説明

加熱装置

【課題】本発明は、設置場所周辺の形状による影響を受けることなく、振動による加熱体の破損を回避することができる加熱装置を提供することを目的とする。
【解決手段】加熱装置1は、タンクの内壁に一端が固定端とされるとともに他端が自由端とされ、タンク内に収容された収容体を加熱する複数の加熱体3と、複数の加熱体3を互いに接合する防振部材5とを備えている。加熱体3は、略直線状に延在して互いに対向する二本の直線部と、略半円弧形状とされ、前記直線部の各自由端に対して両端が接続された半円弧部とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧機器用油タンク内等に装備されて好適な、振動を受ける長尺とされた片持ち式加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動を受ける環境下で動作する長尺とされた片持ち式加熱装置を装備した例として、例えば、船舶の油圧式操舵装置がある。
操舵装置は、船舶の進行方向を変化させる操舵を行う装置であり、信頼性や保守性において優れている油圧式が多用されている。油圧式操舵装置の構造例を、図7を用いて説明する。
図7は、船舶の船尾付近を船舶の側面から見た図である。図7おいて、油圧式操舵装置100は、船舶の推進を行う推進器102の船尾側に舵板104を有する。舵板104は、舵軸106の軸線周りに回動可能に取り付けられている。図8は、油圧式操舵装置100を甲板側から見た図である。図8において、舵軸106の舵板104に対向する端部は、中心軸線を同一として舵柄108に嵌め込まれ、ラム110と爪113により噛合っている。一対のラム110は二組の油圧シリンダ112にそれぞれ備えられ、また、二組の油圧シリンダ112は、作動油を収容した一対の作動油タンク116に、駆動装置を有する一対のポンプ118を介してそれぞれ接続されている。舵板104の角度調整は、図示しない制御部により行われ、具体的には、ポンプ118からの作動油の流量及び流れの方向が制御指令として与えられる。
【0003】
次に、油圧式操舵装置100の動作を説明する。制御部からの制御指令により、作動油タンク116に収容された図示しない作動油は、電動機等により駆動されたポンプ118で加圧され一方の油圧シリンダ112a、112cへ送られる。そして、他方の油圧シリンダ112b、112d内の作動油がポンプ118bへ戻る。このような作動油の流動に伴い、ラム110a とラム110bが往復運動する。ラム110a とラム110bの往復運動により舵柄108が回転し、舵柄108の回転力により、操舵方向を決定する舵板104が回動される。このような油圧式操舵装置100の例として、例えば特許文献1がある。
【0004】
しかし、船舶が寒冷な気候下を航行する際、気温の低下に伴い作動油の粘性が高くなり、または凍結する等により、油圧式操舵装置100が正常に作動しなくなる事象が起こる。この事象を防ぐ手段として、図9に示すように、加熱装置120を作動油に接触させて設置し、作動油114を加熱し、温度の低下を防ぐことで、作動油の粘性を所定値以下に保っている。
ただし、加熱装置120の設置が必要となるのは、寒冷地を航行する船舶のみである。そのため、船舶の航行先に応じて、必要な場合のみ加熱装置120を設置している。このような場合、加熱装置120を一箇所の固定部122で固定する片持ち式とした場合、固定箇所が二箇所である両持ち式に対して、一箇所の固定箇所でのみ設置作業を行えば足りるため、設置作業の工数を削減できる。この加熱装置120の加熱方式としては、例えば電熱式とされた複数本の加熱体124を備えたものが多用されている。これらの加熱体124を長尺とすることで、一台の加熱装置で効率的に作動油114を加温することができ、コスト削減につながる。
また、加熱体124が過熱することを防ぐため、加熱装置120に放熱部材128が設けられている場合がある。放熱部材128の一端は、固定部122を貫通してタンク116の外部まで延出しており、他端は加熱体124と、放熱板130を介して接続されている。これにより、加熱体124の熱を、放熱板130を介して放熱部材128へ伝え、放熱部材128のタンク116の外部と接触する一端から、タンク116の外部へ加熱体124から伝えられた熱を逃がすことができるので、加熱体124が過熱することを防ぐことが可能である。
【0005】
