説明

動物の生命を延長するための方法

高齢動物の寿命を増加させるための方法であって、1またはそれより多くの抗酸化物質を、動物の寿命を増加させるのに十分な総抗酸化物質量にて含んでなる組成物を、動物に投与することを含んでなる、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年7月14日に出願された米国仮出願第60/699,145に対して優先権を主張する。該出願の開示は、参照により本明細書に記載されているものとする。
発明の分野
【0002】
本発明は、概して、動物の生命を延長するための方法、および具体的には、動物の生命を延長するための抗酸化物質の使用に関する。
発明の背景
【0003】
フリーラジカルにより誘導される酸化ストレスは、加齢に関連する長期の組織分解における主要な要因である。正常に機能している生細胞は、連続してフリーラジカルを産生し続ける。フリーラジカルは、多くの生物学的分子と非可逆的に反応することが可能な高反応性物質であり、したがって、最終的には加齢および死をもたらす、生体系の進行的な劣化を引き起こす。フリーラジカルは、通常は、抗酸化酵素および栄養素に由来する抗酸化物質の体内産生により、中和される。多くの研究が、抗酸化物質が酸化ストレスを低減することが可能かどうか、または動物の寿命に影響を及ぼすことが可能かどうかを判断するために、行われている。栄養および医療の向上によって、現在、動物はより長く生存し、そして、より良い生活の質を保持しているが、動物、具体的にはすでに高齢の動物の寿命を増加させるための、新たな、または代替の方法および組成物が、なお必要とされている。
発明の概要
【0004】
本発明は、動物の寿命を増加させるための方法を提供する。該方法は、動物が高齢のときに抗酸化物質を含んでなる組成物を動物に投与することを、含んでなる。抗酸化物質を含んでなる組成物とは、1またはそれより多くの抗酸化物質、および所望により追加の原料を含んでなる組成物である。該組成物中の1またはそれより多くの抗酸化物質の総抗酸化物質量は、動物の寿命を増加させるのに十分である。
【0005】
一実施態様において、抗酸化物質を含んでなる組成物は、組成物を動物に食べさせることによって投与される、食品組成物である。
【0006】
本発明は、(a)1またはそれより多くの抗酸化物質を、高齢動物に投与されるときに動物の寿命を増加させるのに十分な総抗酸化物質量にて含んでなる組成物を含有する、パッケージ;および、(b)動物の寿命を増加させるための該組成物の高齢動物への投与に関する情報または指示を、伝達するための手段、ここで、前記伝達手段は、パッケージに添付または同封されている;を含んでなる製品を、提供する。
【0007】
本発明はまた、(a)1またはそれより多くの抗酸化物質を、高齢動物に投与されるときに動物の寿命を増加させるのに十分な総抗酸化物質量にて含んでなる組成物を含有する、第一のパッケージ;(b)食品基剤を含有する、第二のパッケージ;ならびに、(c)抗酸化物質を含んでなる組成物の食品基剤への添加、および、動物の寿命を増加させるための、得られた抗酸化物質を強化された組成物の高齢動物への投与に関する情報または指示を、伝達するための手段;を含んでなるキットも、提供する。
【0008】
上述の製品またはキットにおいて提供される伝達手段は、それ自体が、本発明のなおさらなる実施態様である。
【0009】
他の、およびさらなる本発明の目的、特徴および利点は、当業者に容易に明らかであろう。
発明の詳細な説明
【0010】
この詳細な説明は、本発明を多くの形で、特定の使用の要件に最も適するよう適応および応用することが可能なように、当業者に本発明、その原理およびその実践的応用を伝達することのみを、目的とする。この詳細な説明およびその具体的な実施例は、例示のみを目的とする。したがって、本発明は、本明細書に記載される実施態様に限定されず、かつ、様々に修飾されてもよい。
【0011】
本発明は、動物の寿命を増加させるための方法を提供する。本発明の方法は、本明細書にさらに十分に記載されるように、抗酸化物質を含んでなる組成物を高齢動物に投与することを、含んでなる。
【0012】
「高齢」の語は、例えば、その動物種の通常の生涯期間の少なくとも約3分の1、相対的に年齢が進んでいることを、意味する。したがって、例として、出生時より約15年の平均寿命である血統の飼い犬もしくは飼い猫に関して、「高齢」動物とは、典型的には、少なくとも約5歳のものである。
【0013】
「寿命を増加させること」および「生命を延長すること」の語句は、本明細書では同義的に用いられ、そして、自然的原因による死亡時、または、動物の飼育人もしくは獣医師の判断において該動物の生活の質が著しく、かつ非可逆的に悪化している場合の、安楽死による死亡時(非ヒト動物のみ)における、動物の暦年齢を増加させることを、指す。このように、一実施態様において、本発明の方法の実行により、自然的原因による動物の死亡を遅延させることが可能である。別の実施態様においては、本発明の実行により、人道的な理由によって動物の生命を終了させる決断を行わなければならない期日を延期させることが可能である。
