説明

動物の為の避妊用餌とその製造方法

【課題】捨て猫や捨て犬あるいは野生のサルやカラスやイノシシや鹿やネズミなどによる被害は、人に対する被害まで甚大であるが、有効な対策を行うため、動物の避妊を目的とした餌あるいは食料について、避妊用餌とその製造方法を提供する。
【解決手段】避妊効果のある餌を野生化した猫や犬、市街地に現れ、ゴミを荒らし、人を襲うカラスやイノシシに与えることにより、排卵・出産を行わせず、3ヶ月から数年をかけて段階的に個体数を減らし、人と動物との共生を図るため薬草やハーブであるカワラナデシコ等の薬草類の少なくとも一つ以上と各動物が好む食料を混合し、徐々に妊娠・出産する確立を減らし、動物にダメージの少ない方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の避妊を目的とした餌あるいは食料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットフードは、ビタミン剤を含むものも含めて多様に展開されている。また人を対象としたものでは、避妊用薬物、通称ピルなども多く開発されている。動物を対象としたものでは、特許文献1に記載されているエストロゲンや黄体ホルモンをペットフードに混入したものもが記されている。
【特許文献1】特開2005−245322広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
我が国や先進国ではペットブームである一方、ペットを捨ててしまう者も後を絶たず、公園や市街地で猫や犬が野生化し、社会問題となっている。また近代社会が長年、住宅地や工場を確保するために山野や田畑を開墾し、野生動物の生息地を減らしてしまった結果、サルやイノシシやカラスが市街地に現れ、人を襲ったり、ゴミを荒らす例が続いている。それらの諸問題に対し、法や動物愛護や倫理の問題から捕獲して殺すわけにも行かず、ゴミ収集所にネットをかけたり、早朝にゴミを回収するなど、対蹠的な対応しかできないのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
当発明は、収集したゴミにネットをかけるような即効的な効果を期待する手段とは異なり、3ヶ月から数年をかけて継続して当発明の餌を投与することにより、問題となる動物の排卵・出産を減らし、結果、子供を産まないようにすることで全体の個体数を減らし、動物と人と市街地における共生を可能にする。
薬草やハーブであるカワラナデシコとメハジキとマタタビとハトムギとボタンピとオトギリソウとセイヨウオトギリソウとオランダミツバとスモーレッジとセイヨウネズとカミツレとアニュアル・カモマイルとセイロンニッケイとヨーロッパトウキとヨロイグサとハイビスカスローゼルとチャボトケイソウとトケイソウとカンゾウとレモンガヤとレモンソウとオイルグラスとローザリカとタマネギ(以下、薬草類と称す)の少なくとも一つ以上と各動物が好む食物を混合し、与えることで徐々に妊娠・出産する確立を減らし、現在、生息する動物にとってはダメージの少ない方法となる。
また前記薬草類は、自然に自生し、環境ホルモンと異なることから生態系にとっても悪影響を与えることなく、各動物に投与する量を少なく調節することにより排水溝に流れ、海洋の富栄養化の原因になることも妨げることが出来るものである。
【発明の効果】
【0005】
当発明の餌を野生化した猫あるいは、犬あるいは、サルあるいは、イノシシあるいは、カラスあるいは、ハトあるいは、ネズミに与えることで、各動物たちの排卵周期によって3ヶ月から1年ごとに出産数が減り、やがて個体数そのものが減り、自然環境にとって適切な個体数が得られたところで投与を停止する、あるいは投与を少なくすることで対象動物の適正数を保つことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
鶏肉あるいは、鶏の骨あるいは、魚肉あるいは、タコあるいは、イカあるいは、貝の身あるいは、豚肉あるいは、牛肉を少なくとも一つ以上挽肉状にして用いる。
