説明

動物のサルコペニア及び筋萎縮症を予防又は治療する方法

本発明は、動物のサルコペニア又は筋萎縮症を予防又は治療するための方法を提供する。該方法は、好ましくは、約0.001〜約10g/kg/日のイソフラボンを動物に投与するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、2009年10月9日に出願された米国特許仮出願第61/278633号に対する優先権を主張するものであり、その出願の開示内容は、ここで参照されることにより本明細書に組み込まれる。
【発明の背景】
【0002】
発明の分野:
[0002]本発明は概して、サルコペニア及び筋萎縮症を予防又は治療する方法に関し、特に、動物のサルコペニア及び筋萎縮症を予防又は治療するためにイソフラボンを使用する方法に関する。
【0003】
関連技術の説明:
[0003]イソフラボンは、インゲンマメ属のマメ科植物(beans)及びマメ科植物(legumes)、特にダイズなどの植物中にみられる天然にある化合物である。作用のメカニズムは不明だが、イソフラボンは、エストロゲンの効果を模倣し、エストロゲンの代謝を調節する。結果として、イソフラボンが、腫瘍細胞の増殖を低減すること、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導すること、ホルモンのバランスを調整すること並びに乳癌、前立腺癌、心臓疾患、骨粗鬆症及びその他のいくつかの疾患及び状態のリスクを低減することが知られている。しかしながら、イソフラボンが、サルコペニア又は筋萎縮症を予防又は治療することについては知られていない。
【0004】
[0004]加齢する間に、骨格筋の機能及び量を維持する能力が徐々に低下する。その状態は、「サルコペニア」として知られている。サルコペニアのはっきりとした原因はわかっていないが、骨格筋線維の再生を助ける「サテライト細胞」の漸進的な減退及び筋肉量を維持しサテライト細胞を確実に存続させるのに必要な、重要な分泌成長因子に対する感受性又はその有効性の低下が組み合わさったことによる可能性がある。サルコペニアと闘うための方法は、当該技術分野では周知である。米国特許第7442706号には、成長ホルモン分泌促進物質によりサルコペニアを治療する方法が開示されている。米国特許第7232580号及び米国特許第7138148号には、サルコペニア治療用の薬剤を調製するためのギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba)の抽出物の使用が開示されている。
【0005】
[0005]同様に、筋萎縮症は、筋肉量の低下として定義される。筋萎縮症は、筋肉の部分的又は全体的な消耗である。筋肉が萎縮すると、筋肉は弱くなり、力を出す能力は量に関連するため、体の働き(例えば動き)を効果的に支える筋肉の能力が失われる。筋萎縮症は、多くの要因、例えば、癌、AIDS、うっ血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患、腎不全及び重症熱傷などの疾患によって起こることがある。こうした動物は、「悪液質」を患い、良好な健康又は生存についての予後が悪いことが多い。筋萎縮症と闘うための方法は、当該技術分野で周知である。米国特許出願公開第20070122821号には、筋萎縮症を治療するためのアンチセンス組成物及び方法が開示されている。米国特許出願公開第20060003959号には、筋肉量を維持し、筋萎縮症を予防するための方法及び薬剤並びに関連するバイオマーカーが開示されている。
【0006】
[0006]これらの公知の方法にも関わらず、サルコペニア及び筋萎縮症に起因する問題はなくならない。したがって、動物、特に、加齢動物のサルコペニア及び筋萎縮症と闘うための新規の方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明は、サルコペニアを予防又は治療する方法を提供することを目的とする。
【0008】
[0008]本発明はまた、筋萎縮症を予防又は治療する方法を提供することを目的とする。
【0009】
[0009]こうした目的の少なくとも1つは、動物のサルコペニア又は筋萎縮症を予防又は治療するのに十分な量のイソフラボンを動物に投与することによって達成される。一般的な実施形態において、イソフラボンは、サルコペニア及び筋萎縮症を予防又は治療するのに必要な期間、1日当たり体重1キログラムに対して約0.001〜約10グラム(g/kg/日)の量動物に投与される。
【0010】
[0010]本発明のさらなる目的、特徴及び利点は当業者に容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】600MHz核磁気共鳴(NMR)分光計で一般的な取得条件(標準、CPMG、拡散編集スペクトル)を使用した血漿のメタボロミクス又はメタボノミクス分析から得られる代謝プロファイルを示すグラフである。
