説明

動物において肝および免疫機能を向上させるための方法

本発明は動物の健康を向上させるための組成物および方法を含み、特定の態様において、老齢のネコ科の動物において肝および免疫機能を向上させるための組成物および方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[001] この出願は、2007年5月24日に出願された係属中の出願一連番号11/753,404の一部継続出願であり、それは2005年11月23日に出願されたPCT出願番号PCT/US05/42886の継続出願であり、それは2004年11月24日に出願された仮出願一連番号60/630971の利益を主張する。
【0002】
[0002] 本発明は動物の健康を向上させるための組成物および方法を含み、特定の態様において、老齢のネコ科の動物において肝および免疫機能を向上させるための組成物および方法を含む。
【背景技術】
【0003】
[0003] 肝臓は生命の維持に必要な器官であり、哺乳類のほとんど全ての身体機能において重要な役割を有する。1つの役割において、肝臓は他の器官を毒素の蓄積の影響から保護するための濾過系として働く。消化系から吸収された毒素は、それらが体の残りの部分に影響を及ぼし得る前に肝臓により血液から除去される。生体異物、例えば薬物、療法剤、または化学物質が肝臓に対して傷害をもたらす能力は、肝毒性として知られている。生体異物は薬理学的に、または毒物学的に活性な物質であり、生まれながらに(indigenously)生成されることは無く、従って生体にとって外来のものである。多くの産業用化合物、薬物および他の療法剤は肝臓に対して傷害性であることが十分に確証されている。哺乳類が年を取るにつれて、肝臓による生体異物の濾過およびクリアランスに関するそれらの能力は減少する。哺乳類、特にコンパニオンアニマルが年を取るにつれて、それらが薬物および他の療法剤を必要とする健康の問題に直面することは周知である。肝臓の濾過およびクリアランスはそのような老齢の動物において減少するため、その動物の健康を向上させるためのそのような薬物および療法剤の投与は肝毒性作用を有する可能性がある。
【0004】
[0004] R−α−リポ酸(CAS番号200−22−2、チオクト酸および1,2−ジチオラン−3−ペンタン酸としても知られる)は植物および動物の組織において天然に生じ、そこでそれはリシン残基のε−アミノ基に共有結合している。リポ酸は商業的に入手可能であり、BASFおよびCognisのような会社により生産されている。リポ酸は本質的に純粋なR−αリポ酸として、またはリポ酸異性体のラセミ混合物として商業的に入手可能である。植物において、リポ酸はホウレンソウおよびジャガイモ類において最も豊富であり、一方で動物の組織ではリポ酸は腎臓および心臓において最も豊富である。R−α−リポ酸は1937年に最初に発見され(Snell et al., Journal Bact. 33; 207, 1937参照)、1951年まで単離および特性付けされなかった(Reed et al. Science 114:94-4, 1951も参照)。R−α−リポ酸は合成することができ、その方法は当技術において周知である。(1961年4月18日に発行されたReedへの米国特許第2,890,716号参照)。R−αリポ酸は抗酸化剤として分類され、II型糖尿病の処置として高い投与量で用いられてきた。カルニチンおよびリポ酸の混合物は代謝を増進し、酸化的ストレスを緩和することができることが研究により示されている。(1999年6月29日に発行されたAmesらへの米国特許第5,916,912号および2002年4月2日に発行されたCavayzoへの米国特許第6,365,622号を参照)。加えて、他の成分に混じってリポ酸を含むコンパニオンアニマル用飼料は老齢のコンパニオンアニマルの精神能力の劣化を抑制するようであることが示されている。(米国特許出願公開番号2002/0076469、2002/0052402、2002/0076470、2000/115710、および2002/0119182を参照)。
【0005】
[0005] ミトコンドリアでの酸化はリポ酸の代謝において役割を果たしていることが研究により示されている。ヒトにおけるその代謝は大部分はマウスおよびラットで観察される代謝に似ているが、イヌ科の動物で見つかっているテトラノルリポ酸に関連する酸化された構造の形成はヒトにおいては同等のものが無いようである。加えて、リポ酸のミトコンドリアでの酸化における中間体である3−ケトリポ酸は、ラットおよびヒトからの血漿試料において報告されているがイヌ科の動物からの血漿では見つかっていない。(Schupke, H. et al. Drug Metabolism and Disposition, 29 (6) 855-862, 2001参照)。α−リポ酸の代謝経路はイヌ科の動物においてヒトと比較して異なっているようである。
【0006】
[0006] メルカプツール酸(Mercapturic acid)はN−アセチル−システインの硫黄誘導体であり、それはグルタチオン(GSH)から合成される。メルカプツール酸へと代謝されるほとんどの化合物は、まず肝臓の屈折(refractions)の可溶性部分または上清中で見つかるグルタチオンS−トランスフェラーゼと呼ばれる酵素により触媒されるGSHとの抱合を経ることが一般に受け入れられている。メルカプツール酸経路は生体異物に誘導される肝毒性または発癌性に対する防御機構として進化し、吸入された、摂取された、または毎日代謝により普通に生成される多数の有害な物質を解毒する役目を果たしているようである。リポ酸はグルタチオンを上方制御するだけでなく、肝臓においてグルタチオンを抱合する酵素であるグルタチオンS−トランスフェラーゼも上方制御する。ブロモスルホフタレイン(Bromosulfophthalein)(CAS番号71−67−0、BSPおよびスルホブロモフタレインとしても知られている)は有機染料であり、それは循環中に注入されると肝臓の多くの有機化合物を抽出し代謝する能力を反映する速度で肝臓により除去される。