説明

動物による脂質吸収を抑制する方法

本発明は、動物の腸における脂質吸収を抑制するために脂肪酸アルカノールアミドを使用する方法を提供する。脂質吸収の抑制によって、動物が体脂肪へと変換できる脂質を減少させることができる。より少量の脂質が体脂肪へと変換されることは、脂肪酸アルカノールアミドを含まない等量の脂質を摂取する場合、動物が体脂肪、体重及び/又は体重増加を低減することを意味する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本願は、2008年5月19日に出願された米国特許仮出願第61/128,116号に基づく優先権を主張し、その開示を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0002】
[0002]本発明は一般に、脂質吸収を抑制する方法に関し、特に、動物による脂質吸収を抑制するために脂肪酸アルカノールアミドを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]脂肪酸アルカノールアミドは、アルカノールアミンと結合した脂肪酸部分を含む化合物である。脂肪酸エタノールアミドは、エタノールアミンと結合した脂肪酸部分を含む化合物である。これら化合物は、植物組織及び動物組織に一般に存在する脂質群の一部である。多くの脂肪酸アルカノールアミド類及び脂肪酸エタノールアミド類が本技術分野において知られており、例えばこれら化合物は米国特許第6911474号と国際公開第05115370A2号パンフレットにおいて開示されている。2種類の代表的な脂肪酸エタノールアミドは、アナンドアミド(N−アラキドノイル−エタノールアミン)とN−オレオイル−エタノールアミドである。
【0004】
[0004]米国特許第6911474号、米国特許出願公開第20050154064A1号及び米国特許出願公開第2005187254A1号は、体脂肪を低減させ、食品摂取を抑制し、脂質代謝を調節するための脂肪酸アルカノールアミド並びにそのホモログ及びアナログの使用を開示している。国際公開第08040756A1号パンフレットは、食欲を減退させ、満腹効果を与え、炎症性腸疾患を予防若しくは軽減し、又は過敏性腸症候群を予防若しくは軽減するための薬剤であることが好ましい経口摂取用栄養補給食品の製造のためのアナンドアミドの使用を開示している。しかし、これら参考文献は、これら化合物が動物の脂質吸収に影響することは開示していない。
【0005】
[0005]一般に、脂肪酸アルカノールアミドは食欲に影響し、脂質代謝を調節することが知られている。その結果、食欲の減退した動物は食事由来の脂質摂取がより少なくなり、したがって体脂肪を低減させる。同様に、脂質代謝の高められた動物は、基礎代謝機能のためにより多くの脂質を利用する傾向があり、したがって体脂肪を低減させる。このような体脂肪の減少は一般に、動物の体重の低減又は体重増加の低減をもたらす。このメカニズムは動物の体脂肪の低減に有用となり得るが、動物の体脂肪を低減させ、体重を低減させ、体重増加を低減させる新しい方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]したがって、本発明の目的は、動物による脂質吸収を抑制する方法を提供することである。
【0007】
[0007]本発明の別の目的は、動物の体脂肪を低減させる方法を提供することである。
【0008】
[0008]本発明の更に別の目的は、動物の体重を低減させる方法を提供することである。
【0009】
[0009]本発明の別の目的は、動物による体重増加を低減させる方法を提供することである。
【0010】
[0010]本発明の別の目的は、脂肪酸アルカノールアミドを動物に投与するのに適したキットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0011]これら又は他の目的のうちの1つ又は複数は、動物による脂質吸収を抑制する新しい方法を用いることによって達成される。上記方法は、動物による脂質吸収の抑制に有効な量の1種又は複数種の脂肪酸アルカノールアミドを動物に投与するステップを含む。脂質吸収の抑制によって、動物が体脂肪へと変換できる脂質を減少させることができる。減少した脂質がより少量の体脂肪への変換は、等量の脂質を含む食品を摂取する場合、動物が体脂肪、体重又は体重増加を低減することを意味する。
【0012】
[0012]本発明の他及び更に別の目的、特徴並びに利点は、当業者であれば容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
[0013]用語「N−オレオイル−エタノールアミド」は、脂質吸収に影響を及ぼす、N−オレオイル−エタノールアミド又はそのアナログ、ホモログ、前駆体、若しくはプロドラッグ或いはそれらの組み合わせを意味する。
【0014】
[0014]用語「脂肪酸エタノールアミド」は、脂質吸収に影響を及ぼす、N−オレオイル−エタノールアミドを含む1種又は複数種の脂肪酸エタノールアミド又はそのアナログ、ホモログ、前駆体、若しくはプロドラッグ或いはそれらの組み合わせを意味する。
【0015】
[0015]用語「脂肪酸アルカノールアミド」は、脂質吸収に影響を及ぼす、脂肪酸エタノールアミドとN−オレオイル−エタノールアミドとを含む1種又は複数種の脂肪酸アルカノールアミド又はそのアナログ、ホモログ、前駆体、若しくはプロドラッグ或いはそれらの組み合わせを意味する。
【0016】
[0016]用語「動物」は、脂質吸収の抑制によって恩恵を得ることが可能なあらゆる動物を意味し、ヒト、鳥類、ウシ亜科、イヌ科、ウマ科、ネコ科、ヤギ、オオカミ、ネズミ科、ヒツジ類(ovine)又はブタ類(porcine)等の動物を含む。
【0017】
[0017]用語「コンパニオンアニマル」は、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタ等の飼いならされた動物を意味する。
【0018】
[0018]用語「有効な量」は、特定の生理学的又は生物学的な結果を得るのに有効な、化合物、組成物、薬剤その他の材料の量を意味する。本発明においては、その結果とは、動物における脂質吸収の抑制、体脂肪の低減、体重の低減、体重増加の低減のうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されるものではない。
