説明

動物の感染症を治療または予防するための免疫原組成物

本発明の開示はイヌジステンパーウィルス、イヌアデノウィルス(1型又は2型)、イヌパラインフルエンザウィルス、イヌパルボウィルス、Leptospira canicola、Leptospira icterohaemorrhagiae、Leptospira grippotyphosa、Leptospira pomona、Leptospira bratislava、Leptospira hardjo、Leptospira autumnalis、Leptospira australis、Leptospira hebdomadis、及びBordetella bronchisepticaの1つ以上により誘発される、又は関連する、イヌにおける疾患又は障害を治療又は防止するための多価免疫原組成物に関する。Leptospira組成物は又、イヌ、ブタ、及びウシにおけるレプトスピラ症疾患又は障害を治療又は防止するために使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物におけるウィルス及び細菌の感染症に対抗する治療又は保護を与える組成物及び方法に関する。より特定すれば、本発明はイヌジステンパーウィルス、イヌアデノウィルス(1型又は2型)、イヌパラインフルエンザウィルス、イヌパルボウィルス、Leptospira canicola、Leptospira icterohaemorrhagiae、Leptospira grippotyphosa、Leptospira pomona、Leptospira bratislava、Leptospira hardjo、Leptospira autumnalis、Leptospira australis、Leptospira hebdomadis、及びBordetella bronchisepticaの1つ以上により誘発される、又はそれに関連する、イヌにおける疾患又は障害を治療又は防止するための多価ワクチン組成物に関する。Leptospira組成物は又、イヌ、ブタ、及びウシにおける疾患又は障害を治療又は防止するために使用できる。
【背景技術】
【0002】
レプトスピラ症は動物及びヒトの両方が罹患する感染性の疾患である。感染症はLeptospiraと称される細菌病原体により誘発される。Leptospira属の細菌はスピロヘータ属であり、これは病原性であり、そして幾つかの既知の種及び多数の血液亜型を包含する場合がある。例示される病原性の種にはL.interrogans、L.inadai、L.borgpetersenii、L.santarosai、L.kirschneri、L weiliiまたはL.noguchiiが包含される。病原性のLeptospira血液亜型は多数種の家畜動物、愛玩動物、野生動物、及びヒトにおいて天然に存在する。Leptospira血液亜型の宿主の範囲は一般的に極めて広範であるが、感染した宿主に応じて異なる症状が生じる。例えばイヌにおけるレプトスピラ症は慢性の肝臓及び腎臓の疾患、及び死亡をもたらす場合がある。
【0003】
レプトスピラ疾患の経過及び重症度は感染の原因である血液亜型に依存する場合が多い。肝臓の感染症及び尿の変色及び/又は黄疸、上昇した肝酵素値、及び胃腸症状に関連する血液亜型はL.icterohaemorrhagiae及びL.grippotyphosaを包含する。血液亜型L.grippotyphosaは血液亜型L.pomonaと同様、腎不全の症状を伴っている。1980年代もの近年において、L.icterohaemorrhagiae及びL.canicolaはイヌにおいてレプトスピラ症を誘発する最も蔓延した血液亜型として発見された。しかしながら1990年代までに、L.grippotyphosa及びL.pomonaの上昇した発生率がレプトスピラ症の復活と組み合わさって観察され、この疾患の疫学的特徴の変化しやすい傾向を示唆していた。幾つかの追加的な病原性のレプトスピラ血液亜型が医学的に関連するものとして出現しつつあり、例えばL.bratislava、L.autumnalis、L.australis、及びL.hebdomadisが挙げられる。
【0004】
Leptospiraの血液亜型はそれらの表面上の抗原の型(即ち抗体生産を誘発する細胞表面マーカー)に基づいて分類されるが、これらの細胞表面抗原は血液亜型間の交差免疫性を殆ど呈さない。即ち、特定の血液亜型に対抗したワクチン接種は他の血液亜型に対抗する保護をもたらさない。更に又、幾つかの血液亜型に由来する抗原又は他の生物(又はウィルス)に由来する抗原を複合化したワクチンは抗原干渉をもたらす場合があり、即ち、組成物中の他の抗原により誘発された作用の「マスキング」のために、複合化抗原の1つ以上が免疫応答を誘発できなくなる。
【0005】
従って、Leptospira感染により誘発される、又はそれに関連する疾患又は障害を治療及び防止するための効果的な組成物及び方法の開発が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はLeptospira細胞表面免疫原又はLeptospira bratislava、Leptospira autumnalis、Leptospira australis、及びLeptospira hebdomadisの不活性化された全又は部分細胞調製品を含む免疫原カクテル組成物を提供する。特定の実施形態においては、本発明のカクテル組成物はLeptospira bratislava、Leptospira autumnalis、Leptospira australis、及び/又はLeptospira hebdomadisから誘導された外膜莢膜蛋白(OMC)1つ以上を含む。本発明は又、Leptospira細胞表面免疫原又はLeptospira bratislava、Leptospira autumnalis、Leptospira australis、及びLeptospira hebdomadisの不活性化された全又は部分細胞調製品を含み、更にイヌジステンパー(CD)ウィルス、イヌアデノウィルス2型(CAV−2)の弱毒化株、イヌパラインフルエンザ(CPI)ウィルスの弱毒化株、イヌパルボウィルス(CPV)の弱毒化株、及びイヌコロナウィルス(CCV)の不活性化株よりなる群から選択されるウィルス免疫原1つ以上を含む、免疫原カクテル組成物を提供する。本発明の免疫原カクテル組成物は、特定の実施形態においては又、Leptospira細胞表面免疫原又はL.canicola、L.grippotyphosa、L.icterohaemorrhagiae、L.pomona、及びL.hardjoよりなる群から選択されるLeptospira株1つ以上から誘導された不活性化された全又は部分細胞調製品を含んでよい。特定の実施形態においては、本発明の免疫原カクテル組成物は、少なくとも1つのBordetella bronchisepticaの免疫原、例えばp68Bordetella表面蛋白を包含してよい。
【0007】
これら及び他の本開示の実施形態、特徴、及び利点は後述する詳細な説明及び添付請求項から明らかにされる。出願全体に渡って引用される全ての論文及び特許参照文献は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(詳細な説明)
本開示は細菌の感染又は細菌及びウィルス感染の両方を治療又は防止するための種々の多価の免疫原組成物を提供する。従って本開示は一般的には、Leptospiraの細胞表面免疫原の異なる組み合わせを複合化することにより抗原性の干渉をもたらさない免疫原カクテル組成物を作成できるという意外な発見に基づいている。即ち、カクテル組成物の各々個々の免疫原は免疫応答、特に防御免疫応答を誘発することができ、この活性は他の抗原の存在により影響されない。より特定すれば、免疫原カクテル組成物の1つの実施形態は、Leptospira bratislava、Leptospira autumnalis、Leptospira australis、及びLeptospira hebdomadisのLeptospira細胞表面免疫原を含む。更に又、これらのLeptospira免疫原は他のウィルス抗原、例えばイヌジステンパー(CD)ウィルス抗原、イヌアデノウィルス2型(CAV−2)抗原、イヌパラインフルエンザ(CPI)ウィルス抗原、イヌパルボウィルス(CPV)抗原、イヌコロナウィルス(CCV)抗原、及びこれらの何れかの組み合わせと複合化された場合に免疫原性となる。更に又、Bordetella bronchiseptica由来の抗原、例えばp68(Bordetella表面蛋白)もまた免疫原カクテル組成物に添加することができる。これらの免疫原カクテル組成物はまた種々のLeptospira感染及び種々のウィルス感染を治療又は緩解又は防止するためのワクチンとして使用できる。以下により詳細に考察するものは本発明の開示内における使用に適する多価免疫原組成物、並びに代表的な治療用又は獣医科用の用途である。
【0009】
より詳細な開示を記載する前に、以後使用されることになる特定の用語の定義を説明することがその理解を容易にするために有益であると考えられる。
【0010】
本明細書に記載する通り、何れかの濃度の範囲、パーセントの範囲、比の範囲又は整数の範囲は、特段の記載が無い限り、記載した範囲内の何れかの整数の値、及び、適宜、その分数(例えばある整数の10分の1及び100分の1)を包含するものと理解しなければならない。本明細書においては、「約」又は「本質的に含む」とは、特段の記載が無い限り、記載した値又は範囲の平均±15%を意味する。代替物表記の使用(例えば「又は」)は何れか1つ、両方、又は表記代替物の何れかの組み合わせを意味すると理解しなければならない。
【0011】
