動物販売管理システム
【課題】 販売後のペットの病歴情報を系統的に収集することができ、収集された病歴のペットの血統との因果関係も容易に把握することができる動物販売管理システムを提供する。
【解決手段】 動物販売管理装置2には、販売済動物商品の治療病歴情報を動物病院側端末6から通信網4を介して受信する治療病歴情報受信手段と、受信した治療病歴情報を販売済動物商品と対応付けて記憶・蓄積する治療病歴情報データベースと、販売前動物商品又は特定の販売済動物商品に対し、血統上の関連を有する販売済動物商品の治療病歴情報を、治療病歴情報データベースにおいて血統情報に基づき検索する血統治療病歴検索手段と、その検索結果を出力する検索出力手段と、が設けられる。
【解決手段】 動物販売管理装置2には、販売済動物商品の治療病歴情報を動物病院側端末6から通信網4を介して受信する治療病歴情報受信手段と、受信した治療病歴情報を販売済動物商品と対応付けて記憶・蓄積する治療病歴情報データベースと、販売前動物商品又は特定の販売済動物商品に対し、血統上の関連を有する販売済動物商品の治療病歴情報を、治療病歴情報データベースにおいて血統情報に基づき検索する血統治療病歴検索手段と、その検索結果を出力する検索出力手段と、が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インターネットなどの通信網を利用した動物販売管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2001−297207号公報
【特許文献2】特開2002−24577号公報
【特許文献3】特開2002−223426号公報
【特許文献4】特開2003−58729号公報
【0003】
近年、犬や猫などのペット用動物や、その飼育に使用するペット用品等の販売業界においてもIT化の傾向が目覚しく、特許文献1〜4に開示されているごとく、インターネットを利用したオンラインペットショップあるいはペット用品販売システムに関する様々な発明がなされている。
【0004】
また、特許文献4には、ペットショップ、ペット用品ショップ及び動物病院に係るインターネットの総合サイトに係る発明概念が開示されている。インターネットならではの機能として、広域に散在するショップや病院をリンクにより一体化し、さらにその検索機能を付与することで、これからペットを購入しようとしている人や、既に購入して飼育している人が、最適な近隣のショップを迅速に見出すことができるように工夫されている。また、会員登録された動物病院の獣医師による助言情報がデータベース化され、飼っているペットに病気等の異変が生じたときの対処方法に関する情報も取得できるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ペットショップにて販売に供されたペットが、販売後に病気になることは珍しくない。しかし、その病気の要因が販売前に既に存在していたとすれば、購入者にとって由々しき問題のはずである。しかし、明らかな病状を呈している場合は別として、ペットの将来的な病気発生を予測するための技術的な手法が確立されていないことから、販売時点で異常が認められない限り、事前に問題把握して販売回避するなど、ペットショップ側で具体策を講ずることは、一般には難しい。また、病気遺伝管理の観点で重要な意味を持つ血統に関しては、純血を維持して特定種のブランド的価値を高めるために、ブリーダー側で興味がもたれているに過ぎない。その結果、病歴と血統ないし遺伝の関係については、ペット生産者たるブリーダーが、自分が繁殖させた子犬や子猫について、ごく幼少期の病歴を目の届く範囲内で把握するのが精一杯であるし、仮にいくらかの子犬や子猫がブリーダーの元で病死したりしても、血統との因果関係について系統的に把握することは、ブリーダー任せの状態では不可能に近い。
【0006】
そして、より重要な問題は、ペットが成長してから発生しやすい病気の場合、実際に病気が発生するのはペットがブリーダーや販売者の手を離れてからのことであるため、病歴と血統との因果関係は事実上ほぼ不可能、という点にある。事実、従来は、飼い主からの自主的な申し出等があった場合は別として、販売後のペットの病歴に関しては、その情報収集のための具体的な検討はほとんどなされてこなかったし、仮に一部の情報が収集できたとしても、新規に販売しようとするペット等に、情報としてフィードバックするための系統的な手法も開発されていなかった。
【0007】
本発明の課題は、販売後のペットの病歴情報を系統的に収集することができ、収集された病歴のペットの血統との因果関係も容易に把握することができる動物販売管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の動物販売管理システムは、
動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶する販動物商品情報記憶部を有した動物販売管理装置と、
動物商品に対する、検査、診察又は病気治療の少なくともいずれかを含む獣医学的情報収集処理を実施可能な情報収集施設に設置されるとともに、通信網を介して動物販売管理装置に接続され、販売済動物商品の情報収集施設にて収集された獣医学的情報を入力する情報収集施設側端末とを備え、
動物販売管理装置には、各動物商品について収集された獣医学的情報を情報収集施設側端末から通信網を介して受信する獣医学的情報受信手段と、受信した獣医学的情報を動物商品と対応付けて記憶・蓄積する獣医学的情報データベースと、選択された特定の動物商品と血統上の関連を有する他の動物商品の獣医学的情報を、獣医学的情報データベースにおいて血統情報に基づき検索する血統/獣医学的情報検索手段と、その検索結果を出力する検索出力手段と、が設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記本発明の動物販売管理システムの構成によると、動物販売管理装置には、動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶しておく。他方、検査、診察又は病気治療の少なくともいずれかを含む獣医学的情報収集処理を実施可能な情報収集施設に情報収集施設側端末を適宜設置して、通信網を介してこれを動物販売管理装置に接続するとともに、販売済動物商品の該情報収集施設にて収集された獣医学的情報を情報収集施設側端末側で入力し、通信網を介して動物販売管理装置にこれを送る。獣医学的情報は動物商品及びその血統情報と対応付けて獣医学的情報データベースとして蓄積されるので、ある動物商品について、これと血統上の関連を有する他の動物商品の治療病歴情報を、上記データベース上で簡単に検索することができる。
【0010】
上記の検索結果を出力し、その結果を参照することで、次のような種々の効果を達成することができる。
(1)これから販売しようとする(あるいは販売を考えている)動物商品の過去の血統における獣医学的情報を統計的に把握することができ、その把握結果に基づいて当該動物商品の獣医学的かつ遺伝学的評価を行なうことができる。その評価結果は、販売上の様々なアクション(例えば、ペットの価格の設定や、最悪の場合は販売の回避など)に反映させることができる。
(2)ブリーダー等に上記の情報をフィードバックすることで、新たにペットを繁殖させる場合にも、遺伝学的な問題の大きい血統は回避するなど、生まれてくるペットの品質向上を図ることができる。この場合、ある動物商品について、これと血縁関係にある動物商品(以下、血統グループともいう)の獣医学的情報を集め、血統グループ全体の獣医学的情報を統計的に把握することができれば、その把握結果に基づいて、どの血統が交配に不向きであるか、などの判断を容易に下すことができる。
【0011】
