加熱、加振、および磁化する装置、ならびにその装置を動作させる方法
試料管の液体試料を処理するための装置。本装置は、基部と、試料管を受け入れるための受け入れ部と、受け入れ部に熱を選択的に加えるために基部に結合した加熱部とを備える。加振部は、基部に結合しており、受け入れ部を支える。この加振部は、基部に対して受け入れ部を選択的に動かす。磁化部は、基部に結合しており、受け入れ部に対して磁場を選択的に変更するように動作可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本願は、内容が全体において本明細書に参照によって組み込まれている、2009年10月16日に出願した米国仮特許出願第61/252,390号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
[0002]本発明は、研究室の試料処理機器に関する。より詳細には、本発明は、血液および他の液体試料のマルチステップ処理のための装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]大量の試料からDNAなどの生物学的な分子を精製する場合、体系的な信頼性を向上させつつ処理時間を減らす必要性がある。現行の手法では、8本の試料管がラックに保持され、そのラックは、加熱する場所から磁石の場所に、また磁石の場所から加振器の場所に、試料の処理過程の間に何度も移動する。この方法に対する別の方法の1つは、大型の遠心分離機を用いることである。しかし、遠心分離機の方法における欠点は、開いた管からの公差汚染の可能性、管を空にする際の沈殿物(pellets)の損失、ならびに、管を自動的に追加し、遠心分離機から管を自動的に取り除くことに関連する全体的な信頼性、および、液体処理の問題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]一実施形態では、本発明は、試料管の液体試料を処理するための装置を提供する。本装置は、基部と、試料管を受け入れるための受け入れ部と、受け入れ部に熱を選択的に加えるために基部に結合した加熱部とを備える。加振部は、基部に結合しており、受け入れ部を支える。この加振部は、基部に対して受け入れ部を選択的に動かす。磁化部は、基部に結合しており、受け入れ部に対して磁場を選択的に変更するように動作可能である。
【0005】
[0005]別の実施形態では、本発明は、試料処理装置を提供する。本装置は、基部と、基部に対する動き用に基部に結合したプラットフォームと、プラットフォーム駆動アセンブリとを備える。プラットフォーム駆動アセンブリは、基部に結合したプラットフォーム駆動モータと、プラットフォームに結合した軌道駆動部とを含む。受け入れ部は、プラットフォームに固定されて結合している。受け入れ部は試料管を受け入れ、また、試料管に熱を選択的に加えるための加熱部を含む。磁化部は、基部に移動可能に結合している。この磁化部は、受け入れ部に対する第1の磁場方向と、受け入れ部に対する第2の磁場方向と有する永久磁石を含む。磁石駆動アセンブリは、第1の磁場方向と第2の磁場方向との間で永久磁石を動かすためにプラットフォームと磁化部に結合している。
【0006】
[0006]さらに別の実施形態では、本発明は、複数の試料管を選択的に加熱し、加振し、また磁化するための装置を提供する。本装置は、基部部材と、駆動モータ、駆動モータに結合した軌道加振器アセンブリ、および、基部部材に対する軌道の動きに向けて軌道加振器アセンブリに結合した加熱器ブロックアセンブリを含む駆動アセンブリとを含む。加熱器ブロックアセンブリは、試料管を受け入れるための複数の開口部を有する加熱器ブロックと、試料管に熱を加えるために加熱器ブロックに熱的に結合した電気加熱器とを含む。磁石アセンブリは、磁場を有する磁石、および、第1の磁場方向と第2の磁場方向との間で磁石を動かすために基部に結合した駆動部を含む。コントローラは、電気加熱器に選択的に通電し、駆動アセンブリを選択的に動作させ、また、第1の磁場方向と第2の磁場方向との間で磁石を選択的に動かす。
【0007】
[0007]その上さらに別の実施形態では、本発明は、複数の対応する試料管によって支持された複数の試料を加熱し、加振し、磁化する方法を提供する。本方法は、基部と、基部に移動可能に結合しており、試料管を受け入れるための複数の受け入れ部および加熱部を含む加振部と、基部に結合した磁化部とを含む装置によって行なわれる。磁化部は複数の磁石を含む。本方法は、複数の受け入れ部によって複数の試料管を受け入れるステップと、加熱部によって複数の試料管を加熱するステップとを含む。磁化部は、第1の位置から第2の位置に回転する。第2の位置では、複数の試料に実質的な磁束が与えられ、第1の位置では、複数の試料に実質的な磁束が与えられない。複数の試料は、磁化部が第2の位置にある間に複数の磁石によって磁化される。磁化部は、第2の位置から第1の位置に回転する。複数の試料管は、磁化部が第1の位置にある間に加振部によって加振される。
【0008】
[0008]本発明の他の態様は、詳細な説明および添付図面を考慮することによって明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】[0009]加熱、加振、および磁化する装置における一実施形態の斜視図である。
【図2a】[0010]図1の搬送ラックおよびラック立ての斜視図である。
【図2b】[0011]図2の搬送ラックの代替構造における分解図である。
【図3】[0012]筐体および汚染防止カバーが取り外された状態における、図1の装置における加熱器/加振器/磁化器の斜視図である。
【図4】[0013]図1の装置における加振器駆動アセンブリの斜視図である。
【図5】[0014]図4の加振器駆動アセンブリの分解図である。
【図6】[0015]図1の装置における加熱器ブロックアセンブリの斜視図である。
【図7】[0016]図7aは図6の加熱器ブロックアセンブリにおける加熱器ブロックのうちの1つの分解図である。 [0017]図7bは図7aの加熱器ブロックにおけるアルミニウムコアの別の斜視図である。
【図8】[0018]図1の装置における磁石駆動アセンブリの斜視図である。
【図9】[0019]図9の磁石駆動アセンブリにおける一方の磁石アセンブリの分解図である。
【図10】[0020]図10aは図9の磁石アセンブリの、一実施形態における磁場の斜視図である。 [0021]図10bは図9の磁石アセンブリの、別の実施形態における磁場の斜視図である。
【図11】[0022]図1の装置における制御回路の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0023]本発明における任意の実施形態が詳細に説明される前に、本発明は、本発明の用途において、以降の説明に明記されているか、または添付図面に示されている構造の細部および部品の配置に限定されないことを理解されたい。本発明では他の実施形態が可能であり、また本発明は様々な方法で実施または実行されうる。
【0011】
[0024]一実施形態では、本発明は、液体試料を処理するために加熱、加振、および磁化する装置5を提供する。図1は、加熱器/加振器/磁化器(「HSM」)装置10(またはモジュール)および関連する支持器具を含む装置5の斜視図である。従来のAC−DC電源15は、ACライン電源から所望の電圧におけるDC電流を供給するためにHSM10に接続している。図示されている構造では、電源15は、電源15を空気冷却するための複数の換気孔20およびファンポート25を含む。ケーブル30は、電源の出力部をHSM10に接続する。他の構造では、電源15は、HSM10の中に組み込まれていてもよい。
【0012】
[0025]図2aによってより詳細に示されているように、搬送ラック35aおよびラック立て40は付加的に提供される。ラック立て40は、平らな底面部分45、ならびに第1の縦板(換言すれば、垂直板)50および第2の縦板55を有する。図示されている構造では、底面45および縦板50、55は、1枚の金属シート材料から一体的に形成される。他の構造では、ラック立て40は、プラスチックおよび金属を含む様々な材料から、射出成形、打ち抜き加工、曲げ加工、および押出成形を含む様々な手段によって形成される。図示されているように、縦板50、55は、縦板50、55の中に形成された複数の切り抜き窓60を有することができる。ゴムまたはプラスチックの脚65は、ラック立て40を滑らないようにし、また、研究室のテーブルまたは他の面から底面部分45を持ち上げるために部分45に取り付けられる。搬送ラック35を受け、その搬送ラック35を保持するために、第1の縦板50と第2の縦板55の上部の縁端に沿って、切り欠き70が形成される。
【0013】