「免疫原」又は「抗原」という用語は、本明細書においては、対象内に導入された場合に免疫系により認識され、そして免疫応答を誘発することができる物質をさす。特定の実施形態においては、免疫応答は防御免疫応答を発生させる。免疫原は微生物(例えば病原体)の表面、又は感染細胞の表面、又は腫瘍細胞の表面上に天然に発現される「表面抗原」を包含する。
【0012】
本明細書においては、「免疫原カクテル組成物」という用語はイヌ又はブタ又はウシのような治療すべき対象において防御免疫応答を誘導できる2つ以上の免疫原(抗原)を意味する。病原体1つ以上に対抗する免疫原カクテル組成物の防御作用は通常は免疫応答、細胞媒介又は体液性の免疫応答、又は両方の組み合わせ、そして好ましくは防御免疫応答を動物対象において誘導することにより達成される。
【0013】
「外膜莢膜ポリペプチド免疫原」又は「OMC免疫原」という用語は未損傷のLeptospira細胞から単離又は実質的に除去される外膜蛋白の調製品を指す。OMC免疫原を製造するための代表的な方法は例えばYang等、J.Am.Soc.Nephrol.13:2037−2045(2002)に記載されている。
【0014】
「防御免疫」という用語は本明細書においては、対象が免疫原に曝露されている場合に免疫原に対抗して獲得される免疫を指し、これは対象における免疫応答(活性/後天的または、不活性/先天的のいずれか、または両方)であり、病原体の不活性化及び/又は減量をもたらし、免疫学的記憶(例えばメモリーT又はB細胞)を生じさせる。ワクチンにより与えられる防御免疫は体液性免疫(抗体媒介)又は細胞性免疫又は両方の形態であることができる。例えば、防御免疫はウィルス又は細菌の脱落の低減、感染の発生率又は持続期間の減少、低減した急性期血清蛋白レベル、低減した直腸温度、又は摂食又は成長の増大をもたらす場合がある。
【0015】
本明細書においては、「ワクチン」とはレシピエントにおいて防御免疫を誘発するために使用できる組成物である。免疫原によりワクチン接種されている対象は、ワクチン接種されていない対象と比べて、免疫原に曝露された対象において疾患又は障害の発症又は重症度を防止、遅延、又は低下させる免疫応答を発生させる。ワクチン接種は例えば、病原体又は感染細胞の数を排除又は減少させる免疫応答を誘導してよく、或いは、何れかの他の臨床的に計測可能な感染軽減をもたらしてよい。
【0016】
本明細書においては、「アジュバント」とはその最も広範な意味において理解されるべきであり、そして如何なる免疫刺激性の化合物も包含する。特定の好ましい実施形態においては、アジュバントはミョウバン、ポリアリルスクロースと交差結合したアクリル酸の水溶性重合体(例えばCarbopol(登録商標))、ジメチルジオクタデシル臭化アンモニウム(DDA)、又は何れかのこれらの組み合わせである。何れかのアジュバントを1つ以上の追加的アジュバントと共に使用してよい。他の例示されるアジュバントは油脂エマルジョン及び乳化剤系のアジュバント、例えば油中水エマルジョン、水中油エマルジョン、水中油中水エマルジョン、完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、MF59、又はSAF;鉱物性のゲル、例えば水酸化アルミニウム(ミョウバン、例えばAl(OH)リヒドラゲル、Reheis、Berkley Heights,NJより入手可能)、アルミニウム塩(例えばリン酸アルミニウム)又はカルシウム塩(例えばリン酸カルシウム);微生物から誘導されたアジュバント、例えばコレラ毒素(CT)、百日咳毒素、エシェリシア・コリ易熱性毒素(LT)、突然変異体毒素(例えばLTK63又はLTR72)、カルメット−ゲラン桿菌(BCG)、リポ多糖類(LPS)、マイコバクテリウム、破傷風毒素、コリネバクテリウム・パルブム、DNACpGモチーフ、ムラミルジペプチド、又はモノホスホリル脂質A;粒子状アジュバント、例えば免疫刺激複合体(ISCOM)、リポソーム、生体分解性微小球、又はサポニン(例えばQS−21);サイトカイン、例えばIFN−γ、IL−2、IL−12又はGM−CSF;合成アジュバント、例えばノニオン系ブロック共重合体又は界面活性剤、ムラミルペプチド類縁体(例えばN−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン[thr−MDP]、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−[1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ]−エチルアミン)、ポリホスファゼン、合成ポリヌクレオチド、分子量450,000Dの部分エステル化ポリアクリル酸(Carbopol907(PAA)、Goodrich,Cleveland,Ohio,USA;米国特許第6,340,464号及び第6,610,310号開示)及び表面活性物質、例えばリソレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、炭化水素エマルジョン、又はキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)を包含する。その他のアジュバントはCMC(カルボキシルメチルセルロース)及びHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を包含する。
【0017】
本明細書においては、「血清群」及び「血液亜型」という用語は血清学的タイピングデータ、特に顕微鏡凝集反応試験(MAT)のような凝集反応試験を用いて得られるデータに基づくLeptospiraの分類に関連する。例示されるMATは本明細書において実施例1に示す。例えば「血清群」及び「血液亜型」とは、自身のメンバーが共有する群の抗原とは交差凝集反応するが、他の群のメンバーとは交差凝集反応せず、そしてその結果、血清群(血液亜型)のメンバーは単純な交差凝集反応により相互で概ね近似した抗原的関連性を有する。更に又、異なる種に属するLeptospiraは、それらが抗原決定基により区別することが不可能であることから、同じ血液亜型又は血清群に分類されてよい。
【0018】
「抗体」という用語は本明細書においては、Leptospiraの血液亜型、Bordetella bronchiseptica、又はウィルスにより生産される表面分子又は表面ポリペプチド又は他の分子のB細胞又はT細胞エピトープを含むか、それを模倣するか、又はそれと交差反応する分子とも又特異的反応性を有するそれらのフラグメントも包含することを意図している。抗体は従来の手法を用いてフラグメント化できる。例えばF(ab’)2フラグメントはペプシンで抗体を処理することにより形成できる。得られたF(ab’)2フラグメントをジスルフィド架橋が還元されるように処理すれば、Fab’フラグメントを形成できる。
【0019】
「治療有効量」又は「有効量」という用語は免疫原カクテル組成物を投与する対象(例えばイヌ又はブタ又はウシ)において防御免疫応答を誘発するために十分なその量を指す。本明細書に記載する通り、免疫応答は細胞性又は体液性の免疫の誘導をもたらしてよい。治療上有効である多価の免疫原組成物の量は組成物中で使用される特定の抗原、治療される対象の年齢及び状態、又は感染症を有する場合はその程度に応じて変動してよい。
免疫原カクテル組成物
1つの特徴において、本開示は一般的にLeptospiraから誘導された単離された外膜莢膜(OMC)ポリペプチド免疫原又はLeptospiraの不活性化された全又は部分細胞調製品を含む組成物に関する。従って、本開示の1つの実施形態はLeptospira bratislava、Leptospira autumnalis、Leptospira australis、及びLeptospira hebdomadisを含む免疫原カクテル組成物に関する。別の実施形態においては、4つのLeptospiraの細胞表面免疫原を有する免疫原カクテル組成物は更にB.bronchisepticaの免疫原、好ましくはp68抗原を含む。特定の好ましい実施形態においてはLeptospira細胞表面免疫原はOMC免疫原である。他の好ましい実施形態においては、免疫原カクテル組成物はイヌ科、例えばイヌにおける免疫応答、そしてより好ましくは防御免疫応答を誘発することができる。
【0020】
特定の実施形態においては、免疫原カクテル組成物はヒト又は家畜又は愛玩動物、例えばブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、シカ、ラクダ、イヌ又はネコにおいて免疫応答を誘発することができる。好ましい実施形態においては、誘発される免疫応答は防御免疫応答である。
【0021】
本開示の別の特徴において、有効なカクテル組成物の免疫原成分は更に1つ以上のウィルス免疫原を含んでよい。
【0022】
ウィルス免疫原は、非感染性及び主に非兆候性とするために継代又は予備処理されている完全な弱毒化ウィルス免疫原であってよい。本明細書に記載した免疫原カクテル組成物を包含する組成物の形成において使用してよい免疫原は生存性の、弱毒化された(例えばCD、CAV−2、CPI、及びCPV)、又は殺菌(不活性化)されたビリオン(例えばCCV)であってよい。次に使用可能な技術を用いてウィルスの弱毒化による一連の継代培養を行うことにより、その免疫原性を保持しつつ有毒性を低下することが推奨される。全又はサブユニットのインフルエンザビリオンは従来の手段、例えば1つ以上の化学的不活性化在、例えば限定しないが、1つ以上のバイナリエチレンイミン、ベータプロピオラクトン、ホルマリン、グルタルアルデヒド、及び/又はドデシル硫酸ナトリウムにより不活性化してよい。ビリオンは又、紫外線の存在下において熱又はソラレンにより不活性化してよい。これらのウィルスの有毒性を有する株を弱毒化する方法及び不活性化されたウィルス調製品を作成する方法は当該分野で知られており、そして例えば米国特許第4,567,042号及び第4,567,043号に記載されている。本発明のワクチン組成物における使用のためのこれらの病原体に由来する抗原は修飾された生存性のウィルス調製品又は不活性化されたウィルス調製品の形態であることができる。
