランプ
12b 水処理ランプ
12c 湿度表示ランプ
12d 加湿運転ランプ
12e 送風運転ランプ
13 運転スイッチ
14 モード切換スイッチ(切換部)
14a 加湿運転切換スイッチ
14b 送風運転スイッチ
15 モータ
16 制御部
17 メモリ部(記録部、不揮発性メモリ)
18 音声出力部(報知部、音響装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯蔵するタンクと、
前記タンクに貯蔵された水を用いて加湿を行う加湿部と、
前記タンクに貯蔵された水の交換を促すための報知を行う報知部と、
空気の加湿度と、前記タンクに貯蔵されている水の貯水量と、を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて前記加湿部を制御する制御部と、
予め定められた動作の動作時間を示す時間情報を記録する記録部と、
前記加湿部を動作させる動作モードである第1モードと、前記加湿部を除く装置部を動作させる動作モードである第2モードと、の切り換え指示を受け付ける切換部とを備え、
前記制御部は、前記第2モードで動作している場合に、前記第2モードに移行してからの経過時間を前記時間情報に基づいて判定し、前記経過時間が予め定められた基準時間を超えた場合に前記報知を行うよう前記報知部を制御すること
を特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記経過時間の積算時間を前記時間情報に基づいて判定し、前記積算時間が前記基準時間を超えた場合に前記報知を行うよう前記報知部を制御すること
を特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記貯水量と予め定められた基準水量とを比較し、前記貯水量が前記基準水量よりも少ないと判定された場合に、前記報知を行うよう前記報知部を制御すること
を特徴とする請求項2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記経過時間または前記積算時間が予め定められた基準時間を超えた場合であっても、前記貯水量が前記基準水量よりも少ないと判定された場合は、前記報知を行わないよう前記報知部を制御すること
を特徴とする請求項3に記載の加湿装置。
【請求項5】
前記加湿装置は、気流を発生させる送風機を備え、
前記第2モードは、前記加湿部を動作させず前記送風機による送風動作を行う動作モードであること
を特徴とする請求項4に記載の加湿装置。
【請求項6】
前記記録部は、不揮発性メモリであること
を特徴とする請求項5に記載の加湿装置。
【請求項7】
前記報知部は、警報音を発する音響装置を含むこと
を特徴とする請求項6に記載の加湿装置。
【請求項8】
前記報知部は、LED(Light Emitting Diode)からなる発光装置を含むこと
を特徴とする請求項7に記載の加湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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