説明

動作玩具

【課題】ステージの下側の磁石とステージの上に載置された玩具の磁石とが吸引し、ステージの下を移動する磁石の動きに合わせて単にステージの上を移動する状態から、玩具体の動きや玩具体のおかれた環境に変化を与えることができる画期的な動作玩具を提案すること。
【解決手段】内部が透視可能なケース1の内部には垂直に回動軸8を配置し、該回動軸8を外部から回動操作できるように回動軸8の上端を上記ケース1の上方に突出させて摘み4を設け、ケース1の内部には水平方向に回動可能なステージ3を配置し、該ステージ3を上記回動軸8に回動可能に軸支させるとともに、上記ステージ3の上面には底面に磁石25を設けた玩具体2を載置し、ステージ3の裏側には上記回動軸8の回動に連動して上記ステージ3の裏側面に沿って移動する磁石25を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作玩具、詳しくはステージ上に載置した玩具体がステージの裏側を移動する磁石に引かれてステージ上を移動する動作玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ステージ上に載置した玩具体がステージの下を移動する磁石に引かれてステージ上を移動する動作玩具として様々な玩具が提案されているが、磁石の移動軌跡と玩具体の移動軌跡が常に一致し、玩具体の動きに変化がないため、本出願人により玩具体の動きに変化が生じる「磁気利用玩具」が出願されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この、磁気利用玩具は、ステージの下に配置された磁石と玩具体に設けた磁石とが互いに反発する関係に設定されているため、磁石の動きに追随して玩具体が移動するのではなく、磁石体の接近により磁石の反発力で予測できない動きをさせるようにしたものである。
【特許文献1】実開平5−76500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、玩具体の動きに変化を生み出すことはできるが、その玩具のおかれた環境は常に同一であり、やがては飽きてしまう恐れがある点であった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、ステージの下側の磁石とステージの上に載置された玩具の磁石とが吸引し、ステージの下を移動する磁石の動きに合わせて単にステージの上を移動する状態から、玩具体の動きや玩具体のおかれた環境に変化を与えることができる画期的な動作玩具を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明に係る動作玩具は、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)少なくとも前面から内部が透視可能なケースの内部には垂直に回動軸が配置され、該回動軸の上端は上記ケースの上方に突出するとともに、外部から回動操作可能に構成されていること
(ロ)上記ケースの内部には水平方向に回動可能なステージが配置され、該ステージは上記回動軸に回動可能に軸支されていること
(ハ)上記ステージの上面には底面に磁石を設けた玩具体が載置されていること
(ニ)上記ステージの裏側には磁石が配置され、該磁石は上記回動軸の回動に連動して上記ステージの裏側を移動すること
【0007】
なお、前記動作玩具は、以下の要件を備えることが好ましい。
(イ)前記ケースの内周面には前記ステージの回動が周回しないように規制する第1の規制部を設け、前記ステージの周面には上記第1の規制部に係合する2つの係合部を等間隔に設けたこと
(ロ)前記ステージには前記回動軸の回動が周回しないように規制する第2の規制部を上記係合部の中間に設けたこと
(ハ)前記ステージの上面には前記玩具体に関連した2つの環境が形成され、それぞれの環境は上記係合部が第1の規制部に係合したときケースの前面に位置するように形成されていること
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、回動軸を回してステージの下側に配置された磁石を周方向に移動させることにより、磁石に吸引された玩具体が周方向に移動させることができるとともに、玩具体の磁石とステージの裏側の磁石とでステージを挟みつけるので、玩具体の移動とともにステージを回すことができ、単にステージ上をスライド移動する従来の動作玩具では得られない楽しさを得ることができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、ステージ上には玩具体に関連する2つの環境が設定され、その環境は係合部が第1の規制部に係合したとき、ケースの前面に現れるので、ユーザーは玩具体を移動させることにより、環境も変化させることができ、画期的な動作玩具を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
内部が透視可能なケースの内部には垂直に回動軸を配置し、該回動軸を外部から回動操作できるように回動軸の上端を上記ケースの上方に突出させて摘みを設け、ケースの内部には水平方向に回動可能なステージを配置し、該ステージを上記回動軸に回動可能に軸支させるとともに、上記ステージの上面には底面に磁石を設けた玩具体を載置し、ステージの裏側には上記回動軸の回動に連動して上記ステージの裏側面に沿って移動する磁石を配置した。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明に係る動作玩具を示し、この動作玩具は少なくとも前面から内部が透視できる透明なケース1の内部に玩具体2と、この玩具体2を載置するステージ3とが配置され、ケース1の上部に配置された摘み4を回すと、玩具体2が周方向に移動するとともにステージ3が玩具体2と一体になって回動するようになっているものである。
