説明

動物忌避方法と動物忌避装置

【課題】 LED光を動物に確実に感知させて、動物を退避させ、物品が食べられたり、荒らされたりしないようにする。
【解決手段】 発光色の異なる二以上のLEDを点滅発光させ、当該LEDからの点滅光を、動物から護りたい物品の近くであって動物の通路に照射するか、或いは反射体で反射させて前記通路に照射させて、前記物品に近づく動物が前記点滅光を忌避するようにした。点滅光を、動物が嫌う系統の色にした。二以上のLEDを発光色の異なるものにし、それら二以上のLEDを適宜の時間間隔で交互に点滅させる。LEDを筐体の底面に対して斜め下向きに設けて、LEDからの出射光が筐体から斜め下向きに出射されて通路に照射されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ネズミ、イタチ、モグラといった動物、カラスをはじめとする各種鳥類等(以下これらをまとめて「動物」という。)が忌避する(避けて逃げる、退避する)動物忌避方法とそれに使用される動物忌避装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動物が工場、食糧庫、納屋、室内などに侵入して、それらの内部の食糧や衣類(物品)をかじったり、食べたり、室内の電線や設備を荒すことがあった。これらの問題を解決すべく、従来は、LED光を使用して動物が忌避する(動物が物品に近づかないようにする)小動物忌避装置(特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−81441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の小動物忌避装置は、着色光を嫌う動物の習性を利用したものである。この小動物忌避装置は、LEDから出射される光が動物の通路の上方を照射するようにしてある。LED光は直進性があるため、LED光が床面の上方を照射すると、LED光が動物に感知されず、動物が忌避しないという難点があった。
【0005】
本願発明の解決課題は、LED光が動物に確実に感知されて、動物が工場、食糧庫、室内等の食品や衣類等(動物から護りたい物品)を忌避して、それら物品が食べられたり、荒らされたりしないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の動物忌避方法は、LEDからの出射光を動物が忌避して物品が動物の被害に合わないようにした(動物から護るようにした)動物忌避方法において、発光色の異なる二以上のLEDを点滅発光させ、当該LEDからの点滅光を、動物から護りたい物品の近くであって動物の通路に照射するか、或いは反射体で反射させてから前記通路に照射させて、前記物品に近づく動物が前記点滅光を感知して動物が忌避するようにした方法である。
【0007】
前記動物忌避方法では、点滅光を動物が忌み嫌う赤色系、緑色系、青色系にすると忌避効果が向上する。発光色の異なる二以上のLEDは、適宜の時間間隔で交互に点滅させるのが忌避効果向上のために有効である。例えば、赤色系を数秒間点滅させた後に、緑色系を数秒間点滅させ、これら点滅を繰返すのが好ましい。
【0008】
本願発明の動物忌避装置は、LEDからの出射光を動物が忌避して、物品を動物の被害から護る動物忌避装置において、筐体と、その筐体内に収容された二以上のLEDを備え、前記二以上のLEDは異なる色の光を点滅発光できるものであり、LEDからの点滅光を動物から護りたい物品の近くであって動物の通路に照射するか、或いは反射物で反射させてから前記通路に照射できるようにしたものである。前記二以上のLEDは動物が嫌う赤色系や緑色系の光を発光できるものにすると忌避効果が向上する。
【0009】
本願発明の動物忌避装置は、LEDを筐体の底面に対して斜め下向きに設けて、LEDからの出射光が筐体から斜め下向きに出射されるようにすると、筐体の底面を前記通路に設置するだけで点滅光が通路に確実に照射される。
【発明の効果】
【0010】
本願発明の動物忌避方法は、次のような効果がある。
(1)LEDからの点滅光を、動物から護りたい物品の近くであって動物の通路に照射させるので、動物が点滅光を感知して物品に近づかず、動物により物品や設備等が荒らされることがない。
(2)通路に照射される光が、通路で反射されて空中に広がるので、動物がその光を感知し易くなり、動物が物品に近づかない。
(3)動物が嫌う色の光を照射するので忌避が確実になる。
(4)発光色の異なる二以上のLEDを点滅させるので、動物が点滅光に慣れにくく、長期間使用しても忌避効果が持続される。
