説明

動力伝達チェーンの検査方法および検査装置

【課題】従来測定できていなかったピンの出代を精度良く測定し、これにより、騒音性能や耐久性の安定した品質を保証することを可能とした動力伝達チェーンの検査方法および検査装置を提供する。
【解決手段】検査装置31は、第1プーリ33と第2プーリ34との間にチェーン1を巻き掛けてチェーンを回転させるチェーン駆動装置32と、シーブ面の傾斜角度と同じ傾斜角度θの傾斜面を有しピン端面に接触させられる接触端子36と、接触端子36の位置の変化を検出する変位計38とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動力伝達チェーンの検査方法および検査装置、さらに詳しくは、自動車等の車両の無段変速機(CVT)に好適な動力伝達チェーンの検査方法および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用無段変速機として、図6に示すように、固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)を有しエンジン側に設けられたドライブプーリ(2)と、固定シーブ(3b)および可動シーブ(3a)を有し駆動輪側に設けられたドリブンプーリ(3)と、両者間に架け渡された無端状動力伝達チェーン(1)とからなり、油圧アクチュエータによって可動シーブ(2b)(3a)を固定シーブ(2a)(3b)に対して接近・離隔させることにより、油圧でチェーン(1)をクランプし、このクランプ力によりプーリ(2)(3)とチェーン(1)との間に接触荷重を生じさせ、この接触部の摩擦力によりトルクを伝達するものが知られている。
【0003】
動力伝達チェーンとしては、特許文献1に、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられた第1ピンと一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定された第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているものが提案されている。
【特許文献1】特開2005−233275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の動力伝達チェーンにおいて、騒音性能や耐久性の安定した品質を保証することが課題となっており、そのためには、ピンの出代(幅方向に並ぶリンクの最外のリンクからのピンの突出量)を正確に測定し管理することが望まれる。しかしながら、ピンの出代は、チェーン自体が幅方向にうねりを持っているため、平面上ではそれを正確に測定することができないという問題があった。
【0005】
この発明の目的は、従来測定できていなかったピンの出代を精度良く測定し、これにより、騒音性能や耐久性の安定した品質を保証することを可能とした動力伝達チェーンの検査方法および検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による動力伝達チェーンの検査方法は、複数のリンクと、これらのリンクを連結する複数の第1ピンおよび第2ピンとを備え、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリの相対向する1対の円錐面状シーブ面間に挟持されてピンとプーリとの間で動力が伝達される動力伝達チェーンの検査方法であって、第1プーリと第2プーリとの間にチェーンを巻き掛けて回転させる工程と、シーブ面の傾斜角度に対応する各ピンの端面位置を測定することによりピンの出代が適正であるかどうかを検出する工程とを備えていることを特徴とするものである。
【0007】
この発明による動力伝達チェーンの検査装置は、複数のリンクと、これらのリンクを連結する複数の第1ピンおよび第2ピンとを備え、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリの相対向する1対の円錐面状シーブ面間に挟持されてピンとプーリとの間で動力が伝達される動力伝達チェーンの検査装置であって、第1プーリと第2プーリとの間にチェーンを巻き掛けてチェーンを回転させるチェーン駆動装置と、シーブ面の傾斜角度と同じ傾斜角度の傾斜面を有しピン端面に接触させられる接触端子と、接触端子の位置の変化を検出する変位計とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
計測は、チェーンを極低速で回転させた状態で行われ、チェーン直線領域にあるピン端面のシーブ面に接触する位置のピン軸方向の変位が求められて、これから、ピン端面の出代の変動量が求められる。チェーン駆動装置としては、実際の無段変速機を使用してもよいが、チェーンを極低速で回転させればよいだけなので、実際に使用されるものと同じまたは類似の形状に限定されるものではない。
【0009】
チェーンを1回転させてピン端面位置の変動量を測定することで、ピン端面位置が基準位置よりも大きく軸方向外方にずれている=軸方向一方へのピンの突出量大(出代相互差大)およびピン端面位置が基準位置よりも大きく軸方向内方にずれている=軸方向他方へのピンの突出量大(出代相互差大)のものを検出することができ、出代相互差が許容値を超えているものについて適宜な処理が施される。
【0010】
ピンの出代は、原理的には、ピンの長さ方向の頂点の変動量を求めることでも得ることができ、この場合には、接触端子は、ピン軸方向に直交する垂直面を有しているものとすればよいが、この発明においては、接触端子の形状は、シーブ面の形状に合致するように形成される。これにより、無段変速機で使用されている状態と同じ条件で出代相互差を得ることができる。
【0011】
