動物の生体信号の検出装置
【課題】本発明は、犬の行動や生活を殆ど煩わせることなく、その心拍数を正確に検出することができる動物の生体信号の検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】犬の生体信号を検出するための生体信号検出手段と、この生体信号検出手段を、該被検体の生体信号を好適に検出することのできる検出部位に密着的に装着するための装着部材と、生体信号検出手段によって検出された生体信号を出力するための出力手段とを備え、検出部位が犬の心臓位置の胸部における心臓を挟む両側部分であって、生体信号検出手段がその2箇所にそれぞれ1つ以上配設されるように構成されることを特徴とする生体信号の検出装置。
【解決手段】犬の生体信号を検出するための生体信号検出手段と、この生体信号検出手段を、該被検体の生体信号を好適に検出することのできる検出部位に密着的に装着するための装着部材と、生体信号検出手段によって検出された生体信号を出力するための出力手段とを備え、検出部位が犬の心臓位置の胸部における心臓を挟む両側部分であって、生体信号検出手段がその2箇所にそれぞれ1つ以上配設されるように構成されることを特徴とする生体信号の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の生体信号の検出装置に関する。特に、被検体である動物が犬であり、生体信号が心拍である検出装置やこれを生体に対して装着するための装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動物に何等かの測定機器を装着してその動物の生体信号を獲得することは、特に動物病院等において必要不可欠とされ、様々な手段や方法の測定機器が提案されている。例えば、特許文献1に開示されている技術は、首輪に取り付けられた耐水ケースに心拍数を検出するための心拍センサが収納され、この心拍センサによって検出された心拍信号が首輪に取り付けられた無線送信機によって出力されるように構成されている。この技術における心拍センサは、光の反射を読み取ることによるものであり、光の反射位置は首部となっている。また、特許文献2に開示されている技術においては、心拍数計測装置が犬の運動を管理するために用いられ、犬等の首に取り付ける首輪と、この首輪を運動装置に保持するための該首輪と運動装置とを連結する保持紐と、この保持紐に取り付けられた心拍数計測装置とを備えることを特徴とするものである。また、特許文献3に記載の技術は、心拍信号の検出装置として用いられる密閉空気式音センサと、このセンサを検出部位に密着して装着するための装着用ベルトと、検出された心拍信号を出力するための無線送信機を備えることを特徴としている。
【0003】
これらの技術のように、動物の心拍信号を検出しようとする試みや、検出した心拍信号を遠隔地において受信できるようにした工夫は既に多く見られる。また、何等かの測定機器を用いて獲得した生体信号を、所定の方法によって解析して、その生体の状態を把握することに役立てようとする。例えば、特許文献4或いは特許文献5に開示されているような技術も多数提案されている。しかし、動物、特に犬の心拍信号をより正確に検出することができるように、検出手段を如何に検出部位に配設するかを工夫したものは皆無であった。
【0004】
ところで、人間の心拍数をモニタする場合においては、電極センサと無線送信機が一体になったトランスミッタで心拍数を捉え、腕時計型のレシーバでその心拍数を表示するように構成されたものがあり、これによれば測定機器に束縛されるのが最少限になって、殆ど煩わされることなく簡便に心拍数をモニタすることができる。
【0005】
犬の健康維持やリハビリのための運動を行なう場合にも、犬の心拍数を常時モニタすることで、その運動強度や体調を把握することができる。しかしながら犬の場合には、胸の形状が人間と異なり、胸部や腹部に相当する部分の全面が平らではなく、湾曲した形状であって電極帯をL−R誘導で測定することが困難であるという問題がある。また、犬の場合には、体表面の大部分が毛に覆われ、電極部分を皮膚に接触させることができず、心臓で発生する電位変化を捉えることができないという問題がある。更に、犬の場合には、胸の形状が凸ではなく、体中心から腹部にかけて左右が犬によっては凹んでいる場合があり、電極が接触不良を起こして電位を測定できない場合がある。
【特許文献1】特開2001−178692号公報
【特許文献2】特開2001−017017号公報
【特許文献3】特開2001−286448号公報
【特許文献4】特開2002−306436号公報
