説明

動作間接伝達装置及び方法

【課題】 人と人とが自然な対話を行う時などに発生する頭部の動作など、物体の動作を、その生映像ではなく間接的な手段で伝達する装置及び方法を提供すること。
【解決手段】 動作を行う物体を対象として、その物体の動作を、エージェントの動作として再現することで間接的に伝達する装置であって、対象物体の動作に関して、独立した3方位への各変動量を示す情報を含んだ動作情報を受信する動作情報受信手段と、受信した動作情報を、各方位に成分分割して、方位毎の各変動量情報を求める動作情報成分分割手段と、各方位において、変動量情報に応じた量だけ、エージェントの載せられる載置部を駆動して変動させる動作再現手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部等の動作を、生映像ではなく間接的な手段で伝達する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット回線等を使いIP電話などで、電話料金を気にすることなく長時間通話することが容易となった現在、以前よりも電話の時間利用が増えてきた。このような電話を利用している人の視野には、電話機やその周辺が映っていることが多いが、電話機はいくら眺めても電話機のままである。長時間電話をしていると、電話機を相手話者のように観て、それに対して話し掛けている気分になる傾向がある。
【0003】
この現象は、我々人間が普段よく見ている物体で、顔になりそうな部分を擬人化してしまう性向があることに起因していると思われる。特に視線位置での存在や、目になりそうな円形の存在、または左右が対称に近い形だとその性向は強い。例えばPCを擬人化したとき、よく見かけるのはPCのモニタに目鼻口を描いた例である。実際にはPC本体に演算装置なり記憶装置が搭載されているのだが、PC本体に目鼻口を描く例は少ない。同様に、電話機に目鼻口を描くとしたら、受話器ではなく、ダイアルやボタンのついた電話機本体といえる。
【0004】
近年、既に親しい人とはライブカメラを使ったTV電話形式で対話をすることが進んでいる。しかし、長時間にわたって対面していると、音声のみの対話に比べて観られているという精神的疲労が生じ得る。また、化粧を落とした後の対面対話や衣服の点で問題があることもある。そのため、顔や身体そのものを直接見せずに、頭部動作だけを伝達する方が望ましい場合が少なくない。
【0005】
人と人とが自然な対話を行う時には、頷きや傾げなどの頭部動作が自然と発生する。この頭部動作を、既設の電話機材を取り替えることなく、僅かの増設で相手側にリアルタイムに伝達できれば、対話の臨場感を手軽に増すことが可能である。
【0006】
他方、通信を中継している機器が流している情報を、悪意ある誰かが覗き見している可能性も否めない。また室内にTVカメラを置くことに対し、多くの人には抵抗がある。電源を切っている時でも、もしかしたら電源が入っていてこちらの映像が筒抜けなのではないかという危惧もある。
【0007】
しかしながら、従来には、人と人とが自然な対話を行う時に発生する頭部等の動作を、身体の生映像ではなく間接的な手段で伝達する技術はなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、人と人とが自然な対話を行う時などに発生する頭部の動作など、物体の動作を、その生映像ではなく間接的な手段で伝達する装置及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の動作間接伝達装置は次の構成を備える。
すなわち、動作を行う物体を対象として、その物体の動作を、エージェントの動作として再現することで間接的に伝達する装置であって、対象物体の動作に関して、独立した3方位への各変動量を示す情報を含んだ動作情報を受信する動作情報受信手段と、受信した動作情報を、各方位に成分分割して、方位毎の各変動量情報を求める動作情報成分分割手段と、各方位において、変動量情報に応じた量だけ、エージェントの載せられる載置部を駆動して変動させる動作再現手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
ここで、独立した3方位を、略水平方向に回転する方位と、その略水平回転方位に対して垂直に回転する前後回転方位と、それら略水平回転方位とも前後回転方位とも垂直に回転する左右回転方位として、関節による動作に寄与させてもよい。
【0011】