[0026]搬送ラック35aは、上部面75aと、4つの直交する縁端面80、85、90、95とを有する矩形の平面板である。タブ部材100は、第1の縁端面80および第2の縁端面85に沿って、横方向に外側に延びている。タブ部材100の大きさは、ラック立ての第1の縦板と第2の縦板とにおける対応する切り欠き70の中にタブ部材が収まるようになっている。ラックの上部面75aは、上部面75aの中に形成された複数の円形開口部105を有する。これらの複数の開口部は、行と列からなるアレイ110aを形成する。開口部105は、例えば円筒形または円錐形である試料管の面のような、容器の面を受け入れて、その面と係合する大きさにすることができる。図示されている構造では、開口部105は、例えば10mlの血液試料を処理する際に使用するため等の50mlの円錐形の管を受け入れて、その管と係合する大きさである。
【0014】
[0027]図2bは、搬送ラック35bである代替構造を示す。底部の平面部材111は、上部面75bの下に、上部面75bと平行に配置されうる。ねじが切ってある複数の支柱112は、底部の平面部材111と上部面75bを分離し、また、ねじが切ってある複数の留め具113は、硬質の三次元構造体として、搬送ラック35bを一緒に留める。第2の平面部材111は、上部面アレイ110bと同様であり、そして上部面アレイ110bと整合するアレイ114を有する。第2の平面部材111は、搬送ラック35bがHSM10の所定位置に下ろされるときに、試料管を捕らえて、それらの試料管を整合する役割を果たす。
【0015】
[0028]図1に示されているように、HSM10は筐体115を含む。図示されている構造では、筐体115の一部は、アルミニウムシート材料から形成される。他の構造では、筐体115は、成形されたプラスチックまたは他の材料を含むことができる。装置の正面には制御パネル120が取り付けられる。制御パネル120は、装置5の動作モードを選択するための複数の制御ボタン125と、温度設定点、加振器の速度、および磁石の位置などのパラメータを表示するためのLED、LCD、または他の種類のディスプレイ130とを含む。図示されている構造では、装置5をプログラムして動作させるために4つのボタン125が設けられている。「エンター」ボタンは、割り当てられた機能を実行する。「エスケープ」ボタンは、実行中の機能を取り消すか、またはディスプレイの前のメニューに戻す。「アップ」ボタンは、ディスプレイのカーソルを上に移すか、またはオンを命ずる。「ダウン」ボタンは、カーソルを下に移すか、またはオフを命ずる。他の構造では、制御パネル120におけるボタンの数および機能は異なってもよく、あるいは、制御パネル120は、装置5の別の面に配置されてもよく、または、遠隔制御および遠隔操作用に外部に配置されてもよい。
【0016】
[0029]複数の円形開口部135は、HSM10の汚染防止カバー140を貫通して延びている。開口部135は、例えば先に説明した円錐形の試料管である、複数の容器を受け入れるように大きさが決められて配置されている。汚染防止カバー140における開口部135のアレイは、搬送ラック35によって提供されるアレイと一致するため、容器を有する搬送ラック35a、35bは、HSM10の対応する開口部135の中に下ろすことができる。搬送ラック35a、35bは、汚染防止カバー140の外周部のまわりを包む、搬送ラック35a、35bの縁端面80、85、90、95によって、汚染防止カバー140の上に保持される。さらに、搬送ラック35a、35bに担持される容器は、汚染防止カバー140の上に搬送ラック35a、35bが下ろされる際に、汚染防止カバーの開口部内にラックを整列させて保持するように働く。図1および図2aに示されている構造では、搬送ラック35aに対する4本の拘束ねじ145が、汚染防止カバー140の表面に設けられた、ねじが切ってある4つの穴150を介して、搬送ラックを汚染防止カバー140に留めるために提供される。いくつかの構造では、縁端面80、85、90、95は、試料の加振動作の間、汚染防止カバー140に対する搬送ラック35aの十分な保持を可能にし、拘束ねじ145を余分なものとする。
【0017】
[0030]図3は、筐体115の一部と汚染防止カバー140が取り除かれた状態におけるHSM10を示す。複数の平行な加熱器ブロック155が、加振器プラットフォーム160に固定して取り付けられて示されている。加振器プラットフォーム160は、加振器駆動アセンブリ165(図4)によって駆動される。一対の回転可能な磁石アセンブリ170(図8)は、ベルトプーリーシステムを有する別個の磁石駆動アセンブリ175によって駆動される。
【0018】
[0031]図4および図5は、HSM10における加振器駆動アセンブリ165の一構造を示す。筐体115の硬質基部プレート180は、HSM10のサブアセンブリ用の安定な取り付けプラットフォームを提供する。DC加振器モータ185は、加振器モータ筐体188内に取り付けられる。DC加振器モータ185は、所望の試料負荷に応じた様々な大きさと構成のものでもよい。図示されている構造では、ブラシレスDC(BLDC)モータが用いられている。加振器モータのシャフトは、モータプーリーを介して加振器の駆動ベルト190に接続される。加振器の駆動ベルト190は、スピンドル筐体195の中のスピンドルプーリーに巻き付いている。スピンドルプーリーは、シャフトを介して偏心カム200に接続される。幾何学的中心から外れた回転軸を有する偏心カムは、一般に円筒形であり、回転する間に半径方向の外側面に所望の偏心をもたせる。カム200のまわりの円筒形ベアリング205は、回転する間に加振器スピンドル210を押し、加振器スピンドル210をある軌道パターンで振動させる。加振器スピンドル210は、加振器スピンドルの互いに対向する側における第1の対の平行な板ばね220を介してバランサ筐体(balancer housing)215に弾性的に取り付けられる。バランサ筐体215は、第2の対の対向する板ばね225を介して基部プレート180に弾性的に取り付けられ、この第2の対の平行な板ばねは、第1の対の板ばねと垂直に取り付けられる。第2の対の板ばね225は、ねじが切ってある複数の留め具235によって基部プレート180にボルトで留まっている、一対の硬質なばね取り付け台230を介して基部プレート180に取り付けられている。図示されている構成では、3本のソケットヘッドねじが用いられている。様々な代替の駆動機構が可能であることを理解されたい。例えば、他の実施形態は、本明細書で開示されたプーリーとベルトを用いずに、スピンドルの直接駆動部を有することができる。
【0019】
[0032]いくつかの構造では、加振器ホーム位置(換言すれば、始動位置または復帰位置)センサ240が設けられる。以下でより詳細に説明されるように、ホーム位置センサは、可動加振器プラットフォーム160に固定された部品と、基部プレート180に固定された部品とのクリアランスが、可動加振器プラットフォーム160の位置に応じて接触または衝突が起こりうるのに十分小さい場合に使用されうる。図5に示されている構造では、ホーム位置センサ240は、スピンドルプーリーに関連している。加振器を駆動するために同期BLDCモータが用いられる場合、位置センサは、モータまたはモータコントローラにも関連しうる。また、加振器位置センサは、モータプーリー、加振器のベアリング、または加振器スピンドルにも関連しうる。
【0020】
[0033]加振器プラットフォーム160は、ねじが切ってある複数の留め具245によって加振器駆動アセンブリ165に固定される。図示されている構造では、4つのソケットと皿小ねじが用いられている。図6は、ねじが切ってある複数の留め具によって加振器プラットフォーム160に取り付けられる加熱器ブロックアセンブリ250(すなわち、加振器プラットフォーム160は、加熱器ブロックアセンブリ250を支持する)を示す。加熱器ブロックアセンブリ250は、複数の平行な加熱器ブロック155からなる。図示されている構造では、加熱器ブロックアセンブリ250は、対応する容器を受け入れるためにそれぞれが8つの開口部255を有する4つの加熱器ブロック155を含み、それによって32個の開口部255を与える。他の構造では、加熱器ブロックおよび加熱器ブロックアセンブリの様々な構成が使用されうる。例えば、合計16個の試料に対して2つの加熱器ブロックを有する、小規模処理用のHSMを有することが望ましい場合があり、あるいは、大規模処理用に6つまたは8つの加熱器ブロックを有することが望ましい場合がある。
【0021】
