説明

動物検査情報提供システム、中央装置、動物検査情報提供方法及びコンピュータプログラム

【課題】検査データの少ない動物種である場合であっても、動物の処置方法を決定するために使用される基準値の信頼性を高めることができ、医師が勘と経験に頼らずに診断することを支援する情報を提供する動物検査情報提供システム、中央装置、動物検査情報提供方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】検査端末装置は、動物の検体の属性情報を受け付け、検体を測定して物性値情報を取得し、属性情報と対応付けて中央装置へ送信する。中央装置は、複数の検査端末装置から属性情報と対応付けられた物性値情報を受信し、受信した物性値情報及び属性情報を記憶する。記憶された複数の物性値情報に基づいて、動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を属性情報ごとに算出し、準値情報を含む結果判断に関する情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の検査において、動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を提供することができる動物検査情報提供システム、中央装置、動物検査情報提供方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
動物病院等の動物を対象とする医療機関では、人を対象とする医療機関と同様に、各種の臨床検査を行う。動物を対象とする一部の医療機関では、動物専用の臨床検査システムを導入しているが、動物の場合、試料の成分、例えば赤血球の大きさ、濃度等が動物種によって大きく異なるため、動物種に合わせて分析条件、例えば解析プログラムの種類、測定感度、反応時間、測定試薬等を変更することが必要であった。
【0003】
そこで例えば、動物種ごとに分析条件を変えて設定することは作業者にとって煩雑であることから、特許文献1では、検査の対象となる動物種(犬、猫、猿等)を選択し、選択された動物種に応じた分析条件で検査データを分析することにより、煩雑な操作を行うことなく動物種ごとに最適な分析条件で検査することができるようになっている。
【0004】
また、例えば特許文献2では、動物種に応じて容易に測定モードを変更することができ、測定モード別に対応している分析条件を変更して、動物種ごとに最適な分析条件で分析結果を出力することができる分析システムが開示されている。
【特許文献1】特開2000−310642号公報
【特許文献2】特開2005−037162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動物病院等の動物を対象とする医療機関においても、人を対象とする医療機関と同様に、分析装置で検体を分析し、得られた分析結果を、健康であるため処置の必要なし、再検査を要する、投薬の必要がある、手術の必要がある等の処置方法を決定するために使用される基準値と比較することによって処置方法を決定することが行なわれている。しかし、動物を対象とする臨床検査では、人を対象とする場合に比べて検査データの絶対数が少なく、また動物種、あるいは同一の動物種であっても品種、性別、年齢等の属性情報によって試料の成分のばらつきが大きい。したがって、処置方法を決定するために使用される基準値について客観的根拠を見出すことが困難であり、臨床検査に立ち会う医師の勘と経験とに頼って処置方法を決定せざるを得ないという問題点があった。
【0006】
また、動物病院であまり扱わない希少動物については、基準値が信頼できるものであるか否かを判断することはより困難であった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、検査データの少ない動物種である場合であっても、動物の処置方法を決定するために使用される基準値の信頼性を高めることができ、医師が勘と経験に頼らずに診断することを支援する情報を提供する動物検査情報提供システム、中央装置、動物検査情報提供方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る動物検査情報提供システムは、動物の検体を検査する複数の検査端末装置と、検査結果に関する情報を収集して演算する中央装置とがデータ通信することが可能に接続された動物検査情報提供システムであって、前記検査端末装置は、前記検体の属性情報を受け付ける属性情報受付手段と、検体を測定して物性値情報を取得する物性値情報取得手段と、該物性値情報取得手段で取得した前記物性値情報を前記属性情報と対応付けて前記中央装置へ送信する物性値情報送信手段とを備え、前記中央装置は、複数の前記検査端末装置から前記属性情報と対応付けられた前記物性値情報を受信する物性値情報受信手段と、該物性値情報受信手段で受信した前記物性値情報及び前記属性情報を記憶する物性値情報記憶手段と、該物性値情報記憶手段で記憶された複数の前記物性値情報に基づいて、動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を前記属性情報ごとに算出する基準値情報算出手段と、前記基準値情報を含む結果判断に関する情報を送信する判断情報送信手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2発明に係る動物検査情報提供システムは、第1発明において、前記属性情報は、動物種に関する情報、動物の品種に関する情報、動物の年齢に関する情報、動物の性別に関する情報、疾患の種類に関する情報のうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする。
【0010】
また、第3発明に係る動物検査情報提供システムは、第1又は第2発明において、前記検査端末装置は、測定された物性値情報を補正する補正情報を受け付ける補正情報受付手段と、受け付けた補正情報に基づいて物性値情報を補正する物性値情報補正手段とをさらに備え、前記物性値情報送信手段にて送信される前記物性値情報は、前記補正情報により補正された物性値情報であり、前記物性値情報送信手段は、補正された物性値情報を前記補正情報及び前記属性情報と対応付けて前記中央装置へ送信し、前記物性値情報受信手段は、前記属性情報と対応付けられた前記補正情報及び補正された物性値情報を受信し、前記中央装置は、前記補正情報に基づいて、前記物性値情報受信手段にて受信した物性値情報から補正前の原物性値情報を算出する原物性値情報算出手段をさらに備え、前記基準値情報算出手段は、算出された前記原物性値情報に基づいて前記基準値情報を算出することを特徴とする。
【0011】
また、第4発明に係る動物検査情報提供システムは、第3発明において、前記中央装置は、前記補正情報に基づいて前記基準値情報を補正する基準値情報補正手段をさらに備え、前記判断情報送信手段にて送信される前記基準値情報は、前記基準値情報補正手段で補正された基準値情報であることを特徴とする。
【0012】
また、第5発明に係る動物検査情報提供システムは、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記検査端末装置は、検体の検査結果に関する情報を表示する表示手段と、前記基準値情報を受信する基準値情報受信手段とを備え、前記表示手段は、受信した前記基準値情報、前記物性値情報及び前記属性情報に基づいて、検査結果に関する情報をグラフィカルに表示するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
また、第6発明に係る動物検査情報提供システムは、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記中央装置は、前記基準値情報に基づく疾患判断条件情報と、想定される疾患を示す疾患情報とを対応付けて記憶する疾患情報記憶手段と、受信した前記物性値情報に基づいて、前記疾患判断条件情報に合致するか否かを判断する疾患情報判断手段と、該疾患情報判断手段で合致すると判断された場合、合致した疾患判断条件情報に対応する疾患情報を抽出する疾患情報抽出手段と、該疾患情報抽出手段で抽出された疾患情報を送信する疾患情報送信手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、第7発明に係る動物検査情報提供システムは、第1乃至第6発明のいずれか1つにおいて、前記中央装置は、前記基準値情報に基づく処置判断条件情報と、処置方法を示す処置情報とを対応付けて記憶する処置情報記憶手段と、受信した前記物性値情報に基づいて、前記処置判断条件情報に合致するか否かを判断する処置情報判断手段と、該処置情報判断手段で合致すると判断された場合、合致した処置判断条件情報に対応する処置情報を抽出する処置情報抽出手段と、該処置情報抽出手段で抽出された処置情報を送信する処置情報送信手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