【0019】
[0019]用語「食物」、「食品」又は「食品組成物」は、動物によって摂取されることを目的とし、動物に栄養を提供する製品又は組成物を意味する。
【0020】
[0020]用語「mg/kg/bw」は、体重1キログラム当たりのミリグラム数を意味し、用語「g/kg/bw」は、体重1キログラム当たりのグラム数を意味する。
【0021】
[0021]用語「栄養補助食品」は、動物の通常の食事に加えて摂取されることを目的とする製品を意味する。栄養補助食品は、例えば固体、液体、ゲル、錠剤、カプセル、粉末等、どのような形態をとることもできる。好ましくは、便利な剤形、例えば小袋に入れて提供される。栄養補助食品は、大量の粉末、液体、ゲル又はオイル等の大量消費者用包装で提供することができる。同様に、このような栄養補助食品は、スナック、間食、棒状サプリメント、飲物等、他の食料品に含有させて大量に提供することができる。
【0022】
[0022]用語「体重管理薬」は、動物における脂質吸収の抑制、又は体脂肪の低減、体重の低減若しくは体重増加の低減に有用である、本発明の脂肪酸アルカノールアミド以外のあらゆる化合物、組成物又は薬品を意味する。このような薬剤は、米国特許第4223023号に開示されている脂質吸収を抑制するキトサンと関連化合物や、米国特許第6348492号に開示されているオキセタノン誘導体、米国特許第6506420号に開示されているオオバコとキトサンの相乗作用的な組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0023】
[0023]用語「併用して(in conjunction)」は、脂肪酸アルカノールアミド、体重管理薬又は本発明の他の化合物若しくは組成物が、(1)食品組成物、栄養補助食品又は他の組成物の中に一緒に、又は(2)同一の又は異なる頻度で、同一の又は異なる投与経路を用いて、ほぼ同時に又は周期的に、別々に動物に投与されることを意味する。「周期的に」は、体重管理薬又は他の組成物が、特定の薬剤又は組成物に許容される処方計画で投与されることを意味する。「ほぼ同時に」は、通常脂肪酸アルカノールアミド、体重管理薬又は他の組成物が、同時に、又は互いに約24時間以内に投与されることを意味する。「併用して」は、体重管理薬又は他の組成物が所定の期間投与され、脂肪酸アルカノールアミドが例えば食品組成物において無期限に投与される投与計画を特に含む。
【0024】
[0024]用語「単一包装」は、キットの構成要素が1個又は複数個の容器内で又は容器と共に物理的に関連し、製造、流通、販売又は使用において1ユニットとして考えられることを意味する。容器は、袋、箱、カートン、瓶、収縮包装等の包装、ホチキス留めや他の方法で取り付けられた構成要素、又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。単一包装は、個々の脂肪酸アルカノールアミドと食品組成物が、製造、流通、販売又は使用において1ユニットとして考えられるような、物理的に関連した容器であってよい。
【0025】
[0025]用語「バーチャル包装」は、1個又は複数個の物理的な又は仮想的な(バーチャル)キット構成要素上にある利用者に他の構成要素を得るための方法を指示する案内によって、キット構成要素が関連することを意味する。例えば、袋その他の容器が1個の構成要素と案内とを含み、この案内の指示によって利用者はウェブサイトを閲覧、録音メッセージやファックス送信サービスを利用、映像メッセージを視聴、又は担当者やインストラクターに連絡してキットの使用方法やキットの1個又は複数個の構成要素についての安全性や技術情報について指示を受ける。
【0026】
[0026]本明細書において、投薬量は、別段の記述がない限り一日当たり体重1キログラム当たりのミリグラム数(mg/kg/day)で表されている。
【0027】
[0027]本明細書において、あらゆるパーセンテージは、特に別の記述がない限り乾量基準による組成物の重量で表されている。当業者であれば、用語「乾量基準」とは、組成物における成分濃度即ちパーセンテージが、組成物における全自由水分が除去された後に測定又は決定されることを意味することが理解できるであろう。
【0028】
[0028]本明細書において、範囲は、範囲内の各数値や全数値のリストアップや記載をしないで済むように簡便に用いられている。範囲の上限値、下限値又は末端値として適切な範囲内のあらゆる適切な数値を選択することができる。
【0029】
[0029]本明細書において、文脈上明らかにそれ以外のことが指示されていない限り、単語の単数形は複数形を含み、その逆もまた同様である。したがって、単数形のものについて言及するときは、一般にその用語の複数のものも含む。例えば、「栄養補助食品」、「方法」又は「食品」についての言及は、「複数の栄養補助食品」、「複数の方法」又は「複数の食品」等の複数形を含む。同様に、単語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」は、排他的ではなくむしろ包括的に解釈するべきである。同じく、構成が文脈上明らかに妨げられない限り、用語「含む(includes)」、「含んでいる(including)」及び「又は」は全て、包括的になるよう解釈されるべきである。同様に、用語「例」は、特に用語の列挙が後に続く場合、単に例示的な具体例としてのものであり、排他的であるとも包括的であるともみなすべきでない。
【0030】
[0030]本明細書に開示されている方法、組成物、及びその他の進展は、本明細書に記載されている特定の手順やプロトコール、試薬に限定されるものではない。その理由としては、当業者には理解できるように、それらは変化し得るからである。更に、本明細書に用いられている専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、開示又は特許請求されている専門用語の範囲を限定する意図も、また限定することもない。
【0031】
[0031]別段の定義がなされていない限り、本明細書で用いられているあらゆる専門及び科学用語、技術用語並びに頭文字は、本発明の技術分野、又は用語が用いられている分野における一当業者によって一般に理解されている意味を有する。本明細書に記載されているものと同様又は均等なあらゆる組成物、方法、製品又は他の手段若しくは材料を本発明の実施に用いることができるが、好ましい組成物、方法、製品又は他の手段若しくは材料が本明細書に記載されている。