【特許文献5】特開2004−000138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の如くの問題に鑑みてなされたものであり、被検体が上述の如くの諸問題を有する動物、特に犬であっても、被検体の行動や生活を殆ど煩わせることなく、その心拍数を正確に検出することができる動物の生体信号の検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明が採った手段は、被検体である生体の生体信号を検出するための生体信号検出手段と、この生体信号検出手段を、該被検体の生体信号を好適に検出することのできる検出部位に密着的に装着するための装着部材と、生体信号検出手段によって検出された生体信号を出力するための出力手段とを備えることを特徴とする。また、被検体が犬であり、検出部位が犬の心臓位置の胸部における心臓を挟む両側部分であって、生体信号検出手段がその2箇所にそれぞれ1つ以上配設されるように構成されることを特徴とする。
【0008】
前記生体信号検出手段が、導電性と可撓性及び伸縮性を有する電極であることを特徴とする。また被検体の検出部位に当接される生体信号検出手段の検出部が、該検出部位に向かって凸状に凸設された凸設部の表面に電極が配設されてなることを特徴とする。生体信号検出手段における検出部の前記凸設部が、装着部材の表面から3乃至12mm突出したものであることを特徴とする。
【0009】
前記装着部材が、その端部どうしを連結することで環状になるように構成された帯状の形態をなすものであることを特徴とし、帯状の形態をなす装着部材が2つ以上の帯片からなるものであることを特徴とする。また、帯状の形態をなす装着部材が表裏それぞれ雌雄一対の面ファスナから構成されることを特徴とする。或いは、装着部材が、ハーネスの形態をなすものであることを特徴とする。或いは、装着部材が犬用衣類の形態をなすものであることを特徴とする。
【0010】
出力手段が、無線送信機とこれを装着部材に取り付けるための取付具とからなる無線送信機ユニットであることを特徴とする。また、前記取付具を装着部材に取り付けるための被取付具を装着部材に配設して出力手段が着脱自在となるように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、陸上のみならず水中においても心拍数をリアルタイムに測定できるという効果がある。散歩時においては、ハーネス形態の装着部材と、無線送信可能な出力手段を採用すれば、手元の無線受信機を含む表示装置によって、被検体に対する運動負荷を随時数値で把握することができるという効果がある。また、衣類形態の装着部材を採用した場合には、日常の健康管理にも使用することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明をハーネス形態に構成した実施態様の生体信号の検出装置(1)を犬(2)に装着した状態を示す図である。図1、2に示すように、本実施態様の犬(2)の生体信号の検出装置(1)は、心拍信号検出手段(5)を被検体である犬(2)に装着するための胸部装着帯(3)と、首輪部材(4)と、心拍信号検出手段(5)によって検出された心拍信号を出力するための出力手段(6)を有している。胸部装着帯(3)と首輪部材(4)は、それぞれの背部(B)どうしが互いに結合されている。胸部装着帯(3)は、被検体である犬(2)の丁度心臓(H)位置の胸部をその周回上にわたって囲繞し、その体表面に当接するように装着されている(図2参照)。
【0013】
図2に示すように、胸部装着帯(3)は、一方の胸側部(S)から背部(B)を通って他方の胸側部(S)にわたって胸部を覆う上帯片(7)と、前記胸側部(S)間を下方の胸部(C)を通って覆う下帯片(8)の2つの帯状片からなる。これら上帯片(7)及び下帯片(8)の終端部には、それぞれ雄又は雌型の面ファスナ(9)が配設され(図6参照)、上帯片(7)と下帯片(8)の終端部どうしを互いに連結して環状をなすように構成されている。これら上帯片(7)と下帯片(8)は、それぞれ可撓性と伸縮性を有する。上帯片(7)の内側表面の所定位置には、互いに所定間隔を存して凸設部(10)が2つ固設されている。この凸設部(10)は、上帯片(7)の幅以下の長さを有する直径3乃至12mm程度の円柱状の弾性部材(11)を幅方向に向けて該上帯片(7)に固設してなる。この凸設部(10)の固設位置は、被検体である犬(2)の胸部に該胸部装着帯(3)を装着した際に、該2つの凸設部(10)が該犬(2)の心臓を丁度その両側から挟み込むような位置となる箇所に設定される。勿論、凸設部(10)の数量は、必ずしも2つである必要はなく、基本的には心臓をその両側から挟み込むような部分にそれぞれ適当な数量の凸設部(10)が配設されていればよい。
【0014】
胸部装着帯(3)に配設される心拍信号検出手段(5)は、導電性と伸縮性及び可撓性を有する銀被膜ポリエステル繊維を上帯片(7)の幅より細めの帯状に形成された電極(12)によって構成される。図3に示すように、この電極(12)は、凸設部(10)を跨いで、上帯片(7)の長手方向に沿ってその幅方向のほぼ中心の内側表面(I)に敷設される。電極(12)は、上帯片(7)の長手方向の中央部に向かって敷設された適当な途中位置から、この位置の上帯片(7)に形成された表裏に貫通したスリット(13)を通して、上帯片(7)の内側から表側に通し出される(図4参照)。通し出された電極(12)は、上帯片(7)の長手方向の中央部に向かって、内側同様その表面に敷設され、該電極(12)の終端部には、出力手段(6)の取付具(14)を着脱自在に装着するための被装着具(15)が固設されている(図5及び図7参照)。