次に上記目的を達成するために第8発明に係る中央装置は、動物の検体を検査する複数の検査端末装置とデータ通信することが可能に接続されており、検査結果に関する情報を収集して演算する中央装置であって、複数の前記検査端末装置から、属性情報と対応付けられた、検体を測定して取得された物性値情報を受信する物性値情報受信手段と、該物性値情報受信手段で受信した前記物性値情報及び前記属性情報を記憶する物性値情報記憶手段と、該物性値情報記憶手段で記憶された複数の前記物性値情報に基づいて、動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を前記属性情報ごとに算出する基準値情報算出手段と、前記基準値情報を含む結果判断に関する情報を送信する判断情報送信手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
次に上記目的を達成するために第9発明に係る動物検査情報提供方法は、動物の検体を検査する複数の検査端末装置と、検査結果に関する情報を収集して演算する中央装置とがデータ通信することが可能に接続されており、動物の検体を検査した検査結果を集約して検査結果の判断に必要となる情報を提供する動物検査情報提供方法であって、前記検査端末装置は、前記検体の属性情報を受け付け、検体を測定して物性値情報を取得し、取得した前記物性値情報を前記属性情報と対応付けて前記中央装置へ送信し、前記中央装置は、複数の前記検査端末装置から前記属性情報と対応付けられた前記物性値情報を受信し、受信した前記物性値情報及び前記属性情報を記憶し、記憶された複数の前記物性値情報に基づいて、動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を前記属性情報ごとに算出し、基準値情報を含む結果判断に関する情報を送信することを特徴とする。
【0017】
次に上記目的を達成するために第10発明に係るコンピュータプログラムは、動物の検体を検査する複数の検査端末装置とデータ通信することが可能に接続されており、検査結果に関する情報を収集して演算する中央装置で実行することが可能なコンピュータプログラムであって、前記中央装置を、複数の前記検査端末装置から、属性情報と対応付けられた、検体を測定して取得された物性値情報を受信する物性値情報受信手段、該物性値情報受信手段で受信した前記物性値情報及び前記属性情報を記憶する物性値情報記憶手段、該物性値情報記憶手段で記憶された複数の前記物性値情報に基づいて、動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を前記属性情報ごとに算出する基準値情報算出手段、及び前記基準値情報を含む結果判断に関する情報を送信する判断情報送信手段として機能させることを特徴とする。
【0018】
第1発明、第8発明、第9発明及び第10発明では、動物の検体を検査する複数の検査端末装置と、検査結果に関する情報を収集して演算する中央装置とがデータ通信することが可能に接続されている。検査端末装置は、検体の属性情報を受け付け、検体を測定して物性値情報を取得し、取得した物性値情報を属性情報と対応付けて中央装置へ送信する。中央装置は、複数の検査端末装置から属性情報と対応付けられた物性値情報を受信し、受信した物性値情報及び属性情報を記憶する。記憶された複数の物性値情報に基づいて、動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を属性情報ごとに算出し、基準値情報を含む結果判断に関する情報を送信する。複数の検査端末装置から物性値情報を集約することにより、一つ一つの検査端末装置では絶対数が足りない属性情報を有する動物の物性値情報を一定量集めることができ、集められた物性値情報に基づいて動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を算出することにより、より多くの物性値情報に基づいた基準値情報を算出することができる。したがって、一の動物病院では十分な検査データを保有していない属性情報、あるいは未知の属性情報を有する動物であっても、医師が勘と経験とに頼ることなく、より客観的な基準値情報に基づいて処置方法を決定することが可能となる。
【0019】
ここで、「属性情報」とは、広く動物の種類を特定するための属性に関する情報を意味しており、後述する動物種、品種、年齢、性別、疾患の種類に限定されるものではない。「物性値情報」とは、検体について物理的・化学的手段により測定することが可能な物性値に関する情報を意味しており、測定値そのものだけでなく、測定値の分布に関する情報等も含む広い概念である。「基準値情報」とは、測定された物性値情報に基づいて動物の処置方法を決定するために使用される境界値情報及び平均値情報等を意味しており、所定の範囲を特定するための最大値及び最小値を含む広い概念である。
【0020】
第2発明では、属性情報は、動物種に関する情報、動物の品種に関する情報、動物の年齢に関する情報、動物の性別に関する情報、疾患の種類に関する情報のうち、少なくともいずれか1つを含む。動物は人とは異なり、動物種の違いのみならず、その中での品種の違いや、年齢の違い、性別の違いによっても、また罹患していると考えられる疾患の種類によっても、測定される物性値情報が大きく相違する場合が多い。したがって、少なくともこれらのうち1つを属性情報として分類することにより、測定された物性値情報に基づいて動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報をより正確に特定することが可能となる。なお、「動物種」とは、例えばイヌ、ネコ等の動物の種類を意味しており、「品種」とは、イヌの中でのブルドッグ、チワワ、コリー等の種類を意味している。
【0021】
第3発明では、測定された物性値情報を補正する補正情報も、補正された物性値情報及び属性情報とともに受信し、補正情報に基づいて、受信した物性値情報から補正前の原物性値情報を算出して、算出された原物性値情報に基づいて基準値情報を算出する。これにより、検査端末装置ごとに異なる値で設定されている補正情報による数値のばらつきを是正することができ、より精度の高い基準値情報を算出することが可能となる。
【0022】
第4発明では、補正情報に基づいて基準値情報を補正し、補正された基準値情報を送信する。これにより、中央装置側で各検査端末装置の補正情報に合わせた補正を行った基準値情報を算出することができ、各検査端末装置は、設定されている補正情報を変更することなく、通常の使用方法で測定した物性値情報を用いて動物の処置方法を決定することが可能となる。
【0023】
第5発明では、検査端末装置は、基準値情報を受信して、受信した基準値情報、物性値情報、属性情報に基づいて、検査結果をグラフィカルに表示する。このようにすることで、属性情報ごとに、基準値情報に基づく正常範囲内に、実際に測定された物性値情報が含まれているか否かを視覚的に確認することができ、医師の診断を支援することが容易となる。
【0024】
第6発明では、基準値情報に基づく疾患判断条件情報と、想定される疾患を示す疾患情報とを対応付けて記憶しておく。受信した物性値情報に基づいて、疾患判断条件情報に合致するか否かを判断して、合致すると判断された場合、合致した疾患判断条件情報に対応する疾患情報を抽出して、抽出された疾患情報を送信する。これにより、中央装置にて受信した物性値情報の基準値情報との相対関係に基づいて、想定される疾患に関する疾患情報を検査端末装置で取得することが可能となる。ここで、「疾患判断条件情報」とは、物性値情報と基準値情報との相対的な関係を示す情報等、受信した物性値情報が基準値情報に対して大きい、小さい等の条件に関する情報を集約した情報を意味する概念である。
【0025】
第7発明では、基準値情報に基づく処置判断条件情報と、処置方法を示す処置情報とを対応付けて記憶しておく。受信した物性値情報に基づいて、処置判断条件情報に合致するか否かを判断して、合致すると判断された場合、合致した処置判断条件情報に対応する処置情報を抽出して、抽出された処置情報を送信する。これにより、疾患情報だけではなく、次にどのような検査をすべきか、どのような治療をすべきか、どのような点に注意して飼育すれば良いか、等の処置方法に関する処置情報を検査端末装置で取得することができ、医師の診断を支援することが可能となる。なお、「処置方法に関する処置情報」は、上述の情報に限定されるものではなく、あらゆる処置方法に関する情報を含む広い概念である。また、「処置判断条件情報」とは、物性値情報と基準値情報との相対的な関係を示す情報等、受信した物性値情報が基準値情報に対して大きい、小さい等の条件に関する情報を集約した情報を意味する概念である。
【0026】
なお、後述する実施の形態では、属性情報受付手段は、CPU21のステップS501の処理が、物性値情報取得手段は、CPU21のステップS503の処理が、物性値情報送信手段は、CPU21のステップS504の処理が、それぞれ該当する。また、物性値情報受信手段は、CPU31のステップS601の処理が、物性値情報記憶手段は、CPU31のステップS602の処理が、基準値情報算出手段は、CPU31のステップS604の処理が、判断情報送信手段は、CPU31のステップS605の処理が、それぞれ該当する。
【0027】
さらに、補正情報受付手段は、CPU21のステップS1201の処理が、物性値情報補正手段は、CPU21のステップS1205の処理が、それぞれ該当する。また、原物性値情報算出手段は、CPU31のステップS1304の処理が、基準値情報補正手段は、CPU31のステップS1305の処理が、それぞれ該当する。