出代検出は、接触式に限られるものではなく、シーブ面の形状(傾斜角度)に対応するように設置された非接触式センサを用いて検出することもできる。
【0012】
また、ピンには、圧入のための面取りが設けられていることが好ましく、この場合、ピン長さ方向でのピン頂点は、面取り前と面取り後で相違しており、面取り後の頂点には、面取りによる寸法誤差が含まれることになる。上記のように、シーブ面の傾斜角度に対応する各ピンの端面位置を測定することにより、このような面取りの誤差が含まれないものとなり、精度の良い出代を得ることができる。
【0013】
この発明による検査方法および検査装置で得られる動力伝達チェーンは、各プーリのシーブ間距離の変化に伴って巻き掛け径が無段階に変更されて無段階の変速が行われる無段変速機で使用されるのに適している。
【0014】
上記の検査方法および検査装置は、種々の動力伝達チェーンを検査するのに適しているが、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定されているものである動力伝達チェーンを検査するのにより適している。
【0015】
この動力伝達チェーンでは、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリと接触して摩擦力により動力伝達する。いずれか一方のピンがプーリと接触するチェーンにおいては、第1ピンおよび第2ピンのうちのいずれか一方は、このチェーンが無段変速機で使用される際にプーリに接触する方のピン(以下では、「第1ピン」または「ピン」と称す)とされ、他方は、プーリに接触しない方のピン(インターピースまたはストリップと称されており、以下では、「第2ピン」または「インターピース」と称す)とされる。
【0016】
リンクは、例えば、ばね鋼や炭素工具鋼製とされる。リンクの材質は、ばね鋼や炭素工具鋼に限られるものではなく、軸受鋼などの他の鋼でももちろんよい。リンクは、前後挿通部がそれぞれ独立の貫通孔(柱有りリンク)とされていてもよく、前後挿通部が1つの貫通孔(柱無しリンク)とされていてもよい。ピンの材質としては、軸受鋼などの適宜な鋼が使用される。
【0017】
ピンが前後挿通部に固定される場合の前後挿通部へのピンの固定は、例えば、機械的圧入による挿通部内縁とピン外周面との嵌合固定とされるが、これに代えて、焼き嵌めまたは冷やし嵌めによってもよい。1つの挿通部には、第1ピンと第2ピンとがチェーンの長さ方向に対向するように嵌め合わせられ、このうちのいずれか一方がリンクの挿通部の周面に嵌合固定される。嵌合固定は、挿通部の長さ方向に対して直交する部分の縁(上下の縁)で行われるのが好ましい。この嵌合固定の後、上記の予張力付与工程において予張力が付与されることにより、リンクのピン固定部(ピン圧入部)に均等にかつ適正な残留圧縮応力が高精度に付与される。上記の検査は、予張付与装置の一部を使用して予張付与工程に引き続いて行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
この発明の動力伝達チェーンの検査方法および検査装置によると、チェーンを回転させた状態で、シーブ面の傾斜角度に対応する各ピンの端面位置を測定することにより、従来測定できていなかったピンの出代を精度良く測定することができ、これにより、騒音性能や耐久性の安定した品質を保証することことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、上下は、図2の上下をいうものとする。
【0020】
図1は、この発明による動力伝達チェーンの一部を示しており、動力伝達チェーン(1)は、チェーン長さ方向に所定間隔をおいて設けられた前後挿通部(12)(13)を有する複数のリンク(11)と、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数のピン(第1ピン)(14)およびインターピース(第2ピン)(15)とを備えている。インターピース(15)は、ピン(14)よりも短くなされ、両者は、インターピース(15)が前側に、ピン(14)が後側に配置された状態で対向させられている。
【0021】
チェーン(1)は、幅方向同位相の複数のリンクで構成されるリンク列を進行方向(前後方向)に3つ並べて1つのリンクユニットとし、この3列のリンク列からなるリンクユニットを進行方向に複数連結して形成されている。この実施形態では、リンク枚数が9枚のリンク列とリンク枚数が8枚のリンク列2つとが1つのリンクユニットとされている。
【0022】
図2に示すように、リンク(11)の前挿通部(12)は、ピン(14)が移動可能に嵌め合わせられるピン可動部(16)およびインターピース(15)が固定されるインターピース固定部(17)からなり、後挿通部(13)は、ピン(14)が固定されるピン固定部(18)およびインターピース(15)が移動可能に嵌め合わせられるインターピース可動部(19)からなる。
【0023】
各ピン(14)は、インターピース(15)に比べて前後方向の幅が広くなされており、インターピース(15)の上下縁部には、各ピン(14)側にのびる突出縁部(15a)(15b)が設けられている。
【0024】
図2において、符号AおよびBで示す箇所は、チェーン(1)の直線部分においてピン(14)とインターピース(15)とが接触している線(断面では点)であり、AB間の距離がピッチである。
【0025】
チェーン幅方向に並ぶリンク(11)を連結するに際しては、一のリンク(11)の前挿通部(12)と他のリンク(11)の後挿通部(13)とが対応するようにリンク(11)同士が重ねられ、ピン(14)が一のリンク(11)の後挿通部(13)に固定されかつ他のリンク(11)の前挿通部(12)に移動可能に嵌め合わせられ、インターピース(15)が一のリンク(11)の後挿通部(13)に移動可能に嵌め合わせられかつ他のリンク(11)の前挿通部(12)に固定される。そして、このピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動することにより、リンク(11)同士の長さ方向(前後方向)の屈曲が可能とされる。