獣医学的情報には、上記の検査、診察又は病気治療の少なくともいずれかの結果情報が含まれる。診察の結果情報として、どのような病気にかかっているかの情報ももちろん得られるが、「特に異常なし(つまり病気でない)」との結果が情報して得られることもある。治療を行なえば、その治療内容についての情報も収集できる(ただし、診察のみで治療を行なわない場合もありえる)。また、検査は、病気だけでなく、それ以外の種々の情報をも収集するためのものであり、例えばペットの色柄や毛並み、骨格、性格、発育状況、寄生虫やノミ・ダニなどの発生状況などについての情報も収集可能である。また、出荷前の動物商品については、臨床検査を実施することも可能であり、健康状態推移や病気経過などの情報を詳細に収集することができる。
【0012】
動物販売管理装置には、これから販売しようとする動物商品である販売前動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶する販売前動物商品情報記憶部と、すでに販売済みの動物商品である販売済動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶する販売済動物商品情報記憶部とが設けられ、
動物販売管理装置において、獣医学的情報受信手段は、既に販売済の動物商品である販売済動物商品の獣医学的情報を情報収集施設側端末から通信網を介して受信するものであり、血統/獣医学的情報検索手段は、販売前動物商品に対し、血統上の関連を有する販売済動物商品の獣医学的情報を、獣医学的情報データベースにおいて血統情報に基づき検索するものとして構成できる。
【0013】
上記のように構成すると、検索された獣医学的情報に基づいて、これから販売しようとする(あるいは販売を考えている)動物商品、つまり販売前動物商品の過去(つまり、販売済動物商品)の血統に、遺伝学的な問題が発生しやすいかどうかを統計的に把握することができ、ひいては、その販売前動物商品に将来的に病気が発生しやすいかどうかを予測することができる。その予測結果は、販売上の様々なアクション(例えば、ペットの価格の設定や、最悪の場合は販売の回避など)に反映させることができる。
【0014】
情報収集施設側端末は、販売済動物商品が病気治療を受ける動物病院に設置されるとともに、販売済動物商品の動物病院での治療病歴情報を入力する動物病院側端末とすることができる。購入したペットが病気にかかった場合、その治療を受ける動物病院に情報収集施設側端末を設置しておけば、その病気診察(あるいは診断)の結果や、治療実績の情報である治療病歴情報を、前述の獣医学的情報として効率的に収集でき、また、病歴に基づく血統評価を効果的に行なうことができる。ただし、端末が置かれる情報収集施設は動物病院に限定されるものではなく、獣医師が駐在ないし出張するペットショップや検査診療所(この場合、診察、治療、あるいは臨床検査に係る情報が収集可能である)にも端末を置くことができる。また、ペットの鑑定や品質評価の専門家が駐在ないし出張するペットショップも端末が置かれる情報収集施設として利用でき、ペットの色柄や毛並み、骨格、性格、発育状況、寄生虫やノミ・ダニなどの発生状況などに係る検査情報が収集可能である。
【0015】
次に、本発明の動物販売管理システムには、上記血統/獣医学的情報検索手段が検索した、販売前動物商品と血統上の関連を有する販売済動物商品の治療病歴情報に基づいて、販売前動物商品の品質評価を行なう品質評価手段を設けることができる。これにより、販売済動物商品における病歴と血統との関連における販売前動物商品の品質の良否判定を、より能率的に行なうことができる。
【0016】
具体的には、品質評価手段は、販売前動物商品と血統上の関連を有する販売済動物商品において、治療病歴を有した販売済動物商品が多いほど販売前動物商品の品質を低く評価するものとすることができる。治療病歴に多寡によって、同一血統グループに属する動物商品の統計的な評価を容易に行なうことができる。また、品質評価手段は、販売前動物商品と血統上の関連を有する販売済動物商品において、検索された治療病歴の遺伝性が高いほど販売前動物商品の品質を低く評価するものとすることができる。遺伝性の高い病気は同じ血統グループ内での発生頻度が高く、血統の良否判定における遺伝学的な信頼度をより高めることができる。この場合、上記治療病歴の数的な評価と組み合わせるとより効果的であり、さらに、販売前動物商品と血統上の関連を有する販売済動物商品において、治療病歴が検索された販売済動物商品の、販売前動物商品に対する親等が近いほど、当該販売前動物商品の品質を低く評価するものとすれば、遺伝学的な信頼度をさらに高めることができる。
【0017】
また、上記構成においては、病気の遺伝性情報を、評価対象となる動物商品の種別に応じて異なる内容に定めた遺伝性評価テーブルを設けることができる。品質評価手段は、販売済動物商品の種別に対応した遺伝性情報を前記遺伝性評価テーブルから読み出し、該情報に基づいて、検索された前記治療病歴の遺伝性を評価するものとすることができる。動物の種別(例えば犬や猫の場合、犬種や猫種)によって、遺伝性の病気の種類が異なる場合がある。上記構成によると、遺伝性病歴の多寡に応じた血統評価を、動物の種別毎により正確に行なうことができるようになる。
【0018】
また、本発明の動物販売管理システムにおいては、通信網を介して動物診療保険管理装置を接続することができる。該動物診療保険管理装置には、販売済動物商品と、該販売済動物商品が加入している動物診療保険の特定情報である保険特定情報と、保険実績情報とを対応付けて記憶することができる。そして、動物病院側端末装置には、治療を受ける販売済動物商品の治療病歴情報を入力する治療病歴情報入力手段と、保険特定情報を入力する保険特定情報入力手段と、血統情報を入力する血統情報入力手段と、治療病歴情報を血統情報と対応付けた形で動物販売管理装置に送信する一方、該治療病歴情報を、保険実績情報の一部として保険特定情報と対応付けて動物診療保険管理装置に送信する病歴情報送信手段とを設けることができる。
【0019】
ペットや家畜などの動物が動物病院で診療を受けようとする場合に、人的社会での健康保険制度に相当するシステムを動物診療の世界でも実現した、いわゆる動物診療保険システムが既に実用化されている。このシステムでは、一定の保険料を納めると、保険加入している動物病院にて治療を受ければ、その治療費の一部が保険運用資金から拠出され、保険加入者の治療負担を減ずることができる。
【0020】
動物診療保険の適用を受けるのに好都合なのは、当然、保険に加入している動物病院ということになる(ただし、保険未加入の病院であっても実費治療を受け、後日、保険会社への請求により保険金を受け取ることは可能であるが、後の手続きが面倒である)。上記の構成によると、保険適用を前提に病院に連れて来られた販売済動物商品は、その病院で治療を受けることで、獣医師により病歴情報が収集される。その病歴情報は、保険適用の可否や、治療実績に応じた保険適用額の算出などに必須な情報なので、保険実績情報の一部として保険特定情報と対応付けて動物診療保険管理装置に送信される。これは、当然、血統情報と対応付けた形で動物販売管理装置に送信する治療病歴情報として流用できるので、血統評価用の新たな治療病歴情報を作成する手間を省くことができる。また、購入した動物商品を保険加入させることで、かかりつけとなる動物病院も病院側端末が配置された保険対応病院に限定することができ、治療病歴情報の収集をより遺漏無く行なえるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する(なお、本明細書において「情報」と「データ」とは、特に断りのない限り、概念上の差はないものとして取り扱う)。図1は、本発明の一実施形態である動物販売管理システム1の全体概略を示すものであり、動物販売管理装置(以下、単に販売管理装置ともいう)2、購入者側端末5、動物診療保険管理装置(以下、単に保険管理装置ともいう)3、動物病院側端末(情報収集施設側端末)6、販売店側端末8及びメールサーバ7が、インターネット(通信網)4を介して接続された構造を有する。販売管理装置2と保険管理装置3とは、いずれもサーバコンピュータとして構成されるが、複数のコンピュータがネットワーク上で連携することで仮想的に一体の装置として構成されたものも概念に含む。