S. M. Rosenthal, E.C. White, J. Pharmacol. 24, 265 (1924) W. Hacki et al., J. Lab. Clin. Med. 88, 1019 (1976)参照。BSPは3段階で肝臓から排除される。まず、BSPはアルブミンから血漿を通って肝臓へと移される。この段階は血漿タンパク質濃度および血漿タンパク質に結合する他のリガンドに依存する。次に、BSPは肝臓においてリガンドおよびzタンパク質により複合体形成される。最後に、BSPはグルタチオンS−トランスフェラーゼ酵素によってグルタチオンにより抱合され、胆管中に排出され、これが律速段階である。このようにBSPは生体異物の例であり、注入後に血中で測定した場合、肝臓の機能的能力についての情報を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第2,890,716号
【特許文献2】米国特許第5,916,912号
【特許文献3】米国特許第6,365,622号
【特許文献4】米国特許出願公開番号2002/0076469
【特許文献5】米国特許出願公開番号2002/0052402
【特許文献6】米国特許出願公開番号2002/0076470
【特許文献7】米国特許出願公開番号2000/115710
【特許文献8】米国特許出願公開番号2002/0119182
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Snell et al., Journal Bact. 33; 207, 1937
【非特許文献2】Reed et al. Science 114:94-4, 1951
【非特許文献3】Schupke, H. et al. Drug Metabolism and Disposition, 29 (6) 855-862, 2001
【非特許文献4】S. M. Rosenthal, E.C. White, J. Pharmacol. 24, 265 (1924)
【非特許文献5】W. Hacki et al., J. Lab. Clin. Med. 88, 1019 (1976)
【発明の概要】
【0009】
[0007] 本発明は概して有効量のリポ酸またはその塩を含む組成物を含み、ここで前記有効量は動物において肝または免疫機能を向上させるのに有効である。
[0008] 別の態様において、本発明は、それを必要とする動物においてリポ酸またはその塩をその動物に、一般には肝機能を向上させるのに有効な量のリポ酸またはその塩を含む飼料中で与えることにより肝機能を向上させるための方法を含む。
【0010】
[0009] 別の態様において、本発明は、それを必要とする動物においてリポ酸またはその塩をその動物に、一般には免疫機能を向上させるのに有効な量のリポ酸またはその塩を含む飼料中で与えることにより免疫機能を向上させるための方法を含む。
【0011】
[0010] 様々な態様において、本発明は老齢の動物、例えばネコ科の動物の健康を向上させるための新規の取り組みであり、その動物に与えられる飼料の一部としてのリポ酸またはその塩の使用に基づく。
【0012】
[0011] 本発明の適用可能性のさらなる領域は、以下で提供される詳細な記述から明らかになるであろう。その詳細な記述および具体的な例は、本発明の説明的な態様を示しているが、本発明の範囲を限定することを意図していないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】[0012] 図1は、ネコに関してリポ酸をフード中に65ppmおよび650ppmで6週間の間含ませることは体重に悪影響を有しなかったことを図説するグラフ表現である。
【図2】[0013] 図2は、飼料中の65ppmおよび650ppmの含有ならびに時点のコンカナバリンA刺激に対する作用を図説する。試験の開始時または終了時にグループ間に有意な差は無かった。しかし、65ppmリポ酸含有物を食べたネコは、コンカナバリンAで活性化されるリンパ球の増殖がベースラインと比較して有意に増大した。650ppmでのネコも増大を示した。
【図3】[0014] 図3は、植物凝集素(PHA)刺激が開始時または終了時にグループ間で有意な差を示さなかったことを図説している。65ppmのリポ酸を投与された説明的なグループは、ベースラインおよび6週間の介入の間でリンパ球の増殖が有意に増大した。
【図4】[0015] 図4は、アメリカヤマゴボウマイトジェン刺激が試験の開始時にはグループ間で異なっていた(ANOVA P<0.05)が終了時には異なっていなかったことを図説している。開始時の平均が最も低いグループは65ppmグループであった。続いて、65ppmのリポ酸を投与されたグループにおけるリンパ球の増殖は、6週間の時間の後にベースラインと比較して有意に増大した。
【図5a】[0016] 図5aおよび5bは、ナチュラルキラー細胞の活性を図説する。説明的な試験に基づき、10:1の刺激比率に関してベースラインから試験の終了まで有意な変化は検出されなかった;しかし、全てのp値は0.1未満だった。50:1の刺激比率では、ベースラインと試験の試験の終了の間の全ての変化は全てのグループに関して有意であった。
【図5b】[0016] 図5aおよび5bは、ナチュラルキラー細胞の活性を図説する。説明的な試験に基づき、10:1の刺激比率に関してベースラインから試験の終了まで有意な変化は検出されなかった;しかし、全てのp値は0.1未満だった。50:1の刺激比率では、ベースラインと試験の試験の終了の間の全ての変化は全てのグループに関して有意であった。