【0015】
スリット(13)を通して表側に出された電極(12)表面には、例えば絶縁樹脂シート、フィルムからなる絶縁被覆シート(17)が積層されている。この絶縁被覆シート(17)により誤って飼い主等が電極(12)に接触したとしても、その接触した人間の心拍が検出されてしまうという混信を防止することができる。又、電極(12)が外気や太陽光に晒されることによる劣化も防止することができる。
【0016】
出力手段(6)は、電極(12)と電極(12)の終端部に固設された被装着具(15)と出力手段(6)に設けられた取付具(14)を介して心拍信号検出手段(5)によって検出された心拍信号を受け取り、その信号を外部の受信手段に送信するための無線送信機を含んでなる。出力手段(6)に耐水加工を施せば、雨天や水中においても使用できて好ましいことはいうまでもない。また、前述のように胸部装着帯(3)に、出力手段(6)を着脱自在に取り付けることができるように被装着具(15)を固設すれば、出力手段(6)としては市販の物品を用いることができるという効果があって好ましい。
【0017】
また、心拍信号検出手段(5)の構成は、基本的には凸設部(10)とこの表面に敷設される電極(12)とを備えていればよく、例えば、図8或いは図9に示すように、凸設部(10)の形態が、片側複数であってもよく、個々の凸設部(10)の形状が半球状、或いは円筒状に隆起したものが周期的に又はランダムに配設されているものであっても良い。しかし、その凸設部(10)の高さが、被検体である犬(2)の大きさに応じた3乃至12mmの範囲にあることが望ましい。これは、犬(2)の体重別胸囲の平均値を求め、胸部の凹みの問題が、胸囲が50cmの場合、最大4mm陥没するというデータに基づいて胸囲別の凹みの大きさを推定し、それから凸設部(10)のおおよその高さを決定した結果を示した表1に基づくものである。このような設定が有効なのは、犬(2)の心拍信号を検出する際、被検体によって胸部の凹みの大きさが異なるためであり、その凹みに合わせた大きさの電極(12)を用いることで、なるべく心臓に近い部位での検出を行なうことができるようにするためである。これはまた、精密に測定できるL−R誘導を用いて心臓で発生する電位を求める構成を採用していることに起因する。
【0018】
【表1】
【0019】
また、電極(12)の接触性が悪い場合や、通電状態が良くない場合には、検出部である凸設部(10)の表面に敷設された位置の電極(12)に、保湿剤を含む皮膚に害のない水溶液をスプレーで軽く噴霧すれば通電性を簡単に改善することができる。
【0020】
また、出力手段(6)として無線送信機を採用しない場合には、例えば、図10に示すように上帯片の長手方向の中央部に間隔を存して配設された両電極(12)の終端部に、被装着具(15)を設けず、電極(12)の終端部の表面積を小さくして細身のリード線状に形成すれば、電位差を取り出すためのリード線(16)として使用することもできる。
【0021】
また、検出手段を被検体の被検部位に当接されるための装着部材を、ハーネス形態ではなく図11に示すような衣類形態にしてもよく、このように衣類形態とすれば見栄えも改善できて好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施態様の装置を犬に装着した状態を示す図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】同装置の上帯片の両端部の内側を示す図
【図4】図3の左側の断面図
【図5】同装置の上帯片の中央部の表側を示す図
【図6】下帯片の両端部の内側を示す図
【図7】同装置の出力手段の下方から見た斜視図
【図8】同装置の検出手段の一変形例を示す斜視図
【図9】同装置の検出手段の一変形例を示す斜視図
【図10】同装置の上帯片の中央部の表側の一変形例を示す斜視図
【図11】同装置の装着部材の一変形例を示す斜視図
【符号の説明】
【0023】
1 生体信号の検出装置
2 犬
3 胸部装着帯
4 首輪部材
5 心拍信号検出手段
6 出力手段
7 上帯片
8 下帯片
9 面ファスナ
10 凸設部
11 弾性部材
12 電極
13 スリット
14 取付具
15 被装着具
16 リード線
17 絶縁被覆シート
H 心臓
B 背部
S 胸側部
C 胸部
I 内側表面