【図2】異なる期間における各群の動物の第1潜在変数から得られるスコアの中央値を示す2次元(2D)投影図である。
【発明の詳細な説明】
【0012】
定義:
[0013]「イソフラボン」とは、本発明に有用なイソフラボン並びにその天然又は合成の類似体、誘導体、前駆体及び代謝産物を意味する。以下に限定されるものではないが、少なくとも1種のリグナン又はクメスタン(例えば、ピノレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、マタイレシノール、ヒドロキシマタイレシノール、シリンガレシノール、セサミン、エンテロジオール、エンテロラクトン、クメストロール)により置換されたイソフラボンを含む。
【0013】
[0014]「動物」とは、サルコペニア又は筋萎縮症に罹患しやすい又は罹患している任意の動物を意味する。例えば、ヒト、鳥、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヒクリン、オオカミ、ネズミ、ヒツジ、ブタが挙げられる。
【0014】
[0015]「加齢」とは、動物がサルコペニアに罹患しやすいと考えられるような高齢を意味する。
【0015】
[0016]「伴侶動物」とは、飼いならされた動物を意味する。例えば、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタが挙げられる。
【0016】
[0017]「栄養補助食品」とは、通常の動物の食餌に加えて摂取されることが意図された製品を意味する。栄養補助食品はいかなる形態であってもよく、例えば、固体、液体、ゲル、錠剤、カプセル、粉末のいずれでもよい。好ましくは、栄養補助食品は、使いやすい剤形で(例えばサッシェ剤の形で)供給される。栄養補助食品は、バルク(bulk)の消費者パッケージ(例えば、バルクの粉末、液体、ゲル又はオイル)の形で提供されてもよい。同様に、そのような栄養補助食品は、他の食品(例えば、スナック、トリーツ、サプリメントバー、飲料)に含まれるようにバルク量で提供できる。
【0017】
[0018]「定期的」とは、本発明のイソフラボンが定期的・周期的に長期間をかけて動物に投与されることを意味する。例えば、イソフラボンは、適宜月1回、週1回又は毎日投与することができる。特定の実施形態では、1日2回、3回等のさらに頻繁な投与が好適である。
【0018】
[0019]本明細書において、範囲内の1つ1つの値を列挙及び記載することを避けるため、範囲は簡略に記す。範囲の上限値、下限値又は端値として、必要に応じて範囲内の任意の適切な値を選択することができる。
【0019】
[0020]本明細書及び添付の特許請求の範囲では、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合でない限り、単語の単数形は複数を含み、逆もまた同様である。したがって、“a”、“an”及び“the”は一般にその語の複数形を含む。例えば、“an animal”、“a method”又は“a disease”は、その“animal”、“method”又は“disease”の複数を含む。同様に、「含む」(“comprise”、“comprises”、“comprising”)は、排他的ではなく包含的に解釈されるべきである。同様に、「含む」(“include”、“including”)、「若しくは」、「又は」、「或いは」(“or”)は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合でない限り包含的に解釈されるべきである。同様に、「例」は、特に用語の列挙が後に続く場合は、例示的かつ説明的なものにすぎず、排他的又は網羅的なものとみなされるべきではない。
【0020】
[0021]本明細書に開示される方法、組成物及び他の提案は、本明細書に記載の特定の方法、手順及び試薬に限定されるものではない。なぜならば、当業者には理解されるように、それらは変わり得るものだからである。さらに、本明細書で使用される用語は、専ら特定の実施形態を記載するためのものであり、開示又は請求の範囲を限定するものではない。
【0021】
[0022]特に断らない限り、本明細書で使用されるすべての技術的・科学的用語、当技術分野の用語、及び頭字語は、本発明の分野又は当該用語が使用される分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様又は同等のすべての組成物、方法、製品又は他の手段若しくは材料は本発明の実施に際して使用することができるが、本明細書には、好ましい組成物、方法、製品又は他の手段若しくは材料が記載されている。