【図6】[0017] 図6は、代表的なコメットアッセイ(Comet assays)に関するグラフを図説する。2種類の説明的なアッセイを実施した:(1)本来のDNA損傷および(2)過酸化水素で負荷をかけた損傷。そのデータの分析は、全ての飼料に関する全ての頭部DNAが、両方に関する試験の期間にわたって有意に増大した(P<0.05)ことを示した。加えて、全ての尾部DNAの尾の長さおよびオリーブテイルモーメント(Olive tail moments)が、対照および過酸化水素で負荷をかけたコメット試験両方に関して試験の期間の間に減少した。しかし、コメット測定のいずれに関しても、開始時または終了時のどちらにおいてもグループ間で有意な差は存在しなかった。加えて、時間にわたる変化(前−後の差)のANOVA分析は、対照および過酸化水素負荷条件下でのそれぞれのコメット変動値に関するt検定により有意な差を示さなかった。
【0014】
[0018] 図は、本明細書におけるそのような態様の記述のために本発明の一般的な特徴を例証することを意図している。図はあらゆる所与の態様の特徴を正確に反映しているわけでは無い可能性があり、この発明の範囲内の特定の態様を定める、または限定することを必ずしも意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
[0019] “動物”という用語は、欠陥的肝機能の影響を受けやすく、もしくはそれを患っており、向上した生体異物の肝クリアランスを必要とするあらゆる動物、または向上した生体異物の肝クリアランスから利益を得られる可能性がある動物を意味する。動物は、その動物がその病気または疾患を発現しそうであることを示す徴候をその動物が示す場合に、病気または疾患の“影響を受けやすい”。動物は、その動物がその病気または疾患を発現したことを示す症状を示す場合に、病気または疾患を“患っている”。
【0016】
[0020] 本明細書において用いられる用語“リポ酸またはその塩”には、例えばアルファ−リポ酸、リポ酸類のラセミ混合物、リポ酸塩、エステル、アミドまたはそれらの誘導体、例えば米国特許第5,621,117号において記述されているようなものが含まれるが、それらに限定されない。様々な態様において、そのリポ酸は湿潤または乾燥フード組成物を含む組成物において投与することができ、それは含水フード、乾燥フード、サプリメントまたはトリーツの形であってよい。そのリポ酸はその中に、もしくはあらゆるフード組成物の表面上において、例えばその上への吹付けもしくは沈殿により組み込まれてよく、またはその飼料にスナック、サプリメント、トリーツとして、もしくはその飼料の液体部分、例えば水もしくは別の液体中で添加されてよい。そのリポ酸は、粉末、固体として、またはゲルを含む液体として投与されてよい。重要な観点は、その動物がプラスの効果をもたらすのに有効な量のリポ酸を与えられることである。典型的には、リポ酸またはその塩の源はその組成物中に、その動物にとって非毒性であるままである量までの量で存在する。
【0017】
[0021] 本明細書において用いられる“その塩”という句は、ペットフード組成物中で用いられるリポ酸の塩類を含むがそれに限定されない。リポ酸は本来酸性であり、従って様々な陽イオンと塩基塩類を形成することができる。そのような塩類の例には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩類ならびに特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウム、および鉄塩類が含まれる。
【0018】
[0022] “高齢の動物”という用語は、年齢のために欠陥的肝機能の影響を受けやすく、もしくはそれを患っており、向上した生体異物の肝クリアランスを必要とするあらゆる動物、または向上した生体異物の肝クリアランスから利益を得られる可能性がある動物を意味する。
【0019】
全般的な記述
[0023] 本発明は概して有効量のリポ酸またはその塩を含む組成物を含み、ここで前記有効量は動物において肝または免疫機能を向上させるのに有効である。
【0020】
[0024] 特定の態様において、その有効量は動物において肝機能を向上させるのに有効である。
[0025] 他の態様において、その有効量は動物において免疫機能を向上させるのに有効である。
【0021】
[0026] 別の態様において、その有効量は25ppmから2600ppmまでのリポ酸またはその塩である。
[0027] 別の態様において、その有効量は50ppmから1200ppmまでのリポ酸またはその塩である。
【0022】
[0028] 別の態様において、その有効量は65ppmから650ppmまでのリポ酸またはその塩である。
[0029] 別の態様において、その動物はコンパニオンアニマルである。
【0023】
[0030] 別の態様において、その動物はネコ科の動物である。
[0031] 別の態様において、その組成物はフード組成物である。
[0032] 別の態様において、そのフード組成物はコンパニオンアニマルに適している。
【0024】
[0033] 別の態様において、そのフード組成物は押し出し加工されたものである。
[0034] 別の態様において、そのフード組成物は缶詰めされたものである。
[0035] 別の態様において、本発明は、動物において肝または免疫機能を向上させるための方法であって、その動物に有効量のリポ酸またはその塩を与えることを含む方法を含み、ここで前記の有効量は肝または免疫機能を向上させるのに有効である。
【0025】
[0036] 特定の態様において、その方法は動物において肝機能を向上させるのに有効である。
[0037] 他の態様において、その方法は動物において免疫機能を向上させるのに有効である。
【0026】
[0038] 別の態様において、その有効量は25ppmから2600ppmまでのリポ酸またはその塩である。
[0039] 別の態様において、その有効量は50ppmから1200ppmまでのリポ酸またはその塩である。
【0027】
[0040] 別の態様において、その有効量は65ppmから650ppmまでのリポ酸またはその塩である。
[0041] 別の態様において、その動物はコンパニオンアニマルである。
【0028】
[0042] 別の態様において、その動物はネコ科の動物である。
[0043] 別の態様において、そのリポ酸はその動物の日常の飼料の一部である。