【0014】
動物は、ヒトまたは非ヒトであることが可能である。種々の実施態様において、動物は、脊椎動物、例えば、魚類、鳥類、爬虫類または哺乳類である。本方法は、出生時より約1年を超える、例えば約3年を超えるかまたは約5年を超える平均寿命を通常有する動物に対して、特に有用である。このように、例えば、一実施態様において、動物は、ネズミ科動物ではなく、すなわち、ネズミ科のげっ歯類以外である。哺乳類で例示するならば、対象動物は、イヌ科動物およびネコ科動物の種属を非限定的に含む、食肉目の一員であることが可能である。
【0015】
特定の実施態様において、動物は、伴侶動物である。本明細書における「伴侶動物」とは、個々の動物が交友のみのために保有されようと、ある程度交友のために保有されようと、ヒト飼育人によってペットとして保有される任意の種属の個々の動物、または、広くペットとして飼い慣らされている多様な種属の任意の個々の動物であって、イエイヌ(Canis familiaris)およびイエネコ(Felis domesticus)を含む。このように、本明細書における「伴侶動物」には、作業犬、げっ歯類を抑制するための農場猫等、ならびにペット用犬および猫が含まれる。
【0016】
一部の実施態様において、本発明は、イヌなどのイヌ科動物の寿命を増加させるための方法を、提供する。該方法は、動物が高齢のときに抗酸化物質を含んでなる組成物を動物に投与することを、含んでなる。特定の実施態様において、イヌ科動物は、組成物を投与されるときに、少なくとも約7歳である。他の実施態様において、本発明は、ネコなどのネコ科動物の寿命を増加させるための方法を、提供する。該方法は、動物が高齢のときに抗酸化物質を含んでなる組成物を動物に投与することを、含んでなる。特定の実施態様において、ネコ科動物は、組成物を投与されるときに、少なくとも約7歳である。イヌ科動物であろうとネコ科動物であろうと、抗酸化物質を含んでなる組成物を与えられる動物は、少なくとも約8歳、例えば少なくとも約9歳または少なくとも約10歳であってもよい。種々の実施態様において、イヌ科動物またはネコ科動物の対象は、これらの語が、一般に、イヌ科動物またはネコ科動物の栄養に関する文献において用いられるように、老犬または老猫、あるいは老年犬または老年猫である。
【0017】
これらの例示的な実施態様にもかかわらず、本発明の方法は、非ヒト霊長類(例えば、サル、チンパンジー等)、伴侶動物および作業動物(例えば、ウマ等)、農場動物(例えば、ヤギ(goat)、ヒツジ(sheep)、ブタ(pig)、ウシ等)、ならびに野生動物および動物園動物(例えば、オオカミ、クマ、シカ等)などの非ヒト哺乳類を含む他の動物に、適している。本発明の方法はまた、一般に、伴侶、農場、動物園および野生鳥類(例えば、鳴禽類、オウム、アヒル、ガチョウ、ニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ等を含む)などの非哺乳動物への使用にも、適している。「動物」の語は、トリ、ウシ亜科動物、イヌ科動物、ウマ科動物、ネコ科動物、ヤギ(hicrine)、ネズミ科動物、ヒツジ(ovine)およびブタ(porcine)動物を含む、ヒトまたは非ヒト動物を意味する。好ましくは、動物は、イヌ科動物またはネコ科動物である。
【0018】
本発明の方法は、抗酸化物質を含んでなる組成物を動物に投与することを、含んでなる。組成物中の1またはそれより多くの抗酸化物質の総抗酸化物質量は、該組成物の高齢動物への投与に際して、動物の寿命を増加させるのに十分である。
【0019】
該組成物を、動物の寿命を増加させるのに有効な頻度および期間にて、投与する。本明細書における「動物の寿命を増加させるのに十分な総抗酸化物質量」との語句は、このような頻度、かつこのような期間にわたる反復投与レジメンの文脈において用いられるべきである。典型的かつ最も好都合には、組成物を少なくとも1日1回投与するが、ただし、特定の状況においては、例えば2週間に1回または1週間に1回などの、より低頻度の投与が有効である可能性がある。最大の利点を得るためには、投与を、例えば、少なくとも約6ヶ月間、または少なくとも約1年間、または少なくとも約2年間、または少なくとも約3年間などの長期間、継続するべきである。一実施態様においては、投与を、開始時から、実質的にはその動物の生涯の残りの期間にわたって継続する。
【0020】