【0022】
[0023]本明細書で引用又は参照されるすべての特許、特許出願、出版物、技術的及び/又は学術的論文及び他の文献は、ここで参照されることにより、法律で許容される範囲でその全体が本明細書に組み込まれる。これらの文献についての議論は、単にその主張内容を要約することを意図したものである。そのような特許、特許出願、出版物又は文献又はそれらの任意の一部が関連技術又は先行技術であることを認めるものではない。そのような特許、特許出願、出版物及び他の文献が関連技術又は先行技術であるとのいかなる主張に関しても、その正確性及び妥当性について異議を申し立てる権利は特に留保されている。
【0023】
発明:
[0024]一態様において、本発明は、サルコペニアを予防又は治療する方法を提供する。該方法は、サルコペニアを予防又は治療する量の少なくとも1種のイソフラボンを動物に投与するステップを含む。他の態様において、本発明は、筋萎縮症を予防又は治療する方法を提供する。該方法は、筋萎縮症を予防又は治療する量の少なくとも1種のイソフラボンを動物に投与するステップを含む。本発明は、イソフラボンが加齢又は筋萎縮症を引き起こす疾患若しくは状態に起因する筋肉の変化を回復させるために使用できるという発見に基づくものである。
【0024】
[0025]さまざまな実施形態において、動物は、任意の年齢、種、健康状態などの動物を含む、サルコペニア又は筋萎縮症を引き起こす疾患又は状態に罹患しやすい又は罹患している任意の種又は品種の動物である。一実施形態において、動物は、サルコペニアに罹患しやすい又は罹患している加齢動物である。他の実施形態において、動物は、筋萎縮症を引き起こす疾患又は状態、例えば、癌、AIDS、うっ血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患、腎不全、重症熱傷などに罹患しやすい又は罹患している動物である。
【0025】
[0026]イソフラボンは、当業者に周知の任意のイソフラボンである。さまざまな実施形態において、イソフラボンは、アグリコン、グルコシド、アセチルグルコシド及びマロニルグルコシドの形態のイソフラボンからなる群より選択される。好ましくは、イソフラボンは、ビオカニンA、ダイゼイン、ダイジン、グリシテイン、ホルモノネチン、エコール、ゲニステイン、イリロン、ルテオン、プルネチン、プラテンセイン及びグリシチンからなる群より選択される。一実施形態において、イソフラボンは、ダイズから得られるダイズイソフラボンであり、或いはダイズ又はダイズ抽出物を動物に与えることによって動物に投与される。他の実施形態において、イソフラボンは、ピノレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、マタイレシノール、ヒドロキシマタイレシノール、シリンガレシノール、セサミン、エンテロジオール、エンテロラクトン及びクメストロールなどの少なくとも1種のリグナン又はクメスタンにより置換されたイソフラボンである。
【0026】
[0027]イソフラボンは、本発明において機能を果たす、例えば、サルコペニア又は筋萎縮症を予防又は治療するのに必要なように動物に投与される。投与量は、一般に、投与されるイソフラボン、動物、動物の健康状態及び状態、投与目的などに基づいて当業者が容易に決定できる。好ましくは、イソフラボンは、定期的に、好ましくは週1回ベースで、最も好ましくは毎日、動物に投与される。
【0027】
[0028]さまざまな実施形態において、イソフラボンは、約5mg/日〜約5000mg/日、好ましくは10mg/日〜約2000mg/日、より好ましくは約30mg/日〜約500mg/日、最も好ましくは約50mg/日〜約300mg/日の量動物に投与される。他の実施形態において、イソフラボンは、1日当たり体重1キログラムに対して約0.001〜約10グラム(g/kg/日)、好ましくは約0.05〜約5g/kg/日、最も好ましくは約0.01〜約1g/kg/日の量動物に投与される。イソフラボンは、サルコペニア又は筋萎縮症を予防又は治療するのに必要とされる期間投与される。加齢動物については、一般に動物の生涯の残りの期間、イソフラボンを投与する必要がある。
【0028】
[0029]イソフラボンは、当業者に周知の適した任意の様式で動物に投与される。好ましくは、イソフラボンは、イソフラボンを含有する組成物、好ましくは、経口投与を意図した組成物の形で動物に投与される。特定の実施形態において、イソフラボンは、栄養補助食品として動物に投与される。他の実施形態において、イソフラボンは、食品組成物の形で動物に投与される。一実施形態において、食品組成物は、動物、好ましくは伴侶動物に対してAssociation of American Feed Control Officials(AAFCO)が定めた基準に従って「完全でバランスのとれた」栄養をもたらすように配合される。他の実施形態において、食品組成物は、イヌ又はネコ用食品組成物を含む伴侶動物用食品組成物として配合される。栄養補助食品又は食品組成物は、少なくとも1種のイソフラボンを、動物に対して望ましい量のイソフラボンを投与するのに十分な量、すなわち、約5mg〜約5000mgの量又は約0.001〜約10g/kg/日を投与するのに十分な量含有するように配合される。