[0044] 別の態様において、その日常の飼料は乾燥重量に基づいて50ppmより多い量のリポ酸を含む。
【0029】
[0045] 別の態様において、そのリポ酸はその動物による消費に適したフード組成物中でその動物に与えられる。
[0046] 別の態様において、その動物は高齢の動物である。
【0030】
[0047] 別の態様は、ある量の栄養素および50ppmより多くのリポ酸を含む、動物において免疫機能を向上させるのに適した組成物を含む。
[0048] 特定の態様において、その組成物はフード組成物である。
【0031】
[0049] 他の態様において、そのフード組成物はコンパニオンアニマルに適している。
[0050] 別の態様において、そのフード組成物はネコ科の動物に適している。
[0051] 別の態様において、その組成物は押し出し加工されたものまたは缶詰めされたものである。
【0032】
本発明の組成物
[0052] 本発明の1態様は、動物において肝または免疫機能を向上させるために有効な量のリポ酸またはその塩を含む、コンパニオンアニマルのための組成物を含む。
【0033】
[0053] 組成物中のアルファ−リポ酸の量は、少なくとも約25ppmから、約50ppm、約100ppm、約200ppm、約300ppm、約500ppm、約700ppm、約900ppm、約1100ppm、約1200ppm、約1400ppm、約1600ppm、約1800ppm、約2000ppm、約2200ppm、約2400ppm、または約2600ppmと様々であることができる。
【0034】
[0054] 様々な態様において、ネコに投与することができるリポ酸の範囲は25ppm〜2600ppmである。特定の説明的な態様において、量は65ppmからそのペットにとって非毒性であるままである量まで様々であることができる。他の態様において、範囲は50ppm〜1200ppmである。他の態様において、範囲は65ppm〜650ppmである。
【0035】
[0055] 様々な態様において、リポ酸を含むフード組成物は、意図される受容動物に実質的に栄養上完全な飼料を提供する。“栄養上完全な飼料”は、その飼料を食べる健康な動物の正常な健康の維持に十分な栄養を含む飼料である。
【0036】
[0056] そのリポ酸またはその塩は、意図される動物の健康に有害ではない濃度で存在する。従って、例えば、そのリポ酸またはその塩は、望ましくない、または毒性の作用を引き起こさない濃度で存在する。
【0037】
[0057] その組成物は液体または固体のフードであることができる。その組成物が液体である場合、そのリポ酸またはその塩は他の構成要素と混合されることができる。その組成物が固体である場合、そのリポ酸はその組成物上にコートされていて、その組成物の中に組み込まれていて、または両方であってよい。
【0038】
[0058] 様々な態様において、そのリポ酸またはその塩は動物のフードに添加されてよい。様々な態様において、そのリポ酸またはその塩は動物のフードに、配合業者または製造業者により現場で、または動物の介護者(caregiver)によりその動物に餌を与える前に添加されてよい。他の態様において、そのリポ酸またはその塩は動物のフードの加工の間、例えばその組成物の他の構成要素の混合の間および/または後に添加されてよく、次いでそれが包装され、消費者に入手可能になる。その加工には、押し出し、缶詰め、ベーキング、および同様のこと、または当技術で既知であるペットフードを製造するあらゆる他の方法もしくはプロセスが含まれてよい。他の態様において、そのリポ酸もしくはその塩は動物もしくは植物構成要素のような天然源により寄与されてよく、またはそのリポ酸もしくはその塩は合成に由来する源により寄与されてよく、またはそのリポ酸もしくはその塩は天然および合成的な源の混合物により寄与されてよい。
【0039】
[0059] その組成物は、リポ酸またはその塩に加えて、コンパニオンアニマルによる消費に適した少なくとも1種類の構成要素を含み、それには脂肪、炭水化物、タンパク質、繊維、栄養調整剤(nutritional balancing agents)、例えばビタミン類、鉱質、および微量元素、ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。当業者は、典型的なフードに関するフード成分の量およびタイプを、その動物の食事要求量に基づいて、例えばその動物の種、年齢、大きさ、体重、健康、および機能に基づいて選択することができる。
【0040】
[0060] そのフード組成物のフード成分部分は、約100%までのあらゆる個々のフード成分を含むことができ、またはフード成分の様々な比率での混合物を含むことができる。特定の態様において、そのフード組成物は次の量でのフード成分の組み合わせを含む:0重量%〜50重量%の脂肪、0重量%〜75重量%の炭水化物、0重量%〜95重量%のタンパク質、0重量%〜40重量%の食物繊維、および0重量%〜15重量%の1種類以上の栄養調整剤。
【0041】
[0061] 特定の態様において、その脂肪および炭水化物フード成分は様々な源、例えば動物脂肪、魚油、植物油、肉、肉の副産物、穀物、他の動物または植物源、およびそれらの混合物から得られる。穀物には小麦、トウモロコシ、大麦、および米が含まれる。
【0042】
[0062] 特定の態様において、そのタンパク質フード成分は様々な源、例えば植物、動物、または両方から得られる。動物性タンパク質には、肉、肉の副産物、牛乳系のもの(dairy)、および卵が含まれる。肉には家禽、魚、および動物、例えばウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、および同様のものからの肉が含まれ、肉の副産物には肺、腎臓、脳、肝臓、胃、および腸が含まれる。そのタンパク質フード成分は、遊離のアミノ酸および/またはペプチドであってもよい。好ましくは、そのタンパク質フード成分には肉、肉の副産物、乳製品、または卵が含まれる。
【0043】
[0063] 特定の態様において、その繊維フード成分は様々な源、例えば植物繊維源、例えばセルロース、テンサイパルプ、落花生殻および大豆繊維から得られる。
