説明

加熱調理器

【課題】受け皿保持体を製品から取り外すことなく上方に回動させることで清掃を可能とするとともに、製品から取はずれることによる落下や清掃時等の異常な外力による変形等を防止することを可能とすること。
【解決手段】受け皿保持体15はレール連結部11の係合部11aに回動自在に取り付けられているため、加熱庫7の底部7bなどを清掃する場合は受け皿保持体15の上部にある受け皿14と焼網13を取り外した後に受け皿保持体15を上方向に回動させることで簡単に行うことができる。また受け皿保持体15が製品から取はずれることによる落下等や清掃時の異常な外力による変形等を防止することを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚等の調理物を焼網などにのせて加熱調理するための加熱庫を有する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の加熱調理器において調理後の加熱庫の清掃は、焼網や受け皿を取り除きドアを取り外し、さらに焼網や受け皿の下方にある受け皿保持体を取り除いた後に、加熱庫内の清掃を行う必要があった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−336896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記構成の加熱調理器においては、加熱庫内の下部の清掃を行う場合、受け皿保持体を取り外すためには焼網や受け皿を取り除きドアを必ず取り外す必要があった。また受け皿保持体は金属製の棒体を加工した物が一般的であり製品から取り外された後に清掃時等に変形を起こす可能性があった。
【0004】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、受け皿保持体をレール連結部に係合し、その受け皿保持体は係合を中心に回動自在にすることで、加熱庫内の下部の清掃を行う場合は、受け皿保持体を製品から取り外すことなく上方に回動させることで清掃を可能とするとともに、製品から取はずれることによる落下や清掃時等の異常な外力による変形等を防止することが可能となる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、被調理物を加熱するための加熱調理器であって、内部に収容した被加熱調理物を加熱する加熱庫と、前記加熱庫の前面に形成された開口部を覆い開閉自在に配されたドアと、前記加熱庫に収容された受け皿と、前記受け皿を出し入れするために前記加熱庫の外部に設けた2組のレールと、前記レールの前端部を相互に連結するレール連結部と、前記受け皿を支持する受け皿保持体を備え、前記ドアは前記レール連結部に着脱可能に装着され、前記受け皿保持体は前記レール連結部に回動自在に係合されたことを特徴とするものである。
【0006】
これにより、加熱庫内の下部の清掃を行う場合は、受け皿保持体を製品から取り外すことなく上方に回動させることで清掃を可能とするとともに、製品から取はずれることによる落下等や清掃時の異常な外力による変形等を防止することが可能となる。
【0007】
受け皿保持体は先端部が加熱庫の内壁に当接することで回動が制限されてもよい。
【0008】
加熱庫の前面に形成された開口部より前面に突起した突起部を設け、受け皿保持体は先端部が突起部に当接することで回動が制限されてもよい。
【0009】
焼網や受け皿はレール連結部と係合した係合部近傍に回動抑制部を設け、回動抑制部とレール連結部が当接することで回動が制限されてもよい。
【0010】
受け皿保持体に摺動部材を設け、当該部でレール連結部と係合してもよい。
【0011】
受け皿保持体に摺動部材と、摺動部材には回動抑制部を設け、摺動部材を配した部位で
レール連結部と係合し、回動抑制部とレール連結部が当接することで回動が制限してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の加熱調理器は、加熱庫内の下部の清掃を行う場合は、受け皿保持体を製品から取り外すことなく上方に回動させることで清掃を可能とするとともに、製品から取はずれることによる落下や清掃時等の異常な外力による変形等を防止することが可能となる加熱調理器を提供することなどができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、内部に収容した被加熱調理物を加熱する加熱庫と、前記加熱庫の前面に形成された開口部を覆い開閉自在に配されたドアと、前記加熱庫に収容された受け皿と、前記受け皿を出し入れするために前記加熱庫の外部に設けた左右一対に配置したレールユニットと、前記レールユニットの前端部を相互に連結するレール連結部と、前記受け皿を支持する受け皿保持体とを備え、前記ドアは前記レール連結部に着脱可能に装着され、前記受け皿保持体を前記レール連結部に回動自在に係合されたこととすることにより、加熱庫内の底部を清掃する場合に受け皿保持体を着脱することなく、上方に回動させるだけで簡単に清掃することができる。また、製品から着脱することによる落下や異常な外力を受ける可能性を防止できる。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明受け皿保持体をレール連結部と係合する係合部を中心に回動自在にしたことにより、加熱庫内の底部を清掃する場合に受け皿保持体を着脱することなく、上方に回動させるだけで簡単に清掃することができる。また、製品から着脱することによる落下や異常な外力を受ける可能性を防止できる。