【0022】
購入者側端末5は、インターネット4にアクセスする不特定多数の利用者の手元に置かれるコンピュータであり、動物販売管理装置2をサーバとして運営されるオンラインペットショップ(実体は動物販売管理装置2が機能実現するペットショップサーバということになる)にアクセスすることで、ペットの購入端末として機能する。一方、販売店側端末8は店頭販売型のペットショップに置かれ、購入者が店頭を訪問してペットを購入する際に、店員によって操作されるものであるが、機能自体は購入者側端末5とほぼ同じである。一方、動物病院側端末6は、保険管理装置3により管理されている動物診療保険の加入動物病院(また、動物販売管理装置2が運営するペット(動物)販売ホームページが、販売した動物商品の、購入者への引渡し先として指定する動物病院でもある)に設置されるものである。なお、動物病院側端末6は情報収集施設側端末の一つを構成するものであるが、該端末が置かれる情報収集施設は動物病院に限定されるものではなく、獣医師が駐在ないし出張するペットショップや検査診療所も利用できる。この場合、販売店側端末8を情報収集施設側端末としても利用することができ、例えば後述の前置検査にて、診察、臨床検査に係る情報が収集可能である。また、ペットショップにペットの鑑定や品質評価の専門家を駐在ないし出張させることで、上記の前置検査にて、ペットの色柄や毛並み、骨格、性格、発育状況、寄生虫やノミ・ダニなどの発生状況などに係る検査情報も合わせて収集するようにしている。
【0023】
図2に示すように、販売管理装置2は、バスを介してCPU24、基本制御プログラムを格納したROM25、記憶装置32内にインストールされた本発明のシステムの機能実現を担う基本管理プログラム42(図3)のワークエリアとして機能するRAM26、及び入出力インターフェース部(以下、I/O部ともいう)23を有するコンピュータとして構成されている。I/O部23には上記の記憶装置32を始め、インターネット4(図1)との接続を行なう通信インターフェース(モデム、ルータ、ターミナルアダプタなど)27、マウス及びキーボードからなる入力部28、表示出力用のモニタ30、及び印刷出力用のプリンタ31を備える。
【0024】
図4に示すように、購入者側端末5(あるいは販売店側端末8)も同様に、CPU124、ROM125、記憶装置132内にインストールされたホームページ表示用のブラウザソフト、メールソフトなどのワークエリアとして機能するRAM126、及びI/O部123を有するコンピュータとして構成されている。I/O部123には、記憶装置132を始め、インターネット4(図1)との接続を行なう通信インターフェース127、入力部128、モニタ130及びプリンタ131を備える。
【0025】
また、図5に示すように、病院側端末6も同様に、CPU224、ROM225、記憶装置232内にインストールされたホームページ表示用のブラウザソフトなどのワークエリアとして機能するRAM226、及びI/O部223を有するコンピュータとして構成されている。I/O部223には、記憶装置232を始め、インターネット4(図1)との接続を行なう通信インターフェース227、入力部228、モニタ230及びプリンタ231を備える。記憶装置232には、本発明のシステムにおける病院側端末6の基本処理を行なうための管理プログラム53が格納されている。
【0026】
図6は保険管理装置3の構成を示すもので、CPU324、ROM325、記憶装置332内にインストールされた、本発明のシステムの機能実現を担う管理プログラム59などののワークエリアとして機能するRAM326、及びI/O323を有するコンピュータとして構成されている。I/O部323には、記憶装置332を始め、インターネット4(図1)との接続を行なう通信インターフェース327、入力部328、モニタ330及びプリンタ331を備える。
【0027】
図3は、販売管理装置2の記憶装置32内の詳細を示すものである。記憶装置32には、動物商品情報41wを記憶する動物商品情報記憶部41が形成されている。該動物商品情報41wは、商品ID41a、動物品種41b、性別41c、ブリーダー名41d、血統情報41e、年齢(あるいは生年月日)41f、価格41g、商品画像41hとその撮影日41i、別の商品画像41jとその撮影日41k、商品の販売店41l、及びフィードバック評価情報41mなどのデータを含むものであり、商品毎に異なる商品ID41aを付されて互いに対応付けて記憶されている。フィードバック評価情報41mは、商品ID41aが特定する動物商品(販売前動物商品)について、血統にて関連付けられる販売済動物商品の獣医学的情報(本実施形態では、病歴情報と後述の前置検査の結果情報)に基づいて作成される、当該販売前動物商品の評価情報であるが、その詳細は後述する。
【0028】
また、記憶装置32には、前述の基本管理プログラム42、図9〜図11のような販売ホームページをインターネット4上にアップロードするための販売ホームページデータ43、及び動物商品とセットで販売(加入)される動物診療保険の情報44も記憶されている。
【0029】
以下、システムの動作について説明する。図12は、購入者側端末5と販売管理装置2との間の、主として動物商品購入処理の流れを示すものである。図14は、販売管理装置2と保険管理装置3との間の、主として動物商品購入処理に随伴した保険加入用のデータトランスファ処理の流れを示すものである。さらに、図15は、販売管理装置2と動物病院側端末6との間の、主として動物商品引渡し処理と、動物病院からの動物商品に対する診察結果のフィードバック処理の流れを示すものである。このように、複数群のコンピュータ間での通信(電子メールを含む)により連携的にシステム上の処理が進行することになるが、以下においては、購入者の視点から見た流れ追跡を重視した形で説明を進める。説明の順序は、必ずしも各図のフローチャート上の流れを優先したものとはなっていないので、説明の途中で随時、参照すべきフローチャートのステップ番号を挿入し、理解の便宜を図るものとする。
【0030】
まず、販売管理装置2からは、動物商品情報41wは通信インターフェース27を介して動物診療保険情報44とともに購入者側端末5に送信される(動物商品情報送信手段)。具体的には、販売管理装置2において、図2のアップロードメモリ48を使用して、販売ホームページ(以下、HPとも記載する)をインターネット上にアップロードする(図12:HS1)。購入者側端末5側では、ブラウザソフトウェア49を立ち上げ、販売HPのURL入力により販売管理装置2にアクセスする(図12:CS1)。これにより、購入者側端末5は販売管理装置2から動物商品情報41wを販売HPに組み込んだ形でダウンロードすることができる(HS2,CS2)。
【0031】
図9は、その販売HPのトップページ(モニタ130に出力される)の出力例を示すものであり、商品案内アイコン70,71が表示されている。このうち、商品案内アイコン70は、動物商品の品種毎に設けられ、マウスクリックにより対応する品種の購入ページのURLが入力されて、該当ページへジャンプする(つまり、該当ページへのリンクが張られている)。このジャンプ先のページは図示していないが、品種別の動物商品の画像と、その購入ボタンとが対応付けて表示される。また、商品案内アイコン71は、特定の推奨商品(特選商品)のピックアップページへのリンクを張るものである。
【0032】
図10にそのピックアップページの内容を示している。ここには、個別の動物商品の画像79と、マウスクリックにより操作する購入ボタン73が設けられている。なお、本実施形態では、購入ボタン73のクリックにより、動物商品の購入確定とともに、動物診療保険への加入意思確定も同時に行なうようにしている(ただし、一点鎖線で示すように、保険加入ボタン74を別途設け、動物商品の購入と保険加入とを分離することにより、保険加入を任意とする構成も可能である)。また、商品画像79とともに、これら動物商品の両親の血統情報75も表示されている(図3の血統情報41eが読み出され、表示されたものである)。