一実施態様において、投与レジメンの少なくとも一部が、動物が高齢のときに行われるならば、開始時は、その動物の生涯の任意の時期である(すなわち、投与の開始に、年齢の上限または下限はない)。しかしながら、特定の実施態様においては、動物がすでに高齢のときに、投与を開始する。例えば、イヌ科動物およびネコ科動物の伴侶動物の場合、動物が少なくとも約5歳、少なくとも約6歳、少なくとも約7歳、少なくとも約8歳、少なくとも約9歳、または少なくとも約10歳のときに、投与を開始することが可能である。
【0021】
一部の実施態様では、抗酸化物質を含んでなる本発明の一つの組成物を、投与全期間にわたって投与する。他の実施態様では、抗酸化剤を含んでなる異なる組成物を、異なる時点で動物に投与する。例えば、個々の抗酸化物質の選択および/または量は、所望の場合に、投与期間にわたって様々であることが可能である。
【0022】
一部の実施態様では、抗酸化物質を含んでなる本発明の組成物を、経口投与用に処方物化する。例として、このような組成物は、食品組成物、栄養補助食品、菓子または玩具であることが可能であって、一部の、しかしすべてではない栄養補助食品、菓子および玩具は、それ自体が食品組成物である。食品組成物は、食べさせることによって動物に投与される。動物が伴侶動物である場合、本発明の方法において有用な食品組成物は、典型的には、このような動物に食べさせるのに栄養的に適応しているものである。このように適応している食品組成物を、本明細書では「ペットフード」と称する。ペットフードは、より具体的には、イヌ科動物またはネコ科動物の特別な栄養的必要性に、あるいは、大型犬、成犬もしくは猫、老犬もしくは猫、老年犬もしくは猫等などのその特定の亜集団に対して適応していることが可能である。
【0023】
一実施態様において、抗酸化物質を含んでなる食品組成物は、実質的には栄養的に完全な動物用食餌を提供する。「栄養的に完全な食餌」とは、健康な動物の通常の健康の維持に十分な栄養素を食餌に含む食餌である。
【0024】
別の実施態様において、抗酸化物質を含んでなる食品組成物は、栄養補助食品、すなわち、食餌の栄養バランスまたは性能を全体として向上させるために、別の食品組成物とともに用いられる食品組成物である。このような栄養補助食品には、希釈せずに他の食品に対する栄養補助食品として食べさせられ、動物に対して別々に利用可能な動物の食料の他の部分を自由に選択できる、食品組成物、あるいは、実質的に栄養的に完全な食餌を作り出すために、動物の定型的な食品に希釈および混合して食べさせられる組成物が、含まれる。あるいは、栄養補助食品は、食品組成物以外の形状、例えば、例えば粉末、液体、シロップ、丸薬等を始めとする医薬品様剤形であることが可能である。
【0025】
さらに別の実施態様において、抗酸化物質を含んでなる食品組成物は、菓子である。菓子には、例えば、褒美として動物に与えられるか、または食事時間でないときに食べるよう動物の気を引くための組成物が、含まれる。少なくともいくらかの栄養価を有する食品組成物であるイヌ用菓子は、例えばイヌ用ビスケットである。あるいは、菓子は、実質的に非栄養的であることが可能である(その中の1またはそれより多くの抗酸化物質が栄養素であると考えられ得る限りを除く)。本明細書において有用な抗酸化物質を含んでなる組成物は、それ自体が菓子を形成するか、既存の菓子にコーティングされるか、またはその双方である。
【0026】
さらに別の実施態様において、抗酸化物質を含んでなる組成物は、動物による口での使用に適応している玩具である。玩具には、例えば、イヌ用人工骨などの、噛むことが可能な玩具が含まれる。本明細書において有用な組成物は、玩具の表面または玩具の構成部品の表面へのコーティングを形成するか、部分的もしくは完全に玩具全体に組み込まれるか、あるいはその双方であることが可能である。部分的に消費可能な玩具(例えば、プラスチックの構成部品を含んでなる玩具)および完全に消費可能な玩具(例えば、生皮および種々の人工骨)を始めとする、幅広い範囲の適切な玩具が、現在、市販されている。玩具は、ヒトおよび非ヒトへの使用のため、具体的には伴侶、農場および動物園動物への使用のために、そしてより具体的には、イヌ、ネコまたは鳥類への使用のために、利用可能である。
【0027】
一部の実施態様において、本明細書において有用な抗酸化物質を含んでなる組成物は、動物の典型的な食品摂取必要量を満たす食品組成物である。典型的な高齢犬および猫に対する食品摂取必要量を、表1に示す。
【表1】

【0028】