しかしながら、長尺とされた片持ち式加熱装置120は、図9に示すように、振動を受けて破損する恐れがある。具体的には、油圧式操舵装置100は、推進器102付近に設けられており、推進器102のプロペラの回転振動等が船体振動を生じさせる。長尺とされた片持ち式加熱装置120は、長尺であるために固有振動数が低い。よって、船体振動と共振しやすく、また、振れ幅も拡大しやすいため、片持ち式加熱装置120の加熱体124にかかるせん断力により、加熱体124が破損するおそれがある。
このような加熱体124の振れ幅の拡大を防止するために、従来では、図10に示すように、作動油タンク116の床部から加熱体124下部に当接する振れ止め金具126を取り付けていた。しかし、壁面116の形状や強度、肉厚によっては、この振れ止め金具126を取り付けることができないという問題点があった。
また、振動を受ける長尺の片持ち式加熱装置であれば、船舶の油圧式操舵装置100以外に設置される場合であっても、同様の問題が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−150795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、設置場所周辺の形状による影響を受けることなく、振動による加熱体の破損を回避することができる加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の加熱装置は以下の手段を採用する。
タンクの内壁に一端が固定端とされるとともに他端が自由端とされ、該タンク内に収容された収容体を加熱する複数の加熱体と、複数の前記加熱体を互いに接合する防振部材と、を備えていることを特徴とする加熱装置を考案した。
【0009】
タンクには、タンク内部の収容体を所定の温度に保つための加熱装置がタンク内壁に設置されている。加熱装置は、例えば電熱式とされた複数の加熱体を備えている。防振部材は、複数の加熱体を、例えば、溶接やボルトでの固定により、互いに接合している。このように、複数の加熱体を防振部材によって一体に接合することで、加熱体の剛性が上がり、したがって固有振動数も上がる。タンクに振動が伝達された場合、これにより、タンクの振動と加熱体が共振することを回避し、振動により加熱体にせん断力が生じることを防ぎ、せん断力による加熱体の破損を防ぐことができる。
また、防振部材は、加熱体を互いに接合するだけで足り、壁面等に接合する必要がない。よって、タンクの形状や強度、肉厚等の影響を受けずに加熱装置に防振部材を設置することができる。
【0010】
前記加熱体は、略直線状に延在して互いに対向する二本の直線部と、略半円弧形状とされ、前記直線部の各自由端に対して両端が接続された半円弧部と、を有していることが好ましい。
【0011】
加熱体の形状は、対向する二本の直線部と、これら直線部に接続された半円弧部とを有する略U字形とされている。加熱体の半円弧部と反対側の端部はタンクの内壁に固定された固定端となり、加熱体の半円弧部側は自由端となる。加熱体を前記略U字形の形状とすることで、一台の加熱装置が有する加熱体の表面積を増やし、より効率的に加熱を行うことができる。
【0012】
前記加熱体と前記防振部材がボルトにより接合されることが好ましい。
【0013】
ボルトにより加熱体と防振部材を接合することで、ボルトを取り外し、所望の箇所へ再びボルトにより防振部材を接合し直すことができる。これにより、タンクの固有振動数が変化した場合でも、防振部材の接合位置を変更することで、加熱体の固有振動数を調節し、タンクの振動との共振を回避できる。
【0014】
前記防振部材は、前記タンクの外から内へと延伸する放熱部材と接合されることが好ましい。
【0015】
加熱体が過熱した場合に、加熱体の熱が、防振部材を通って放熱部材へ伝わり、タンク外にある放熱部材においてタンク外へと放出される。これにより、加熱体の熱をタンク外へ放出することができる。従来では、放熱部材と加熱体を接続するために伝熱板を設けていたが、放熱部材と接続される防振部材が伝熱板の役割を兼ねることで、伝熱板を別途設ける必要がなくなり、防振機能に加え、低コスト且つコンパクトな過熱防止機構を実現できる。
【0016】
前記加熱体の前記自由端で前記加熱体と前記防振部材が接合されることが好ましい。
【0017】
防振部材を各加熱体の自由端と接合することで、防振部材の設置場所の周囲に位置する加熱装置の部分が少ないため、特に、既設のヒータに防振部材を設置する場合であっても、防振部材の設置作業が容易である。
また、2つの直線部とこれら直線部を自由端にて連結する半円弧部とを有する略U字形の加熱体とされた場合、半円弧部は2つの直線部を連結しているため、例えば対向する2つの半円弧部同士を防振部材を介して結合することとすれば、これら2つの半円弧部に連結された合計4つの直線部を1つの防振部材で一体とすることができる。このように、特に略U字形の加熱体の場合には、少ない防振部材すなわち少ない接合点で複数の加熱体を接合することができるので、接合に要する工数を削減できる。