【0032】
[0032]本明細書に引用又は参照されているあらゆる特許、特許出願、刊行物、技術及び/又は学術論文その他の参考文献は、その全体を本明細書の一部を構成するものとして法律に認められている範囲でここに援用する。これら参考文献の記述は、そこでなされている主張を単に要約するためのものである。このような特許や特許出願、刊行物、参考文献、又はそれら任意の一部はいずれも、関連物、材料又は先行技術であるとは認められない。関連物、材料又は先行技術としてのこのような特許、特許出願、刊行物その他の参考文献におけるあらゆる主張の正確性及び妥当性について異議を唱える権利は、特に留保されている。
【0033】
発明
[0033]本発明は、その一態様において、動物による脂質吸収を抑制する方法を提供する。この方法は、動物による脂質吸収の抑制に有効な量の脂肪酸アルカノールアミドを動物に投与するステップを含む。
【0034】
[0034]別の一態様において、本発明は、動物の体脂肪を低減させる方法を提供する。この方法は、動物による脂質吸収の抑制に有効な量の脂肪酸アルカノールアミドを動物に投与するステップを含む。
【0035】
[0035]別の一態様において、本発明は、動物の体重を低減させる方法を提供する。この方法は、動物による脂質吸収に有効な量の脂肪酸アルカノールアミドを動物に投与するステップを含む。
【0036】
[0036]別の一態様において、本発明は、動物の体重増加を低減させる方法を提供する。この方法は、動物による脂質吸収の抑制に有効な量の脂肪酸アルカノールアミドを動物に投与するステップを含む。
【0037】
[0037]本発明は、脂肪酸アルカノールアミドが、動物の腸における脂質吸収を抑制するのに有効であるとの発見に基づく。脂肪酸アルカノールアミドは、脂質摂取を抑制すること、及び脂質代謝を高めること、即ち、それぞれ、吸収された脂質が満腹感に影響するメカニズムによって食物摂取を抑制すること、及び吸収された脂質の代謝における利用を増加させることにより、体脂肪、体重及び体脂肪増加に影響を及ぼすことが知られている。それとは対照的に、本発明は、動物の腸における脂質吸収を抑制する。脂質は吸収されず、したがって満腹感に影響することもなく、また代謝過程に利用されることもない。脂質吸収の抑制とは、本来であれば動物によって吸収されてしまういくらかの脂質が、腸から動物へと渡らないことを意味する。この脂質は動物を通過し、糞便へと排出される。脂質吸収の抑制によって、動物が体脂肪へと変換できる脂質を減少させることができる。減少した脂質がより少量の体脂肪へと変換されるということは、等量の脂質、特に脂質を含む食品を摂取する場合、動物が体脂肪、体重又は体重増加を低減することを意味する。動物が脂質又は脂質を含む材料を1種又は複数種の脂肪酸アルカノールアミドと併用して摂取した場合、脂質又は脂質を含む材料が脂肪酸アルカノールアミドなしで摂取された場合に動物が吸収する脂質よりも、動物によって吸収される脂質が少なくなる。
【0038】
[0038]一実施形態において、脂肪酸アルカノールアミドは、脂肪酸エタノールアミドである。別の一実施形態において、脂肪酸アルカノールアミドは、N−アシル脂肪酸エタノールアミドである。更に別の一実施形態において、脂肪酸アルカノールアミドは、N−オレオイル−エタノールアミドである。別の一実施形態において、脂肪酸アルカノールアミドは、(Z)−(R)−9−オクタデセンアミド,N−(2−ヒドロキシエチル,1−メチル)である。
【0039】
[0039]様々な実施形態において、脂肪酸アルカノールアミドは、耐加水分解性脂肪酸アルカノールアミドアナログ、耐加水分解性脂肪酸エタノールアミドアナログ又は(Z)−(R)−9−オクタデセンアミド,N−(2−ヒドロキシエチル,1−メチル)等の耐加水分解性N−オレオイル−エタノールアミドアナログである。
【0040】
[0040]脂肪酸アルカノールアミドは、動物の腸における脂質吸収を抑制するのに有効な任意の量で動物に投与される。一般に、脂肪酸アルカノールアミドは、約0.1〜約1500mg/kg/day、好ましくは約1〜約1000mg/kg/day、最も好ましくは約5〜約500mg/kg/dayの量で動物に投与される。約100mg/kg/dayの量が好ましい。
【0041】
[0041]脂肪酸アルカノールアミドは、任意の適切な形態で任意の適切な投与経路を用いて動物に投与できる。例えば、脂肪酸アルカノールアミドは、脂肪酸アルカノールアミド組成物、食品組成物、栄養補助食品、医薬組成物、栄養補給食品組成物の形で、又は薬剤として投与できる。同様に、脂肪酸アルカノールアミドは、例えば経口等の任意の適切な投与経路を用いて投与できる。好ましくは、脂肪酸アルカノールアミドは、栄養補助食品として又は食品組成物の成分として動物に経口投与される。
【0042】
[0042]好ましい一実施形態において、脂肪酸アルカノールアミドは、ヒト並びにイヌ及びネコ等のコンパニオンアニマルを含む動物による摂取に適した食品組成物の成分として動物に投与される。このような組成物は、動物にとって必須の食事要件を供給するための完全食品、又は動物の間食等の補助食品を含む。
【0043】
[0043]様々な実施形態において、ペットフード組成物又はペット用間食組成物等の食品組成物は、約15%〜約50%の粗タンパク質を含む。粗タンパク質材料は、大豆ミール、大豆タンパク質濃縮物、コーングルテンミール、小麦グルテン、綿実及びピーナッツミール等の植物性タンパク質、又はカゼイン、アルブミン及び肉タンパク質等の動物性タンパク質を含むことができる。本明細書において有用な肉タンパク質の例として、豚肉、ラム肉、ウマ肉、鶏肉、魚肉及びそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
[0044]食品組成物は、約5%〜約40%の脂肪を更に含むことができ、一般にエネルギーの約5〜50%が脂質によって占められる。適切な脂肪の例としては、動物性脂肪と植物性脂肪が挙げられる。脂肪源は、好ましくは獣脂等の動物性脂肪源である。とうもろこし油、ひまわり油、サフラワー油、なたね油、大豆油、オリーブ油並びに一価不飽和及び多価不飽和脂肪酸が豊富な他の油等の植物油もまた用いることができる。
【0045】