米あるいは、麦あるいは、粟あるいは、ヒエあるいは、パンあるいは、パン粉は、粉状にしたものあるいは、蒸したものあるいは、生のものを用いる。米や麦は、焼酎の絞り粕を用いても良い。
リンゴあるいは、ナシあるいは、サツマイモあるいは、ジャガイモあるいは、カボチャあるいは、大豆あるいは、栗あるいは、トウモロコシあるいは、米糠あるいは、ヒマワリの種あるいは、松の種あるいは、クルミは、生のものあるいは、加熱したものを適度な大きさに切り分けるあるいは、砕いて用いる。大豆は、オカラを用いても良い。
前記薬草類の葉あるいは、茎あるいは、根あるいは、花弁あるいは、種子あるいは、ツルは生のものを適量に切り分けたものあるいは、乾燥させたものを粉末にしたものあるいは、煎じて得られた液を用いる。
基本の餌としては、対象となる動物の嗜好に合わせて、鶏肉あるいは、鶏の骨あるいは、魚肉あるいは、タコあるいは、イカあるいは、貝の身あるいは、クラゲあるいは、豚肉あるいは、牛肉から一つ以上を選び、米あるいは、麦あるいは、粟あるいは、ヒエあるいは、パンあるいは、パン粉一つ以上を選び、団子状にする場合のつなぎとする。また前記薬草類の葉あるいは、茎あるいは、根あるいは、花弁あるいは、種子あるいは、ツルを適時切り分けたものあるいは、乾燥させたものを粉末にしたものあるいは、煎じて得られた液を全体量の0.1%から30%を混ぜ、直径3センチ程度の団子状に丸め、熱湯あるいは、蒸気あるいは、油あるいは、直火あるいは、電子レンジで加熱する。
対象動物の食性によっては、加熱せずに生のまま用いても良い。例えば、カラスは生肉を好む場合もある。
またオトギリソウから抽出されたヒペリシンなど、前記薬草類から抽出・生成される成分によって組成されたものを混入しても良い。
【0007】
図1は、猫用として魚肉の挽肉にマタタビとカワラナデシコとボタンピとセイヨウオトギリソウを乾燥させ、粉末にしたものを全量の0.1%から30%混入し、直径3センチ程度の団子状にした後、熱湯あるいは、蒸気あるいは、油あるいは、直火あるいは、電子レンジで加熱したものである。マタタビとカワラナデシコとボタンピとセイヨウオトギリソウは、同量を用いる。魚肉の挽肉にイカやタコの挽肉や鶏の骨を砕いたものあるいは、タマネギを混入しても良い。また必要に応じて、他の前記薬草類の乾燥粉末を混入しても良い。
【0008】
図2は、カラス用として、鶏肉の挽肉にカワラナデシコとボタンピとセイヨウオトギリソウを乾燥させ、粉末にしたものを0.1%から30%を混入し、団子状にした後、熱湯あるいは、蒸気あるいは、油あるいは、直火あるいは、電子レンジで加熱したものである。カワラナデシコとボタンピとセイヨウオトギリソウは、同量を用いる。また加熱せず、表面だけ乾燥させ、生のまま用いても良い。さらに必要に応じて、他の前記薬草類の乾燥粉末を混入させても良い。
【0009】
図3は、サル用として、米あるいは、麦あるいは、粟あるいは、ヒエを蒸したものに、リンゴあるいは、ナシあるいは、サツマイモあるいは、ジャガイモあるいは、大豆あるいは、カボチャあるいは、栗あるいは、トウモロコシを約10ミリ角から50ミリ角に切り、米糠あるいは、ヒマワリの種あるいは、松の種あるいは、クルミを砕いたものを混ぜ、カワラナデシコとボタンピとオトギリソウの乾燥粉末を0.1%から30%混入し、大人の拳大のおにぎり状にしたものを加熱せず、表面を乾燥させて用いる。カワラナデシコとボタンピとオトギリソウは同量を用いる。必要に応じて、他の前記薬草類あるいは、パンあるいは、パン粉を混入しても良い。米、麦、ヒエの変わりにオカラを用いたり、焼酎の絞り粕やクラゲを混入しても良い。
【0010】
図4は、イノシシ用として、適度に切り分けたリンゴあるいは、ナシあるいは、サツマイモあるいは、ジャガイモあるいは、カボチャあるいは、大豆あるいは、栗あるいは、トウモロコシに、カワラナデシコとボタンピとオトギリソウの乾燥粉末をまぶして用いる。カワラナデシコとボタンピとオトギリソウは、同量を用いる。必要に応じて、米糠あるいは、ヒマワリの種あるいは、松の種あるいは、クルミを混入する。また必要に応じて、他の前記薬草類の乾燥粉末やオカラや焼酎の絞り粕やクラゲを混入しても良い。
【0011】