上記に論じるように、本明細書において有用な組成物は、1またはそれより多くの抗酸化物質(すなわち、直接的にフリーラジカルを消去するか、または間接的にフリーラジカルを消去させる材料)を含んでなる。フリーラジカルを消去または吸収する能を呈する多様な材料を、抗酸化物質を含んでなる本発明の組成物において用いることが可能である(例えば、果物、野菜、特定のビタミン類、およびその他の化合物)。高い酸素ラジカル吸収量を伴う生の原料としては、生ホウレンソウ搾汁かす、生トマト搾汁かす、生かんきつ類果肉、生ブドウ搾汁かす、生ニンジン顆粒、生ブロッコリー、生緑茶、生トウモロコシグルテンミールおよび生米ぬかが挙げられる。フリーラジカルを消去または吸収する能を呈する食品または食製品としては、ホウレンソウ(例えば、ホウレンソウ搾汁かす)、トマト(例えば、トマト搾汁かす)、かんきつ類果物(例えば、かんきつ類果肉)、ブドウ(例えば、ブドウ搾汁かす)、ニンジン(例えば、ニンジン顆粒)、ブロッコリー、トウモロコシグルテンミールおよび米ぬかが挙げられる。フリーラジカルを消去または吸収する能を呈する化合物としては、例えば、コエンザイムQ10(ユビキノン)、β−カロチン、アスタキサンチン(3,3'-ジヒドロキシ-4,4'-ジケト-β-カロチン)、グルタチオン、L−カルニチン、α−リポ酸、ルテイン、リコピン、N−アセチルシステイン、ポリフェノール類、S−アデノシルメチオニン、セレニウム、大豆イソフラボン類、タウリン、トコトリエノール類、ビタミンCおよびビタミンEが挙げられる。
【0029】
一部の実施態様において、本発明の実行に用いられる組成物は、ビタミンEを含んでなる。本明細書における「ビタミンE」の語は、動物による消費に適した任意の形態のビタミンEを意味し、これに限定されないが、例えばα−トコフェロール(5,7,8-トリメチルトコール)、β−トコフェロール(5,8-ジメチルトコール)、γ−トコフェロール(7,8-ジメチルトコール)、δ−トコフェロール(8-メチルトコール)、α−トコトリエノール(5,7,8-トリメチルトコトリエノール)、β−トコトリエノール(5,8-ジメチルトコトリエノール)、γ−トコトリエノール(7,8-ジメチルトコトリエノール)およびδ−トコトリエノール(8-メチルトコトリエノール)などの、任意のトコフェロールまたはトコトリエノール化合物、その任意の光学異性体またはラセミ体、ならびに、ビタミンE活性を有するこのような化合物の任意の混合物が含まれる。ビタミンEを、上記化合物の任意の一つまたは混合物として、あるいは、ビタミンEアセテート、スクシネート、パルミテート等を始めとする、動物による摂取後にビタミンE活性を呈する、エステル類などの種々のその誘導体の形で、投与することが可能である。典型的には、本方法において用いられるビタミンEは、α−トコフェロールまたはそのエステルを含んでなる。ビタミンE量は、本明細書では、DL−α−酢酸トコフェリル当量として表す。例として、組成物は、約100ppm〜約2000ppm、例えば、約150ppm〜約1500ppmまたは約500ppm〜約1000ppmのビタミンEを含んでなることが可能である。
【0030】
一部の実施態様において、本発明の実行に用いられる組成物は、ビタミンCを含んでなる。本明細書における「ビタミンC」の語は、動物による消費に適した任意の形態のビタミンCを意味し、これに限定されないが、アスコルビン酸、L−アスコルビン酸、ならびに、リン酸カルシウム塩、コレステリル塩およびアスコルベート-2-モノホスフェートなどの種々のその誘導体が含まれる。ビタミンCの塩としては、ナトリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩および第一鉄塩が挙げられる。エステルとしては、ステアレート、パルミテートおよび同様な誘導体が挙げられる。ビタミンCは、液体、半固体、固体などの任意の物理的形状であることが可能であり、あるいは、動物による摂取後にビタミンC活性を呈する熱安定型であることが可能である。ビタミンC量は、本明細書では、アスコルビン酸として表す。例として、組成物は、約25ppm〜約10000ppm、例えば、約50ppm〜約5000ppmまたは約75ppm〜約1000ppmのビタミンCを含んでなることが可能である。
【0031】
一部の実施態様において、本発明の実行に用いられる組成物は、α−リポ酸を含んでなる。例として、組成物は、約25ppm〜約600ppm、例えば、約50ppm〜約200ppmまたは約100ppm〜約200ppmのα−リポ酸を含んでなることが可能である。α−リポ酸は、米国特許第5,621,117に記載されるように、例えば酸もしくはリポエート誘導体として投与されることが可能である。
【0032】
一部の実施態様において、本発明の実行に用いられる組成物は、L−カルニチンを含んでなる。一般に、ネコに投与される組成物は、相当するイヌ用組成物よりもわずかに高いカルニチン量を含んでなる。例として、ネコに投与される組成物は、約100ppm〜約5000ppm、例えば、約200ppm〜約600ppmまたは約400〜約600ppmのL−カルニチンを含んでなることが可能である。例として、イヌに投与される組成物は、約50ppm〜約5000ppm、例えば、約100ppm〜約400ppmまたは約200ppm〜約400ppmのL−カルニチンを含んでなることが可能である。L−カルニチンは、L−カルニチンとして、あるいは、例えば塩(例えば、塩酸塩)、エステル(例えば、フマル酸エステルまたはコハク酸エステル)またはアセチル化L−カルニチンなどの誘導体として、投与されることが可能である。