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の生体信号の検出装置に関する。特に、被検体である動物が犬であり、生体信号が心拍である検出装置やこれを生体に対して装着するための装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動物に何等かの測定機器を装着してその動物の生体信号を獲得することは、特に動物病院等において必要不可欠とされ、様々な手段や方法の測定機器が提案されている。例えば、特許文献1に開示されている技術は、首輪に取り付けられた耐水ケースに心拍数を検出するための心拍センサが収納され、この心拍センサによって検出された心拍信号が首輪に取り付けられた無線送信機によって出力されるように構成されている。この技術における心拍センサは、光の反射を読み取ることによるものであり、光の反射位置は首部となっている。また、特許文献2に開示されている技術においては、心拍数計測装置が犬の運動を管理するために用いられ、犬等の首に取り付ける首輪と、この首輪を運動装置に保持するための該首輪と運動装置とを連結する保持紐と、この保持紐に取り付けられた心拍数計測装置とを備えることを特徴とするものである。また、特許文献3に記載の技術は、心拍信号の検出装置として用いられる密閉空気式音センサと、このセンサを検出部位に密着して装着するための装着用ベルトと、検出された心拍信号を出力するための無線送信機を備えることを特徴としている。
【0003】
これらの技術のように、動物の心拍信号を検出しようとする試みや、検出した心拍信号を遠隔地において受信できるようにした工夫は既に多く見られる。また、何等かの測定機器を用いて獲得した生体信号を、所定の方法によって解析して、その生体の状態を把握することに役立てようとする。例えば、特許文献4或いは特許文献5に開示されているような技術も多数提案されている。しかし、動物、特に犬の心拍信号をより正確に検出することができるように、検出手段を如何に検出部位に配設するかを工夫したものは皆無であった。
【0004】
ところで、人間の心拍数をモニタする場合においては、電極センサと無線送信機が一体になったトランスミッタで心拍数を捉え、腕時計型のレシーバでその心拍数を表示するように構成されたものがあり、これによれば測定機器に束縛されるのが最少限になって、殆ど煩わされることなく簡便に心拍数をモニタすることができる。
【0005】
犬の健康維持やリハビリのための運動を行なう場合にも、犬の心拍数を常時モニタすることで、その運動強度や体調を把握することができる。しかしながら犬の場合には、胸の形状が人間と異なり、胸部や腹部に相当する部分の全面が平らではなく、湾曲した形状であって電極帯をL−R誘導で測定することが困難であるという問題がある。また、犬の場合には、体表面の大部分が毛に覆われ、電極部分を皮膚に接触させることができず、心臓で発生する電位変化を捉えることができないという問題がある。更に、犬の場合には、胸の形状が凸ではなく、体中心から腹部にかけて左右が犬によっては凹んでいる場合があり、電極が接触不良を起こして電位を測定できない場合がある。
【特許文献1】特開2001−178692号公報
【特許文献2】特開2001−017017号公報
【特許文献3】特開2001−286448号公報
【特許文献4】特開2002−306436号公報
【特許文献5】特開2004−000138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の如くの問題に鑑みてなされたものであり、被検体が上述の如くの諸問題を有する動物、特に犬であっても、被検体の行動や生活を殆ど煩わせることなく、その心拍数を正確に検出することができる動物の生体信号の検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明が採った手段は、被検体である生体の生体信号を検出するための生体信号検出手段と、この生体信号検出手段を、該被検体の生体信号を好適に検出することのできる検出部位に密着的に装着するための装着部材と、生体信号検出手段によって検出された生体信号を出力するための出力手段とを備えることを特徴とする。また、被検体が犬であり、検出部位が犬の心臓位置の胸部における心臓を挟む両側部分であって、生体信号検出手段がその2箇所にそれぞれ1つ以上配設されるように構成されることを特徴とする。
【0008】
前記生体信号検出手段が、導電性と可撓性及び伸縮性を有する電極であることを特徴とする。また被検体の検出部位に当接される生体信号検出手段の検出部が、該検出部位に向かって凸状に凸設された凸設部の表面に電極が配設されてなることを特徴とする。生体信号検出手段における検出部の前記凸設部が、装着部材の表面から3乃至12mm突出したものであることを特徴とする。
【0009】
前記装着部材が、その端部どうしを連結することで環状になるように構成された帯状の形態をなすものであることを特徴とし、帯状の形態をなす装着部材が2つ以上の帯片からなるものであることを特徴とする。また、帯状の形態をなす装着部材が表裏それぞれ雌雄一対の面ファスナから構成されることを特徴とする。或いは、装着部材が、ハーネスの形態をなすものであることを特徴とする。或いは、装着部材が犬用衣類の形態をなすものであることを特徴とする。