動作再現手段を、載置部を支持すると共にその支持角度を調節する角度調節部を備えるものとして、簡素な構成に寄与させてもよい。
【0012】
その角度調節部としては、略水平回転方位に回転する水平回転軸と、その回転角(ヨー角)を調節する駆動部材とを有するヨー調節部と、前後回転方位に回転する前後回転軸と、その回転角(ピッチ角)を調節する駆動部材とを有するピッチ調節部と、左右回転方位に回転する左右回転軸と、その回転角(ロール角)を調節する駆動部材とを有するロール調節部とを備えるものが好適である。
【0013】
対象物体を、電話で対話を行っている人物とし、物体の動作を、人と人とが自然な対話を行う時に発生する頭部の動きとして、電話の臨場感向上に寄与させてもよい。
【0014】
受話器をカプラに載置し、受話器のスピーカをカプラのマイクに対面させると共に、受話器のマイクをカプラのスピーカに対面して配置し、カプラのマイクを、載置部に設けられたスピーカに接続すると共に、カプラのスピーカが、載置部に設けられたマイクに接続して、音声面での臨場感向上に寄与させてもよい。
【0015】
エージェントとしては、人の頭部形状を模した模造物とし、その頭部模造物には、載置部のスピーカに対面する底部から、気道相当部分に沿って口まで、中空の管路を設けたものが好適である。
【0016】
エージェントを、動的に表示内容を変化させることが可能な表示装置で構成してもよい。
【0017】
すると、対象物体に関する情報を検出する相手情報検出手段から出力された相手エージェント固有の情報と、相手情報検出手段から出力された相手地域の情報を基にして地域状況検索手段から出力された相手地域の状況情報とを、エージェント合成手段によって合成して形成されたエージェント画像を、表示装置に表示させることで、密な情報交換が可能になる。
【0018】
独立した3方位への各変動量を示す情報を含んだ動作情報のうち、少なくとも1方位への変動量を、表示装置で表示される表示内容として表現して、構成の簡素化に寄与させてもよい。
【0019】
多数の動作間接伝達装置の間に、同時に相互通信可能とする通信手段を設け、多数人による会議システムの利便に供してもよい。
【0020】
本発明の動作間接伝達方法は、動作を行う物体を対象として、その物体の動作を、エージェントの動作として再現することで間接的に伝達する方法であって、動作情報受信手段によって、対象物体の動作に関して、独立した3方位への各変動量を示す情報を含んだ動作情報を受信し、動作情報成分分割手段によって、受信した動作情報を各方位に成分分割して、方位毎の各変動量情報を求め、動作再現手段によって、各方位において、変動量情報に応じた量だけ、エージェントの載せられる載置部を駆動して変動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、電話機本体や人の頭部を模したものなどのエージェントが、人と人とが自然な対話を行う時などに発生する対話相手の頭部等の動作に呼応して稼動するので、対話の臨場感が向上する。
このとき、相手の動作を、生映像ではなく間接的な手段による動作情報として伝達するので、プライバシーの保護にもつながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、図面を基に本発明の実施形態を説明する。
電話によって対話をしている一方の話者の動作情報を、相手の話者に伝達する場合、動作を再生する多様な手段が考えられるが、電話機等の通信装置そのものを相手の顔や存在に見立てて動作再生するということも可能である。ましてや、その電話機本体が、相手の頭部等の身体動作に呼応して動けば、対話の臨場感も増す利点がある。
従来の電話機には、動く部分が無かった。そもそも電話は音声情報を相互に交換するための通信装置であり、また頭部等の動作情報を相互に交換することは、専用の装置を使わない限り無理であった。
【0023】
本発明は、この一方の話者における頭部の動作に関するヨー・ピッチ・ロール情報を、相手話者伝達して略リアルタイムに再生することを基本とする。その再生装置を、本実施例ではエージェント台と呼ぶ。
相手話者は、このエージェント台の上に載っている物体を、話者のエージェントとみなす。
対話を行う双方が、この装置を用いることが望まれ、片方の話者が一方的に聞手の立場の時であっても、その頷き等を目視でき、話の理解状況を容易に知ることができる。
【0024】