【0033】
抗酸化物質を含んでなる組成物は、所望により、1もしくはそれより多くの、例えば約1ppm〜約15ppmの量のβ−カロチン;例えば約0.1ppm〜約5ppmの量のセレニウム;例えば約5ppm〜約15ppmの量のルテイン;例えば約25ppm〜約100ppmの量のコエンザイムQ10;例えば約50ppm〜約100ppmの量のS−アデノシルメチオニン;例えば約500ppm〜約1500ppmの量のタウリン;例えば約25ppm〜約200ppmの量の大豆イソフラボン類;例えば約50ppm〜約1600ppmの量のN−アセチルシステイン;例えば約50ppm〜約250ppmの量のグルタチオン;および/または、例えば約50ppm〜約120ppmの量のイチョウ葉エキスを含んでなることが可能である。
【0034】
一部の実施態様において、抗酸化物質を含んでなる組成物は、1より多くの上記に列挙の抗酸化物質を含んでなる。例えば、一実施態様において、このような組成物は、ビタミンE、ビタミンC、L−カルニチンおよびα−リポ酸を含んでなる。一例を挙げれば、この実施態様の組成物は、約50ppm〜約10000ppmのビタミンC、約100ppm〜約2000ppmのビタミンE、約25ppm〜約600ppmのα−リポ酸、および約100ppm〜約5000ppmのL−カルニチンを含んでなる。別の例を挙げれば、この実施態様の組成物は、約50ppm〜約100ppmのビタミンC、約500ppm〜約1000ppmのビタミンE、約100ppm〜約200ppmのα−リポ酸、および約200ppm〜約400ppmのL−カルニチンを含んでなる。
【0035】
別の実施態様においては、抗酸化物質を含んでなる組成物は、ビタミンE、ビタミンC、L−カルニチン、α−リポ酸、β−カロチンおよびタウリンを含んでなる。一例を挙げれば、この実施態様の組成物は、約50ppm〜約10000ppmのビタミンC、約100ppm〜約2000ppmのビタミンE、約25ppm〜約600ppmのα−リポ酸、約100ppm〜約5000ppmのL−カルニチン、約1ppm〜約25ppmのβ−カロチン、および約500ppm〜約8900ppmのタウリンを含んでなる。別の例を挙げれば、この実施態様の組成物は、約50ppm〜約100ppmのビタミンC、約500ppm〜約1000ppmのビタミンE、約100ppm〜約200ppmのα−リポ酸、約200ppm〜約400ppmのL−カルニチン、約5ppm〜約15ppmのβ−カロチン、および約1000ppm〜約8900ppmのタウリンを含んでなる。
【0036】
一部の実施態様において、食品組成物を、修飾して、低い酸素ラジカル吸収能を有する組成物の原料(例えば、トウモロコシ)の一部を、高い酸素ラジカル吸収能を有する原料に置き換える。例えば、食品組成物を、低い酸素ラジカル吸収能を有する原料の約1%〜約5%を、ホウレンソウ搾汁かす、トマト搾汁かす、かんきつ類果肉、ブドウ搾汁かす、ニンジン顆粒、ブロッコリー、緑茶、イチョウ葉およびトウモロコシグルテンミールに置き換えて、処方することが可能である。
【0037】
本明細書において有用な食品組成物を、例えば、慣用のペットフード製造方法を用いて、乾燥、缶詰、湿った、または中程度に湿性の状態にて製造することが可能である。
【0038】
食品組成物の製造に際して、1またはそれより多くの抗酸化物質を、組成物の他の構成成分の混合中および/または混合後などの加工中に、組成物中に取り込むことが可能である。1またはそれより多くの抗酸化物質の組成物中への分配を、慣用の手段により成し遂げることが可能である。
【0039】
缶詰または湿った食品組成物の製造に際しては、例として、挽いた動物および家禽のタンパク質組織を、魚油、穀物、その他の栄養的にバランスの取れた原料、特殊目的の添加物(例えば、ビタミンとミネラルの混合物、無機塩、セルロースおよびビート果肉、充填剤等);および加工するのに十分な量の水を始めとする、他の原料と混合する。これらの原料を、構成成分を混ぜ合わせながら、加熱に適した容器内で混合することが可能である。混合物の加熱は、例えば、直接的な蒸気注入、または熱交換器を取り付けた容器の使用によるなどの、任意の適切な方法により、影響を受けてもよい。最後の原料を添加後に、混合物を、約50°F〜約212°F、例えば約70°F〜約140°Fの温度範囲に加熱する。これらの範囲外の温度は、一般には許容可能であるが、しかし、他の加工助剤を使用するのでなければ商業的には実用的でない可能性がある。適切な温度に加熱するとき、材料は、典型的には、濃度の濃い液体の状態となるであろう。この濃度の濃い液体を、缶の中に充填する。蓋を載せ、そして入れ物を密閉する。次いで、密閉した缶を、内容物を滅菌するよう設計された慣用の機器内に入れる。これは、例えば用いられる温度および組成物に応じて決まる適切な時間、約230°Fを超える温度に加熱することによって、通常は成し遂げられる。