【0010】
出力手段が、無線送信機とこれを装着部材に取り付けるための取付具とからなる無線送信機ユニットであることを特徴とする。また、前記取付具を装着部材に取り付けるための被取付具を装着部材に配設して出力手段が着脱自在となるように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、陸上のみならず水中においても心拍数をリアルタイムに測定できるという効果がある。散歩時においては、ハーネス形態の装着部材と、無線送信可能な出力手段を採用すれば、手元の無線受信機を含む表示装置によって、被検体に対する運動負荷を随時数値で把握することができるという効果がある。また、衣類形態の装着部材を採用した場合には、日常の健康管理にも使用することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明をハーネス形態に構成した実施態様の生体信号の検出装置(1)を犬(2)に装着した状態を示す図である。図1、2に示すように、本実施態様の犬(2)の生体信号の検出装置(1)は、心拍信号検出手段(5)を被検体である犬(2)に装着するための胸部装着帯(3)と、首輪部材(4)と、心拍信号検出手段(5)によって検出された心拍信号を出力するための出力手段(6)を有している。胸部装着帯(3)と首輪部材(4)は、それぞれの背部(B)どうしが互いに結合されている。胸部装着帯(3)は、被検体である犬(2)の丁度心臓(H)位置の胸部をその周回上にわたって囲繞し、その体表面に当接するように装着されている(図2参照)。
【0013】
図2に示すように、胸部装着帯(3)は、一方の胸側部(S)から背部(B)を通って他方の胸側部(S)にわたって胸部を覆う上帯片(7)と、前記胸側部(S)間を下方の胸部(C)を通って覆う下帯片(8)の2つの帯状片からなる。これら上帯片(7)及び下帯片(8)の終端部には、それぞれ雄又は雌型の面ファスナ(9)が配設され(図6参照)、上帯片(7)と下帯片(8)の終端部どうしを互いに連結して環状をなすように構成されている。これら上帯片(7)と下帯片(8)は、それぞれ可撓性と伸縮性を有する。上帯片(7)の内側表面の所定位置には、互いに所定間隔を存して凸設部(10)が2つ固設されている。この凸設部(10)は、上帯片(7)の幅以下の長さを有する直径3乃至12mm程度の円柱状の弾性部材(11)を幅方向に向けて該上帯片(7)に固設してなる。この凸設部(10)の固設位置は、被検体である犬(2)の胸部に該胸部装着帯(3)を装着した際に、該2つの凸設部(10)が該犬(2)の心臓を丁度その両側から挟み込むような位置となる箇所に設定される。勿論、凸設部(10)の数量は、必ずしも2つである必要はなく、基本的には心臓をその両側から挟み込むような部分にそれぞれ適当な数量の凸設部(10)が配設されていればよい。
【0014】
胸部装着帯(3)に配設される心拍信号検出手段(5)は、導電性と伸縮性及び可撓性を有する銀被膜ポリエステル繊維を上帯片(7)の幅より細めの帯状に形成された電極(12)によって構成される。図3に示すように、この電極(12)は、凸設部(10)を跨いで、上帯片(7)の長手方向に沿ってその幅方向のほぼ中心の内側表面(I)に敷設される。電極(12)は、上帯片(7)の長手方向の中央部に向かって敷設された適当な途中位置から、この位置の上帯片(7)に形成された表裏に貫通したスリット(13)を通して、上帯片(7)の内側から表側に通し出される(図4参照)。通し出された電極(12)は、上帯片(7)の長手方向の中央部に向かって、内側同様その表面に敷設され、該電極(12)の終端部には、出力手段(6)の取付具(14)を着脱自在に装着するための被装着具(15)が固設されている(図5及び図7参照)。
【0015】
スリット(13)を通して表側に出された電極(12)表面には、例えば絶縁樹脂シート、フィルムからなる絶縁被覆シート(17)が積層されている。この絶縁被覆シート(17)により誤って飼い主等が電極(12)に接触したとしても、その接触した人間の心拍が検出されてしまうという混信を防止することができる。又、電極(12)が外気や太陽光に晒されることによる劣化も防止することができる。
【0016】
出力手段(6)は、電極(12)と電極(12)の終端部に固設された被装着具(15)と出力手段(6)に設けられた取付具(14)を介して心拍信号検出手段(5)によって検出された心拍信号を受け取り、その信号を外部の受信手段に送信するための無線送信機を含んでなる。出力手段(6)に耐水加工を施せば、雨天や水中においても使用できて好ましいことはいうまでもない。また、前述のように胸部装着帯(3)に、出力手段(6)を着脱自在に取り付けることができるように被装着具(15)を固設すれば、出力手段(6)としては市販の物品を用いることができるという効果があって好ましい。
【0017】
