説明

動物における遺伝形質を同定する方法

本明細書は、CKM、SCN4αおよびLDHα遺伝子中の多型の存在または不在について動物をスクリーニングするための実施形態を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
援助の参照
この発明はUSDA/CREES契約第99-CRHF-0-6019、および98-CRHR-0-6019により少なくとも部分的に支援された(IAHAEES事業第3148)。米国政府はこの発明における特定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
遺伝子突然変異は進化および遺伝的多様性の基礎である。遺伝子マーカーは生物種、集団または密接に関連した生物種のゲノムにおける特定の遺伝子座を表し、異なる遺伝子型のサンプルはこれらのマーカー遺伝子座で遺伝的多様性を示す。続いてマーカー遺伝子座における遺伝的多様性を記載することができ、この遺伝的多様性は遺伝学研究、商用育種、診断、および遺伝的関係(cladistic)に応用することができる。遺伝子マーカーは、これらが相互優性、高遺伝性、多対立遺伝子、および膨大である場合に最大の有用性を有する。大部分の遺伝子マーカーは遺伝性であり、というのもこれらの対立遺伝子はある世代から次世代へ高度に保存されるDNAのヌクレオチド配列によって決定され、これらの対立遺伝子の検出は自然環境に影響されないからである。マーカーは、進化の過程でマーカー遺伝子座を規定するDNA配列中の稀な、遺伝的に安定な突然変異が生じ、かつ他に存在する対立遺伝子座とともに世代を介して分散したため、複数の対立遺伝子を有する。稀に生じる安定な突然変異と結合した高保存の天然DNAは、遺伝子マーカーが異なる遺伝子型を予測可能にしかつ識別するのを可能にする。現在の遺伝子マーカー技術のレパートリーは、複数の技術が同一のプロジェクトで同時に使用することを可能にする。各新規遺伝子マーカー技術および各新規DNA多型の発明は、遺伝子マーカーに更なる有用性を与える。多くの遺伝子マーカー技術が存在している。幾つかの例は、特に、制限断片長多型(RFLP)(Bosteinら(1980) Am J Hum Genet 32:314-331);一本鎖高次構造多型(SSCP)(Fischerら(1983) Proc Natl Acad Sci USA 80:1579-1583, Oritaら(1989) Genomics 5:874-879);増幅断片長多型(AFLP)(Vosら(1995) Nucleic Acids Res 23:4407-4414);マイクロサテライトまたは単一配列反復(SSR)(Weber J LおよびMay P E(1989) Am J Hum Genet 44:388-396);高速増幅DNA多型(RAPD)(Williamsら(1990) Nucleic Acids Res 18:6531-6535);配列標識部位(STS)(Olsonら(1989) Science 245:1434-1435);遺伝子ビット分析(GBA)(Nikiforovら(1994) Nucleic Acids Res 22:4167-4175);対立遺伝子特異的ポリメラーゼ連鎖反応(ASPCR)(Gibbsら(1989) Nucleic Acids Res 17:2437-2448,Newtonら(1989) Nucleic Acids Res 17:2503-2516);ニックトランスレーションPCR(例えば、TAQMANTM)(Leeら(1993) Nucleic Acids Res 21:3761-3766);および対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(ASH)(Wallaceら(1979) Nucleic Acids Res 6:3543-3557, Sheldonら(1993) Clinical Chemistry 39(4):718-719)である。各技術はDNA配列中の多型を検出するために自身特有の基準を有する。
【0003】
遺伝子の差異は、個々の動物間、および所望の特性を有する動物得るための育種技術に利用することができる品種間に存在する。例えば、中国品種は早齢で成熟期に達し、その同腹仔のサイズが大きいことが知られるが、米国品種はその非常に優れた成長速度および無脂肪肉(leanness)について知られている。しかし、所望の形質の遺伝率は大抵低く、表現型変異に基づいて個体を選択する標準的な育種法は、存在する遺伝子変異性または複雑な遺伝子相互作用を完全には考慮していない。
【0004】
制限断片長多型(RFLP)分析は、ブタのDNAを研究するために幾つかのグループによって用いられてきた。参照により本明細書に組み入れるJungら,Theor. Appl. Genet., 77:271-274 (1989)は、2種類のブタ品種間における遺伝子変異性を明らかにするためのRFLP技術の使用を開示する。多型はこれらの品種におけるブタ白血球抗原(SLA)クラスI遺伝子について示された。参照により本明細書に組み入れるHogansonら, Abstract for Annual Meeting of Midwestern Section of the American Society of Animal Science, March 26-28, 1990は、中国ブタのブタ主要組織適合性複合体(MHC)遺伝子の多型を報告し、RFLP分析で証明もされている。参照により本明細書に組み入れるJungら, Theor. Appl. Genet., 77:271-274(1989)は、特定のイノシシにおけるSLAクラスI遺伝子のRFLP分析を報告している。著者は、結果がブタSLA/MHCクラスI遺伝子と生産および能力形質との間に関連性が存在し得ることを示唆すると記載している。彼らはさらに、遺伝子マーカーとしてのSLAクラスI制限断片の使用は、将来的にブタの成育能力を改良する可能性を有し得ると記載している。
【0005】
特定の有利な遺伝子対立遺伝子を求める能力は、主な効果的遺伝子用のDNA分子マーカーの同定における新規かつ長い過程を伴う。マーカーは主要な効果を有する単一遺伝子と連結してもよいし、または追加の効果を有する多くの遺伝子と連結してもよい。DNAマーカーは幾つかの利点を有する。すなわち、分離(segregation)は測定が容易かつ明確であり、DNAマーカーは相互優性である(すなわち、ヘテロ接合のおよびホモ接合の動物をはっきりと同定することができる)。いったんマーカーシステムが確立されれば、組織または血液サンプルを個々の幼少動物からまたは胎児でさえからも収集することができた後にはいつでもDNAマーカーをアッセイすることができるため、選択の決定は非常に容易になすことができるだろう。
【0006】
レセプター遺伝子中の遺伝子差異の使用は、選択のための有益なマーカーシステムになっている。例えば、Rothschildらに発行された米国特許5,550,024および5,374,526は、大きな同腹仔サイズに関連するブタのエストロゲンレセプター中の多型を開示している(その開示は参照により本明細書に組み入れる)。米国特許5,935,784は、大きな同腹仔サイズおよび全般的な繁殖効率に関連するブタのプロラクチンレセプター中の多型マーカーを開示している。
【0007】
ブタの生肉の品質は非常に多くの遺伝因子および非遺伝因子によって影響される。後者には飼育所、輸送、屠殺、および加工条件が含まれる。食肉学者はこれらの因子について相当量の研究を実施しており、相当な質の改善をもたらしている。一部の研究は動物の遺伝的背景にも取り組んでおり、幾つかの研究は遺伝因子の重要性を明らかにしている。これは動物の選択的育種および遺伝子技術の使用が豚肉の質を高める際に重要な役割を果たすことができることを産業界に気付かせてきた。
【0008】
DNAレベルの情報は、特定の主遺伝子を決定する手助けとなり得るが、本発明者らが予め選択する量的形質の選抜を手助けすることもできる。表現型データに加えて、分子情報は選抜の精度を増加させることができ、それにより選抜反応の精度を増加させることができる。マーカー利用選抜(MAS)などにおける過剰反応(extra response)の大きさが理論上の観点から多くの研究者により考慮されてきた。一般論として、MASは低い遺伝性の形質により有利であり、表現型の測定に費用がかかる。肉質および/または成長などの形質は典型的にこのようなやり方では認められていないが、これらの形質についてのマーカーの使用に対する有意な利点が依然として存在する。例えば、MeuwissenおよびGoddardは異なるタイプの形質について、MASの影響を考慮した。形質が屠殺後に測定され、かつ最大64%の付加的反応が屠殺前の動物の選抜用マーカー情報の取り込みにより達成され得た場合に、最大の影響は肉質などの形質についてのものであった。成長形質についてのこの数値は生存動物で測定することができる比較的低い8%であった。しかし、一度関連性が立証されれば、このマーカー情報を動物が試験されるかまたは表現型が選抜される前に用いることができ、この状況において、最大38%の反応が予想された。
【0009】
実際、経済的な形質を遺伝子的に改変する最も良い手法は、選抜下の集団において直接的に関連のDNAマーカーを見出すことである。表現型測定は一部の動物で育種生物の細胞核集団から継続的に実施することができる。これらの形質の大部分の完全な評価は屠殺後でのみ実施可能であるため、データは屠殺した動物で収集しなければならず、潜在的な育種動物で得ることができない。
【0010】
この表現型データを収集して、関連のDNAマーカーの検出を可能にし、かつ実験集団を用いて同定されるマーカーを確認するかまたは候補遺伝子を試験することが可能である。重要なマーカーまたは遺伝子はその後、選抜工程に直接含めることができる。分子情報の利点は、非常に若齢の育種動物からこれを予め得ることができる点であり、これは生育実施試験が完了する前にDNAマーカーに基づいて動物を前もって選抜することができることを意味する。これは全体試験及び選抜システムに非常に有利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、遺伝子型分類、同一性維持、マーカー利用選抜、動物における遺伝学研究および核酸のポジショナルクローニングのための候補遺伝子ならびに遺伝子マーカーのニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明の一目的は、好ましい経済的な特性の指標である候補遺伝子、ならびにこれらの遺伝子に基づく遺伝子マーカーまたはこれらの遺伝子内の遺伝子マーカーを提供することである。これらの候補遺伝子は以下の筋クレアチンキナーゼ(CKM)、ナトリウムチャネル電位ゲーティング4型α遺伝子(SCN4α)、および乳酸デヒドロゲナーゼα(LDHα)遺伝子から選択される。
【0013】
この発明の別の目的は、これらの遺伝子マーカーの存在を決定するためのアッセイを提供することである。
【0014】
この発明の更なる目的は、選抜の精度を増加させる動物評価方法および所望の形質のための育種方法を提供することである。
【0015】
この発明のさらに別の目的は、このマーカーの存在の決定を非常に促進するPCR増幅試験を提供することである。
【0016】
この発明の更なる目的及び利点は、以下の記載に部分的に示され、かつ記載から部分的には明らかであろうし、あるいはこの発明の実施から知り得る。この発明の目的および利点は、添付した特許請求の範囲で特に示された手段および組合せによって達成されるだろう。
【0017】
発明の簡単な概要
本発明は動物育種に有利な遺伝形質を同定する際に有用な、様々なブタ遺伝子中の代替的遺伝子形態の発見に関する。この遺伝子が種および動物間で保存される限り、ウシ、ヒツジ、ニワトリなどの他の経済的なまたは食肉を生産する動物においても、本明細書に開示される様々な対立遺伝子はその遺伝子内の変異性と相関するであろう。これらの対立遺伝子の同定により、動物の遺伝子型を速やかに決定する方法が提供される。動物の遺伝子型を正確かつ迅速に決定するこの能力により、動物の遺伝子型は動物育種におけるマーカー利用選抜および複数の動物の分析の改良方法を提供する。
【0018】
本発明に従って、動物中の多型の存在または不在を同定する方法が提供される。別の実施形態には、動物育種のための動物の遺伝的潜在性を決定する方法が含まれる。別の実施形態には、動物をスクリーニングして有利な肉質形質をより保有していそうな個体、肥厚な筋肉質(heavy muscling)を有する個体および/または骨格筋痙攣病(skeletal muscle cramping disease)を有する個体を判定する方法が含まれる。これらの方法には、動物から遺伝子サンプルを得ることが含まれる。この方法は、改善された肉質、肥厚な筋肉質および/または骨格筋痙攣病に関連する遺伝子であって、筋クレアチンキナーゼ(CKM)、ナトリウムチャネル電位ゲーティング4型α遺伝子(SCN4α)および乳酸デヒドロゲナーゼα遺伝子(LDHαまたはLDHA)よりなる群から選択される上記遺伝子中の多型の存在または不在をアッセイすることをさらに含むことができる。そのようなアッセイは制限断片長多型(RFLP)、ヘテロ二本鎖分析、一本鎖高次構造多型(SSCP)、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)および温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)であり得る。
【0019】
本発明の方法は、例えば、動物中の肉質および肥厚な筋肉質の形質と相関がある遺伝子型の存在または不在に基づいて、これらの形質を評価することをさらに含むことができる。
【0020】
別の実施形態は、動物を遺伝子型分類して、有利な肉質、肥厚な筋肉質および/または骨格筋痙攣病の高い可能性などの形質と関連する対立遺伝子の有利な組合せを有する個体を決定すること、あるいは反対に、対立遺伝子の有利でない組合せを持つ個体を決定することを含む。
【0021】
さらに、本発明の実施形態は、多型を含むある量の遺伝子またはその一部を増幅することを含むことができる。
【0022】
考慮し得る肉質についての要素は、非限定的に以下を含む:
腰肉のミノルタ明度(L*):43〜47ユニット(より暗色〜より明色)の範囲が許容されるが、L*43がより良い、すなわち、一般的にはこの範囲でより高い経済的価値を有する(これは市場に左右され得、例えば日本ではより暗色のブタ肉が好まれる)。
【0023】
日本の腰肉色スコア(JCS):2.5〜5.0ユニット(より明色〜より暗色)の範囲が許容されるが、JCS 3〜4がより良い。
【0024】
腰肉の霜降り(筋肉内脂肪のレベル):一般的に霜降りが多いほどより良いが、これは改善した食肉の品質特性に関連するためである。
【0025】
腰肉pH:(死後24時間で測定される肉の最終酸性度(ultimate meat acidity);この属性は豚肉の品質における最も重要な単一の形質である);5.50〜5.80の範囲が望ましいが、5.80が、肉の色および(低い)パージ(purge)にポジティブに影響するため、より良い。
【0026】
腿肉のミノルタ明度(L*):43〜52ユニットの範囲が許容されるが、より低い(43)ほど良い。
【0027】
腿肉最終pH:より高いほど、すなわち5.80がより良い。
【0028】
肉汁の欠失またはパージ(purge):1%〜3%の範囲が許容されるが、より低いほど良い。
【0029】
肉質におけるこれらの測定値は当業者に一般的に容認されるものの例である。肉質形質の総説については以下を参照し得る:Sosnicki, A.A., E.R. Wilson, E.B. Sheiss, A. deVries, 1998 「Is there a cost effective way to produce high quality pork?」, Reciprocal Meat Conference Proceedings, Vol. 51。
【0030】
成長は、平均一日増量、屠殺時の体重など、多くの標準的な手法のいずれかによって測定することができる。
【0031】
幾つかの多型がCKM、SCN4αおよびLDHαタンパク質のアミノ酸組成の変化に関与し得るため、アッセイ方法はこれらのタンパク質のアミノ酸組成を確認することをさらに含み得る。このタイプの方法あるいは精製および分析方法は、典型的には抗体による蛍光タギング、タンパク質の分離および精製(すなわち逆相HPLC系による)、および存在するアミノ酸配列を同定するための自動化タンパク質シーケンサーの使用、を含んでなる手法を介したタンパク質の単離を含む。このアッセイ用のプロトコールは当業界で標準的かつ公知であり、Ausubelら(編集), Short Protocols in Molecular Biology 第4版. (John Wiley and Sons 1999)に開示される。
【0032】
好適な実施形態では遺伝子サンプルが分析される。簡潔に言うと、遺伝物質のサンプルを動物から得て、このサンプルを分析して、肉質、肥厚な筋肉質および/または遺伝子形態に依存する骨格筋痙攣病と相関があるCKM、SCN4αまたはLDHα遺伝子中の多型の存在または不在を決定する。
【0033】
当業者に周知であるように、核酸分子を配列の違いについて比較する際には様々な技術を利用し得る。これらには、一例として制限断片長多型分析、二本鎖分析、一本鎖高次構造多型分析、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動及び温度勾配電気泳動が含まれる。
【0034】
好適な実施形態では、多型は制限断片長多型であり、アッセイには、単離した遺伝物質由来の動物のCKM、SCN4αまたはLDHα遺伝子を同定すること、この遺伝子を様々な長さの遺伝子制限断片を産生する制限酵素に暴露すること、電気泳動またはHPLC分離等によって制限フラグメントを分離して制限パターンを形成すること、および所望のマーカーを有することまたは有していないことが知られるCKM、SCN4αまたはLDHα遺伝子から生じる制限断片パターンを比較することが含まれる。動物が好適なマーカーについて陽性であると検査される場合、そのような動物は育種プログラムへの包含について考慮されることができる。動物が好適なマーカー遺伝子型について陽性であると検査されない場合、この動物をグループから除くことができるし、さもなくばそれを使用することができる。ハプロタイプデータの使用も、異なる態様の肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病のために、多数の対立遺伝子のスクリーニングに組み込むことができる。
【0035】
最も好適な実施形態では、遺伝子は、多型を含む遺伝子の特定領域を増幅するためのプライマーおよびDNAの使用によって単離することができる。次に、増幅領域を制限酵素で消化して断片を再び分離する。RFLPパターンの可視化は、断片の単純な着色、または増幅に使用されるプライマーまたはヌクレオシド三リン酸の標識化による。別の実施形態では、この発明は、動物をスクリーニングして動物の遺伝的潜在性を決定することを含む。各ブタのCKM、SCN4αまたはLDHα遺伝子中の多型が同定され、肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病と関連付けられる。RFLP分析を使用して多型を決定することが好ましい。
【0036】
別の実施形態では、この発明は、ブタ以外のあらゆる特定の経済的な動物において、肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病の遺伝子マーカーを同定する方法を含む。異なる動物間でのこの遺伝子の高保存性およびこれらの高保存領域内における多型の位置に基づいて、本明細書に記載される慣用的な試験以外を要せずに、これらのマーカーを異なる動物種に適用して、本明細書に記載される技術に基づいて肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病について選択することができることが予想される。同一品種、交雑種または同種の遺伝的系統のオスおよびメス動物が交配され、各動物によって産出される肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病が決定されかつ相関付けられる。配列が利用可能な別の動物については、配列のBLAST比較を用いて、特定の対立遺伝子が本明細書に開示されるものと類似しているか否かを確かめてもよい。類似の多型が他の動物および他の密接に関連する遺伝子中に存在するであろう。「類似の多型」という用語は、BLAST比較によって決定されたものとして本明細書に開示されるいずれかのものとまさに同一の多型であるものとする。
【0037】
以下の用語を用いて2つ以上の核酸またはポリヌクレオチド間の配列の関係を記載する:(a)「参照配列」、(b)「比較ウィンドウ」、(c)「配列同一性」、(d)「配列同一性%」、および(e)「実質同一性」。
【0038】
(a)本明細書で用いられる「参照配列」は配列比較用の基礎として使用される規定の配列である。この場合、参照配列はCKM、SCN4α、およびLDHαである。参照配列は指定の配列のサブセットまたは全体、すなわち、例えば全長cDNAまたは遺伝子配列の断片、あるいは完全なcDNAまたは遺伝子配列であってもよい。
【0039】
(b)本明細書で用いられる「比較ウィンドウ」は、ポリヌクレオチド配列の連続的かつ指定の断片に対する参照を含む。ここで、ポリヌクレオチド配列を参照配列と比較してもよく、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列の一部は2つの配列の最適化アライメントのために(付加または欠失を含まない)参照配列と比較される付加または欠失(すなわちギャップ)を含んでもよい。一般的に、比較ウィンドウは少なくとも連続した20ヌクレオチドの長さであり、場合により30、40、50、100またはそれ以上であり得る。当業者は、ポリヌクレオチド配列へのギャップの混在に起因する参照配列との高い同一性を回避するために、典型的にはギャップペナルティを導入して、マッチ数から差し引くことを理解している。
【0040】