なお、本発明は、エージェント台に関するものであり、その台に何を載せるかはユーザーが任意に変更できる。電話等の通信機を載せること以外に、話し相手の顔を模した頭部模型、顔写真、全く顔と関係のないオブジェを置くことももちろん可能である。
【0025】
図1は、エージェントとして電話機本体を載せたエージェント台の概要を示す説明図である。
エージェント台には、エージェント(10)を載置するための略皿状の載置部(21)と、その載置部(21)を支持すると共に支持角度を調節する角度調節部(22)と、その角度調節部(22)を支持して固定する台座部(23)とが少なくとも備わる。
【0026】
角度調節部(22)は、台座部(23)に立設されて略水平方向に回転する水平回転軸と、その回転角(ヨー角)を調節する駆動部材とを有するヨー調節部(31)、並びに、そのヨー調節部(31)に連設され水平回転軸と垂直に回転する前後回転軸と、その回転角(ピッチ角)を調節する駆動部材とを有するピッチ調節部(32)、並びに、そのピッチ調節部(32)に連設され前後回転軸と垂直に回転する左右回転軸と、その回転角(ロール角)を調節する駆動部材とを有するロール調節部(33)を備える。
【0027】
図2は、動作情報の流れを示す説明図である。
話者の頭部の動きに関する動作情報には、その動く方向や移動量、動作速度、加速度等が含まれる。特に、動く方向に関しては、ヨー・ピッチ・ロールの3成分が混成された情報であり、それは、電気、磁気、または力学的手段による情報から成る。
このヨー・ピッチ・ロールの混成された情報(図1の実線矢印)は、動作情報スプリッタ(40)によって、ヨー・ピッチ・ロール毎に分割される(図1の波線)。すなわち、本実施例では、3情報が混成された1入力を、ヨー、ピッチ、ロールのそれぞれのねじれ角情報として3出力に分割する。
【0028】
ヨー・ピッチ・ロールの三つのねじれ角情報は、それぞれ、例えば電圧等のアナログ信号(高電圧:ねじれ角大、低電圧:ねじれ角小、など)、もしくはパルス等のデジタル信号として出力される。そして、その信号はそれぞれ、ヨー調節部(31)、ピッチ調節部(32)、ロール調節部(33)に備わる各トーションデコーダに入力される。
【0029】
図3は、ヨー調節部(31)、ピッチ調節部(32)、ロール調節部(33)それぞれにおける調節手段を示す説明図である。
分割され出力された各ヨー・ピッチ・ロールねじれ角情報は、各トーションデコーダにおいて、まずコントローラに入る。コントローラは、このねじれ角情報と、現在エージェント台の載置部(21)が示している角度情報をポテンシオメータ等のセンサ経由で入手し、これら2つの情報の差分から、今現在望ましい体勢へエージェント台を移動させるために、モータ等を稼動させるための電圧やパルス等の信号を発生させる。
【0030】
コントローラで発せられた信号は、回転角制御可能なモータ等の駆動手段に伝達され、駆動手段は、その信号に従って稼動する。
モータ等の駆動手段が生成した動力は、直接、またはギアボックス、油圧、空気圧、水圧、ワイヤ、スプロケットとチェーン等の動力伝達手段を介して、関節に相当する各調節部(31)(32)(33)に伝達され、ヨー・ピッチ・ロールねじれ角を調節して、エージェント台を所望の位置状態に移動させる。
【0031】
エージェント台は、この動力によって移動するが、その時点における現在位置は、ロータリーエンコーダをはじめとする各種センサによって認識され、その情報はコントローラにフィードバックされる。
コントローラが出力した結果、何らかの原因により少なすぎまたは多すぎた移動は、このセンサからの情報でコントローラ認識され、より正しい位置となるよう、各トーションデコーダ内部で処理を完結させるために、駆動手段を稼動させるための信号を再び発生させる。
なお、コントローラは、動作情報スプリッタ(40)と、ポテンシオメータ等のセンサとの両入力を考慮して、動作情報スプリッタ(40)から与えられた位置に、リアルタイムに従うように常時調整を行う。
【0032】
駆動手段としては、回転する角度をパルスによって調整するステッピングモータ等が利用できる。
【0033】
回転角の変移を監視するセンサとしては、角変位測定用のロータリーエンコーダや、二相交流モータの構造を利用して回転角変位を電気量に変換するリゾルバ等が利用できる。これらは、各調節部(31)(32)(33)の回転を直接測れる位置に配設することが好ましい。
また、ジャイロの原理を利用して回転角変位を調べるジャイロセンサ等も利用できる。