【0018】
前記放熱部材の前記タンクに対する挿入位置が変更可能とされていることが好ましい。
【0019】
放熱部材のタンクに対する挿入位置を変更可能とすることで、タンクの内部に位置する放熱部材の表面積またはタンクの外部に位置する放熱部材の表面積の割合を調節可能とする。これにより、タンクの外部に位置する放熱部材の表面積を増加させることができ、より効率的に加熱体の熱をタンク外に放出することができる。
【0020】
前記タンク内に収容された前記収容体と接触する面部を有する抵抗部材を備え、該抵抗部材に対して前記防振部材が連結されていることが好ましい。
【0021】
タンク振動時にタンク内の収容体もタンクと振動する。この時、防振装置の抵抗部材が有する面部と、面部が接触している収容体との間で抵抗が発生し、この抵抗が防振部材を介して加熱体へと伝達される。これにより、加熱体の振動が減衰され、振れ幅拡大が防止される。
【発明の効果】
【0022】
これにより、設置場所周辺の形状による影響を受けることなく、振動による加熱体の破損を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる加熱装置を示し、(a)は加熱装置の斜視図であり、(b)は防振部材の正面図である。
【図2】図1に示した実施形態の変形例であり、(a),(c)及び(e)が加熱装置を加熱体の自由端側から見た場合の加熱体の正面図であり、(b),(d)及び(f)が防振部材の正面図である。
【図3】本発明の第2実施形態にかかる加熱装置を示し、(a)は加熱装置の斜視図であり、(b)は防振部材の正面図である。
【図4】本発明の第3実施形態にかかる加熱装置を示す斜視図である。
【図5】本発明の第4実施形態にかかる加熱装置を示す斜視図である。
【図6】タンク内に設置された加熱装置を示す図である。
【図7】船舶の船尾付近に設置された操舵装置の概要を示す側面図である。
【図8】図7に示した操舵装置を甲板側から見た平面図である。
【図9】従来の加熱装置の概要を示す斜視図である。
【図10】従来の加熱装置について、振れ止め金具の設置例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1、図2及び図6を用いて説明する。
本実施形態にかかる加熱装置1は、図7及び図8を用いて説明した操舵装置100に適用することができる。図6には、作動油(収容体)13が収容されたタンク11内に加熱装置1が設置された状態が示されている。
図1(a)に示すように、加熱装置1は、タンク11の内壁の固定部2で一端を固定されて設置される。加熱装置1は、長尺の加熱体3を複数備えており、加熱体3の軸方向の一端を自由端とし、他端を固定部2に固定された固定端とする。加熱体3の形状は、対向する二本の直線形状部と、半円弧形状からなり、各直線形状の自由端側が半円弧形状の各端部と接続されたU字形である。そして、各加熱体3は、U字形を含む面の面方向が互いに直交して固定部2に固定されている。加熱体3の内部には、電熱線が設けられている。これら複数の加熱体3には、防振部材5が接合されており、これにより各加熱体3が一体に連結される。防振部材5は、固定部2から任意の距離の加熱体3上に、ボルトで固定されることにより加熱体3と接合される。放熱部材7は、加熱体3の長手方向と同じ方向延在し、その一端(図において左側)は固定部2を貫通し、タンク11の外部まで延出している。放熱部材7は放熱板6を介して加熱体3と接合している。
図1(b)には、防振部材5の形状が示されている。同図は、加熱装置1を加熱体3の自由端側から見た正面図である。同図に示されているように、防振部材5は、各加熱体3の対向する直線部を接続するように面方向に延在する棒状の接続部材5aを備えており、それぞれの接続部材5aが固定されて一体化された構成となっている。
【0025】
防振部材5は、図2に示すように、加熱体3の設置状態に応じて変形することができる。
図2(a)、(c)及び(e)は、それぞれ、加熱装置1をその自由端側から見た場合の各加熱体3の位置関係を示しており、図2(a)に対応する防振部材5の自由端側から見た形状を図2(b)が、図2(c)に対応する防振部材の自由端側から見た形状を図2(d)が、図2(e)に対応する防振部材の自由端側から見た形状を図2(f)が示している。
図2に示されているように、各加熱体3の面方向に延在する接続部材5aを組み合わせて固定した構成が好ましい。