[0064] 特定の態様において、その栄養調整剤は、当業者に既知の様々な源、例えばビタミンおよび鉱質サプリメントならびにフード成分から得られる。ビタミン類および鉱質は、欠乏を避け健康を維持するのに必要な量で含まれることができる。これらの量は当技術においてすぐに入手可能である。国家研究会議(NRC)は、家畜に関するそのような栄養素の推奨量を提供している。例えば、Nutrient Requirements of Swine (第10改訂版、Nat’l Academy Press、ワシントンD.C.、1998)、Nutrient Requirements of Poultry (第9改訂版、Nat’l Academy Press、ワシントンD.C.、1994)、Nutrient Requirements of Horses (第5改訂版、Nat’l Academy Press、ワシントンD.C.、1989)を参照。米国飼料検査官協会(AAFCO)は、イヌおよびネコに関するそのような栄養素の推奨量を提供している。米国飼料検査官協会公式刊行物pp. 129-137 (2004)を参照。一般に食品添加物として有用であるビタミン類には、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビオチン、ビタミンK、葉酸、イノシトール、ナイアシン、およびパントテン酸が含まれる。食品添加物として有用である鉱質および微量元素には、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、塩素、鉄、セレン、ヨウ素、および鉄が含まれる。
【0044】
本発明の組成物の調製
[0065] 本発明の組成物は、当業者に既知の一般に用いられるフード調製プロセスを用いて、缶詰めされた、または湿潤した形で調製されてよい。典型的には、挽いた動物のタンパク質性組織を、他の成分、例えば魚油、穀物粒、釣り合いを取る成分、特別な目的での添加物(例えば、ビタミンおよび鉱質の混合物、無機塩類、セルロースおよびテンサイパルプ、充填剤、ならびに同様のもの)および水と、加工に十分な量で混合する。これらの成分は、構成要素の混合の間に加熱するのに適した容器中で混合される。その混合物の加熱はあらゆる適切な方法、例えば直接蒸気噴射を用いて、または熱交換器を備えた容器を用いて達成される。最後の成分の添加の後、その混合物を約50°F〜約212°Fの温度に加熱する。この範囲外の温度は許容できるが、他の加工助剤の使用無しでは商業的に実用的で無い可能性がある。適切な温度まで加熱した際、その物質は典型的には濃厚な液体の形であろう。その濃厚な液体を缶の中に充填する。蓋を取り付け、容器を密閉して密封する。次いでその密封された缶を、一般に用いられる、内容物を滅菌するように設計された設備の中に置く。滅菌は通常約230°Fより高い温度に、用いられる温度、組成、および同様の要素に依存する適切な時間加熱することにより達成される。本発明の組成物は、調製の前、間、または後にフード組成物に添加することができる。
【0045】
[0066] フード組成物は、当業者に既知の一般に用いられるプロセスを用いて乾燥した形で調製されてよい。典型的には、乾燥した成分、例えば動物性タンパク質、植物性タンパク質、穀物、および同様のものを挽いて一緒に混合する。次いで脂肪、油、動物性タンパク質、水、および同様のものを含む湿潤した、または液体の成分を、その乾燥混合物に添加してそれと混合する。次いでその混合物をキブル(kibbles)または同様の乾燥した断片に加工する。キブルはしばしば、乾燥および湿潤成分の混合物に高い圧力および温度での機械的仕事を施し、小さな開口部を押し通し、回転するナイフにより切り落としてキブルにする、押し出しプロセスを用いて形成される。次いでその湿潤したキブルを乾燥させ、場合により1種類以上の局所的コーティング、例えば香味、脂肪、油、粉末、および同様のものでコートする。キブルは押し出しではなくベーキングプロセスを用いて練った生地(dough)から作ることもでき、ここでその練った生地を型の中に置いた後乾燥−加熱加工を行う。そのフード組成物は、米国特許第5,339,771号および第5,419,283号において開示されているプロセスのような、乾燥フードまたは玩具に関して上記で記述したプロセスに類似した押し出しまたはベーキングプロセスを用いたトリーツの形であることもできる。本発明の組成物は、調製の前、間、または後にフード組成物に添加することができる。
【0046】
本発明の方法
[0067] 本発明は、動物において肝機能を向上させるための方法も含む。その方法は、それを必要とする動物に肝機能を向上させるのに有効な量のリポ酸またはその塩を与えることを含む。一般に、そのリポ酸は25ppm〜2600ppmの量でその動物に与えられる。特定の説明的な態様において、量は25ppmから2600ppmまで、またはそのペットにとって非毒性であるままである量まで様々であることができる。他の態様において、範囲は50ppm〜1200ppmである。他の態様において、範囲は65ppm〜650ppmである。
【0047】
[0068] 本発明は、動物において免疫機能を向上させるための方法も含む。その方法は、それを必要とする動物に免疫機能を向上させるのに有効な量のリポ酸またはその塩を与えることを含む。一般に、そのリポ酸は25ppm〜2600ppmの量でその動物に与えられる。特定の説明的な態様において、量は25ppmから2600ppmまで、またはそのペットにとって非毒性であるままである量まで様々であることができる。他の態様において、範囲は50ppm〜1200ppmである。他の態様において、範囲は65ppm〜650ppmである。
【0048】