また、心拍信号検出手段(5)の構成は、基本的には凸設部(10)とこの表面に敷設される電極(12)とを備えていればよく、例えば、図8或いは図9に示すように、凸設部(10)の形態が、片側複数であってもよく、個々の凸設部(10)の形状が半球状、或いは円筒状に隆起したものが周期的に又はランダムに配設されているものであっても良い。しかし、その凸設部(10)の高さが、被検体である犬(2)の大きさに応じた3乃至12mmの範囲にあることが望ましい。これは、犬(2)の体重別胸囲の平均値を求め、胸部の凹みの問題が、胸囲が50cmの場合、最大4mm陥没するというデータに基づいて胸囲別の凹みの大きさを推定し、それから凸設部(10)のおおよその高さを決定した結果を示した表1に基づくものである。このような設定が有効なのは、犬(2)の心拍信号を検出する際、被検体によって胸部の凹みの大きさが異なるためであり、その凹みに合わせた大きさの電極(12)を用いることで、なるべく心臓に近い部位での検出を行なうことができるようにするためである。これはまた、精密に測定できるL−R誘導を用いて心臓で発生する電位を求める構成を採用していることに起因する。
【0018】
【表1】
【0019】
また、電極(12)の接触性が悪い場合や、通電状態が良くない場合には、検出部である凸設部(10)の表面に敷設された位置の電極(12)に、保湿剤を含む皮膚に害のない水溶液をスプレーで軽く噴霧すれば通電性を簡単に改善することができる。
【0020】
また、出力手段(6)として無線送信機を採用しない場合には、例えば、図10に示すように上帯片の長手方向の中央部に間隔を存して配設された両電極(12)の終端部に、被装着具(15)を設けず、電極(12)の終端部の表面積を小さくして細身のリード線状に形成すれば、電位差を取り出すためのリード線(16)として使用することもできる。
【0021】
また、検出手段を被検体の被検部位に当接されるための装着部材を、ハーネス形態ではなく図11に示すような衣類形態にしてもよく、このように衣類形態とすれば見栄えも改善できて好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施態様の装置を犬に装着した状態を示す図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】同装置の上帯片の両端部の内側を示す図
【図4】図3の左側の断面図
【図5】同装置の上帯片の中央部の表側を示す図
【図6】下帯片の両端部の内側を示す図
【図7】同装置の出力手段の下方から見た斜視図
【図8】同装置の検出手段の一変形例を示す斜視図
【図9】同装置の検出手段の一変形例を示す斜視図
【図10】同装置の上帯片の中央部の表側の一変形例を示す斜視図
【図11】同装置の装着部材の一変形例を示す斜視図
【符号の説明】
【0023】
1 生体信号の検出装置
2 犬
3 胸部装着帯
4 首輪部材
5 心拍信号検出手段
6 出力手段
7 上帯片
8 下帯片
9 面ファスナ
10 凸設部
11 弾性部材
12 電極
13 スリット
14 取付具
15 被装着具
16 リード線
17 絶縁被覆シート
H 心臓
B 背部
S 胸側部
C 胸部
I 内側表面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体である生体の生体信号を検出するための生体信号検出手段と、この生体信号検出手段を、該被検体の生体信号を好適に検出することのできる検出部位に密着的に装着するための装着部材と、生体信号検出手段によって検出された生体信号を出力するための出力手段とを備えることを特徴とする動物の生体信号の検出装置。
【請求項2】
被検体が犬であり、検出部位が犬の心臓位置の胸部における心臓を挟む両側部分であって、生体信号検出手段がその2箇所にそれぞれ1つ以上配設されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
生体信号検出手段が、導電性と可撓性及び伸縮性を有する電極であることを特徴とする請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
被検体の検出部位に当接される生体信号検出手段の検出部が、該検出部位に向かって凸状に凸設された凸設部の表面に電極が配設されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の検出装置。
【請求項5】
生体信号検出手段における検出部の凸設部が、装着部材の表面から3乃至12mm突出したものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の検出装置。
【請求項6】
装着部材が、その端部どうしを連結することで環状になるように構成された帯状の形態をなすものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の検出装置。
【請求項7】
帯状の形態をなす装着部材が、2つ以上の帯片からなるものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の検出装置。