【0028】
加えて、表示手段は、CPU21のステップS508の処理が、基準値情報受信手段は、CPU21のステップS507の処理が、それぞれ該当する。また、物性値情報判断手段は、CPU31のステップS1706、S1806の処理が、疾患情報判断手段は、CPU31のステップS1711の処理が、疾患情報抽出手段は、CPU31のステップS1712の処理が、疾患情報送信手段は、CPU31のステップS1713の処理が、それぞれ該当する。処置情報判断手段は、CPU31のステップS1811の処理が、処置情報抽出手段は、CPU31のステップS1812の処理が、処置情報送信手段は、CPU31のステップS1813の処理が、それぞれ該当する。疾患情報記憶手段は、記憶装置34の疾患情報記憶部342に、処置情報記憶手段は記憶装置34の処置情報記憶部343に、それぞれ相当する。
【発明の効果】
【0029】
上記構成によれば、複数の検査端末装置から物性値情報を集約することにより、一つ一つの検査端末装置では絶対数が足りない属性情報を有する動物の物性値情報を一定量集めることができ、集められた物性値情報に基づいて動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を算出することにより、より多くの物性値情報に基づいた基準値情報を算出することができる。したがって、一の動物病院では十分な検査データを保有していない属性情報、あるいは未知の属性情報を有する動物であっても、医師が勘と経験とに頼ることなく、より客観的な基準値情報に基づいて動物の処置方法を決定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本実施の形態では、複数の検査端末装置として動物の血液を分析する動物用血液分析装置を一例とし、図面に基づいて具体的に説明する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る動物検査情報提供システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る動物検査情報提供システムは、インターネットに代表されるネットワーク網1を介して、中央装置3と複数の検査端末装置2、2、・・・とがデータを送受信することが可能に接続されている。
【0032】
中央装置3は、少なくとも、CPU(中央演算装置)31、ROM32、RAM33、記憶装置34、入力装置35、表示装置36、補助記憶装置37、通信装置38及び上述したハードウェアを接続する内部バス39で構成されている。CPU31は、内部バス39を介して中央装置3の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置34に記憶されているコンピュータプログラム100に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM33は、SRAM、フラッシュメモリ等で構成され、コンピュータプログラム100の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム100の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。もちろん、コンピュータプログラム100は、事前にROM32に記憶されていても良い。
【0033】
記憶装置34は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)等で構成されている。記憶装置34に記憶されているコンピュータプログラム100は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体90から、補助記憶装置37によりダウンロードされ、実行時には記憶装置34からRAM33へ展開して実行される。もちろん、通信装置38を介して外部コンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0034】
また記憶装置34は、物性値情報記憶部341を備えている。物性値情報記憶部341は、複数の検査端末装置2、2、・・・にてユーザが測定した種々の物性値に関する情報を集約して、属性情報と対応付けて記憶する。
【0035】
通信装置38は内部バス39に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網1に接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。すなわち、上述した記憶装置34は、中央装置3に内蔵される構成に限定されるものではなく、通信装置38を介して接続されている外部のストレージ等の外部記録媒体であっても良い。
【0036】
入力装置35は、キーボード及びマウス等のデータ入力媒体である。表示装置36は、CRTモニタ、LCD等の表示装置である。
【0037】
本実施の形態1では、検査端末装置2として動物用の血液検査装置を例に挙げて説明する。検査端末装置2は、分析装置(例えば血球計数装置)と演算表示装置とで構成されている。図2は、本発明の実施の形態1に係る動物検査情報提供システムで用いる検査端末装置2の分析装置2aの構成を模式的に示す斜視図である。図2に示すように、分析装置2aのハウジング20には、ディスプレイ19、制御基板部9、電源部10、プリンタ部11、及び測定部12が収容されている。ディスプレイ19は、タッチパネル式ディスプレイであり、情報を表示し、しかも使用者からの入力を受け付けることができる。
【0038】
測定部12は、検体セット部6、検体処理部7、及び流体制御部8で構成されている。検体セット部6は、上面が開口しており、上面から検体容器(血液を収容した容器)をセットすることができる。検体セットパネル4は、検体セット部6に取り付けられており、ハウジング20の外側に位置している。
【0039】
押しボタン5は、ハウジング20の外側に備えてあり、検体セットパネル4と係合することにより、検体セット部6を位置決めしている。押しボタン5が使用者により押された場合、押しボタン5による係合が解除され、検体セット部6が検体セットパネル4と一体となって軸Rを中心にA方向に45度回転する。これにより、使用者は、検体セット部6の上面から検体容器(血液を収容した容器)をセットすることができる。
【0040】
検体容器をセットした使用者は、検体セットパネル4を押して45度回転させることにより、検体セット部6を図2に示す位置に戻すことができる。同様に、検体容器を検体セット部6から取出す時は、使用者は、押しボタン5を押すことによって、検体セット部6を45度回転させて検体容器を取出すことができる。
【0041】
検体処理部7は、吸引機構16、検出部17、及びミックスチャンバ18で構成されている。吸引機構16は、検体セット部6にセットされた検体容器から、検体を吸引して検出部17、及びミックスチャンバ18へ注入するための機構であり、吸引管、モータ等のアクチュエータを備えている。
【0042】
検出部17は、例えば電気抵抗式の検出部であり、検体中の血球に基づいて電気信号を検出する。検出部17としては、例えば、米国特許出願公開第2002/0034824号明細書に記載の検出部を使用することもできる。検出部17にて検出される物性値は、WBC(白血球数)、RBC(赤血球数)、HCT(ヘマトクリット値)等であり、制御基板部9へ出力信号として出力される。
【0043】
ミックスチャンバ18は、検体と試薬とを混合するための上部が開口している容器である。流体制御部8には、試薬を収容した試薬容器13がチューブ15を介して接続されている。流体制御部8は、試薬を移送するポンプ、該ポンプを駆動するモータ等のアクチュエータが備えられており、検体、試薬等を検出部17及びミックスチャンバ18へ注入し、逆に排出することができる。
【0044】
制御基板部9は、各部の動作を制御し、測定対象となっている物性値に関する情報を取得して、分析結果を算出する。制御基板部9の構成については後述する。電源部10は、商用交流電源から受けた交流電流を直流電流に変換して、制御基板部9、各部のモータ等のアクチュエータへ供給する。プリンタ部11は、分析結果などを印刷するプリンタを備えている。
【0045】
図3は、分析装置2aの制御基板部9の構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御基板部9は、少なくともCPU91、RAM92、駆動回路93、A/D変換等を実行する信号処理回路94、及びネットワークを介して外部とデータ送受信することが可能な通信インタフェース95で構成されている。RAM92は、実行するコンピュータプログラム、測定された結果に関する情報等を記憶する。
【0046】
駆動回路93は、測定動作プログラムからの指令を受けてモータ等のアクチュエータの動作、ディスプレイ19の動作等を制御する。信号処理回路94は、検出部17からの出力信号を解析可能なデジタル信号へ変換する回路である。通信インタフェース95は、USBケーブル、LANケーブル等のネットワークを介して演算表示装置2bへ検出された物性値情報を送信する。
【0047】