【0034】
エージェント(10)としては、図示のような通常使用している電話機本体(11)などの通信装置が挙げられ、相手話者との通話は、受話器やインカムが利用できる。
相手話者との自然な対話のためには、オープン式のマイク及びスピーカが有用である。
図4は、オープン式のエージェント台装置の概要を示す説明図である。
受話器(12)はカプラ(50)に載置される際、そのスピーカ(13)がカプラ(50)に設けられたマイク(51)に対面すると共に、マイク(14)がカプラ(50)に設けられたスピーカ(61)に対面して配置される。
【0035】
カプラ(50)のマイク(51)は、可変器付き増幅装置(52)を介して、エージェント台の載置部(21)に設けられたスピーカ端子(53)に連結され、そのスピーカ端子(53)には、端子付きスピーカ(54)が接続される。
カプラ(50)のスピーカ(61)は、可変器付き増幅装置(62)を介して、エージェント台の載置部(21)に設けられたマイク端子(63)に連結され、そのマイク端子(63)には、端子付きマイク(64)が接続される。
これによって、受話器を把持することなく、エージェント(10)に向かって、より自然な対話を行える。
【0036】
エージェント(10)は、このような通信機器ではなく、人間の頭部など模した物品としてもよい。
図5は、頭部を模したエージェント台装置の概要を示す説明図である。
エージェント(10)として、人の頭部模造物(15)が、載置部(21)に載せられる。
頭部模造物(15)には、その気道相当部分に沿って口まで、管路(16)が設けられている。管路(16)は、中空の頭部模造物(15)にホース類を通して構成してもよいし、中実の頭部模造物(15)に穴をあけて構成してもよい。
また口相当の部分には、穴をあけるか、もしくは音を通しやすい素材を用いる。
【0037】
この頭部模造物(15)を前記実施例のオープン式エージェント台装置に適用すると、例えば、顔のヨー変化に対し、音が右から左から聞こえるようになり、エージェント(10)の動作に応じて音声が同調して変容するので、一層対話の臨場感が増す。
この構成を使わずに、ヨー変化に対して音発生個所の自然な左右への振りを再現するには、一般的に2つ以上のスピーカが必要である。それに対して、本発明によると、1つのスピーカによって容易に再現される。
【0038】
図6は、頭部を模したエージェント台装置の別実施例を示す説明図である。
前記実施例とは、スピーカ(55)及びマイク(65)がエージェント(10)の内部に設けられている点が異なる。
すなわち、口相当部分に設置されたスピーカ(55)は、ケーブル(17)を介してエージェント台の載置部(21)に設けられたスピーカ端子(53)に接続され、額または耳に相当する部分に設置されたマイク(65)は、ケーブル(18)を介してエージェント台の載置部(21)に設けられたマイク端子(63)に接続される。
なお、この方式によると、エージェント(10)の形状等に柔軟性が出るので、エージェント(10)の形にこだわることはなく、例えば、猫など動物のヌイグルミのようであったり、花瓶などの非生物であってもよい。
【0039】
図7は、モニタを用いたエージェント台装置の別実施例を示す説明図であり、図8は、その装置での処理の流れを例示する説明図である。
具体的な形状を備えたエージェント(10)や相手の顔写真などを利用者が自分で置いたりするのではなく、モニタのような動的に表示内容を変化させることが可能な表示装置(19)を置くことも可能である。
その表示装置(19)は、エージェント台の載置部(21)の上に置いただけであるので、エージェント台の動作に従ってヨー・ピッチ・ロール動作する。
【0040】
相手情報検出手段によって、通信の送受信時に、相手に関する情報を入手する。例えば相手からの通信を受信するときに電話番号を表示するサービスや、IP電話の場合は相手のIPアドレスや、その他固有の情報から、ある程度相手話者を特定することができる。また、相手の声や動作の特徴から相手が誰かを特定することも可能である。
この相手情報検出手段には、待ち受け時(非通信時)に利用者が相手の各種情報をデータベースとして入力しておくこともできる。例えば、名前、電話番号、IPアドレス、地域情報、相手のエージェト画像のタイプなどが挙げられる。
【0041】
この相手情報検出手段は、それらの入力から、ふさわしいエージェント画像、相手地域のシンボルなど、相手エージェントに固有の情報を選び、それをエージェント合成手段に送る。
