説明

加熱処理用トレイ

【課題】レトルト処理やボイル処理等の加熱処理の際、未シールの折り返し部とシール部との隅部付近におけるシール部の剥離やピンホール等の損傷を抑制することが可能な加熱処理用トレイを提供する。
【解決手段】未シールフィルムからなる折り返し部の両端に位置する2辺にそれぞれシール部2,2が形成された軟包装袋1を加熱処理する際、軟包装袋1の上下両側にそれぞれ配置される加熱処理用トレイ10,10であって、軟包装袋1の内容物充填部3が配置される凹部14と、凹部14の両側において2辺のシール部2,2をそれぞれ支持する支持部11,11とを備え、凹部14の底部13と支持部11との間には、内容物充填部3のうち2辺のシール部2に近い部分であるシール近傍部4を軟包装袋1の上下両側から保持するシール近傍部保持部12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト加熱処理、レトルト殺菌処理、ボイル加熱処理などにおいて、軟包装袋を加熱処理する際に、軟包装袋の上下両側にそれぞれ配置されて軟包装袋を保持するために用いられる加熱処理用トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
レトルト加熱処理、レトルト殺菌処理、ボイル加熱処理などにより、軟包装袋からなる包装体を加熱処理する際には、複数のトレイを段積みにして、その間に多数の軟包装袋を保持している。軟包装袋は、プラスチックフィルムや複合フィルム等からなる柔軟なパウチである。
また、加熱処理の際、処理効率の向上等のために、包装体を保持して段積みにしたトレイを回転させ、包装体の内容物を撹拌するようにしている。このとき、包装体が動き回るとフィルムの皺や折れが生じることがあり、さらには、フィルムの厚み方向を貫通してピンホール等の損傷が発生するという問題がある。
【0003】
この問題を解決するため、特許文献1,2には、包装体を確実に保持するための構造を備えたトレイが開示されている。
特許文献1には、複数個の可撓性包装体を個々に区画する仕切壁の配列間隔を若干小として該包装体の縁部を挟持するようにした可撓性包装体殺菌用支持トレイが記載されている。
【0004】
特許文献2には、段積みされる上下のトレイにそれぞれ湾曲面または複数の平面からなる凹状の保持板が対向位置に設けられ、前記保持板は、レトルト食品のパックの外周と略等しい曲率の湾曲状に形成され、前記保持板によって形成される空間に収納したパックの外周を、前記保持板の湾曲面によって保持するようにしたレトルト食品用トレイが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭62−029369号公報
【特許文献2】特開平06−237744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のレトルトパウチにおいては、レトルト処理時の耐久性を確保するため、袋の全周囲がシールされた袋、例えば四方シール袋が多く使用されていた。しかしながら、四方シール袋は、シール工程数やフィルム使用量が多いため、生産コストが高い、という問題がある。
【0007】
三方シール袋など未シールフィルムからなる折り返し部を有する小袋の場合、製袋時のシール工程数がより少なく済む上、フィルム使用量も少なくでき、四方シール袋より低コストで実施できるという利点がある。また、少なくとも一辺分シールを減らすことで包装袋としての面積を減らせ輸送効率を上げることもできる。
また、内容物が飲食料品や医薬品などの場合では、スティック状包装袋を開封し直接口をつけて飲むときにシールの無い辺があるのでシール部が邪魔にならず四方シール袋より飲み易い等の利点がある。
しかしながら、折り返し部を有する小袋をレトルトパウチとして使用する場合、レトルト処理時の負荷により、図8に示すように折り返し部6とその端部に位置するシール部2との成す隅部により高い負荷が加わり、折り返し部6の付近でシール部2の剥離9やピンホール等の損傷が生じやすい、という問題があることが分かった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レトルト処理やボイル処理等の加熱処理の際、未シールの折り返し部とシール部との隅部付近におけるシール部の剥離やピンホール等の損傷を抑制することが可能な加熱処理用トレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、少なくとも1辺に未シールフィルムからなる折り返し部を有し、かつ前記折り返し部の両端に位置する2辺にそれぞれシール部が形成された軟包装袋を加熱処理する際、軟包装袋の上下両側にそれぞれ配置される加熱処理用トレイであって、前記軟包装袋の内容物充填部が配置される凹部と、前記凹部を介した両側において前記2辺のシール部をそれぞれ支持する支持部とを備え、前記凹部の底部と前記支持部との間には、前記内容物充填部のうち前記2辺のシール部に近い部分であるシール近傍部を前記軟包装袋の上下両側から保持するシール近傍部保持部を備えることを特徴とする加熱処理用トレイを提供する。