[0034]図7aに示されているように、それぞれの加熱器ブロック155の垂直面260には、試料管に処理を加える間、その試料管に熱流束を与えるために、薄膜形の抵抗加熱器265が接着によって取り付けられる。抵抗加熱器265は、所望のパラメータに応じて、単独で、または、試料を加振もしくは磁化しながら、選択的に通電されうる。図示されている構造では、抵抗加熱器265は、抵抗加熱器265から試料管への熱伝達を最大にするために、加熱器ブロック155のアルミニウムコア270に取り付けられる。アルミニウムコア270は、アルミニウムコア270に保持される容器の外周における接触を最大にすることによって、容器を容易に挿入または取り外しできるようにするための十分なクリアランスを有しつつ、加熱器265から容器への伝導性熱伝達を促進する。アルミニウムコア270の壁271は、加熱器265が通電される際に熱応答時間を最小にし、また、加熱器ブロック155どうしの間の利用可能な空間を最大にするために薄い断面を有する。図6および図7bを参照すると、以下でより詳細に説明されるように、アルミニウムコア270の底部部分272は、磁石アセンブリ170に対する最小のクリアランスを設けるために切り取られている。図示されている構造では、加熱器ブロックの他の主要部分は、DuPont Delrin(商標)などの硬質ポリマーが機械加工されたものである。いくつかの構造では、1つまたは複数の温度感知熱電対275が、それぞれの抵抗加熱器265と関連しうる。抵抗加熱器265と組み合わせられた熱電対は、加熱器ブロック内の温度設定点のプログラムを可能にする。図示されている構造では、2つの熱電対275がそれぞれの加熱器265と関連している。
【0022】
[0035]図3に示されているように、基部プラットフォーム180には、1つまたは複数の磁石アセンブリ170および磁石駆動アセンブリ175が取り付けられる。磁石アセンブリ170および磁石駆動アセンブリ175は、容器内の何らかの試料の中に存在しうる磁性粒子または常磁性粒子に磁場を選択的に印加する。例として、MagneSil(商標)常磁性粒子(PMP)では、真空濾過形式および遠心分離形式に対する別の方法として磁気分離の原理が用いられる。生命科学の分野及び産業用研究室における、MagneSil(商標)PMPに対する複数の精製用途がある。磁性粒子は、液体試料の中の「可動性の固相(mobile solid phase)」と考えることができる。これらの粒子は、磁鉄鉱に対する二酸化ケイ素(SiO2)のほぼ1:1の割合からなる。高濃度の磁鉄鉱は、磁場に対する応答性を粒子にもたせる。しかし、これらの粒子は、外部磁石の磁場に引き寄せられるものの、磁場から離されれば磁化されたままとならない点で常磁性である。二酸化ケイ素(SiO2)の基質は、核酸との結合能力を可能にする。核酸に結合した後、試料への磁場の印加によって、PMPおよび付着した核酸が溶液の残り部分から分離される。磁場が印加された状態で、外部のピペットにより溶液の一部が取り出され、それによって、試料中の核酸濃度を高めることができる。磁化部の一用途に関する本説明は例示的なものである。いくつかの用途では、MagneSil(商標)PMPよりセルロースベースのPMPが好ましい場合がある。さらに、様々な産業分野および科学分野における当業者は、加振機能および加熱機能をも可能とする装置における選択的磁化機能の意義を認識するであろう。
【0023】
[0036]図8および図9を参照すると、磁石駆動アセンブリ175は、基部プレート180(図3)に固定されて留められた正面取り付けプレート280、および背面取り付けプレート285を含む。円筒形磁石アセンブリ170は、正面取り付けプレートおよび背面取り付けプレートの軸受け開口部300の中にある第1の端部290および第2の端部295(図9)の所で回転する。磁石アセンブリ170は、(正面取り付けプレート280および背面取り付けプレート285を介して)基部プレート180に枢動可能に取り付けられるため、加振器プラットフォーム160の動きとは独立している。円筒形磁石アセンブリ170のそれぞれは、円筒形磁石ホルダ310の半径方向の穴に固定された、半径方向に対向している複数の永久磁石305を有する。図示されている実施形態では、合計18個の永久磁石305が、2つの対向する列が9つの磁石からなるようにそれぞれの磁石アセンブリ170に固定される。この2つの対向する列は、約180度離れている。磁石305は、永久磁石でも電磁石でもよい。図示されている構造では、容積比に対する磁場強度の高さによって、希土類永久磁石が用いられている。図示されている構造では、2つの円筒形磁石アセンブリ170が設けられているが、他の実施形態では、単一の磁石アセンブリが2つのラックの間で用いられてもよく、または、5つ以上のラックが使われる場合には、3つ以上の磁石アセンブリが用いられてもよい。
【0024】
[0037]図9に示されているように、磁石305は、それぞれの磁石ホルダ310における半径方向に対向する磁石の極が互いに引き寄せられるように配置される。すなわち、磁石ホルダ310の半径方向の一方の側における磁石の正極は、その磁石ホルダにおける半径方向の他方の位置における磁石の負極に面している。このような構成は、対向する磁石を磁石ホルダの中で保持する際に助けとなる。図示されている構造では、それぞれの列において隣接する磁石の極性の順序は、その列におけるそれぞれの磁石について交互(+、−、+、−、+など)となる。このような構成は、比較的低いトルクによる磁石アセンブリの回転を可能にしながら、十分な磁界強度を生み出す。しかし他の構造では、それぞれの列において一致する極性を有する、隣接する磁石を有することが好ましい場合がある。
【0025】
[0038]図9に示されている磁石アセンブリ170は例示的なものであり、磁石の他の構成が可能であることを認識されたい。複数の設計の中で、磁石305の設計および配置によって磁場が変わる場合があるため、設計者は、磁場を用途に合わせることが可能となる。例えば、図10aに示されているように、隣接する磁石305aについて一致する極性を利用することによって、図10bに示されているように、隣接する磁石305bについて一致しない極性を利用するのとは異なる磁場がもたらされる。図10aの場合、磁場307aは、図10bの磁場307bに比べて、ホルダ310の軸に沿って、より一致している。
【0026】
[0039]図3および図8を再度参照すると、磁石アセンブリ170を第1の位置から第2の位置に選択的に回転させるために、磁石駆動アセンブリ175が設けられている。図8に示されている第1の位置では、磁石305は、垂直面内に配向されている。第1の位置における磁石305によって生み出される磁場は、試料に対する効果を実質的に有さない。第2の位置では、それぞれの磁石アセンブリ175における磁石305は、水平面内に配向される。この第2の位置では、それぞれの磁石の端部は、加熱器ブロック155の中で保持される容器の中の試料の近傍に配置される。第2の位置にある場合に磁石によって生み出される磁場は、様々な用途で試料に印加される。それぞれの磁石アセンブリ170における磁石は、それぞれの磁石アセンブリにおける一方の側に9つの磁石がある場合、容器8本用の加熱器ラックの中に保持されたそれぞれの容器が2つの磁石に隣接するように、軸方向に間隔を空けられている。他の実施形態では、2つの磁石305をそれぞれの容器に隣接して配置する必要はない。より高い、より低い、より拡散した、または、より集中的な磁場をもたらすために、1つまたは複数の磁石がそれぞれの容器に隣接して配置されてもよい。磁石駆動アセンブリ175は、ベルト/プーリーアセンブリ325を駆動するために、モータ筐体320によって支持されたステッピングモータ315(図3)を用いる。図示されている構造のベルト/プーリーアセンブリ325は、両方の磁石アセンブリを一致して動作させる。特定位置における磁石アセンブリと加振器アセンブリとの間の機械的干渉または機械的衝突が起こりうる構造では、磁石アセンブリ170が第1の位置にあるか、または第2の位置にあるかを示すために、背面プレート285に取り付けられた磁石ホーム位置センサ330が動作可能である。図示されている構造では、磁石ホーム位置センサ330は、加振器ホーム位置センサ240と実質的に同様であり、同様にプーリーに関連している。
【0027】
[0040]他の構造では、複数の駆動アセンブリ、または複数の直接駆動のステッピングモータを介して磁石アセンブリ170を独立して動作させることが望ましい。さらに他の構造では、磁石アセンブリ170は、外部ノブなどを介してユーザーにより手動で位置決めされる。磁石アセンブリ170の向きに関する変形も可能である。例えば、複数の磁石305は、HSM10の中の位置から、容器に対して上げられてもよく、また下げられてもよい。
【0028】