[0045]食品組成物は、約15%〜約60%の炭水化物を更に含むことができる。適切な炭水化物の例としては、米、とうもろこし、ミロ、ソルガム、アルファルファ、大麦、大豆、カノーラ、オート麦、小麦及びそれらの混合物等の穀類や穀物が挙げられる。組成物はまた、乾燥ホエーその他の酪農副産物等、他の材料を必要に応じて含むこともできる。
【0046】
[0046]このような食品組成物の含水率は、その食品組成物の性質に応じて異なる。食品組成物は、乾燥組成物(例えば、キブル(kibble))、セミモイスト組成物、含水組成物、又はそれらの任意の混合物であってよい。好ましい一実施形態において、組成物は完全で栄養的にバランスの取れたペットフードである。この実施形態において、ペットフードは、「ウエットフード」、「ドライフード」、又は「中程度の含水率の」食品であってよい。「ウエットフード」は、通常缶やホイル袋に入って販売されている、含水率が通常約70%〜約90%の範囲であるペットフードを表す。「ドライフード」は、ウエットフードと同様の組成だが、通常約5%〜約15%又は20%の範囲の限られた含水率を有するペットフード(通常、小型のビスケット状キブルの形である)を表す。好ましい一実施形態において、組成物は、約5%〜約20%の含水率を有する。ドライフード製品は、相対的に在庫安定的で微生物又は菌による劣化又は汚染に対して抵抗性があるような様々な含水率の様々な食品を含む。ペットフード又はヒト若しくはコンパニオンアニマル用のスナック食品等の押し出し式食品のドライフード組成物もまた好ましい。
【0047】
[0047]食品組成物はまた、1種又は複数種の繊維源を含むこともできる。用語「繊維」は、可消化か不消化か、可溶性か不溶性か、発酵性か非発酵性かに関わらない、食品におけるあらゆる「繊維質」源を含む。好ましい繊維は海藻等の植物由来であるが、微生物由来の繊維もまた利用できる。当業者に知られている通り、様々な可溶性又は不溶性繊維を利用することができる。繊維源は、ビートパルプ(甜菜由来)、アラビアゴム、タルハゴム、オオバコ、米ぬか、イナゴマメガム、柑橘パルプ、ペクチン、フラクトオリゴ糖、短鎖オリゴフラクトース、マンナンオリゴフラクトース、大豆繊維、アラビノガラクタン、ガラクトオリゴ糖、アラビノキシラン、又はこれらの混合物であってよい。
【0048】
[0048]或いは、繊維源は発酵性繊維であってよい。発酵性繊維は、コンパニオンアニマルの免疫系に対して有益であることが以前に記述された。プレバイオティクスをもたらして腸内におけるプロバイオティクスの増殖を促進することが当業者に知られている発酵性繊維や他の組成物もまた、本発明が提供する動物の免疫系に対する利益を増強するのに役立つ組成物に加えることができる。
【0049】
[0049]いくつかの実施形態において、食品組成物の灰分は、1%未満〜約15%、好ましくは約5%〜約10%の範囲となる。
【0050】
[0050]好ましい一実施形態において、組成物は、脂肪酸アルカノールアミドと約15%〜約50%のタンパク質、約5%〜約40%の脂肪、約5%〜約10%の灰分を含み、約5%〜約20%の含水率を有する食品組成物である。他の実施形態において、食品組成物は、本明細書に記載されているようにプレバイオティクス又はプロバイオティクスを更に含む。他の実施形態において、食品組成物は、本明細書に記載されているように体重管理薬を更に含む。
【0051】
[0051]食品組成物の形で投与される場合、脂肪酸アルカノールアミドは、食品組成物の約1〜約40%、好ましくは約3〜約30%、更に好ましくは約5〜約20%を占める。様々な実施形態において、食品組成物は、約1%、2%、4%、6%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%又は40%の脂肪酸アルカノールアミドを含む。
【0052】
[0052]別の一実施形態において、脂肪酸アルカノールアミドは、栄養補助食品の形で動物に投与される。栄養補助食品は、グレービー、飲料水、飲物、ヨーグルト、粉末、顆粒、ペースト、懸濁液、チューズ、一口食品、間食、スナック、ペレット、丸薬、カプセル、錠剤、小袋、又は他の任意の投与形態等、任意の適切な形態を有することができる。栄養補助食品は、脂肪酸アルカノールアミドと、ビタミン、保存料、プロバイオティクス、プレバイオティクス及び抗酸化剤等の任意の化合物とを含むことができる。これにより栄養補助食品は少量を動物に投与することができ、又は他の方法では動物に投与する前に希釈することができる。栄養補助食品は、動物に投与する前に食品組成物又は水その他の希釈剤との混合を必要とする可能性がある。栄養補助食品の形で投与される場合、脂肪酸アルカノールアミドは、栄養補助食品の約1〜約80%、好ましくは約3〜約50%、更に好ましくは約5〜約40%を占める。
【0053】
[0053]別の一実施形態において、脂肪酸アルカノールアミドは、医薬組成物又は栄養補給食品組成物の形で動物に投与される。医薬組成物は、脂肪酸アルカノールアミドと、1種又は複数種の、医薬又は栄養補給食品として許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを含む。一般に、医薬組成物は、化合物又は組成物を、医薬品の作製や動物に医薬品として投与するのに適切な組成物の製剤に有用であると当業者に知られた他の成分を含む、賦形剤、緩衝剤、結合剤、可塑剤、着色剤、希釈剤、圧縮剤、潤滑剤、着香剤、湿潤剤等と混合することによって調製される。医薬組成物又は栄養補給食品組成物の形で投与される場合、脂肪酸アルカノールアミドは、組成物の約1〜約90%、好ましくは約3〜約60%、更に好ましくは約5〜約50%を占める。
【0054】
[0054]一実施形態において、脂肪酸アルカノールアミドは、1種又は複数種の体重管理薬と併用して投与される。別の一実施形態において、脂肪酸アルカノールアミドは、1種又は複数種のプレバイオティクス又はプロバイオティクスと併用して投与される。更に別の一実施形態において、脂肪酸アルカノールアミドは、1種又は複数種の体重管理薬及び1種又は複数種のプレバイオティクス又はプロバイオティクスと併用して投与される。
【0055】