【0033】
図3に示すように、販売管理装置2において、動物商品情報記憶部41に記憶されている動物商品情報41wには、撮影日を異ならせて複数撮影された動物商品の画像情報41h,41jが含まれている(各々日付データ41i,41kが随伴している)。図3では、2つの日付の画像情報だけが記憶されているが、もっと多くの日付の画像情報が記憶されてもよい。そして、購入者側端末5に送信される動物商品情報41wには、画像情報のうち、撮影日の異なる少なくとも2つの画像情報41h,41jが含まれており、購入者側端末5には該画像情報41h,41jの表示部(表示手段)76,77(図11)が設けられている。
【0034】
具体的には図10において、商品画像79がページリンクボタンを兼ねており、この画像79をクリックすると、図11に示すように、対応商品の詳細ページにジャンプする。画像情報41h,41jによる撮影日の異なる商品画像76,77が複数表示される。これにより、購入者は、自分が購入しようとする動物商品が健全に成長してきていることをこれらの画像から確認でき、安心感を得ることができる。なお、図11においては、商品画像76,77に係る子犬の両親の画像78も合わせて表示されている。
【0035】
なお、販売管理装置2において、同一の動物商品に対する新しい撮影日の画像情報41hが動物商品情報記憶部41に追加される毎に、動物商品情報送信手段は該追加された画像情報41hを購入者側端末5へ随時送信するようにしてもよい。購入を迷っている利用者は、日を追って新しい画像に更新されてゆくのを見ることで、購入意欲をくすぐられることになる。
【0036】
図9に戻り、トップページの下部には、動物診療保険情報44に基づく動物診療保険加入の案内情報が表示されている。なお、詳細ボタン72も形成され、これをクリックすると、張られたリンクにより、動物診療保険情報44に基づく動物診療保険の詳細情報ページにジャンプする。これにより、利用者は動物診療保険についてさらに詳しい情報を得ることができる。
【0037】
図4において、購入者側端末5は、販売HPへのアクセスにより、通信インターフェース127を介して動物商品情報と動物診療保険情報とを受信する(動物商品情報受信手段)。また、購入選択した動物商品の特定情報(動物商品ID41a(図3))を、購入者データ(購入者特定情報)とともに動物購入情報として販売管理装置2に送信する(動物購入情報送信手段)(以上、図12:CS3,CS4)。具体的には、入力部28により、図10の購入ボタン73をクリックして、購入する動物商品を選択する(動物商品選択手段)。すると、図示しない購入ページにジャンプし、そこで入力部28により購入者データ47dを入力する(入力手段:CS6)。
【0038】
図2の販売管理装置2は、上記のようにして入力した動物購入情報を受信する(動物購入情報受信手段:HS4)。図3に示すように、動物商品ID41aと購入者データ47dとは、互いに対応付けられて動物商品管理情報記憶部47に格納される。動物商品管理情報記憶部47内の商品管理情報47wは、商品ID47a、商品の入荷日47b、販売経過データ47c、購入者データ47d、保険管理データ(保険管理装置3(図6)からフィードバックされる保険加入の完了/未完を示すデータである)47e、前置検査結果データ47f、引渡し前診察結果データ47g、引渡し可否データ47h、引渡し病院データ47i、品質管理データ47iなどが記憶されている。動物購入情報を受信すれば購入決定を確定し、動物商品管理情報記憶部47の販売経過データ47cに、図7に示すように購入日のデータを書き込む(HS4)。その後、購入者から代金の入金があれば、入金日の書き込みを行なう。
【0039】
本実施形態では、前述のごとく、動物商品の購入選択が動物診療保険の加入意思決定入力も兼ねているので、販売管理装置2は、購入決定の情報を購入者側端末5から受信すると、購入者データ47dの一部又は全部(本実施形態では全部)を保険加入者データ(保険加入希望者特定情報)として、購入に係る動物商品情報(本実施形態では、品種、性別、血統及び年齢の各データを含む)57dとともに保険管理装置3に転送する(保険加入希望者特定情報転送手段)(図14:HS51)。
【0040】
図6の保険管理装置3は、上記の保険加入者データ57cを動物商品情報57dとともに受信する(保険加入者データ受信手段:IS1)。また、記憶装置332内には、保険加入者データ(又は保険加入予定者情報:加入経過情報57bにより識別される)57cと保険対象動物情報57dとを互いに対応付けた形で管理登録する保険管理登録記憶部(保険管理登録手段)57が設けられている。保険管理装置3は、受信した動物情報57d(図3の動物商品情報41wの一部)と保険加入者データ57c(図3の購入者データ47d)とに基づいて、その動物商品を保険対象動物とし、その動物商品の購入者を保険加入者又は保険加入予定者として、保険管理登録記憶部57に登録する(保険登録手段:IS2,IS3)。
【0041】
具体的には、保険管理登録記憶部57は、受信した保険加入者データ57cに基づいて、動物商品の購入者をひとまず保険加入予定者として登録する(IS2)。具体的には、加入経過情報57bを「加入予定」に設定することにより行なう。他方、記憶装置332には、保険対象動物情報57dと保険加入者データ57cとを記入必須事項として含む保険加入申込書フォーム58の記憶部58が設けられている。入力部328からのコマンド入力により、その記憶された保険加入申込書フォーム58が読み出され(IS4)、受信した動物商品情報57dと保険加入者データ57cから必要な項目を抽出し(IS5)、保険加入申込書フォーム58の指定位置に合成し(IS6)、その合成された結果を出力する(IS7)。
【0042】
図8は、保険加入申込書フォーム58の一例を模式的に示すものである。動物情報57dに含まれる品種、名称、性別及び年齢、保険加入者データ57cに含まれる、加入者の氏名、性別、生年月日、住所、電話番号が必須記載項目とされ、さらに、日付と署名・捺印の欄も形成されている。署名・捺印は加入者による人的な自署及び押印によりなされるものである。そして、動物情報57dと保険加入者データ57cとの該等記入欄SP,S,A,XC,XE,XF,XD,XGは、原フォームでは空欄とされている。これらの欄も加入者が自分で記入することができるが、手間を省くために保険管理装置3では、販売管理装置2から受信した動物情報57dと保険加入者データ57cとの必要な部分を保険加入申込書フォーム58のデータに流し込み、これをプリンタ331から紙出力する(なお、フォーム58のデータを電子メール等で送信することも「出力」の概念に属する。)。紙出力された保険加入申込書フォーム58は郵送等により購入者の元へ送られる。これを受け取った購入者は、残った空欄を埋めて署名捺印し、再度保険会社へ送り返す。申込書の記載事項に誤りがなければ保険加入契約は成立する。図6の保険管理登録記憶部57は、保険加入予定者として登録されている動物商品の購入者のうち、上記のようにして保険加入申込書フォーム58を介して保険契約手続が完了した購入者を、保険加入者として登録変更する(登録変更手段)。具体的には、加入経過データ57bにおいて「加入予定」となっているのを、「加入済み」へとデータ書き換えする(IS9,IS10:ただし、IS9は、処理流れの理解の便宜を図るために追記した人為的なステップである)。保健管理登録記憶部57の内容を出力して閲覧すれば、加入予定のまま残っている加入者データを容易に発見でき、適切な督促を行なうことができる。
【0043】