[0041]加振部(例えば、加振器駆動アセンブリ165)、加熱部(例えば、加熱器ブロックアセンブリ250)、および磁化部(例えば、磁石アセンブリ170)の組み合わせを有することによって、HSM10は、試料を別々の場所に移すことを必要とせずに、複数の試料を選択的に加熱し、加振し、また、それらの試料に磁場を選択的に印加する能力を提供する。モードおよび設定の順序は、試料の種類、および、処理に必要な特定のパラメータに依存する。HSM10の構造すべてが、連続した順序で加熱、加振、および磁化するための能力を有するが、いくつかの構造によって、同時に加熱、加振、および/または磁化することが可能となる。例えば、いくつかの用途では、試料を加振しながら、または、磁場を印加しながら、抵抗加熱器265からの熱流束を加えることが望ましい場合がある。しかし、加振と磁化の組み合わせは、多くのプロセスにおいて望ましくない場合がある点に留意されたい。
【0029】
[0042]さらに、いくつかの構造では、磁石アセンブリ170と加振器アセンブリ165(および、取り付けられた加熱器ブロックアセンブリ250)の一方または両方が特定の位置にある場合、磁石アセンブリ170と加振器アセンブリ165との機械的干渉がありうる。これらの構造では、干渉条件を回避するために、加振器ホーム位置センサ240および磁石ホーム位置センサ330が必要となる。例えば、図3に示されている構造では、磁石ホーム位置センサ330によって示されるホーム位置(第1の位置)に磁石アセンブリが配向されていない場合には、加振器モータ185は動作することができない。同様に、加振器モータ185が停止して加振器ホーム位置センサ240によって示されるホーム位置に加振器駆動アセンブリ165が位置していない限り、磁石アセンブリ170は、ステッピングモータ315によって第1の位置から第2の位置に回転することができない。加振器駆動アセンブリ165がホーム位置にある状態では、アルミニウムコア270における切り取られた底部部分272によって、磁石アセンブリ170を第1の位置から第2の位置に回転させ、また、磁石アセンブリ170を第2の位置から再度第1の位置に回転させるための十分なクリアランスが提供される。加振器ホーム位置センサ240と磁石ホーム位置センサ330の両方を有することによって、少なくとも1つの構造においてさらなる利点がもたらされる。磁石アセンブリ170がホーム位置に配向されている場合に水平方向の最大クリアランスを確実なものとすることによって、軌道をまわる、加振器アセンブリ165のより大きい加振動作が可能となる。加振器ホーム位置センサ240によって、磁石アセンブリ170は、試料に強い磁場が印加されるように、第2の位置において容器の近傍となることが可能になる。加振器駆動アセンブリ165と磁石アセンブリ170の両方における復帰能力(homing capabilities)は、磁石と容器の間の高度に再生可能な、ステップごとの、また実行ごとの関係を容易にし、試料に印加される磁場強度における高レベルの再現性を確実なものにし、より一貫した処理をもたらす。このことは、磁場強度と距離の逆二乗関係が与えられる特定の構造において有利となりうる。
【0030】
[0043]図11は、関連するセンサ入力部を含むHSM10用の制御回路332のブロック図を示す。メインボード335は、マイクロプロセッサを含む。メインボードに関連するメモリユニット340は、実行可能な命令と、設定点および様々な動作パラメータなどのデータとを記憶する。メインボード335は、加振器モータ185および磁石用のステッピングモータ315の動作を制御するように動作可能であるが、一般には、関連する磁石ホーム位置センサ330および加振器ホーム位置センサ240からの信号によって定められる状態に基づいて動作可能である。同様に、メインボード335は、それぞれの加熱器ブロック155に関連する2つの熱電対275のそれぞれからの、加熱器ブロックの温度データを受信する。加熱器ボード345は、熱電対275とメインボード335の間で信号の調整を行なう。感知された温度をメモリユニット340に記憶された設定点と比較することによって、メインボード335は、抵抗加熱器265のそれぞれに選択的に通電するように動作可能である。
【0031】
[0044]このように、本発明は、特に、液体試料を処理するための装置を提供する。本発明の様々な特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に明記されている。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本願は、内容が全体において本明細書に参照によって組み込まれている、2009年10月16日に出願した米国仮特許出願第61/252,390号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
[0002]本発明は、研究室の試料処理機器に関する。より詳細には、本発明は、血液および他の液体試料のマルチステップ処理のための装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]大量の試料からDNAなどの生物学的な分子を精製する場合、体系的な信頼性を向上させつつ処理時間を減らす必要性がある。現行の手法では、8本の試料管がラックに保持され、そのラックは、加熱する場所から磁石の場所に、また磁石の場所から加振器の場所に、試料の処理過程の間に何度も移動する。この方法に対する別の方法の1つは、大型の遠心分離機を用いることである。しかし、遠心分離機の方法における欠点は、開いた管からの公差汚染の可能性、管を空にする際の沈殿物(pellets)の損失、ならびに、管を自動的に追加し、遠心分離機から管を自動的に取り除くことに関連する全体的な信頼性、および、液体処理の問題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]一実施形態では、本発明は、試料管の液体試料を処理するための装置を提供する。本装置は、基部と、試料管を受け入れるための受け入れ部と、受け入れ部に熱を選択的に加えるために基部に結合した加熱部とを備える。加振部は、基部に結合しており、受け入れ部を支える。この加振部は、基部に対して受け入れ部を選択的に動かす。磁化部は、基部に結合しており、受け入れ部に対して磁場を選択的に変更するように動作可能である。
【0005】
[0005]別の実施形態では、本発明は、試料処理装置を提供する。本装置は、基部と、基部に対する動き用に基部に結合したプラットフォームと、プラットフォーム駆動アセンブリとを備える。プラットフォーム駆動アセンブリは、基部に結合したプラットフォーム駆動モータと、プラットフォームに結合した軌道駆動部とを含む。受け入れ部は、プラットフォームに固定されて結合している。受け入れ部は試料管を受け入れ、また、試料管に熱を選択的に加えるための加熱部を含む。磁化部は、基部に移動可能に結合している。この磁化部は、受け入れ部に対する第1の磁場方向と、受け入れ部に対する第2の磁場方向と有する永久磁石を含む。磁石駆動アセンブリは、第1の磁場方向と第2の磁場方向との間で永久磁石を動かすためにプラットフォームと磁化部に結合している。
【0006】
[0006]さらに別の実施形態では、本発明は、複数の試料管を選択的に加熱し、加振し、また磁化するための装置を提供する。本装置は、基部部材と、駆動モータ、駆動モータに結合した軌道加振器アセンブリ、および、基部部材に対する軌道の動きに向けて軌道加振器アセンブリに結合した加熱器ブロックアセンブリを含む駆動アセンブリとを含む。加熱器ブロックアセンブリは、試料管を受け入れるための複数の開口部を有する加熱器ブロックと、試料管に熱を加えるために加熱器ブロックに熱的に結合した電気加熱器とを含む。磁石アセンブリは、磁場を有する磁石、および、第1の磁場方向と第2の磁場方向との間で磁石を動かすために基部に結合した駆動部を含む。コントローラは、電気加熱器に選択的に通電し、駆動アセンブリを選択的に動作させ、また、第1の磁場方向と第2の磁場方向との間で磁石を選択的に動かす。
【0007】
[0007]その上さらに別の実施形態では、本発明は、複数の対応する試料管によって支持された複数の試料を加熱し、加振し、磁化する方法を提供する。本方法は、基部と、基部に移動可能に結合しており、試料管を受け入れるための複数の受け入れ部および加熱部を含む加振部と、基部に結合した磁化部とを含む装置によって行なわれる。磁化部は複数の磁石を含む。本方法は、複数の受け入れ部によって複数の試料管を受け入れるステップと、加熱部によって複数の試料管を加熱するステップとを含む。磁化部は、第1の位置から第2の位置に回転する。第2の位置では、複数の試料に実質的な磁束が与えられ、第1の位置では、複数の試料に実質的な磁束が与えられない。複数の試料は、磁化部が第2の位置にある間に複数の磁石によって磁化される。磁化部は、第2の位置から第1の位置に回転する。複数の試料管は、磁化部が第1の位置にある間に加振部によって加振される。
