説明

効率的な位置参照方法

道路ネットワーク内の連続したパスを符号化する効率的な方法が記載される。理想的には、パスはデジタル地図に完全に表されるとともに、デジタル地図内に存在して連続に順序付けされたラインとセグメントとのうちの少なくとも一方のパス・リストとして表現可能である。本方法は、(i)‐パス・リストに最初に現われるライン又はセグメントか、若しくは最初のライン又はセグメントの開始ノードが人工的である場合に、実在の開始ノードを有するデジタル地図に現われ、場合によっては他の人工ノードを介して最初のライン又はセグメントに直接につながる最初のライン又はセグメントと、‐パス・リストに同様に現われる最も直近に識別された逸脱ライン又は逸脱セグメントとのうちの1つである開始場所を経路探索リストに記憶する工程と、(ii)開始場所を含み、開始場所の開始ノードからパス・リスト内の最後のライン又はセグメントの終点ノードへのデジタル地図内のパスを決定する工程であって、パスはアルゴリズムに従って決定される、工程と、(iii)そのように決定された最短パスを識別のためにパス・リストに対して比較し、識別できない場合に、パス・リストの一部であり、デジタル地図内の交差点を表す開始ノードを有するものの、パス・リストに最初に現われるライン又はセグメントではない少なくとも1つの逸脱ライン又は逸脱セグメントを識別し、このような逸脱ライン又は逸脱セグメントがパス・リストに現われる最後のライン又はセグメントの終了ノードで終わらない場合に、逸脱ライン又は逸脱セグメントを用いて工程(i)を繰り返す工程と、(iv)パス・リスト内の最後のライン又はセグメントが既に記憶されていない場合に経路探索リストに記憶する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は効率的な地図アグノスティックでオンザフライの位置参照方法に関する。特に本方法は、テレアトラスB.V.およびナビテック・インクのような会社により製造され販売されるようなデジタル地図を前提条件として含んでいるが、使用されるデジタル地図の特定のバージョンまたはタイプは結果として生じる物理位置の符号化表現に対して基本的に重要でないという点で最終的に地図アグノスティックである位置符号化方法に具現化される。
【0002】
明確性の理由で、本明細書で用いられる「位置(location)」という用語は、地表上のポイント位置、連続したパスまたは経路、またはこれらの連続したチェーンのような、地球上に存在するナビゲート可能な通路、または2個(長方形、正方形、または円形の領域の場合)またはより多いパラメータにより規定可能な地球上の領域または地域に関する様々な相異なる物理的な現実世界の特徴を包含するものとみなされる。より簡潔に、位置は単一または複合された地理的オブジェクトである。しかしながら、本発明は道路ネットワークを通るパスまたはデジタル地図に表されるその他のナビゲート可能な通路に関する効率的な、機械で読み取り可能な表現に主に適用される。
【背景技術】
【0003】
ジオコーディングは、ストリート・アドレス、国、および/または郵便番号のような物理位置についての人間用参照システムを例えば緯度および経度のような関連する地理的座標に変換する既知の技術である。現在のところ様々な相異なるジオコーディング・システムが存在し、地理的座標空間にストリート・ネットワークがすでにマッピングされている地理的情報システム(GIS)に少なくとも何らかの範囲で依存する。逆ジオコーディングは反対の処理である。
【0004】
いかなる近年のデジタル地図(または時々知られるように数学的グラフ)もGISとしてみなすことができ、最も単純な形式では事実上、最も一般的には道路の交差点を現す(点または0次元オブジェクトとみなしうる)ノードを最初に規定し、交差点間の道路を表すノード間のラインを2番目に規定する複数のテーブルから構成されるデータベースである。より詳細なデジタル地図では、ラインは開始ノードおよび終了ノードにより定義されるセグメントに分割されてもよい。開始ノードと終了ノードとは、セグメント長がゼロのセグメントまたはループ状のセグメント(この場合にセグメントは非ゼロ長を有する)の場合に同一でありうるが、一般的には別々である。3つ以上のラインまたはセグメントが交わる道路交差点を表す場合に本明細書でノードは実在または「有効(valid)」であるとみなされうるが、「人工的(artificial)」または「回避可能な(avoidable)」ノードは一方または両方の端が実在ノードで定義されないセグメントに対してアンカーとして提供されるノードである。とりわけ道路の特定の範囲について形状情報を提供するためにこれらの人工ノードはデジタル地図において有用である。
【0005】
このように、ノード、ライン、およびセグメントは道路ネットワークを完全に表現するために用いられてもよく、データベース内の各要素はさらに、データベースのテーブル内のデータによりやはり表される様々な属性により定義される。例えば、各ノードは典型的に現実世界の位置を規定するための緯度属性および経度属性を有するだろう。道路ネットワークの完全な「グラフ」は1つ以上の国またはその一部に及ぶ領域を覆うために何百万ものノードおよびセグメントにより表現される。
【0006】
実際上、近年のすべてのデジタル地図がノードおよびセグメントの構造的定義を含んでいるが、これを達成する実際の方式はデジタル地図の提供者間で極めて多様である。例えば、各地図ベンダ(および場合によっては地図の各バーション)はノードであろうとセグメントであろうと、各地図要素に一意のIDを用いうる。従って、単純なジオコーディングおよび逆ジオコーディングでさえ、前提のデジタル地図が具現化されるデータベースの基底構造の何らかの知識を有する場合にのみ可能である。より単純な例では、緯度および経度に基づいて1つのデジタル地図データベースからストリート・アドレスを抽出するように設計されたクエリは別のものでは必ずしも動作しないだろう。対象の特定のデジタル地図データベースについて適切なように作り直す必要がありうる。これはまた、同じベンダにより提供されるデジタル地図の相異なるバージョンについても成り立ちうる。
【0007】
デジタル地図データベースにしばしば含まれる1つの特定の属性は交通メッセージ・チャネル(TMC)位置テーブル参照である。TMCは交通および移動の情報を乗り物のユーザ、より具体的にはこれらの乗り物内に存在し、何らかのデジタル地図の形式を含む(ポータブルまたは搭載型の)ナビゲーション・システムへ配信するための技術である。TMCメッセージは、(交通固有である必要はないが、これらが最も一般的である)イベント・コードおよび位置コードで構成され、位置コードはしばしば位置参照情報の順序リストで構成され、順序リストを用いて交通イベントの位置がデジタル地図において決定され、よってナビゲーション・システムの画面に図示されうる。デジタル地図内の複数の事前定義されたノードが、限られた位置テーブルを参照して決定されるTMC位置参照情報に割り当てられる。通常は道路交差点であり、デジタル地図で識別可能であるおおよそ同数の物理的または現実世界の位置に対応する216(65536)個の位置参照情報から位置テーブルは構成される。
【0008】
37ビットほどの短さでありえ、従って放送データのために利用可能な帯域にあまり影響を与えない点でTMCメッセージは非常に効率的であるが、固定数の位置参照情報だけが利用可能であり、従って典型的に、TMCを提供する各国内の自動車道路または主要高速道路(もしくはその交差点)だけが参照されうる。TMC位置参照情報にはその他に様々な不利益が存在する。例えば、TMC位置テーブルは、
‐国家機関または国内政府を通じてしばしば維持され、
‐伝統的に非常に長い更新間隔で変更されがちであり、
‐一部の市場において、存在しないか、商業的にのみ利用可能である。
GSMおよびGPSのプローブ・データを用いて二次的および都市部の道路に交通集積を識別することが可能になってきている(例えば乗り物のユーザはプローブとして使用可能な移動体電話または衛星接続ナビゲーション装置をますます所有する)ため、より発展的な参照システムが必要になる。
【0009】
TMC位置参照情報または地図固有の参照情報の欠点の一部を克服するための1つの試みは(ISO17572−1、2、3のもとで標準化過程にある)AGORA−Cとしても知られる動的位置参照プロジェクトである。AGORA−C位置参照アプローチの完全な説明は本出願の範囲外であるが、本アプローチの基本は、緯度および経度の座標ペアにより特定され、リスト内に順序付けされた位置点(location point)の集合により位置参照情報が完全に特定されえ、各点は様々なルールに従うが、最も重要なものとして、参照されている位置とリスト内の直前の点とが、すなわち連続した点が次点関係を形成するという点で各点が連続することである。他の位置参照システムと同様に、各点には複数の属性が提供され、属性はその点をよりよく定義することに役立つが、AGORA−C方法に特有なものとして各点を、位置点、交差点、経由点、およびこれら3つの何らかの組み合わせの1つとして識別することである。道路区間署名が変わる位置に沿った各点は交差点により表され、よって位置は道路ネットワーク上の経路であり、任意の道路区間署名の変更が交差点により参照される必要なく、交差点を通る。例えば、位置が関連する限りにおいて関係しない接点を含む自動車道路の区間を位置が含むならば、このような接点について交差点を含む必要はない。
【0010】
AGORA−C符号化方法における初期段階の1つは、道路区間署名の変更が発生する位置に沿って最初と最後との交差点の間のすべての介在する交差点を決定することである。これらの点が点のテーブルへ追加され、最終的にAGORA−C位置参照情報の一部を形成する。このテーブル内に、やはり所定のルールに従って少なくとも2つの経由点も識別されている。経由点は、経路計算によって(復号動作において)位置を再構築するために用いられる点であり、属性を保有する経由点を有する道路セグメントが所定の長さよりも長い場合にのみ提供される。AGORA−C標準に従う符号化処理の間、最初に識別された経由点から最後に識別された経由点までの経路を計算するために中間経由点が必要になるかについて判定がなされる。この判定は、重み付き最短パス・アルゴリズムを用いてなされる。すなわち追加の経由点が必要であると判定されたならば、これらはまた既存の交差点のテーブルに追加されるが、これは以前に識別された交差点にこのような点が一致しないような場合にだけである。この後者の場合に、既存の交差点が経由点としても識別されることを保証するために単純な属性変更が必要となる。ほとんどの場合において追加の経由点が必要にならないかもしれないが、位置が最初に特定された既存の交差点数を減らすのとは対照的に、AGORA−Cに適用される重み付き最短パス・アルゴリズムの影響は必要な点数を場合によっては増やすことがあることが注目されるべきである。