比較のための配列アライメント方法は当業界で周知である。比較のための配列最適アライメントは、SmithおよびWatermanの局部的相同性アルゴリズム(Adv. Appl. Math. 2:482 (1981))、NeedlemanおよびWunschの相同性アライメントアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48:443 (1970))、PearsonおよびLipmanの類似性検索方法(Proc. Natl. Acad. Sci. 85:2444 (1988))、これらのアルゴリズムのコンピューター実施によって構築することもでき、非限定的にIntelligenetics(Mountain View, California)によるPC/Geneプログラム中のCLUSTAL; Wisconsin Genetics Software Package中のGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA,およびTFASTA(Genetics Computer Group (GCG), 575 Science Dr., Madison, Wisconsin, USA)が含まれ、CLUSTALプログラムはHigginsおよびSharp(Gene 73:237-244 (1988))、HigginsおよびSharp(CABIOS 5:151-153 (1989))、Corpetら(Nucleic Acids Research 16:10881-90 (1988))、Huangら(Computer Applications in the Biosciences 8:155-65 (1992))、ならびにPearsonら(Methods in Molecular Biology 24:307-331 (1994))によって十分に記載されている。データベース類似性検索に使用することができるBLASTファミリーのプログラムには、ヌクレオチド照会配列対ヌクレオチドデータベース配列用のBLASTN、ヌクレオチド照会配列対タンパク質データベース配列用のBLASTX、タンパク質照会配列対タンパク質データベース配列用のBLASTP、タンパク質照会配列対ヌクレオチドデータベース配列用のTBLASTN、およびヌクレオチド照会配列対ヌクレオチドデータベース配列用のTBLASTXが含まれる。Current Protocols in Molecular Biology,19章, Ausubelら編, Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (1995)を参照されたい。
【0041】
特に明記しない限り、本明細書で提供される配列同一性/類似性の値は、BLAST 2.0プログラムパッケージソフト(デフォルトのパラメーターを用いる)を用いて得られる値を指す(Altschulら, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402 (1997))。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、例えば、National Center for Biotechnology-Information (http://www.hcbi.nlm.nih.gov/)を介して公共的に利用可能である。
【0042】
このアルゴリズムは、照会配列中の長さWの短いワードを同定することによって、データベース配列中の同一の長さのワードと一緒に整列させる際に、ある正数の閾値スコアTと一致するかまたはこれを満たすハイ・スコアリング・シーケンス・ペア(high-scoring sequence pairs(HSP))を最初に同定することを含む。Tは近傍ワードスコア閾値と称する(Altschulら、前掲)。これらの最初の近傍ワードヒット(initial neighborhood word hits)は、検索を開始してこれらを含む長いHSPを見出すための源(seed)として働く。続いて、ワードヒットは、累積的なアライメントスコアが増加しうる所まで各配列に沿って両方向に伸長される。累積的スコアはヌクレオチド配列用のパラメーターM(一致する残基のペアについての報酬スコア;常に0より大きい)とN(不一致の残基についてのペナルティスコア;常に0より小さい)を用いて算出される。アミノ酸配列について、スコアマトリックスを用いて累積的スコアを算出する。累積的アライメントスコアがその獲得した最大値から量X減少する、すなわち累積的スコアが1以上の負のスコアリング残基アライメントの蓄積に起因して0以下になるか、または各配列の末端に達する際に、各方向におけるワードヒットの伸長が中止される。BLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXはアライメントの感度と速度を決定する。BLASTNアルゴリズム(ヌクレオチド配列用)はデフォルトとしてワード長(W)11、期待値(E)10、カットオフ100、M=5、N=−4、および両鎖の比較を用いる。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムはデフォルトとしてワード長(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアマトリックス(Henikoff & Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915)を用いる。
【0043】
配列同一性%を算出することに加えて、BLASTアルゴリズムは2つの配列間の類似性の統計学的分析も行う(例えばKarlin & Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787 (1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の一測定値は最小の合計確率(P(N))であり、これは2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列間で一致が偶然に生じる確率を示す。
【0044】
BLAST検索はタンパク質をランダムな配列としてモデル化し得ると仮定する。しかし、多くの現実のタンパク質は、ホモポリメリック・トラクト(homopolymeric tracts)、短周期反復(short-period repeats)、または1以上のアミノ酸で富化された領域であり得る非ランダム配列の領域を含む。このような低コンプレキシティ領域は、たとえタンパク質の他の領域が完全に異なっていても無関係なタンパク質間で整列され得る。いくつかの低コンプレキシティフィルタープログラムを用いてそのような低コンプレキシティアライメントを減少させてもよい。例えばSEG(WootenおよびFederhen, Comput. Chem., 17:149-163 (1993))およびXNU(ClaverieおよびStates, Comput. Chem., 17:191-201 (1993))低コンプレキシティフィルターを単独で、あるいは組合せて使用することができる。
【0045】
(c)本明細書で用いられる2つの核酸またはポリペプチド配列における「配列同一性」あるいは「同一性」は、特定の比較ウィンドウ上で最も一致するように整列させる際に、同一である2つの配列中の残基への参照が含まれる。配列同一性%がタンパク質に関して使用される場合、一致しない残基の位置が保存的アミノ酸置換(アミノ酸残基が類似の化学的特性(例えば電荷または疎水性)を有する別のアミノ酸残基に置換され、その結果、分子の機能的特性が変化しない)によってしばしば異なることが認められる。配列が保存的置換の点で異なる場合、配列同一性%は置換の保存的性質を補正すべく、上向きに調整され得る。そのような保存的置換によって異なっている配列が「配列類似性」または「類似性」を有すると言われている。この調整をする方法は当業者に周知である。典型的に、これは完全ミスマッチでなく部分的ミスマッチとして保存的置換をスコアリングすることを含み、それにより、配列同一性%が増加される。したがって、例えば、同一のアミノ酸にスコア1が与えられ、非保存的置換にスコア0が与えられる場合に、保存的置換に0〜1のスコアが与えられる。保存的置換のスコアリングは、例えばプログラムPC/GENE(Intelligenetics, Mountain View, California, USA)において実行されるMeyersおよびMillerのアルゴリズム(Computer Applic. Biol. Sci., 4:11-17 (1988))に従って算出される。
【0046】
(d)本明細書で用いられる「配列同一性%」は、比較ウィンドウ上で最適に整列された2つの配列を比較することによって決定された値を意味し、ここで、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列の一部は、2つの配列の最適アライメントのための(付加または欠失を有さない)参照配列と比較して付加または欠失(すなわちギャップ)を含み得る。この割合は、一致する位置数を得るために両方の配列中に生じている同一の核酸塩基またはアミノ酸残基の位置数を決定し、一致する位置数を比較ウィンドウ中の位置の総数で割算し、かつ配列同一性%を与えるべく生じた数値を100倍することによって算出される。
【0047】
(e)ポリヌクレオチド配列の「実質同一性」という用語は、ポリヌクレオチドが、記載されるアライメントプログラムの一つを用いて(標準パラメーターを用いる)参照配列と比較して、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むことを意味する。当業者は、遺伝暗号の縮重、アミノ酸類似性、読み枠の位置決定等を考慮することによってこれらの値を適切に調整して、2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性を決定することができることを理解するだろう。これらの目的のために、アミノ酸配列の実質同一性は通常、少なくとも60%、または好ましくは少なくとも70%、80%、90%、そして最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を意味する。
【0048】
これらのプログラムおよびアルゴリズムにより、本明細書に開示される多型に対する標的遺伝子中の特定の多型の類似性を確かめることができる。この多型が別の動物にも存在すること、および本明細書に開示されるもの以外の動物において、本明細書の教示を用いた通常のパラメーターの最適化のみを含む同一の使用が期待される。
【0049】
代替DNAマーカーの特定の対立遺伝子と、特定の遺伝子と関連することが知られているDNAマーカーの対立遺伝子(これらは以前に特定の形質と関連することが示されている。)との間の関連を確立することも可能である。したがって、このような状況の中で、CKM、SCN4αまたはLDHα遺伝子を取り上げて、少なくとも短期間で、より良い肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病の減少の可能性を産出しそうなブタを選抜することは可能であるし、あるいは、より劣悪な肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病を産出しそうなブタに対しては、間接的に、代替染色体マーカーの特定の対立遺伝子の選択を介してCKM、SCN4αまたはLDHα関連マーカーの特定の対立遺伝子を選択することによって選抜することが可能であろう。
【0050】
本明細書で用いられるように、特定の多型は、しばしば特定の制限酵素の名称によって呼称される。これは部位を同定し得る方法が単に制限酵素の使用によって行われることを意味するものではない。特定の多型を同定することに使用することができる他の制限酵素を同定するために当業者が利用可能な非常に多くのデータベースおよび供給源が存在し、例えばhttp://darwin.bio.geneseo.eduは同定されるべき配列及び多型の分析における制限酵素を与えることができる。実際に、本明細書の教示に開示されるように、実際制限酵素を含まなくてもよいが同一の遺伝子またはタンパク質代替形態についてアッセイする代替的な方法を用いた、特定の多型または対立遺伝子を同定する非常に多くの方法が存在する。
【0051】
本発明のさらに別の実施形態では、ブタのCKM、SCN4α、およびLDHαをコードする新規のブタヌクレオチド配列が同定され開示されている。ブタCKM、SCN4α、およびLDHα遺伝子のcDNAならびにいくつかのイントロンDNAが開示されている。これらの配列は、この発明のSNPをアッセイするためのプライマーの設計、または組換えCKM、SCN4α、またはLDHαの産生に用いることもできる。本発明には、これらの配列、保存的に改変されたその全ての変異体、および高ストリンジェントな条件下で、開示される配列とハイブリダイズする配列が含まれることが意図されている。本明細書で用いられるCKM、SCN4αおよびLDHαという用語は、それらの保存的に改変された変異体およびそのようなハイブリダイズする配列を含むように解釈される。
【0052】
「保存的に改変された変異体」という用語は、アミノ酸およびヌクレオチド配列の両方に適用する。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された変異体は、同一のアミノ酸配列または保存的に改変されたそのアミノ酸配列の変異体をコードする核酸を指す。遺伝暗号の縮重のために、非常に多くの機能的に同一の核酸が所与のタンパク質をコードする。例えばコドンGCA、GCC、GCGおよびGCUは全てアミノ酸のアラニンをコードする。したがって、あるコドンによって特定されるアラニンの全ての位置で、コードされるポリペプチドを変えることなくコドンを記載のあらゆる対応のコドンに変えることができる。このような核酸変異は「サイレント変異」であり、保存的に改変された変異体の一種を表す。ポリペプチドをコードする本明細書の全ての核酸配列は、遺伝子コードを参照して、核酸の全ての可能なサイレント変異も記載する。当業者は核酸中の各コドン(AUG(通常はメチオニン用の唯一のコドンである)、およびUGG(通常はトリプトファン用の唯一のコドンである)を除く)を改変して、機能的に同一の分子を作製することができる。したがって、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列の各サイレント変異は、記載の各ポリペプチド配列中に内在し、本発明の範囲内である。
【0053】
アミノ酸配列について、コードされる配列中の単一のアミノ酸またはわずかな割合のアミノ酸を変化、付加または欠失させる、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失または付加が、変化が一アミノ酸の化学的に類似するアミノ酸への置換をもたらす場合に「保存的に改変された変異」であることを当業者は理解するだろう。したがって1〜15からなる整数の群から選択される任意数のアミノ酸残基がそのように変化し得る。したがって、例えば1、2、3、4、5、7または10個の変化をし得る。典型的に、保存的に改変された変異体は、それらが由来する未改変のポリペプチド配列と類似する生物学的活性を与える。例えば、基質特異性、酵素活性、またはリガンド/レセプター結合性は一般的に、その天然基質用の天然タンパク質の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%である。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換表は当業界で周知である。
【0054】
以下の6群は互いに保存的に置換し得るアミノ酸をそれぞれ含む:
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)
4)アルギニン(R)、リシン(K)
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)
Creighton, Proteins, W.H. Freeman and Company (1984)も参照されたい。
【0055】
特定の核酸について、「コードする」または「コードされる」は、特定のタンパク質へ翻訳するための情報を含むことを意味する。タンパク質をコードする核酸は、核酸の翻訳領域内に非翻訳配列(例えばイントロン)を含んでもよいし、あるいはそのような介在する非翻訳配列を欠いてもよい(例えばcDNAの場合)。タンパク質をコードする情報はコドンを用いて特定される。典型的に、アミノ酸配列は核酸によって「普遍の」遺伝子コードを用いてコードされる。しかし、例えば一部の植物、動物、および菌類ミトコンドリア、細菌マイコプラズマ・カプリコーラム(Mycoplasma capricolum)、または繊毛虫マクロヌクレウス(Macronucleus)に存在するような普遍のコードの変異体を、核酸がこれらの中で発現される場合に用いてもよい。
【0056】
「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語は、プローブが他の配列よりも検出可能により大きい程度(例えば、バックグラウンドの少なくとも2倍以上)にその標的配列にハイブリダイズする条件を参照することを含む。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、異なる環境下では異なる。ハイブリダイゼーション条件および/または洗浄条件のストリンジェンシーを制御することによって、プローブと100%相補的な標的配列を同定することができる(同種プロービング)。あるいは、ストリンジェントな条件を、配列中にいくらかのミスマッチを許容するように調整することによって、低度の類似性を検出することができる(異種プロービング)。一般的に、プローブは約1000ヌクレオチド以下の長さであり、場合によっては500ヌクレオチド以下の長さである。
【0057】
典型的に、ストリンジェントな条件は、塩濃度がpH7.0〜8.3で約1.5M Naイオン濃度以下、典型的には約0.01〜1.0M Naイオン濃度(または別の塩)であり、温度が短いプローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)については少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば50ヌクレオチド以上)については少なくとも約60℃の温度である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤を伴って設定されてもよい。例示的な低ストリンジェンシー条件には、37℃で、30〜35%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)のバッファー溶液を用いたハイブリダイゼーション、および50〜55℃で1X〜2X SSC(20X SSC=3.0M NaCl/0.3M クエン酸三ナトリウム)中での洗浄が含まれる。例示的な中ストリンジェンシー条件には、37℃で、40〜45%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、および55〜50℃で0.5X〜1X SSC中での洗浄が含まれる。例示的な高ストリンジェンシー条件には、37℃で、50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、および60〜65℃で0.1X SSC中での洗浄が含まれる。
【0058】
特異性は典型的に、ハイブリダイゼーション後の洗浄の関数であり、その重要な要素は、最終洗浄溶液のイオン強度と温度である。DNA-DNAハイブリッドのために、TmはMeinkothおよびWahlの式(Anal. Biochem., 138:267-284 (1984)):Tm=81.5℃+16.6(log M)+0.41(GC%)−0.61(ホルムアミド%)−500/L(ここで、Mは一価陽イオンのモル濃度、GC%はDNA中のグアノシンおよびシトシンヌクレオチドのパーセンテージ、ホルムアミド%はハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージ、そしてLが塩基対中のハイブリッドの長さである)から近似値を求めることができる。Tmは、(規定のイオン強度及びpH下で)相補的な標的配列の50%が完全に一致するプローブとハイブリダイズする温度である。Tmは1%のミスマッチ毎に約1℃低くなり、したがって、Tm、ハイブリダイゼーション条件および/または洗浄条件を所望の同一性を有する配列とハイブリダイズするよう調整することができる。例えば、90%以上の同一性を有する配列を探す場合、Tmを10℃下げることができる。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHで、特定の配列およびその相補鎖の融点温度(Tm)より約5℃低く選択される。しかし、厳格なストリンジェント条件は融点温度(Tm)よりも1、2、3または4℃低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができ、中ストリンジェント条件は融点温度(Tm)よりも6、7、8、9または10℃低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができ、低ストリンジェント条件は融点温度(Tm)よりも11、12、13、14、15または20℃低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができる。式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄組成物、ならびに所望のTmを用いることにより、当業者は、ハイブリダイゼーション溶液および/または洗浄溶液のストリンジェンシーの変化が固有に記載されることを理解するだろう。所望のミスマッチの程度が45℃(水溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)以下のTmを生じる場合は、より高い温度を用いることができるようにSSC濃度を増加させることが好ましい。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範な手引きはTijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acids Probes, Part I, Chapter 2, Ausubelら編集, Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (1995)中に見出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
好適な実施形態の詳細な説明
本発明はCKM、SCN4α、およびLDHα遺伝子中の多型の存在または不在を明らかにする方法に関する。これらの遺伝子中の1以上の多型の存在または不在は、動物の肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病と相関があることが見出されている。
【0060】