【0008】
[0008]本発明の他の態様は、詳細な説明および添付図面を考慮することによって明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】[0009]加熱、加振、および磁化する装置における一実施形態の斜視図である。
【図2a】[0010]図1の搬送ラックおよびラック立ての斜視図である。
【図2b】[0011]図2の搬送ラックの代替構造における分解図である。
【図3】[0012]筐体および汚染防止カバーが取り外された状態における、図1の装置における加熱器/加振器/磁化器の斜視図である。
【図4】[0013]図1の装置における加振器駆動アセンブリの斜視図である。
【図5】[0014]図4の加振器駆動アセンブリの分解図である。
【図6】[0015]図1の装置における加熱器ブロックアセンブリの斜視図である。
【図7】[0016]図7aは図6の加熱器ブロックアセンブリにおける加熱器ブロックのうちの1つの分解図である。 [0017]図7bは図7aの加熱器ブロックにおけるアルミニウムコアの別の斜視図である。
【図8】[0018]図1の装置における磁石駆動アセンブリの斜視図である。
【図9】[0019]図9の磁石駆動アセンブリにおける一方の磁石アセンブリの分解図である。
【図10】[0020]図10aは図9の磁石アセンブリの、一実施形態における磁場の斜視図である。 [0021]図10bは図9の磁石アセンブリの、別の実施形態における磁場の斜視図である。
【図11】[0022]図1の装置における制御回路の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0023]本発明における任意の実施形態が詳細に説明される前に、本発明は、本発明の用途において、以降の説明に明記されているか、または添付図面に示されている構造の細部および部品の配置に限定されないことを理解されたい。本発明では他の実施形態が可能であり、また本発明は様々な方法で実施または実行されうる。
【0011】
[0024]一実施形態では、本発明は、液体試料を処理するために加熱、加振、および磁化する装置5を提供する。図1は、加熱器/加振器/磁化器(「HSM」)装置10(またはモジュール)および関連する支持器具を含む装置5の斜視図である。従来のAC−DC電源15は、ACライン電源から所望の電圧におけるDC電流を供給するためにHSM10に接続している。図示されている構造では、電源15は、電源15を空気冷却するための複数の換気孔20およびファンポート25を含む。ケーブル30は、電源の出力部をHSM10に接続する。他の構造では、電源15は、HSM10の中に組み込まれていてもよい。
【0012】
[0025]図2aによってより詳細に示されているように、搬送ラック35aおよびラック立て40は付加的に提供される。ラック立て40は、平らな底面部分45、ならびに第1の縦板(換言すれば、垂直板)50および第2の縦板55を有する。図示されている構造では、底面45および縦板50、55は、1枚の金属シート材料から一体的に形成される。他の構造では、ラック立て40は、プラスチックおよび金属を含む様々な材料から、射出成形、打ち抜き加工、曲げ加工、および押出成形を含む様々な手段によって形成される。図示されているように、縦板50、55は、縦板50、55の中に形成された複数の切り抜き窓60を有することができる。ゴムまたはプラスチックの脚65は、ラック立て40を滑らないようにし、また、研究室のテーブルまたは他の面から底面部分45を持ち上げるために部分45に取り付けられる。搬送ラック35を受け、その搬送ラック35を保持するために、第1の縦板50と第2の縦板55の上部の縁端に沿って、切り欠き70が形成される。
【0013】
[0026]搬送ラック35aは、上部面75aと、4つの直交する縁端面80、85、90、95とを有する矩形の平面板である。タブ部材100は、第1の縁端面80および第2の縁端面85に沿って、横方向に外側に延びている。タブ部材100の大きさは、ラック立ての第1の縦板と第2の縦板とにおける対応する切り欠き70の中にタブ部材が収まるようになっている。ラックの上部面75aは、上部面75aの中に形成された複数の円形開口部105を有する。これらの複数の開口部は、行と列からなるアレイ110aを形成する。開口部105は、例えば円筒形または円錐形である試料管の面のような、容器の面を受け入れて、その面と係合する大きさにすることができる。図示されている構造では、開口部105は、例えば10mlの血液試料を処理する際に使用するため等の50mlの円錐形の管を受け入れて、その管と係合する大きさである。
【0014】
[0027]図2bは、搬送ラック35bである代替構造を示す。底部の平面部材111は、上部面75bの下に、上部面75bと平行に配置されうる。ねじが切ってある複数の支柱112は、底部の平面部材111と上部面75bを分離し、また、ねじが切ってある複数の留め具113は、硬質の三次元構造体として、搬送ラック35bを一緒に留める。第2の平面部材111は、上部面アレイ110bと同様であり、そして上部面アレイ110bと整合するアレイ114を有する。第2の平面部材111は、搬送ラック35bがHSM10の所定位置に下ろされるときに、試料管を捕らえて、それらの試料管を整合する役割を果たす。
【0015】
[0028]図1に示されているように、HSM10は筐体115を含む。図示されている構造では、筐体115の一部は、アルミニウムシート材料から形成される。他の構造では、筐体115は、成形されたプラスチックまたは他の材料を含むことができる。装置の正面には制御パネル120が取り付けられる。制御パネル120は、装置5の動作モードを選択するための複数の制御ボタン125と、温度設定点、加振器の速度、および磁石の位置などのパラメータを表示するためのLED、LCD、または他の種類のディスプレイ130とを含む。図示されている構造では、装置5をプログラムして動作させるために4つのボタン125が設けられている。「エンター」ボタンは、割り当てられた機能を実行する。「エスケープ」ボタンは、実行中の機能を取り消すか、またはディスプレイの前のメニューに戻す。「アップ」ボタンは、ディスプレイのカーソルを上に移すか、またはオンを命ずる。「ダウン」ボタンは、カーソルを下に移すか、またはオフを命ずる。他の構造では、制御パネル120におけるボタンの数および機能は異なってもよく、あるいは、制御パネル120は、装置5の別の面に配置されてもよく、または、遠隔制御および遠隔操作用に外部に配置されてもよい。
【0016】
[0029]複数の円形開口部135は、HSM10の汚染防止カバー140を貫通して延びている。開口部135は、例えば先に説明した円錐形の試料管である、複数の容器を受け入れるように大きさが決められて配置されている。汚染防止カバー140における開口部135のアレイは、搬送ラック35によって提供されるアレイと一致するため、容器を有する搬送ラック35a、35bは、HSM10の対応する開口部135の中に下ろすことができる。搬送ラック35a、35bは、汚染防止カバー140の外周部のまわりを包む、搬送ラック35a、35bの縁端面80、85、90、95によって、汚染防止カバー140の上に保持される。さらに、搬送ラック35a、35bに担持される容器は、汚染防止カバー140の上に搬送ラック35a、35bが下ろされる際に、汚染防止カバーの開口部内にラックを整列させて保持するように働く。図1および図2aに示されている構造では、搬送ラック35aに対する4本の拘束ねじ145が、汚染防止カバー140の表面に設けられた、ねじが切ってある4つの穴150を介して、搬送ラックを汚染防止カバー140に留めるために提供される。いくつかの構造では、縁端面80、85、90、95は、試料の加振動作の間、汚染防止カバー140に対する搬送ラック35aの十分な保持を可能にし、拘束ねじ145を余分なものとする。
【0017】
[0030]図3は、筐体115の一部と汚染防止カバー140が取り除かれた状態におけるHSM10を示す。複数の平行な加熱器ブロック155が、加振器プラットフォーム160に固定して取り付けられて示されている。加振器プラットフォーム160は、加振器駆動アセンブリ165(図4)によって駆動される。一対の回転可能な磁石アセンブリ170(図8)は、ベルトプーリーシステムを有する別個の磁石駆動アセンブリ175によって駆動される。
【0018】