【0011】
この参照アプローチは地理的情報システム内に存在する任意の位置を正確かつ反復して符号化し復号することが可能であるという点で包括的であるが、このシステムは所定の側面では過剰であり場合によっては冗長であり、多くの効率的な符号化システムが可能であると信じられる。例えば、参照方法がいかなる事前の編集作業から独立であり地図から独立であったとしても、平均的なAGORA−Cメッセージのサイズは位置参照情報ごとに30バイトを優に上回り、これは非常に混雑した輸送頻度とそれに関連付けられた次第に制限された帯域幅、特にこのような情報が送信されることが望まれうる移動体/無線装置に関する帯域幅との近年の風潮において禁止されないにしろ問題となりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、
‐精度に関して著しく妥協することなくAGORA−Cよりも効率的であり、
‐放送データについて利用可能な帯域幅に不利ではなく、
‐参照情報の作成の際に用いられる基底のデジタル地図における違い(またはそのバージョン間の違い)を説明でき、
‐TMC位置参照システムの完全な代替になることができ、
‐デジタル地図が利用可能な任意の国の都市道路および下位レベルの道路を含む道路ネットワーク全体に対処でき、
‐定期的な保守を必要としない
位置参照情報のための効率的且つコンパクトな形式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
道路ネットワーク内の連続したパスを符号化する方法であって、前記パスはデジタル地図に完全に表されるとともに、前記デジタル地図内に存在して連続に順序付けされたラインとセグメントとのうちの少なくとも一方のパス・リストとして表現可能であり、前記方法は、(i)‐前記パス・リストに最初に現われるライン又はセグメントか、若しくは前記最初のライン又はセグメントの開始ノードが人工的である場合に、実在の開始ノードを有する前記デジタル地図に現われ、場合によっては他の人工ノードを介して前記最初のライン又はセグメントに直接につながる最初のライン又はセグメントと、‐前記パス・リストに同様に現われる最も直近に識別された逸脱ライン又は逸脱セグメントとのうちの1つである開始場所を経路探索リストに記憶する工程と、(ii)前記開始場所を含み、前記開始場所の開始ノードから前記パス・リスト内の最後のライン又はセグメントの終点ノードへの前記デジタル地図内のパスを決定する工程であって、前記パスはアルゴリズムに従って決定される、工程と、(iii)そのように決定された最短パスを識別のために前記パス・リストに対して比較し、識別できない場合に、前記パス・リストの一部であり、前記デジタル地図内の交差点を表す開始ノードを有するものの、前記パス・リストに最初に現われるライン又はセグメントではない少なくとも1つの逸脱ライン又は逸脱セグメントを識別し、このような逸脱ライン又は逸脱セグメントが前記パス・リストに現われる最後のライン又はセグメントの終了ノードで終わらない場合に、前記逸脱ライン又は逸脱セグメントを用いて工程(i)を繰り返す工程と、(iv)前記パス・リスト内の最後のライン又はセグメントが既に記憶されていない場合に前記経路探索リストに記憶する工程とを有することを特徴とする方法が提供される。
【0014】
好適には、開始場所と終了ノードとの間のパスを決定するために用いられるアルゴリズムは最短パス・アルゴリズムであるが、対応する逆アルゴリズムを用いてそのように決定されたパスを復号できるという点で可逆であるという前提で、他のアルゴリズムがまた採用されてもよい。
【0015】
好適には、本方法は、最終の連結、変換、転置、及び結果として後述の位置参照点の有効な順序リスト又はその機械で読み取り可能な表現を生じる有効性動作のうちの少なくとも1つを行うことを含む。
【0016】
本発明の第2側面では、コンピュータに上述の方法を実行させるためのコンピュータ・プログラム・コードを備えるコンピュータ・プログラムが提供される。さらに別の側面では、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に具現化されたこのようなコンピュータ・プログラムが提供される。
【0017】
好適には、参照されることが望まれる連続したパスの始点および/または終点がデジタル地図の実在のノードに一致しない場合に、予備的有効性チェックは、連続パスの開始点及び終了点がデジタル地図内に現われる実在のノードに一致するようにこれらの点を延長し、連続したパスが実際に開始又は終了する前述の実在のノードの前後の距離を表すオフセットを記憶することを含む。
【0018】
さらに好適には、連続パスの符号化はさらに、符号化に成功した各連続したパスをデータベースに記憶し、符号化が望まれる後続の連続したパスのそれぞれについて後続の連続したパス又はその一部がすでに符号化されているかを確立するために前記データベースへ問い合わせることによって改良される。さらに、後続の連続したパスが、それよりも大きなすでに符号化された連続パスの一部を形成する場合に、前記データベースを用いることで符号化処理に更なる効率化が実現されうる。さらにどの符号化が失敗したか、およびこのような連続したパスと同一またはその一部を形成する後続の連続パスを符号化する試行の十分に前に停止される符号化処理について、連続したパスを前記データベースに記憶することも可能でありうる。
【0019】
本発明のその他の特徴が以下に説明され、添付の特許請求の範囲にさらに説明される。
【0020】
位置参照情報を生成するAGORA−C方法に比べて、本方法は実際に単純な最短パス・アルゴリズムを用いて位置に現われる位置参照点の必要な個数を低減しようと試みる。上述のように、AGORA−Cアプローチは、すでに包括的なリストにおいてどこに追加の経由点を挿入すべきかを決定するために重み付き最短パスを用いる。さらに、この重み付き最短パス・アルゴリズムは主として、より多くの幹線高速道路に並行して位置しうる、より低いクラスの道路に関する短い迂回路を避けるために採用される。
【0021】
本発明は、非常に特定の状況に対するものとは対照的なより汎用に採用される単純なアルゴリズムが遥かに単純で、それ故(符号化時間の観点で)高速なアプローチを結果として生じることを実現する。結果として生じる位置参照情報は、連続したパスを完全に参照するために必要となる位置参照点の個数の観点で遥かにより効率的である。特に、本発明から生じる位置参照情報はセグメントおよび/またはラインの既存の完全なリストから導出されるが、本方法の出力はそのように参照される連続したパスが続いて復号動作において再構築されうる極小の点のリストを提供することであるため、それとはほとんど類似性を有しない。
【0022】
例えば、デジタルにマッピングされた道路ネットワーク内の多くの連続したノード、セグメント、またはラインにより最初に表される数キロメートルの連続したパスは、前述のデジタル地図で表されるような道路ネットワーク上の当該パスの開始点と終了点とが実際にその全長にわたって連続パスに一致するならば、2つの位置参照点だけで表されうる。しかしながら、本発明は、好適には位置参照点間の15kmの制限の任意の強制を考慮しない。
【0023】
本発明でさらに実現されることは、位置、交差点、および/または経由点のリストにより連続したパスを最初に表現するAGORA−C方法とは対照的に、セグメントまたはラインのリストから最初に開始することによって、位置参照点へのこのようなリストのアルゴリズム的な低減の間に有用な効率性が達成されうる。
【0024】
本発明の符号化方法を用いた実験は、典型的に利用可能な交通供給について約18バイトの平均メッセージ・サイズが道路ネットワーク内の幅広く異なる位置または連続したパスについて一貫して達成可能であることを示した。30バイト以上であるAGORA−C位置参照メッセージに比較して、これは著しい低減を表す。
【0025】
このような低減はネットワークを通る部分最短パスの合計または連結の観点で位置を参照することだけでなく、位置参照情報の一部を形成する各位置参照点について必要となる属性データを低減したことの結果として達成されうる。この低減は本発明に採用される物理データ形式および論理データ形式の以下の説明において明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】符号化方法の概略図によるフローチャートを示す。
【図2】符号化方法の一部として最初に実行される有効性チェックの図式フローチャートを示す。
【図3】最短パス経路探索機能を含む符号化方法の反復部分の図式フローチャートを示す。
【図4】より詳細に最短パス経路探索機能の図式フローチャートを示す。
【図5】符号化が望まれる位置が最短パス経路探索により現在覆われているかどうかを判定することに含まれる手続きの図式フローチャートを示す。
【図6】、
【図7】、
【図8】図5に説明される手続きで場所が現在覆われていることをチェックすることにおいて生じる相異なる可能性を図的に説明する。
【図9】図9〜図12はノードおよびセグメントを含むデジタル地図の図式表現を提供する。特に、図9は例示のネットワークを説明する。
【図10】当該ネットワーク内で符号化が望まれる位置パスを説明する。
【図11】当該位置を含む延長されたパスの開始ノードと終了ノードとの間の最短パスを説明する。
【図12】当該位置を完全に参照するために必要となる位置参照点を説明する。
【図13】図13〜図21は以下に説明される論理データ形式の文脈で有用である様々な図式説明を提供する。特に図13は位置参照点(LRP)の必要となる連続した連結を示す。
【図14】1つのLRPについてどのように方位が計算されるかを説明する図である。
【図15】どのように方位が正の意味においてのみ変わりうるかを示す図である。
【図16】どのように「次の点への距離」属性がLRPについて決定されうるかを示し、当該属性が関連するLRPはどれかをさらに示す図である。
【図17】オフセットの使用を説明する図である。
【図18】LRPに属性が提供される方法を示す図である。
【図19】、
【図20】位置参照情報の決定の間に回避されるノードを説明する図である。
【図21】どのようにLRPについての方位値が円の32個に分離したセクタの1つに収まるかを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の特定の実施形態が以下に添付の図面をしつつ、例示の方法により説明される。
【0028】
本発明の以下の説明はセグメントの観点で提供されるが、本発明は道路ネットワークを通る連続したパスをともに表すラインやラインとセグメントとの組み合わせに等しく適用されうることが理解されるだろう。