次に、本実施形態においては、図3に示すごとく、販売管理装置2の記憶装置32には、上記の動物診療保険に加入している動物病院の情報を所在地情報とともに記憶する動物病院情報記憶部45が設けられている。そして、購入者側端末5からの検索送信情報に基づいて、特定の所在地を有する動物病院の情報を上記動物病院情報記憶部45にて検索することができるようになっている(動物病院情報検索手段)。検索された動物病院の情報は、購入動物商品の保険適用先病院情報として購入者側端末5に送信される(保険適用先病院情報送信手段)(図12:HS5)。本実施形態において動物病院情報記憶部45は、購入者への動物商品の引渡し先となる複数の動物病院の情報をその所在地情報とともに記憶するものともされ、購入者側端末5は、購入選択した動物商品の特定情報を、購入者データ47d及び引渡し希望地情報とともに動物購入情報として販売管理装置2に送信するようにしている。
【0044】
引渡し地情報は後述のごとく、購入者の住所やその住所が含まれる地域(エリア)などの住所情報とし、該住所情報を参照して販売管理装置2側で引渡し動物病院を決定する方法もありえるし、販売管理装置2から提示された動物病院のリストを見て、購入者側端末5側で引渡し動物病院自体を特定し、これを引渡し地情報として販売管理装置2に送信するようにしてもよい。後者の場合は、販売管理装置2側で行なう処理は、購入者側から申し出のあった引渡し動物病院を認証するだけになるが、これも販売管理装置2側で行なう引渡し動物病院の決定処理の一つとみなす。
【0045】
本実施形態では、図3に示すように、動物病院情報記憶部45は、動物病院情報が病院名45bと特定ID45aとを含むものとされ、所在地情報は、所在地データ45dと該所在地を区分するエリア(地域)を特定するエリアID45cとを含むものとされている。これらの動物病院は全て引渡し先病院として利用可能な病院を示し、一部に保険未対応の病院も含まれていることを想定して、保険対応識別データ45eを付与している。
【0046】
また、本実施形態では、検索の便宜を考慮して住所検索テーブル46を設けている。住所検索テーブル46は郵便番号表と類似の構造を有し、例えば番地を除いた住所区分46bを単位として、これを適当なエリア毎にエリアID46aを付与し、互いに対応付けて記憶したものである。図13に示すように、購入者側端末5における動物病院の選択方法にはいくつかの方式が考えられる。左のフローに示す(I)の方法では、購入者側端末5から住所データ(例えば購入者特定データ47dに含まれるもの)を受信し(HS11)、その住所データを検索キーとして住所検索テーブル46にて該当エリアを検索し(HS12)、動物病院情報記憶部45において、そのエリアに属する動物病院を全て抽出して読み出し、結果を購入者側端末5に送信する(HS13)。購入者側端末5ではその受信結果をブラウザ上で出力することができ、引渡しを希望する動物病院を選択して販売管理装置2に送り返す(HS14)。このとき、購入者側端末5では、保険対応識別データ45eに基づいて、表示される病院のどれが保険対応であり、どれが非対応であるかを表示することが可能である。なお、購入者の住所に最も近い動物病院を1つだけ抽出して表示するようなことも可能であるが、検索エンジンが複雑化することと、利用者として近隣のいくつかの候補病院が判明したほうが何かと便利であるので、購入者側端末5では一定エリア内の複数病院を出力できるようにすることが望ましいといえる。
【0047】
他方、図13の右に示す方式(II)は、例えば都道府県リスト(プルダウンメニューあるいはマップ形式)などのエリアリスト(エリア情報)を、販売管理装置2から購入者側端末5に送信し(ホームページに組み込んでおけばよい:CS11)、購入者側端末5側でのマウスクリック選択などによりエリアを選択させる(CS12)。選択結果を受け取った販売管理装置2では、その選択されたエリアに属する動物病院の情報を購入者側端末5に返し、購入者側端末5側ではその内容をリスト表示する(CS13)。購入者側端末5では、引渡しを希望する動物病院を選択して販売管理装置2に送り返す(CS14)。
【0048】
以上の処理からも明らかなように、購入者側端末5は、購入選択した動物商品の特定情報を、購入者データ47d及び引渡し希望地情報とともに動物購入情報として販売管理装置2に送信する(動物購入情報送信手段)(図12:CS5,CS6)。また、販売管理装置2は、図3の動物病院情報記憶部45において、該動物購入情報に含まれる引渡し希望地情報(購入者側端末5にて上記選択された動物病院の病院ID45aである)に基づき、引渡し先動物病院を決定する(引渡し先動物病院決定手段)(図12:HS6)。そして、購入対象となる動物商品情報(図5では便宜的に商品ID47aだけを表示しているが、図3の動物品種41b、性別41c、年齢41fなど、後述の引渡し前診察に必要な情報も当然含まれている)、購入者特定データ47d及び引渡し日54c(引渡し通知情報)を、引渡し管理情報として、引渡し先動物病院に設置された動物病院側端末6へ送信する(引渡し管理情報送信手段)(図15:HS61)。
【0049】
図5に示すように、動物病院側端末6では、記憶装置232内に引渡管理情報記憶部54が形成され、上記の引渡し管理情報を受信し(NS1)、これに含まれる動物商品情報及び購入者データ47dを互いに対応付けて記憶する。なお、記憶した引渡し管理情報の内容は、管理プログラム53の実行により、モニタ230ないしプリンタ231から出力することができる(出力手段)。
【0050】
他方、販売管理装置2では、購入動物商品の引渡し場所として確定した動物病院の情報と、購入動物商品の引渡し日時の情報とを含む引渡し通知情報が作成され、購入者側端末5に引渡し通知情報として送信される(図12:CS7)。購入者側端末5ではこれを受信して、どこの動物病院に、購入した動物病院をいつ引き取りに行けばよいかを知ることができる。
【0051】
次に、引渡し先動物病院においては、獣医師による動物商品の診察が、該動物商品の購入者への引渡しの前に実施される。また、該引渡し先となる動物病院での診察に先立って、当該動物病院とは別の場所で、異なる獣医師あるいはペット鑑定/品質評価の専門家による品質保証用の前置検査が別途実施され、診察、臨床検査、ペットの色柄や毛並み、骨格、性格、発育状況、寄生虫やノミ・ダニなどの発生状況が検査情報として収集される。動物商品情報記憶部41には、上記の前置検査の結果情報47fが動物商品情報(商品ID47a)と対応付けた形で記憶されている。この前置検査の結果情報47fは、引渡し先動物病院の動物病院側端末6に送信される(図15:NS2、前述の引渡し管理情報に含めて送信することができる)。これは、動物病院側での動物商品の引渡し判断上の参考としても役立つ。さらに、後述するごとく、商品販売前に取得される予備的な獣医学的情報でもあり、血統情報を介した他の動物商品の病歴との相互関連把握にも利用できる。
【0052】
一方、図5において、引渡し先動物病院で実施される引渡し前診察結果の情報は、動物病院側端末6の引渡管理情報記憶部54にて、動物商品情報(商品ID47a)と対応付けて記憶されるとともに、販売管理装置2側にも送信され(NS3)、図3の動物商品管理情報記憶部47にも記憶される(HS62)。前置検査情報47fと合わせて、時系列の異なる最低2つの診察情報が動物商品毎に蓄積でき、詳細な動物商品情報41と合わせれば、品質管理上のデータとして極めて有効に活用できる。特に血統情報を利用して、後述の方法により、ある動物商品に対し一定親等内に属する動物商品(血統グループ)の獣医学的情報を検索・収集することができ、該血統グループの病気に対する遺伝的な傾向を統計把握することができる。
【0053】
また、販売管理装置2からは(あるいは動物病院側端末6からでもよい)、引渡し前診察結果のデータが保険管理装置3にも送信される(図14:HS52)。図6に示すように、この引渡し前診察結果において、万一病気発生していた場合は、これが治療実績データ57hの一部をなす病歴情報(獣医学的情報の一つ)として、保険管理登録記憶部57に記憶される。動物商品の引渡し前に病歴情報(病気発生していなければ、単なる健康診断情報となる)57hを取得できることで、保険料率等の算定等もいち早く行なうことができ、保険審査のスピードアップを図ることができる。治療実績データ57hには、本来的には、動物商品引渡し後に病気になった動物商品を、保険利用により、その引渡し病院か、あるいは保険システムに加盟している別の動物病院にて治療を受けさせることにより、獣医師が病院側端末6上にて作成するものである。