筋クレアチンキナーゼ遺伝子は骨格筋などの特定の需要組織におけるエネルギー変換(ATP+クレアチン=ADP+ホスホクレアチン)に重要な細胞タンパク質である。この遺伝子の物理的地図の位置はSSC6である。
【0061】
クレアチンキナーゼ/クレアチンリン酸系は、主に脳、筋肉、心臓、網膜、脂肪組織および腎臓で働くエネルギー生成系である(Wallimannら, Biochem. J., 281: 21-401 (1992))。クレアチンキナーゼはリン酸基転移酵素であり、局部的な細胞内部位でクレアチンリン酸由来のホスホリル基のADPへの転移を可逆的に触媒して、細胞内の主なエネルギー源であるATPを生成する。CKは、ニューロン、光受容体、筋細胞などの断続的に高く、流動的なエネルギー要求を伴う細胞のエネルギー恒常性において鍵となる役割を果たす。CKは組織特異的な様式(CK-M(筋肉型)およびCK-B(脳型))で発現される。CKはエネルギー生産(解糖およびミトコンドリア)またはエネルギー消費(アクトミオシンATPアーゼおよびCa++-ATPアーゼ)の部位と機能的に結合された独立の細胞区画に局在化する。
【0062】
ナトリウムチャネル電位ゲーティング4型α(SCN4α)遺伝子は、興奮−収縮を制御する興奮性膜の電位依存性Na透過性を仲介する骨格筋中の不可欠な膜タンパク質をコードし、ブタのストレス症候群の候補物質として提唱されている。ヒトおよびウマにおけるSCN4α中の突然変異は、高カリウム血症性周期性麻痺(HYPP)、すなわち筋肉の硬直と痙攣の伴った過興奮性によって特徴付けられる疾患、を引き起こす。ウマにおいて、HYPPは肥厚な筋肉質について選抜されたウマ中に現れる。SCN4α遺伝子は肉質に関与するブタの第12p染色体に位置すると思われる。分析されたゲノムPCR産物は、SCN4αのエクソン1〜3に由来する563bpのPCR産物(356bpのエクソン、207bpのイントロン)を含み、様々な品種において直接配列決定され、多くの潜在的に有用なSNPが同定されている。1つのSNP(バリンからイソロイシン)はエクソン2における予測されるアミノ酸翻訳に影響する。コード領域は、ハロセイン(halothane)陰性ブタにおける筋肉振せんおよび過度に肥厚な筋肉質の原因であり得る突然変異について検索された。被検されるブタと対照のブタ由来のコード領域をRT-PCR増幅し、7つの重複するcDNA産物から配列決定した。5’UTR部分および3’UTR部分を含む完全なコード領域(合計6279bp)をこれらの各ブタから配列決定した。追加の被検ブタ(別の痙攣性ハロセイン陰性ブタならびにRandy Schmidtの腹子(2)およびストレスブタの母ブタ(2))における突然変異は、ゲノムDNAから増幅した最大(約1232bp)かつおそらく最も関心のあるエクソン24(一部のヒト筋肉疾患突然変異およびウマのHYPP突然変異が位置する)中で検索された。全体で非常に多くのSNPがブタのSCN4α遺伝子中で同定され、その内の3つはアミノ酸変化に対応する。PCR-RFLP(PstI、SalI、およびBsrI)がこれら3つについて設計された。これらのSNPは本発明者らの関連の研究から肉質と関連していた。
【0063】
乳酸デヒドロゲナーゼαは、嫌気的解糖の最終ステップで乳酸をピルビン酸に転換する。乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH; EC 1.1.127)は、乳酸およびピルビン酸と補酵素ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)との相互転換を触媒する(Everse, J.,およびN.O. Kaplan. 1973. Lactate dehydrogenase: structure and function. Adv. Enzymol. 28: 61-133)。脊椎動物では、3つの異なるLDHアイソザイムのサブユニット(LDH-A(筋肉)、LDH-B(心臓)およびLDA-C(精巣))が存在する(Market, C.L., Shaklee, J.B. & Whitt, G.S. (1975) Science 189, 102-114)。
【0064】
本発明によって、出願人は、動物における改善した肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病の可能性と相関があるCKM、SCN4α、およびLDHα遺伝子の幾つかの異なる対立遺伝子を同定した。
【0065】
本明細書に開示される発明が本明細書に記載される特定の方法論、プロトコール、動物種または属に限定されず、これらが変わり得ることは理解されるべきである。また本明細書で使用される用語は特定の実施形態を記載することのみを目的とし、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。
【0066】
本発明の目的のために、以下の用語が下記で定義されている。
【0067】
本明細書で使用される「対立遺伝子」は遺伝子座の代替的な形態を意味する。
【0068】
本明細書で使用される「遺伝子座」は多型の核酸が存在する核酸領域を指す。
【0069】
本明細書で使用される「プローブ核酸」は、RNAあるいはDNAまたはそれらの類似体である。プローブはどんな長さであってもよい。典型的なプローブにはPCRプライマー、PCRアンプリコン、および目的の遺伝子座をコードするクローニングされたゲノム核酸が含まれる。
【0070】
本明細書で使用される「遺伝子マーカー」は、DNA多型を明らかにするあらゆる形態的、生化学的、または核酸を基礎とする表現型差異を意味する。遺伝子マーカーの例として、非限定的にRFLP、RAPDおよびAFLPが含まれる。
【0071】
本明細書で使用される「有利な肉質および/または筋成長」は、有利な肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病の可能性を指す。これは多くの測定可能な肉質または筋成長形質(肥厚な筋肉質および/または骨格筋痙攣病)の1つにおいて、所与の集団の平均を超える有意な増加または減少(改善)を意味し、これによりこの情報を使用して肉質および/または筋成長について最適化された均一の集団を得ることが可能であり、これには一部の形質の増加、または所望の特性に依存するその他の形質の減少が含まれ得る。
【0072】
本明細書で使用される「遺伝子型分類」は、候補遺伝子および遺伝子マーカーを用いて個体の遺伝子組成を決定する工程を意味する。
【0073】
本明細書で使用される「遺伝子型」は、生物の身体的外観(その表現型)から区別される、生物の遺伝子構成を意味する。
【0074】
本発明によれば、これらの多型とこれらの形質との関連性により、生まれて間もなく、肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病を有する特定の品種または遺伝子系統あるいは動物の遺伝子マーカーを同定することを可能にする。
【0075】
この発明によって同定される一塩基多型の一つは、CKM遺伝子の5’UTR(配列番号1)に位置するC(対立遺伝子1)からT(対立遺伝子2)への一塩基変化を表す。この多型についての試験は制限酵素MspA1Iを用いて開発された。
【0076】
この発明のさらに別の実施形態は、CKM遺伝子中のG(対立遺伝子1)からT(対立遺伝子2)への変化によって同定される一塩基多型を表す(配列番号2)。この多型についての試験は制限酵素BamHIを用いて開発された。
【0077】
本発明の別の実施形態はCKM遺伝子のエクソン2(配列番号2)中に9塩基対(bp)の挿入/欠失である。観察した対立遺伝子は対立遺伝子1中の-TGAGCTTCC-ヌクレオチド配列であり、これは対立遺伝子2中には存在しない。
【0078】
別のハプロタイプ分析を実施して、CKM中で同定したマーカーの有利な組合せを同定した(実施例10を参照のこと)。
【0079】
さらに別の実施形態は以下の変化によって表されるブタのSCN4α遺伝子中に見られる一塩基多型である:(a)エクソン24(配列番号3)中のC(対立遺伝子1)からG(対立遺伝子2);(b)エクソン11(配列番号4)中のG/A;またはエクソン2(配列番号5)中のG/A。これらの多型についての試験は(a)においては制限酵素BsrI、(b)においては制限酵素PstIおよび(c)においては制限酵素SalIを用いてなされた。この遺伝子の物理的地図の位置はSSC(2/3)p13-p11である。
【0080】
本発明に従って同定される別の一塩基多型は、多型塩基Rによって特徴付けられる、ブタのLDH-α遺伝子のエクソン5(配列番号6)中のサイレント突然変異である(RはGまたはAである)。この多型についての試験は制限酵素AciIを用いて開発された。
【0081】
このように、本発明は経済的に価値のある動物中の形質についての遺伝子マーカーに関する。このマーカーは、肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病と有意に関連する対立遺伝子を表し、したがって、このような形質と相関するCKM、SCN4α、またはLDHα遺伝子中の多型の存在あるいは不在を同定することによって交配される際に、動物を遺伝子型分類して、良質の肉、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病(これらの1つまたは全てのレベル)をより産生しそうな個体を決定する方法を提供する。
【0082】
したがって、本発明は遺伝子マーカーおよび特定の動物、品種、系統、集団、または群の動物においてこれらのマーカーを同定する方法に関し、これにより動物は良質の肉、肥厚な筋肉質、および/または骨格凝集性疾患の肉をより産出すると思われる。
【0083】
これらのマーカーの存在または不在を同定するどのような方法が用いられてもよく、例えば、CKM、SCN4α、またはLDHα遺伝子、あるいはCKM、SCN4α、またはLDHα遺伝子の別の連結配列の、一本鎖高次構造多型(SSCP)分析、塩基切断配列走査(BESS)、RFLP分析、ヘテロ二本鎖分析、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動、温度勾配ゲル電気泳動、対立遺伝子PCR、配列決定のためのリガーゼ連鎖反応、ミニシーケンシング、核酸ハイブリダイゼーション、マイクロアレイ型検出が含まれる。この多型の存在下で生じるタンパク質立体構造または配列の変化についてのアッセイも本発明の範囲に含まれる。多型は原因となる突然変異であってもなくてもよいが、この変化の存在の指標であり、かつ表現型差意について遺伝子またはタンパク質に基づいてアッセイし得るものである。
【0084】
以下はこの発明の多型についてアッセイするために用いることができる技術の一般的な概要である。
【0085】
本発明において、遺伝物質のサンプルは動物から得られる。サンプルは血液、組織、精液等から得ることができる。一般的に末梢血細胞が供給源として用いられ、遺伝物質はDNAである。十分な量の細胞を得て、分析に十分な量のDNAが提供される。この量は当業者に公知であるかまたは容易に決定可能であろう。DNAは当業者に公知の技術によって血液細胞から単離される。
【0086】
核酸の単離と増幅
ゲノムDNAサンプルは、唾液、頬側細胞、毛根、血液、臍帯血、羊膜液、間質液、腹水、柔毛膜を含むあらゆる適切な供給源、および無傷の間期核または中期細胞を含む他のあらゆる安定な細胞あるいは組織サンプルから単離される。細胞は固体組織から得ることができ、同様に新鮮なまたは保存された器官あるいは組織サンプルまたはバイオプシーから得ることができる。サンプルは、防腐剤、血液凝固阻止剤、緩衝液、固定液、栄養物質、抗生物質などの、生体物質が本来的に混在されていない化合物を含むことができる。
【0087】
これらの様々な供給源からゲノムDNAを単離する方法は、例えばKirby, DNA Fingerprinting, An Introduction, W.H. Freeman & Co. New York (1992)に記載されている。ゲノムDNAは一次培養または二次培養細胞、あるいは前述の組織サンプルのいずれかに由来する形質転換細胞系から単離することもできる。
【0088】
動物のRNAサンプルも使用することができる。RNAはSambrookら(前掲)に記載されるように遺伝子を発現する組織から単離することができる。RNAは細胞の総RNA、mRNA、ポリA+RNA、またはそれらのあらゆる組合せであり得る。最良の結果を出すためにRNAは精製されるが、細胞質RNAを精製しなくてもよい。RNAを逆転写してDNAを形成し、その後該DNAを増幅の鋳型として用いて、PCRによりRNA転写産物の特定の集団を間接的に増幅することができる。例えばSambrook, 前掲、Kawasakiら, PCR Technology, 8章 (1992)前掲,およびBergら, Hum. Genet. 85:655-658 (1990)を参照されたい。
【0089】
PCR増幅
増幅の最も共通の手法は、米国特許第4,683,195;4,683,202;および4,965,188(いずれも参照により本明細書に組み入れる)に記載されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。PCRが血液細胞中の標的領域を増幅することに使用される場合、ヘパリン添加全血は他のサンプルと分けられて維持された密閉の真空管中に誘引され、汚染されていない手袋を用いて取り扱われる。最良の結果を出すために、血液は収集後直ちに処理されるものとし、これが不可能な場合は、使用まで密封容器中4℃で維持される。他の生理学的な体液中の細胞をアッセイしてもよい。これらのいずれかの体液を使用する際、遠心分離によって体液中の細胞を体液成分から分離する。
【0090】
滅菌の使い捨てメスと滅菌針(または2つのメス)を用いて、組織を5mmのペトリ皿中で粗くミンチにする。組織切片からパラフィンを除去する手順は、当業者に周知の様々な専門的なハンドブックに記載されている。
【0091】
サンプル中の標的核酸配列をPCRによって増幅するために、配列は増幅系の成分に接近可能でなければならない。標的DNAを単離する一方法は、比較的大きなサンプルに有用な粗抽出である。簡潔に言うと、血液サンプル由来の単核細胞、羊膜液由来の羊膜細胞、培養した柔毛膜細胞等は、標準的な手順によって滅菌のFicoll-Hypaque勾配に層化することにより単離される。間期細胞を収集し、DNA抽出前に滅菌のリン酸緩衝生理食塩水中で3回洗浄する。末梢血のリンパ球由来のDNAを試験する場合は、浸透圧ショック(蒸留水を用いた10秒間のペレット処理)が勧められ、続いて最初の洗浄後に残存の赤血球細胞が見える場合にはさらに2回の洗浄がなされる。これはヘモグロビンにより運搬されるヘム基のPCR反応への阻害効果を防止するだろう。PCR試験がサンプル収集後直ちに実施されない場合は、106個の細胞のアリコートが滅菌のエッペンドルフチューブ中でペレット化され、使用まで−20℃でペレットが凍結乾燥される。
【0092】
細胞は、100μg/mlのプロテイナーゼKを補充した、50mM Tris-HCL(pH 8.3)、50mM KCl 1.5mM MgCl2、0.5% Tween20、および0.5% NP40の緩衝液中で再懸濁される(100μl当たり106個の有核細胞)。56℃で2時間のインキュベーション後、細胞を95℃まで10分間加熱してプロテイナーゼKを不活化し、直ちに氷水に移す(急冷却)。大きな凝集塊が存在する場合は、同一の緩衝液中で別サイクルの消化がなされるものとする。この抽出液の10μlを増幅に用いる。
【0093】
組織、例えば柔毛膜細胞または集密的な培養細胞からDNAを抽出する際、プロテイナーゼKを含む上述の緩衝液の量は組織サンプルの大きさによって変化し得る。抽出液を50℃〜60℃で4〜10時間インキュベートし、その後95℃で10分間インキュベートしてプロテイナーゼが不活化される。長いインキュベーションの間、新しいプロテイナーゼKを約4時間後に元の濃度で添加するものとする。
【0094】
サンプルが小数の細胞を含む場合、抽出はHiguchi, 「Simple and Rapid Preparation of Samples for PCR」、PCR Technology, Ehrlich, H.A. (編集), Stockton Press, New York(参照により本明細書に組み入れる)に記載される方法で行ってもよい。PCRを用いて、骨髄および末梢血培養物の個々のコロニーに由来する非常に少数の細胞(1000〜5000)中の標的領域を増幅することができる。サンプル中の細胞を20μlのPCR溶解緩衝液(10mM Tris-HCl(pH 8.3)、50mM KCl、2.5mM MgCl2、0.1mg/ml ゼラチン、0.45% NP40、0.45% Tween 20)中で懸濁し、使用まで凍結する。PCRを実施する場合、0.6μlのプロテイナーゼK(2mg/ml)をPCR溶解緩衝液中の細胞に添加する。続いてサンプルを約60℃まで加熱し、1時間インキュベートする。消化は、サンプルを95℃まで10分間加熱し、その後氷上で冷却することによるプロテイナーゼKの不活化によって停止する。
【0095】
PCR用のDNAを抽出する比較的簡単な手順は、Millerら, Nucleic Acids Res. 16:1215 (1988)(参照により本明細書に組み入れる)に記載される方法から採用される塩析処置である。単核細胞はFicoll-Hypaque勾配上で分離される。細胞は3mlの溶解緩衝液(10mM Tris-HCl、400mM NaCl、2mM Na2 EDTA、pH8.2)中で再懸濁される。50μlの20mg/mlプロテイナーゼK溶液および150μlの20%SDS溶液を細胞に添加し、その後一晩37℃でインキュベートする。インキュベーション中のチューブの振とうによりサンプルの消化が改善されるだろう。プロテイナーゼK消化が一晩のインキュベーション後で不完全である場合(断片が依然として見える)は、さらに50μlの20mg/mlプロテイナーゼK溶液を溶液中に混合し、穏やかに振とうまたは回転する操作台上で、37℃でもう一晩インキュベートする。十分な消化に続いて、1mlの6M NaCl溶液をサンプルに添加して激しく混合する。生じた溶液を3000rpmで15分間遠心分離する。ペレットは沈殿した細胞タンパク質を含み、上清はDNAを含む。上清を4mlのイソプロパノールを含む15mlチューブに移す。チューブの内容物を水層とアルコール層が混合され、DNA沈殿物が形成されるまで穏やかに混合する。DNA沈殿物を取り出し、70%エタノール溶液中に入れ、穏やかに混合する。DNA沈殿物をエタノールから除き、空気乾燥する。沈殿物を蒸留水中に入れ、溶解する。
【0096】
PCR用の高分子量のDNAを抽出するためのキットには、Genomic Isolation Kit A.S.A.P. (Boehringer Mannheim, Indianapolis, Ind.)、Genomic DNA Isolation System (GIBCO BRL, Gaithersburg, Md.)、Elu-Quik DNA Purification Kit (Schleicher & Schuell, Keene, N.H.)、DNA Extraction Kit (Stratagene, LaJolla, Calif.)、TurboGen Isolation Kit (Invitrogen, San Diego, Calif.)などが含まれる。製造者の使用説明書によるこれらのキットは、一般的に本発明の方法の実行前のDNA精製に使用可能である。
【0097】
抽出したDNAの濃度および純度は、260nmおよび280nmでの希釈アリコートの吸光度の分光測光分析によって決定することができる。DNA抽出後にPCR増幅を行ってもよい。PCRの各サイクルの第1ステップは、プライマー伸長によって形成される二本鎖核酸の分離を含む。いったん鎖が分離されれば、PCRにおける次のステップは分離鎖と標的配列にフランキングするプライマーとをハイブリダイズすることを含む。その後、プライマーを伸長して標的鎖の相補的コピーを形成させる。PCR増幅を成功させるために、二本鎖配列に沿ってハイブリダイズする各プライマーの位置が、1つのプライマーから合成される伸長産物が鋳型(相補鎖)から分離する際に他方のプライマーの伸長のための鋳型として働くような位置であるようにプライマーが設計される。変性、ハイブリダイゼーション、および伸長のサイクルは、所望量の増幅核酸を得るのに必要な回数だけ繰り返される。
【0098】
PCR増幅の特に有用な実施形態において、鎖の分離は、二本鎖の変性を生じさせるがポリメラーゼの不可逆的変性は生じない十分に高い温度まで十分な時間反応液を加熱することにより達成される(参照により本明細書に組み入れる米国特許第4,965,188を参照のこと)。典型的な熱変性は、数秒から数分の範囲の時間の間、約80℃〜105℃の範囲の温度を含む。しかし鎖の分離は、物理的、化学的、または酵素的手段を含むあらゆる適切な変性方法によって行うことができる。鎖の分離は、例えばヘリカーゼ、またはヘリカーゼ活性を示すことが可能な酵素によって誘導してもよい。例えば、酵素RecAはATPの存在下でヘリカーゼ活性を有する。ヘリカーゼによる鎖の分離に適切な反応条件は当業界で公知である(それぞれ参照により本明細書に組み入れるKuhn Hoffman-Berling, 1978, CSH-Quantitative Biology, 43:63-67;およびRadding, 1982, Ann. Rev. Genetics 16:405-436を参照のこと)。
【0099】
PCRにおけるプライマーの鋳型依存的伸長は、適切な塩、金属陽イオン、およびpH緩衝系からなる反応溶剤中で、十分量の4種のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(典型的にはdATP、dGTP、dCTPおよびdTTP)の存在下において重合剤によって触媒される。適切な重合剤は鋳型依存的DNA合成を触媒することが知られる酵素である。一部の場合では、標的領域は細胞によって発現されるタンパク質の少なくとも一部をコードしてもよい。この場合には、mRNAを標的領域の増幅に使用してもよい。あるいは、更なる増幅のために、PCRを用いてRNAからcDNAライブラリーを作成することができる(プライマー伸長のための最初の鋳型はRNAである)。鋳型RNAから相補的なコピーDNA(cDNA)配列を合成するのに適切な重合剤は逆転写酵素(RT)であり、例えば、トリ骨髄芽球症ウイルスのRT、モロニーマウス白血病ウイルスのRT、またはサーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(Tth)のDNAポリメラーゼ、Perkin Elmer Cetus, Incにより販売される逆転写酵素活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼである。典型的に、鋳型ゲノムRNAは、鋳型DNAのみを放出する最初の逆転写工程後の第1変性工程中に熱分解される。鋳型DNAと共に使用するのに適したポリメラーゼには、例えば大腸菌のDNAポリメラーゼIまたはそのクレノー断片、T4 DNAポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、ならびにサーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)から単離され、かつPerkin Elmer Cetus, Incから商業的に購入可能なTaqポリメラーゼ、熱安定性DNAポリメラーゼが含まれる。後者の酵素は核酸の増幅および配列決定に広く用いられている。Taqポリメラーゼを使用するための反応条件は当業界で公知であり、Gelfand, 1989, PCR Technology(前掲)に記載される。