【0029】
[0030]さまざまな実施形態において、動物はヒトである。他の実施形態において、動物は伴侶動物、好ましくはイヌ又はネコである。
【0030】
[0031]他の態様において、本発明は、パッケージであって、該パッケージは、少なくとも1種のイソフラボンと、該パッケージに貼られたラベルと、を含み、該ラベルは、サルコペニア又は筋萎縮症の予防又は治療に関して有益な特性を有するイソフラボンが該パッケージ内に含まれることを示す単語、絵、図案、頭字語、キャッチフレーズ、語句又は他の手段又はそれらの組み合わせを有するパッケージを提供する。一般に、そのような手段は、パッケージ上に印刷された形で、「サルコペニアを予防する」、「萎縮を治療する」、「筋消耗を予防又は治療する」という文言又は同等の表現を備える。組成物を入れるのに適した任意のパッケージ又はパッケージング材料(例えば、紙、プラスチック、ホイル、金属等から製造された袋、箱、ボトル、缶、小袋等)は本発明において有用である。好適な実施形態において、パッケージには、ラベルに応じて、特定の動物(例えば、ヒト、イヌ、ネコ)用の食品組成物、好ましくはイヌ又はネコのための伴侶動物用食品組成物が含まれる。好適な実施形態において、パッケージは、本発明に有用な食品組成物を含む缶又は小袋である。
【0031】
[0032]他の態様において、本発明は、(1)サルコペニアを予防又は治療するためにイソフラボンを使用すること、(2)筋萎縮症を予防又は治療するためにイソフラボンを使用すること、(3)本発明の方法について、例えば、サルコペニア又は筋萎縮症を予防又は治療するためにイソフラボンを投与又は使用することについて疑問がある場合の消費者の問い合わせ先、及び(4)イソフラボンについての栄養情報、のうちの少なくとも1つについての情報又は指示を伝達する手段を提供する。有用な指示には、イソフラボンの投与量及び頻度が含まれる。該伝達手段は、本発明を使用することの利点について教示し、イソフラボンを動物に投与するための承認された方法を伝えるのに有用である。該手段は、情報又は指示を含む物理的若しくは電子的文書、デジタル記憶媒体、光学記憶媒体、オーディオプレゼンテーション、オーディオビジュアルディスプレイ又はビジュアルディスプレイを含む。好ましくは、該手段は、表示されたウェブサイト、ビジュアルディスプレイキオスク、パンフレット、製品ラベル、添付文書、広告、チラシ、広告、オーディオテープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ可読チップ、コンピュータ可読カード、コンピュータ可読ディスク、USBデバイス、ファイアワイアデバイス、コンピュータメモリ及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0032】
[0033]さらなる態様において、本発明は、薬剤を調製するための少なくとも1種のイソフラボンの使用を提供する。他の態様において、本発明は、サルコペニア又は筋萎縮症を予防又は治療するための薬剤を調製するためのイソフラボンの使用を提供する。一般に、薬剤は、化合物又は組成物を賦形剤、緩衝剤、結合剤、可塑剤、着色料、希釈剤、圧縮剤、滑沢剤、香味料、湿潤剤及び薬剤を生成するのに有用な当業者に公知の他の成分と混合し、動物に投与するのに適した薬剤を製剤化することによって調製される。
【実施例】
【0033】
[0034]本発明は、さらに以下の実施例により具体的に説明される。ただし、当然のことながら、これらの実施例は単に説明のために記載されたものであり、特に断らない限り、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0034】
実施例1:
[0035]30匹の痩せたラブラドールレトリーバーに、それらの維持エネルギー要求量(MER)より25%多い量を含有する食物を9カ月間与えた。15匹の動物に対照の食物を与え、15匹の動物に5%のダイズ胚芽粉由来のイソフラボンを補った対照の食物を与えた。ベースライン時と試験中、3カ月毎に血漿サンプルを採取した。血漿の代謝プロファイリングのために核磁気共鳴(NMR)に基づくメタボロミクス(又はメタボノミクス)を使用し、動物の代謝性変化の総合的モデリングを得た。血漿サンプルの標準的なプロトンNMR(H−NMR)分光測定を図1に示す。当該スペクトルは、主要な低分子量の血中代謝物、すなわち、グルコース、アミノ酸及び有機酸による多くの鋭いピークとともに、タンパク質及びリポタンパク質により生じる一連の広範なシグナルを示している。