(5)色の異なる二以上の点滅光を、所望間隔で交互に発光させるので、動物が発光タイミングにも慣れにくく、長期間使用しても忌避効果が持続する。
【0011】
本願発明の動物忌避装置は、次のような効果がある。
(1)動物から保護したい物品の近くに設置して、筐体内に収容された二以上のLEDから色の異なる点滅光を発光させれば、動物がその光を忌避して物品や施設から退避するので、物品が荒らされるのを防止することができる。
(2)LEDを筐体内に斜め下向きに設けたので、筐体を動物の通路に設置するだけで、そのLEDから発光される点滅光を、物品の近くの動物の通路に照射することができ、取り扱いが容易である。
(3)二以上のLEDが、動物が嫌う赤色系や緑色系の光を発光できるものであるため、動物の忌避が確実になり、忌避効果が向上する。
(4)LEDを所望間隔で点滅動作させれば、動物が発光タイミングにも慣れにくくなり、忌避の効果が長期間持続する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本願発明の動物忌避装置の一例を示すものであって、(a)は蓋を外した状態を示す斜視図、(b)は蓋で筐体の上面開口部を閉塞した状態の断面図。
【図2】(a)は本願発明の動物忌避装置の筐体を前下がり傾斜台に設置した場合の斜視図、(b)はその断面図。
【図3】本願発明の動物忌避装置の概要を示すブロック図。
【図4】(a)〜(d)は、LEDを二つ用いる場合の両LEDの点滅の点滅及び交互切り替えのタイミングを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(動物忌避方法の実施形態)
本願発明の動物忌避方法の実施形態の一例について説明する。この実施形態の動物忌避方法は、発光色が異なる(例えば、緑色系と赤色系)二つのLED1を交互に点滅発光させ、その点滅光2を動物から護りたい物品3の近くであって、動物の通路4に直に照射するか、或いは壁とか他の物体(反射体)で反射させた反射光(間接光)を前記通路4に照射させて、前記点滅光2が物品3に近づく動物に感知され易くして、その点滅光2を動物が忌避するようにした方法である。
【0014】
前記二つのLED1からの点滅光は、忌避効果を高める上では、動物が忌み嫌う色、例えば、赤色系、緑色系、青色系といった色にし、二つのLED1を図4(a)(b)のように適宜の時間間隔で交互に点滅させ、その交互点滅を繰り返えさせるとか、図4(c)(d)のように一方のLED1が数回点滅してから、他方のLED1が数回点滅し、その点滅が繰り返えされるようにするとか、他の点滅方式とすることもできる。点灯時間も消灯時間も任意に設定可能であり、点灯時間と消灯時間は同じでも異なっても良い。LED1は発光色の異なるものを三以上使用し、それら三つのLED1が交互に点滅するようにしても同時に点滅するようにしてもよい。例えば、夫々のLED1の1回の点灯時間を17msec、点滅間隔を1.6secとすると、動物(ネズミ)がその光を忌避した。この発光時間と点滅間隔は一例であり、前記数値よりも長くすることも、短くすることもできる。
【0015】
LED1は緑色系のLED1と赤色系のLED1を交互に発光させるのが好ましいが、緑色系のLED1と赤色系のLED1が不規則な順番で発光するようにすることもできる。LED1からの出射光は通路4に対して斜め下向き(例えば、10°程度)に照射させると、その光が通路4から斜め先方上方(空中)に反射するとともに横に広がって、通路4を通る動物が感知し易くなる。
【0016】
(動物忌避装置の実施形態)
本願発明の動物忌避装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。この実施形態の動物忌避装置は、図1(a)、(b)に示すように、上面開口の筐体5内の両側面から内側に突設された受け具13の上に、LED1が実装された基板7を設置して、LED1から出射される点滅光が、動物が通る通路4に下向きに照射されて、通路4により、その斜め先方上方(空中)に反射されるようにしてある。LED1は三個以上とすることもできる。LED1は緑色系、赤色系、青色系といった各種発光色のものを使用できるが、それらの色は動物の嫌いな色が好ましい。
【0017】
筐体5はプラスチック製の箱型であり、その上方開口部8がプラスチック製の薄板状の蓋9で閉塞されるようにしてある。筐体5の前面には二つの貫通孔10が設けられ、夫々の貫通孔10から外にLED1の先端部が突出するようにしてある。先端部は必ずしも貫通孔10から突出する必要は無く、貫通孔10に臨ませて、点滅光が貫通孔10から出射できるようにすることもできる。