【0029】
まず図1を参照して、上述のように、本発明に従って以前に符号化が成功した完全な位置参照情報をデータベースに記憶することが可能であり、従って図1のステップ10で、符号化が望まれる位置がすでに符号化されているかどうかを確立するためにこのようなデータベースがチェックされる。すでに符号化されているならば、更なる処理はなされずに、以前に符号化された位置がデータベースから読み出されうる。
【0030】
データベース内に位置が存在しないならば、後述される所定の基準を位置が満たすかどうかを判定するために位置とそれを構成するセグメントとに関して有効性チェック14が行われ、位置が有効であることを前提とすると、位置参照情報がステップ16で作成される。有効性チェックまたはこの特定の位置についての位置参照情報の作成が失敗したならば、ステップ18に示されるように、このような失敗も前述のデータベースに記憶されうる。
【0031】
処理の最終ステップとして、16で作成された位置参照情報がさらにステップ20で有効性がチェックされる。ステップ22は、1つの表現から別の表現への変換を表す点で例示的である。最終的に、(1つ以上の中間形式を含みうる)変換処理は、後述されるような物理データ形式で規定されるような、無線で送信可能であり機械で読み取り可能な2進数表現を結果として生じる。この形式は、エンコーダとデコーダとの間で情報を転送する際に有用なXMLや事実上任意のその他のマークアップ表現または機械で読み取り可能な表現のような別の形式を取りうる。本発明は説明される特定の形式に制限されるとみなされるべきではない。その後、位置の完全で正確で正しい表現がステップ24に示されるように前述のデータベースに記憶される。
【0032】
図2を参照して、図1の14で説明される「位置チェック」の有効性チェックがさらに説明される。すでに符号化された位置のデータベースに記憶されていないすべての位置は更なる処理の前に有効性についてチェックされる必要がある。最初のステップとして、30で、連結性チェックが実行される。連結性のチェックは、連結していない2つ以上の相異なる部分に、入力された位置が分割されていないことを保証する。連結した部分のそれぞれは個別に処理される必要があり、それ自体で符号化される1つの位置を表す。1つの連結した部分のみで位置が構成される場合にこのチェックは通過される。
【0033】
ステップ32で、機能的道路クラス・チェックが実行される。このチェックは、最初の位置の一部を形成するセグメントのすべてが基底のデジタル地図において定義される最低機能的道路クラスを満たすことを保証する。機能的道路クラス(FRC)は地図データ内のラインまたはセグメントの一般的な属性であり、特定のタイプの道路の相対的な重要度を示す属性である。0〜7の機能的道路クラスだけを含むことの任意の決定がなされている。なぜなら、これは任意のナビゲート不能な道路、交通イベントがほとんど生じないだろう非常に低いカテゴリの道路を効率的に排除するからである。
【0034】
1つの実施形態では、エンコーダは位置がターン制限により影響を受けるかどうかをチェックすることが可能でありうる。可能であるならば、34で示されるように途中にターン制限が存在するかどうかを位置は段階的に検査される。セグメントからセグメントへのすべてのターンが有効である必要がある。有効でないならば、39で例外がスローされ、位置は符号化されないだろう。ターン制限チェックは使用可能である必要がないことを言及する価値があり、本方法は膨大な大多数の位置について位置の符号化に成功し続けるだろう。しかしながら、説明されたようなターン制限チェックを使用可能にすることは、符号化の成功を保証するための付加的な手段として単に動作する。
【0035】
位置の有効性チェックの最終ステップとして、位置の最初のセグメントの開始ノードおよび位置の最後のセグメントの終了ノードが実在ノードであるか、それとは反対に人工的または回避可能なノードであるかに関して判定される。更に説明するために、ほとんどのインスタンスにおけるセグメントは人工的構造であり、地図ベンダによって任意に定義される傾向がある。それにもかかわらず、これらは、特定の道路部分に沿った何らかの任意の点で交通イベントが始まる現実世界の道路部分での交通イベントを表現することに関してラインと比べて遥かに優れた分解能を提供する。自動車道路または主要高速道路の文脈において、かなりの距離(例えば15km以上)離れて位置する(実在ノードで表される)2つの交差点の間の何らかの点で交通イベントが生じてもよく、従って交通状況が存在する正確な点は実在ノードよりも人工ノードの近くに遥かになりやすい。しかしながら、デコーダの地図にそのような人工ノードを有する確率は極めて小さく、よって、これらの人工ノードは回避されるべきである。これは、位置をその開始および終了において基底のデジタル地図に現れる実在ノードへ一意に延長することによってなされ、オフセット距離値はこのようなノードへの属性として提供され、その結果として交通(またはその他の)イベントの正確な場所、すなわち符号化される位置の正しい開始が正しく参照されうる。従って、位置を完全に覆うパスとオフセットとを用いて位置が正確に表現されうる。位置を覆い且つより長いパスを有することで、位置参照パスを再使用して、オフセットだけを更新することが可能になりえ、これは帯域幅および時間を節約するだろう。
【0036】
従って、開始ノードが人工的でないならば、延長は存在しないだろう。それ以外の場合に、人工的な開始ノードを有する最初のセグメントへの内向きセグメントがステップ36で新たな開始セグメントとして選択される。新たな開始セグメントの開始ノードも人工的または回避可能であるならば、適切な開始ノードが識別されるまで手続きが繰り返される。
【0037】
2番目のステップ38は位置の終了を延長しようとする。これは、最後のセグメントの終了ノードが評価されることを除いて開始セグメントに対するものと全く同じ方法で行われ、外向き道路セグメントに対して探索がなされる。これら2つのステップのいずれかにおいて人工ノードを延長できず且つ実在ノードが見つからなかった場合に、復号側で一致することを期待して人工ノードを用いて本方法で続けることが可能である。従って、本方法はなおも有効であるが、信頼性レベルは低くなる。
【0038】
図3を参照して、図1の位置参照情報作成ステップ16の説明が提供される。上述の有効性処理の後に、一連の有効なセグメントが提供され、これは後述の論理データ形式で定義されるオブジェクトのツリーとして位置参照情報へ変換されることが望まれる。
【0039】
本発明に従う位置参照情報の生成における最初のステップ40は、経路探索が開始されるべき最初のセグメントを識別することである。
【0040】
その後に、ステップ42で最初のセグメントと中間セグメントまたは逸脱セグメントとの何れかを用いて経路探索が実行される。経路探索は位置の最初の(または中間の)セグメントと最後のセグメントとの間の最短パス経路の計算である。経路探索の詳細は図4を参照してより詳細に説明される。
【0041】
経路探索は開始セグメントと宛先セグメントとの間の最短パスを計算する。この計算は反復して行われ、ステップ50での初期化の後に、ステップ52、54、56、58を含むメイン・ループが最短パスを計算するだろう。最短経路パスは(図5を参照して以下により詳細に説明される)ステップ56で反復ごとにチェックされ、位置がなおも、計算された最短パス木の一部であるかどうかを確立する。もはや位置が最短パス木により覆われないならば、経路計算は停止し、ステップ60において部分経路(いままで覆われた位置の部分)と、経路探索を一意にし、その後に続けることができる中間位置参照点として用いられるべきセグメントとを返す。この中間セグメントは図3におけるステップ44で識別され、1つ以上の更なる経路探索が行われる新たな開始セグメントとして経路探索アルゴリズムへ返される。
【0042】
理想的に経路探索は上述のように延長されていない位置の部分に焦点をあてるだろう。なぜなら、このパスからの逸脱は起こりえないために位置の延長部分は経路計算に影響を有しないからである。拡張は後のステップで位置参照情報へ追加されてもよい。
【0043】
ステップ50で、経路探索が初期化され、すべてのデータ構造がリセットされる。ステップ52で、判定点53において、経路探索が続けられるべきか停止されうるかに関してチェックされる。探索は以下の場合に停止されうる。
‐開始セグメントと宛先セグメントとの間の最短パスが見つかった場合。この場合に62で示されるように最短パス経路が生成されうる。
‐これ以上処理するセグメントが存在しない場合。これは64で示されるように、開始セグメントと宛先セグメントとの間に経路が存在しないことを意味する。
‐中間セグメントが識別された場合。
すべての実際の場合において、経路は常に存在するはすである。なぜなら、パスそのものは有効であり、このような経路を形成するからである。しかし、このチェックはすべての経路探索アルゴリズムに対して強制的である。探索が完了しない場合に、ステップ54で、「次のラインを取得」手続きは、しばしば「オープン・リスト」と呼ばれる2つの関連するノード間の最短パスの一部を形成するすべてのラインのリストから最良のラインをフェッチする。最短パス・アルゴリズムの結果として、ラインへの最短パスが、ステップ54で読み出されたオープン・リスト内に存在するものから位置の一部を形成するラインの入口で終了する。従って、「位置被覆チェック」ステップ56は図5を参照して更に詳細に概要が説明されるが、簡潔にはこのステップは経路計算の間にこの条件が満たされるかどうかをチェックする。経路計算の間のチェックは、すべての固定セグメント(セグメントへの最短パスが最終的に決定された場合にセグメントは固定される)が位置の一部をも形成するかどうかが調査されるだろうことを意味する。現在検討中のセグメントが、参照されることが望まれる位置の一部を形成する場合に、位置の開始部分が現在の最短パス木に完全に含まれることを確立するためのチェックが行われる。これは、最後の位置セグメントへの計算された最短パスが位置そのものである必要があることを意味する。任意の逸脱に遭遇した場合に、経路計算は停止され、ステップ60で部分経路が生成され、図3に説明される経路探索処理へ戻される。この図のステップ44では、基底のデジタル地図において中間セグメントが識別され、この中間セグメントを開始点として用いて経路探索が再開される。
【0044】
最短パス計算において現れた逸脱の特性に依存して、中間セグメントを正しく特定して参照するための様々な相異なる可能性が存在し、これらすべては図5〜図8を参照して説明される。
【0045】