【0010】
前記シール近傍部保持部は、傾斜面、湾曲面、またはこれらの組み合わせからなることが好ましい。
前記凹部は、前記軟包装袋の前記シール部が形成された辺の延在方向である軟包装袋の幅方向に延在して、前記軟包装袋の幅の2倍以上の長さを有する溝状に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、支持部によりシール部を、そして同時にシール近傍部保持部によりシール近傍部を確実に保持できるので、未シールフィルムからなる折り返し部を有する軟包装袋を加熱処理する場合でも、折り返し部とシール部とが成す隅部への負荷を軽減でき、シール部の剥離やシワによるピンホール等の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は本発明の第1形態例のトレイを軟包装袋とともに示す縦断面図であり、(b)は当該トレイで軟包装袋を保持した状態を示す縦断面図である。
【図2】(a)は本発明の第2形態例のトレイを軟包装袋とともに示す縦断面図であり、(b)は当該トレイで軟包装袋を保持した状態を示す縦断面図である。
【図3】(a)はトレイを多段積みに用いた状態を示す縦断面図であり、(b)は多段積みの中間に用いるトレイの一例を示す縦断面図である。
【図4】トレイの溝状の凹部に軟包装袋を幅方向に並べて配置する様子を説明する斜視図である。
【図5】(a)は三方シール袋の一例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線に沿う横断面図である。
【図6】(a)は背貼り袋の一例を示す平面図であり、(b)は(a)のB−B線に沿う横断面図である。
【図7】(a)はチューブ袋の一例を示す平面図であり、(b)は(a)のC−C線に沿う横断面図である。
【図8】(a)は折り返し部におけるシール部の剥離の一例を説明する斜視図であり、(b)は(a)のD−D線に沿う横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
本発明は、図4に示すように、少なくとも1辺に未シールフィルムからなる折り返し部6を有し、かつ折り返し部6の両端に位置する2辺にそれぞれシール部2,2が形成された軟包装袋1の加熱処理に用いられる。加熱処理の際には、図1、図2に示すように、加熱処理用トレイ10,20が軟包装袋1の上下両側にそれぞれ配置される。
【0014】
図1に示すトレイ10は、軟包装袋1の2辺のシール部2,2をそれぞれ支持する一対の支持部11,11と、一対の支持部11,11の間に設けられた凹部14を備える。一方の支持部11は一方のシール部2を支持し、他方の支持部11は他方のシール部2を支持すべく、凹部14の両側に対向して配置されている。
なお、一方のシール部2を支持する支持部11と他方のシール部2を支持する支持部11とは別々に形成されていてもよく、あるいは凹部14の周囲で環状またはU字状に連結されていても構わない。また、トレイ10全体において凹部14が複数個設けられてもよく、その場合には支持部11はそれぞれの凹部14の両側に設けられる。
【0015】
軟包装袋1は、2辺のシール部2,2同士の間に内容物が充填される内容物充填部3を有しており、これに対応して、加熱処理用トレイ10の凹部14には、軟包装袋1の内容物充填部3が配置される。支持部11,11の距離、すなわち凹部14の差渡し幅は、軟包装袋1の高さ(縦寸法)に応じて適宜設定することができ、例えば100〜200mm程度が例示される。
なお、本発明において、軟包装袋1の高さ方向とは、折り返し部6の延在する方向とし、図4では長辺方向であるが、一般には必ずしも長辺方向とは限らない。
図2に示すトレイ20も同様の支持部21,21および凹部24を備えている。
【0016】