[0031]図4および図5は、HSM10における加振器駆動アセンブリ165の一構造を示す。筐体115の硬質基部プレート180は、HSM10のサブアセンブリ用の安定な取り付けプラットフォームを提供する。DC加振器モータ185は、加振器モータ筐体188内に取り付けられる。DC加振器モータ185は、所望の試料負荷に応じた様々な大きさと構成のものでもよい。図示されている構造では、ブラシレスDC(BLDC)モータが用いられている。加振器モータのシャフトは、モータプーリーを介して加振器の駆動ベルト190に接続される。加振器の駆動ベルト190は、スピンドル筐体195の中のスピンドルプーリーに巻き付いている。スピンドルプーリーは、シャフトを介して偏心カム200に接続される。幾何学的中心から外れた回転軸を有する偏心カムは、一般に円筒形であり、回転する間に半径方向の外側面に所望の偏心をもたせる。カム200のまわりの円筒形ベアリング205は、回転する間に加振器スピンドル210を押し、加振器スピンドル210をある軌道パターンで振動させる。加振器スピンドル210は、加振器スピンドルの互いに対向する側における第1の対の平行な板ばね220を介してバランサ筐体(balancer housing)215に弾性的に取り付けられる。バランサ筐体215は、第2の対の対向する板ばね225を介して基部プレート180に弾性的に取り付けられ、この第2の対の平行な板ばねは、第1の対の板ばねと垂直に取り付けられる。第2の対の板ばね225は、ねじが切ってある複数の留め具235によって基部プレート180にボルトで留まっている、一対の硬質なばね取り付け台230を介して基部プレート180に取り付けられている。図示されている構成では、3本のソケットヘッドねじが用いられている。様々な代替の駆動機構が可能であることを理解されたい。例えば、他の実施形態は、本明細書で開示されたプーリーとベルトを用いずに、スピンドルの直接駆動部を有することができる。
【0019】
[0032]いくつかの構造では、加振器ホーム位置(換言すれば、始動位置または復帰位置)センサ240が設けられる。以下でより詳細に説明されるように、ホーム位置センサは、可動加振器プラットフォーム160に固定された部品と、基部プレート180に固定された部品とのクリアランスが、可動加振器プラットフォーム160の位置に応じて接触または衝突が起こりうるのに十分小さい場合に使用されうる。図5に示されている構造では、ホーム位置センサ240は、スピンドルプーリーに関連している。加振器を駆動するために同期BLDCモータが用いられる場合、位置センサは、モータまたはモータコントローラにも関連しうる。また、加振器位置センサは、モータプーリー、加振器のベアリング、または加振器スピンドルにも関連しうる。
【0020】
[0033]加振器プラットフォーム160は、ねじが切ってある複数の留め具245によって加振器駆動アセンブリ165に固定される。図示されている構造では、4つのソケットと皿小ねじが用いられている。図6は、ねじが切ってある複数の留め具によって加振器プラットフォーム160に取り付けられる加熱器ブロックアセンブリ250(すなわち、加振器プラットフォーム160は、加熱器ブロックアセンブリ250を支持する)を示す。加熱器ブロックアセンブリ250は、複数の平行な加熱器ブロック155からなる。図示されている構造では、加熱器ブロックアセンブリ250は、対応する容器を受け入れるためにそれぞれが8つの開口部255を有する4つの加熱器ブロック155を含み、それによって32個の開口部255を与える。他の構造では、加熱器ブロックおよび加熱器ブロックアセンブリの様々な構成が使用されうる。例えば、合計16個の試料に対して2つの加熱器ブロックを有する、小規模処理用のHSMを有することが望ましい場合があり、あるいは、大規模処理用に6つまたは8つの加熱器ブロックを有することが望ましい場合がある。
【0021】
[0034]図7aに示されているように、それぞれの加熱器ブロック155の垂直面260には、試料管に処理を加える間、その試料管に熱流束を与えるために、薄膜形の抵抗加熱器265が接着によって取り付けられる。抵抗加熱器265は、所望のパラメータに応じて、単独で、または、試料を加振もしくは磁化しながら、選択的に通電されうる。図示されている構造では、抵抗加熱器265は、抵抗加熱器265から試料管への熱伝達を最大にするために、加熱器ブロック155のアルミニウムコア270に取り付けられる。アルミニウムコア270は、アルミニウムコア270に保持される容器の外周における接触を最大にすることによって、容器を容易に挿入または取り外しできるようにするための十分なクリアランスを有しつつ、加熱器265から容器への伝導性熱伝達を促進する。アルミニウムコア270の壁271は、加熱器265が通電される際に熱応答時間を最小にし、また、加熱器ブロック155どうしの間の利用可能な空間を最大にするために薄い断面を有する。図6および図7bを参照すると、以下でより詳細に説明されるように、アルミニウムコア270の底部部分272は、磁石アセンブリ170に対する最小のクリアランスを設けるために切り取られている。図示されている構造では、加熱器ブロックの他の主要部分は、DuPont Delrin(商標)などの硬質ポリマーが機械加工されたものである。いくつかの構造では、1つまたは複数の温度感知熱電対275が、それぞれの抵抗加熱器265と関連しうる。抵抗加熱器265と組み合わせられた熱電対は、加熱器ブロック内の温度設定点のプログラムを可能にする。図示されている構造では、2つの熱電対275がそれぞれの加熱器265と関連している。
【0022】
[0035]図3に示されているように、基部プラットフォーム180には、1つまたは複数の磁石アセンブリ170および磁石駆動アセンブリ175が取り付けられる。磁石アセンブリ170および磁石駆動アセンブリ175は、容器内の何らかの試料の中に存在しうる磁性粒子または常磁性粒子に磁場を選択的に印加する。例として、MagneSil(商標)常磁性粒子(PMP)では、真空濾過形式および遠心分離形式に対する別の方法として磁気分離の原理が用いられる。生命科学の分野及び産業用研究室における、MagneSil(商標)PMPに対する複数の精製用途がある。磁性粒子は、液体試料の中の「可動性の固相(mobile solid phase)」と考えることができる。これらの粒子は、磁鉄鉱に対する二酸化ケイ素(SiO2)のほぼ1:1の割合からなる。高濃度の磁鉄鉱は、磁場に対する応答性を粒子にもたせる。しかし、これらの粒子は、外部磁石の磁場に引き寄せられるものの、磁場から離されれば磁化されたままとならない点で常磁性である。二酸化ケイ素(SiO2)の基質は、核酸との結合能力を可能にする。核酸に結合した後、試料への磁場の印加によって、PMPおよび付着した核酸が溶液の残り部分から分離される。磁場が印加された状態で、外部のピペットにより溶液の一部が取り出され、それによって、試料中の核酸濃度を高めることができる。磁化部の一用途に関する本説明は例示的なものである。いくつかの用途では、MagneSil(商標)PMPよりセルロースベースのPMPが好ましい場合がある。さらに、様々な産業分野および科学分野における当業者は、加振機能および加熱機能をも可能とする装置における選択的磁化機能の意義を認識するであろう。
【0023】
[0036]図8および図9を参照すると、磁石駆動アセンブリ175は、基部プレート180(図3)に固定されて留められた正面取り付けプレート280、および背面取り付けプレート285を含む。円筒形磁石アセンブリ170は、正面取り付けプレートおよび背面取り付けプレートの軸受け開口部300の中にある第1の端部290および第2の端部295(図9)の所で回転する。磁石アセンブリ170は、(正面取り付けプレート280および背面取り付けプレート285を介して)基部プレート180に枢動可能に取り付けられるため、加振器プラットフォーム160の動きとは独立している。円筒形磁石アセンブリ170のそれぞれは、円筒形磁石ホルダ310の半径方向の穴に固定された、半径方向に対向している複数の永久磁石305を有する。図示されている実施形態では、合計18個の永久磁石305が、2つの対向する列が9つの磁石からなるようにそれぞれの磁石アセンブリ170に固定される。この2つの対向する列は、約180度離れている。磁石305は、永久磁石でも電磁石でもよい。図示されている構造では、容積比に対する磁場強度の高さによって、希土類永久磁石が用いられている。図示されている構造では、2つの円筒形磁石アセンブリ170が設けられているが、他の実施形態では、単一の磁石アセンブリが2つのラックの間で用いられてもよく、または、5つ以上のラックが使われる場合には、3つ以上の磁石アセンブリが用いられてもよい。
【0024】