【0026】
このように構成された加熱装置1においては、複数の加熱体3が一体に連結されているため、複数の加熱体3が一体に連結されていない場合と比較して加熱体3の強度が増している。加熱体3の強度が増すことで、加熱体3の固有振動数が上昇する。これにより、タンク11が振動した場合であっても、固有振動数の上昇した加熱体3はタンク11の振動との共振を回避することができる。よって、一端を固定端とする長尺の加熱体3であっても、共振によるせん断力が加熱体3の固定端側に発生することを抑制でき、せん断力による加熱体3の破損を回避することができる。
また、加熱体3は、その面内方向と比較して面外方向の強度が弱く固有振動数が低いため、面内方向に延在する接続部材5aをそれぞれ連結することで、より固有振動数を上昇させることができる。
また、船舶等では、タンク設置場所付近に設けられる推進器102(図7参照)のプロペラの回転数が変化すると、プロペラの回転によって伝達される船体振動も変化するため、タンク11に伝達される振動も変化する。本実施形態のように、加熱体3と防振部材5がボルトにより接合されている場合、加熱体3と防振部材5を分離または接合させる作業が容易であり、固定部2と防振部材5の距離を容易に調整することができる。固定部2と防振部材5の距離に応じて、連結された加熱体3の固有振動数も変わるので、防振部材5と固定部2の距離を調整することで、加熱体3の固有振動数を調整し、変化する船体振動との共振を回避することができる。
【0027】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図3を用いて説明する。
図3(a)に示す加熱装置1は、固定部2、加熱体3、防振部材5を有する点で第1実施形態と共通する。したがって、これらの構成については同一符号を付しその説明を省略する。本実施形態は、第1実施形態に比べて、放熱部材7と防振部材5とが接合されている点で相違する。
放熱部材7は、加熱体3の長手方向と同じ方向延在し、その一端(図において左側)は固定部2を貫通し、タンク11の外部まで延出している。また、放熱部材7は、固定部2に接合されておらず、軸方向に移動可能である。放熱部材7の他端(図において右側)は、防振部材5と接合されている。図3(b)は、この加熱体1を自由端側から見た際の防振部材5の形状を示している。
【0028】
このように構成された加熱装置1においては、加熱体3が過熱した場合に、加熱体3の熱を、防振部材5を介して、防振部材5に接合された放熱部材7へ伝え、タンク11の外部と接する放熱部材7の一部からタンク11の外部へと逃がすことができる。したがって、防振部材5が、防振機能の他、放熱部材7へ加熱体の熱を伝える機能を有するため、加熱体と放熱部材を接続する放熱板6を別途設ける必要がなくなり、コストが低く、部材の占有面積の少ない加熱装置1を実現することができる。
また、加熱体3と防振部材5がボルトにより接合され、放熱部材7が、軸方向に移動可能であるので、放熱部材7を移動させ、放熱部材7のタンク11の内部に位置する部分の長さを短くした場合、放熱部材7のタンク11の外部に位置する部分の長さが長くなり、より効率的に加熱体3の熱をタンク11の外部に放出することができる。
【0029】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図4を用いて説明する。
図4に示す加熱装置1は、固定部2、加熱体3、防振部材5を有する点で第1実施形態記載と共通する。したがって、これらの構成については同一符号を付しその説明を省略する。本実施形態の防振部材5は、第1実施形態に比べて、加熱体3の自由端側の先端で、各加熱体3に接合されている点で相違する。
【0030】
このように構成された加熱装置1においては、防振部材5を加熱体の先端側からアクセスして設置することができるので、設置作業時に比較的広い作業空間を確保することができる。したがって、既にタンク11の内壁へ設置された加熱装置1に、新たに防振部材5を設ける場合でも、防振部材5の設置作業を円滑に行うことができる。
また、加熱体3がU字形である場合、各加熱体3の最も自由端側同士(U字形の頂点同士)が防振部材5で連結される。これにより、各加熱体3につき一点ずつを防振部材5と接合すればよいので、加熱体3と防振部材5を接合する作業を低減することができる。
【0031】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について、図5を用いて説明する。