トレイ10,20の凹部14,24は、支持部11,21から下がった深さが中央部に向けて徐々に増大しており、その最も深い部分である底部13,23は、略平坦面とされている。この底部13,23は、軟包装袋1において内容物充填部3が膨出して厚みが増大した部分5の位置に対応する。凹部14,24の深さは、軟包装袋1の厚みの1/2またはそれより若干大きい程度が好ましく、例えば3〜10mm程度が例示される。
【0017】
また、底部13,23と支持部11,21との間には、内容物充填部3のうち2辺のシール部2に近い部分であるシール近傍部4を軟包装袋1の上下両側から保持するシール近傍部保持部12,22が形成されている。つまり、凹部14,24は、底部13,23とその両側のシール近傍部保持部12,22とから構成されている。
【0018】
シール近傍部保持部12,22は、傾斜面、湾曲面、またはこれらの組み合わせからなることが好ましい。図1に示すトレイ10の場合、シール近傍部保持部12は、支持部11から底部13までの間を連続して接続した1つの傾斜面から構成されている。また、図2に示すトレイ20の場合、シール近傍部保持部22は、支持部21から底部23までの間を連続して接続した1つの湾曲面から構成されている。湾曲面の断面形状は、円弧状、楕円弧状など、種々の曲線弧から選択できる。設計や製造の容易さの観点からは、断面直線状の傾斜面または断面円弧状の湾曲面が好ましい。ここで断面とは、図1や図2に示すように、包装袋の高さ方向を含む垂直面に沿う断面である。
【0019】
シール近傍部保持部12,22は、軟包装袋1のシール部2に向かって徐々に厚みが減少したシール近傍部4の外形に沿った形状が好ましい。そのため、シール近傍部保持部を2つ以上の傾斜面、2つ以上の湾曲面、または1つ以上の傾斜面と1つ以上の湾曲面との組み合わせから構成することもできる。
支持部11,21とシール近傍部保持部12,22との間は、段差なしで連続して接続する断面を有することが好ましい。また、シール近傍部保持部12,22が複数の傾斜面または湾曲面から構成されるときも、これらの面の間は段差なしで連続して接続する断面を有することが好ましい。
【0020】
トレイ10,20の支持部11,21や凹部14,24等を構成する材料としては、例えば鉄板、ステンレス板、アルミ板等の金属板が挙げられる。軟包装袋1の上下両側にそれぞれ配置されたトレイ10,20は、図示しない押さえ装置により、相互の距離が離間しないように固定される。押さえ装置は、レトルト処理装置に内蔵されているものを用いることもできる。
【0021】
本形態例のトレイ10,20は、例えば図3に示すように複数のトレイを多段に積み重ねて用いることができる。その場合、最上段および最下段を除いたもの、つまり中間に配置されるトレイ30は、上下面それぞれに支持部11と凹部14とを有する構造とすると、軟包装袋1の上側に載置したトレイ30の上面に、次の段の軟包装袋1を載置することができるので、好ましい。最上段および最下段のトレイは片面のみに支持部11と凹部14とを有するもので良い。
【0022】
トレイ10,20,30に保持された軟包装袋1は、上述の押さえ装置によりトレイ10,20,30と一体化された状態で回転または揺動されながら、あるいは回転および揺動の両方の動作を同時または非同時に加えられながら、処理槽内で水蒸気や熱水などの加熱用流体によって加熱される。これにより、軟包装袋1の内容物が撹拌されて、加熱効率が向上する。
【0023】
この際、本形態例のトレイ10,20,30によれば、2辺のシール部2を上下両側から支持部11,21で挟持するとともに、シール近傍部4を上下両側からシール近傍部保持部12,22で保持するので、未シールフィルムからなる折り返し部6を有する軟包装袋1を加熱処理する場合でも、折り返し部6とシール部2とが成す隅部への負荷を軽減でき、折り返し部6の両端付近におけるシール部2の剥離を抑制することができる。
また、軟包装袋1を保持するトレイがシール部2を挟持する支持部11,21を備え、内容物が介在しないシール部2に対しては、より高い圧力で挟持することができるので、軟包装袋1をより確実に支持することができる。
【0024】
本形態例のトレイを特許文献1に記載のトレイと比較すると、本形態例は単にシール部を挟持するのみではなく、シール近傍部4に密着または近接して保持するシール近傍部保持部12,22を有するので、シール部が挟持された箇所を支点としてシール近傍部が振れ動くことを抑制でき、フィルムのシワや、シール部およびシール近傍部でのフィルムの損傷(シール部の剥離やフィルムを貫通するピンホール等)が発生しにくくなる。
