説明

動体の状態変化を通知する装置

【課題】
人・動物・ものなど移動するものの、状態の変化、緊急を要する事態の発生状況を的確に通知する。
【解決手段】
本発明を、無線装置と組み合わせて使用することにより、あるべき状態とは異なる状況を検知・判定すると、無線装置を送信状態にして、音声にて判定した結果を送話、続いてマイク回路を起動して、その場の状況を集音して送話する。手動により緊急事態の発生を通知したい場合も、同様に手動操作が行われたことを音声にて送話し、続いてマイク回路を起動して、その場の状況を集音して送話する、このいずれの場合も、音声メッセージ及び集音した音を送信後、無線装置を受信状態にして、相手からの返信を待ち、この返信に応答ができれば通知動作を停止させ通常の通信ができるようにし、応答ができなければ通知動作を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独自インフラで同報機能が特徴である無線装置と組み合わせ、動体に取り付けた1個あるいは複数のセンサ情報から、あるべき状態ではないこと(異常)を判断する判定部と、状態変化の判定結果を音声合成出力部でメッセージ化し、続いてその場の状況を集音マイク部で集音し、無線装置を送信させる無線装置制御部からなる装置で、状態の変化を具体的に相手に通知することが出来、対象が人の場合、効率・能率を優先して一人作業が増える中、当事者の安全・安心を担保する方法に関し、対象が野生動物の場合、その行動域調査の方法に関し、対象が飼育動物の場合、その居場所の探索に係る方法に関し、対象がものの場合、稼働状態の把握や、盗難など防犯に係る方法に関する、動体の状態変化を通知する装置。
【背景技術】
【0002】
人における現場の安全確保という点では、連絡用無線機が普及し稼働している。また転倒を検知して通報する無線装置もあるが、一般に単独の通報装置であるため、連絡用無線機と転倒検知通報無線装置の2つを持たなければ実用にならないケースがほとんどである。この場合、それぞれの無線部分の能力の違いにより、その飛距離なども異なり、使い勝手は良くない。また、携帯電話を利用するものもあるが、他のインフラに依存するため、利用できる範囲がそのインフラのサービス範囲に限定されるなど利用エリアに制限があるほか、直接通知できる先が1件だけで、話中であったり災害など非常時には通じないケースがあること等は、運用上問題である。そのいずれもが、転倒と落下の区別がつかない、あるいは転倒・落下という事が起きてからの通報であって、危機回避・事故予防の観点からは、用を足さないものである。犯罪に遭遇した場合の通報においても、無線装置によっては緊急通報ボタンを装備したものもあるが、緊急事態の発生を通知するだけで、現場の状況を当事者の操作無しに相手に通知することはできない。動物やものの場合、常に状況を通知する方法では、特に無線装置の消費電力に起因して、運用時間あるいは装置サイズに制限が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−061418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の連絡用無線機と転倒通知通報無線装置の組合せは、携行物が増えることで安全管理上もマイナスになるうえ、2つの無線装置の通信能力の違いなどによる不都合が生じていた。また一方的な緊急通報装置では、事が起きたことを結果として伝えることしか出来ず、当事者が気を失っていたり犯罪に遭遇した場合は、状況の把握、場所の特定などの対応に時間を要すことから、誤報(誤判定)を必要以上に嫌い、有効利用が進んでいない。また携帯させる、あるいは対象物に取り付けて使用するもので、必要な電力はほとんどの場合電池で供給される。このような運用形態を取る場合、常に状況通知を行えば、特に無線装置の電力消費に起因して長時間の連続稼働が出来ない、それをカバーしようとすると電池サイズが大きくなり、装置全体の小型化が図れず、使用先に制限が生じる。また無用な送信は、電波の有効利用という観点からも望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
動体の動きを検出するセンサ1個あるいは複数又は、環境を測定するセンサを1個あるいは複数使用するセンサ部と、センサ情報からあるべき状態でない(異常)状態を判定する判定部、判定結果を音声に変換する音声合成出力部、周囲の音を拾い集める集音マイク部、組み合わせる無線機の制御を行う無線装置制御部からなる動体の状態変化を通知する。人・動物・ものなど動体の動きを検出するセンサ(加速度、角速度、地磁気、圧力など)又は、環境を測定するセンサ(温度、湿度、電界、音など)を1個あるいは複数使用することにより、装着したものの状態や状況をセンサ部で検知し、判定部によりあるべき状態ではない(異常)と判定された場合は、その判定結果を音声合成出力部で判定メッセージとし、送信装置制御部により無線装置を送信状態にして送話する。人の場合、当事者が手動で緊急通報ボタンを操作した場合も、緊急ボタンが押されましたという判定メッセージを送信する。判定部によりあるべき状態ではない(異常)と判定、あるいは緊急通報操作がなされた場合、無線装置制御部はマイク回路を起動し、周囲の音を集めたものを、判定メッセージに続き送信する。無線装置制御部は、相手の呼びかけに対し、応答(送信)スイッチを押して応答ができた時点で、自動送信動作を停止するが、気を失ったり犯罪に遭ったりして応答ができない場合は、自動送信動作を繰り返し、判定メッセージとマイクで集音した最新の状況を送信する。動物、ものの場合、無線装置制御部は、その状態に変化が生じたと判定された場合にのみ無線装置を送信状態にする。