CPU91は、内部バス96を介して制御基板部9の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、RAM92に記憶されているコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。すなわち、CPU91は、信号処理回路94でデジタル化された、検出部17で得られた信号に基づいて分析処理等を実行し、通信インタフェース95からネットワークを介して演算表示装置2bへ物性値情報を送信する。
【0048】
図4は、本発明の実施の形態1に係る動物検査情報提供システムで用いる検査端末装置2の演算表示装置2bの構成を示すブロック図である。図4に示すように、演算表示装置2bは、少なくとも、CPU(中央演算装置)21、RAM22、記憶装置23、入力装置24、表示装置25、出力装置26、通信インタフェース27及び上述したハードウェアを接続する内部バス28で構成されている。CPU21は、内部バス28を介して演算表示装置2bの上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置23に記憶されているコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM22は、SRAM、フラッシュメモリ等で構成され、コンピュータプログラムの実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0049】
記憶装置23は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)等で構成されている。通信インタフェース27は内部バス28に接続されており、分析装置2a、及びインターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網1に接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。すなわち、ネットワーク網1を介して中央装置3とデータを送受信することが可能に接続されており、物性値情報を中央装置3へ送信し、結果判断に関する情報及び基準値情報を受信する。
【0050】
入力装置24は、キーボード及びマウス等のデータ入力媒体である。表示装置25は、CRTモニタ、LCD等の表示装置であり、結果判断に関する情報をグラフィカルに表示する。出力装置26は、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ等の印刷装置等である。
【0051】
上述した構成の動物検査情報提供システムでの検査端末装置2及び中央装置3での処理手順について説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る動物検査情報提供システムで用いる検査端末装置2のCPU21の処理手順を示すフローチャートである。
【0052】
図5において、検査端末装置2の演算表示装置2bのCPU21は、入力装置24を介して、測定対象となる検体の属性情報を受け付ける(ステップS501)。もちろん分析装置2aのCPU91が、ディスプレイ19を介して直接受け付け、演算表示装置2bへ送信しても良い。ここで、受け付ける属性情報とは、動物種(動物の種類:イヌ、ネコ、・・・)に限定されず、品種(動物の固有銘柄:イヌの場合、コリー、ブルドッグ、チワワ、・・・)、年齢、性別、罹患している疾患の種類等に関する情報であるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
CPU21は、検体の測定開始の指示情報を分析装置2aへ送信する(ステップS502)。分析装置2aは検体の分析処理を実行し、CPU91は、検出部17にて測定された物性値情報を受け付け、演算表示装置2bへ送信する。演算表示装置2bのCPU21は、分析装置2aから物性値情報を受信したか否かを判断し(ステップS503)、受信したと判断するまで処理は待ち状態となる(ステップS503:NO)。CPU21が、物性値情報を受信したと判断した場合(ステップS503:YES)、CPU21は受信した物性値情報をステップS501で受け付けた属性情報と対応付けて中央装置3へ送信する(ステップS504)。
【0054】
図6は、本発明の実施の形態1に係る動物検査情報提供システムで用いる中央装置3のCPU31の処理手順を示すフローチャートである。図6において、中央装置3のCPU31は、属性情報と対応付けられた物性値情報を受信し(ステップS601)、受信した物性値情報及び属性情報を記憶装置34の物性値情報記憶部341へ記憶する(ステップS602)。
【0055】
図7は、物性値情報記憶部341に記憶されるデータ構造の例示図である。図7に示すように、送信元である検査端末装置2を識別することができる識別情報、例えば端末IDに対応付けて、属性情報及び物性値情報が記憶されている。物性値情報に基づいて動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を算出した後、該基準値情報算出の根拠となった物性値情報の送信元である検査端末装置2を特定するのに必要だからである。属性情報は、複数の属性1、属性2、・・・で構成されており、物性値情報についても、複数の物性値1、物性値2、・・・で構成されている。
【0056】
図5に戻って、検査端末装置2の演算表示装置2bのCPU21は、結果判断に関する情報の要求情報を、入力装置24を介して受け付けたか否かを判断する(ステップS505)。CPU21が、要求情報を受け付けたと判断するまで処理は待ち状態となり(ステップS505:NO)、要求情報を受け付けたと判断した場合(ステップS505:YES)、CPU21は、中央装置3へ要求情報を送信する(ステップS506)。
【0057】
図6に戻って、中央装置3のCPU31は、要求情報を受信したか否かを判断し(ステップS603)、CPU31が、要求情報を受信したと判断するまで、処理は待ち状態となる(ステップS603:NO)。CPU31が、要求情報を受信したと判断した場合(ステップS603:YES)、CPU31は、物性値情報記憶部341へ収集された大量の物性値情報に基づいて、属性情報ごとに物性値情報に基づいて動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を算出する(ステップS604)。ここで算出される基準値情報とは、物性値情報に基づいて動物の処置方法を決定するために使用される基準値に関する情報であり、例えば属性情報ごとに算出される平均値である。基準値情報を用いて、例えば物性値情報が正常であるか否か(すなわち、検査された動物が健康であるか否か)を判断する正常範囲の上下所定幅を定めることで、受信した物性値情報が正常値であるか否かを判断することができる。もちろん、基準値情報として、正常範囲の上下所定幅を有する最大値及び最小値を含めても良い。この他、一定量の物性値情報が収集可能である場合、収集された物性値情報に基づいて、測定された物性値の正規分布を算出して統計的演算を行うことで、物性値情報が正常であると判断すべき範囲を特定しても良い。
【0058】
例えば正規分布を用いる場合、CPU31は、取得した所定の物性値Zが、確率密度関数f(Z)の最大側又は最小側、若しくは両方の所定の範囲に含まれるか否かを判断する。図8は、確率密度関数f(Z)の例示図である。図8に示すように、CPU31が物性値の平均値と分散とを算出することにより、確率密度関数80を算出する。もちろん、異常値を排除するべく、最大値近傍、最小値近傍の物性値を事前に除いてから確率密度関数f(Z)を求めても良い。確率密度関数f(Z)は、(式1)のように表すことができる。なお、(式1)におけるσは物性値Zの標準偏差であり、(式2)により算出される。
【0059】
【数1】

【0060】
【数2】

【0061】
物性値が正常範囲に含まれないと判断されるのは、確率密度関数80の最大値側の領域81又は最小値側の領域82で、全体の数%、例えば5乃至10%に相当する範囲に含まれた場合と考えることもできる。したがって、取得した物性値Zが領域81又は82に含まれる場合には、物性値Zが正常でない物性値であると判断することができる。
【0062】
したがって、この場合には、基準値情報として中央装置3が検査端末装置2へ送信する情報としては、少なくとも確率密度関数f(Z)を送信すれば足りる。もちろん、どの範囲であれば正常と判断すべきかを示す境界値(割合)を含めても良いことは言うまでもない。その他、統計処理手順に応じて、基準値情報として検査端末装置2へ送信される情報は変化する。
【0063】
図6に戻って、中央装置3のCPU31は、物性値情報の送信元である検査端末装置2へ、結果判断に関する情報として、受信した属性情報に対応した基準値情報を送信する(ステップS605)。例えば動物種「犬」、品種「コリー」で物性値情報を送信してきた検査端末装置2に対しては、動物種「犬」、品種「コリー」に対応する基準値情報を送信する。このようにすることで、検査端末装置2単体では特定するには不十分な物性値情報しかなかった場合であっても、信頼性の高い基準値情報を取得することができ、医師の判断を支援することが可能となる。
【0064】