【0023】
1つの実施形態において、本開示の免疫原カクテル組成物はイヌジステンパー(CD)ウィルス、イヌアデノウィルス2型(CAV−2)、イヌパラインフルエンザ(CPI)ウィルス及びイヌパルボウィルス(CPV)の弱毒化された株;イヌコロナウィルス(CCV)の不活性化された調製品;及び4種のLeptospira血液亜型(L.bratislava、L.autumnalis、L.australis及びL.hebdomadis)の細胞表面免疫原を包含する。別の実施形態においては、この免疫原カクテル組成物は更に3つの別のLeptospira血液亜型(L.canicola、L.grippotyphosa、及びL.icterohaemorrhagiae)を含む。又別の実施形態において、5種のウィルス免疫原及び7種のLeptospira細胞表面免疫原を有するこの免疫原カクテル組成物は更に、Bordetella bronchiseptica抗原、好ましくはp68抗原を含む。特定の好ましい実施形態においては、Leptospira細胞表面免疫原はOMC免疫原である。他の好ましい実施形態においては、免疫原カクテル組成物はイヌ科、例えばイヌにおける免疫応答、そしてより好ましくは防御免疫応答を誘発することができる。
【0024】
本開示の別の特徴において、免疫原カクテル組成物はCDウィルス、CAV−2、CPIウィルス、及びCPVの弱毒化株;及び4種のLeptospira血液亜型(L.bratislava、L.autumnalis、L.australis及びL.hebdomadis)の細胞表面免疫原を包含する。別の実施形態においては、この免疫原カクテル組成物は更に3つの別のLeptospira血液亜型(L.canicola、L.grippotyphosa、及びL.icterohaemorrhagiae)を含む。又別の実施形態において、4種のウィルス免疫原及び7種のLeptospira細胞表面免疫原を有するこの免疫原カクテル組成物は更に、B.bronchiseptica抗原、好ましくはp68抗原を含む。特定の好ましい実施形態においては、Leptospira細胞表面免疫原はOMC免疫原である。他の好ましい実施形態においては、免疫原カクテル組成物はイヌ科、例えばイヌにおける免疫応答、そしてより好ましくは防御免疫応答を誘発することができる。
【0025】
本開示の更に別の特徴において、免疫原カクテル組成物はCDウィルス、CAV−2、及びCPVの弱毒化株;及び4種のLeptospira血液亜型(L.bratislava、L.autumnalis、L.australis及びL.hebdomadis)の細胞表面免疫原を包含する。別の実施形態においては、この免疫原カクテル組成物は更に3つの別のLeptospira血液亜型(L.canicola、L.grippotyphosa、及びL.icterohaemorrhagiae)を含む。又別の実施形態において、3種のウィルス免疫原及び7種のLeptospira細胞表面免疫原を有するこの免疫原カクテル組成物は更に、B.bronchiseptica抗原、好ましくはp68抗原を含む。特定の好ましい実施形態においては、Leptospira細胞表面免疫原はOMC免疫原である。他の好ましい実施形態においては、免疫原カクテル組成物はイヌ科、例えばイヌにおける免疫応答、そしてより好ましくは防御免疫応答を誘発することができる。
【0026】
本開示の又別の特徴において、免疫原カクテル組成物はCPIウィルスの弱毒化株;及び4種のLeptospira血液亜型(L.bratislava、L.autumnalis、L.australis及びL.hebdomadis)の細胞表面免疫原を包含する。別の実施形態においては、この免疫原カクテル組成物は更に3つの別のLeptospira血液亜型(L.canicola、L.grippotyphosa、及びL.icterohaemorrhagiae)を含む。又別の実施形態において、1種のウィルス免疫原及び7種のLeptospira細胞表面免疫原を有するこの免疫原カクテル組成物は更に、B.bronchiseptica抗原、好ましくはp68抗原を含む。特定の好ましい実施形態においては、Leptospira細胞表面免疫原はOMC免疫原である。他の好ましい実施形態においては、免疫原カクテル組成物はイヌ科、例えばイヌにおける免疫応答、そしてより好ましくは防御免疫応答を誘発することができる。
【0027】
本開示の特定の実施形態においては、免疫原カクテル組成物はCDウィルス、CAV−2、及びCPIウィルスの弱毒化株;CCVの不活性化調製品;及び3種のLeptospira血液亜型(L.autumnalis、L.australis及びL.hebdomadis)の細胞表面免疫原を包含する。別の実施形態においては、この免疫原カクテル組成物は更に2つの別のLeptospira血液亜型(L.canicola及びL.icterohaemorrhagiae)を含む。又別の実施形態において、5種のウィルス免疫原及び5種のLeptospira細胞表面免疫原を有するこの免疫原カクテル組成物は更に、B.bronchiseptica抗原、好ましくはp68抗原を含む。特定の好ましい実施形態においては、Leptospira細胞表面免疫原はOMC免疫原である。他の好ましい実施形態においては、免疫原カクテル組成物はイヌ科、例えばイヌにおける免疫応答、そしてより好ましくは防御免疫応答を誘発することができる。
【0028】
本開示の別の実施形態において、免疫原カクテル組成物はCDウィルス、CAV−2、CPIウィルス、及びCPVの弱毒化株;CCVの不活性化調製品;及び5種のLeptospira血液亜型(L.bratislava、L.canicola、L.icterohaemorrhagiae、L.grippotyphosa、及びL.pomona)の細胞表面免疫原を包含する。別の実施形態において、5種のウィルス免疫原及び5種のLeptospira細胞表面免疫原を有するこの免疫原カクテル組成物は更に、B.bronchiseptica抗原、好ましくはp68抗原を含む。特定の好ましい実施形態においては、Leptospira細胞表面免疫原はOMC免疫原である。他の好ましい実施形態においては、免疫原カクテル組成物はブタ又はイヌ科、例えばブタ又はイヌにおける免疫応答、そしてより好ましくは防御免疫応答を誘発することができる。
【0029】
本発明のさらに別の実施形態においては、免疫原カクテル組成物はCDウィルス、CAV−2、CPIウィルス、及びCPVの弱毒化株;CCVの不活性化調製品;及び4種のLeptospira血液亜型(L.canicola、L.icterohaemorrhagiae、L.grippotyphosa、及びL.pomona)の細胞表面免疫原を包含する。別の実施形態において、5種のウィルス免疫原及び4種のLeptospira細胞表面免疫原を有するこの免疫原カクテル組成物は更に、B.bronchiseptica抗原、好ましくはp68抗原を含む。特定の好ましい実施形態においては、Leptospira細胞表面免疫原はOMC免疫原である。他の好ましい実施形態においては、免疫原カクテル組成物はイヌ科、例えばイヌにおける免疫応答、そしてより好ましくは防御免疫応答を誘発することができる。
【0030】
本発明の別の特徴においては、免疫原カクテル組成物はCDウィルス、CAV−2、CPIウィルス、及びCPVの弱毒化株;CCVの不活性化調製品;及び4種のLeptospira血液亜型(L.bratislava、L.icterohaemorrhagiae、L.grippotyphosa、及びL.pomona)の細胞表面免疫原を包含する。特定の好ましい実施形態においては、Leptospira細胞表面免疫原はOMC免疫原である。他の好ましい実施形態においては、免疫原カクテル組成物はブタ科、例えばブタにおける免疫応答、そしてより好ましくは防御免疫応答を誘発することができる。
【0031】
本発明の又別の特徴においては、免疫原カクテル組成物はCDウィルス、CAV−2、CPIウィルス、及びCPVの弱毒化株;CCVの不活性化調製品;及び5種のLeptospira血液亜型(L.canicola、L.hardjo、L.icterohaemorrhagiae、L.grippotyphosa、及びL.pomona)の細胞表面免疫原を包含する。特定の好ましい実施形態においては、Leptospira細胞表面免疫原はOMC免疫原である。他の好ましい実施形態においては、免疫原カクテル組成物はウシ科、例えばウシにおける免疫応答、そしてより好ましくは防御免疫応答を誘発することができる。
【0032】
本発明の又別の実施形態においては、免疫原カクテル組成物はCDウィルス、CAV−2、CPIウィルス、及びCPVの弱毒化株;CCVの不活性化調製品;及びB.bronchiseptica抗原、好ましくはp68抗原を包含する。他の好ましい実施形態においては、免疫原カクテル組成物はイヌ科、例えばイヌにおける免疫応答、そしてより好ましくは防御免疫応答を誘発することができる。
【0033】
本発明は又、B.bronchiseptica抗原が組成物から特に除外される上記免疫原カクテル組成物の何れかを包含する。例えば、本発明はイヌジステンパー(CD)ウィルスの弱毒化株、イヌアデノウィルス2型(CAV−2)の弱毒化株、イヌパラインフルエンザ(CPI)ウィルスの弱毒化株、イヌパルボウィルス(CPV)の弱毒化株、イヌコロナウィルス(CCV)の不活性化又は部分的な細胞調製品及びL.bratislava抗原(例えばL.bratislava外膜莢膜(OMC)蛋白)のウィルス免疫原を含む免疫原カクテル組成物を包含し、ここで組成物はB.bronchiseptica抗原を包含しない。
【0034】
例示される免疫原カクテル組成物は又表1に示す通りである。
【0035】
【表1−1】