【0040】
あるいは、乾燥状態の食品組成物を、慣用の方法を用いて、乾燥状態にて製造することが可能である。典型的には、例えば動物性タンパク質、植物性タンパク質、穀類等を始めとする乾燥原料を、挽き、そして混ぜ合わせる。次いで、脂肪、油、動物性タンパク質、水等を始めとする湿性もしくは液体の原料を、乾燥混合物に加え、そして混合する。次いで、混合物を、キブルまたは類似の乾燥片に加工する。多くの場合、キブルを、乾燥原料と湿った原料との混合物を高圧かつ高温にて機械的作業にかけ、そして小孔を通して押し出し、そして回転刃によってキブルに切断する、押し出し法を用いて、形成する。次いで、湿ったキブルを、例えば香料、脂肪、油、粉末等を含んでもよい1またはそれより多くの局所コーティング剤によって、コーティングしてもよい。キブルを、押し出し法よりもむしろ、生地を型に入れた後に乾燥加熱加工するベーキング法を用いて、生地から作ることが可能である。
【0041】
菓子を、例えば、乾燥食品組成物に関して上述のものと類似した押し出し法またはベーキング法によって、製造することが可能である。また、他の方法を用いて、既存の菓子の形状の外側に抗酸化物質を含んでなる組成物をコーティングしても、あるいは、既存の菓子の形状の中に注入してもよい。
【0042】
本明細書において有用な玩具を、例として、既存の玩具を抗酸化物質を含んでなる組成物でコーティングすることによって、製造することが可能である。
【0043】
本発明の別の実施態様において、製品は、本明細書に記載のような、抗酸化物質を含んでなる組成物を含有するパッケージを含んでなる。缶、広口瓶、小袋、袋、箱入り袋等を非限定的に含む、組成物の性質に適した任意の形状のパッケージを、用いることが可能である。この実施態様の物品は、動物の寿命を増加させるための該組成物の高齢動物への投与に関する情報または指示を伝達するための手段を、さらに含んでなる。伝達手段は、パッケージに添付または同封される。任意の適切な形態の伝達手段を用いることが可能であって、これらは例えば、ラベル、パンフレット、広告または添付文書などの書類、ディスケットまたはCDなどのコンピューターで読み取り可能なデジタルもしくは光学媒体、例えば音声テープまたはCDなどの音声プレゼンテーション、あるいは、例えばビデオテープまたはDVDなどの視覚プレゼンテーションである。伝達手段は、さらに、ウェブサイト上などの他の場所に見つけられる情報を指すことが可能である。
【0044】
本発明のさらに別の実施態様において、キットは、抗酸化物質を含んでなる組成物を含有する上記のような第一のパッケージと、食品基剤を含有する第二のパッケージを、含んでなる。この実施態様のキットは、所望により混合を伴う、抗酸化物質を含んでなる組成物の食品基剤への添加に関する情報または指示を伝達するための手段を、さらに含んでなる。該伝達手段により、特定の状況に適するよう所与の量の食品基剤に加えられるべき、抗酸化物質を含んでなる組成物の量を、特定することが可能である。伝達手段はまた、動物の寿命を増加させるための、得られた抗酸化物質を強化された食品組成物の高齢動物への投与に関する情報または指示も、伝達する。伝達手段は、パッケージとともに、またはパッケージとは別に提供されることが可能であり、そして、ウェブサイト上の1またはそれより多くのページを含む上述のものなどの、任意の適切な形態を取ることが可能である。
【0045】
このような伝達手段は、例えば、ラベル、パンフレット、広告または添付文書などの書類、ディスケットまたはCDなどのコンピューターで読み取り可能なデジタルもしくは光学媒体、例えば音声テープまたはCDなどの音声プレゼンテーション、例えばビデオテープまたはDVDなどの視覚プレゼンテーション、ならびに/あるいは、ウェブサイト上の1またはそれより多くのページを含んでなり、それ自体が、本発明のなおさらなる実施態様である。
【0046】
本発明は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコールおよび試薬に限定されないが、これは、それらが様々であってもよいためである。さらに、本明細書において用いられる専門用語は、特定の実施態様を記載する目的のみのためであって、かつ、本発明の範囲を限定することを目的としない。本明細書および付随する特許請求の範囲では、単数形「a」「an」および「the」には、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形への言及が含まれる。同様に、「含んでなる(comprise)」、「含んでなる(comprises)」および「含んでなる(comprising)」の語は、排他的よりもむしろ包括的に解釈されるべきである。
【0047】