【0026】
リンク(11)のピン固定部(18)とインターピース可動部(19)との境界部分には、インターピース可動部(19)の上下の凹円弧状案内部(19a)(19b)にそれぞれ連なりピン固定部(18)に固定されているピン(14)を保持する上下の凸円弧状保持部(18a)(18b)が設けられている。同様に、インターピース固定部(17)とピン可動部(16)との境界部分には、ピン可動部(16)の上下の凹円弧状案内部(16a)(16b)にそれぞれ連なりインターピース固定部(17)に固定されているインターピース(15)を保持する上下の凸円弧状保持部(17a)(17b)が設けられている。
【0027】
ピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡は、円のインボリュートとされており、この実施形態では、ピン(14)の転がり接触面(14a)が、断面において半径Rb、中心Mの基礎円を持つインボリュート形状を有し、インターピース(15)の転がり接触面(15c)が平坦面(断面形状が直線)とされている。これにより、各リンク(11)がチェーン(1)の直線部分から曲線部分へまたは曲線部分から直線部分へと移行する際、前挿通部(12)においては、ピン(14)が固定状態のインターピース(15)に対してその転がり接触面(14a)がインターピース(15)の転がり接触面(15c)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながらピン可動部(16)内を移動し、後挿通部(13)においては、インターピース(15)がインターピース可動部(19)内を固定状態のピン(14)に対してその転がり接触面(15c)がピン(14)の転がり接触面(14a)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながら移動する。
【0028】
上記の動力伝達チェーン(1)では、ピンの上下移動の繰り返しにより、多角形振動が生じ、これが騒音の要因となるが、ピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動しかつピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡が円のインボリュートとされていることにより、ピンおよびインターピースの転がり接触面がともに円弧面である場合などと比べて、振動を小さくすることができ、騒音を低減することができる。
【0029】
上記の動力伝達チェーンは、図6に示したCVTで使用されるが、この際、図3に示すように、プーリ軸(2e)を有するプーリ(2)の固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)の各円錐状シーブ面(2c)(2d)にインターピース(15)の端面が接触しない状態で、ピン(14)の端面がプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触し、この接触による摩擦力により動力が伝達される。ピン(14)とインターピース(15)とは、上述のように、各可動部(16)(19)に案内されて転がり接触移動するので、プーリ(2)のシーブ面(2c)(2d)に対してピン(14)はほとんど回転しないことになり、摩擦損失が低減し、高い動力伝達率が確保される。そして、実線で示した位置にあるドライブプーリ(2)の可動シーブ(2b)を固定シーブ(2a)に対して接近・離隔させると、チェーン(1)の巻き掛け径は、同図に鎖線で示すように、接近時には大きく、離隔時には小さくなる。ドリブンプーリ(3)では、図示省略するが、その可動シーブがドライブプーリ(2)の可動シーブ(2b)とは逆向きに移動し、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が大きくなると、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が小さくなり、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が小さくなると、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が大きくなる。この結果、変速比が1:1である状態(初期値)を基準にして、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が最小で、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が最大であるU/D状態が得られ、また、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が最大で、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が最小のO/D状態が得られる。
【0030】
この動力伝達チェーン(1)は、必要な数のピン(14)およびインターピース(15)を台上に垂直状に保持した後、リンク(11)を1つずつあるいは数枚まとめて圧入していくことにより製造される。圧入は、ピン(14)およびインターピース(15)の上下縁部とピン固定部(18)およびインターピース固定部(17)の上下縁部との間において行われており、その圧入代は0.005mm〜0.1mmとされている。こうして、組み立てられたチェーン(1)には張力が付与(予張)される。
【0031】