【0036】
【表1−2】

【0037】
【表1−3】

【0038】
【表1−4】

【0039】
【表1−5】

【0040】
【表1−6】

【0041】
【表1−7】

【0042】
【表1−8】

【0043】
【表1−9】

【0044】
【表1−10】

【0045】
【表1−11】

上記表1に示した例示される組み合わせは非限定的であることを意図している。本発明は表1に記載した例示される組み合わせの全てを包含することを意図しており、この場合、「x」を伴った表1に特に示したものの他に、追加的な成分を組成物中に包含してよい。本発明は又「x」を伴って表記されていない成分1つ以上が組成物から特に除外されている表1に記載した例示される組み合わせの全てを包含する。例えば、表1に示す組み合わせ1はL.bratislava、L.autumnalis、L.australis及びL.hebdomadisに由来する抗原、並びに表に明示しない他の免疫原性の成分を含有する免疫原カクテルを包含することを意味している。更に又、組み合わせ1は又、L.bratislava、L.autumnalis、L.australis及びL.hebdomadisに由来する抗原を含有し、そして組み合わせ1の「x」を付記されていない表1に列挙した免疫原性の成分の1つ以上を特に包含しない免疫原カクテルを指すことも意図している。
【0046】
上記した例示される免疫原カクテル組成物は特に記載したLeptospira株から誘導された細胞表面免疫原(例えばOMC免疫原)の使用を包含するが、本発明は又Leptospira種に由来する不活性化された全又は部分細胞調製品をLeptospira細胞表面免疫原の代わりに、又はそれに追加して使用する本明細書において言及するカクテル組成物の何れも包含する。即ち、Leptospira株の細胞表面免疫原を使用する本明細書において言及する何れの場合においても、Leptospira株に由来する不活性化された全又は部分細胞調製品を代わりに使用できる。不活性化された全又は部分のLeptospira細胞調製品を作成するための例示される方法は当該分野で知られており、例えばMackintosh等、New Zealand Vet.J.28:174−177(1980);及びBolin等、Am J.Vet.Res.50:161−165(1989)に記載されている。
【0047】
本明細書に記載する教示内容を鑑みれば、追加的な組み合わせは当業者により容易に作成され、そして試験されることができ、そして本発明の範囲内に包含される。
【0048】
本開示に記載する免疫原カクテル組成物の実施形態の何れも更に1つ以上の薬学的又は獣医学的に許容される担体又は希釈剤を有してよい。他の実施形態において、免疫原カクテル組成物は更に少なくとも1つのアジュバント又は少なくとも1つの保存料又は何れかのこれらの組み合わせを含んでよい。好ましくは、これらの実施形態による免疫原カクテル組成物はワクチン調製品である。特定の実施形態においては、組成物は、ヒト又は動物の対象、好ましくはイヌ、ブタ又はウシに投与された場合に、1つ以上のLeptospira血液亜型、1つ以上のウィルス免疫原、又はB.bronchisepticaの免疫原に対抗する体液性の免疫応答を誘導する。
【0049】
本発明の更に別の好ましい組み合わせのワクチンはCDウィルスの弱毒化株、CAV−2の弱毒化株、CPIウィルスの弱毒化株、CPVの弱毒化株、及び組み換えBordetella bronchisepticap68抗原を包含する。
製剤及び使用
本明細書に記載する通り、本開示は免疫応答を誘発するためのイヌ、ブタ又はウシのような対象への投与に適する免疫原カクテル組成物を提供する。本開示の免疫原カクテル組成物は更にBordetella bronchiseptica抗原、例えばp68又は組み換えp68も包含することができ、そのような組成物は例えばイヌ、ブタ又はウシにおける免疫応答を誘導することができる。本開示の別の実施形態はイヌ病原体により誘発される疾患に対抗してイヌにおける免疫応答を誘導することができる、そのような病原体に由来する抗原2つ以上を含む組成物を包含する。
【0050】
本開示の免疫原カクテル組成物は更に、例えば1つ以上のLeptospira病原体、1つ以上のウィルス病原体、又はBordetella bronchisepticaによる感染の防止において、優れた治療活性を示すことを意図している。好ましくは、多価の免疫原組成物は、動物、例えばヒト又は家畜又は愛玩動物、例えばブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、シカ、ラクダ、イヌ、ネコ等に投与した場合に防御免疫応答を媒介する場合に有効である。
【0051】
組成物は好都合な態様、例えば経口、静脈内(水溶性の場合)、筋肉内、皮下、鼻内、皮内又は坐薬経路により、又は移植により(例えば緩徐放出分子を使用)投与してよい。投与経路に応じて、内部に含有される免疫原は、別様には免疫原を不活性化する可能性のある酵素、酸及び他の天然の条件の作用から保護されるために物質内にコーティングされることが必要となる場合がある。非経口投与以外により組成物を投与するためには、その不活性化を防止する物質でコーティングするか、又はそれとともに投与することになる。例えば、免疫原はアジュバントとともに投与するか、酵素阻害剤とともに、又はリポソーム中で同時投与してよい。
【0052】
本発明の組成物は又非経口又は腹腔内に投与してよい。免疫原成分の分散体もまたグリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中、及び油脂中において製造できる。保存及び使用の通常の条件下、これらの調製品は微生物の生育を防止するための保存料、例えばゲンタマイシンを含有してよい。
【0053】
本明細書においては、「製薬上許容しうる又は獣医学上許容しうる担体及び/又は希釈剤」とは如何なる溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等も包含する。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は当該分野で良く知られている。補助的活性成分、例えば抗微生物剤も又組成物に配合できる。
【0054】
担体は例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、これらの適当な混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散媒体であることができる。適切な流動性は、例えばレシチンのようなコーティングの使用により、分散体の場合は所要の粒径の維持により、そして界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の防止は種々の抗細菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等により行うことができる。多くの場合において、等張剤、例えば糖類又は塩化ナトリウムを包含させることが好ましくなる。注射用の組成物の長時間の吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中で使用することによりもたらすことができる。
【0055】
滅菌注射用組成物は、必要に応じて本明細書に列挙した種々の他の成分と共に適切な溶媒の必要量中に本開示の多価の免疫原組成物を配合し、その後、熱滅菌、放射線照射、又は他の適当な滅菌手段を用いることにより製造される。一般的に、分散体は、基剤となる分散媒体及び上記列挙したものに属する必要な他の成分を含有する滅菌ベヒクル内に種々の滅菌活性成分を配合することにより製造される。滅菌注射用溶液を製造するための滅菌粉末の場合は、製造の好ましい方法は、活性成分及び何れかの追加的な所望の成分の粉末を、それらの予め滅菌濾過された溶液から製造する真空乾燥及び凍結乾燥の手法である。
【0056】
投与の容易さ及び用量の均一性のために、単位剤型中に非経口組成物を製剤することが特に好都合である。単位剤型とは本明細書においては、治療すべき哺乳類対象に対する単位投薬に適する物理的に個別の単位を指し;各々の単位は、所要の製薬上又は獣医学的に許容しうる担体と共に所望の治療効果をもたらすように計算された活性物質の所定量を含有する。
【0057】
本開示は本明細書に記載した通り多価の免疫原組成物を投与することにより、細菌又はウィルスの感染に対抗して、イヌ、ブタ、又はウシのような対象を保護する方法を提供する。
【0058】
別の実施形態においては、開示は、例えばイヌへの投与に適しており、そしてBordetella bronchisepticaにより誘発された疾患、例えば感染性気管気管支炎(ケンネルコフ)に対抗してイヌを保護することができる、Bordetella bronchisepticap68抗原を更に含有する本明細書に記載する免疫原カクテル組成物を提供する。
【0059】
本発明によれば、本発明における使用に適するp68抗原はネイティブのp68蛋白(即ちBordetella bronchisepticaから精製される天然に存在するp68蛋白)及び組み換え製造されたp68蛋白の両方を包含する。Bordetella bronchisepticaからのネイティブp68の精製は当該分野で知られている(例えばMontaraz等、Infect.Immun.47:744−751,1985、及び米国特許公開2004/0185062参照)。p68の組み換え製造は当該分野で知られた分子クローニング及び組み換え発現の手法の何れか1つを用いながら達成できる。例えば、p68をコードする核酸分子は適切な宿主細胞、例えば細菌、酵母細胞(例えばPichia細胞)、昆虫細胞又は哺乳類細胞(例えばCHO細胞)内に導入できる。
【0060】
好ましくは、免疫原カクテル組成物は約0.1〜5mlの単位投薬容量において、好ましくは約0.5〜約2.5mlの単位投薬容量において、又は更に好ましくは約1mlの単位投薬容量において、注射により投薬されるように製剤される。特定の実施形態においては、本発明の医薬組成物はよく知られた操作法により滅菌状態としなければならない。
【0061】
免疫原カクテル組成物中のB.bronchisepticaの抗原の量は、免疫応答を誘発する場合に有効である必要があり、そして一般的には用量当たり約0.5〜約1000μgの範囲において提供される。好ましくは、p68抗原の量は用量あたり約1μg〜約260μgの範囲である。より好ましくは、p68抗原の量は用量あたり約10μg〜約100μgの範囲である。更により好ましくは、p68抗原の量は用量あたり約15〜約25μgの範囲である。
【0062】
開示した免疫原を含む医薬組成物は従来の混合、溶解、顆粒化、ドラジェ製造、混合均質化、乳化、カプセル化、捕獲封入又は凍結乾燥の処理加工により製造してよい。医薬組成物は、活性な抗微生物リポペプチド誘導体を薬学的に使用できる調製品に製剤化することを容易にする1つ以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤又は補助剤を用いながら従来の態様において製剤してよい。多価の免疫原組成物は1つ以上の生物学的に活性な物質と組み合わせることができ、そして、製薬上許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤とともに製剤することにより本開示の薬学的又は獣医科用の組成物を作成してよい。
【0063】