[0069] 本発明の方法は、動物、例えばコンパニオンアニマル、例えばネコ科の動物に、肝機能または免疫機能を特にこれらの機能が年齢により損なわれる可能性がある場合に向上させるために、およびその動物の全体的な健康を向上させるために、リポ酸またはその塩を含む組成物または飼料を与えることを含む。動物に与えられるリポ酸の量は、非毒性である量である。そのリポ酸は、その動物にサプリメントとして提供されてよく、またはその動物に与えられる飼料を含む組成物中に含まれていてよい。そのようなサプリメントは、丸剤もしくはカプセル、トリーツもしくはビスケットの形、またはあらゆる他の食用の形であってよい。“飼料”により、その動物により定期的に消費されるフードまたは飲料を意味する。飼料はその動物により消費されるサプリメントを含んでいてよい。飼料はその動物にとって生命を維持するのに本質的に十分な栄養素を有すると考えられる。コンパニオンアニマル用飼料はあらゆる適切なペットフード処方(formula)であることができ、それはその動物にとって十分な栄養も提供する。例えば、本発明における使用に適した典型的なネコ科の動物用飼料は、8から50%までの脂肪、16から50重量%までのタンパク質、および3から15%までの総食物繊維を含んでいてよい。別の例では、典型的なネコ科の動物用飼料は8から50重量%までの脂肪および30から60重量%までのタンパク質を含んでいてよい。しかし、特定の比率または百分率のこれらまたは他の栄養素が必要であるわけではない。栄養素は生命を支えるのを助けるあらゆるフード構成要素である。動物の健康にとって重要な栄養素は当業者に既知であり、例えばタンパク質、炭水化物、脂肪、繊維、ビタミン類、および鉱質である。水も動物の健康にとって不可欠である。
【0049】
[0070] 本発明の様々な態様には、動物、特にコンパニオンアニマルにおいて肝機能または免疫機能を向上させるための方法が含まれる。そのような態様において、その方法はその動物に乾燥物質基準で少なくとも25ppmの量のリポ酸またはその塩を含む組成物、例えば飼料を与えることを含む。さらに他の態様において、その方法はその動物に乾燥物質基準で65ppmから650ppmまでの量のリポ酸を含む飼料を与えることを含む。本明細書で用いられるリポ酸はラセミ混合物であるが、他の態様は本質的に純粋なR−αリポ酸であるリポ酸、またはリポエート誘導体、異性体の混合物、塩類、エステル類、アミド類、もしくはそれらの組み合わせとしてのリポ酸を含んでいてよい(例えば、1997年4月15日に発行されたBethgeらへの米国特許第5,621,177号を参照)。様々な態様において、ネコに投与することができるリポ酸の範囲は、25ppm〜2600ppmである。特定の説明的な態様において、量は65ppmから2600ppmまで、またはそのペットにとって非毒性であるままである量まで様々であることができる。他の態様において、範囲は50ppmから1200ppmまでである。他の態様において、範囲は65ppmから650ppmまでである。
【0050】
[0071] 様々な態様において、組成物または飼料は少なくとも25ppm〜2600ppmのリポ酸またはその塩を含む。一部の態様において、そのリポ酸またはその塩はコンパニオンアニマルのフードに添加される。そのような態様において、そのリポ酸またはその塩はコンパニオンアニマル用フードの加工の間に添加されてよく、次いでそれが包装され、消費者に入手可能になる。そのような加工には、押し出し、缶詰め、ベーキング、および同様のこと、または当技術で既知であるペットフードを製造するあらゆる他の方法もしくはプロセスが含まれてよい。そのような加工では、そのリポ酸は動物もしくは植物構成要素、例えば腎臓もしくはホウレンソウのような天然源により寄与されてよく、またはそのリポ酸は合成に由来する源により寄与されてよく、またはそのリポ酸は天然および合成的な源の混合物により寄与されてよい。他の態様において、リポ酸はコンパニオンアニマルに与えられるカプセルの形であってよい。さらに他の態様において、そのリポ酸またはその塩は粉末であって、または結晶質であってよく、それはその動物のフードに添加されて、またはその動物に直接与えられてよい。様々な態様において、そのコンパニオンアニマル用飼料はリポ酸またはその塩および他の必要とされる栄養構成要素を含む。様々な態様において、そのコンパニオンアニマルはイヌであり、他の態様においてそのコンパニオンアニマルはネコである。
【0051】
[0072] さらなる観点において、本発明は医薬の調製のためのリポ酸またはその塩の使用を提供する。別の観点において、本発明は、ある量のリポ酸またはその塩を動物に与えることにより、動物の健康を維持する、および/または向上させる、例えば動物において肝機能または免疫機能を向上させるための医薬の調製のためのリポ酸の使用を提供する。一般に、医薬は化合物または組成物を賦形剤、緩衝剤、結合剤、可塑剤、着色剤、希釈剤、圧縮剤、潤滑剤、香味料、湿潤剤、ならびに当業者に動物への投与に適した医薬を製造する、および医薬を配合するのに有用であると知られている他の成分と混合することにより調製される。
【0052】
[0073] さらなる観点において、本発明はリポ酸またはその塩を動物に与えるのに適したキットを提供する。そのキットは、単一の包装中の別々の容器中に、または仮想の包装(virtual package)中の別々の容器中に、必要に応じてリポ酸および以下の少なくとも1つを含む:(1)動物による消費に適した1種類以上の成分、(2)生体異物の肝クリアランスを向上させるために、特に生体異物の肝クリアランスを向上させるのに有用な組成物を製造するために、リポ酸および他のキットの構成要素をどのように組み合わせるかに関する説示、ならびに(3)本発明のリポ酸および他の構成要素を、特に動物の利益のためにどのように用いるかに関する説示。そのキットが仮想の包装を含む場合、そのキットは1種類以上の物質的なキットの構成要素との組み合わせでの仮想環境における説示に限定される。そのキットはリポ酸および他の構成要素を生体異物の肝クリアランスを向上させるのに十分な量で含む。典型的には、そのリポ酸および他の適切なキットの構成要素は、動物による消費の直前に混合される。1態様において、そのキットはリポ酸を含む小さな包みおよび動物による消費のためのフードの容器を含む。そのキットは、リポ酸および成分を混合するための道具または混合物を収容するための道具、例えばフードボールのような追加の品目を含んでいてよい。別の態様において、リポ酸は動物において良好な健康を促進する追加の栄養サプリメント、例えばビタミン類および鉱質と混合される。