図5は、鹿用として、米あるいは、麦あるいは、粟あるいは、ヒエを蒸したものに、ヒマワリの種あるいは、松の種あるいは、砕いたクルミを混入し、カワラナデシコとボタンピとオトギリソウの乾燥粉末を全量の0.1%から30%混ぜ入れ、良く攪拌し、直径3センチ程度の団子状にして、加熱せず、表面を乾燥させて用いる。カワラナデシコとボタンピとオトギリソウは、同量を用いる。必要に応じて他の前記薬草類の乾燥粉末を混入する。さらに前記薬草類は、乾燥せずにそのまま長さ3センチ程度に切り、混入し、団子状に丸めても良い。米、麦、ヒエの変わりにオカラを用いたり、焼酎の絞り粕やクラゲを混入しても良い。
【0012】
図6は、ネズミ用として、鶏肉あるいは、鶏の骨あるいは、魚肉あるいは、タコあるいは、イカあるいは、貝の身あるいは、クラゲあるいは、豚肉あるいは、牛肉の挽肉にカワラナデシコとボタンピとオトギリソウの乾燥粉末を全量の0.1%から30%混ぜ入れ、良く攪拌し、直径3センチ程度の団子状にし、熱湯あるいは、蒸気あるいは、油あるいは、直火あるいは、電子レンジで加熱して用いる。カワラナデシコとボタンピとオトギリソウは、同量を用いる。必要に応じて、他の前記薬草類の乾燥粉末やオカラや焼酎の絞り粕を混入しても良い。
【0013】
図7は、ハト用として、パンあるいは、パン粉に、カワラナデシコとボタンピとオトギリソウの乾燥粉末を全量の0.1%から30%混ぜ入れ、直径5ミリ、長さ10ミリ程度のペレット状にして、加熱せず、表面を乾燥させて用いる。カワラナデシコとボタンピとオトギリソウは、同量を用いる。必要に応じて、米糠あるいは、ヒマワリの種あるいは、松の種あるいは、クルミを砕いたものを混ぜ、また他の前記薬草類の乾燥粉末やオカラや焼酎の絞り粕やクラゲを混入しても良い。
【0014】
図8は、基材となる飼料、すなわち対象となる動物の好む餌をひとつ以上選び、それに混ぜる薬草類をひとつ以上選び、両者を混合した上で、加熱処理する、あるいは半乾燥状態で商品化するための早見票である。選択する資料および薬草類は、対象となる動物の嗜好と生理にあわせて選択する。
【0015】
図9は、基本的な製造工程を概念化したものである。飼料と薬草類を配合した後、適度な大きさに整形し、過熱し、粗熱を取って製品化する。なお対象となる動物の嗜好あるいは、薬草類の薬効の問題から生あるいは半生で商品化するものもある。
【実施例】
【0016】
ネコの避妊用餌を例に説明する。
図1の方法にて作成した避妊用餌を市街地のゴミの収集場所に配置する。配置する場所は、収集されたゴミの山を取り巻くように配置する。周囲を取り囲むことが出来なければ、ゴミ箱の前に複数個、配置する。配置する個数は、周囲に生息するネコの数に合わせて増減する。
またネコの生息域を配慮し、ネコの通り道であろうと推測されるところにも定期的に配置する。
配置する場所には、河川のそばや側溝付近など水に流されて海洋や下水処理場に流れやすい場所は、避ける。
ゴミの収集日には必ず、避妊用餌を配するだけでなく、前もって収集日の前や定期的に与えることで空腹感を減らし、ゴミを荒らされる可能性を減らすと共に排卵のリズムをコントロールする、あるいは、既に妊娠しているものには自然に堕胎するように仕向ける。
3ヶ月から6ヶ月を1周期とし、定期的にモニタリングを行い、効果が少ない、或いは見られないときは、もう1周期を継続し、最高2年を継続して行う。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、市街地に生息する野生化した猫や犬、野生のカラス、サル、イノシシ、鹿、ハト、ネズミだけでなく、家庭内で飼育されるペットにも応用が可能であり、また市街地で繁殖するアライグマなどの外来種の繁殖制限にも有効である。
さらに当発明には、現在、産業廃棄物として問題となっている豆腐の絞り粕であるオカラや焼酎の絞り粕や漁業問題となっている越前クラゲを有効利用することができ、現在有料にて廃棄処分しているこれらの資源を有効に用いることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ネコ用の避妊用餌を作成する方法の例である。