治療用途のための製薬上許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤は医薬品分野で良く知られており、そして本明細書において、そして例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro編、18版、1990)において、そしてCRC Handbook of Food,Drug,and Cosmetic Excipients,CRC Press LLC(S.C.Smolinski編、1992)において記載される通りである。特定の実施形態においては、免疫原カクテル組成物は、水性の、例えば水又はマンニトールの溶液(例えば約1%〜約20%)、疎水性(例えば油脂又は脂質)又はこれらの組み合わせ(例えば油脂と水のエマルジョン)中において、製薬上又は獣医学上許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤と共に製剤してよい。特定の実施形態においては、本明細書に記載した医薬組成物の何れかは保存料又は安定化剤(例えば抗生物質)を有するか、又は滅菌状態である。
【0064】
本開示の医薬組成物はその内部に含有されている免疫原が対象への組成物の投与時に生体利用性となるように製剤できる。投与後の血清及び他の組織中の免疫原のレベルは種々の十分樹立された手法、例えばクロマトグラフィー又は抗体(例えばELISA)系の試験によりモニタリングできる。他の実施形態においては、免疫原カクテル組成物はそれを必要とする対象(例えばグラム陽性細菌感染症を有するもの)、例えば動物又はヒトに対する非経口投与のために製剤される。好ましい投与経路は皮下及び筋肉内の投与を包含する。
【0065】
適切な製剤は当該分野で知られる通り選択された投与経路に応じたものとなる。例えば、全身投与用の製剤は注射、例えば皮下、静脈内、筋肉内、髄腔内又は腹腔内の注射による投与のために設計されたもの、並びに経皮、経粘膜、経口、鼻内、又は肺内の投与のために設計されたものを包含する実施形態である。1つの実施形態において、全身投与用の製剤は滅菌されている。注射用の実施形態においては、本開示の免疫原カクテル組成物は、水溶液中、好ましくは生理学的に適合性のある溶液又は緩衝液、例えばハンクス溶液、リンゲル溶液、マンニトール溶液又は生理食塩水緩衝液中に製剤してよい。特定の実施形態においては、本明細書に記載した免疫原カクテル組成物の何れも、懸濁化剤、安定化剤又は分散剤のような製剤用試薬を含有してよい。或いは、免疫原カクテル組成物は、使用前に適当なベヒクル(例えば滅菌発熱物質非含有水)で構成するための固体(例えば粉末)形態であってよい。経粘膜投与の実施形態においては、浸透すべき障壁に対して適切である浸透剤、可溶化剤又は柔軟剤を製剤中に使用してよい。例えば、1−ドデシルヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン(Azone(登録商標))、オレイン酸、プロピレングリコール、メントール、ジエチレングリコール、エトキシグリコールモノエチルエーテル(Transcutol(登録商標))、ポリソルベートポリエチレンソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)−20)及び薬剤7−クロロ−1−メチル−5−フェニル−3H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オン(ジアゼパム)、イソプロピルミリステート、及び一般的に当該分野で知られた他のこのような浸透剤、可溶化剤又は柔軟剤を本開示の組成物の何れかにおいて使用してよい。投与は経路の組み合わせ、例えば非経口経路を用いた最初の投与及び粘膜経路を用いたその後の投与を用いながら達成することができる。
【0066】
別の特徴において、本開示は、本明細書に記載した細菌又はウィルスの感染に対抗して対象を保護する方法を提供する。本開示によれば、免疫原カクテル組成物はイヌに対して、少なくとも約4か月、好ましくは少なくとも約6か月、又は更に好ましくは約1年の長期間の免疫を与える。
【0067】
本発明の免疫原カクテル組成物は少なくとも6週齢、好ましくは少なくとも7週齢、そしてより好ましくは少なくとも8又は9週齢のイヌに投与できる。イヌは1用量、又は1用量より多くの免疫原カクテル組成物を用いてワクチン接種できる。好ましくは2用量の免疫原カクテル組成物を、2投薬の間で約2〜4週間、好ましくは約3週間の間隔を設けながらイヌに投与する。イヌを4か月齢よりも前にワクチン接種する場合は、母系の抗体が4か月齢未満の幼若イヌにおいて十分な免疫応答の発生を妨害する場合があるため、4か月齢に到達した時点で単回用量で再ワクチン接種することが推奨される。イヌは又単回用量で毎年再ワクチン接種できる。繁殖、輸送及び展示の状況のようにB.bronchiseptica曝露が想定される場合は、そのような事例の発生から1年以内、又は好ましくは6か月以内に、追加的なブースター用量を与えてよい。
【0068】
本開示によれば、免疫原カクテル組成物は一般的に獣医学的に許容される担体を包含する。本明細書に記載した通り、獣医学上許容される担体は如何なる溶媒、分散媒体、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存料、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤等も包含する。希釈剤は水、食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロール等を包含できる。等張剤は塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、及び乳糖を特に包含できる。安定化剤は特にアルブミンを包含する。
【0069】
好ましくは、免疫原カクテル組成物はそれが約0.1〜5ml、又は好ましくは約0.5〜2.5mlの用量、又は更に好ましくは約1mlの用量において注射によりイヌのような対象に投与できるように製剤される。
【0070】
免疫原カクテル組成物は、弱毒化ウィルス株の凍結乾燥調製品(又は噴霧乾燥又はデシケーションなどのような他の方法により作成された調製品)及びウィルス調製品を液体調製品で再水和させることにより製造してよく、この場合の液体調製品は滅菌食塩溶液中に溶解され、そしてアジュバント付与されたLeptospiral抗原を含む。そのような免疫原カクテル組成物は又、弱毒化ウィルス株の凍結乾燥調製品及びLeptospiraウィルス調製品(又は噴霧乾燥又はデシケーションなどのような他の方法により作成された調製品)を滅菌溶液で再水和するか、又は凍結乾燥調製品をCCV+希釈剤で再水和することにより製造してよい。
【0071】
本発明によれば、免疫原カクテル組成物は少なくとも6週齢、好ましくは少なくとも7週齢、そしてより好ましくは少なくとも8又は9週齢のイヌに投与できる。複合ワクチンは2〜4用量において、好ましくは2〜3用量において投与できる。用量は各投薬の間2〜6週間、好ましくは各投薬の間2〜4週間で投与できる。
【0072】
弱毒化CDウィルスは用量当たり約10〜約10TCID50(組織培養物感染用量50%細胞変性作用)の量、そして好ましくは用量当たり約10〜約10TCID50の範囲でなければならない。弱毒化CAV−2は用量当たり少なくとも約10TCID50〜約10TCID50の量、好ましくは用量当たり10〜約10TCID50の範囲でなければならない。弱毒化CPIウィルスは用量当たり少なくとも約10TCID50〜約10TCID50の量、好ましくは用量当たり10〜約10TCID50の範囲でなければならない。弱毒化CPVは用量当たり少なくとも約10TCID50〜約10TCID50の量、好ましくは用量当たり10〜約10TCID50の量でなければならない。不活性化ウィルス調製品中のCCVの量は用量当たり少なくとも約100相対単位、そして好ましくは用量当たり1000〜4500相対単位の範囲でなければならない。ワクチン中の各Leptospira種はワクチン用量当たり約100〜3500NU(比濁計単位)の範囲、そして好ましくは用量当たり200〜2000NUの範囲でなければならない。特定の実施形態においては、投薬単位は少なくとも約1x10TCID50、又は少なくとも約1x10TCID50、又は少なくとも約5x10TCID50の殺傷又は不活性化された全又はサブユニットのビリオン又はその部分を含む。これらの実施形態の特定の特徴においては、投薬単位は1x10TCID50以上もの殺傷又は不活性化された全又はサブユニットのビリオン又はその部分を含んでよい。即ち、殺傷又は不活性化された全又はサブユニットのビリオン又はその部分の適当な範囲は約1x10TCID50及び1x10TCID50の間である。
【0073】
別の特徴において、本開示は本明細書に定義する免疫原カクテル組成物を含む部品の医薬品キットを提供する。キットは更にイヌ、ブタ、又はウシの疾患(例えば本明細書に記載する通りレプトスピラ症)の治療における使用のための説明書を含んでよい。免疫原カクテル組成物の活性剤は単位剤型中に同時パッケージしてよい。
【0074】
以下の非限定的な実施例は本開示の種々の特徴を説明するために提示した。
【実施例】
【0075】
(実施例1)
複合ワクチン中のLeptospira bratislavaの免疫原性/薬効
序論
本実施例はL.bratislavaの免疫原性及びL.bratislavaを複合ワクチンに添加した場合の抗原ブロックの欠如を説明するものである。
【0076】
DAPP/CvK/LCIGPは弱毒化イヌジステンパーウィルス(CDウィルス)、弱毒化イヌアデノウィルス2型(CAV−2)、弱毒化イヌコロナウィルス(CCV)、弱毒化イヌパラインフルエンザウィルス(CPIウィルス)、及び弱毒化イヌパルボウィルス(CPV)を含有する複合ワクチン製品を指す表記である。L.bratislavaから誘導した外膜莢膜(OMC)蛋白をDAPP/CvK/LCIGPに添加することにより、DAPP/CvK/LCIGPBと表記される新しい複合品を製造した。
【0077】
本実施例に示す通り、L.bratislavaOMC蛋白はDAPP/CvK/LCIGPと混合した場合、有毒性L.bratislava攻撃に対抗した幼若イヌにおける防御免疫の誘導において有効であった。
材料及び方法
動物の選択
被験動物
6週齢〜6週6日齢の合計34匹のビーグル犬(22匹にワクチン接種、12匹は対照)を本試験において使用した。全幼若イヌをHarlan Sprague Dawley(Indianapolis,IN)から購入し、混合ワクチンの画分に対して陰性であることを確認した。齢の範囲に基づいて、34匹の幼若イヌをワクチン化のための2バッチに分割した。各バッチの幼若イヌをMicrosoft Exelの乱数発生機能を用いてワクチン接種及び対照群に無作為に割りつけた。全てのワクチン接種は21日の間隔をおいて2回ワクチン接種した。全幼若イヌが同時に攻撃されるようにするため、最初のバッチの幼若イヌは2回目ワクチン接種後(DPV2)28日に攻撃し、そして第2のバッチの幼若イヌは21DPV2に攻撃した。
動物の収容及び飼育
全動物を試験終了時までケージに収容した。収容場所の空間は動物保護の該当規則に準拠した。
被験ワクチン
ワクチンの組成
L.bratislavaOMC蛋白をCvK/LCIGPと表記される複合品(イヌコロナウィルス(不活性化)、Leptospira canicola、Leptospira icterohaemorrhagiae、Leptospira grippotyphosa及びLeptospira Pomonaを含有)に添加することによりCvK/LCIGPBと表記される新しい複合品を製造した。イヌジステンパーウィルス、イヌアデノウィルス2型、イヌパラインフルエンザウィルス及びイヌパルボウィルスを含有するDAPPをCvK/LCIGPBと複合化することによりDAPP/CvK/LCIGPBと表記される新しい複合パッケージ品を製造した。最終複合品中のL.bratislavaOMC蛋白の濃度は50μg/1ml用量であった。
保存
ワクチンは2℃〜7℃で保存した。
実験設計
各同腹仔に属する幼若イヌを同腹仔に従ってMicrosoft Exelの乱数発生機能を用いて以下の表2に示す通り無作為に2つの群に割りつけた。
【0078】
【表2】