【0018】
前記基板7は既存のリジッド基板であり、マイコン(IC)、抵抗、コンデンサ、電源スイッチ、バッテリー(例えば、リチウム電池)などの各種電子部品が実装され、配線されて、LED1の点灯に必要な電源回路や、LED1の点滅制御に必要な制御回路等が設けられている。電源スイッチSWはLED1の点滅動作をON、OFFさせるものである。電源スイッチSWは筐体5の外部から操作できるようにすることができる。例えば、筐体5の任意の側面に開口部を形成し、その開口部に電源スイッチSWを嵌め込んで外部から電源スイッチSWを操作できるようにしてもよい。場合によっては、遠隔操作できるようにリモコン式とすることもできる。前記電池には、例えば、電圧3V、電流1000mA程度のものが適する。
【0019】
基板7は図2に示すように筐体5内に勾配をつけることなく、筐体5の底面12と水平に収容し、その底面12を前下がり傾斜の受け具13の上に載せて、LED1から出射される点滅光が、その受け具13の傾斜角度(約10°程度)で、出射されるようにすることもできる。受け具13の傾斜角度はこの数値に限定されない。
【0020】
本願発明の動物忌避装置は、筐体5を人や動物の形をしたぬいぐるみ内に収容して使用することもできる。この場合、人や動物の目の部分にLED1を設けて、人や動物の目が光っているようにすることもできる。
【0021】
(作用)
本願発明の動物忌避装置は、保護したい物品3の近くであって動物が通る通路4の上に筐体5を設置して、電源スイッチSWをONにすると電源回路及び点滅制御回路が起動して、二つのLED1が点滅を開始する。夫々のLED1の点灯時間、点滅の切り替えタイミング等は予め設定してある条件で自動的に行われる。LED1から出射する点滅光は、通路4に約10°程度(この数値に限定されない)の前下がり角度で照射され、通路4で斜め前方上方に反射されると共に周囲に広がり、前記物品3に近づいた動物が、前記通路4上の点滅光や反射された点滅光を感知し易くなり、その光を忌避してその場所から退避し、物品に寄り付かなくなる。
【符号の説明】
【0022】
1 LED
2 点滅光
3 物品
4 動物の通路
5 筐体
7 基板
8 上方開口部
9 蓋
10 貫通孔
12 筐体の底面
13 受け具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDからの出射光を動物が忌避して、物品を動物の被害から守るようにした動物忌避方法において、発光色の異なる二以上のLEDを点滅発光させ、当該LEDからの点滅光を、動物から護りたい物品の近くであって動物の通路に照射するか、或いは反射体で反射させてから前記通路に照射させて、前記物品に近づく動物が前記点滅光を感知して忌避するようにしたことを特徴とする動物忌避方法。
【請求項2】
請求項1記載の動物忌避方法において、LEDから発光される点滅光を、動物が忌み嫌う系統の色とすることを特徴とする動物忌避方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の動物忌避方法において、二以上のLEDから発光される点滅光を色の異なる光にし、その二以上の点滅光を適宜の時間間隔で交互に点滅させることを特徴とする動物忌避方法。
【請求項4】
LEDからの出射光を動物が忌避して、物品を動物の被害から守る動物忌避装置において、筐体と、その筐体内に収容された二以上のLEDを備え、前記二以上のLEDは異なる色の光を点滅発光できるものであり、LEDからの点滅光を動物から護りたい物品の近くであって動物の通路に照射するか、或いは反射物で反射させてから前記通路に照射させるようにしたことを特徴とする動物忌避装置。
【請求項5】
請求項4記載の動物忌避装置において、二以上のLEDが、動物が嫌う系統の色の光を発光できるものであることを特徴とする動物忌避装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の動物忌避装置において、LEDを筐体の底面に対して斜め下向きに設けて、LEDからの出射光が筐体から斜め下向きに出射されて、通路に照射されるようにしたことを特徴とする動物忌避装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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