【0100】
対立遺伝子特異的PCR
対立遺伝子特異的PCRは、変異または多型の存在または不在の点で異なる標的領域間を識別する。特定の対立遺伝子の標的配列のみに結合するPCR増幅プライマーが選択される。この方法はGibbs, Nucleic Acid Res. 17:12427-2448 (1989)によって記載されている。
【0101】
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドのスクリーニング方法
別の診断用スクリーニング方法は、Saikiら, Nature 324:163-166 (1986)によって記載されるように、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)のスクリーニング方法を用いる。1塩基対以上のミスマッチを有するオリゴヌクレオチドがあらゆる特定の対立遺伝子について作製される。突然変異オリゴヌクレオチドに対応してオリゴヌクレオチドの結合の低下を示すASOスクリーニング法は、異なる標的ゲノムDNAまたはPCR増幅されたDNAと非突然変異オリゴヌクレオチドとの間のミスマッチを検出する。オリゴヌクレオチドプローブは、これらが低ストリンジェント条件下で対立遺伝子の多型形態のいずれにも結合するが、高ストリンジェント条件でそれらが対応する対立遺伝子と結合するように設計することができる。あるいは、ストリンジェントな条件は、不可欠なバイナリー(binary)反応が得られるように、すなわち標的遺伝子の変異形態と対応するASOは、その対立遺伝子にハイブリダイズするが、野生型対立遺伝子にはハイブリダイズしないように工夫することができる。
【0102】
リガーゼ仲介対立遺伝子検出方法
試験対象のDNAの標的領域は、リガーゼ仲介対立遺伝子検出によって、影響を受けたまたは影響を受けないファミリーメンバー中の標的領域と比較することができる。Landegrenら, Science 241:107-1080 (1988)を参照されたい。またリガーゼを用いてWuら, Genomics 4:560-569 (1989)に記載されるライゲーション増幅反応(ligation amplification reaction)において点突然変異を検出することもできる。ライゲーション増幅反応(LAR)は、Wu(前掲)、およびBarany, Proc. Nat. Acad. Sci. 88:189-193 (1990)に記載されるように、鋳型依存的ライゲーションの連続的ラウンドを用いて特定のDNA配列の増幅に利用する。
【0103】
変性剤濃度勾配ゲル電気泳動
ポリメラーゼ連鎖反応を用いて作製される増幅産物は、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動を用いて分析することができる。異なる対立遺伝子は、溶液中のDNAの異なる配列依存的な融解特性および電気泳動に基づいて同定することができる。DNA分子は増加した温度または変性の条件下で、融解ドメインと称する断片に融解する。各融解ドメインは別個の塩基特異的融解温度(Tm)で協調的に融解する。融解ドメインは少なくとも20塩基対の長さであり、最大で数百塩基対の長さであり得る。
【0104】
配列特異的な融解ドメインの差異に基づいた対立遺伝子間の判別は、その内容を参照により本明細書に組み入れるErlich編, PCR Technology, 「Principles and Applications for DNA Amplification」,7章, W.H. Freeman and Co., New York(1992)に記載されるように、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて評価することができる。
【0105】
一般的に、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動によって分析されるべき標的領域は、標的領域に隣接するPCRプライマーを用いて増幅される。増幅されるPCR産物を、その内容を参照により本明細書に組み入れるMyersら, Meth. Enzymol. 155:501-527 (1986),およびMyersら,Genomic Analysis, A Practical Approach, K. Davies 編. IRL Press Limited, Oxford, pp. 95-139 (1988)に記載されるように、変性剤の直線的濃度勾配を有するポリアクリルアミドゲルにアプライする。電気泳動システムは標的配列の融解ドメインのTmよりわずかに低い温度に維持される。
【0106】
変性剤濃度勾配ゲル電気泳動の代替的な方法では、Erlichの7章(前掲)に記載されるように、標的配列をGCクランプと称するGCヌクレオチド鎖と最初に結合してもよい。GCクランプ中の少なくとも80%のヌクレオチドがグアニンまたはシトシンのいずれかであることが好ましい。GCクランプは少なくとも30塩基の長さであることが好ましい。この方法は高いTm値を有する標的配列に特に適している。
【0107】
一般的に、標的領域は上述されるようにポリメラーゼ連鎖反応によって増幅される。オリゴヌクレオチドPCRプライマーの一つはその5'末端に、増幅中に標的領域の5'末端に組み込まれるGCクランプ領域(少なくとも30塩基のGC富化配列)をその5’末端にもつ。生じた増幅標的領域を、上述される変性剤濃度勾配条件下で、電気泳動ゲル上で泳動する。一塩基変化で異なるDNA断片はゲル内を通って異なる位置へ移動し、これをエチジウムブロマイド染色によって可視化することもできる。
【0108】
温度勾配ゲル電気泳動
温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)は、変性濃度勾配が化学変性剤の濃度における差異の代わりに温度における差異によって生じることを除いて、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動と同じ基本原理に基づいている。標準的なTGGEは、電気泳動路に沿って形成する温度勾配をもつ電気泳動装置を使用する。サンプルは均一の濃度の化学変性剤を含むゲルを介して移動するため、サンプルは増加する温度に遭遇する。TGGEの別の方法である時間的(temporal)温度勾配ゲル電気泳動(TTGEまたはtTGGE)は、同一の結果を達成するために電気泳動ゲル全体の温度を徐々に高める。サンプルはゲル全体の温度が増加するゲルを介して移動するため、サンプルがゲルを介して移動しながら増加する温度にサンプルを遭遇させることになる。GCクランプの組込みを用いたPCR増幅を含むサンプルの調製、および産物の可視化は変性剤濃度勾配ゲル電気泳動と同じである。
【0109】
一本鎖高次構造多型分析
CKM、SCN4α、およびLDHα座の標的配列または対立遺伝子は一本鎖高次構造多型分析を用いて区別することができ、これはOritaら, Proc. Nat. Acad. Sci. 85:2766-2770 (1989)に記載されるように、一本鎖PCR産物の電気泳動による移動の変化によって塩基の差異を同定する。増幅したPCR産物は上述されるように作製され、加熱またはその他変性されて一本鎖の増幅産物を生じる。一本鎖核酸は、塩基配列に部分的に依存する二次構造に再び折り畳まれ得るかまたは該構造を形成し得る。したがって、一本鎖増幅産物の電気泳動の移動度により、対立遺伝子または標的配列間の塩基配列差異を検出することができる。
【0110】
ミスマッチの化学的または酵素的切断
標的配列間の差異は、Grompeら, Am. J. Hum. Genet. 48:212-222 (1991)に記載されるように、ミスマッチの塩基対の示差的な化学的切断によっても検出することができる。別の方法では、標的配列間の差異は、Nelsonら, Nature Genetics 4:11-18 (1993)に記載されるように、ミスマッチの塩基対の酵素的切断によって検出することができる。簡潔に言うと、動物由来の遺伝物質および影響を受けたファミリーメンバーを用いてミスマッチのないヘテロハイブリッド型DNA二本鎖を作製することもできる。本明細書に記載される「ヘテロハイブリッド」は、ある動物由来のDNA一本鎖と、別の動物(通常、表現型が目的の形質について異なる動物)由来の第2 DNA鎖とを含むDNA二本鎖を意味する。ミスマッチのないヘテロハイブリッドの陽性選抜は、CKM、SCN4αおよびLDHα多型に関連し得る小さな挿入、欠失または別の多型の決定を可能にする。
【0111】
ゲルを用いない系
他の可能な技術としてTAQMANTM(Perkin Elmer)などのゲルを用いない系が含まれる。この系では、問題の突然変異に隣接し、かつこの領域のPCR増幅が可能なオリゴヌクレオチドPCRプライマーが設計される。続いて第3のオリゴヌクレオチドプローブを遺伝子の異なる対立遺伝子間で変化を受けやすい塩基を含む領域とハイブリダイズするように設計する。このプローブの5'および3'末端の両方が蛍光色素で標識されている。これらの色素は、互いに近接している間は、これらの一方の蛍光が他方によって消光されて検出され得ないよう選択される。プローブに対して5'に位置する鋳型上のPCRプライマーから、Taq DNAポリメラーゼによる伸長により、Taq DNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼ活性を介してアニールしたプローブの5’末端に連結された色素の切断が生じる。これはクエンチング効果(quenching effect)を除去し、このプローブの3'末端の色素からの蛍光を検出することを可能にする。異なるDNA配列間の識別は、プローブと鋳型分子のハイブリダイゼーションが完全でない場合、すなわち幾つかのミスマッチ形態が存在する場合に、色素の切断が起こらないという事実から生じる。したがって、オリゴヌクレオチドプローブのヌクレオチド配列が、結合する鋳型分子と完全に相補的である場合にのみ、クエンチングが除去される。反応混合物は、存在し得る異なる対立遺伝子のそれぞれに対して設計された2種類の異なるプローブ配列を含み、その結果、一の反応でいずれの対立遺伝子の検出も可能である。
【0112】
さらに別の技術としてInvader Assayを含み、これには蛍光の触媒的放出に依存する等温増幅が含まれる。www.twt.comのThird Wave Technologyを参照されたい。
【0113】
PCRに基づかないDNA診断
CKM、SCN4αおよびLDHαに連結したDNA配列の同定は、増幅工程を用いることなく、動物およびファミリーメンバーにおける多型(制限断片長多型を含む)に基づいて成し得る。ハイブリダイゼーションプローブは、一般的に標的核酸の全部または一部と相補的な塩基の対合を介して結合するオリゴヌクレオチドである。プローブは典型的に、プローブ配列との完全な相補性を欠いている標的配列と、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに依存して結合する。プローブの存在または不在についてアッセイすることによって標的配列の存在または不在を検出することができるように、プローブが直接的または間接的に標識されることが好ましい。直接標識法には32Pまたは35Sを用いる等、放射性同位体標識が含まれる。間接標識法には、アビジン、ストレプトアビジン、あるいはペプチドまたはタンパク質タグに結合し得る蛍光タグ、ビオチン複合体が含まれる。視覚的検出方法には、発光物質、Texasレッド、ローダミンおよびその誘導体、レッドロイコダイおよび3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン(TMB)、フルオレセインおよびその誘導体、ダンシル、ならびにウンベリフェロンなど、あるいは西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどを用いるものが含まれる。
【0114】
ハイブリダイゼーションプローブには、CKM、SCN4αおよびLDHαが存在するブタの染色体とハイブリダイズし、その結果、CKM、SCN4αおよびLDHαと連結された遺伝子マーカー(制限断片長多型、超可変領域、反復因子または可変数のタンデムリピートを含む)を規定することができるあらゆるヌクレオチド配列が含まれる。ハイブリダイゼーションプローブは任意の遺伝子または適切な類似体であり得る。別の適切なハイブリダイゼーションプローブには、エクソン断片またはcDNAの一部あるいは染色体の関連領域をマッピングすることが知られる遺伝子が含まれる。
【0115】
本発明による使用に好適なタンデムリピートハイブリダイゼーションプローブは、高ストリンジェントハイブリダイゼーション条件で特定遺伝子座の少数の断片を認識することができるもの、またはストリンジェントな条件が緩められる場合にその遺伝子座で非常に多くの断片を認識するものである。
【0116】
1以上の追加の制限酵素および/またはプローブおよび/またはプライマーを用いることができる。追加の酵素、構築されたプローブ、およびプライマーは、当業者による慣用の実験により決定することができ、本発明の範囲内であるものとする。
【0117】
本明細書に記載される方法は単一の制限酵素および単一のプライマーセットの使用に関するものであり得るが、この方法はそのように限定されない。所望であれば1以上の追加の制限酵素および/またはプローブおよび/またはプライマーを用いることができる。実際に、一部の状況では特定のハプロタイプを与えるマーカーの組合せを使用することが好ましいかもしれない。追加の酵素、構築されたプローブおよびプライマーを、本明細書で提供され、組み込まれる教示と組合せた慣用の実験によって決定することができる。
【0118】
本発明によって、肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病と関連性を有するCKM、SCN4αおよびLDHα遺伝子中の多型が同定される。一実施形態では、マーカーの存在または不在は、制限エンドヌクレアーゼを用いたPCR-RFLP分析によってアッセイすることもでき、増幅プライマーを、多型周囲の領域における高い相同性にのために、類似のヒト、ブタまたは別の動物のCKM、SCN4αおよびLDHαを用いて設計してもよいし、GenBankに例示される既知のCKM、SCN4αおよびLDHα遺伝子の配列データを用いて設計してもよい。あるいは本明細書の教示および参考文献に基づいて、近接する周囲の遺伝子の連関データから得られる配列から設計してもよい。多型周囲の配列は、多型にすぐ隣接する配列から取った連続的な約4〜30塩基のプライマーをポリメラーゼ連鎖反応と組合せて使用して、所望の制限酵素を用いた処理前にこの領域を大量に増幅する代替的なPCR試験の開発に使用されるだろう。このプライマーは正確な相補性は必要とされず、実質的に同等の配列が許容される。PCRによって増幅するためのプライマーの設計は当業界で公知であり、Ausubel (編), Short Protocols in Molecular Biology, 第4版, John Wiley and Sons (1999)で詳細に議論されている。
【0119】
以下はプライマー設計の簡単な説明である。
【0120】
プライマーの設計計画
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の使用の増加は、PCR用プライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドの設計または選択に役立つ多くのプログラムの開発を刺激してきた。インターネットを介して自由に利用可能なそのようなプログラムの4つの例は、ホワイトヘッド大学のMark DalyおよびSteve LincolnによるPRIMER(UNIX, VMS, DOS,およびMacintosh)、ワシントン大学(St. Louis)のPhil GreenおよびLaDeana HillerによるOligonucleotide Selection Program (OSP)(UNIX, VMS, DOS,およびMacintosh)、YoshiによるPGEN(DOSのみ)、ならびにウィスコンシン大学のBill EngelsによるAmplify(Macintoshのみ)である。一般的に、これらのプログラムは既知の反復配列要素の小部分を検索し、続いて推定のプライマーの長さとGC含有量を分析してTmを最適化することによるPCRプライマーの設計に有用である。市販のソフトウェアも利用可能であり、プライマーの選択手順は、大部分の一般的な配列分析パッケージに早急に含まれつつある。
【0121】
配列決定およびPCRプライマー
配列決定またはPCRプライマーとして使用するためにオリゴヌクレオチドを設計することは、標的を特異的に認識する適切な配列の選択を必要とし、続いて、その配列を試験してそのオリゴヌクレオチドが安定した二次構造を有する可能性を排除することを必要とする。配列中の逆反復は上述されるような反復同定プログラムまたはRNA折り畳みプログラムを用いて同定することができる。可能なステム構造が観察される場合、プライマーの配列をいずれかの方向に数ヌクレオチドずらし、予測される二次構造を最小にすることができる。またオリゴヌクレオチド配列は、適切なベクターおよび挿入DNAの両鎖の配列と比較されるものとする。配列決定プライマーのみが標的DNAに対して一致すべきことは自明である。所望でない標的DNA配列とわずかに1つのミスマッチを有するプライマーを排除することも賢明である。ゲノムDNAを増幅することに使用されるPCRプライマーについて、プライマー配列をGenBankデータベース中の配列と比較して有意な一致が生じるか否かを決定すべきである。オリゴヌクレオチド配列があらゆる既知のDNA配列または、何よりあらゆる既知の反復要素中に存在する場合、プライマー配列を変えるべきである。
【0122】
本発明の方法及び材料を、ブタのDNA、個々のブタの遺伝子型をより一般的に評価し、かつブタにおける遺伝子差異を検出することに使用してもよい。特に、ブタのゲノムDNAサンプルは1以上の対照を参照することによって評価して、CKM、SCN4αまたはLDHα遺伝子中に多型が存在するか否かを決定してもよい。RFLP分析はブタのCKM、SCN4αおよびLDHα遺伝子について実施され、その結果が対照と比較される。対照は、ブタのCKM、SCN4α、またはLDHα遺伝子の多型が既知である場合、異なるブタのCKM、SCN4αまたはLDHα遺伝子のRFLP分析の結果である。同様に、ブタのCKM、SCN4αまたはLDHαの遺伝子型は、そのゲノムDNAサンプルを得て、DNA中のCKM、SCN4αまたはLDHα遺伝子のRFLP分析を実施して、その結果を対照と比較することによって決定してもよい。また、対照は異なるブタのCKM、SCN4αまたはLDHα遺伝子のRFLP分析の結果である。この結果は、ブタのCKM、SCN4αまたはLDHα遺伝子中の多型を特徴付けることによりその遺伝子型を分ける。最後に、ブタ間の遺伝子差異は、少なくとも2個体のブタに由来するゲノムDNAサンプルを得て、CKM、SCN4α、およびLDHα遺伝子中の多型の存在または不在を同定し、その結果を比較することによって検出することができる。
【0123】
これらのアッセイは、上記のように、肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病に関連する遺伝子マーカーを同定すること、CKM、SCN4αまたはLDHα遺伝子中の別の多型を同定すること、ならびにブタの遺伝子型および表現型の一般的な科学的分析に有用である。
【0124】
本明細書の実施例および方法は、肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病に対する効果を有する有益な形質とプラスにまたはマイナスに関連する多型を有することが確認されている、この多型を持つ動物についての特定の遺伝子を開示する。遺伝子内多型の存在の同定は、多くの場合、特定の対立遺伝子形態中に制限部位を生じさせる代替的な一塩基によってなされる。しかし、本明細書で説明かつ議論されているように、特定の対立遺伝子は、該対立遺伝子と関連し、同一の多型(対立遺伝子)の指標であるアッセイ可能な多くの塩基変化を有し得る。さらに、別の遺伝子マーカーまたは遺伝子は本明細書に開示される多型と連関し得るため、アッセイは別の遺伝子または遺伝子断片の同定を含み得るが、最終的には同一の多型に対する動物の遺伝子特性付けに依拠する。本明細書に開示される対立遺伝子差異に基づいて動物を分類かつ同定するあらゆるアッセイが本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0125】
当業者は、いったん多型が同定されかつ特定の形質との相関関係が確立されれば、この多型の動物を遺伝子型分類する多くの方法が存在することを理解するだろう。そのような代替的試験の設計は、単に当業者に知られるパラメーターの最適化を表すに過ぎず、本明細書に十分に記載されるように、本発明の範囲内であるものとする。
【0126】
以下の実施例は、本明細書に記載される発明をより良く説明するのに役立ち、決して本発明を限定することを意図するものではない。当業者は慣用の実験を用いて変化し得る幾つかの異なるパラメーターが存在すること、およびそれらが本発明の範囲内であることが意図されることを理解するだろう。
【実施例】
【0127】
実施例1
ブタの筋クレアチンキナーゼ(CKM)MspA1I PCR-RFLP試験プロトコール
本発明者らはブタの筋クレアチンキナーゼ(CKM)遺伝子の完全なコードcDNAおよび5'UTRおよび3'UTRの一部を配列決定した。ブタのコードcDNAの長さは1150bpである。5'UTRに位置する新規の多型をこれに基づいて発見し、MspA1I PCR-RFLP試験を開発した。
【化1】