通信している話者によって、例えば対話相手が友人なら友人用にあらかじめ割り当てられた画像に、見知らない人ならそれなりに「相手の情報からふさわしい」適当な画像にする。ここで「相手の情報からふさわしい」とは、例えばIPアドレス、または固定電話の番号情報を利用するならば、相手の住んでいる地域情報を反映させたような相手画像(日本なら典型的な日本人、米国なら典型的な米国人のエージェントとする、など)や、声質そのものから男女や年齢を推測し、あらかじめ用意された多くのエージェント画像の中から、その性別や年齢にふさわしい典型的な相手画像を選択する。もちろん、必ずしも人型である必要はない。
【0042】
ここで、エージェント画像のパターンは、たとえ利用者が定義したものであっても、例えば利用者で登録された声のパターンに比べて風邪ひき化、寝起化などの特徴の変化を読み取って、それを顔の表情としてエージェント画像に反映させることもできる。
【0043】
また同時に、相手情報検出手段は、相手の地域情報を地域状況検索手段へと出力する。
地域情報検索手段は、相手の地域情報から、現在の通信相手を取り巻く環境などの状況を知るために、例えばインターネット回線などを経由し、相手の居場所に応じた現在の天候や時間をリアルタイムで調べ、その天候や時間の情報をエージェント合成手段に送る。
【0044】
エージェント合成手段は、相手情報検出手段から送られてきた「エージェント画像、地域のシンボル」などの相手エージェント固有の情報と、地域状況検索手段から送られてきた「天候・時間」などの相手地域の状況情報とを合成し、最終的なエージェント画像としてエージェント表示手段へと出力する。
【0045】
図9は、相手エージェント固有の情報と相手地域の状況情報を例示する説明図である。
図9(イ)は、エージェント画像のパターンとして、寝起化を示し、図9(ロ)は、相手地域のシンボルとして、神社を示し、図9(ハ)は、相手地域の状況として、雨天を示している。
【0046】
図10は、モニタをエージェントとして有する装置の別実施例を示す説明図である。
前記実施例とは、表示装置(19)が必ずしも動作しない点が異なる。
前記実施例と同様に、表示装置(19)をエージェント台の載置部(21)の上に置いて、ヨー・ピッチ・ロール動作させてもよいし、特定の方位には動作しないように半固定することによって、ヨー・ピッチ・ロールのうち少なくとも1または2方位を固定させてもよく、更には全方位を固定してもよい。
図10は、全くヨー・ピッチ・ロールさせないで、表示装置(19)を固定した例である。この場合は、ヨー・ピッチ・ロール動作に関する情報は、表示装置(19)の表示内容のヨー・ピッチ・ロール動作として表現される。なお、表示装置(19)が完全に固定されても、その表示内容には、エージェント固有の情報や相手地域の状況情報が含まれる。
【0047】
以上のような通信においては、1対1の対話に限らず、本発明による装置を複数台用意して相互に通信可能にすれば、多人数による会議システムにも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の動作間接伝達装置及び方法によると、人と人とが自然な対話を行う時などに発生する頭部の動作など、物体の動作を、その生映像ではなく間接的な手段で伝達できるので、秘匿性を保ちつつ、電話による対話など通信の臨場感を向上させられるので、用途が広く産業上非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】エージェントとして電話機本体を載せたエージェント台の概要を示す説明図
【図2】動作情報の流れを示す説明図
【図3】ヨー調節部、ピッチ調節部、ロール調節部それぞれにおける調節手段を示す説明図
【図4】オープン式のエージェント台装置の概要を示す説明図
【図5】頭部を模したエージェント台装置の概要を示す説明図
【図6】頭部を模したエージェント台装置の別実施例を示す説明図
【図7】モニタを用いたエージェント台装置の別実施例を示す説明図
【図8】同実施例の装置での処理の流れを例示する説明図
【図9】相手エージェント固有の情報と相手地域の状況情報を例示する説明図
【図10】モニタをエージェントとして有する装置の別実施例を示す説明図
【符号の説明】
【0050】
10 エージェント
11 電話機本体
12 受話器
13 スピーカ
14 マイク
15 頭部模倣物
16 管路
17、18 ケーブル