こうして今までに決定された最短パスの一致をチェックするために、経路探索の間に位置上に発見された最後のセグメントが(図5において70で示される)経路探索リストに記憶され、その結果として、最後に記憶されたセグメントに連続した後続セグメントだけが、または少なくとも終了ノードと開始ノードとがそれぞれ一致するものだけを検討できるため、どのセグメントが次に来るべきかを容易に決定できる。最短パスに含まれるこれらのセグメントを最短パス経路探索が参照情報から効率的に排除すること、すなわちそれらが参照情報の一部を形成する必要がないことは位置参照情報長の経済性についての基本である。従って、判定点72、74において、最短パス経路リストの一部を形成する最も直近のセグメントが、符号化される位置に存在または一致し、
‐最短パス上で次に予想されるセグメント、および
‐前述の最短パス上で直前のセグメント
を参照するために最短パス・リストで理想的に用いられるポインタの観点で最短パスが関連する限りにおいて正しく参照されることのチェックが行われる。位置パス上にもあるこれらのポインタ参照セグメント両方を前提とすると、位置は最短パスにより正確に覆われるとみなされ、経路探索を継続できる。
【0046】
しかし当然のことながら、より短い逸脱が不可避的に発見され、すべての取り得る逸脱の種類が図5のフローチャートの様々な分岐および図6〜図8の簡略化された線図で網羅される。最も単純には、位置パス上のセグメントが現在分析されているが、このセグメントが最短経路リストの関連する限りにおいて次に予想されるセグメントと食い違う場合に逸脱が発見される。最短経路リストの次に予測されるセグメントが位置パス・リストの次のセグメントに一致するが、最短パス・リストのこのセグメントへの先行ポインタが位置を指し示さない場合にも逸脱が発見される。このことは、先行ポインタが位置に関して発見された最後のポインタに等しくなければならないことを意味する。どちらの場合とも、適切な中間物を識別する必要がある。以下のステップはこの中間物を決定し、特殊な場合に2つの中間物を加える必要がある。適切な中間物の発見に関する主な焦点は交差点の一部である開始ノードを有するセグメントを用いることである。
【0047】
まず図5、図6を参照して、76で示されるように、すべての場合において逸脱の開始を発見する必要がある。図6は最短経路リストの一部として記憶され、また当初の位置パス・リストの一部を形成する最後のセグメントの前で逸脱が始まる最も単純な場合を説明する。説明される位置パス全体はセグメントA、B、C、D、E、F、およびGにより表される。そして、今まで確実に位置に一致すると判定された最短パスは図で太字にされたセグメントA、Dにより表される。最短パス探索の進行として、特に開始セグメントAとセグメントEの終了ノードとの間として、より短い逸脱Hが発見される。(最も一般的な場合であるだろう)このような場合に、位置上に現われ、逸脱が始まる開始ノードを有するセグメントを発見することが理想的には望まれる。このような場合に、セグメントCが適切な中間物として含まれることが要求される。なぜなら、これは復号処理で実行される任意の最短パス・アルゴリズムで位置が追従されることを保証するからである。この探索はこの参照を満たすセグメントについての位置パス・リストを通じて再帰され、これは図5の78、79で参照される。図6に示される単純なパスの観点では起こりえないが、このようなセグメントが発見されない場合がある。この場合に、最短経路リストに最後に記憶されたセグメントは80で説明されるように中間物として用いられうる。なぜなら、最後に記憶されたセグメントを自身の開始として用いる最短パス関数はその前から始まる如何なる逸脱も決して識別しないからである。
【0048】
代替の実施形態では、図7で強調されるように、経路探索リストに記憶された最後のセグメントEの終了の後に逸脱が始まる。この場合に、AからEへの最短パスは既知であり、AからEまでのセグメントだけが記憶されている。セグメントAからセグメントFの終了ノードまでの最短パスは実際にはAとIとだけによって参照される。IはFを含む位置からの逸脱であり、最後に記憶されたセグメントEの終了の後に発生する。この場合に、セグメントFへの先行ポインタが実際には位置上のセグメント、この場合にEを指し示すことを前提すると、図5の82で示されるように、中間物はこのセグメントFから生成されうる。このチェックは84で示される。
【0049】
セグメントKがセグメントJを参照する場合のような、最短経路探索の一部として記憶される最後のセグメントの後の発生する逸脱が位置の一部を形成しないセグメントを実際に参照する図8の例外的な場合では、最初のステップとして、(前述された82のように)第1中間セグメントEが生成され、第2中間セグメントDも記憶される。なぜなら、これは位置パス上で発生し、より短いパス・セグメントJが始まる交差点から始まる最後のセグメントだからである。これらのステップは図5の86、88として総括的に示され、記憶された位置参照情報は最終的にセグメントJ、Kの両方を回避しなければならないため、これらのステップは必須である。
【0050】
最後に図3を参照して、位置パス・リスト全体の処理が完了すると、識別されたすべての部分最短パスがステップ46で結合される。位置の被覆は、最初の経路計算が中間セグメントを決定した場合にいくつかの部分経路で構成されうる。この中間セグメントは、経路探索が位置の完全な被覆となるように導くために位置参照情報の付加情報として機能する。経路探索が位置の終了に到達すると、すべての計算された部分経路が結合されて、位置を完全に覆うパスを形成する。1つの実施形態ではこのステップはまた、図2に説明されたステップ36、38で計算されたような位置の開始および終了における拡張を付加しうる。最初の位置参照点および最後の位置参照点が調整され、当初位置の相対位置を表す新たなオフセットが計算される。
【0051】
本発明を用いて位置を符号化する方法のよりよい理解を提供するために、図9〜12を参照して更なる特定の例が提供される。
【0052】
エンコーダの地図が図9に示され、15個のノードと23個のライン(双方向のラインは2度数える)とで構成される。ノードは1から15まで番号付けされる。必要なライン属性が形式<FRC>、<FOW>、<メートル単位の長さ>を用いてすべてのラインのそばに示される。FRCは「機能的道路クラス」の略語であり、FOWは「道路種別」の略語であり、これらの両方は以下により詳細に説明される。矢印は各ラインについての取り得る運転方向を示す。
【0053】
図10において、符号化される位置が太線で示される。位置はノード(3)から始まり、続いてノード(5)、(7)、(10)、(11)、(13)、(14)を通り、ノード(15)で終わる。エンコーダの地図におけるその全長は685メートルである。符号化の間に用いられるラインの順序リストとマップとはエンコーダへの入力としての機能を果たす。
【0054】
符号化:
符号化処理の最初のステップで、位置はまず有効性についてチェックされる。位置は連結され運転可能であり、位置に沿った機能的道路クラスは0と7との間であるため、この位置は有効である。ターン制限はマップ・データに含まれず、従ってエンコーダはこのチェックを無視しうる。
【0055】
エンコーダの2番目のステップは、ある所定のデータ形式ルールに従って位置の開始ノードおよび終了ノードが実在ノードであるかをチェックすることである。終了ノード(15)は1つの内向きラインのみを有するので有効である。また、開始ノード(3)は2つの付帯するラインを有するが、ここでは1つは外向きラインであり、1つは内向きラインである。従って、このノードは有効でなく、エンコーダは位置の外側の実在ノードを検索する。エンコーダは実在ノードとしてノード(1)を発見し、位置を一意に拡張するだろう。ノード(1)は位置参照情報のための新たな開始ノードとして選択され、150メートルの正オフセットが存在するだろう。位置参照パスの全長は結果として835メートルになる。
【0056】
エンコーダの3番目のステップは位置の開始ライン(この場合に、ノード(1)とノード(3)との間のラインである。しかしながら、一般の使用法で、最短パスは延長なしに計算されうる。)と終了ライン(ノード(14)とノード(15)との間のライン)との間の最短パスの計算を続いて行う。結果の最短パスは図11に太線で概要が説明される。最短パスは725メートルの長さを有する。
【0057】
符号化処理の次(4番目)のステップは、計算された最短パスにより位置が覆われるかどうかをチェックすることである。この場合は覆われておらず、ノード(10)の後に逸脱が存在することが判定されるだろう。
【0058】
上述の原理に従って、エンコーダはノード(10)からノード(11)へのラインが新たな中間位置参照点になると決定するだろう。経路探索の間にノード(10)をスキップできないためノード(10)は実在ノードであり、このラインへの最短経路は位置の対応する部分を完全に覆う。この最初の最短パス計算の後に覆われる位置の長さは561メートルである。
【0059】
次の符号化ステップは位置の残り部分(ノード(10)からノード(11)、(13)、(14)を経由してノード(15)まで)について最短パスを決定するために経路計算を準備する。従って、最短パス計算は(10)から(11)へのラインで始まり、(14)から(15)へのラインで終わるだろう。
【0060】
エンコーダは上述のステップ3へ戻り、(10)と(15)との間の最短パス(長さ:274メートル)を決定し、上述のステップ4は、現段階で計算された最短パスにより位置が完全に覆われたことを返す。
【0061】
次のステップとして、位置参照パスは2つの最短パスで構成され、位置参照点の順序リストがここで形成されるだろう。図12は位置参照点として選択されたラインが太く示される。1番目の位置参照点はノード(1)からノード(3)へのラインを指し示し、位置参照パスの開始を示す。2番目の位置参照点はノード(10)からノード(11)へのラインを指し示し、このラインは位置からの逸脱を回避するために必要であった。最後の位置参照点はノード(14)からノード(15)へのラインを指し示し、位置参照パスの終了を示す。
【0062】
最後から2番目のステップは位置参照情報の有効性のチェックである。2つの連続した位置参照点間のすべての長さは最大距離よりも短いため、位置参照情報は有効であると確認される。
【0063】
最後のステップはLRPの順序リストを2進数位置参照情報へ変換することであり、出願人により規定された論理データ形式と物理データ形式との両方の以下の説明はこれがどのように実現されるかの理解を助けるだろう。特定の形式の詳細を提供する以下の詳細な説明は単に例として提供され、当業者は他の形式を取りうることを理解するだろうことが強調されるべきである。
【0064】
論理データ形式および物理データ形式の仕様
以下の表は本明細書において位置参照情報の文脈で用いられる一般用語および略語を説明する。
【0065】