【0128】
PCR条件
1X PCR反応液:
量(μl)
10xPCRバッファーB 1.0
MgCl2(15 mM) 1.0
dNTPs(2 mM) 1.0
CK522F (10 pmol/μl) 0.525
CKPR (10 pmol/μl) 0.525
Promega
Taqポリメラーゼ(5 U/μl) 0.07
蒸留水 4.88
総混合液量 9.0
PCR反応混合液を氷上で維持した。PCR用96ウェルプレートまたはPCR用0.2mlチューブを氷上に置いた。9.0μlの混合液をアリコートし、1.0μlの12.5ng/μlのゲノムDNAまたは1μlのDNA溶解液を添加した。
【0129】
以下の条件で熱サイクルを実施した:
1. 4分 94°C−1サイクル
2. 45秒 94°C
3. 45秒 62°C
4. 45秒 72°C
5. ステップ2に戻りさらに35サイクル
6. 12分 72°C−1サイクル
CKM MspA1I制限酵素消化プロトコール:
1X
量(μl)
バッファーC* 10X 1.0
BSA (10mg/ml) 0.1
MspA1I (10ユニット/μl) 0.3
蒸留水 5.6
総混合液量 7.0
*Promega
7μlのMspA1I混合液をアリコートし、3μlのPCR産物を添加した。37℃でインキュベートした。
【0130】
ゲル電気泳動:
2μgのオレンジGローディングバッファーを添加し、4.0%のNusieve/Me(3:1)アガロースゲルにロードし、150ボルトで泳動した。約30分間産物を分離した。
【0131】
各対立遺伝子の断片サイズ: 対立遺伝子1:146bp
対立遺伝子2:120bp、26bp
単一型断片(monomorphic):87bp
以下にCKM MspA1I多型周囲のDNA配列を示す。
【化2】