図5へ戻って、検査端末装置2の演算表示装置2bのCPU21は、結果判断に関する情報として、中央装置3へ送信した物性値情報に対応する属性情報に関する基準値情報を受信し(ステップS507)、表示装置25に結果判断に関する情報を基準値情報とともに表示する(ステップS508)。表示装置25に表示する形式は特に限定されるものではないが、基準値情報と測定された物性値情報との対比が視覚的に可能であることが望ましい。
【0065】
図9は、結果判断に関する情報として表示装置25に表示される画面の例示図である。図9では、物性値情報として各項目の測定値を、基準値情報として表示されている各項目の正常範囲を、それぞれ表示している。そして、実際に測定された物性値情報が正常範囲に対して「過小」なのか、「正常」なのか、「過大」なのかを視覚的に確認することができるよう、スライドバー99を用いて並べて表示している。これにより、測定された物性値情報が正常であるか否かを目視確認することができる。
【0066】
図10は、結果判断に関する情報として表示装置25に表示される画面の他の例示図である。図10では、物性値情報として各項目の測定値をサンプリングし、基準値情報として表示されている各項目の正常範囲との関係を、レーダチャートとして表示している。ハッチング部101が、外周部分が正常範囲の最大値を、内周部分が正常範囲の最小値を、それぞれ示しており、測定された物性値情報がハッチング部101に含まれているか否かにより、項目ごとに測定された物性値情報が正常範囲に含まれているか否かを視覚的に確認することができる。
【0067】
物性値情報によっては、単純に正常範囲を定めることができない場合もありうる。その場合、正常な場合の分布と比較することで、感覚的に正常であるか否かを判断する必要がある。図11は、物性値情報の分布状況を比較する場合の表示装置25に表示される画面の例示図である。
【0068】
図11では、測定された赤血球の粒子数と粒子径との関係を示す測定値110に対して、ハッチング部111が正常であると判断される分布範囲を示している。図11の例では、測定値110の極大値での粒子径が、ハッチング部111の極大値での粒子径よりも大きいことから、測定された血液中には、粒子径の大きな赤血球の個数が正常範囲よりも過多に含まれていると判断することができる。
【0069】
以上のように本実施の形態1によれば、複数の検査端末装置から物性値情報を集約することにより、一つ一つの検査端末装置では絶対数が足りない属性情報を有する動物の物性値情報を一定量集めることができ、集められた物性値情報に基づいて動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を算出することにより、より多くの物性値情報に基づいた基準値情報を算出することができる。したがって、一の動物病院では十分な検査データを保有していない属性情報、あるいは未知の属性情報を有する動物であっても、医師が勘と経験とに頼ることなく、より客観的な基準値情報に基づいて動物の処置方法を決定することが可能となる。
【0070】
なお、基準値情報は、収集した物性値情報に応じて略リアルタイム的に中央装置3で更新することができる。したがって、わが国では希少で動物種等の属性情報を有する動物検体の測定結果である物性値情報を受信した場合、より最新の物性値情報を用いて更新した基準値情報を用いて動物の処置方法を決定することができ、動物医院単独では判断が困難であった事例に対して正確な診断ができるよう支援することもできる。
【0071】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る動物検査情報提供システムについて、図面に基づいて具体的に説明する。本発明の実施の形態2に係る動物検査情報提供システムの構成は実施の形態1と同様であるが、検査端末装置2、2、・・・にてそれぞれ測定された物性値情報が補正されていることを考慮に入れて、中央装置3にて補正を考慮した基準値情報を算出する点で実施の形態1と相違する。以下、中央装置3、検査端末装置2の基本的構成は実施の形態1と同様であることで、同一の符号を付することにより詳細な説明は省略する。
【0072】
本実施の形態2に係る動物検査情報提供システムでの検査端末装置2及び中央装置3での処理手順について説明する。図12は、本発明の実施の形態2に係る動物検査情報提供システムで用いる検査端末装置2のCPU21の処理手順を示すフローチャートである。
【0073】
図12において、検査端末装置2の演算表示装置2bのCPU21は、分析装置2aのディスプレイ19を介して入力又は設定された補正情報を受け付ける(ステップS1201)。もちろん、演算表示装置2bのCPU21が、入力装置24を介して受け付けても良いし、納品時に設定され、分析装置2aの制御基板部9のRAM92に記憶されている補正情報を、通信インタフェース95を介して受信しても良い。
【0074】
ここで、補正情報とは、別の測定装置で測定された測定値を真の値として、該分析装置2aで測定された物性値情報を、該測定値となるよう補正する補正係数を意味している。例えば測定される物性値情報がヘマトクリット値HCTである場合、当該分析装置2aでの測定値HCT1と、例えば動物病院に設置されていることが多い遠心ヘマトクリット法を用いる測定装置での測定値HCT2とでは、測定値が相違することがある。そこで、両者が相違する場合には、遠心ヘマトクリット法での測定値HCT2を正しい値と仮定して、分析装置2aでの測定値HCT1が測定値HCT2となるように補正係数αを乗算することで修正する。この場合、補正係数αは(式3)のように求めることができる。
【0075】
α=HCT2/HCT1 ・・・ (式3)
【0076】
他の物性値情報に関する補正係数も必要があれば同様に算出される。したがって、物性値情報だけでなく、物性値情報ごとの補正係数も中央装置3へ送信することにより、補正前の原物性値情報に基づいて、動物の処置方法を決定するために用いる基準値情報を、より正確に算出することができる。したがって、より最新の物性値情報を用いて更新した基準値情報を用いて動物の処置方法を決定することが可能となる。
【0077】
次に検査端末装置2の演算表示装置2bのCPU21は、入力装置24を介して、測定対象となる検体の属性情報を受け付ける(ステップS1202)。もちろん分析装置2aのCPU91が、ディスプレイ19を介して直接受け付け、演算表示装置2bへ送信しても良い。ここで、受け付ける属性情報とは、動物種(動物の種類:イヌ、ネコ、・・・)に限定されず、品種(動物の固有銘柄:イヌの場合、コリー、ブルドッグ、チワワ、・・・)、年齢、性別等に関する情報であるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
CPU21は、検体の測定開始の指示情報を分析装置2aへ送信する(ステップS1203)。分析装置2aは検体の分析処理を実行し、CPU91は、検出部17にて測定された物性値情報を受け付け、受け付けた属性情報と対応付けて演算表示装置2bへ送信する。演算表示装置2bのCPU21は、分析装置2aから物性値情報を受信したか否かを判断し(ステップS1204)、受信したと判断するまで処理は待ち状態となる(ステップS1204:NO)。CPU21が、物性値情報を受信したと判断した場合(ステップS1204:YES)、CPU21は、受信した物性値情報及び補正情報に基づいて、物性値情報を補正し(ステップS1205)、補正された物性値情報、属性情報及び補正情報を中央装置3へ送信する(ステップS1206)。
【0079】
図13は、本発明の実施の形態2に係る動物検査情報提供システムで用いる中央装置3のCPU31の処理手順を示すフローチャートである。図13において、中央装置3のCPU31は、属性情報と対応付けられた物性値情報、属性情報及び補正情報を受信し(ステップS1301)、受信した物性値情報、属性情報及び補正情報を記憶装置34の物性値情報記憶部341へ記憶する(ステップS1302)。
【0080】
図14は、物性値情報記憶部341に記憶されるデータ構造の例示図である。図14に示すように、送信元である検査端末装置2を識別することができる識別情報、例えば端末IDに対応付けて、属性情報、物性値情報、及び物性値情報ごとの補正情報が記憶されている。属性情報は、複数の属性1、属性2、・・・で構成されており、物性値情報についても、複数の物性値1、物性値2、・・・で構成されている。補正情報は、物性値1に対応する補正情報が補正係数1、物性値2に対応する補正情報が補正係数2、・・・と、以下物性値情報の数だけ記憶されている。
【0081】
図12に戻って、検査端末装置2の演算表示装置2bのCPU21は、結果判断に関する情報の要求情報を、入力装置24を介して受け付けたか否かを判断する(ステップS1207)。CPU21が、要求情報を受け付けたと判断するまで処理は待ち状態となり(ステップS1207:NO)、要求情報を受け付けたと判断した場合(ステップS1207:YES)、CPU21は、中央装置3へ要求情報を送信する(ステップS1208)。
【0082】