【0053】
[0074] この発明は、本明細書で記述されている特定の方法論、プロトコル、および試薬に、それらは様々であってよいため、限定されない。さらに、本明細書で用いられる用語法は特定の態様のみを記述するためのものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものでは無い。本明細書において、および添付された特許請求の範囲において用いられる単数形“a,”“an,”および“the”は、文脈が明確にそうではないと指示しない限り複数への言及を含む。“含む(comprise)”、“含む(comprises)”、および“含んでいる”という語は、排他的にではなく包括的に解釈されるべきである。
【0054】
[0075] 別途定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的な用語ならびにあらゆる頭字語は、本発明の分野における当業者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書で記述されている方法および材料に類似した、または均等なあらゆる方法および材料を本発明の実施において用いることができるが、好ましい方法、道具、および材料は本明細書で記述されている。
【0055】
[0076] 本明細書で言及される全ての特許、特許出願、および刊行物を、その中で報告されている、本発明と共に用いられる可能性がある組成物、化合物、方法、および同様の情報を記述および開示するために、法により許される程度まで本明細書に援用する。しかし、本明細書中のいずれも、本発明が先の発明のせいでそのような開示に先行する資格が無いという自認であると解釈されるべきでは無い。
【実施例】
【0056】
[0077] この発明は下記のその好ましい態様の実施例によりさらに説明することができるが、これらの実施例は単に説明のためだけに含まれているのであり、別途明確に示さない限り本発明の範囲を限定することを意図するものでは無いことは理解されるであろう。
【0057】
実施例1
[0078] 本試験は3つのネコのグループを含んでいた:グループ1)乾燥対照フードを食べるネコ、グループ2)乾燥物質基準でおおよそ65ppmのリポ酸で強化した乾燥フードを食べるネコ、およびグループ3)おおよそ650ppmのリポ酸で強化した乾燥フードを食べるネコ。全てのネコは2週間のベースライン期間の間対照フードを与えられ、その時間が終了した時点で免疫機能アッセイを行った。次いで1つのネコのグループを65ppm試験フードに、1つのグループを650ppm試験フードに切り替え、1つのグループを対照のままにし、全てのグループはさらに6週間与えられ、その時点でベースライン試験を再度行った。
【0058】
[0079] リポ酸の高齢のネコへの投与はリンパ球の増殖活性を向上させ、それは免疫機能を向上させる可能性がある。リポ酸の単一レベルでの含有(例えば65ppm)での健康なネコにおけるリンパ球増殖の向上への作用は最も著しかった。
【0059】
[0080] 図1において図説されているように、リポ酸を65ppmおよび650ppmでネコ科の動物用ペットフード中に含ませることは、ネコに関して体重に悪影響を有しなかった。
【0060】
[0081] 図2は、飼料中の65ppmおよび650ppmの含有および時点のコンカナバリンA刺激への作用を図説する。試験の開始の時点で、または終了の時点で、グループ間に有意な差は無かった。しかし、65ppmリポ酸含有でのネコは、コンカナバリンAにより活性化されるリンパ球の増殖がベースラインと比較して有意に増大した。650ppmでのネコも増大を示した。従って、コンカナバリンAにより活性化されるリンパ球の増殖に基づくと、65ppmまたは650ppmのリポ酸のキャットフード組成物への添加はネコの免疫応答を増大させることができた。
【0061】
[0082] 図3は、植物凝集素(PHA)刺激が開始時または終了時においてグループ間で有意な差を示さなかったことを図説する。65ppmのリポ酸を投与された説明的なグループは、ベースラインおよび6週間の介入の間でリンパ球の増殖において有意な増大を有した。従って、PHAにより活性化されるリンパ球の増殖に基づくと、65ppmまたは650ppmのリポ酸のキャットフード組成物への添加はネコの免疫応答を増大させることができた。
【0062】
[0083] 図4は、アメリカヤマゴボウマイトジェン刺激が試験の開始時にはグループ間で異なっていた(ANOVA P<0.05)が終了時には異なっていなかったことを図説している。開始時の平均が最も低いグループは65ppmグループであった。続いて、65ppmのリポ酸を投与されたグループにおけるリンパ球の増殖は、6週間の時間の後にベースラインと比較して有意に増大した。従って、アメリカヤマゴボウマイトジェンにより活性化されるリンパ球の増殖に基づくと、65ppmまたは650ppmのリポ酸のキャットフード組成物への添加はネコの免疫応答を増大させることができた。
【0063】
[0084] 図5aおよび5bは、ナチュラルキラー細胞の活性を図説する。説明的な試験に基づき、10:1の刺激比率に関してベースラインから試験の終了まで有意な変化は検出されなかった;しかし、全てのp値は0.1未満だった。50:1の刺激比率では、ベースラインと試験の試験の終了の間の全ての変化は全てのグループに関して有意であった。
【0064】