【0066】
1.データ形式
位置参照情報はデジタル地図の指定された部分または一連の地理的場所の表現である。この表現のために、位置参照点(LRP、1.1.1参照)のモデルを用いる。
【0067】
ライン位置についての位置参照情報は少なくとも2つのLRPを含むがLRPの最大数は規定されない。位置参照パスはLRPにより表現されるデジタル地図内のパスであり、LRPの連続したペアのそれぞれの間の最短パス計算により発見されうる。
【0068】
1.1 論理データ形式の仕様
論理データ形式はMapLoc(商標)標準に従って位置参照情報についての論理モデルを表現する。
【0069】
1.1.1.位置参照点(LRP)
位置参照情報の基盤は一連の位置参照点(LRP)である。このようなLRPはWGS84の経度値および緯度値で特定された座標ペアと、付加的ないくつかの属性とを含む。
【0070】
座標ペア(1.1.3.1参照)は地図/ネットワーク内の地理的位置を表し、LRPについて必須である。座標ペアはネットワーク内の「実在(real)」ノードに属する。
【0071】
属性(セクション1.1.3.2〜1.1.3.6参照)は、座標ペアにより表現されるノードにラインが付帯する、ネットワーク内のラインの値を表す。この文脈では、ノードに関して内向きラインと外向きラインとのどちらを属性が指すかは規定されない。これはセクション1.2で特定される。
【0072】
1.1.2.LRPのトポロジー連結
図13を参照して、位置参照点はトポロジーの順序で、すなわち連続したLRPの「次の点(next point)」関係で記憶されるものとする。この順序の最後の点はこの関係における次の点を有しないだろう。
【0073】
図13はこの関係の例を示す。LRPはA1、B1、およびC1によって示され、黒線矢印は位置参照パスにおけるA1からC1への点の順序を示す。この例では、LRP A1は次の点としてB1を有し、B1は次の点としてC1を有し、C1は次の点を有しないだろう。
【0074】
1.1.3.LRPのコンポーネント
このセクションは位置参照点のコンポーネントを説明する。
【0075】
1.1.3.1 座標ペア
座標ペアはWGS84の経度(lon)の値と緯度(lat)の値とのペアを意味する。この座標ペアはデジタル地図における幾何的な点を特定する。lon値およびlat値はデカミクロンの分解能(10-5、すなわち小数点5位)で記憶される。
【0076】
略語:COORD タイプ:(浮動小数,浮動小数)
【0077】
1.1.3.2 機能的道路クラス
機能的道路クラス(FRC)は道路の重要度に基づく道路分類である。FRC属性の取りうる値が表A2に示される。これら8個の位置参照値よりも多くのFRC値が定義されるならば、適切なマッピングが行われる必要があるか、または重要性の低いクラスが無視される必要がある。
【0078】