ワクチン接種
被験群の各動物に2用量(1mL/用量)の割り付けワクチンを3週間の間隔をあけて首の反対側に皮下投与した。
【0079】
コード化されたワクチン及び試料を用いることにより試験の盲検性を確保した。
実験攻撃
L.bratislava攻撃株はB26P2(入手元:Center Veterinary Biologics Laboratory,Ames、IA)とした。十分な量及び良好な生存性を得るために、攻撃生物をT−80培地(Sulzer and Jones,U.S.Dept.of Health,Education and Welfare,Publ.No.(CDC)76−8275,pp.12−15,Center for Disease Control,Atlanta,GA)中において28(±2)℃において培養した。攻撃直前に運動性の生物を計数し、そして生物数を攻撃のための用量当たり1x1010生物に調節した。被験群及び対照群の幼若イヌを有毒性を有するL.bratislavaで腹腔内(IP)経路により攻撃した。攻撃物質の容量は2.0mL攻撃用量に調節した。
観察及び試料収集
攻撃前観察
健康状態を確認するために攻撃前の3連続日に直腸温度及び臨床兆候をモニタリングして記録した。
攻撃後観察
攻撃後、動物の直腸温度を毎日モニタリングし、そして2週間に渡りL.bratislavaに関連する如何なる可能性のある臨床兆候も観察し、結果を記録した。
【0080】
試験終了時に幼若イヌを安楽死させ、そしてL.bratislava感染に関連する潜在的な巨視的患部があるかどうか肝臓及び腎臓を検査した。
血液学的プロファイル
攻撃の後、Cell−Dyne(血球計)が使用不能であった13及び14DPCを除き、15DPCまで総白血球数をモニタリングするために各幼若イヌから毎日、抗凝固処理された血液試料(2mL)を収集した。
【0081】
血小板及び白血球分画をAbbottのCell−Dyne血球計又は自動化細胞計数器を用いて計数した。
血液試料からのL.bratislavaの単離
血液試料を用いてT−80半固体Leptospira生育培地に接種した。接種試験管は4週間の期間、28(±2)℃でインキュベートした。陰性の培養物は全て新しい培地中に継代し、陰性として廃棄する前に更に2週間の追加的期間、インキュベートした。Leptospiraの存在に関して暗視野顕微鏡を用いながら毎週全ての培養物を検査し、結果を記録した。
微小凝集反応試験(MAT)
Leptospira全細胞抗原に対する血清凝集抗体を微小凝集反応試験を用いて計測した。簡潔には、血清の2倍連続希釈物を平底マイクロタイタープレート中に調製した。各希釈血清に、等容量(0.05mL)の生L.icterohaemorrhagiae、L.canicola、L.grippotophysa、またはL.bratislava、L.pomona懸濁液(比濁計読み取り値20と等しい)を添加した。適切な対照を各プレートに包含させた。プレートを30秒間振とうし、そして2時間室温でインキュベートした後に結果を記録した。各血清の力価は少なくとも50%凝集をもたらした血清の最高希釈度の逆数として定義した。
データ分析
実験単位は個体別の動物とした。一次的帰結はスピロヘータ血症及び抗体力価とした。各群の動物のスピロヘータ血症のパーセント及び抗体力価を計算した。
結果及び考察
L.bratislava抗原レベル
L.bratislava外膜莢膜(OMC)蛋白の用量当たり50マイクログラム(50μg)を免疫原ワクチン中に負荷した。
血清学的応答
個体別の幼若イヌの抗体力価を記録し、そして分析した。0DPV1において、全幼若イヌは陰性であり、抗体力価は2未満であった。1匹のワクチン接種幼若イヌを除き、全ての他のワクチン接種は、0DPV2までにL.bratislavaに対してセロポジティブとなり、幾何平均の力価(GMT)は17であった。他のLeptospira血液亜型と同様、GMTは7DPV2には741まで上昇し、これは2回のワクチン接種後の最高値であり、そしてその後は徐々に低下し、14及び21DPV2にはそれぞれ405及び222となった。抗体力価は対照及びワクチン接種群の両方において7DPCでは実質的に上昇していた。これらの結果はワクチン接種群における強力なブースト作用及び対照の免疫応答を示している。12対照全てが攻撃日である21DPV2まで陰性のままであった。これらのデータは複合品DAPP/CvK/LCIGPBにおけるL.bratislava画分がインビボで血清学的な免疫応答を誘導する場合に高度に免疫原性であることを示していた。
臨床観察
直腸温度、臨床兆候、白血球数及び血小板数を全幼若イヌについて試験した。1匹の幼若イヌでは一日において眼部の分泌物を観察した。別の幼若イヌは一日において抑鬱/傾眠を示していた。2匹の別の幼若イヌは一日の下痢を示し、そして1匹の幼若イヌが一日の結膜炎を有していた。他の幼若イヌは有毒性攻撃後に臨床上は正常であった。何れの幼若イヌも試験中に直腸温度、白血球数、又は血小板数の上昇又は低下を示さなかった。Leptospira canicola、pomona及びL.icterohaemorrhagiae等の他のイヌのレプトスピラ症と同様、L.bratislava単独ではスピロヘータ血症により顕在化される特異的病原体非含有のイヌにおける最小限の臨床的疾患を誘発する。しかしながらこれを他の病原体、ストレス、免疫無防備状態、及び/又は不良な野外環境と複合化された場合、より長く認識されているイヌのレプトスピラ症の血液亜型による場合と同様、イヌの健康に対してより顕著な、又はむしろ致命的な影響さえ誘発する可能性がある。試験終了時において、腎臓及び肝臓において観察された肉視的患部は無かった。
L.bratislavaの単離
有毒性L.bratislava攻撃後のスピロヘータ血症はT80培地中の全血培養により計測した。1匹の幼若イヌを除き、全ての対照幼若イヌ(12幼若イヌ中11匹、又は対照幼若イヌの92%)がL.bratislavaに関して陽性であった。これとは対照的に、ワクチン接種群の幼若イヌは1匹のみが陽性であり、スピロヘータ血症を有していた。換言すればワクチン接種群の約95%(幼若イヌ22匹中21匹)が有毒性L.bratislava攻撃後スピロヘータ血症を有することなく存続していた。これらのデータは、ワクチンが防御免疫の誘導及び攻撃後の有毒性L.bratislavaの複製からの幼若イヌの保護において免疫学的に強力であることを示している。結果は明らかにL.bratislava外膜抗原が他の画分と混合された場合に有効であることを示している。
結論
最近の報告によれば、L.bratislava曝露に関して調査したイヌにおける抗体陽性試験結果の優勢性が上昇している。症例試験によれば更に野外におけるイヌのL.bratislavaと腎臓及び肝臓の疾患との間の関連性が裏付けられている。腎臓及び肝臓の疾患に伝統的に関連付けられている大部分のLeptospiraの血液亜型について、保護のための重要な点はスピロヘータ血症の防止であった。本試験は、L.bratislavaのワクチン接種がイヌの健康状態に対して同様の利益をもたらすことを期待できることを明らかにした。
【0082】
本試験の結果は、L.bratislavaの外膜蛋白は、DAPP/CvK/LCIGPの画分と混合した場合(これによりDAPP/CvK/LCIGPBを形成)に、6週齢の幼若イヌにおいて強力な薬効を有することを明らかにしている。最低抗原負荷量(50μg/用量)は有毒性のL.bratislava攻撃によるスピロヘータ血症からのワクチン接種群の保護を誘導するために十分であった。DAPP/CvK/LCIGPB複合品におけるL.bratislavaの薬効はワクチン接種群で100%及び対照群で皆無であった血清変換、及びワクチン接種群の95%及び対照群の僅か8%における有毒性攻撃後のスピロヘータ血症の非存在により明らかにされた。対照群と比較した場合のワクチン接種群における血清変換と組み合わせた場合の血液スピロヘータ血症の低減は、他の9画分、即ち殺傷された、又は修飾され生存している抗原の両方とも、DAPP/CvK/LCIGPBにおけるL.bratislavaの殺傷バクテリンの薬効を妨害しなかったことを示している。
(実施例2)
Leptospira bratislava、Leptospira autumnalis、Leptospira australis、及びLeptospira hebdomadisを含むワクチン
本実施例においては、複合ワクチンを製造するために、先ず当該分野で使用可能な標準的な方法を用いながらL.bratislava、L.autumnalis、L.australis及びL.hebdomadisの各々から単離された外膜莢膜(OMC)ポリペプチドを得る。次に、1ml用量当たり各OMCポリペプチド調製品約50μgの最終濃度において獣医学的に許容される希釈剤の存在下、OMCポリペプチドを混合する。
【0083】
実験群における40匹のビーグル幼若イヌに第0日及び第21日に腹腔内経路により複合ワクチン2用量を投与し、対照群における40匹のビーグル幼若イヌには同じ時点において希釈剤のみを投与する。
【0084】
第2のワクチン接種の21日後、実験群及び対照群の両方の幼若イヌを各々10匹の4つのサブグループに分割する。サブグループはA、B、C及びDと表記する。各サブグループの幼若イヌを以下の表に示す通りLeptospiraの有毒性株で攻撃する。
【0085】
【表3】