[0085] 図6は、代表的なコメットアッセイに関するグラフを図説する。2種類の説明的なアッセイを実施した:(1)本来のDNA損傷および(2)過酸化水素で負荷をかけた損傷。そのデータの分析は、全ての飼料に関する全ての頭部DNAが、両方に関する試験の期間にわたって有意に増大した(P<0.05)ことを示した。加えて、全ての尾部DNAの尾の長さおよびオリーブテイルモーメント(Olive tail moments)が、対照および過酸化水素で負荷をかけたコメット試験両方に関して試験の期間の間に減少した。しかし、コメット測定のいずれに関しても、開始時または終了時のどちらにおいてもグループ間で有意な差は存在しなかった。加えて、時間にわたる変化(前−後の差)のANOVA分析は、対照および過酸化水素負荷条件下でのそれぞれのコメット変動値に関するt検定により有意な差を示さなかった。
【0065】
[0086] 明細書において、本発明の典型的な好ましい態様が開示され、具体的な用語が用いられたが、それらは一般的および記述的な意味でのみ用いられており、限定のためでは無く、本発明の範囲は下記の特許請求の範囲において述べられている。明らかに、上記の教示に照らして本発明の多くの修正および変形が可能である。従って、添付された特許請求の範囲の範囲内で、具体的に記述された通り以外でも本発明を実行することができることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物において肝または免疫機能を向上させるために有効な量のリポ酸またはその塩を含む組成物であって、前記の動物において肝または免疫機能を向上させるために有効なリポ酸の量が少なくとも約25ppmである組成物。
【請求項2】
その有効量が25ppmから2600ppmまでのリポ酸またはその塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
その有効量が50ppmから1200ppmまでのリポ酸またはその塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
その有効量が65ppmから650ppmまでのリポ酸またはその塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
その動物がコンパニオンアニマルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
そのコンパニオンアニマルがネコ科の動物である、請求5に記載の組成物。
【請求項7】
その組成物がフード組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
そのフード組成物が乾燥フード組成物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
そのフード組成物が押し出し加工されたものである、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
そのフード組成物が缶詰めされたものである、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
それを必要とする動物において肝または免疫機能を向上させるための方法であって、その動物に有効量のリポ酸またはその塩を与えることを含み、前記の有効量が肝または免疫機能を向上させるのに有効である方法。
【請求項12】
その有効量が25ppmから2600ppmまでのリポ酸またはその塩である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
その有効量が50ppmから1200ppmまでのリポ酸またはその塩である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
その有効量が65ppmから650ppmまでのリポ酸またはその塩である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
その動物がコンパニオンアニマルである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
そのコンパニオンアニマルがネコ科の動物である、請求15に記載の方法。
【請求項17】
そのリポ酸またはその塩がその動物の日常の飼料の一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
その日常の飼料が乾燥重量に基づいて25ppmより多い量のリポ酸またはその塩を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
そのリポ酸またはその塩が乾燥フード組成物中にある、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
その動物が高齢の動物である、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
動物において免疫機能を向上させるのに適した組成物であって、以下:ある量の栄養素;および25ppmより多いリポ酸またはその塩を含む組成物。
【請求項22】
その組成物がフード組成物である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
そのフード組成物がコンパニオンアニマルに適している、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
そのフード組成物がネコ科の動物に適している、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
その組成物が押し出し加工されたものまたは缶詰めされたものである、請求項21に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−515211(P2012−515211A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546323(P2011−546323)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/020993
【国際公開番号】WO2010/083277
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】