別段に定義されない限り、本明細書において用いられるすべての技術用語および科学用語ならびに任意の頭字語は、本発明の分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味である。任意の組成物、方法、製品、あるいは、本明細書に記載されるものと類似もしくは同等のその他の手段または材料を、本発明の実施に際して用いることは可能ではあるものの、好ましい組成物、方法、製品、またはその他の手段もしくは材料を、本明細書に記載する。
【0048】
すべての特許、特許出願、出版物、または本明細書において引用もしくは援用される他の参考文献は、法律が許す範囲で、参照によって本明細書に記載されているものとする。これらの参考文献の考察は、単に、該文献内にてなされる主張を要約することのみを目的とする。任意のこのような特許、特許出願、出版物およびその他の参考文献、あるいはその任意の一部分が、本発明に関連する先行技術であること、ならびに、このような特許、特許出願、出版物または参考文献の正確性および適切性を厳密に調べる権利が、特に留保されることは、認められない。
実施例
【0049】
本発明を、好ましい実施態様の以下の実施例により、さらに例示することが可能であるが、これらの実施例は、単に例示することを目的とし、かつ、別段に特に示さない限り、本発明の範囲を限定することを目的としないことが、理解されよう。
(実施例1)
【0050】
12例の老齢ビーグル犬(平均年齢10.03歳)の群は、上記の表1に記載されるものとほぼ同じ対照食品にて開始した(対照食品は、およそ100ppmのビタミンEも含有した)。12例の老齢ビーグル犬(平均年齢10.16歳)の第二の群は、対照食品に類似するが、しかしおよそ950ppmのビタミンE、およそ300ppmのL−カルニチン、およそ100ppmのα−リポ酸およびおよそ80ppmのビタミンCを含有する、食品Aにて開始した。加えて、対照食品のおよそ5%の量のトウモロコシを、食品Aでは、およそ1%のトマト搾汁かす、およそ1%のホウレンソウ、およそ1%のニンジン、およそ1%のかんきつ類果肉、およびおよそ1%のブドウ搾汁かすに置き換えた。すべてのイヌに、生涯の残りの期間にわたって、対照食品または食品Aを食べさせた。対照食品を食べさせられたイヌの死亡時平均年齢は、13.52歳であった。食品Aを食べさせられたイヌの死亡時平均年齢は、14.21歳であった。対照食品を食べさせられたイヌのうち5例は、13歳に達する前に死亡した。食品Aを食べさせられたイヌで、13歳より前に死亡した例はなかった。対照食品を食べさせられたイヌの平均生存期間は、3.49歳であった。食品Aを食べさせられたイヌの平均生存期間は、4.06歳であった。
【表2】

【0051】
本明細書では、典型的な好ましい本発明の実施態様が開示されており、そして、特定の語が使用されてはいるものの、それらは総称的かつ説明的な感覚で使用され、かつ限定を目的とせず、発明の範囲は、以下の特許請求の範囲において説明される。明らかに、本発明の多くの修飾およびバリエーションが、上記の教示の観点から可能である。したがって、付随する特許請求の範囲内で、本発明を具体的に記載される以外のように実行してもよいことが、理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の寿命を増加させるための方法であって、1またはそれより多くの抗酸化物質を、動物の寿命を増加させるのに十分な総抗酸化物質量にて含んでなる組成物を、動物が高齢のときに動物に投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項2】
動物が伴侶動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
動物が、イヌ科動物またはネコ科動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
このような組成物を、動物が少なくとも約7歳のときに投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
このような組成物を、動物が少なくとも約7歳のときから少なくとも約2年間、動物に投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
このような組成物を、動物が少なくとも約7歳のときから生涯の残りの期間にわたって動物に投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
組成物が、食品、栄養補助食品、菓子または玩具である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
各抗酸化物質が、独立して、ビタミンE、ビタミンC、L−カルニチンおよびα−リポ酸からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