図13に戻って、中央装置3のCPU31は、要求情報を受信したか否かを判断し(ステップS1303)、CPU31が、要求情報を受信したと判断するまで、処理は待ち状態となる(ステップS1303:NO)。CPU31が、要求情報を受信したと判断した場合(ステップS1303:YES)、 CPU31は、記憶されている物性値情報及び補正情報に基づいて、補正前の物性値情報である原物性値情報を算出し(ステップS1304)、物性値情報記憶部341へ収集された大量の原物性値情報に基づいて、属性情報ごとに物性値の基準値情報を算出する(ステップS1305)。
【0083】
ここで算出される基準値情報とは、実施の形態1と同様、物性値情報に基づいて動物の処置方法を決定するために使用される基準値に関する情報であり、例えば属性情報ごとに算出される平均値である。基準値情報を用いて、例えば物性値情報が正常であるか否かを判断する正常範囲の上下所定幅を定めることで、受信した物性値情報が正常値であるか否かを判断することができる。もちろん、基準値情報として、正常範囲の上下所定幅を有する最大値及び最小値を含めても良い。この他、一定量の物性値情報が収集可能である場合、収集された物性値情報に基づいて、測定された物性値の正規分布を算出して統計的演算を行うことで、物性値情報が正常であると判断すべき範囲を特定しても良い。
【0084】
CPU31は、物性値情報の送信元である検査端末装置2へ、受信した属性情報に対応した基準値情報を送信する(ステップS1306)。例えば動物種「犬」、品種「コリー」で物性値情報を送信してきた検査端末装置2に対しては、動物種「犬」、品種「コリー」に対応する基準値情報を送信する。このようにすることで、検査端末装置2単体では特定するには不十分な物性値情報しかなかった場合であっても、信頼性の高い基準値情報を取得することができ、医師の判断を支援することが可能となる。また、補正される前の原物性値情報に基づいて基準値情報が算出されているので、基準値情報の精度がより高く、測定された物性値情報が正常であるか否かの判断精度も高くなる。
【0085】
図12へ戻って、検査端末装置2の演算表示装置2bのCPU21は、中央装置3へ送信した物性値情報に対応する属性情報に関する基準値情報を受信し(ステップS1209)、表示装置25に結果判断に関する情報を基準値情報とともに表示する(ステップS1210)。表示装置25に表示する形式は特に限定されるものではなく、実施の形態1と同様、様々な表示形式を用いることができる。
【0086】
なお、補正前の原物性値情報に基づいて算出された基準値情報を検査端末装置2へ送信することに限定されるものではなく、算出された基準値情報を中央装置3にて補正してから、補正後の基準値情報を検査端末装置2へ送信しても良い。図15は、本発明の実施の形態2に係る動物検査情報提供システムで用いる中央装置3のCPU31の他の処理手順を示すフローチャートである。
【0087】
図15において、ステップS1305までの処理は図13と同様であるので、詳細な説明は省略する。中央装置3のCPU31は、算出された基準値情報を、記憶されている補正情報に基づいて補正し(ステップS1501)、物性値情報の送信元である検査端末装置2へ、受信した属性情報に対応した、補正後の基準値情報を送信する(ステップS1502)。
【0088】
このようにすることで、基準値情報を受信した検査端末装置2では、受信した基準値情報を補正することなく、そのまま用いることで、測定された物性値情報が正常範囲に含まれるか否か等を確認することができ、動物の処置方法を決定することが可能となる。
【0089】
以上のように本実施の形態2によれば、検査端末装置2ごとに異なる値で設定されている補正情報による測定された物性値情報のばらつきを是正することができ、より精度の高い基準値情報を算出することが可能となる。なお、本実施の形態2では、CPU21は、ステップS1206において補正後の物性値情報を送信しているが、補正前の物性値情報を属性情報及び補正情報とともに中央装置3へ送信するようにしてもよい。
【0090】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3に係る動物検査情報提供システムについて、図面に基づいて具体的に説明する。図16は、本発明の実施の形態3に係る動物検査情報提供システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態3に係る動物検査情報提供システムの構成は実施の形態1とほぼ同様であるが、中央装置3の記憶装置34に、疾患情報記憶部342、及び/又は処置情報記憶部343を備える点で実施の形態1と相違する。以下、中央装置3、検査端末装置2の基本的構成は実施の形態1と同様であることで、同一の符号を付することにより詳細な説明は省略する。
【0091】
中央装置3の記憶装置34に備えられている疾患情報記憶部342は、属性情報と対応付けて、測定される物性値情報が、基準値情報との間で具備するべき関係等を含む疾患判断条件情報に基づいて、対応する疾患に関する疾患情報を記憶している。疾患情報としては、検査端末装置2の表示装置25に表示するメッセージとして記憶しておくことが好ましい。医師が視覚的に情報を取得することができるからである。
【0092】
例えば、HGB(ヘモグロビン量)が正常範囲よりも小さいこと、MCV(平均赤血球容積)が正常範囲より小さいことを疾患判断条件情報として、対応するメッセージとして「小球性低色素性貧血であり、鉄欠乏性貧血等が疑われます」をテキストデータとして記憶しておく。また、HGB(ヘモグロビン量)及びMCV(平均赤血球容積)が正常範囲に含まれること、RBCが正常範囲より小さいこと、LDHが正常範囲より小さいことを疾患判断条件情報として、対応するメッセージとして「大球性貧血であり、再生性不良貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血、肝臓疾患等が疑われます」をテキストデータとして記憶しておく。これら様々な疾患と判断することができる疾患判断条件情報に対応付けて、疾患情報(メッセージ)を記憶しておくことにより、中央装置3で疾患の可能性を判定して検査端末装置2へ送信することが可能となる。
【0093】
図17は、本発明の実施の形態3に係る動物検査情報提供システムで用いる中央装置3のCPU31の処理手順を示すフローチャートである。図17において、中央装置3のCPU31は、属性情報と対応付けられた物性値情報を受信し(ステップS1701)、受信した物性値情報、及び属性情報を記憶装置34の物性値情報記憶部341へ記憶する(ステップS1702)。
【0094】
CPU31は、検査端末装置2から要求情報を受信したか否かを判断し(ステップS1703)、CPU31が、要求情報を受信したと判断するまで、処理は待ち状態となる(ステップS1703:NO)。CPU31が、要求情報を受信したと判断した場合(ステップS1703:YES)、 CPU31は、物性値情報記憶部341へ収集された大量の物性値情報に基づいて、属性情報ごとに物性値情報の基準値情報を算出する(ステップS1704)。
【0095】
ここで算出される基準値情報とは、実施の形態1及び2と同様、物性値情報に基づいて動物の処置方法を決定するために使用される基準値に関する情報であり、例えば属性情報ごとに算出される平均値である。基準値情報を用いて、例えば物性値情報が正常であるか否かを判断する正常範囲の上下所定幅を定めることで、受信した物性値情報が正常値であるか否かを判断することができる。もちろん、基準値情報として、正常範囲の上下所定幅を有する最大値及び最小値を含めても良い。この他、一定量の物性値情報が収集可能である場合、収集された物性値情報に基づいて、測定された物性値の正規分布を算出して統計的演算を行うことで、物性値情報が正常であると判断すべき範囲を特定しても良い。
【0096】
CPU31は、一の物性値情報を選択し(ステップS1705)、選択された物性値情報が、特定された正常範囲内に含まれるか否かを判断する(ステップS1706)。CPU31が、正常範囲内に含まれないと判断した場合(ステップS1706:NO)、CPU31は、物性値情報と基準値情報との相対関係に関する情報としてRAM33に記憶し(ステップS1707)、CPU31が、正常範囲内に含まれると判断した場合(ステップS1706:YES)、CPU31は、ステップS1707をスキップして、全ての物性値情報が選択されたか否かを判断する(ステップS1708)。物性値情報と基準値情報との相対関係に関する情報としては、例えば物性値情報Aは基準値情報Bより小さい、物性値情報Cは基準値情報Dより小さい等の相対関係に関する情報である。
【0097】
CPU31が、まだ選択されていない物性値情報が存在すると判断した場合(ステップS1708:NO)、CPU31は、次の物性情報値を選択して(ステップS1709)、処理をステップS1706へ戻して、上述した処理を繰り返す。CPU31が、全ての物性値情報が選択されたと判断した場合(ステップS1708:YES)、CPU31は、RAM33に記憶されている物性値情報と基準値情報との相対関係に関する情報に基づいて、疾患情報記憶部342を照会するための疾患判断条件情報を特定する(ステップS1710)。
【0098】
CPU31は、疾患情報記憶部342を照会して、疾患判断条件情報が合致するか否かを判断し(ステップS1711)、CPU31が、合致すると判断した場合(ステップS1711:YES)、疾患判断条件情報に対応付けて疾患情報記憶部342に記憶されている疾患情報を抽出する(ステップS1712)。