【0012】
図2に示すように、ケース1は前ケース1aと後ケース1bとから構成され、ヒンジ部5で前ケース1aが開閉できるように連結され、全体としてリンゴを模して形成されている。なお、本実施例では前ケース1aと後ケース1bとは何れも透明な樹脂で形成したが、後ケース1bは不透明であっても構わない。
【0013】
そして、後ケース1bの内側上下面には後述する回動軸8を軸支する軸受け6a、6bが固定されるとともに、後部内周面の一部には、上記ステージ3の回動量を180度に規制する第1の規制部7である、係合凸部が内方に突出形成されている。
【0014】
上記摘み4はリンゴの葉を模して形成され、ケース1内に垂直に配置された回動軸8の上端に固定され、ケース1の外側から回動軸8を回動操作できるようになっている。上記回動軸8はケース1内に固定された軸受け6a、6bに回動可能に軸支され、この回動軸8の下部にはレバー9の後端が固定され、このレバー9の先端部には磁極が上下面に現れるように磁石10が取り付けられている。
【0015】
上記レバー9は上記回動軸8を回動させることにより、ステージ3の裏側面に沿って回動するようになっているが、このレバー9は後述する第2の規制部22によって回動が360度で規制され、摘み4を回動操作しても360度以上は回すことができないようになっている。
【0016】
ステージ3は上部材3aと下部材3bとで中空の円盤状に形成され、上部材3aの上面には仕切り壁15と、この仕切り壁15を挟んで2つの部屋が形成されている。この部屋は、寝室と浴室とで構成され、寝室にはベッド16が、浴室には浴槽17がそれぞれ形成されている。
【0017】
このベッド16と浴槽17とには玩具体2が出入りできるように一部が切り欠かれて出入り部16a、17aが形成され、この出入り部16a、17aから内部は上方に傾斜面が形成され、ベッド16と浴槽17の内部は上部材3aの上面よりやや高くなっている。
【0018】
下部材3bは、円板の周縁が上方に膨出して壁部が形成された盆状で、周壁にはケース1の内壁面に形成された第1の規制部7に係合する2つの係合部(第1の係合部20、第2の係合部21)が直径方向に対称に配置され、ステージ3の回動が半周(約180度)で制限されるようになっている。
【0019】
つまり、第1の係合部20が第1の規制部7に係合したときには、浴室が正面に位置し、第2の係合部21が第1の規制部7に係合したときには、寝室が正面に位置するようになっている。
【0020】
そして、上記第1の係合部20、第2の係合部21はスタビライザで構成され、第1の規制部7に係合した時には、ステージ3の回動を停めるだけではなく、ステージ3の停止状態を維持できるようになっている。
【0021】
なお、図1は、第2の係合部21が第1の規制部7に係合し、寝室が正面に位置してベッド16が見える状態を示している。
【0022】
そして、下部材3bには、上記2つの係合部20、21に加え、第2の規制部22が配置されている。この第2の規制部22は、上記回動軸8に軸支されたレバー9の先端に係合し、レバー9が周回しないように回動量を約360度で制限するものである。
【0023】
上記レバー9は、後端が上記回動軸8に固定され、先端には磁石10が埋め込まれているもので、この磁石10は玩具体2に設けた磁石25と吸引しあうように磁極が設定されているものである。
【0024】
玩具体2は、人形を模して形成され、重心が高い位置になるように胴体部に比して頭部が大きく形成されている。この玩具体2の底部には、磁極が上下面に現れるように磁石25が嵌め込まれている。この磁石25の磁極は上記レバー9に取り付けた磁石10とステージ3の上部材3aを挟んで吸引しあうように磁極が設定(例えば、磁石10の上面がN極、磁石25の下面がS極)されている。
【0025】
次に、上記構成の動作玩具の使用態様をステージ上の設定が寝室から浴室に変わる場合について説明する。
【0026】
先ず、前ケース1aを開いて、ステージ3の上に玩具体2を載置する。この時、玩具体2の磁石25がステージ3の上面に接するように立設した状態で載置する。次に、前ケース1aを閉じて摘み4を回し、レバー9の先端に設けた磁石10が玩具体2の磁石25と吸引しあう位置まで回動する。
【0027】
摘み4を回してレバー9の磁石10と玩具体2の磁石25とが吸引し合う状態になると、ステージ3の上部材3aが玩具体2の磁石25とレバー9の磁石10とで挟持された状態になり(図3(a)参照)、レバー9が回動して磁石10が周方向に移動すると、玩具体2の周方向の移動とともにステージ3が回動を始める。
【0028】
ステージ3が回動を始めると、ケース1の前面からは部屋の様子が寝室(ベッド16)から浴室(浴槽17)へと変化していく(図4(a)参照)。図3(b)に示すように、下部材3bの第1の係合部20が第一の規制部7に係合すると、ステージ3の回動は停止させられ、玩具体2のみがレバー9の回動に連係してステージ3の上面を寝室から浴室へとスライド移動して行く(図4(b)参照)。