【0025】
また、本形態例のトレイを特許文献2に記載のトレイと比較すると、本形態例では軟包装袋1の内容物充填部3を保持する凹部14の形状は、シール近傍部4に近いシール近傍部保持部12,22を主として軟包装袋1の外形に合わせており、しかも、シール部2を挟持する支持部11,21の位置を基準とすることができるので、シール近傍部4の寸法が小さい小袋であっても、容易に凹部14の形状をシール近傍部4に合わせることができ、トレイの製造コストを低減することができる。
【0026】
回転や揺動による撹拌は、内容物が固形物、粒状物、ゼリー体等の不溶物と、液体等の流動物とのように、比重差の大きい2種類以上の混合物である場合、より効果的となる。内容物の比重差が小さい場合には、空気あるいは窒素等の気体を少量混入すると、回転や揺動による内容物の撹拌が促進されるので好ましい。
【0027】
図4に示すように、凹部14は、軟包装袋1のシール部2が形成された辺の延在方向である軟包装袋1の幅方向に延在して、軟包装袋1の幅(横寸法)の2倍以上の長さを有する溝状に形成されていることが好ましい。これにより、2個以上の軟包装袋1を保持可能なトレイをより簡単な構造で構成することができる。本形態例の場合、上述したように、シール部2を挟持することで軟包装袋1をより確実に保持することができるので、軟包装袋1の幅方向両側を保持するための仕切り等の構造物は不要であり、加熱時に内容物の体積膨脹があっても幅方向の外側に逃がすことができる。
なお、本発明において、軟包装袋1の幅方向とは、シール部2の延在する方向とし、図4では短辺方向であるが、一般には必ずしも短辺方向とは限らない。
【0028】
また、図4のように凹部14が溝状構造であれば、溝の長手方向(軟包装袋1の幅方向)に沿って凹部14の形状を均一に成形すれば良くなるので、トレイ凹部の成形工程をより簡略化でき、トレイの製造コストを低減することができる。なお、図4では、溝状の凹部14は図1と同様にシール近傍部保持部12に傾斜面を有するものであるが、上述したように、湾曲面や、傾斜面と湾曲面との組み合わせ等でもよい。
【0029】
溝状の凹部14は、溝の長手方向に仕切りを有しないことにより、軟包装袋1の幅方向寸法や並べる間隔によらず、同一の凹部14を用いることができるようになる。その結果、軟包装袋1を載置する位置や、1本の溝状の凹部14に沿って配置可能な包装袋1の個数について、トレイ使用時の自由度を高めることができ、軟包装袋1の縦方向の寸法が一致すれば、幅方向の寸法を変更しても同じトレイを使用できるようになる。
より多数の包装袋1を1枚のトレイで保持するため、溝状の凹部14とその両側の支持部11を組にして、包装袋1の高さ方向に複数配設することも可能である。この場合、トレイ上に包装袋1を縦横の2次元的に配列することができる。
【0030】
また、溝に沿って水蒸気や熱水等の熱媒が移動できるので、凹部14,24にはパンチ穴を設けないようにすることができる。これにより、熱媒の移動方向が溝に沿った方向に揃えられるので、軟包装袋1の厚み方向の流れにより軟包装袋1が上下動して軟包装袋1の表面がトレイの表面と摩擦し損傷することを抑制することができる。
なお、上下のトレイを重ね合わせる前に軟包装袋1の位置がずれるのを防ぐため、例えばシール部2に当接して位置決めする凹凸を支持部11,21に設けることもできる。
【0031】
本発明に適用可能なフィルムFの折り返し部6を有する軟包装袋としては、例えば図5〜図7に示すものが挙げられる。
図5に示す軟包装袋は、折り返し部6の両端の2辺と折り返し部6の反対側の1辺にそれぞれ端部シール部2,2および側縁シール部7からなるシール部を有する三方シール袋1である。
図6に示す軟包装袋は、互いに対向する2辺に折り返し部6,6を有し、幅方向(図6(a)の上下方向)の中央部に背貼りシール部8を有する背貼り袋(合掌張り、あるいはピロータイプ包装とも言う)1Aである。図6では背貼りシール部8はシール部2に対して垂直に立ちあがった状態であるが、内容物充填部3に沿うように倒れていてもよい。
図7に示す軟包装袋は、フィルムFがチューブ状であり、互いに対向する2辺に折り返し部6,6を有し、その両端の2辺のみにシール部2,2を有するチューブ袋1Bである。
【0032】