【0079】
略語:FRC タイプ:整数
【0080】
1.1.3.3 道路種別(Form of way)
道路種別(FOW)は物理的道路タイプを表現する。FOW属性の取りうる値が表A3に示される。
【0081】

【0082】
略語:FOW タイプ:整数
【0083】
1.1.3.4 方位
方位(BEAR)は、真北と、LRPの座標およびLRP属性により定義されるラインに沿ってBEARDISTである座標により定義されるラインとの間の角度を表現する。ライン長がBEARDISTよりも短いならば、(BEARDISTに関わらず)ラインの反対側の点が使用される。方位は角度単位で測定され、(北から時計回りに測定され)常に正である。パラメータであるBEARDISTは表A4に定義される。
【0084】
略語:BEAR タイプ:整数
【0085】

【0086】
図14は方位計算のための第2点がどのように決定されるかを示す。この図はBEARDISTよりも長いA2からB2へのラインを示す。このラインの斜線部分はBEARDISTメートルちょうどの長さであり、その結果としてB′で印が付けられた点はA2からB2へのラインに沿って移動して、A2からBEARDISTメートル離れている。A2からB′への直線が方位値の計算のために以下で検討される。ラインの反対側のノード(この場合、これはB2であるだろう)が用いられる場合に計算されるだろう角度はこれとは異なる。
【0087】
図15は方位値を計算する2つの例を示す。1つはA3からB3までであり、1つはA3からC3までである2つのラインが存在する。両方のラインについて、弧は北に対する角度を示す。
【0088】
1.1.3.5 次のLRPへの距離
このDNPフィールドはLRPのトポロジー連結における次のLRPへの距離を表現する。距離はメートル単位で測定され、位置参照パスに沿って計算される。最後のLRPは距離値としてゼロを有するだろう。
【0089】
略語:DNP タイプ:整数
【0090】
図16は距離の計算と割り当てとの例を示す。3つのLRPがA4からB4を越えてC4まで一列に存在する。従って、位置参照パスに沿ったA4とB4との距離はA4に割り当てられるだろう。LRP B4はB4とC4との間の距離を保持し、LRP C4は距離値としてゼロを有するだろう。
【0091】
1.1.3.6 次のLRPへの最低FRC
最低FRC(LFRCNP)は2つの連続したLRPの間の位置参照パスに現れる最低のFRC値である。最高のFRC値は0であり、取りうる最低のFRC値は7の値を有する。
【0092】
略語:LFRCNP タイプ:整数
【0093】
1.1.4.オフセット
オフセットは位置参照パスをその開始および終了において縮小するために用いられる。位置参照パスに沿った新たな場所は、位置の実際の開始および実際の終了を示す。
【0094】
1.1.4.1 正オフセット
正オフセット(POFF)は位置参照情報の開始点と所望の位置の開始点との位置参照パスに沿った距離である。値はメートル単位で測定される。図17は正オフセットおよび負オフセットの計算の例を示す。線は位置参照パスを示し、ハッチングは所望の位置を示す。
【0095】
略語:POFF タイプ:整数
【0096】
1.1.4.2 負オフセット
負オフセット(NOFF)は所望の位置の終了点と位置参照情報の終了点との位置参照パスに沿った距離である。値はメートル単位で測定される(図17を再び参照)。
【0097】
略語:NOFF タイプ:整数
【0098】
1.2 関連属性‐LRP
すべての属性はLRPにリンクされる。(最後のLRPを除く)すべてのLRPについて、属性はLRP座標におけるノードの外向きラインを表す。最後のLRPの属性はLRP座標におけるノードの内向きを対象とする。
【0099】
図18はLRPと属性との間の関連の例を示す。ラインは位置参照パスを示し、ノードA5、B5、およびC5がLRPである。開始ノードおよび終了ノードがLRPでないライン(列の3番目のライン)も存在することに留意されたい。このラインは、LRP B5とLRP C5との間の最短パスにより覆われるため、参照される必要はない。
【0100】
LRP A5およびLRP B5は外向きラインを対象とし、最後のLRP C5は内向きラインを対象とする。
【0101】
1.3 データ形式のルール
これらのルールはこの仕様に従う位置参照情報についての追加の規則を表現する。これらのルールは符号化処理および復号処理を単純化し、結果の精度を高めるために用いられる。
【0102】
ルール1 2つの位置参照点の間の最大距離は15kmを超えないものとする。距離は位置参照パスに沿って測定される。位置参照情報についてこの条件が満たされないならば、十分な数の追加のLRPが挿入されるものとする。
【0103】
2つの連続した位置参照点の間の最大距離は最短パス計算を速めるために制限される。なぜなら、経路アルゴリズムがネットワーク全体を考慮に入れなければならない場合に、1つの長い経路よりも複数の短い経路の方が速く計算されうるからである。本制限はまた、許容精度でコンパクトな2進数形式を形成する機会を提供する。
【0104】
ルール2 すべての長さは整数値である。浮動小数値が利用可能ならば、整数表現を得るためにこれらの値を丸める。
【0105】
様々な地図は長さの値を様々な形式で且つ様々な精度で記憶するかも知れず、すべてに対する統一の基盤は整数値を使用することである。また、浮動小数値を用いるよりも2進数形式の整数値を送信する方がコンパクトである。
【0106】
ルール3 2つのLRPが必須であり、中間LRPの個数は制限されない。
【0107】
ライン位置参照情報は位置の開始および終了を示す少なくとも2つの位置参照点を常に有していなければならない。(異なる地図に関して)デコーダに問題が発生するかもしれない危機的状況をエンコーダが検出するならば、位置参照情報は追加の中間LRPで強化されうる。
【0108】
ルール4 LRPの座標は実在ネットワーク・ノード上に選択されるものとする。
【0109】
これらの実在ネットワーク・ノードは現実世界の接点であるべきで、これらの接点はライン上のどこかの場所よりも高い確率で異なる地図で発見されうることが期待される。さらに、経路検索の間に容易にスキップされうるノードは回避されるものとする。これらの回避可能なノードにおいて、経路から逸脱する可能性はない。
【0110】
1つの内向きラインおよび1つの外向きラインのみを有するノードは、これらのノードが接点に関連せず(図19参照)、経路探索の間にスキップされうるために、回避されるものとする。2つの内向きラインおよび2つの外向きラインを有し、2つの隣接ノードのみが存在するノードは同様に回避されるものとする(図20参照)。
【0111】
これらのノードの1つがLRPについて選択されると、このLRPは適切なノードを見つけるために位置参照パスに沿ってシフトされるべきである。これは、所望のパスを逸脱することなくこのような回避可能なノードを経路計算がスキップするために行われうる。
【0112】
位置の開始または終了が回避可能なノード上に配置されるならば、エンコーダは位置を一意に拡張すべきであり、位置の外側の適切なノードを見つけるべきである。この拡張は位置へ入り込むべきではない。なぜなら、これは位置を縮小するだろうからである。
【0113】
1.3.1.データ形式ルールの概要
以下の表A5はデータ形式ルールを要約する。
【0114】

【0115】
1.4 2進数表現
物理データ形式は上述の論理データ形式についてのバイト指向のストリーム形式を表現する。これはセクション1.1の論理データ形式において表現されたコンポーネントを用いる。
【0116】
1.4.1.データ・タイプ
物理データ形式は以下のデータ・タイプを用いる。表A6はすべての利用可能なデータ・タイプの概要を与え、名前、タイプ、および各データ・タイプの指定サイズを特定する。以下のセクションでは、データ・タイプ名は各データ・コンポーネントについてサイズおよびタイプを示すために用いられる。
【0117】

【0118】
負の整数値が2つのコンポーネント形式で記憶される。
【0119】
1.4.2.座標(COORD)
地図内の各点はWGS84座標で表された「経度」(lon)と「緯度」(lat)との座標ペアで構成される。北方向および東方向は(経度、緯度それぞれ)正の値で表される。lot値およびlat値はデカミクロンの分解能(10-5、小数点第5位)で記憶される。
【0120】
座標値は整数値として送信されるだろう。これらの値は24ビット整数表現を算出する式E1を用いて生成されるだろう。分解能パラメータは24に設定される。この変換は最大で約2.4メートルの誤差を生じる。逆変換は式E2で表現される。両方の式は、負の値について−1、正の値について1、その他について0である符号関数を利用する。
【0121】