【0054】
獣医師は、上記の診察結果に基づいて動物商品の引渡しの可否を決定し、引渡し可否情報を作成して販売管理装置2に送信する(NS4)。これは、引渡し可否情報47hとして商品管理情報記憶部47に登録され、動物商品の品質管理等に使用することができる。この引渡し可否情報47hの内容が「引渡し可」であれば、購入者に対し指定の日に来院してもらい、そこで種々のアドバイスを獣医師から行ないつつ購入者に動物商品を引き渡す。このときの質疑応答の内容や、感想・要望・苦情などの購入者からのフィードバック情報は、引渡し完了通知情報に組み込む形で動物病院側端末6にて入力され、販売管理装置2に送信される(NS7)。また、図5において引渡管理情報記憶部54の引渡し実績データ54gを「引渡し済み」に書き換える。販売管理装置2ではこれを受信し、図7の販売経過データ47cに引渡し日を書き込み、引渡し完了の認証を行なう。また、引渡し完了通知情報に含まれるフィードバック情報を品質管理データ47jに登録する。
【0055】
一方、この診察結果が芳しくなかった場合には、動物商品の引渡しを中止したり延期したりする処置がとられる。この場合、動物病院側端末6では、引渡し中止ないし延期の理由情報が作成され、販売管理装置2に送信される。この理由情報は、図3の動物商品管理情報記憶部47内の品質管理情報47jに登録される(図15:HS65)。なお、引渡しが不可であった場合は、その動物商品情報を動物商品情報記憶部41から削除する措置を行なう(HS66)。なお、購入者側端末5へは引渡しが不能ないし延期となったことを電子メール等にて通知する。
【0056】
なお、以上の実施形態では、動物商品の購入手続きを購入者端末にて行なうオンラインショッピングの例で説明したが、動物商品の購入及び引渡し自体はペットショップ(販売店)での店頭で行なうことも可能である。この場合は、購入に伴う保険加入手続きのための保健管理装置3との情報のやり取りや、購入者データの販売管理装置2への送信などを、販売店側端末8(図1)を拠点として行なうことになる。また、動物商品の引渡しは店頭で行なうこともでき、この場合は動物病院引渡しの場合に特有な、動物病院側端末6を拠点とした上記の一連の処理も省略される。
【0057】
さて、以上のような手続きを経て購入された動物商品は、上記のごとく保険加入済であり、万一購入後に病気等にかかった場合は、保険対応病院で獣医師による診察・治療を受ける。その病院は、保険対応病院であれば、前述のごとく動物商品の引渡し病院であっても、他の病院であってもよい。保険による診察又は治療を受ければ、治療費の一部が保険会社の運用資金から拠出されることになる(これは、病院に支払う治療費の段階で天引きされる形と、支払い時は保険分込みの実費支払いとし、保険分を後日還付する形の両方がありえる)。当然、保険対応病院側では、保険適用の可否や、保険適用内容につき保険会社の承認を得るために、診察により得られた病歴(診察/治療)情報を保険会社に送付する必要がある。本発明では、その病歴情報を動物病院側端末6にて作成し、これを、インターネット4を経由して販売管理装置2に送る。
【0058】
図18は病歴情報の内容例を示すものであり、(販売済)商品ID(販売済動物商品特定情報)と対応付けた形で、その動物病院の治療実績が時系列にて入力・記録されたものであり、獣医師(ドクター)の名前、通院の日時、病名(病名を直接入力しているが、括弧内に示すように、病名コード(SC####)による入力も可能である)のデータを含む。これらのデータを含む病歴情報の送信先は販売管理装置2及び保険管理装置3であり、商品IDの特定によりこれら管理装置側で把握可能な情報、例えば販売日、血統情報、保険番号(保険特定情報)等は、動物病院側端末6で入力することも可能であるが、入力を省略することももちろん可能である。
【0059】
しかし、商品IDは販売者側の便宜により付与するものであり、購入者側で常に把握できる情報であるとは限らない(むしろ、病院診察時に覚えているほうがまれであろう)。この場合、別途保険会社から配布される保険証に記載された保険番号(保険特定情報)や、国際的に標準化されている血統書番号(血統情報の内容に一義的に対応するので、広義には血統情報と等価とみなすことができる)のほうが、購入者からはより引き出しやすい情報であり、商品特定情報に代えて病歴情報に随伴させることができる。この場合、キーボードやマウスといった汎用の入力部228が、血統情報入力手段を形成することとなる。
【0060】
しかし、血統書番号についても、血統書を来院時に提示できる購入者はまれであるから、図16に示すように、購入した販売済動物商品300に動物側血統情報記憶部301を取り付け、これに記憶されている血統情報を直接読み取る読み取り装置303を血統情報入力手段として設けてもよい。このようにすると、病歴情報を収集する際に、後述の検索処理に必須となる血統情報を遺漏無く取得ないし特定することができ、また、血統情報(血統書番号)の取り違え(特に、複数のペットを飼育する購入者にありがちなことである)といった不具合も防ぐことができる。この場合、動物側血統情報記憶部301には保険特定情報(保険番号)も合わせて記憶しておき、読み取り装置303は血統情報とともに該保険特定情報も読み取るものとしておけば、保険管理装置3に病歴情報を送信する際に必要な、保険番号の取得を遺漏することも防止できる。
【0061】
図16に示す例では、動物側血統情報記憶部301は首輪に取り付けたバーコードプレートであり、そのバーコードに血統情報あるいは保険特定情報が記憶され、読み取り装置303はそのバーコードを読み取るスキャナで構成されている。該スキャナは、病院側端末6(の入出力部223(図5)に接続される。他方、紛失や取り違えを防止するために、動物側血統情報記憶部を、販売済動物商品300に埋め込まれたICチップ(あるいはトランスポンダ)302とすることもでき、この場合は、ICチップ302からの発信電波Wに反映された動物側血統情報あるいは保険特定情報を、読み取り装置をなす専用の受信器304で読み取るようにする。なお、図3に示すごとく、保険管理装置3側に血統書番号を登録しておけば、動物側血統情報記憶部301から読み取った血統書番号を保険管理装置3に送信し、保険番号(保険特定情報)を保険管理装置3にて逆検索することもできる。保険証を忘れて初診来院したペットでも、動物側血統情報記憶部301(あるいはICチップ302)が取り付けてあれば、これに記憶されている血統情報(血統書番号)を読み取って保険管理装置3に送信し、保険番号を含む保険加入情報を容易に把握できるので、保険運用をよりスムーズに行なうことができる。この概念は、血統治療病歴検索の概念を必須とする本発明の内容とは独立した発明と捉えることもできる。
【0062】
図6に示すように、保険管理装置3においては、前述の保険管理登録記憶部57内に治療実績データ57hが、保険番号や保険有効期間などと対応付けた形で記憶されている。保険会社側では、このデータを参照して、個別の治療履歴毎に保険適用の可否や保険拠出額の算定等を行なうことができる。
【0063】