19 表示装置
21 載置部
22 角度調節部
23 台座部
31 ヨー調節部
32 ピッチ調節部
33 ロール調節部
40 動作情報スプリッタ
50 カプラ
51 マイク
52 可変器付き増幅装置
53 スピーカ端子
54 端子付きスピーカ
55 スピーカ
61 スピーカ
62 可変器付き増幅装置
63 マイク端子
64 端子付きマイク
65 マイク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作を行う物体を対象として、その物体の動作を、エージェントの動作として再現することで間接的に伝達する装置であって、
対象物体の動作に関して、独立した3方位への各変動量を示す情報を含んだ動作情報を受信する動作情報受信手段と、
受信した動作情報を、各方位に成分分割して、方位毎の各変動量情報を求める動作情報成分分割手段と、
各方位において、変動量情報に応じた量だけ、エージェントの載せられる載置部を駆動して変動させる動作再現手段とを備える
ことを特徴とする動作間接伝達装置。
【請求項2】
独立した3方位が、
略水平方向に回転する方位と、その略水平回転方位に対して垂直に回転する前後回転方位と、それら略水平回転方位とも前後回転方位とも垂直に回転する左右回転方位である
請求項1に記載の動作間接伝達装置。
【請求項3】
動作再現手段が、
載置部を支持すると共にその支持角度を調節する角度調節部を備える
請求項1または2に記載の動作間接伝達装置。
【請求項4】
その角度調節部が、
略水平回転方位に回転する水平回転軸と、その回転角(ヨー角)を調節する駆動部材とを有するヨー調節部と、
前後回転方位に回転する前後回転軸と、その回転角(ピッチ角)を調節する駆動部材とを有するピッチ調節部と、
左右回転方位に回転する左右回転軸と、その回転角(ロール角)を調節する駆動部材とを有するロール調節部とを備える
請求項3に記載の動作間接伝達装置。
【請求項5】
対象物体が、電話で対話を行っている人物であり、
物体の動作が、人と人とが自然な対話を行う時に発生する頭部の動きである
請求項1ないし4に記載の動作間接伝達装置。
【請求項6】
受話器がカプラに載置され、受話器のスピーカがカプラのマイクに対面すると共に、受話器のマイクがカプラのスピーカに対面して配置され、
カプラのマイクが、載置部に設けられたスピーカに接続されると共に、カプラのスピーカが、載置部に設けられたマイクに接続される
請求項1ないし5に記載の動作間接伝達装置。
【請求項7】
エージェントが、人の頭部形状を模した模造物であり、
その頭部模造物には、載置部のスピーカに対面する底部から、気道相当部分に沿って口まで、中空の管路が設けられる
請求項6に記載の動作間接伝達装置。
【請求項8】
エージェントが、動的に表示内容を変化させることが可能な表示装置である
請求項1ないし6に記載の動作間接伝達装置。
【請求項9】
対象物体に関する情報を検出する相手情報検出手段から出力された相手エージェント固有の情報と、相手情報検出手段から出力された相手地域の情報を基にして地域状況検索手段から出力された相手地域の状況情報とを、エージェント合成手段によって合成して形成されたエージェント画像を、表示装置が表示する
請求項8に記載の動作間接伝達装置。
【請求項10】
独立した3方位への各変動量を示す情報を含んだ動作情報のうち、少なくとも1方位への変動量を、表示装置で表示される表示内容として表現する
請求項8または9に記載の動作間接伝達装置。
【請求項11】
多数の動作間接伝達装置の間に、同時に相互通信可能とする通信手段を設け、多数人による会議システムに用いる
請求項1ないし10に記載の動作間接伝達装置。
【請求項12】
動作を行う物体を対象として、その物体の動作を、エージェントの動作として再現することで間接的に伝達する方法であって、
動作情報受信手段によって、対象物体の動作に関して、独立した3方位への各変動量を示す情報を含んだ動作情報を受信し、
動作情報成分分割手段によって、受信した動作情報を各方位に成分分割して、方位毎の各変動量情報を求め、
動作再現手段によって、各方位において、変動量情報に応じた量だけ、エージェントの載せられる載置部を駆動して変動させる
ことを特徴とする動作間接伝達方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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