各抗酸化物質が、独立して、トマト搾汁かす、グレープ搾汁かす、ホウレンソウ搾汁かす、かんきつ類果肉およびニンジン顆粒からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
組成物が、食品組成物であって、かつ動物に食べさせることにより投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
食品組成物が、伴侶動物に食べさせるのに栄養的に適応している、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
組成物が、約50ppm〜約10000ppmの量のビタミンCを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
組成物が、約50ppm〜約100ppmの量のビタミンCを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
組成物が、約100ppm〜約2000ppmの量のビタミンEを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
組成物が、約500ppm〜約1000ppmの量のビタミンEを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
組成物が、約25ppm〜約600ppmの量のα−リポ酸を含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
組成物が、約100ppm〜約200ppmの量のα−リポ酸を含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
組成物が、約100ppm〜約5000ppmの量のL−カルニチンを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
組成物が、約200ppm〜約400ppmの量のL−カルニチンを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
組成物が、
約50ppm〜約10000ppmのビタミンC;
約100ppm〜約2000ppmのビタミンE;
約25ppm〜約600ppmのα−リポ酸;および、
約100ppm〜約5000ppmのL−カルニチン;
を含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
組成物が、
約50ppm〜約100ppmのビタミンC;
約500ppm〜約1000ppmのビタミンE;
約100ppm〜約200ppmのα−リポ酸;および、
約200ppm〜約400ppmのL−カルニチン;
を含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
1またはそれより多くの抗酸化物質を、高齢動物に投与されるときに動物の寿命を増加させるのに十分な総抗酸化物質量にて含んでなる組成物を含有する、パッケージ;および、
動物の寿命を増加させるための該組成物の高齢動物への投与に関する情報または指示を、伝達するための手段(ここで、前記伝達手段は、パッケージに添付または同封されている);
を含んでなる製品。
【請求項23】
1またはそれより多くの抗酸化物質を、高齢動物に投与されるときに動物の寿命を増加させるのに十分な総抗酸化物質量にて含んでなる組成物を含有する、第一のパッケージ;
食品基剤を含有する、第二のパッケージ;ならびに、
(i)抗酸化物質を含んでなる組成物の食品基剤への添加、および、(ii)動物の寿命を増加させるための、得られた抗酸化物質が強化された組成物の高齢動物への投与、に関する情報または指示を、伝達するための手段;
を含んでなるキット。
【請求項24】
1またはそれより多くの抗酸化物質を、動物の寿命を増加させるのに十分な総抗酸化物質量にて含んでなる組成物を、高齢動物に投与することに関する情報または指示を伝達するための手段であって、該情報もしくは指示を含有する、ラベル、パンフレット、広告、添付文書、コンピューターで読み取り可能なデジタルもしくは光学媒体、音声プレゼンテーション、視覚プレゼンテーション、またはウェブサイト上の1もしくはそれより多くのページを含んでなる、前記手段。

【公表番号】特表2009−501527(P2009−501527A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521693(P2008−521693)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/027615
【国際公開番号】WO2007/009111
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】