一方、上記の病歴情報は販売管理装置2へも送信される。図22は、その処理の流れの概略を示すものである。AS1及びBS1は、病院ID(特定情報)及び動物商品ID(特定情報、さらには血統情報)の送受信であり、AS2及びBS2は病歴情報の送受信である。図3に示すごとく、品質管理情報47jの一部として、販売済動物商品のID(特定情報)と対応付けた形で記憶される(図22:BS3)。図17は、その品質管理情報47jの内容を示すもので、個々の販売済動物商品のIDに対し、供給元であるブリーダー、販売店、上記病歴情報及び評価情報が対応付けられている(つまり、獣医学的情報データベースが形成されている)。評価情報は病歴情報に基づいて作成されるものであり、例えば病院側端末6で作成され、販売管理装置2に送信されるが(図22:AS3/BS4)、病歴情報を受けた販売管理装置2側で作成してもよい。詳細は以下の通りである。すなわち、図18に示すように、病気の種別毎に血統ペナルティポイントが定められており、遺伝性の強い病気ほどペナルティポイントは高く設定されている。病院側端末6では、1回の病気治療が発生するたびに、このペナルティポイントを手動入力するか、端末内に予め記憶されている病名/ペナルティポイント対応表(病名毎にペナルティポイントが一義的に定められている)上で検索して自動入力する。1つの販売済動物商品について、発生した病気の頻度が高くなるほど、また、発生した病気の遺伝性が高くなるほど、血統ペナルティポイントの合計は大きくなることは明らかである。特に遺伝性の高い病気としては、股関節形成不全、臍ヘルニア、潜在睾丸、膝蓋骨脱臼、頭蓋下顎骨骨病、鼠径ヘルニア、水頭症、心臓肥大等を例示できる。逆に遺伝性の低い病気は、軽度な外傷やストレス性による体調不良などが典型的である。
【0064】
この場合、図25に示すごとく、病気の遺伝性情報を、評価対象となる動物商品の種別に応じて異なる内容に定めた遺伝性評価テーブルを設けることができる(販売管理装置2あるいは動物病院側端末6の記憶装置内に置くことができる)。図25においては、品種(犬種あるいは猫種)と対応付ける形で、各品種において遺伝的に発生しやすい病気が記憶されており、図示はしていないが、品種毎の病気のそれぞれについて血統ペナルティポイントが定められている。該遺伝性評価テーブル上にて、治療にかかる動物の品種に対応した遺伝性病名群を参照し、病院側端末6で入力された病名についてこれと一致した病名があるかどうかを調べる。そして、一致した病名があれば、その病名に対応した血統ペナルティポイントを読み出して、図18と同様の評価処理に組み入れる。これにより、遺伝性病歴の多寡に応じた血統評価を、動物の種別毎により正確に行なうことができるようになる。
【0065】
図3に戻り、上記販売済動物商品の病歴情報を用いて、販売前動物商品のフィードバック評価情報が作成される。この作成過程で、個々の販売前動物商品に対し、血統上の関連を有する販売済動物商品の、病歴情報の検索処理が利用される。以下、フィードバック評価情報の作成処理について、図23及び図24のフローチャートを用いて説明する。
【0066】
S101ではまず、評価すべき動物商品のID(特定情報)をリードし、S102及びS103では、フィードバック評価情報に組み込むために、その動物商品の販売店やブリーダーのID(特定情報)もリードする。そして、S104で、その動物商品の血統検索となる。図24は、その詳細を示すものである。まず、S201で、基点ID(販売前動物商品であれば、その動物商品のID)の生体(動物商品)の血統情報(図3の符号41e:内容については、図10の符号75を参照)にて、その両親を特定する(父母追跡検索手段)。次に、S202では、該両親のIDに親等番号FN=1(つまり、1親等)を付与して、検索メモリ(図2:RAM26内)に記憶する。販売前動物商品(生体)は多くの場合幼少であり、普通子供はいないから、FN=1(1親等)が付与される生体は両親だけであり、この時点で検索メモリ内にはその両親のIDだけが、FN=1を付与された形で記憶される。この様子を、図19の左に表している。図19及び図20では、動物商品の性別を♂及び♀の記号で表し、検索基点となる動物商品を黒で塗りつぶし、検索済みの動物商品には、検索基点となる動物商品から見た親等番号を記入している。この親等番号の最も大きい動物商品が、そのステップでの基準動物商品である。そして、父母追跡ないし子供追跡によりそのステップで検索される、基準動物商品から1親等離れた動物商品にハッチングを付与して表している。一方、この検索処理は、販売済動物商品についても全く同様に実施できるが、この場合は、動物商品に既に子供ができていることがある。従って、S201では、直系の子供のIDも血統情報で検索する。この場合、着目している動物商品(基準動物商品)のIDが、血統情報中の両親のIDと一致する動物商品を、子供として検索することになる。S203で、親等カウンタFNVの値を初期化(初期値:1)する。
【0067】
S204では、検索メモリ内にて、親等カウンタFNVが示す親等番号の動物商品を全て検索し、その検索数をNHにセットするとともに、個々の動物商品に検索番号QNを付与し、検索メモリ内にて検索番号QN順にソートする。これは、検索基点となる動物商品(例えば販売前)のIDから、親等カウンタFNVが示す親等番号の血縁関係にある動物商品(例えば販売済)を、次の検索の基準動物商品としてセットしなおし、それらの各基準動物商品からみて1つだけ親等が離れた動物商品を検索する準備をするためである。
【0068】
具体的には、S205で検索番号QNを初期化し、S206では検索番号QNの動物商品の、その両親のIDを血統情報にて検索し、親等番号FNをFNV+1として検索メモリに記憶する(父母追跡検索手段)。また、S207では、血統情報中の両親のIDが、基準動物商品のIDと一致する動物商品を全て検索し(血縁の両親は1対だけであるが、子供の数は不定である)、親等番号FNをFNV+1として検索メモリに記憶する(子供追跡検索手段)。つまり、基準動物商品の親等番号は、S204にて親等カウンタFNVの値として設定しているから、その両親及び子供は、それよりも親等番号が1だけ離れたFNV+1である。以上の処理で、比較的近い親等内で交配が進められた場合は、既に検索メモリ内にセット済みの動物商品が重複検索されることもあるので、この場合は、その重複を取り除いてゆくようにする。
【0069】
S208では検索番号QNをインクリメントし、S209で、NHとして既に特定されている基準動物商品の総数にQNが到達するまで、S206及びS207、つまり、父母追跡検索手段又は子供追跡検索手段による血統追跡検索を反復する。そしてS210では親等カウンタFNVをインクリメントし、S204に戻って以下の処理を繰り返す。図19のごとく、FNV=1の動物商品が検索メモリ内に検索された状態であれば、S206及びS207では、その両親と子供とがFN=FNV+1=2の親等番号を付与される。この状態にて、S210でFNVがインクリメントされてS204に戻れば、S204ではFNV=2がついている動物商品が検索メモリ内で全てリストアップされ、図20の左に示すように、それらが基準動物商品としてセットしなおされる。基準動物商品は基点から見て2親等の動物商品である(性別記号の○の中に「2」と表示されているもの)。その状態でS206及びS207を実行すると、ハッチングを付与した動物商品が検索され、3親等として特定される。その後、さらに同じ処理を繰り返して4親等目を検索特定した状態が図20の右である。基点から見て、傍系の血統も含めて漏れなく検索が行なわれていることがわかる。上記の処理の反復は、S211で、親等カウンタFNVが予め定められた最大値(FNV)maxに到達すれば打ち切られ、S212で必要に応じて、その検索リストを出力する((図2のモニタ30あるいはプリンタ31)。
【0070】
図23に戻り、S104で検索された動物商品を、フィードバック評価の対象となる動物商品(例えば販売前動物商品)の血統グループとして定め、S105及びS106において、該グループに属する動物商品の前置検査の結果情報、病歴情報及び血統ペナルティ情報を、図3の品質管理情報47jにて検索する(血統/獣医学的情報検索手段)。S107では、各動物商品の血統ペナルティポイントを、販売前動物商品から見た親等により重み付け換算する。この場合、親等が離れるほど、血統ペナルティポイントに乗ずる重み付け係数の値を小さくしている。図21にその具体例を示している。1親等と2親等とは、親等換算の重み付け係数が1であり、3親等は0.9、4親等は0.8に定めてある。S108では、病歴情報の統計データ処理を行なう(例えば、病名ごとの発生頻度のヒストグラム化など)。
【0071】