【0099】
CPU31は、物性値情報の送信元である検査端末装置2へ、抽出された疾患情報、物性値情報及び属性情報を送信する(ステップS1713)。このように中央装置3にて受信した物性値情報が正常範囲内に含まれるか否かを判断するとともに、物性値情報ごとの基準値情報との相対関係に関する情報に基づいて、想定される疾患に関する疾患情報を検査端末装置2で取得することができるので、動物の飼い主に対してより正確な判断を提供することを支援することが可能となる。
【0100】
また、疾患情報にとどまらず、さらにどのような検査を追加すればよいか、等の処置方法に関する処置情報も同様の処理で検査端末装置2へ送信することができる。この場合、中央装置3の記憶装置34に備えられている処置情報記憶部343は、属性情報と対応付けて、測定される物性値情報が、基準値情報との間で具備するべき関係等を含む処置判断条件情報に基づいて、対応する疾患に関する処置情報を記憶している。処置情報としては、検査端末装置2の表示装置25に表示するメッセージとして記憶しておくことが好ましい。医師が視覚的に情報を取得することができるからである。
【0101】
例えば、HGB(ヘモグロビン量)が正常範囲よりも小さいこと、MCV(平均赤血球容積)が正常範囲より小さいことを組み合わせ条件として、対応するメッセージとして「血清鉄、TIBCの測定を推奨します。血清鉄が小さく、TIBCが正常又は大きい場合には、鉄欠乏性貧血の可能性があります」をテキストデータとして記憶しておく。このように疾患情報にとどまらず、さらに確認するために必要な処置方法等に関する処置情報を記憶しておくことにより、中央装置3で必要となる処置情報を抽出して検査端末装置2へメッセージとして送信することが可能となる。
【0102】
図18は、本発明の実施の形態3に係る動物検査情報提供システムで用いる中央装置3のCPU31の他の処理手順を示すフローチャートである。図18において、中央装置3のCPU31は、属性情報と対応付けられた物性値情報を受信し(ステップS1801)、受信した物性値情報、及び属性情報を記憶装置34の物性値情報記憶部341へ記憶する(ステップS1802)。
【0103】
CPU31は、検査端末装置2から要求情報を受信したか否かを判断し(ステップS1803)、CPU31が、要求情報を受信したと判断するまで、処理は待ち状態となる(ステップS1803:NO)。CPU31が、要求情報を受信したと判断した場合(ステップS1803:YES)、 CPU31は、物性値情報記憶部341へ収集された大量の物性値情報に基づいて、属性情報ごとに物性値情報の基準値情報を算出する(ステップS1804)。
【0104】
CPU31は、一の物性値情報を選択し(ステップS1805)、選択された物性値情報が、特定された正常範囲内に含まれるか否かを判断する(ステップS1806)。CPU31が、正常範囲内に含まれないと判断した場合(ステップS1806:NO)、CPU31は、物性値情報と基準値情報との相対関係に関する情報としてRAM33に記憶し(ステップS1807)、CPU31が、正常範囲内に含まれると判断した場合(ステップS1806:YES)、CPU31は、ステップS1807をスキップして、全ての物性値情報が選択されたか否かを判断する(ステップS1808)。物性値情報と基準値情報との相対関係に関する情報としては、例えば物性値情報Aは基準値情報Bより小さい、物性値情報Cは基準値情報Dより小さい等の相対関係に関する情報である。
【0105】
CPU31が、まだ選択されていない物性値情報が存在すると判断した場合(ステップS1808:NO)、CPU31は、次の物性情報値を選択して(ステップS1809)、処理をステップS1806へ戻して、上述した処理を繰り返す。CPU31が、全ての物性値情報が選択されたと判断した場合(ステップS1808:YES)、CPU31は、RAM33に記憶されている物性値情報と基準値情報との相対関係に関する情報に基づいて、処置情報記憶部343を照会するための処置判断条件情報を特定する(ステップS1810)。
【0106】
CPU31は、処置情報記憶部343を照会して、処置判断条件情報が合致するか否かを判断し(ステップS1811)、CPU31が、合致すると判断した場合(ステップS1811:YES)、処置判断条件情報に対応付けて処置情報記憶部343に記憶されている処置情報を抽出する(ステップS1812)。
【0107】
CPU31は、物性値情報の送信元である検査端末装置2へ、抽出された処置情報、物性値情報及び属性情報を送信する(ステップS1813)。このように中央装置3にて受信した物性値情報が正常範囲内に含まれるか否かを判断するとともに、物性値情報ごとの基準値情報との相対関係に関する情報に基づいて、実行するべき処置に関する処置情報を検査端末装置2で取得することができるので、動物の飼い主に対してより正確な判断を提供することを支援することが可能となる。
【0108】
なお、上述の実施の形態1乃至3は実施例を示したものにすぎず、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で多種の変形、置換等が可能であり、上述のように分析装置2aと演算表示装置2bとで構成され、両者をデータ送受信可能に接続する形態に限定されるものではなく、一体型であっても良い。検査端末装置2の分析装置2aとしては、血球計数装置、生化学分析装置、尿分析装置、免疫分析装置等、計測値を測定して解析することが可能な各種分析機器に容易に適用することができることは言うまでもない。
【0109】
また、単一の分析装置が接続されることに限定されるものではなく、例えば分析装置として、血球計数装置に加えて、生化学検査を行うための生化学分析装置が接続されていても良い。
【0110】
生化学分析装置が接続されている場合、疾患情報としてさらに詳細な情報を提供することができる。例えばTP(総蛋白量)が小さいこと、Alb(アルブミン量)が小さいこと、Glob(総グロブリン量)が正常であることを組み合わせ条件として、対応するメッセージとして「肝不全、糸球体疾患等が疑われます」をテキストデータとして記憶しておく。また、TP(総蛋白量)が小さいこと、Alb(アルブミン量)が小さいこと、Glob(総グロブリン量)が小さいことを組み合わせ条件として、対応するメッセージとして「失血、過剰な輸液、腹水・胸水の貯留等が疑われます」をテキストデータとして記憶しておく。このように、生化学検査の結果の組み合わせに応じて、疾患情報を検査端末装置2へ表示することもできる。処置情報についても同様であることは言うまでもない。
【0111】
また、上述の実施の形態1乃至3では、結果判断に関する情報は、検査端末装置2側から要求情報を中央装置3へ送信することによって取得しているが、所定のタイミングで検査端末装置2へ自動送信するものであっても良い。また、上述の実施の形態1乃至3では、基準値情報は、テキストデータとして中央装置3から検査端末装置2に送信されているが、基準値情報と物性値情報とを含む画像データを中央装置3で作成し、検査端末装置2へ送信するようにしてもよい。
【0112】
さらに、上述の実施の形態1乃至3では、結果判断に関する情報は、検査端末装置2へ送信し検査端末装置2の表示装置25で表示しているが、結果判断に関する情報を表示するのは、物性値情報を送信した検査端末装置2に限定されるものではなく、例えば同一の動物病院内に設置されている他のコンピュータが有している表示装置に表示させるものであっても良い。医師の診断を支援するという目的を達することができるからである。この場合、送信先のコンピュータが、物性値情報を送信した検査端末装置2と同一の施設、動物病院等に設置されているか否かを判断し、設置されている場合にのみ結果判断に関する情報を送信する必要があることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態1に係る動物検査情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る動物検査情報提供システムで用いる検査端末装置の分析装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【図3】分析装置の制御基板部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る動物検査情報提供システムで用いる検査端末装置の演算表示装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る動物検査情報提供システムで用いる検査端末装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る動物検査情報提供システムで用いる中央装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】物性値情報記憶部に記憶されるデータ構造の例示図である。
【図8】確率密度関数の例示図である。
【図9】結果判断に関する情報として表示装置に表示される画面の例示図である。
【図10】結果判断に関する情報として表示装置に表示される画面の他の例示図である。