軟包装袋に用いられるフィルムFとしては、1種類の樹脂からなる単層フィルム、1種類または複数種類の樹脂からなる多層を有する共押出フィルムや積層体フィルム、ラミネートフィルムなどを用いることができる。フィルムは、少なくとも片面がヒートシール性を有することが必要であり、このようなフィルムとしては例えば、延伸フィルムなどからなる基材層の表面にヒートシール性を有する樹脂からなるシーラント層を積層してなるラミネートフィルムを用いることができる。
【0033】
フィルムにガスバリア性を付与するため、アルミ箔などの金属箔、エチレン―ビニルアルコール共重合体などのガスバリア性樹脂フィルム、金属や無機化合物の蒸着層などを中間層としたラミネートフィルムを用いることが好ましい。蒸着層の金属としてはAl,Cr,Ni,Snや合金等、蒸着層の無機化合物としては、例えばシリカやアルミナ等の無機酸化物やセラミック等が挙げられる。
前記シーラント層を構成する樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、環状ポリオレフィン(COP)などが挙げられる。
これらのフィルムは、柔軟性があって折り畳み可能で、空袋時の輸送や保管に便利であり、使用後に折り畳めばかさばらず、減容性や廃棄性に優れた容器となる。
【0034】
包装体の寸法およびこれに対応するトレイ凹部の寸法は特に限定されるものではないが、例えば小容量であれば重さ約5g〜300gで厚さ5〜15mm程度、大容量であれば重さ約1〜3kgで厚さ70〜80mm程度が例示される。また、スティック状包装袋の場合は、高さ(縦寸法)が幅(横寸法)の数倍程度であり、寸法は特に限定されるものではないが、例えば高さ(長さ)100〜200mm程度、幅20〜50mm程度が例示される。もちろん、より幅広の包装袋に本発明を適用することもでき、包装袋の幅と高さとが同程度の場合や、包装袋の幅が高さより大きい場合もあり得る。
包装体の外形は、図5〜7の場合、略矩形状の平面形状(例えば長方形)であるが、特にこれに限定されるものではなく、包装袋の隅部や端部や側部などの一部に切欠(凹部)や耳(凸部)を設けても良い。また、シール部2,7,8は、図5〜7の場合、直線状であるが、局所的に凹部や凸部を設けたり、一部または全部が曲線(例えば緩やかな円弧状など)であっても良い。
【0035】
本発明は、レトルト加熱処理、レトルト殺菌処理、ボイル加熱処理など、軟包装袋での加熱処理を必要とする内容物であれば、特に制限なく利用することができる。例えば飲食料品や医薬品などのレトルトパウチや無菌包装に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
F…フィルム、1,1A,1B…軟包装袋(包装体)、2…端部シール部、3…内容物充填部、4…シール近傍部、6…折り返し部、9…シール剥離部、10,20,30…トレイ(加熱処理用トレイ)、11,21…支持部、12,22…シール近傍部保持部、13,23…底部、14,24…凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1辺に未シールフィルムからなる折り返し部を有し、かつ前記折り返し部の両端に位置する2辺にそれぞれシール部が形成された軟包装袋を加熱処理する際、軟包装袋の上下両側にそれぞれ配置される加熱処理用トレイであって、
前記軟包装袋の内容物充填部が配置される凹部と、前記凹部を介した両側において前記2辺のシール部をそれぞれ支持する支持部とを備え、
前記凹部の底部と前記支持部との間には、前記内容物充填部のうち前記2辺のシール部に近い部分であるシール近傍部を前記軟包装袋の上下両側から保持するシール近傍部保持部を備えることを特徴とする加熱処理用トレイ。
【請求項2】
前記シール近傍部保持部は、傾斜面、湾曲面、またはこれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項1に記載の加熱処理用トレイ。
【請求項3】
前記凹部は、前記軟包装袋の前記シール部が形成された辺の延在方向である軟包装袋の幅方向に延在して、前記軟包装袋の幅の2倍以上の長さを有する溝状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱処理用トレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−120523(P2011−120523A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280669(P2009−280669)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】