[0055]別の一態様において、本発明は、動物による脂質吸収の抑制に有効な量の脂肪酸アルカノールアミドを含む組成物を提供する。特定の組成物に対して予見、又は推奨されるように組成物が投与される場合、組成物は、約0.1〜約1500mg/kg/day、好ましくは約1〜約1000mg/kg/day、最も好ましくは約5〜約500mg/kg/dayの量の脂肪酸アルカノールアミドを動物に投与するのに十分な量の脂肪酸アルカノールアミドを含む。通常、脂肪酸アルカノールアミドは、組成物の約1〜約80%、好ましくは約3〜約50%、更に好ましくは約5〜約30%を含む。様々な実施形態において、食品組成物は、約1%、2%、4%、6%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、45%、50%、55%、60%、70%又は80%の脂肪酸アルカノールアミドを含む。
【0056】
[0056]好ましくは、脂肪酸アルカノールアミドは、脂肪酸エタノールアミド又はN−アシル脂肪酸エタノールアミドである。最も好ましくは、脂肪酸アルカノールアミドは、N−オレオイル−エタノールアミド及び(Z)−(R)−9−オクタデセンアミド,N−(2−ヒドロキシエチル,1−メチル)からなる群から選択される。
【0057】
[0057]食品、食事、医薬品その他の組成物等の脂肪酸アルカノールアミド組成物は、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス、プレバイオティクス、塩、並びにパラタント、着色剤、乳化剤及び抗菌剤その他の保存料等の機能性添加物等、1種又は複数種の物質を更に含むことができる。このような組成物において有用となり得るミネラルは、例えばカルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、セレン等を含む。本明細書において有用な追加的なビタミンの例として、ビタミンA、D、E及びK等の脂溶性ビタミンが挙げられる。イヌリン、アミノ酸、酵素、補酵素等は、様々な実施形態において含有されるのに有用となり得る。
【0058】
[0058]特定の実施形態において、脂肪酸アルカノールアミド組成物は、プレバイオティクス又はプロバイオティクスを更に含む。プロバイオティクスは、摂取されたときに特定の病状の予防と治療に有益な効果を有する生きた微生物である。プロバイオティクスは、コロニー形成抵抗性として知られている現象によって生物学的効果を与えると考えられている。プロバイオティクスは、常在性嫌気性フローラが消化管における潜在的に有害な(多くは好気性の)細菌の濃度を制限する過程を促進する。胃腸管における酵素の供給や酵素活性に対する作用等、他の作用機構もまた、プロバイオティクスに起因するとされている他の機能の一部を説明することができる。プレバイオティクスは、結腸内の細菌の増殖及び/又は活性を選択的に促進することによって宿主の健康に有益に影響する、非消化性の食品成分である。プレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖(FOS)、キシロオリゴ糖(XOS)、ガラクトオリゴ糖(GOS)及びマンノオリゴ糖(通常、ペットフード等の非ヒト用食品のため)を含む。プレバイオティクスのフラクトオリゴ糖(FOS)は、小麦、タマネギ、バナナ、蜂蜜、にんにく、リーキ等、多くの食品に天然に存在する。FOSはまた、チコリの根から単離したり、ショ糖から酵素的に合成したりすることもできる。結腸におけるFOS発酵は、結腸におけるビフィズス菌数の増加、カルシウム吸収の増加、糞便重量の増加、胃腸における通過時間の短縮、そして恐らくは血中脂質濃度の低下等、多くの生理学的効果をもたらす。ビフィズス菌の増加は、潜在的な病原体を抑制する化合物の産生、血中アンモニア濃度の低下、またビタミンと消化酵素の産生によってヒトの健康に恩恵をもたらすと考えられてきた。乳酸菌やビフィズス菌等のプロバイオティクス細菌は、腸内の微生物バランスを改善して抗体産生と白血球の食作用(貪食又は攻撃)を促進させることによって、免疫応答に好ましい効果を与えると考えられている。ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)は、高齢者における細胞性免疫のいくつかの側面を高めるのに有効なプロバイオティクス栄養補助食品であってよい。プロバイオティクスは、それ以外では健康な成人の全身性細胞性免疫応答を高め、また自然免疫を高める栄養補助食品として有用となり得る。プロバイオティクスは、多くの種類の細菌を含むが、通常はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacteria)、ラクトコッカス属(Lactococcus)及びペディオコッカス属(Pediococcus)の4属の細菌から選択される。有益な種としては、エンテロコッカス属(Enterococcus)やサッカロマイセス属(Saccharomyces)の種、例えばエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)SF68が挙げられる。動物に投与されるプロバイオティクスとプレバイオティクスの量は、プロバイオティクスとプレバイオティクスの種類及び性質並びに動物の種類及び性質、例えば動物の年齢、体重、全身の健康、性別、微生物減少の範囲、有害な細菌の存在及び食事に基づいて当業者によって決定される。一般に、プロバイオティクスは、腸内ミクロフローラの健康維持のために一日当たり約10〜約200億コロニー形成単位(CFU)の量、好ましくは一日当たり約50億〜約100億の生きた細菌が動物に投与される。一般に、プレバイオティクスは、消化管内の健康的なミクロフローラを好ましく刺激し、これら「善玉」細菌を増殖させるのに十分な量で投与される。通常の量は、一食当たり約1〜約10グラム、又は動物に推奨される一日分の食物繊維の約5%〜約40%である。プロバイオティクスとプレバイオティクスは、任意の適切な手段で組成物の一部であってよい。一般にこれら物質は、組成物と混合、又は例えば散布や噴霧によって組成物の表面に塗布される。キットの一部である場合、これら物質は他の物質と混合又はそれ自体の包装内で混合することができる。プロバイオティクスとプレバイオティクスは、脂肪酸アルカノールアミドの投与が腸内フローラを撹乱する場合に有用である。
【0059】