攻撃後、両方の群の幼若イヌの直腸温度及びL.bratislava、L.autumnalis、L.australis又はL.hebdomadisの何れかによる感染に関連する可能性のある臨床兆候を毎日モニタリングする。更に又、攻撃後21日間両方の群の各幼若イヌから毎日血液試料を収集する。血液試料は細菌細胞(L.bratislava、L.autumnalis、L.australis又はL.hebdomadis)に関して、そしてLeptospiraの全細胞抗原に対する血清凝集抗体に関してミクロ凝集試験を用いながら試験した。
【0086】
本実施例による有効な複合ワクチンは以下の作用、即ち:(a)二回目ワクチン接種後0〜21日(攻撃前)において少なくとも10〜500の抗体力価を有するL.bratislava、L.autumnalis、L.australis又はL.hebdomadisの少なくとも1つに対する抗体の存在;(b)複合ワクチンを投与されていない対照幼若イヌにおいて観察された臨床症状と比較した場合に対応する有毒性株で攻撃した後のL.bratislava、L.autumnalis、L.australis又はL.hebdomadis感染のより低値の臨床症状;及び/又は(c)対照幼若イヌの血液から単離された生存細胞の量と比較した場合の攻撃幼若イヌの血液に由来するL.bratislava、L.autumnalis、L.australis又はL.hebdomadisの生細胞の低減した単離の1つ以上をもたらすことになる。
参考文献
【0087】
【化1】