上記圧入後のピン(14)の出代(幅方向に並ぶリンク(11)の最外のリンク(11)からのピン(14)の突出量)は、左右で等しいように設定されているが、圧入時のばらつきにより、左右の出代の相互差がある程度生じる。この出代相互差が大きいと、騒音性能および耐久性へ悪影響を及ぼすことから、適切に管理されることが好ましい。
【0032】
図4および図5は、出代相互差を管理することができるこの発明による動力伝達チェーンの検査装置を示す。
【0033】
検査装置(31)は、図4に示すように、小径プーリ(第1プーリ)(33)と大径プーリ(第2プーリ)(34)との間にチェーン(1)を巻き掛けてチェーン(1)を回転させるチェーン駆動装置(32)と、チェーン直線領域においてピン(14)の出代が適正かどうかを求める出代検出装置(35)とを備えている。
【0034】
小径プーリ(33)および大径プーリ(34)は、無段変速機のプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)と同じ形状のシーブ面を有している。チェーン駆動装置(32)は、チェーン(1)を極低速で回転させるものとされる。
【0035】
出代検出装置(35)は、図5に示すように、傾斜角度θの傾斜面を有し軸方向外側からピン(14)端面に接触させられる接触端子(36)と、接触端子(36)をピン(14)端面に接触する方向に軸方向外側から付勢する付勢部材としてのコイルばね(37)と、接触端子(36)のピン軸方向への移動量を検出する変位計(38)とを備えている。
【0036】
接触端子(36)の傾斜角度θは、図3に示したシーブ面(2c)(2d)の傾斜角度と同じとされている。
【0037】
ピン(14)の出代は、各ピン(14)ごとに違っており、この出代の変動に伴って接触端子(36)がピン軸方向に移動し、この変動量が変位計(38)で検出される。そして、チェーン(1)を1回転させたときの変位計(38)の計測値に基づき、ピン端面位置が基準位置よりも大きく軸方向外方にずれている=軸方向一方へのピンの突出量大(出代相互差大)およびピン端面位置が基準位置よりも大きく軸方向内方にずれている=軸方向他方へのピンの突出量大(出代相互差大)のものが検出され、出代相互差が許容値を超えているものについては、適宜な修正処理が施される。
【0038】
ピン(14)の端部には、図5に示すように、圧入を容易とするための面取り(14a)(14b)が施されている。そのため、同図に(14c)で示すピン端面は、面取りによる寸法誤差の影響を受けて、値が変動しやすいものとなっている。接触端子(36)は、シーブ面(2c)(2d)の傾斜角度と同じ傾斜角度θの傾斜面を有しているので、ピン端面との接触位置は、同図に(14d)で示すように、実際の無段変速機で接触するのと同じピン端面のほぼ中心となっており、この端面位置の変動量が計測される。したがって、面取り(14a)(14b)による寸法誤差の影響を受けずにピン(14)の出代が求められる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、この発明による動力伝達チェーンの検査方法および検査装置で検査される動力伝達チェーンの1実施形態の一部を示す平面図である。
【図2】図2は、リンクの拡大側面図である。
【図3】図3は、動力伝達チェーンがプーリに取り付けられた状態を示す正面図である。
【図4】図4は、検査装置を模式的に示す側面図である。
【図5】図5は、検査装置の要部の拡大正面図である。
【図6】図6は、無段変速機を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
(1) 動力伝達チェーン
(2)(3) プーリ
(11) リンク
(14) ピン(第1ピン)
(15) インターピース(第2ピン)
(31) 検査装置
(32) チェーン駆動装置
(33) 第1プーリ
(34) 第2プーリ
(36) 接触端子
(38) 変位計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクと、これらのリンクを連結する複数の第1ピンおよび第2ピンとを備え、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリの相対向する1対の円錐面状シーブ面間に挟持されてピンとプーリとの間で動力が伝達される動力伝達チェーンの検査方法であって、
第1プーリと第2プーリとの間にチェーンを巻き掛けて回転させる工程と、シーブ面の傾斜角度に対応する各ピンの端面位置を測定することによりピンの出代が適正であるかどうかを検出する工程とを備えていることを特徴とする動力伝達チェーンの検査方法。
【請求項2】
複数のリンクと、これらのリンクを連結する複数の第1ピンおよび第2ピンとを備え、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリの相対向する1対の円錐面状シーブ面間に挟持されてピンとプーリとの間で動力が伝達される動力伝達チェーンの検査装置であって、
第1プーリと第2プーリとの間にチェーンを巻き掛けてチェーンを回転させるチェーン駆動装置と、シーブ面の傾斜角度と同じ傾斜角度の傾斜面を有しピン端面に接触させられる接触端子と、接触端子の位置の変化を検出する変位計とを備えていることを特徴とする動力伝達チェーンの検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−115591(P2009−115591A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288474(P2007−288474)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】