【請求項8】
帯状の形態をなす装着部材が、表裏それぞれ雌雄一対の面ファスナから構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の検出装置。
【請求項9】
装着部材が、ハーネスの形態をなすものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の検出装置。
【請求項10】
装着部材が、犬用衣類の形態をなすものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の検出装置。
【請求項11】
出力手段が、無線送信機とこれを装着部材に取り付けるための取付具とからなる無線送信機ユニットであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の検出装置。
【請求項12】
前記取付具を装着部材に取り付けるための被取付具を、装着部材に配設して出力手段が着脱自在となるように構成されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の検出装置。
【請求項1】
被検体である生体の生体信号を検出するための生体信号検出手段と、この生体信号検出手段を、該被検体の生体信号を好適に検出することのできる検出部位に密着的に装着するための装着部材と、生体信号検出手段によって検出された生体信号を出力するための出力手段とを備えることを特徴とする動物の生体信号の検出装置。
【請求項2】
被検体が犬であり、検出部位が犬の心臓位置の胸部における心臓を挟む両側部分であって、生体信号検出手段がその2箇所にそれぞれ1つ以上配設されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
生体信号検出手段が、導電性と可撓性及び伸縮性を有する電極であることを特徴とする請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
被検体の検出部位に当接される生体信号検出手段の検出部が、該検出部位に向かって凸状に凸設された凸設部の表面に電極が配設されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の検出装置。
【請求項5】
生体信号検出手段における検出部の凸設部が、装着部材の表面から3乃至12mm突出したものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の検出装置。
【請求項6】
装着部材が、その端部どうしを連結することで環状になるように構成された帯状の形態をなすものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の検出装置。
【請求項7】
帯状の形態をなす装着部材が、2つ以上の帯片からなるものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の検出装置。
【請求項8】
帯状の形態をなす装着部材が、表裏それぞれ雌雄一対の面ファスナから構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の検出装置。
【請求項9】
装着部材が、ハーネスの形態をなすものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の検出装置。
【請求項10】
装着部材が、犬用衣類の形態をなすものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の検出装置。
【請求項11】
出力手段が、無線送信機とこれを装着部材に取り付けるための取付具とからなる無線送信機ユニットであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の検出装置。
【請求項12】
前記取付具を装着部材に取り付けるための被取付具を、装着部材に配設して出力手段が着脱自在となるように構成されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−195817(P2007−195817A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19688(P2006−19688)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(504327959)株式会社 久ヶ原スポーツクラブ (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(504327959)株式会社 久ヶ原スポーツクラブ (7)
【Fターム(参考)】
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