【0015】
第3の発明は、特に、第1の発明の受け皿保持体を、前記受け皿保持体の先端部が加熱庫の内壁に当接することで回動が制限されるとすることにより、受け皿保持体をドアと当接するまで回動させた場合、受け皿保持体や係合部に変形を生じる可能性があり、また、受け皿保持体を必要以上に回動させドアを閉じようとした場合にも変形する場合があるので、これを防止する。
【0016】
第4の発明は、特に、第1の発明において、加熱庫の前面に形成された開口部より前面に突起した突起部を設け、受け皿保持体を、前記受け皿保持体の先端部が前記突起部に当接することで回動が制限されるとすることにより、受け皿保持体をドアと当接するまで回動させた場合、受け皿保持体や係合部に変形を生じる可能性があり、また、受け皿保持体を必要以上に回動させドアを閉じようとした場合にも変形する場合があるので、これを防止する。
【0017】
第5の発明は、特に、第1の発明において、焼網や受け皿はレール連結部と係合した係合部近傍に回動抑制部を設け、前記回動抑制部とレール連結部が当接することで回動が制限されるとすることにより、受け皿保持体をドアと当接するまで回動させた場合、受け皿保持体や係合部に変形を生じる可能性があり、また、受け皿保持体を必要以上に回動させドアを閉じようとした場合にも変形する場合があるので、これを防止する。
【0018】
第6の発明は、特に、第1の発明において、受け皿保持体に摺動部材を設け、前記摺動部材を配した部位でレール連結部と係合したことにより、摺動部を有することでスムーズに回動することが可能となる。
【0019】
第7の発明は、第1の発明において、受け皿保持体に摺動部材と、前記摺動部材には回動抑制部を設け、前記摺動部材を配した部位でレール連結部と係合し、前記回動抑制部と
レール連結部が当接することで回動が制限されるとすることにより、摺動部を有することでスムーズに回動し、受け皿保持体をドアと当接するまで回動させた場合、受け皿保持体や係合部に変形を生じる可能性があり、また、受け皿保持体を必要以上に回動させドアを閉じようとした場合にも変形する場合があるので、これを防止する。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は本発明にかかる加熱調理器の概略図であり、図2は加熱庫のドアを引き出し受け皿と焼網を取り外した状態のものであり、図3はドアを取り外して受け皿保持体を回動させた状態のものである。図1から図3に示されるように、本発明にかかる加熱調理器は、外郭を構成する本体1と、本体1の上部に取り付けられ鍋等の調理容器が載置されるトッププレート2と、トッププレート2の下方には高周波磁界を発生させる略円盤状の加熱コイル3や電気抵抗による熱を発生させる加熱ヒータ4などを備えている。
【0022】
トッププレート2は結晶化セラミック等の絶縁体を材料として板状に形成され、トッププレート2の外周を囲うようにトップフレーム5が構成されている。トップフレーム5は衝撃などに弱いトッププレート2を保護し、耐食に強いステンレスやホーロー加工が施された物を主に使用する。本体1の前面には開閉自在に取り付けられた操作部6があり各加熱部の操作及び状態表示を行っている。また操作部6は静電容量方式などによるスイッチを採用することでトッププレート2に設けることもある。加熱庫7の開口部7aは本体1の前面に設けられ開閉自在のドア8で覆われている。加熱庫7内には上下離間したヒータ(上ヒータ9a、下ヒータ9b)が設けられている。加熱庫内のヒータは上ヒータ9aか下ヒータ9bのいずれか一方でもよいが、ドア8を開閉せず自動調理を可能にするには上ヒータ9aか下ヒータ9bの両方を有するのが望ましい。本体1内には加熱コイル3と加熱ヒータ4さらに加熱庫内7の上ヒータ9a及び下ヒータ9bへの通電制御を操作部6からの入力によって行っている制御部12がある。加熱庫7内には被調理物を載置させる焼網13と、上ヒータ9a、下ヒータ9bの加熱によって被調理物から滴下する水分や脂分を被調理物の下方で受ける受け皿14を設けている。加熱庫7の外部にはレールユニット10a、10bがあり、加熱庫7への被調理物の出し入れを円滑に行うために左右一対に配置している。