[0059]当業者は、脂肪酸アルカノールアミド、食品成分、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス、プレバイオティクス、抗酸化剤又は特定の動物に投与される特定の組成物を作製するために用いられる他の成分の適切な量を決定することができる。当業者は、脂肪酸アルカノールアミドと他の成分とを含む特定の組成物の最適な製剤方法を決定する際に、動物の種、年齢、サイズ、体重、健康状態等を考慮することができる。考慮することができる他の要素は、組成物の種類(例えば、栄養補助食品対ペットフード組成物)、各構成要素の所望の投与量、異なる動物による特定の種類の組成物の平均摂取量(例えば、種、体重、活性/エネルギー需要等に基づく)及び組成物の製造要件を含む。
【0060】
[0060]更に別の一態様において、本発明は、脂肪酸アルカノールアミドを動物に投与するのに適切なキットを提供する。キットは、キット構成要素として適切なものとして、単一包装内の別々の容器又はバーチャル包装内の別々の容器に、1種又は複数種の脂肪酸アルカノールアミドと、(1)動物による摂取に適した1種又は複数種の成分、(2)1種又は複数種のプロバイオティクス又はプレバイオティクス、(3)1種又は複数種の体重管理薬、(4)脂肪酸アルカノールアミドと他のキット構成要素とを組み合わせて脂質吸収抑制に有用な組成物を作製する方法についての取扱説明書、(5)脂肪酸アルカノールアミドと体重管理薬等の本発明の他の構成要素とを特に動物のために使用する方法についての取扱説明書、(6)スプーン又は他の塗布器具等の、キット構成要素を調製又は組み合わせて動物に投与する組成物を作製するための器具、及び(7)ボウルその他の容器等、組み合わされた又は調製されたキット構成要素を動物に投与するための器具のうちの1つ又は複数とを含む。
【0061】
[0061]キットがバーチャル包装を含む場合、キットは1個又は複数個の物理的キット構成要素と組み合わされたバーチャル環境の取扱説明書に限定される。キットは、脂質吸収を抑制するのに十分な量の脂肪酸アルカノールアミドと他の構成要素とを含む。通常、脂肪酸アルカノールアミドと他の適切なキット構成要素は、動物が摂取する直前に混合される。キットは、様々な組み合わせ及び/又は混合のうちのいずれかのキット構成要素を含むことができる。一実施形態において、キットは、脂肪酸アルカノールアミドを有する小包と、動物が摂取するための食品の容器とを含む。キットは、脂肪酸アルカノールアミドと他の成分とを混合するための器具や、例えば餌入れ等の混合物を収容するための器具等、付加的な品目を含むことができる。別の一実施形態において、脂肪酸アルカノールアミドは、動物の良好な健康状態を促進するビタミンやミネラル等の付加的な栄養補給品と混合される。構成要素はそれぞれ、単一包装内の別々の容器、又は異なる包装内の様々な構成要素の混合で提供される。好ましい実施形態において、キットは脂肪酸アルカノールアミドと、動物が摂取するのに適した1種又は複数種の他の成分とを含む。好ましくは、このようなキットは、通常、脂肪酸アルカノールアミドを他の成分と混合し、又は脂肪酸アルカノールアミドを他の成分に適用する、例えば、脂肪酸アルカノールアミドを食品組成物に振りかけることにより、脂肪酸アルカノールアミドを他の成分と組み合わせて、動物が摂取するための食品組成物を形成する方法を説明する取扱説明書を含む。
【0062】
[0062]別の一態様において、本発明は、(1)動物による脂質吸収の抑制のための脂肪酸アルカノールアミドの使用、(2)動物による摂取に適した脂肪酸アルカノールアミド食品組成物又は脂肪酸アルカノールアミド栄養補助食品等、脂肪酸アルカノールアミド組成物を作製するための脂肪酸アルカノールアミドと他の成分との混合、(3)例えば動物における体脂肪の低減、体重の低減及び体重増加の低減等、動物のための本発明のキットの使用、(4)動物のための体重管理薬と併用した脂肪酸アルカノールアミドの使用及び(5)脂肪酸アルカノールアミドの動物への投与のうちの1つ又は複数に関する情報又は指示を伝達する手段を提供する。この手段は、情報や指示を有する物理的若しくは電子的文書、デジタル蓄積メディア、オプティカル蓄積メディア、音声プレゼンテーション、音声画像表示又は画像表示のうちの1つ又は複数を含む。好ましくは、この手段は、表示されたウェブサイト、画像表示用キオスク、パンフレット、製品ラベル、添付文書、広告、プリント、公示、録音テープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ可読チップ、コンピュータ可読カード、コンピュータ可読ディスク、USB機器、FireWire機器、コンピュータメモリ及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0063】
[0063]別の一態様において、本発明は、脂肪酸アルカノールアミドと、動物による摂取に適した1種又は複数種の他の成分、例えば、タンパク質、脂肪、炭水化物、繊維、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス、プレバイオティクス、体重管理薬等のうちの1つ又は複数とを含む食品組成物を製造するための方法を提供する。この方法は、動物による摂取に適した1種又は複数種の成分と脂肪酸アルカノールアミドとを混合するステップを含む。或いは、この方法は、脂肪酸アルカノールアミドを単独で、又は例えばコーティングやトッピング等、他の成分と併用し、若しくは組み合わせて食品組成物に塗布するステップを含む。脂肪酸アルカノールアミドは、食品組成物の製造及び/又は加工の間に随時添加することができる。組成物は、本技術分野において適切なあらゆる方法に従って作製することができる。
【0064】
[0064]別の一態様において、本発明は、脂肪酸アルカノールアミドと、包装の内容物が動物による脂質吸収の抑制に適した成分又は組成物を有することを示す、単数若しくは複数の語、写真、意匠、頭文字、標語、語句その他の考案又はそれらの組み合わせを有する、包装に添付されたラベルとを含む包装を提供する。
【0065】
[0065]通常、このような考案は、包装上に印刷された語「脂質吸収を抑制」、「脂質吸収の抑制によって減量を促進」、「脂質吸収の抑制によって体脂肪を低減」、「脂質吸収の抑制によって体重増加を低減」又はその等価表現を有する。組成物を収容するのに適切なあらゆる包装又は包装材料、例えば紙、プラスチック、ホイル、金属等で製造された小袋、袋、箱、瓶、缶、ポーチ等は、本発明において有用である。好ましい一実施形態において、包装は、ラベルに適合するような、ヒト、イヌ科又はネコ科等の特定の動物に適した食品組成物、好ましくはイヌ又はネコのためのコンパニオンアニマル用食品組成物を収容する。好ましい一実施形態において、包装は、脂肪酸アルカノールアミドを収容する小袋である。