【図11】物性値情報の分布状況を比較する場合の表示装置に表示される画面の例示図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る動物検査情報提供システムで用いる検査端末装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態2に係る動物検査情報提供システムで用いる中央装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図14】物性値情報記憶部に記憶されるデータ構造の例示図である。
【図15】本発明の実施の形態2に係る動物検査情報提供システムで用いる中央装置のCPUの他の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態3に係る動物検査情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の実施の形態3に係る動物検査情報提供システムで用いる中央装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態3に係る動物検査情報提供システムで用いる中央装置のCPUの他の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0114】
1 ネットワーク網
2 検査端末装置
2a 分析装置(血球計数装置)
2b 演算表示装置
3 中央装置
9 制御基板部
19 ディスプレイ
21、31 CPU
22、33 RAM
23、34 記憶装置
24、35 入力装置
25、36 表示装置
26 出力装置
27 通信インタフェース
28、39 内部バス
32 ROM
37 補助記憶装置
38 通信装置
90 可搬型記録媒体
100 コンピュータプログラム
341 物性値情報記憶部
342 疾患情報記憶部
343 処置情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の検体を検査する複数の検査端末装置と、
検査結果に関する情報を収集して演算する中央装置と
がデータ通信することが可能に接続された動物検査情報提供システムであって、
前記検査端末装置は、
前記検体の属性情報を受け付ける属性情報受付手段と、
検体を測定して物性値情報を取得する物性値情報取得手段と、
該物性値情報取得手段で取得した前記物性値情報を前記属性情報と対応付けて前記中央装置へ送信する物性値情報送信手段と
を備え、
前記中央装置は、
複数の前記検査端末装置から前記属性情報と対応付けられた前記物性値情報を受信する物性値情報受信手段と、
該物性値情報受信手段で受信した前記物性値情報及び前記属性情報を記憶する物性値情報記憶手段と、
該物性値情報記憶手段で記憶された複数の前記物性値情報に基づいて、動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を前記属性情報ごとに算出する基準値情報算出手段と、
前記基準値情報を含む結果判断に関する情報を送信する判断情報送信手段と
を備えることを特徴とする動物検査情報提供システム。
【請求項2】
前記属性情報は、動物種に関する情報、動物の品種に関する情報、動物の年齢に関する情報、動物の性別に関する情報、疾患の種類に関する情報のうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1記載の動物検査情報提供システム。
【請求項3】
前記検査端末装置は、
測定された物性値情報を補正する補正情報を受け付ける補正情報受付手段と、
受け付けた補正情報に基づいて物性値情報を補正する物性値情報補正手段と
をさらに備え、
前記物性値情報送信手段にて送信される前記物性値情報は、前記補正情報により補正された物性値情報であり、
前記物性値情報送信手段は、補正された物性値情報を前記補正情報及び前記属性情報と対応付けて前記中央装置へ送信し、
前記物性値情報受信手段は、前記属性情報と対応付けられた前記補正情報及び補正された物性値情報を受信し、
前記中央装置は、前記補正情報に基づいて、前記物性値情報受信手段にて受信した物性値情報から補正前の原物性値情報を算出する原物性値情報算出手段をさらに備え、
前記基準値情報算出手段は、算出された前記原物性値情報に基づいて前記基準値情報を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の動物検査情報提供システム。
【請求項4】
前記中央装置は、
前記補正情報に基づいて前記基準値情報を補正する基準値情報補正手段をさらに備え、
前記判断情報送信手段にて送信される前記基準値情報は、前記基準値情報補正手段で補正された基準値情報であることを特徴とする請求項3記載の動物検査情報提供システム。
【請求項5】
前記検査端末装置は、
検体の検査結果に関する情報を表示する表示手段と、
前記基準値情報を受信する基準値情報受信手段と
を備え、
前記表示手段は、受信した前記基準値情報、前記物性値情報及び前記属性情報に基づいて、検査結果に関する情報をグラフィカルに表示するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の動物検査情報提供システム。
【請求項6】
前記中央装置は、
前記基準値情報に基づく疾患判断条件情報と、想定される疾患を示す疾患情報とを対応付けて記憶する疾患情報記憶手段と、
受信した前記物性値情報に基づいて、前記疾患判断条件情報に合致するか否かを判断する疾患情報判断手段と、
該疾患情報判断手段で合致すると判断された場合、合致した疾患判断条件情報に対応する疾患情報を抽出する疾患情報抽出手段と、
該疾患情報抽出手段で抽出された疾患情報を送信する疾患情報送信手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の動物検査情報提供システム。
【請求項7】
前記中央装置は、
前記基準値情報に基づく処置判断条件情報と、処置方法を示す処置情報とを対応付けて記憶する処置情報記憶手段と、
受信した前記物性値情報に基づいて、前記処置判断条件情報に合致するか否かを判断する処置情報判断手段と、
該処置情報判断手段で合致すると判断された場合、合致した処置判断条件情報に対応する処置情報を抽出する処置情報抽出手段と、
該処置情報抽出手段で抽出された処置情報を送信する処置情報送信手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の動物検査情報提供システム。
【請求項8】
動物の検体を検査する複数の検査端末装置とデータ通信することが可能に接続されており、検査結果に関する情報を収集して演算する中央装置であって、
複数の前記検査端末装置から、属性情報と対応付けられた、検体を測定して取得された物性値情報を受信する物性値情報受信手段と、
該物性値情報受信手段で受信した前記物性値情報及び前記属性情報を記憶する物性値情報記憶手段と、
該物性値情報記憶手段で記憶された複数の前記物性値情報に基づいて、動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を前記属性情報ごとに算出する基準値情報算出手段と、
前記基準値情報を含む結果判断に関する情報を送信する判断情報送信手段と
を備えることを特徴とする中央装置。
【請求項9】
動物の検体を検査する複数の検査端末装置と、
検査結果に関する情報を収集して演算する中央装置と
がデータ通信することが可能に接続されており、動物の検体を検査した検査結果を集約して検査結果の判断に必要となる情報を提供する動物検査情報提供方法であって、
前記検査端末装置は、
前記検体の属性情報を受け付け、
検体を測定して物性値情報を取得し、
取得した前記物性値情報を前記属性情報と対応付けて前記中央装置へ送信し、
前記中央装置は、
複数の前記検査端末装置から前記属性情報と対応付けられた前記物性値情報を受信し、
受信した前記物性値情報及び前記属性情報を記憶し、
記憶された複数の前記物性値情報に基づいて、動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を前記属性情報ごとに算出し、
基準値情報を含む結果判断に関する情報を送信することを特徴とする動物検査情報提供方法。
【請求項10】
動物の検体を検査する複数の検査端末装置とデータ通信することが可能に接続されており、検査結果に関する情報を収集して演算する中央装置で実行することが可能なコンピュータプログラムであって、
前記中央装置を、
複数の前記検査端末装置から、属性情報と対応付けられた、検体を測定して取得された物性値情報を受信する物性値情報受信手段、
該物性値情報受信手段で受信した前記物性値情報及び前記属性情報を記憶する物性値情報記憶手段、
該物性値情報記憶手段で記憶された複数の前記物性値情報に基づいて、動物の処置方法を決定するために使用される基準値情報を前記属性情報ごとに算出する基準値情報算出手段、及び
前記基準値情報を含む結果判断に関する情報を送信する判断情報送信手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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