説明

動力伝動用ベルトの角度検査方法

【課題】目視判断すること無しに、人による測定差を小さくすることによって、精度の高いベルト角度の測定方法を提供する。
【解決手段】側面が所定の角度を有する動力伝動用ベルトで該側面の角度を検査する方法であって、所定の角度より1度大きいV形ノギス11と、1度小さいV形ノギス12を用い、ベルトの上幅を測定し、それぞれのV形ノギスで測定した上幅から該角度を算出することで、側面の角度を検査する動力伝動用ベルトの角度検査方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝動用ベルトの角度検査方法に係り、ベルト角度を正確に検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Vベルト1の角度は、図5及び図6のように、1度単位のVバーニアゲージ21をベルトに当て検査している。ベルト下部に隙間ができる場合はベルト角度が大きい、ベルト上部に隙間ができる場合は角度が小さいと判定している。
又、図9のように抜き取り検査で、投影機でベルト断面を投影し、角度測定をしている。さらに、図11のようにプロトラクターを使用して角度測定をしている場合もあった。
【0003】
しかし、従来のVバーニアゲージ21では1度単位でしか測定できず、±1度を測定する精度がない。ベルト側面は心線が飛び出ており、さらに図7及び図8のように帆布が変形しているものもあり、ゲージに正確に当たらない。人による差も出てしまっていた。
【0004】
投影機での測定も、図10のようにゴム側面が直線でなく、線のとり方によっても変わり、これも人による差が出ていた。
【0005】
プロトラクターも、ベルト側面に凹凸があることから、ベルトを押える力によって変わり、人による差が出ていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、目視判断すること無しに、人による測定差を小さくすることによって精度の高いベルト角度の測定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、側面が所定の角度を有する動力伝動用ベルトで該側面の角度を検査する方法であって、所定の角度より1度大きいV形ノギスと、1度小さいV形ノギスを用い、ベルトの上幅を測定し、それぞれのV形ノギスで測定した上幅から該角度を算出することで、側面の角度を検査する動力伝動用ベルトの角度検査方法にある。
【0008】
請求項2に記載の発明は、側面が所定の角度を有する動力伝動用ベルトで該側面の角度を検査する方法であって、所定の角度より1度大きいV形ノギスと、1度小さいV形ノギスを用い、1度大きいV形ノギスにてベルトの仮想上幅W1を測定し、1度小さいV形ノギスにて上幅W2を測定し、W1及びW2の値を用いて該角度を算出することで、側面の角度を検査する動力伝動用ベルトの角度検査方法にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、側面が所定の角度を有する動力伝動用ベルトで該側面の角度を検査する方法であって、所定の角度より1度大きいV形ノギスと、1度小さいV形ノギスを用い、ベルトの上幅を測定し、それぞれのV形ノギスで測定した上幅から該角度を算出することで、側面の角度を検査する動力伝動用ベルトの角度検査方法にあることから、目視ではなく、機械的にベルト角度を測定することによって、精度の高いベルト角度の測定方法とできる効果がある。
【0010】
請求項2に記載の発明によると、側面が所定の角度を有する動力伝動用ベルトで該側面の角度を検査する方法であって、所定の角度より1度大きいV形ノギスと、1度小さいV形ノギスを用い、1度大きいV形ノギスにてベルトの仮想上幅W1を測定し、1度小さいV形ノギスにて上幅W2を測定し、W1及びW2の値を用いて該角度を算出することで、側面の角度を検査する動力伝動用ベルトの角度検査方法であることから、機械的にベルト角度を測定することによって、精度の高いベルト角度の測定方法とできる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の測定方法は、主にカットエッジタイプのVベルト1に使用される。図1に示されるVベルト1は心線3を埋設した接着ゴム層5と圧縮ゴム層7とから構成され、更に上記接着ゴム層5及び圧縮ゴム層7の各表面層にゴム付帆布9を積層している。そして、ベルトはベルト角度θを有している。
【0012】
本発明のベルト角度測定方法では図2に示したV形ノギス11を用いる。そして、図3のように、V形ノギス11のV形状部13の角度が1度動力伝動ベルトの側面の所定の角度より大きいものを使用し、該ベルトをV形状部13で挟んだときに、ベルトの底部15がV形ノギス11の測定部17に当たり、仮想上幅W1が測定される。このときのベルトの底幅は、底幅=W1−2×(製品厚み)×tan(θ+1)/2として計算される。
【0013】
次に、図4のように、V形ノギスのV形状部13の角度が1度動力伝動ベルトの側面の所定の角度より小さいV形ノギス12を使用し、該ベルト1をV形状部13で挟んだときに、ベルトの上部がV形ノギス12に当たり、ベルトの上幅W2を測定できる。そして、W1,W2及び先程求めたベルトの底幅からベルト角度θは、次式で求められる。
tanθ/2={(W2−底幅)/2}/製品厚み
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の対象となるVベルトの概略断面図である。
【図2】V形ノギスを示した図である。
【図3】本発明の動力伝動用ベルトの角度測定方法を示した図である。
【図4】本発明の動力伝動用ベルトの角度測定方法を示した図である。
【図5】従来の動力伝動用ベルトの角度測定方法であり、Vバーニアゲージを用いたものである。
【図6】従来の動力伝動用ベルトの角度測定方法であり、Vバーニアゲージを用いたものである。
【図7】従来の動力伝動用ベルトの角度測定方法であり、Vバーニアゲージを用いたものであって、帆布が変形したものを測定した図である。
【図8】従来の動力伝動用ベルトの角度測定方法であり、Vバーニアゲージを用いたものであって、帆布が変形したものを測定した図である。
【図9】従来の動力伝動用ベルトの角度測定方法であり、投影機を用いた方法を示した概略図である。
【図10】従来の動力伝動用ベルトの角度測定方法であり、投影機を用いたものであって、ベルトのゴム側面が直線ではないものを測定している図を示す。
【図11】従来の動力伝動用ベルトの角度測定方法であり、プロトラクターを用いたものである。
【符号の説明】
【0015】
1 Vベルト
3 心線
5 接着ゴム層
7 圧縮ゴム層
9 ゴム付帆布
11 V形ノギス
13 V形状部
15 底部
17 ノギスの測定部
θ ベルト角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面が所定の角度を有する動力伝動用ベルトで該側面の角度を検査する方法であって、所定の角度より1度大きいV形ノギスと、1度小さいV形ノギスを用い、ベルトの上幅を測定し、それぞれのV形ノギスで測定した上幅から該角度を算出することで、側面の角度を検査することを特徴とする動力伝動用ベルトの角度検査方法。
【請求項2】
側面が所定の角度を有する動力伝動用ベルトで該側面の角度を検査する方法であって、所定の角度より1度大きいV形ノギスと、1度小さいV形ノギスを用い、1度大きいV形ノギスにてベルトの仮想上幅W1を測定し、1度小さいV形ノギスにて上幅W2を測定し、W1及びW2の値を用いて該角度を算出することで、側面の角度を検査することを特徴とする動力伝動用ベルトの角度検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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