【図2】カラス用の避妊用餌を作成する方法の例である。
【図3】サル用の避妊用餌を作成する方法の例である。
【図4】イノシシ用の避妊用餌を作成する方法の例である。
【図5】鹿用の避妊用餌を作成する方法の例である。
【図6】ネズミ用の避妊用餌を作成する方法の例である。
【図7】ハト用の避妊用餌を作成する方法の例である。
【図8】動物のための避妊用餌を作成する為の飼料選択の簡略図である。
【図9】動物のための避妊用餌を作成するシステム概念図例である。
【符号の説明】
【0019】
001 マタタビとカワラナデシコとボタンピとセイヨウオトギリソウの乾燥粉末
002 カワラナデシコとボタンピとセイヨウオトギリソウの乾燥粉末
003 カワラナデシコとボタンピとオトギリソウの乾燥粉末
101 魚肉の挽肉
201 鶏肉の挽肉
301 米あるいは、麦あるいは、粟あるいは、ヒエを蒸したものに、リンゴあるいは、ナシあるいは、サツマイモあるいは、大豆あるいは、ジャガイモあるいは、カボチャあるいは、栗あるいは、トウモロコシを約10ミリ角から50ミリ角に切り、米糠あるいは、ヒマワリの種あるいは、松の種あるいは、クルミを砕いて混ぜたもの
401 適度に切り分けたリンゴあるいは、ナシあるいは、サツマイモあるいは、ジャガイモあるいは、カボチャあるいは、大豆あるいは、栗あるいは、トウモロコシ
501 米あるいは、麦あるいは、粟あるいは、ヒエを蒸したものに、ヒマワリの種あるいは、松の種あるいは、砕いたクルミを混入したもの
601 鶏肉あるいは、鶏の骨あるいは、魚肉あるいは、タコあるいは、イカあるいは、貝の身あるいは、豚肉あるいは、牛肉の挽肉
701 パンあるいは、パン粉
901 鶏肉と鶏の骨と魚肉とタコとイカと貝の身と豚肉と牛肉と米と麦と粟とヒエとパンとパン粉とリンゴとナシとサツマイモとジャガイモとカボチャと大豆と栗とトウモロコシと米糠とヒマワリの種と松の種とクルミと落花生の少なくとも一つ以上
902 カワラナデシコとメハジキとマタタビとハトムギとボタンピとオトギリソウとセイヨウオトギリソウとオランダミツバとスモーレッジとセイヨウネズとカミツレとアニュアル・カモマイルとセイロンニッケイとヨーロッパトウキとヨロイグサとハイビスカスローゼルとチャボトケイソウとトケイソウとカンゾウとレモンガヤとレモンソウとオイルグラスとローザリカとタマネギの少なくとも一つ以上
910 配合・攪拌機
911 配合・攪拌機から送出されたものをカットする刃
912 ベルトコンベア
913 成型器
914 配合・攪拌機から送出された餌
915 成型器によって整えられた餌
916 ベルトコンベア
917 熱水層あるいは油層
918 ベルトコンベア
919 あら熱をとる冷風機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏肉と鶏の骨と魚肉とタコとイカと貝の身とクラゲと豚肉と牛肉と米と麦と粟とヒエとパンとパン粉とリンゴとナシとサツマイモとジャガイモとカボチャと大豆と栗とトウモロコシと米糠とヒマワリの種と松の種とクルミと落花生の少なくとも一つ以上と、カワラナデシコとメハジキとマタタビとハトムギとボタンピとオトギリソウとセイヨウオトギリソウとオランダミツバとスモーレッジとセイヨウネズとカミツレとアニュアル・カモマイルとセイロンニッケイとヨーロッパトウキとヨロイグサとハイビスカスローゼルとチャボトケイソウとトケイソウとカンゾウとレモンガヤとレモンソウとオイルグラスとローザリカとタマネギの少なくとも一つ以上を含むことからなることを特徴とした動物の為の避妊用餌とその製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−131538(P2007−131538A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322970(P2005−322970)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(393021392)有限会社ブレインチャイルド (3)
【Fターム(参考)】