図5に示す加熱装置1は、固定部2、加熱体3、防振部材5を有する点で第3実施形態と共通する。したがって、これらの構成についての説明は同一符号を付し省略する。本実施形態は、第3実施形態の構成に加えて、さらに抵抗部材9を有している点で相違する。
抵抗部材9は、加熱体3の自由端側の先端の延長線上に配置されている。すなわち、抵抗部材9は、防振部材5の延長部5bの先端に連結されている。抵抗部材9は、複数の板状体を組み合わされて構成されており、本実施形態では加熱体3を先端側から正面視した場合に十字形となるように板状体が組み合わされている。これら板状体の平面部が、タンク11内に作動油13を収容した際に作動油13と接触する面部となっている。
【0032】
このように構成された加熱装置1においては、船体振動がタンク11に伝達されると、収容されている作動油13も振動する。抵抗部材9の面部と作動油13の間では、作動油13の振動により粘性による摩擦が発生し、防振部材5を介して抵抗部材9と連結された加熱体3が振動によりその振れ幅を増幅することの抵抗となる。したがって、タンク11振動時、加熱体3の振れ幅の増幅を抑制することができる。
また、抵抗部材9に、穴を有する穴あき板を使用した場合は、作動油13と面部が接触することで発生する粘性摩擦による抵抗だけでなく、流体が穴を通るときに発生する渦損失抵抗を、加熱体3の振れ幅の増幅を抑制するために利用することも可能である。
特に本実施形態では、板状体を十字形に組み合わせた抵抗部材9とされているので、あらゆる方向に振動に対して対応させることができる。ただし、本発明における抵抗部材9の形状や、加熱体3の振れ幅の増幅に対する減衰付与機構は、特に本実施形態に限定しない。
【0033】
なお、上述した各実施形態では、1つの防振部材5を一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、防振部材5を複数有していてもよい。
また、加熱体3は、本実施形態では電熱式としたが、発熱体であればこれに限定されるものではなく、例えば内部に蒸気を通す蒸気式等であってもよい。
また、本実施形態では加熱体3と防振部材5とをボルトによって接合することとしたが、加熱体3を一体化できる接合方式であれば良く、例えば溶接等の手段によるものであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 加熱装置
2 固定部
3 加熱体
5 防振部材
5a 接続部材
5b 延長部
6 放熱板
7 放熱部材
9 抵抗部材
11 タンク
13 作動油(収容体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクの内壁に一端が固定端とされるとともに他端が自由端とされ、該タンク内に収容された収容体を加熱する複数の加熱体と、
複数の前記加熱体を互いに接合する防振部材と、
を備えていることを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記加熱体は、略直線状に延在して互いに対向する二本の直線部と、略半円弧形状とされ、前記直線部の各自由端に対して両端が接続された半円弧部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記加熱体と前記防振部材がボルトにより接合されることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記防振部材は、前記タンクの外から内へと延伸する放熱部材と接合されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の加熱装置。
【請求項5】
前記加熱体の前記自由端で前記加熱体と前記防振部材が接合されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の加熱装置。
【請求項6】
前記放熱部材の前記タンクに対する挿入位置が変更可能とされていることを特徴とする請求項4に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記タンク内に収容された前記収容体と接触する面部を有する抵抗部材を備え、
該抵抗部材に対して前記防振部材が連結されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−117627(P2012−117627A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269229(P2010−269229)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】