【発明の効果】
【0006】
本発明を使用することで、ふらつきから体調不良という本人でさえ気付かなかった症状が分かる事例がある。これは事故予防にとっては重要なことである。事故発生場所の特定について、当事者から応答がない場合であっても、転倒と落下の違いが分かるだけで場所の特定が行いやすくなり、マイクで集音して送信されてくる内容を聞くことで、周囲の機械音等により場所の特定が出来るようになる。そして、救援活動にかかる音が聞こえてくることで、当事者が近くに居ることが分かるようになる。動物・ものの場合、あらかじめ想定した状況に変化があった時だけ送信するため、無線装置の消費電力を最小に押さえることが可能となり、電池容量を低減化し装置全体の小型化が図れることで使用出来る対象が広がる一方、無用の送信を無くすことで電波の有効利用に貢献し、目の前にないものの管理について見落としが無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】装置の構成を示した図である
【図2】判定後の自動送信動作のイメージである
【図3】自動送信動作を停止させる動作のイメージである
【図4】アナログ系無線装置との接続イメージである
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
運用面において、センサの取付位置・取付方向などに制約はなく、使用するシーンに制限はないが、多くの情報を得たい場合は、本発明品をクリップなどで対象とするものに固定することが望ましい。
【実施例】
【0009】
本発明は、無線装置と組合せることが必要であり、以下はアナログ系携帯型無線機を利用した危険を伴う現場でのケースである。その携帯型無線機の通話範囲と同じ範囲で、センサ情報による判定結果の通知、集音による状況把握が可能となる。センサとして、3軸加速度センサを採用し30mmx40mmx8mm程度のケースに収納した本発明品を、無線機本体同様にズボンのベルトにクリップで固定して運用する。この場合、取付方向などの制約はない。当事者が自ら危険を察知してのボタン操作、ふらつきなど通常とは異なる動き、転倒、落下などの動きをセンサ情報から判定し、音声で送信する。続いて送信される集音した内容には、場所あるいは状況の把握に役立つ多くの情報が含まれる。本発明には、予知的要素があるため、場合によっては誤報とされるケースが生じるが、会話ができる無線機を通信手段に使用することで、すぐに実体の確認ができる。
【産業上の利用可能性】
【0010】
デジタル系無線機を組み合わせれば、位置と時刻情報はGPS(全地球測位システム)により取得し、動きの判定結果や状況については、ステータス化してデータとして送信することが出来、また受信側からはデータを受け取ったことを送信側に返信することが出来るため、人の介在が不要となることで、コンピュータ・ネットワーク端末としての利用が可能であり、これはものの動き・稼働を無人で管理するには有効である。
【符号の説明】
【0011】
1a センサ部
1b 判定部
1c 音声合成出力部
1d 無線装置制御部
1e 緊急通報スイッチ部
1f 応答(送信)スイッチ部
1g 集音マイク部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動体の動きを検出するセンサ1個あるいは複数又は、環境を測定するセンサを1個あるいは複数使用するセンサ部と、センサ情報からあるべき状態でない(異常)状態を判定する判定部、判定結果を音声に変換する音声合成出力部、周囲の音を拾い集める集音マイク部、組み合わせる無線機の制御を行う無線装置制御部からなる動体の状態変化を通知する装置。
【請求項2】
センサ情報から判定した結果と、現地で集音された音の送信後、相手からの呼びかけを受信し、そこで応答ができれば通知動作を停止するが、応答することができなければ、最新の集音内容を送話する通知動作を繰り返す無線装置制御部を有する動体の状態変化を通知する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−226514(P2012−226514A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92852(P2011−92852)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(301079475)
【Fターム(参考)】