【0132】
実施例2
ブタ筋クレアチンキナーゼ(CKM)BamHI PCR-RFLP試験プロトコール
筋クレアチンキナーゼ遺伝子は、骨格筋などの特定の需要組織におけるエネルギー変換(ATP+クレアチン=ADP+ホスホクレアチン)に重要な細胞質タンパク質をコードする。
【0133】
連関地図位置:
CKM S0220 rec. fracs.= 0.00, lods = 22.58
CKM GPI-2 rec. fracs.= 0.01, lods = 20.48
これはCRC遺伝子座から約1cMである。しかし、ResPigから検索したPigMaP中のCRC遺伝子型データは、他のあらゆるマーカーと有意な連関を示していなかったため、非常に乏しいものであった。
【化3】

【0134】
PCR条件
反応液量:10μl
PCR混合液:1.5mM MgCl2
0.2mM dNTP
2.5pmolの各プライマー
0.35UのTaqポリメラーゼ(Promega)
12.5ng DNA
PCR反応混合液を氷上で維持した。PCR用96ウェルプレートまたはPCR用0.2mlチューブを氷上に置いた。9.0μlの混合液をアリコートし、1.0μlの12.5ng/μlゲノムDNAまたは1μlのDNA溶解液を添加した。
【0135】
PTC100 (MJ Research)プログラム「CKF7R」を用いて、以下の条件下で熱サイクルを実施した:
1.1x(95℃1分)
2.2x(95℃1分、57℃30秒、72℃30秒)
3.38x(94℃30秒、57℃30秒、72℃30秒)
CKM BamHI制限酵素消化プロトコール:
10xNEBバッファー
BamHI 1μl
100xBSA 0.1μl
ddH2O 6.8μl
BamHI(20 U/μl) 0.1μl(1U)
PCR産物 2μl
10μl
各対立遺伝子の断片サイズ: 対立遺伝子1:193bp
対立遺伝子2:105bp、88bp
単一型断片:bp
ゲル検出方法:4% Nusieve 3:1またはMetaphor, 約100Vh
BamHI一塩基多型周囲のブタCKM配列
【化4】

【0136】
実施例3
ブタ筋クレアチンキナーゼ(CKM)9bp挿入/欠失PCR-RFLP試験プロトコール
この遺伝子は、骨格筋などの特定の需要組織におけるエネルギー変換(ATP+クレアチン=ADP+ホスホクレアチン)に重要な細胞質タンパク質をコードする。
【0137】
連関地図位置
CKM S0220 rec. fracs.= 0.00, lods = 22.58
CKM GPI-2 rec. fracs.= 0.01, lods = 20.48
これはCRC遺伝子座から約1cMである。しかし、ResPigから検索したPiGMaPファイル中のCRC遺伝子型データは、他のあらゆるマーカーと有意な連関を示していなかったため、非常に乏しいものであった。
【化5】

【0138】
PCR条件
反応液量:10μl
PCR混合液:1.5mM MgCl2
0.2mM dNTP
2.5pmolの各プライマー
0.35 UのTaqポリメラーゼ(Promega)
12.5ng DNA
PTC100 (MJ Research)プログラム「CKF5R6」を用いて、以下の条件下で熱サイクルを実施した:
1x(95℃1分)
2x(95℃1分、58℃30秒、72℃30秒)
38x(94℃30秒、58℃30秒、72℃30秒)
PCR反応混合液を氷上で維持した。PCR用96ウェルプレートまたはPCR用0.2mlチューブを氷上に置いた。9.0μlの混合液をアリコートし、1.0μlの12.5ng/μlゲノムDNAまたは1μlのDNA溶解液を添加した。
【0139】
PCR断片サイズ: 110bp(配列決定した対立遺伝子1を観察した)
101bp(配列決定した対立遺伝子2を観察した)
注:ヘテロ二本鎖が時折ヘテロ接合体に出現する
ゲル検出方法:4% Nusieve 3:1またはMetaphor, 約100Vh
9bp欠失多型周囲のブタCKM配列
【化6】

【0140】
実施例4
ブタナトリウムチャネル電位ゲーティング4型α遺伝子(SCN4α)BsrI PCR-RFLP試験プロトコール
ブタナトリウムチャネル電位ゲーティング4型α遺伝子(SCN4α)遺伝子は、興奮−収縮を制御する興奮性膜の電位依存性Na透過性を仲介する骨格筋中の不可欠な膜タンパク質をコードし、ブタのストレス症候群の候補物質として提唱されている。ヒトおよびウマにおけるSCN4α中の突然変異は、高カリウム血症性周期性麻痺(HYPP)、ひどい過興奮性によって特徴付けられる疾患、筋肉の硬直性痙攣を引き起こす。
【化7】