【0035】
[0036]血漿のH NMRスペクトル(すなわち代謝物プロファイル)を多変量統計により処理し、イソフラボンに対する各動物の生理的反応を示す代謝情報(すなわちバイオマーカー)を特定した。図2に示されるように、イソフラボンを与えた動物と対照動物とでは時間経過に伴い異なる代謝のトラジェクトリーが観察された。表1にそのデータを示す。
【0036】
[0037]図2を参照すると、対照動物と同じ代謝スペース(すなわち、ベースラインでは代謝に差異がない)から開始して経時的な変化が見られない線を用いて、イソフラボンを与えられた動物群において経時的な代謝変化がないことが示されている。
【0037】
[0038]表1を参照すると、データは、イソフラボンを与えられた動物では筋肉の分解の増加が妨げられることを示している。ロイシン、バリン、トレオニン、ヒスチジン、メチオニン及び3−メチル−ヒスチジンの循環血漿中濃度は増加しなかった。この結果は、イソフラボンは、疾患又は他の状態に起因するサルコペニア及び筋萎縮症の特徴である筋肉の分解及び消耗を予防又は治療するのに有用であることを示している。RX値及びRY値は、それぞれ、モデルによって説明されるデータセットX(NMRデータ)及びY(群の割り当て)の変動がどの程度であるかを示す。QY値は、モデルの予測精度を表わし、その統計的妥当性又は信頼性に関連する。
【0038】
【表1】

【0039】
[0039]本明細書では、本発明の代表的な好適な実施形態が開示されている。特定の用語が使用されているが、それらは単に一般的かつ説明的な意味で使用したものであり、限定を意図したものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲に記載の通りである。上述の教示内容に照らせば、本発明の多くの修正及び改変が可能であることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内で、特に記載されている以外の形態でも実施可能であることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物のサルコペニアを予防又は治療する方法であって、サルコペニアを予防又は治療する量の少なくとも1種のイソフラボンを前記動物に投与するステップを含む方法。
【請求項2】
前記イソフラボンは、アグリコン、グルコシド、アセチルグルコシド及びマロニルグルコシドの形態のイソフラボンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記イソフラボンは、ビオカニンA、ダイゼイン、ダイジン、グリシテイン、ホルモノネチン、エコール、ゲニステイン、イリロン、ルテオン、プルネチン、プラテンセイン及びグリシチンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記イソフラボンは約5mg〜約5000mgの量前記動物に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記イソフラボンは前記動物に定期的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記イソフラボンは約0.001〜約10g/kg/日の量前記動物に投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記動物は加齢動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記イソフラボンは栄養補助食品として投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記イソフラボンは食品組成物の形で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記食品組成物は、前記動物に対して完全でバランスのとれた栄養をもたらすように配合される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動物は伴侶動物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動物は加齢動物である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記動物はイヌ又はネコである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