レールユニット10a、10bの前端部はレール連結部11により相互に連結されており、加熱庫7の開口部を開閉する把手つきのドア8がばね等の弾性手段を介してレール連結部11に着脱自在に取り付けられている。レールユニット10a、10bは同期した摺動が必要不可欠であるため、レール連結部11に対して確実に係合していることが重要である。そのためレールユニット10a、10bとレール連結部11はねじ等で締結することが望ましい。ドア8は必ずレール連結部11に着脱可能に取り付けられている必要はなく、ドア8とレール連結部11が締結されていてもよく、さらにドア8の一部でレール連結部11が構成されていてもよい。レール連結部11は必ずレールユニット10a、10bの前端部であることはなく、左右のレールで前端部からの位置が同じであればどの位置でもよい。レールユニット10a、10bはレール連結部11が取り付けられている端部と異なるもう一方の端部で本体1に直接もしくは間接的に取り付けられている。受け皿保持体15は受け皿14と加熱庫7の底部7bの間にあって、受け皿14、焼網13及び被調理物の重量を支えている。受け皿保持体15はレール連結部11の係合部11aに回動自在に取り付けられており、レール連結部11を介してドア8とレールユニット10a、10bと連動している。受け皿保持体15の回動の中心は係合部11aで上方向への回動は受け皿保持体15の先端部15aが加熱庫7の天面7dに当接することで回動の制限を行っている。また、受け皿保持体15の先端部15a以外の部分であっても加熱庫7内の一部に当接することで回動の制限が可能であれば当接する部位は特に指定はない。受け皿保持体15と加熱庫7の底部7bはドア8の開閉時に摺動するため、磨耗低
減のために受け皿保持体15もしくは加熱庫7の底部7bに滑部7cを設けた。滑部7cは摺動性がよく耐熱性の高い樹脂材料か受け皿保持体15もしくは加熱庫7の底部7bの少なくともいずれか一方以外の材料を使用するのが摺動性のために望ましい。係合部11aは基本的に複数箇所設けるのが一般的である。これは受け皿保持体15の平行度を保つと共に回動を安定させるためにも係合部11aを2ヶ所以上設けることが望ましい。また受け皿保持体15が摺動する滑部7cは加熱庫7内の底部7bに3箇所以上設けること摺動性及び安定性を考慮した場合、望ましい。
【0023】
図4で示されているように、受け皿保持体15はレール連結部11の係合部11aに回動自在に取り付けられており、レール連結部11を介してドア8とレールユニット10a、10bと連動している。受け皿保持体15の回動の中心は係合部11aで上方向への回動は受け皿保持体15の先端部15aが加熱庫7の前面に形成された開口部7aより前面に突起した突起部16に当接することで回動の制限を行っている。また受け皿保持体15の先端部15a以外の部分であっても突起部16に当接することで回動の制限が可能であれば同様の効果が得られる。
【0024】
図5〜6は係合部11aを示しており、図5は定常状態で図6は受け皿保持体15を回動させた状態である。この二図について説明する。受け皿保持体15にレール連結部11と係合した係合部11a近傍に突起状の回動抑制部15bを設け、受け皿保持体15は任意の回動位置でレール連結部11の当接部11bと回動抑制部15bが当接することで回動を制限することができる。
【0025】
図7は受け皿保持体とレール連結部11とが係合した係合部11aの斜視図であり、本図で示されているように、受け皿保持体15に摺動部材17を設け、摺動部材17を配した部位でレール連結部11と係合する。摺動部材16は摺動性のよい樹脂材料やゴムのような高分子材料が最もよいが、少なくとも受け皿保持体15とレール連結部11のいずれか一方と異なる材料を用いてもよい。また、摺動部材17に突起状の回動抑制部17aを設け、受け皿保持体15は任意の回動位置でレール連結部11の当接部11bと回動抑制部16aが当接することで回動を制限することができる。
【0026】
上記構成の発明において、受け皿保持体15はレール連結部11の係合部11aに回動自在に取り付けられているため、加熱庫7の底部7bなどを清掃する場合は受け皿保持体15の上部にある受け皿14、焼網13を取り外した後に受け皿保持体15を上方向に回動させることで簡単に行うことができる。また受け皿保持体15が製品から取はずれることによる落下等や清掃時の異常な外力による変形等を防止することが可能となる。特に下ヒータ9bを有している場合は受け皿保持体15が上下方向に固定状態であれば加熱庫の底部7bを清掃することが困難であるため本発明の構成は有効である。
【0027】
また、受け皿保持体15の先端部15aがトッププレート2の高さを超えて回動させた状態でドア8を無理に閉めた場合に受け皿保持体15が変形する恐れがあるため、受け皿保持体15の回動範囲を規制することで変形を防止することができる。
【0028】