【0141】
PCR条件:
反応液量:10μl
PCR混合液:1.5mM MgCl2
0.2mM dNTP
2.5pmolの各プライマー
最後に5% DMSOを添加すべきである。加熱ブロック上で100% DMSOを溶かし、沈殿を避けるためにピペッターで混合しながら添加する。
【0142】
0.35 UのTaqポリメラーゼ(Promega)
12.5ng DNA
PTC100 (MJ Research)プログラム「SCF23R35」(Bugs)を用いて、以下の条件下で熱サイクルを実施した:
1x(95℃1分)
2x(95℃1分、64℃30秒、72℃30秒)
38x(94℃1分、64℃30秒、72℃30秒)
PCR混合液を氷上で維持した。PCR用96ウェルプレートまたはPCR用0.2mlチューブを氷上に置いた。9.0μlの混合液をアリコートし、1.0μlの12.5ng/μlゲノムDNAまたは1μlのDNA溶解液を添加した。
【0143】
SCN4α BsrI制限酵素消化プロトコール:
10xNEB 3 1μl
100xBSA 0.1μl
ddH2O 6.7μl
BsrI(5 U/μl)0.2μl(1U)
PCR産物 2μl
10μl
37℃でインキュベートした。
【0144】
各対立遺伝子の断片サイズ:対立遺伝子1:262bp
対立遺伝子2:190bp、72bp
ゲル検出方法:3% Nusieve 3:1 アガロース,約150Vh
BsrI一塩基多型周囲のブタSCN4α配列
【化8】

【0145】
実施例5
ブタナトリウムチャネル電位ゲーティング4型α遺伝子(SCN4α)PstI PCR-RFLP試験プロトコール
この遺伝子は、興奮−収縮を制御する興奮性膜の電位依存性Na透過性を仲介する骨格筋中の不可欠な膜タンパク質をコードし、ブタのストレス症候群の候補物質として提唱されている。ヒトおよびウマにおけるSCN4α中の突然変異は、高カリウム血症性周期性麻痺(HYPP)、ひどい過興奮性によって特徴付けられる疾患、筋肉の硬直性痙攣を引き起こす。
【化9】

【0146】
1X PCR反応液
反応液量:10μl
PCR混合液:1.5mM MgCl2
0.2mM dNTP
2.5pmolの各プライマー
0.35UのTaqポリメラーゼ(Promega)
12.5ng DNA
PCR反応混合液を氷上で維持した。PCR用96ウェルプレートまたはPCR用0.2mlチューブを氷上に置いた。9.0μlの混合液をアリコートし、1.0μlの12.5ng/μlゲノムDNAまたは1μlのDNA溶解液を加える。
【0147】
MJ Research, Inc. PTC200またはPTC100サーモサイクラーのいずれかを用いて、以下の条件下で熱サイクルを実施した:
PTC100 (MJ Research)プログラム「CKF5R6」
1.1x(95℃1分)
2.2x(95℃1分、58℃30秒、72℃30秒)
3.38x(94℃1分、58℃30秒、72℃30秒)
SCN4α PstI制限酵素消化プロトコール:
10x NEBバッファー 1μl
100x BSA 0.1μl
ddH2O 6.8μl
PstI(20U/μl) 0.1μl(2U)
PCR産物 2μl
10μl
37℃でインキュベートする。
【0148】
各対立遺伝子の断片サイズ:対立遺伝子1:236bp
対立遺伝子2:162bp、74bp
ゲル検出方法:3% Nusieve 3:1 アガロース, 約150Vh
以下にPstI一塩基多型周囲のブタSCN4α配列を示す。
【化10】

【0149】
実施例6
ブタナトリウムチャネル電位ゲーティング4型α遺伝子(SCN4α)SalI PCR-RFLP試験プロトコール
この遺伝子は、興奮−収縮を制御する興奮性膜の電位依存性Na透過性を仲介する骨格筋中の不可欠な膜タンパク質をコードし、ブタのストレス症候群の候補物質として提唱されている。ヒトおよびウマにおけるSCN4α中の突然変異は、高カリウム血症性周期性麻痺(HYPP)、ひどい過興奮性によって特徴付けられる疾患、筋肉の硬直性痙攣を引き起こす。
【化11】

【0150】
PCR条件
反応液量:10μl
PCR混合液:1.5mM MgCl2
0.2mM dNTP
2.5pmolの各プライマー
0.35UのTaqポリメラーゼ(Promega)
12.5ng DNA
PCR混合液を氷上で維持した。PCR用96ウェルプレートまたはPCR用0.2mlチューブを氷上に置いた。9.0μlの混合液をアリコートし、1.0μlの12.5ng/μlゲノムDNAまたは1μlのDNA溶解液を添加した。
【0151】
PTC100(MJ Research)プログラム「SCF29R30」を用いて、以下の条件下で熱サイクルを実施した:
1x(95℃1分)
2x(95℃1分、59℃30秒、72℃30秒)
38x(94℃1分、59℃30秒、72℃30秒)
SCN4α SalI制限酵素消化プロトコール:
10x D (Promega) 1μl
ddH2O 6.9μl
SalI (10U/μl) 0.1μl(1U)
PCR産物 2μl
10μl
または
10x NEBバッファーSalI 1μl
100x BSA 0.1μl
ddH2O 6.9μl
SalI (20U/μl) 0.05μl(1U)
PCR産物 2μl
10μl
37℃でインキュベートした。
【0152】
各対立遺伝子の断片サイズ:対立遺伝子1:153bp
対立遺伝子2:134bpと19bp
ゲル検出方法:3% Nusieve 3:1 アガロース, 約150Vh
SalI一塩基多型周囲のブタSCN4α配列:
【化12】

【0153】
実施例7
ブタLDH-αのエクソン5 AciI PCR-RFLP試験プロトコール
本発明者らは、ブタ乳酸デヒドロゲナーゼα遺伝子のエクソン5中にSNPを検出した。これはサイレント突然変異である。その後、この多型用のAciI PCR-RFLPを開発した。518bpのアンプリマーを以下のPCRプロトコールを用いて作製した。AciI制限酵素消化により16bpと8bpの2つの単一型(monomorphic)断片と以下の多型パターンを生じた:すなわち、11個の遺伝子型を表す1つの494bp断片、12個の遺伝子型を表す494bp、415bpおよび79bpの3つの断片、22個の遺伝子型を表す415bpおよび79bpの2つの断片。
【化13】

【0154】
1X PCR反応液
容量(μl)
10xPCRバッファーB 1.0
MgCl2 (25mM) 0.6
dNTPs (2mM) 1.0
LDH-α F(5')(10pmol/μl) 0.52
LDH-α R(3')(10pmol/μl) 0.52
Promega
Taqポリメラーゼ(5U/μl) 0.1
5.26
総混合液量 9.0
PCR混合液を氷上で維持した。PCR用96ウェルプレートまたはPCR用0.2mlチューブを氷上に置いた。9.0μlの混合液をアリコートし、1.0μlの12.5ng/μlゲノムDNAまたは1μlのDNA溶解液を添加した。
【0155】
MJ Research, Inc. PTC200またはPTC100サーモサイクラーのいずれかを用いて、以下の条件下で熱サイクルを実施した:
1.3分 94℃−1サイクル
2.30秒 94℃
3.30秒54℃
4.30秒72℃
5.ステップ2に戻りさらに35サイクル
6.5分 72℃−1サイクル
7.σ5分4℃−1サイクル
8.σ 25℃
LDH-α AciI制限酵素消化プロトコール:
1X
容量(μl)
NEB* 3 10Xバッファー 1.0
10X BSA 1.0
NEB* AciI(10ユニット/μl) 0.3
2.7
混合液総量 5.0
*NEB=New England Biolabs
5μlのAciI混合液をアリコートし、5μlのPCR産物を添加した。37℃でインキュベートした。
【0156】
ゲル電気泳動:
2μlのオレンジGローディングバッファーを添加し、1.8% Nusieve/Me (3:1)または通常のアガロースゲルにロードし、150ボルトで泳動した。約30分間産物を分離した。
【0157】
各対立遺伝子の断片サイズ: 対立遺伝子1:494bp
対立遺伝子2:415bpと79bp
単一型断片:16bpと8bp
16bpと8bpの断片は1.8%アガロースゲル上で視覚化されなかった。
【0158】
イントロン4/エクソン5/イントロン5配列;エクソン5多型塩基:R(G/A)(太字)
【化14】

【0159】
実施例8
Malekら (2001) Mammalian Genome, 12:637-645(出版中)は、バークシャーxヨークシャー(BxY)の3世代の参照ファミリーに基づいて、腿肉pHについてのQTLをSSC6上で明らかにした。QTLはCKM遺伝子が位置すべき領域において、BxYマップ上にマップされた。このような理由で本発明者らはCKMをそのQTLおよび一般的には豚肉の質についての目的とする候補遺伝子であると考えた。本発明者らはBxYの参照ファミリー全体を遺伝子型分類し、MspA1I多型を用いてBxYマップにCKM遺伝子をマッピングした。効果の大きさは表1に示される。
【表1】

【0160】
本発明者らはこのマーカーを用いて数種の市販の集団を遺伝子型分類し、CKM MspA1I対立遺伝子と幾つかの肉質および生産形質との間の関連を評価した。遺伝子型クラスの頻度は表2に示される。
【表2】

【0161】
いくつかの有意な関連がCKM MspA1I対立遺伝子と本発明者らが考慮した形質の一部、例えば色、しまり(firmness)、pH等との間で明らかにされた。概要については表3を参照されたい。
【表3】

【0162】
実施例9
遺伝子型分類頻度
市販の屠殺ブタの2グループ(交雑系統A、交雑系統B)を商業的な生育条件下で産生し、食肉処理場で回収した。多くの測定値が肉質(ph、色および肉汁の欠失)ならびに胴体の特性(胴体重、腿肉、ばら肉および腰肉含量、腰肉のアイ(eye)面積および厚み、ならびに第10肋骨での赤肉の割合および脂肪)について得られた。サンプルはマーカーの遺伝子型分類のためにブタから得た。2つの異なる遺伝子型を表す2つのグループを、グループ毎に異なる種雄系統、およびグループ毎に異なる親雌ブタ遺伝子型を用いて産生した。
【0163】
P確率
以下の値は、この実施例に含まれる全ての表に適用する。最小2乗(LS)平均の有意性レベル:αおよびδ有意性レベル:
a − b p<.3 a p<.3
c − d p<.1 b p<.1
e − f p<.05 c p<.05
g − h p<.01 d p<.01
i − j p<.005 e p<.005
k − l p<.001 f p<.001
m − n p<.0005 g p<.0005
o − p p<.0001 h p<.0001
1)CKMでは、3つの多型(マーカー)がこの遺伝子に利用可能であり、これを用いて屠殺ブタにおけるマーカーの効果を評価した。
【表4】

【0164】
有意な効果は、交雑系統遺伝子型AのpH、色(MinLとb)および肉汁の測定値で観察された。対立遺伝子1(遺伝子型11または12)を有する動物が肉質(pHおよび色)ならびに肉汁損失の低減について好ましい。(遺伝子型22を欠く場合、交雑系統遺伝子型Bで有意な効果は観察されなかった。)
【表5】

【0165】
遺伝子型22の動物は、種雄系統においてこの対立遺伝子の頻度が低いために、屠殺ブタに存在しなかった。有意な効果はpH(3時間と24時間)の2種類の測定、色(MinLとb)および肉汁で観察された(遺伝子型22を欠き、かつ遺伝子型12も低頻度である場合は、交雑系統遺伝子型Bで有意な効果は観察されなかった)。
【表6】

【表7】

【0166】
胴体(carcass)組成形質(腿肉および腰肉%)ならびに腰肉アイ面積や腰肉の厚みなどの関連形質についての有意な効果が両方の交雑系統遺伝子型で見られた。高い収量は交雑系統遺伝子型Aにおける対立遺伝子2および交雑系統遺伝子型Bにおける対立遺伝子1と関連している。しかし、対立遺伝子2はより高いpH24、より明色の肉およびより高い肉汁損失によって判断されるように、低い肉質とも関連している。これらの肉質への影響は交雑系統遺伝子型Bでは観察されなかったが、第10肋骨で測定した肥満に対する、腿肉および腰肉の関節の収量に合致した影響が存在した。交雑系統遺伝子型Bを扱う生産者および育種家は、対立遺伝子1を選抜することを望むであろうし、交雑系統遺伝子型Aを扱う生産者及び育種家は、彼らが働く市場での各形質の経済価値に応じてマーカーを利用するだろう。
【0167】
マーカーのハプロタイプをCKM遺伝子中のマーカーについて構築することができ、これらのハプロタイプを関連性分析に使用することができ、その後、個々のマーカーを用いる代わりにマーカー利用選抜のためのツールとして使用することができることは当業者に理解されるだろう。
【表8】

【表9】

【0168】
屠殺ブタのマーカー遺伝子型は、測定した多くの形質における有意量の変異を説明する(p<0.10)。遺伝子型22の交雑系統Aの動物は、遺伝子型11または12の動物よりも低い腿肉および腰肉の収量ならびにより小さな腰肉(腰肉アイ面積および腰肉の厚み)を有する。さらに、暗色の(好ましい)MinL(ミノルタL)スコアの肉を有する傾向がある遺伝子型22の動物のpHおよび色に幾つかの有意な効果が存在する。この場合、ヘテロ接合体クラスは最大の(好ましい)pH 24を有するが、肉汁損失にいかなる違いも生じない(有意でない)。生産者は、彼らが赤肉の収量の増加を望む場合には、彼らが遺伝子型11または12の動物を飼育することの保証を望むかもしれない。より暗色の肉にのみ関心がある生産者は遺伝子型22の動物を選抜することを望むかもしれない。同様に極上の部分または色の産出のために、彼らの顧客の好みに沿うマーカーを用いて繁殖家畜(ブタ)を選抜することができる。
【0169】
交雑系統Bにおいてもまた、これらの形質に対するマーカー遺伝子型の非常に有意な効果が存在するが、腿肉等を産出する場合、遺伝子型22が好適な遺伝子型である。pHおよび色は共に遺伝子型11および12が最良であるが、遺伝子型22の肉汁損失について高度に有意な効果が観察されており、極めて大きな肉汁損失と関連している。この場合には、最良の肉質(および低い肉汁損失)を有する動物を選抜することを望む生産者は、肉の低収量を考慮して遺伝子型22を選択しないことを望むだろう。収量にのみ関心のある生産者は遺伝子型22の動物を選択するだろう。育種家は様々な形質の経済上の重要度に応じたマーカー遺伝子型の動物を選択するだろう。
【0170】
3)SCN4αでは、この遺伝子において3つの多型(マーカー)が利用可能であり、これらを用いて屠殺ブタにおけるマーカーの効果を評価した。
【表10】