【0029】
浴室に移動して行った玩具体2は、やがて浴槽17の出入り部17aから浴槽17内に進入し、スロープを上昇して浴槽17の上面に移動する(図3(c)参照)。
【0030】
玩具体2は浴槽17の側壁に当接し、進行を妨げられるが、摘み4を回し続けるとレバー9はさらに回動を続け、レバー9の先端が第2の規制部22に当接するまで回動する(図4(c)参照)。
【0031】
玩具体2は浴槽17の側壁に当接して移動は停止するが、玩具体2の磁石25はレバー9の磁石10に吸引され、さらに移動しようとするため、玩具体2はやや傾いた状態になる。レバー9がさらに回動し、レバー9の磁石10と玩具体2の磁石25との吸着状態が外れると、重心が高い位置にある玩具体2は浴槽17内で横倒しになり、あたかも湯船に浸かっているような状態にすることができる(図3(d)参照)。
【0032】
レバー9は第2の規制部22に当接して回動が阻止されているが、摘み4を逆方向に回動させると、図5(a)に示すように、レバー9は反対方向に回動を始め、レバー9の磁石10に玩具体2の磁石25が吸引されて玩具体2は再び起立し、玩具体2の磁石25とレバー9の磁石10とでステージ3が再び挟持される(図5(b)参照)。
【0033】
引き続き摘み4を回すと、図5(c)に示すように、玩具体2の移動とともにステージ3が逆方向に回動し(図6(a)参照)、図5(d)に示すように、ステージ3の第2の係合部21が第1の規制部7に係合するまで回動する(図6(b)参照)。ステージ3の第2の係合部21が第1の規制部7に係合するとステージ3の回動が停止し、寝室(ベッド16)が正面に位置するようになる。摘み4を引き続き回すと、レバー9の回動によって玩具体2がステージ3の上面をスライド移動し、浴室から寝室に移動する。
【0034】
やがて、ベッド16の出入り部16aからベッド16内に進入し、スロープを上昇して玩具体2はベッド16の枠に当接して進行を妨げられるが、摘み4を回し続けるとレバー9はさらに回動を続けレバー9の先端が第2の規制部22に当接するまで回動する(図6(c)参照)。
【0035】
玩具体2はベッド16の枠に当接して移動は停止するが、玩具体2の磁石25はレバー9の磁石10に吸引され、さらに移動しようとするため、玩具体2は浴槽の場合と同様にやや傾いた状態になる。レバー9がさらに回動し、レバー9の磁石10と玩具体2の磁石25との吸引状態が外れると、重心が高い位置にある玩具体2はベッド16内で横倒しとなり、図7に示すように、あたかも玩具体2である人形がベッド16に横になって就寝するような状態にすることができる。
【0036】
上述したように、摘み4を回して玩具体2を周方向に移動させると、ステージ3も玩具体2とともに回り、異なった環境(部屋)を現すことができる。その環境が変わった状態が維持された状態で、玩具体2はさらに移動して起立状態から横倒し状態になり、ベッドで就寝した状態や、湯船に浸かった状態にすることができ、従来の動作玩具のようにステージ3は固定された状態で、玩具体2のみが移動する動作玩具では味わうことのできない、変化に富んだ動作玩具を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る動作玩具の一例を説明する斜視図
【図2】上記動作玩具の構成を説明する分解斜視図
【図3】(a)〜(d)はステージと玩具体の関係を説明する展開側面図
【図4】(a)〜(c)はステージとレバーの回動状態を説明する底面図
【図5】(a)〜(d)はステージと玩具体の関係を説明する展開側面図
【図6】(a)〜(c)はステージとレバーの回動状態を説明する底面図
【図7】上記動作玩具の玩具体の動作を説明する斜視図
【符号の説明】
【0038】
1 ケース
2 玩具体
3 ステージ
4 摘み
7 第1の規制部
8 回動軸
9 レバー
10 磁石
20 係合部
21 係合部
22 第2の規制部
25 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とする動作玩具。
(イ)少なくとも前面から内部が透視可能なケースの内部には垂直に回動軸が配置され、該回動軸の上端は上記ケースの上方に突出するとともに、外部から回動操作可能に構成されていること
(ロ)上記ケースの内部には水平方向に回動可能なステージが配置され、該ステージは上記回動軸に回動可能に軸支されていること
(ハ)上記ステージの上面には底面に磁石を設けた玩具体が載置されていること
(ニ)上記ステージの裏側には、上記回動軸の回動に連動して上記ステージの裏側を移動する磁石が配置されていること
【請求項2】
以下の要件を備えることを特徴とする、請求項1記載の動作玩具。
(イ)前記ケースの内周面には前記ステージの回動が周回しないように規制する第1の規制部を設け、前記ステージの周面には上記第1の規制部に係合する2つの係合部を等間隔に設けたこと
(ロ)前記ステージには前記回動軸の回動が周回しないように規制する第2の規制部を上記係合部の中間に設けたこと
(ハ)前記ステージの上面には前記玩具体に関連した2つの環境が形成され、それぞれの環境は上記係合部が第1の規制部に係合したときケースの前面に位置するように形成されていること

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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