【0122】

【0123】
物理形式は絶対座標形式と相対座標形式とを利用する。絶対形式は地理的場所の指定された値を表し、相対値は先行する座標に対するオフセット座標である。
【0124】
1.4.2.1 絶対形式
絶対形式は24ビット分解能における地理的場所を表現する。表A7は絶対形式に用いられるデータ・タイプを示す。
【0125】

【0126】
1.4.2.2 相対形式
相対形式は2つの連続した座標間の差を表現するために用いられる。差は式E3に示されるように各値(lon/lat)別々に計算される。現在の値および前の値は緯度値(経度値)を角度単位で表す。これら2つの値の差は整数値へ変化させるために100000倍される。
【0127】

【0128】
表A8は16ビット表現を用いて取りうる最大距離を示す。この図はlon=5°、lat=52°(オランダ内の場所)における固定の座標について計算される。
【0129】

【0130】
表A9は2バイト・オフセットについてのデータ・タイプを示す。
【0131】

【0132】
1.4.3.属性値
属性の2進数形式がこのセクションで続く。
【0133】
1.4.3.1 機能的道路クラス(FRC)
機能的道路クラス(FRC)は論理形式で説明されたように8個の相異なる値を保持しうる。これらの8個の値は表A10で示される3ビットとマッピングとにより表される。
【0134】

【0135】
1.4.3.2 道路種別(FOW)
道路種別(FOW)は論理形式において説明されたように8個の相異なる値を保持しうる。これらの8個の値は表A11で示される3ビットとマッピングとにより表される。
【0136】

【0137】
1.4.3.3 方位(BEAR)
方位は論理形式において説明されたように道路と真北との間の角度を表現する。物理データ形式は32個のセクタを定義し、各セクタは円のうち11.25°をカバーする。これらの32個のセクタは5ビットで表される。表A12は方位属性についてのデータ・タイプを示し、表A13はセクタから具体的な値へのマッピングを示す。
【0138】

【0139】

【0140】
式E4は方位値の計算の概要を説明し、図21はセクタの図示による概要を提供する。
【0141】

【0142】
1.4.3.4 次のLRPへの距離(DNP)
DNP属性は論理形式において説明されたように位置参照パスに沿った2つの連続したLRP間の距離を測定する。
【0143】
物理データ形式は8ビット表現を定義し、表A14はDNPについて用いられるデータ・タイプを示す。この表現は255個の間隔を定義し、データ形式ルールのルール1(2つの連続したLRP間の最大長は15000mに制限される)と組み合わせて各間隔は58.6メートルの長さを有するだろう。
【0144】

【0145】
式E5はどのようにDNP値を計算できるかを示す。
【0146】

【0147】
1.4.3.5 次の点への最低FRC(LFRCNP)
次の点への最低FRCは次のLRPへの位置参照パスに用いられる最低の機能的道路クラスを示す。この情報は復号の間にスキャンされる必要のある道路クラスの個数を制限するために用いられうる。データ・タイプの定義については表A15を参照されたい。
【0148】

【0149】
1.4.4.位置参照情報ヘッダ
位置参照情報ヘッダは参照情報に関する一般的な情報を含む。
【0150】
1.4.4.1 バーション(VER)
バーションは位置参照情報についての複数の物理的なデータ・フォーマットを区別するために用いられる。バージョン番号は3ビットで表され、データ・タイプは表A16に示される。
【0151】

【0152】
1.4.4.2 属性フラグ(AF)
属性フラグは各LRPへ付加された属性が存在するか否かを示す。属性が付加されていない場合にAF値は0となり、従って位置参照情報は座標だけで構成される。それ以外の場合、値は1となり各LRPへ属性が付加されることを示す。AFについてのデータ・タイプは表A17、A18に示される。
【0153】

【0154】

【0155】
1.4.4.3 領域フラグ(ArF)
領域フラグは位置参照情報が領域を記載するか否かを示す。このフラグが設定されるならば、位置は結合しているものとし、以下の表A19、A20に見られるように領域を表現する。
【0156】

【0157】

【0158】
1.4.5.オフセット
オフセットはネットワーク内のノードへ結び付けられたものよりも正確に位置の開始および終了を位置付けるために用いられる。論理形式は、1つは位置の開始において、もう1つは位置の終了において2つのオフセットを定義し、両方のオフセットは位置のラインに沿って作用し、メートル単位で測定される。オフセット値は必須ではなく、オフセット値がないことは0メートルのオフセットを意味する。また、オフセットは属性が含められたライン位置についてのみ有効である。
【0159】
1.4.5.1 オフセット・フラグ
オフセット・フラグはデータが特定のオフセット情報を含むかどうかを示す。物理データ形式は2つの相異なるオフセット値に対応する2つのフラグを扱う。正オフセット・フラグ(PoffF)と負オフセット・フラグ(NoffF)とが表A21、A22に表現される。
【0160】

【0161】

【0162】
1.4.5.2 オフセット値
オフセット値(正および負、POFFおよびNOFF)は位置参照パスの開始(終了)と位置の「実在の(real)」開始(終了)との間の距離を示す。
【0163】
物理データ形式は各オフセット値について8ビット表現を定義する。表A23はPOFFおよびNOFFについて用いられるデータ・タイプを示す。この表現は各間隔の長さが58.6メートルである256個の間隔を定義することを可能にする。オフセットについての間隔番号の計算は式E6に概要が説明される。
【0164】

【0165】

【0166】
1.5 物理データ形式の仕様
このセクションはバイト・ストリーム内のデータ・フィールドの構成を表現する。バイト指向のストリームを有し、バイトごとに8ビットを使用できると想定する。
【0167】
1.5.1.概要
2進数形式の主な構造は、ヘッダ、先頭LRP、後続LRP、末尾LRP、およびオフセットである。ヘッダ、先頭LRP、および末尾LRPは必須であり、後続LRPの個数は制限されない。末尾LRPは相異なる情報レベルに起因して独自の構造を有する。オフセットはオプションであり、その存在は末尾LRPの属性内のフラグにより示されるだろう。
【0168】
表A24は主な構造の概要を与える。ストリームは左から右へ読み取ることができ、それにより最初に受信されるバイトは状態バイトであるだろう。各座標について、最初に受信される値は経度値であり、緯度値がそれに続くだろう。
【0169】
LRPの個数に依存するメッセージ・サイズの計算は以下のセクション1.6に見られうる。
【0170】

【0171】
1.5.2 状態バイト
状態バイトはすべての位置参照情報について1回送信され、領域フラグ(ArF、セクション1.4.4.3)、属性フラグ(AF、セクション1.4.4.2)、およびバージョン情報(VER、セクション1.4.4.1)を含む。ビット7、6、5は将来の使用のために予約(RFU)され、0であるものとする。表A25は状態バイトの各ビットの用途の概要を与える。
【0172】

【0173】
形式のこの特定のバージョンでは、属性が各LRPへ付加され、領域は表現されない。「現在のバージョン」が2であるならば、状態バイトは表A26に示される値を有するだろう。
【0174】

【0175】
1.5.3.先頭LRPの座標
先頭LRPの座標は絶対形式(セクション1.4.2.1参照)で送信され、従って各値(lotおよびlat)は3バイトを用いるだろう。表A27は経度値および緯度値についてのバイト順を示す。
【0176】

【0177】
1.5.4.後続LRPの座標
後続LRPおよび末尾LRPの座標は相対形式(セクション1.4.2.2参照)で送信され、従って各値(lotおよびlat)は2バイトを用いるだろう。表A28は経度値および緯度値についてのバイト順を示す。
【0178】

【0179】
1.5.5.属性
属性は各LRPへ付加される。位置参照情報におけるLRPの場所に依存して相異なる4種類の属性が存在する。
【0180】
1.5.5.1 第1属性バイト(属性1)
第1属性バイトは属性FRC(セクション1.4.3.1参照)とFOW(セクション1.4.3.2参照)とを含み、2ビットが将来の使用のために予約される。表A29は各ビットの用途を示す。
【0181】

【0182】
1.5.5.2 第2属性バイト(属性2)
第2属性バイトは属性LFRCNP(セクション1.4.3.5)と属性BEAR(セクション1.4.3.3参照)とを含む。表A30は各ビットの用途を示す。LFRCNP情報が利用可能でないため、この属性は末尾LRPに対して有効でない。
【0183】

【0184】
1.5.5.3 第3属性バイト(属性3)
第3属性バイトは表A31に示されるように属性DNP(セクション1.4.3.4参照)を含む。DNP情報が利用可能でないため、この属性は末尾LRPに対して有効でない。
【0185】