【0066】
[0066]他の一態様において、本発明は、動物による脂質吸収を抑制するための薬剤を調製するための脂肪酸アルカノールアミドの使用を提供する。一般に、薬剤は、化合物又は組成物、即ち脂肪酸アルカノールアミド又は脂肪酸エタノールアミドを、賦形剤、緩衝剤、結合剤、可塑剤、着色剤、希釈剤、圧縮剤、潤滑剤、着香剤、湿潤剤及び動物への投与に適切な薬剤の作製及び薬剤の処方に有用であると当業者に知られた他の成分と混合することによって調製される。
【実施例】
【0067】
[0067]本発明は、以下の実施例によって更に説明することができるが、この実施例は単に例示を目的として記載したものであり、特に別に示されていない限り本発明の範囲を限定するものではないことが理解されよう。
【0068】
実施例1
[0068]8週齢でJanvier Elevage(Le Genest−St−Isle、フランス)から購入した成熟雄性マウスC57bl6jを、適宜高脂肪食と水で2週間個々に収容し飼育した。7匹のマウスを3群に無作為に割り付け、高脂肪食(脂質が一日のエネルギーの50%を占めていた)を2週間与えた。高脂肪食の組成は、1キログラムに対してカゼイン235g、ショ糖201g、L−システイン3.5g、デンプン85g、マルトデキストリン116g、セルロース60g、ビタミン混合物12g、ミネラル混合物51.5g並びにラード236g及びカノーラ油13g(UPAE、Jouy en Josas、フランス)であった。続いて、N−オレオイル−エタノールアミド又は(Z)−(R)−9−オクタデセンアミド,N−(2−ヒドロキシエチル,1−メチル)を100mg/kg/bwの濃度で食餌に添加した。
【0069】
[0069]マウスを4週間処置し続けた。栄養学的介入の間、毎日の食餌摂取を観察し、マウスを1週間毎に3回体重測定した。実験の最終週の間、マウスを代謝ケージにて5日間飼育して尿と糞便を採取した。
【0070】
[0070]塩酸を用いて酸性化した後、糞便から脂質をクロロホルム/メタノール(2:1v/v)法を用いて抽出した。全脂質を重量測定し、その結果を糞便重量1グラム当たりの脂質ミリグラム数で記録した。脂質吸収は次式を用いて評価した。脂質吸収率(%摂取)=100((脂質摂取量g/d−糞便脂質排出量g/d)/脂質摂取量)。結果を表1に示す。
【0071】
[0071]表1を参照すると、脂肪酸アルカノールアミドは、対照と比べて動物による脂質吸収を有意に抑制した。
【表1】

【0072】
実施例2
[0072]N−オレオイル−エタノールアミドを2種類の異なる濃度(0.1又は1g/kg/bw)で食餌に添加する以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
【表2】

【0073】
[0073]表2を参照すると、脂肪酸アルカノールアミドは、対照群と比べて動物による脂質吸収を有意に抑制した。
【0074】
[0074]本明細書において、本発明の通常の好ましい実施形態を開示してきた。特定の用語が用いられていても、それらは一般的で説明的な意味でのみ用いられ、限定を目的とするものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲において説明される。上述の教示に照らして、本発明は明らかに多くの修正や変更が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内で、特に記載されている以外の方法で本発明を実施できることを理解するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物による脂質吸収の抑制に有効な量の1種又は複数種の脂肪酸アルカノールアミドを動物に投与するステップを含む、動物による脂質吸収を抑制する方法。
【請求項2】
脂肪酸アルカノールアミドが脂肪酸エタノールアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
脂肪酸アルカノールアミドがN−アシル脂肪酸エタノールアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
脂肪酸アルカノールアミドがN−オレオイル−エタノールアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
脂肪酸アルカノールアミドが(Z)−(R)−9−オクタデセンアミド,N−(2−ヒドロキシエチル,1−メチル)である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
脂肪酸アルカノールアミドが耐加水分解性脂肪酸アルカノールアミドアナログである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
脂肪酸アルカノールアミドが約0.1〜約1500mg/kg/dayの量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
脂肪酸アルカノールアミドが、食品組成物の形で、又は栄養補助食品として動物に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
組成物が食品組成物であり、脂肪酸アルカノールアミドが食品組成物の約1〜約40%を占める、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
脂肪酸アルカノールアミドを1種又は複数種のプレバイオティクス又はプロバイオティクスと併用して投与するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
脂肪酸アルカノールアミドを1種又は複数種の体重管理薬と併用して投与するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
動物がヒト又はコンパニオンアニマルである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
コンパニオンアニマルがイヌ科又はネコ科である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