また、受け皿保持体15に摺動部材17を設け、摺動部材17を配した部位でレール連結部11と係合することで、受け皿保持体15が滑らかに回動することができ使い勝手を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、加熱庫内の下部の清掃を行う場合は、受け皿保持体を製品から取り外すことなく上方に回動させることで清掃を可能とするとともに、製品から取はずれることによる落下や清掃時等の異常な外力による変形等を防止する
ことが可能となるので、魚等の調理物を焼網などにのせて加熱調理するための加熱庫を有する加熱調理器等の用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の焼網及び受け皿を外した概略図
【図2】本発明の第1の実施の形態における図1の加熱調理器に設けられたドアの要部分解斜視図
【図3】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のドアを外し、受け皿保持体を加熱庫に当接するまで回動させた要部斜視図
【図4】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のドアを外し、受け皿保持体を突起部に当接するまで回動させた要部斜視図
【図5】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の係合部の定常状態の要部斜視図
【図6】本発明の第1の実施の形態における図5の状態から、受け皿保持体を回動抑制部が当接部に当接するまで回動させた要部斜視図
【図7】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の係合部に摺動部材を設けた係合部斜視図
【符号の説明】
【0031】
1 本体
2 トッププレート
3 加熱コイル
4 加熱ヒータ
5 トップフレーム
6 操作部
7 加熱庫
7a 開口部
7b 底部
7c 滑部
7d 天面部
8 ドア
9a 上ヒータ
9b 下ヒータ
10a、10b レールユニット
11 レール連結部
11a 係合部
11b 当接部
12 制御部
13 焼網
14 受け皿
15 受け皿保持体
15a 先端部
15b 回動抑制部
16 突起部
17 摺動部材
17a 回動抑制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容した被加熱調理物を加熱する加熱庫と、前記加熱庫の前面に形成された開口部を覆い開閉自在に配されたドアと、前記加熱庫に収容された受け皿と、前記受け皿を出し入れするために前記加熱庫の外部に設けた左右一対に配置したレールユニットと、前記レールユニットの前端部を相互に連結するレール連結部と、前記受け皿を支持する受け皿保持体とを備え、前記ドアは前記レール連結部に着脱可能に装着され、前記受け皿保持体は前記レール連結部に回動自在に係合されたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
受け皿保持体はレール連結部と係合する係合部を中心に回動自在にしたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
受け皿保持体は前記受け皿保持体の先端部が加熱庫の内壁に当接することで回動が制限されることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
加熱庫の前面に形成された開口部より前面に突起した突起部を設け、受け皿保持体は前記受け皿保持体の先端部が前記突起部に当接することで回動が制限されることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項5】
焼網や受け皿はレール連結部と係合した係合部近傍に回動抑制部を設け、前記回動抑制部とレール連結部が当接することで回動が制限されることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項6】
受け皿保持体に摺動部材を設け、前記摺動部材を配した部位でレール連結部と係合したことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項7】
受け皿保持体に摺動部材と、前記摺動部材には回動抑制部を設け、前記摺動部材を配した部位でレール連結部と係合し、前記回動抑制部とレール連結部が当接することで回動が制限されることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−243770(P2009−243770A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91119(P2008−91119)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】