【0186】
1.5.5.4 第4属性バイト(属性4)
属性4はBEAR情報、正および負のオフセット・フラグ(セクション1.4.5.1参照)、ならびに将来の使用のために予約された1ビットを含む。表A32に示されるように、この属性は末尾LRPについて用いられる。
【0187】

【0188】
1.5.6 オフセット
正オフセット(POFF)および負オフセット(NOFF)は、属性4内の対応するフラグがそれらの存在を示す場合にのみ含まれる。オフセット値を含まないことは0メートルのオフセット値を示す。オフセット値はセクション1.4.5に従って計算され、これらのオフセットのビット用途は表A33、A34に示される。
【0189】

【0190】

【0191】
1.6 メッセージ・サイズの計算
位置参照情報のメッセージ・サイズは位置参照情報に含まれるLRPの個数に依存する。位置参照情報には少なくとも2つのLRPが含まれるべきである。また、状態情報を伴うヘッダが必須である。以下の計算と表A35とはLRPの個数に依存するメッセージ・サイズを示す。
・ヘッダ
1バイト状態
合計:1バイト
・先頭LRP
6バイトCOORD(lon/latのそれぞれについて3バイト)
3バイト属性
合計:9バイト
・後続LRP
4バイトCOORD(lon/latのそれぞれについて2バイト)
3バイト属性
合計:7バイト
・末尾LRP
4バイトCOORD(lon/latのそれぞれについて2バイト)
2バイト属性
合計:6バイト
・オフセット(含まれる場合)
1バイト正オフセット(含まれる場合)
1バイト負オフセット(含まれる場合)
合計:0〜2バイト
【0192】

【0193】
上記の形式が用いられる方法の特定の例が、図9〜図12を参照して上述された位置参照情報を参照して以下に提供される。これらの図では3つの位置参照点(ノード(1)、(10)、(15)およびライン(1)〜(3)、(10)〜(11)、(14)〜(15))が位置を正確に表現するために識別される。位置参照情報は3つの位置参照点で構成され、以下の表A36はノード(1)、(10)、(15)についての座標を示す。これらのノードは位置参照点に対応するノードである。2進数形式の準備において、この表はまた、相対座標を示す。ノード(1)は位置参照点1に対応し、絶対形式の座標を有するだろう。位置参照点2に対応するノード(10)は位置参照点1に対する相対座標を有するだろう。位置参照点3に対応するノード(15)も相対座標を有するだろうが、ここでは位置参照点2を参照する。
【0194】

【0195】
相対経度および相対緯度は上記の式E3に従って計算される。符号化処理のステップ2で計算されるオフセットが表A37に示される。2進数データにおいて、正オフセットのみが現れるだろう。なぜなら、負オフセットは0であり、オフセットがない場合は0として扱われるだろうからである。
【0196】

【0197】
以下の表A38は基底のデジタル地図から計算を通じて各位置参照点についての関連データを収集する。これは機能的道路クラス、道路種別、および対応するラインの方位を含む。2つの連続した位置参照点間のパスに関して必要な情報(最低機能的道路クラスと次の位置参照点への距離)も示される。
【0198】

【0199】
BEAR属性、LFRCNP属性、およびDNP属性は上述のように決定される。以下の表は2進数データを作成するためのすべての関連情報を保持する。以下の表は物理データ形式に従って2進数データの概要を説明する。
・状態タイプ:表A39を参照。
・LRP1: 表A40〜A44を参照。
・LRP2: 表A45〜A49を参照。
・LRP3: 表A50〜A53を参照。
・オフセット:表A54を参照。
【0200】

【0201】

【0202】

【0203】

【0204】

【0205】

【0206】

【0207】

【0208】

【0209】

【0210】

【0211】

【0212】

【0213】

【0214】

【0215】

【0216】
完全な2進数データストリームは24バイトの長さを有し、以下のもので構成される(左から右へ、そして上から下へのバイトとして並ぶ)。
【0217】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路ネットワーク内の連続したパスを符号化する方法であって、前記パスはデジタル地図に完全に表されるとともに、前記デジタル地図内に存在して連続に順序付けされたラインとセグメントとのうちの少なくとも一方のパス・リストとして表現可能であり、前記方法は、
(i)‐前記パス・リストに最初に現われるライン又はセグメントか、若しくは前記最初のライン又はセグメントの開始ノードが人工的である場合に、実在の開始ノードを有する前記デジタル地図に現われ、場合によっては他の人工ノードを介して前記最初のライン又はセグメントに直接につながる最初のライン又はセグメントと、
‐前記パス・リストに同様に現われる最も直近に識別された逸脱ライン又は逸脱セグメントと
のうちの1つである開始場所を経路探索リストに記憶する工程と、
(ii)前記開始場所を含み、前記開始場所の開始ノードから前記パス・リスト内の最後のライン又はセグメントの終点ノードへの前記デジタル地図内のパスを決定する工程であって、前記パスはアルゴリズムに従って決定される、工程と、
(iii)そのように決定された最短パスを識別のために前記パス・リストに対して比較し、識別できない場合に、前記パス・リストの一部であり、前記デジタル地図内の交差点を表す開始ノードを有するものの、前記パス・リストに最初に現われるライン又はセグメントではない少なくとも1つの逸脱ライン又は逸脱セグメントを識別し、このような逸脱ライン又は逸脱セグメントが前記パス・リストに現われる最後のライン又はセグメントの終了ノードで終わらない場合に、前記逸脱ライン又は逸脱セグメントを用いて工程(i)を繰り返す工程と、
(iv)前記パス・リスト内の最後のライン又はセグメントが既に記憶されていない場合に前記経路探索リストに記憶する工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記パスの決定に用いられる前記アルゴリズムは最短パス・アルゴリズムであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(iii)において、前記逸脱ライン又は逸脱セグメントが前記パス・リストに現われる最後のライン又はセグメントの終了ノードで終わり、且つ前記最短パスにおける最後のライン又はセグメントの先行物が前記パス・リストに現われる最後から2番目のライン又はセグメントに一致しない場合に、第2の逸脱ライン又は逸脱セグメントが、交差点に一致する前記パス・リストに現われる最後のノードから広がるライン又はセグメントとして例外的に識別されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
結果として生じる経路探索リストを2進数又はXMLのようなマークアップ言語で表現される機械で読み取り可能な形式に変換する工程をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
連結、変換、転置、及び結果として位置参照点の有効な順序リスト又はその機械で読み取り可能な表現を生じる有効性チェックのうちの少なくとも1つを行う工程をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記連続したパスを表す前記パス・リスト内の各項目を有効性について分析し、関連する観点で前記パス・リストが有効でない場合に、例外を提起する予備的工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記有効性チェックは、前記パス・リスト内の最初に記述されたライン又はセグメントの開始ノードと、前記パス・リスト内の最後に記述されたものの終了ノードとのうちの一方又は両方が前記デジタル地図内の実在のノードに一致するかを確立するためのチェックを含み、一致しない場合に、予備的有効性チェックは適切な実在のノードを識別し、それに従って前記パス・リストに追加のライン又はセグメントを含めることによって前記連続したパスを延長し、前記実在のノードと人工ノードとの間の距離を表すオフセットを記憶することを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
連続した位置参照点の間に最大距離に関する制約を課す工程をさらに有することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
そのように課される前記最大距離は15kmであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
エンコーダにおいて、ターン制限チェック・オプションが使用可能であるかを判定し、使用可能である場合に、前記デジタル地図に識別され、位置を毀損又は危険にさらすか若しくはナビゲートを不能にする可能性のあるターン制限について、符号化が望まれる前記位置を評価し、このようなものが識別される場合に、エラーを返す工程をさらに有することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータに請求項1乃至10の何れか1項に記載の方法を実行させるためのコンピュータ・プログラム・コードを備えるコンピュータ・プログラム。
【請求項12】
コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に具現化された請求項11に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項13】
連続したパス位置を符号化するためのシステムであって、
請求項1乃至10の何れか1項に記載の方法を実行するエンコーダと、
事前に符号化された位置と、これらの位置を符号化するための以前の試行結果とを記憶するためのデータベースと
を備え、
符号化される位置を受信すると、前記システムは位置又はその一部が前記データベースにすでに記憶されている位置の一部を形成する又は当該位置に等しいかどうかを確立するために前記データベースに問い合わせ、符号化がすでに発行されている場合に以前に符号化された位置又はその一部を返し、若しくはこれに代えて前記連続したパス位置を前記エンコーダへ渡し、この出力は前記連続したパス位置とともに前記データベースに記憶された任意のイベントに含まれることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2011−526679(P2011−526679A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515417(P2011−515417)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058131
【国際公開番号】WO2010/000707
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】