キット構成要素として適切なものとして、単一包装内の別々の容器又はバーチャル包装内の別々の容器に、1種又は複数種の脂肪酸アルカノールアミドと、(1)動物による摂取に適した1種又は複数種の成分、(2)1種又は複数種のプロバイオティクス又はプレバイオティクス、(3)1種又は複数種の体重管理薬、(4)脂肪酸アルカノールアミドと他のキット構成要素とを組み合わせて脂質吸収抑制に有用な組成物を作製するための方法についての取扱説明書、(5)脂肪酸アルカノールアミドと本発明の他の構成要素とを動物のために使用する方法についての取扱説明書、(6)キット構成要素を調製又は組み合わせて動物に投与する組成物を作製するための器具、及び(7)組み合わされた又は調製されたキット構成要素を動物に投与するための器具のうちの1つ又は複数とを含む、脂肪酸アルカノールアミドを動物に投与するのに適したキット。
【請求項15】
脂肪酸アルカノールアミドが小袋に収容されている、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
脂肪酸アルカノールアミドと、動物による摂取に適した1種又は複数種の成分とを含む、請求項14に記載のキット。
【請求項17】
1種又は複数種の体重管理薬を更に含む、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
脂肪酸アルカノールアミドと1種又は複数種の体重管理薬とを含む、請求項14に記載のキット。
【請求項19】
(1)動物による脂質吸収の抑制のための脂肪酸アルカノールアミドの使用、(2)脂肪酸アルカノールアミド組成物を作製するための脂肪酸アルカノールアミドと他の成分との混合、(3)動物のための本発明のキットの使用、(4)動物のための体重管理薬と併用した脂肪酸アルカノールアミドの使用及び(5)脂肪酸アルカノールアミドの動物への投与、のうちの1つ又は複数に関する情報又は指示を伝達する手段であって、情報や指示を有する物理的若しくは電子的文書、デジタル蓄積メディア、オプティカル蓄積メディア、音声プレゼンテーション、音声画像表示又は画像表示のうちの1つ又は複数を含む手段。
【請求項20】
表示されたウェブサイト、画像表示用キオスク、パンフレット、製品ラベル、添付文書、広告、プリント、公示、録音テープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ可読チップ、コンピュータ可読カード、コンピュータ可読ディスク、USB機器、FireWire機器、コンピュータメモリ及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の手段。
【請求項21】
脂肪酸アルカノールアミドと、包装の内容物が動物による脂質吸収の抑制に適した成分又は組成物を有することを示す、単数若しくは複数の語、写真、意匠、頭文字、標語、語句、その他の考案又はそれらの組み合わせを有する、包装に添付されたラベルとを含む包装。
【請求項22】
脂肪酸アルカノールアミドと動物による摂取に適した1種又は複数種の他の成分とを含む食品組成物を製造する方法であって、動物による摂取に適した1種又は複数種の成分を脂肪酸アルカノールアミドと混合するステップを含む方法。
【請求項23】
動物による脂質吸収の抑制に有効な量の脂肪酸アルカノールアミドを動物に投与するステップを含む、動物における体脂肪の低減、体重の低減、及び体重増加の低減のうちの1つ又は複数のための方法。
【請求項24】
脂肪酸アルカノールアミドが約0.1〜約1500mg/kg/dayの量で投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
脂肪酸アルカノールアミドが食品組成物の形で、又は栄養補助食品として動物に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
組成物が食品組成物であり、脂肪酸アルカノールアミドが食品組成物の約1〜約40%を占める、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
組成物又は栄養補助食品が1種又は複数種のプレバイオティクス又はプロバイオティクスを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
組成物又は栄養補助食品が1種又は複数種の体重管理薬を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
動物がヒト又はコンパニオンアニマルである、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
コンパニオンアニマルがイヌ科又はネコ科である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
脂質吸収の抑制に有効な量の脂肪酸アルカノールアミドを含む組成物。
【請求項32】
約1〜約1500mg/kg/dayの量の脂肪酸アルカノールアミドを動物に投与するのに十分な量の脂肪酸アルカノールアミドを含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
食品組成物である、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
脂肪酸アルカノールアミド及び1種又は複数種の医薬又は栄養補給食品として許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含む、医薬組成物又は栄養補給食品組成物。
【請求項35】
動物による脂質吸収を抑制するための薬剤を調製するための、1種又は複数種の脂肪酸アルカノールアミドの使用。
【請求項36】
約0.1〜約1500mg/kg/dayを動物に投与するのに十分な量の十分な脂肪酸アルカノールアミドを含む、請求項35に記載の薬剤。

【公表番号】特表2011−521914(P2011−521914A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510501(P2011−510501)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/003068
【国際公開番号】WO2009/142713
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】