動物の筋萎縮症を予防又は治療する方法であって、筋萎縮症を予防又は治療する量の少なくとも1種のイソフラボンを前記動物に投与するステップを含む方法。
【請求項15】
前記イソフラボンは、アグリコン、グルコシド、アセチルグルコシド及びマロニルグルコシドの形態のイソフラボンからなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記イソフラボンは、ビオカニンA、ダイゼイン、ダイジン、グリシテイン、ホルモノネチン、エコール、ゲニステイン、イリロン、ルテオン、プルネチン、プラテンセイン及びグリシチンからなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記イソフラボンは約5mg〜約5000mgの量前記動物に投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記イソフラボンは前記動物に定期的に投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記イソフラボンは約0.001〜約10g/kg/日の量前記動物に投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記イソフラボンは栄養補助食品として投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記イソフラボンは食品組成物の形で投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記食品組成物は、前記動物に対して完全でバランスのとれた栄養をもたらすように配合される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記動物は伴侶動物である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記動物は加齢動物である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記動物はイヌ又はネコである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
パッケージであって、該パッケージは、少なくとも1種のイソフラボンと、該パッケージに貼られたラベルと、を含み、該ラベルは、動物の(1)サルコペニアの予防若しくは治療又は(2)サルコペニア又は筋萎縮症の予防若しくは治療に関する有益な特性を有するイソフラボンが該パッケージ内に含まれることを示す単語、絵、図案、頭字語、キャッチフレーズ、語句又は他の手段又はそれらの組み合わせを有する、パッケージ。
【請求項27】
(1)サルコペニアを予防又は治療するためにイソフラボンを使用すること、(2)筋萎縮症を予防又は治療するためにイソフラボンを使用すること、(3)サルコペニア又は筋萎縮症を予防又は治療するためにイソフラボンを投与又は使用することについて疑問がある場合の消費者の問い合わせ先、及び(4)イソフラボンについての栄養情報、のうちの少なくとも1つについての情報又は指示を伝達する手段であって、該情報又は指示を含む物理的若しくは電子的文書、デジタル記憶媒体、光学記憶媒体、オーディオプレゼンテーション、オーディオビジュアルディスプレイ又はビジュアルディスプレイの少なくとも1つを含む手段。
【請求項28】
表示されたウェブサイト、ビジュアルディスプレイキオスク、パンフレット、製品ラベル、添付文書、広告、チラシ、広告、オーディオテープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ可読チップ、コンピュータ可読カード、コンピュータ可読ディスク、USBデバイス、ファイアワイアデバイス、コンピュータメモリ及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項27に記載の手段。
【請求項29】
(1)サルコペニアの予防若しくは治療又は(2)筋萎縮症の予防若しくは治療のための薬剤を調製するための、イソフラボンの使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−507361(P2013−507361A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533139(P2012−533139)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/002722
【国際公開番号】WO2011/043827
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】