【表11】

【0171】
遺伝子型系統Aでは、マーカー遺伝子型は胴体組成および肉質形質中の変異と有意に関連している。胴体成分の収量の場合、遺伝子型12は一般的に好適でない(低収量の腿肉および腰肉、小さい腰肉アイ面積、腰肉の厚みおよび赤肉%と関連している)が、この遺伝子型ではばら肉が高収量である。最高の収量(ばら肉を除く)は遺伝子型11と関連がある。興味深いことに、効果が高pH、低ミノルタL(より暗色の肉)および低肉汁損失の好ましいスコアに対する対立遺伝子1の追加の効果とより一致している場合に、肉質に関して異なる効果が見られる。対立遺伝子2が胴体の重さに関連する場合は、交雑系統遺伝子型B中のマーカーと関連する唯一の効果は胴体重についてのものであった。
【表12】

【0172】
このマーカーの高度に有意な効果は、交雑系統遺伝子型AにおけるpH24、ミノルタLおよび肉汁損失について見られ(交雑系統遺伝子型Bについて有意な効果はなし)、対立遺伝子2が好ましい対立遺伝子であった(マーカー遺伝子型22の動物は観察されなかった)。
【表13】

【表14】

【0173】
ここで、このマーカーは2つの遺伝子型間の異なる形質と関連する。遺伝子型系統Aでは、遺伝子型22は大きくかつ赤身の多い腰肉および少ないばら肉の収量に関連する。肉質の測定値に対する有意な効果は存在しなかった。交雑系統遺伝子型Bでは、対立遺伝子2は低いpH3時間およびpH24時間に関連するが、肉汁欠損または色に対する相関する効果はなかった。
【0174】
マーカーハプロタイプをSCN4α遺伝子中のマーカーについて構築することができ、これらのハプロタイプを関連性分析に用いることができ、その後、個々のマーカーを用いる代わりにマーカー利用選抜のためのツールとして使用することができることは当業者に理解されるだろう。
【0175】
実施例10
マーカーの効果を細かに論じるために、3つのCKMマーカーを用いて、異なる集団のマーカー遺伝子型およびハプロタイプを作製することができる。これを、胴体および肉質表現型を有する育種系統のセットにおいて、2つのCKMマーカー(9bp挿入/欠失およびMspA1I多型)について行った。3つのハプロタイプ1−1、1−2および2−2を同定することができ、第4の可能なハプロタイプ2−1はいずれの集団においても観察されなかった。
【0176】
続いて3つのハプロタイプを用いてハプロタイプ置換の効果を算出した(pHおよび色形質についての系統にわたる分析結果は図1中に提示される)。ハプロタイプ1−2が腰肉および腿肉(半膜状)のpH(高い最終pH)および色に有利であったことを見ることができる(低いスコアは暗色の肉と同等である)。これらの効果は、ハプロタイプ1−2とハプロタイプ2−2間で最終pH(pHu)については約0.07ユニット、ミノルタL(MinL)については2ユニットであった。
【0177】
したがって、ハプロタイプ1−2またはハプロタイプ2−2のホモ接合体間で予想される差異は、最終pHについては0.14ユニット、ミノルタLスコアについては4ユニットである。個々に使用される場合、いずれのマーカーも(ハプロタイプ分析によって同定される)完全な効果を示さなかったであろう。これは、マーカー遺伝子型を組合せてハプロタイプを作製する一部の状況における価値を示す。一部の状況では、この目的のために3つ全てのマーカーを利用することが良いかもしれない。
【0178】
実施例11
異なる集団の遺伝子型における更なるデータは下記のものである。
【表15】

【0179】
この独立の試験において、マーカーの有意な効果は死後24時間および48時間における肉汁損失について観察された(48時間でp<0.05)。胴体の脇腹脂肪の量に対する有意な効果も存在したが、平均背脂肪に対する有意な効果は存在しなかった。この遺伝子型の組み合わせにおいて、死後の肉汁損失が少ない動物を選択することを望む生産者は、遺伝子型12または22の動物を有することが好ましい。
【表16】

【0180】
この独立の試験において、マーカーの有意な効果(p<0.10)は平均胴体背脂肪および腿肉背脂肪について観察された。肩肉およびばら肉で測定した背脂肪について効果は統計学的に有意ではないものの、傾向は同じであり、遺伝子型22は最も赤肉の多い遺伝子型であった。この遺伝子型の組み合わせにおいて、赤肉の胴体を屠殺場に提供することを望む生産者は遺伝子型22の動物を有することを好むだろう。
【0181】
遺伝子型:特定の人工系統 n=5321
遺伝子型は、平均一日飼料摂取(ADF)、背脂肪、腰肉の厚みおよびpH24時間についての表現型記録を有する幾千もの動物について作製した。この系統では、遺伝子型11が最低背脂肪(遺伝子型22よりも約0.4mm小さい)、最大腰肉厚(22よりも0.6mm大きい)、(22よりも0.02)高いpH24時間、および(22よりも0.03kg)小さい飼料摂取を有していた。この場合、効果はこのタイプの大データセットについて有意な評価を提供しないPESTプログラムを用いて評価した。しかし、そのような非常に多くの動物に基づく場合、効果は統計的に有意であるようである。
【0182】
当業者は多くの変更および変形が本発明の好適な実施形態であり得ること、および本発明の思想から逸脱することなくそのような変更または変形を成し得ることを理解するだろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の思想および範囲に含まれるものとしてそのような均等な変形の全てを含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】図1は、3つのハプロタイプを用いてハプロタイプ置換の効果を算出した結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物から遺伝物質のサンプルを得ること、ならびにCKM、SCN4αおよびLDHαよりなる群から選択される遺伝子中の多型の存在についてアッセイすることを含み、ここで前記多型の存在が有利な筋成長および/または肉質に関連する、前記動物を遺伝子的に同定する方法。
【請求項2】
前記動物がブタである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アッセイが、制限断片長多型(RFLP)、ヘテロ二本鎖分析、一本鎖高次構造多型(SSCP)、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)、一塩基伸長、質量分析、オリゴライゲーションアッセイ(リガーゼ連鎖反応)、DNA配列決定および温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)よりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記多型を含む多量の前記遺伝子またはその一部を増幅することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記増幅が、少なくとも1つの多型部位を含む前記遺伝子の領域を増幅することが可能な正方向、逆方向プライマーを選択することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記遺伝子がCKM遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記遺伝子が多型のMspA1I部位を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記多型部位が、配列番号7および配列番号8から選択されかつこれらに基づくプライマーにより増幅される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記遺伝子が多型のBamHI部位を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記多型部位が、配列番号9および配列番号10から選択されかつこれらに基づくプライマーにより増幅される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記遺伝子が9塩基対の挿入/欠失により同定される多型を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記多型が、配列番号11および配列番号12から選択されかつこれらに基づくプライマーにより増幅される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記遺伝子がSCN4αである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記遺伝子が多型のBsrI部位を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記多型部位が、配列番号13および配列番号14から選択されかつこれらに基づくプライマーにより増幅される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記遺伝子が多型のPstI部位を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記多型部位が、配列番号15および配列番号16から選択されかつこれらに基づくプライマーにより増幅される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記遺伝子が多型のSalI部位を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記多型部位が、配列番号17および配列番号18から選択されかつこれらに基づくプライマーにより増幅される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記遺伝子がLDHα遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記遺伝子が多型のAciI部位を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記多型部位が、配列番号19および配列番号20から選択されかつこれらに基づく正方向プライマーと逆方向プライマーによって増幅される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記多型部位が、前記遺伝子の5’UTR領域におけるCからTへの一塩基置換である、請求項7に記載の方法。
【請求項24】
前記多型部位が、前記遺伝子のイントロン2におけるGからTへの一塩基置換である、請求項9に記載の方法。
【請求項25】
前記9塩基対の挿入/欠失が、対立遺伝子1には存在するが、対立遺伝子2には存在しないヌクレオチド配列-TGAGCTTCC-によって特徴付けられる、請求項11に記載の方法。
【請求項26】
前記多型部位が、前記遺伝子のエクソン24におけるCからGへの一塩基置換である、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記多型部位が、前記遺伝子のエクソン11におけるGからAへの一塩基置換である、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
前記多型部位が、前記遺伝子のエクソン2におけるGからAへの一塩基置換である、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記多型部位が多型塩基Rであり、ここで、前記塩基が前記遺伝子のエクソン5におけるGまたはAである、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
動物をスクリーニングして前記動物の動物育種についての遺伝可能性を決定する方法であって、該動物から遺伝子サンプルを得ること;CKM、SCN4αおよびLDHαよりなる群から選択される遺伝子中に少なくとも1つの多型部位を有する前記動物の遺伝子型を同定すること;ならびに、有利な育種形質と相関する前記遺伝子中の多型の存在に基づいて遺伝子的に評価することを含む、上記方法。
【請求項31】
少なくとも1つの多型部位を同定することが、多型を含む前記サンプルを増幅すること;前記サンプル中の制限部位を作製または破壊すること;部位が特定の制限エンドヌクレアーゼによって切断されているか否かを判定することを含み、ここで、制限エンドヌクレアーゼ部位の切断あるいは挿入または欠失が多型の存在を示す、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ゲル電気泳動を実行して多型を同定することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記遺伝子型が、CKM遺伝子中の少なくとも1つの多型によって特徴付けられる、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記多型が、配列番号7と配列番号8のプライマーによって増幅される領域中のMspA1I制限エンドヌクレアーゼ部位の切断によって同定される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記多型が、配列番号9と配列番号10のプライマーによって増幅される領域中のBamHI制限エンドヌクレアーゼ部位の切断によって同定される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記多型が、配列番号11と配列番号12のプライマーによって増幅される領域中の9塩基対の挿入/欠失の存在または不在によって同定される、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記遺伝子型が、SCN4α遺伝子中の少なくとも1つの多型部位によって特徴付けられる、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記多型が、配列番号13と配列番号14のプライマーによって増幅される領域中のBsrI制限エンドヌクレアーゼ部位の切断によって同定される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記部位が、配列番号15と配列番号16のプライマーによって増幅される領域中のPstI制限エンドヌクレアーゼ部位の切断によって同定される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記多型が、配列番号17と配列番号18のプライマーによって増幅される領域中のSalI制限エンドヌクレアーゼ部位の切断によって同定される、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記遺伝子型がLDHα遺伝子中の多型によって特徴付けられる、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
前記多型が、配列番号19と配列番号20のプライマーによって増幅される領域中のAciI制限エンドヌクレアーゼ部位の切断によって同定される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記動物がブタである、請求項30に記載の方法。
【請求項44】
前記育種形質が、有利な肉質、肥厚な筋肉質、および/または骨格筋痙攣病を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項45】
動物を遺伝子型分類して筋成長および/または肉質についての形質の有利な組合せを保有するか否かを決定する方法であって、動物中に、以下の多型部位:CKM遺伝子中のMspA1I、BamHIまたは9bpの挿入/欠失;SCN4α遺伝子中のBsrI、PstIまたはSalI部位;およびLDHα中のAciI部位の1以上を含む対立遺伝子が存在していることを判定することを含む、上記方法。
【請求項46】
前記動物がブタである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
多型遺伝子座で動物を遺伝子型分類する方法であって、動物から遺伝子サンプルを得ること;多型の存在についてアッセイすることを含み、前記多型が以下の、
a) CKM遺伝子の5’非翻訳領域(配列番号1)に位置する該遺伝子中の多型;
b) CKM遺伝子のイントロン2(配列番号2)に位置する該遺伝子中の多型;
c) CKM遺伝子のイントロン2(配列番号2)中の9bpの挿入/欠失によって特徴付けられる該遺伝子中の多型;
d) SCN4α遺伝子のエクソン24(配列番号3)に位置する該遺伝子中の多型;
e) SCN4α遺伝子のエクソン11(配列番号4)に位置する該遺伝子中の多型;
f) SCN4α遺伝子のエクソン2(配列番号5)に位置する該遺伝子中の多型;または
g) LDHα遺伝子のエクソン5(配列番号6)に位置する該遺伝子中の多型;によって特徴付けられる、上記方法。
【請求項48】
前記動物がブタである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
動物において有利な肉質に関連する遺伝子の存在の判定について予言するハプロタイプの存在を検出する方法であって、該方法が、
a) MspA1Iおよび9bpの挿入/欠失よりなる群から選択される肉質形質に関連する多型について、前記動物由来の遺伝物質のサンプルを分析すること;ならびに
b) 前記多型の存在と前記ハプロタイプの存在とを該ハプロタイプが検出されるように関連付けることを含む、上記方法。
【請求項50】
前記ハプロタイプが1-1、1-2および2-2である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記動物がブタである、請求項49に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−519593(P2006−519593A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501234(P2006−501234)
【出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/007549
【国際公開番号】WO2004/081194
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
Macintosh
UNIX
【出願人】(503089858)アイオワ ステート ユニバーシティ リサーチ ファウンデーション,インコーポレーティッド (3)
【出願人】(502089361)ピッグ インプルーブメント カンパニー ユーケイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】