[0037]図9に示されているように、磁石305は、それぞれの磁石ホルダ310における半径方向に対向する磁石の極が互いに引き寄せられるように配置される。すなわち、磁石ホルダ310の半径方向の一方の側における磁石の正極は、その磁石ホルダにおける半径方向の他方の位置における磁石の負極に面している。このような構成は、対向する磁石を磁石ホルダの中で保持する際に助けとなる。図示されている構造では、それぞれの列において隣接する磁石の極性の順序は、その列におけるそれぞれの磁石について交互(+、−、+、−、+など)となる。このような構成は、比較的低いトルクによる磁石アセンブリの回転を可能にしながら、十分な磁界強度を生み出す。しかし他の構造では、それぞれの列において一致する極性を有する、隣接する磁石を有することが好ましい場合がある。
【0025】
[0038]図9に示されている磁石アセンブリ170は例示的なものであり、磁石の他の構成が可能であることを認識されたい。複数の設計の中で、磁石305の設計および配置によって磁場が変わる場合があるため、設計者は、磁場を用途に合わせることが可能となる。例えば、図10aに示されているように、隣接する磁石305aについて一致する極性を利用することによって、図10bに示されているように、隣接する磁石305bについて一致しない極性を利用するのとは異なる磁場がもたらされる。図10aの場合、磁場307aは、図10bの磁場307bに比べて、ホルダ310の軸に沿って、より一致している。
【0026】
[0039]図3および図8を再度参照すると、磁石アセンブリ170を第1の位置から第2の位置に選択的に回転させるために、磁石駆動アセンブリ175が設けられている。図8に示されている第1の位置では、磁石305は、垂直面内に配向されている。第1の位置における磁石305によって生み出される磁場は、試料に対する効果を実質的に有さない。第2の位置では、それぞれの磁石アセンブリ175における磁石305は、水平面内に配向される。この第2の位置では、それぞれの磁石の端部は、加熱器ブロック155の中で保持される容器の中の試料の近傍に配置される。第2の位置にある場合に磁石によって生み出される磁場は、様々な用途で試料に印加される。それぞれの磁石アセンブリ170における磁石は、それぞれの磁石アセンブリにおける一方の側に9つの磁石がある場合、容器8本用の加熱器ラックの中に保持されたそれぞれの容器が2つの磁石に隣接するように、軸方向に間隔を空けられている。他の実施形態では、2つの磁石305をそれぞれの容器に隣接して配置する必要はない。より高い、より低い、より拡散した、または、より集中的な磁場をもたらすために、1つまたは複数の磁石がそれぞれの容器に隣接して配置されてもよい。磁石駆動アセンブリ175は、ベルト/プーリーアセンブリ325を駆動するために、モータ筐体320によって支持されたステッピングモータ315(図3)を用いる。図示されている構造のベルト/プーリーアセンブリ325は、両方の磁石アセンブリを一致して動作させる。特定位置における磁石アセンブリと加振器アセンブリとの間の機械的干渉または機械的衝突が起こりうる構造では、磁石アセンブリ170が第1の位置にあるか、または第2の位置にあるかを示すために、背面プレート285に取り付けられた磁石ホーム位置センサ330が動作可能である。図示されている構造では、磁石ホーム位置センサ330は、加振器ホーム位置センサ240と実質的に同様であり、同様にプーリーに関連している。
【0027】
[0040]他の構造では、複数の駆動アセンブリ、または複数の直接駆動のステッピングモータを介して磁石アセンブリ170を独立して動作させることが望ましい。さらに他の構造では、磁石アセンブリ170は、外部ノブなどを介してユーザーにより手動で位置決めされる。磁石アセンブリ170の向きに関する変形も可能である。例えば、複数の磁石305は、HSM10の中の位置から、容器に対して上げられてもよく、また下げられてもよい。
【0028】
[0041]加振部(例えば、加振器駆動アセンブリ165)、加熱部(例えば、加熱器ブロックアセンブリ250)、および磁化部(例えば、磁石アセンブリ170)の組み合わせを有することによって、HSM10は、試料を別々の場所に移すことを必要とせずに、複数の試料を選択的に加熱し、加振し、また、それらの試料に磁場を選択的に印加する能力を提供する。モードおよび設定の順序は、試料の種類、および、処理に必要な特定のパラメータに依存する。HSM10の構造すべてが、連続した順序で加熱、加振、および磁化するための能力を有するが、いくつかの構造によって、同時に加熱、加振、および/または磁化することが可能となる。例えば、いくつかの用途では、試料を加振しながら、または、磁場を印加しながら、抵抗加熱器265からの熱流束を加えることが望ましい場合がある。しかし、加振と磁化の組み合わせは、多くのプロセスにおいて望ましくない場合がある点に留意されたい。
【0029】
[0042]さらに、いくつかの構造では、磁石アセンブリ170と加振器アセンブリ165(および、取り付けられた加熱器ブロックアセンブリ250)の一方または両方が特定の位置にある場合、磁石アセンブリ170と加振器アセンブリ165との機械的干渉がありうる。これらの構造では、干渉条件を回避するために、加振器ホーム位置センサ240および磁石ホーム位置センサ330が必要となる。例えば、図3に示されている構造では、磁石ホーム位置センサ330によって示されるホーム位置(第1の位置)に磁石アセンブリが配向されていない場合には、加振器モータ185は動作することができない。同様に、加振器モータ185が停止して加振器ホーム位置センサ240によって示されるホーム位置に加振器駆動アセンブリ165が位置していない限り、磁石アセンブリ170は、ステッピングモータ315によって第1の位置から第2の位置に回転することができない。加振器駆動アセンブリ165がホーム位置にある状態では、アルミニウムコア270における切り取られた底部部分272によって、磁石アセンブリ170を第1の位置から第2の位置に回転させ、また、磁石アセンブリ170を第2の位置から再度第1の位置に回転させるための十分なクリアランスが提供される。加振器ホーム位置センサ240と磁石ホーム位置センサ330の両方を有することによって、少なくとも1つの構造においてさらなる利点がもたらされる。磁石アセンブリ170がホーム位置に配向されている場合に水平方向の最大クリアランスを確実なものとすることによって、軌道をまわる、加振器アセンブリ165のより大きい加振動作が可能となる。加振器ホーム位置センサ240によって、磁石アセンブリ170は、試料に強い磁場が印加されるように、第2の位置において容器の近傍となることが可能になる。加振器駆動アセンブリ165と磁石アセンブリ170の両方における復帰能力(homing capabilities)は、磁石と容器の間の高度に再生可能な、ステップごとの、また実行ごとの関係を容易にし、試料に印加される磁場強度における高レベルの再現性を確実なものにし、より一貫した処理をもたらす。このことは、磁場強度と距離の逆二乗関係が与えられる特定の構造において有利となりうる。
【0030】
[0043]図11は、関連するセンサ入力部を含むHSM10用の制御回路332のブロック図を示す。メインボード335は、マイクロプロセッサを含む。メインボードに関連するメモリユニット340は、実行可能な命令と、設定点および様々な動作パラメータなどのデータとを記憶する。メインボード335は、加振器モータ185および磁石用のステッピングモータ315の動作を制御するように動作可能であるが、一般には、関連する磁石ホーム位置センサ330および加振器ホーム位置センサ240からの信号によって定められる状態に基づいて動作可能である。同様に、メインボード335は、それぞれの加熱器ブロック155に関連する2つの熱電対275のそれぞれからの、加熱器ブロックの温度データを受信する。加熱器ボード345は、熱電対275とメインボード335の間で信号の調整を行なう。感知された温度をメモリユニット340に記憶された設定点と比較することによって、メインボード335は、抵抗加熱器265のそれぞれに選択的に通電するように動作可能である。
【0031】
[0044]このように、本発明は、特に、液体試料を処理するための装置を提供する。本発明の様々な特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に明記されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
試料管を受け入れるための受け入れ部と、
前記受け入れ部に熱を選択的に加えるように前記基部に結合した加熱部と、
前記基部に結合しており、前記受け入れ部を支持し、前記基部に対して前記受け入れ部を選択的に動かす加振部と、
前記基部に結合しており、前記受け入れ部に対して磁場を選択的に変化させるように移動可能な磁化部と
を備える、試料管の液体試料を処理するための装置。