上記した本発明は理解を明確化する目的のために解説及び例示により幾分詳細に説明してきたが、本発明は開示した特定の実施形態に限定されるのではなく、添付する請求項により定義されるとおり本発明の精神及び範囲内に包含される全ての変更及び改変を含むことを意図している。
【0088】
本明細書において言及した全ての公開物及び特許は本発明が関係する技術分野における当業者の技術レベルを示すものである。全ての公開物及び特許は、各々個々の公開物又は特許が参考により組み込まれることを特定的及び個別的に示す場合と同程度まで参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Leptospira bratislavaの細胞表面免疫原、Leptospira autumnalisの細胞表面免疫原、Leptospira australisの細胞表面免疫原、及びLeptospira hebdomadisの細胞表面免疫原を含む免疫原組成物。
【請求項2】
Leptospira bratislavaの該細胞表面免疫原がLeptospira bratislava外膜莢膜蛋白(OMC)である請求項1記載の免疫原組成物。
【請求項3】
Leptospira autumnalisの該細胞表面免疫原がLeptospira autumnalis外膜莢膜蛋白(OMC)である請求項1又は2記載の免疫原組成物。
【請求項4】
Leptospira australisの該細胞表面免疫原がLeptospira australis外膜莢膜蛋白(OMC)である請求項1〜3の何れか1項に記載の免疫原組成物。
【請求項5】
Leptospira hebdomadisの該細胞表面免疫原がLeptospira hebdomadis外膜莢膜蛋白(OMC)である請求項1〜4の何れか1項に記載の免疫原組成物。
【請求項6】
製薬上又は獣医学上許容しうる担体、賦形剤、又は希釈剤を更に含む請求項1〜5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
(i)イヌジステンパー(CD)ウィルスの弱毒化株のウィルス免疫原、(ii)イヌアデノウィルス2型(CAV−2)の弱毒化株、(iii)イヌパラインフルエンザ(CPI)ウィルスの弱毒化株、(iv)イヌパルボウィルス(CPV)の弱毒化株、及び(v)イヌコロナウィルス(CCV)の株の不活性化された全又は部分細胞調製品よりなる群から選択される追加的成分少なくとも1つを更に含む請求項1〜6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
(i)イヌジステンパー(CD)ウィルスの弱毒化株のウィルス免疫原、(ii)イヌアデノウィルス2型(CAV−2)の弱毒化株、(iii)イヌパラインフルエンザ(CPI)ウィルスの弱毒化株、(iv)イヌパルボウィルス(CPV)の弱毒化株、及び(v)イヌコロナウィルス(CCV)の株の不活性化された全又は部分細胞調製品を更に含む請求項1〜6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項9】
Leptospira細胞表面免疫原が各々独立して宿主における防御免疫応答を誘発することができる請求項1〜8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項10】
宿主がイヌ、ブタ、又はウシである請求項9の何れか1項に記載の組成物。
【請求項11】
Leptospira細胞表面免疫原及び該追加的成分が各々独立して宿主における防御免疫応答を誘発することができる請求項8記載の組成物。
【請求項12】
宿主がイヌである請求項11記載の組成物。
【請求項13】
保存料を更に含む請求項1〜12の何れか1項に記載の組成物。
【請求項14】
アジュバントを更に含む請求項1〜12の何れか1項に記載の組成物。
【請求項15】
保存料が抗生物質である請求項13記載の組成物。
【請求項16】
L.canicola、L.grippotyphosa、及びL.icterohaemorrhagiaeの細胞表面免疫原を更に含む請求項1〜15の何れか1項に記載の組成物。
【請求項17】
動物にワクチン接種する方法であって、該方法が請求項1〜16の何れか1項に記載の免疫原組成物を動物に投与することを含む方法。
【請求項18】
動物にワクチン接種する方法であって、該方法がLeptospira bratislavaの細胞表面免疫原、Leptospira autumnalisの細胞表面免疫原、Leptospira australisの細胞表面免疫原、及びLeptospira hebdomadisの細胞表面免疫原を含む免疫原組成物を動物に投与することを含む上記方法。
【請求項19】
該免疫原組成物が更に(i)イヌジステンパー(CD)ウィルスの弱毒化株のウィルス免疫原、(ii)イヌアデノウィルス2型(CAV−2)の弱毒化株、(iii)イヌパラインフルエンザ(CPI)ウィルスの弱毒化株、(iv)イヌパルボウィルス(CPV)の弱毒化株、及び(v)イヌコロナウィルス(CCV)の株の不活性化された全又は部分細胞調製品よりなる群から選択される追加的成分1つ以上を含む請求項18記載の方法。
【請求項20】
動物がイヌ、ブタ、又はウシである請求項18又は19記載の方法。

【公表番号】特表2010−518875(P2010−518875A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551796(P2009−551796)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/054867
【国際公開番号】WO2008/106393
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(591011502)ワイス エルエルシー (573)
【Fターム(参考)】