【請求項2】
前記加熱部が抵抗加熱器を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記加熱部が、前記加振部と共に動くように前記加振部に結合している、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記加熱部が、前記受け入れ部に結合している、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記加熱部が、抵抗膜加熱器を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記受け入れ部が、前記磁化部を受け入れるための開口部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記磁化部が、
第1の軸を有し、前記第1の軸のまわりで回転するために前記基部に回転可能に結合した第1の磁石ホルダと、
前記第1の磁石ホルダに固定的に結合した複数の第1の磁石と、
第1の軸方向と第2の軸方向との間で前記第1の磁石ホルダを選択的に駆動する磁石駆動機構と
を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
磁極が前記第1の軸に対して実質的に垂直に配向された状態で前記複数の第1の磁石が配置されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の第1の磁石のうちの隣接する磁石が、実質的に同様の磁極配向を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の第1の磁石のうちの隣接する磁石が、実質的に逆向きの磁極配向を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記磁化部が、
第2の軸を有し、前記第2の軸のまわりで回転するために前記基部に回転可能に結合した第2の磁石ホルダと、
前記第2の磁石ホルダに固定的に結合した複数の第2の磁石であって、前記磁石駆動機構が第3の軸方向と第4の軸方向との間で前記第2の磁石ホルダを選択的に駆動する、複数の第2の磁石と、
をさらに備える、請求項7から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記加振部が、前記基部に対して前記受け入れ部を軌道運動で回転させるように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記加振部が、
プラットフォームと、
前記基部に結合したプラットフォーム駆動モータ、および、前記プラットフォームに結合した軌道駆動部を含むプラットフォーム駆動アセンブリと
を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記プラットフォーム駆動アセンブリ、加熱部、および磁石駆動アセンブリを選択的に制御し、前記プラットフォーム駆動モータの動作中における前記磁石駆動アセンブリの動作を防止するためのロジックを含むコントローラをさらに備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記基部に対する前記磁化部の位置を測定して第1の信号を生成するための磁石位置センサをさらに備え、前記コントローラが、前記第1の信号を受信し、前記第1の信号に部分的に基づいて前記プラットフォーム駆動アセンブリを選択的に動作させる、請求項14に記載の装置。
【請求項1】
基部と、
試料管を受け入れるための受け入れ部と、
前記受け入れ部に熱を選択的に加えるように前記基部に結合した加熱部と、
前記基部に結合しており、前記受け入れ部を支持し、前記基部に対して前記受け入れ部を選択的に動かす加振部と、
前記基部に結合しており、前記受け入れ部に対して磁場を選択的に変化させるように移動可能な磁化部と
を備える、試料管の液体試料を処理するための装置。
【請求項2】
前記加熱部が抵抗加熱器を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記加熱部が、前記加振部と共に動くように前記加振部に結合している、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記加熱部が、前記受け入れ部に結合している、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記加熱部が、抵抗膜加熱器を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記受け入れ部が、前記磁化部を受け入れるための開口部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記磁化部が、
第1の軸を有し、前記第1の軸のまわりで回転するために前記基部に回転可能に結合した第1の磁石ホルダと、
前記第1の磁石ホルダに固定的に結合した複数の第1の磁石と、
第1の軸方向と第2の軸方向との間で前記第1の磁石ホルダを選択的に駆動する磁石駆動機構と
を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
磁極が前記第1の軸に対して実質的に垂直に配向された状態で前記複数の第1の磁石が配置されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の第1の磁石のうちの隣接する磁石が、実質的に同様の磁極配向を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の第1の磁石のうちの隣接する磁石が、実質的に逆向きの磁極配向を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記磁化部が、
第2の軸を有し、前記第2の軸のまわりで回転するために前記基部に回転可能に結合した第2の磁石ホルダと、
前記第2の磁石ホルダに固定的に結合した複数の第2の磁石であって、前記磁石駆動機構が第3の軸方向と第4の軸方向との間で前記第2の磁石ホルダを選択的に駆動する、複数の第2の磁石と、
をさらに備える、請求項7から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記加振部が、前記基部に対して前記受け入れ部を軌道運動で回転させるように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記加振部が、
プラットフォームと、
前記基部に結合したプラットフォーム駆動モータ、および、前記プラットフォームに結合した軌道駆動部を含むプラットフォーム駆動アセンブリと
を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記プラットフォーム駆動アセンブリ、加熱部、および磁石駆動アセンブリを選択的に制御し、前記プラットフォーム駆動モータの動作中における前記磁石駆動アセンブリの動作を防止するためのロジックを含むコントローラをさらに備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記基部に対する前記磁化部の位置を測定して第1の信号を生成するための磁石位置センサをさらに備え、前記コントローラが、前記第1の信号を受信し、前記第1の信号に部分的に基づいて前記プラットフォーム駆動アセンブリを選択的に動作させる、請求項14に記載の装置。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【公表番号】特表2013−508685(P2013−508685A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534384(P2012−534384)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/052799
【国際公開番号】WO2011/047233
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(500430084)プロメガ・コーポレーション (18)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/052799
【国際公開番号】WO2011/047233
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(500430084)プロメガ・コーポレーション (18)
【Fターム(参考)】
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