親等換算された血統ペナルティポイントの合計値は、血統グループ内の病歴回数の絶対値が多いほど大きくなる。また、同じ病歴回数でも、遺伝性の高い病歴が多く含まれるほど大きくなる。さらに、同じ病歴回数でも、フィードバック評価の対象となる動物商品に対し、近い親等内に病気が発生するほど、親等換算された血統ペナルティポイントの合計値は高くなる。
【0072】
販売前動物商品については、上記処理で得られる血統ペナルティポイントの合計値が十分に小さければ、出荷を問題なく行なうことができるし、逆に血統ペナルティポイントの合計値が大きくなれば、その販売価格を低減したり、最悪の場合は販売中止の判断を下すこともできる。
【0073】
また、比較的近い血縁関係にある複数の販売後動物商品にて病気発生の頻度が高い見通しがある場合、それらの販売後動物商品の一つについて、上記販売前動物商品と全く同様にフィードドバック評価処理を行い、血統グループを特定してその血統ペナルティポイントの合計を調査すれば、その血統グループ全体の良否判断が可能であるから、例えばその情報をブリーダーにフィードバックして、該血統グループを交配に用いる際の注意を促したり、あるいは新規交配時に、その血統グループの利用を制限する助言を行なったりすることができる。
【0074】
また、図21に示すごとく、血統グループに対する前置検査の結果情報の検索結果を参照すれば、出荷前の診察や臨床検査の結果も参照でき、病歴情報の解釈を補強することができる。また、ペットの色柄や毛並み、骨格、性格、発育状況、寄生虫やノミ・ダニなどの発生状況についても、血統グループ内の遺伝的傾向の把握に有効に活用できる。特にペットの色柄は販売するペットの商品価値を左右する重要な因子であり、よく好まれる色柄の遺伝傾向が強い血統グループを優先的に交配に利用したり、逆にあまり好まれない色柄については交配への採用を見合わせたりするなど、有益に活用することができる。
【0075】
また、図3においては、その獣医学的情報データベース(動物商品情報記憶部41+動物商品管理情報記憶部47)上にて、血統検索でなく、ブリーダーや販売店を検索項目として獣医学的情報の検索も実施することができる。例えば、検索された結果に含まれる性格、発育状況、寄生虫やノミ・ダニなどの発生状況(ここでは、これらは前置検査の結果として収集されている)などの情報を参照し、状況が芳しくない場合には、ブリーダーや販売店に改善のための指導や助言を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の動物販売管理システムの全体構成を概略にて示す概念図。
【図2】販売管理装置の構成例を示すブロック図。
【図3】図2の記憶装置の内部データ構成例を示す概念図。
【図4】購入者側端末の構成例を示すブロック図。
【図5】動物病院側端末の構成例を示すブロック図。
【図6】保健管理装置の構成例を示すブロック図。
【図7】販売経過データの構成例を示す模式図。
【図8】保険加入申込書フォームの模式図。
【図9】販売ホームページの実例を示す第一図。
【図10】同じく第二図。
【図11】同じく第三図。
【図12】通信による本発明の動物販売管理システムの、処理流れの一例を示すフローチャート。
【図13】動物病院選択処理の流れのいくつかを例示して示すフローチャート。
【図14】図12に続くフローチャート。
【図15】図14に続くフローチャート。
【図16】動物側血統情報記憶と、その読取装置の概念を示す図。
【図17】品質管理情報の内容を示す図。
【図18】病歴情報の内容を示す図。
【図19】血統検索処理の作用説明図。
【図20】図19に続く説明図。
【図21】フィードバック評価情報の内容を示す図。
【図22】病歴情報の取得処理を概念的に示すフローチャート。
【図23】フィードバック評価情報の作成処理の流れを示すフローチャート。
【図24】図23の血統検査処理のアルゴリズムを示すフローチャート。
【図25】遺伝性評価テーブルの内容の例を示す模式図。
【符号の説明】
【0077】
1 動物販売管理システム
2 動物販売管理装置
24 CPU
42 基本管理プログラム
3 動物診療保険管理装置
324 CPU
59 管理プログラム
4 インターネット(通信網)
5 購入者側端末
6 動物病院側端末
27 通信インターフェース
41 動物商品情報記憶部
41w 動物商品情報
45 動物病院情報記憶部
57 保険管理登録記憶部
【技術分野】
【0001】
この発明は、インターネットなどの通信網を利用した動物販売管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2001−297207号公報
【特許文献2】特開2002−24577号公報
【特許文献3】特開2002−223426号公報
【特許文献4】特開2003−58729号公報
【0003】
近年、犬や猫などのペット用動物や、その飼育に使用するペット用品等の販売業界においてもIT化の傾向が目覚しく、特許文献1〜4に開示されているごとく、インターネットを利用したオンラインペットショップあるいはペット用品販売システムに関する様々な発明がなされている。
【0004】
また、特許文献4には、ペットショップ、ペット用品ショップ及び動物病院に係るインターネットの総合サイトに係る発明概念が開示されている。インターネットならではの機能として、広域に散在するショップや病院をリンクにより一体化し、さらにその検索機能を付与することで、これからペットを購入しようとしている人や、既に購入して飼育している人が、最適な近隣のショップを迅速に見出すことができるように工夫されている。また、会員登録された動物病院の獣医師による助言情報がデータベース化され、飼っているペットに病気等の異変が生じたときの対処方法に関する情報も取得できるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ペットショップにて販売に供されたペットが、販売後に病気になることは珍しくない。しかし、その病気の要因が販売前に既に存在していたとすれば、購入者にとって由々しき問題のはずである。しかし、明らかな病状を呈している場合は別として、ペットの将来的な病気発生を予測するための技術的な手法が確立されていないことから、販売時点で異常が認められない限り、事前に問題把握して販売回避するなど、ペットショップ側で具体策を講ずることは、一般には難しい。また、病気遺伝管理の観点で重要な意味を持つ血統に関しては、純血を維持して特定種のブランド的価値を高めるために、ブリーダー側で興味がもたれているに過ぎない。その結果、病歴と血統ないし遺伝の関係については、ペット生産者たるブリーダーが、自分が繁殖させた子犬や子猫について、ごく幼少期の病歴を目の届く範囲内で把握するのが精一杯であるし、仮にいくらかの子犬や子猫がブリーダーの元で病死したりしても、血統との因果関係について系統的に把握することは、ブリーダー任せの状態では不可能に近い。
【0006】
そして、より重要な問題は、ペットが成長してから発生しやすい病気の場合、実際に病気が発生するのはペットがブリーダーや販売者の手を離れてからのことであるため、病歴と血統との因果関係は事実上ほぼ不可能、という点にある。事実、従来は、飼い主からの自主的な申し出等があった場合は別として、販売後のペットの病歴に関しては、その情報収集のための具体的な検討はほとんどなされてこなかったし、仮に一部の情報が収集できたとしても、新規に販売しようとするペット等に、情報としてフィードバックするための系統的な手法も開発されていなかった。
【0007】
本発明の課題は、販売後のペットの病歴情報を系統的に収集することができ、収集された病歴のペットの血統との因果関係も容易に把握することができる動物販売管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の動物販売管理システムは、
動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶する販動物商品情報記憶部を有した動物販売管理装置と、
動物商品に対する、検査、診察又は病気治療の少なくともいずれかを含む獣医学的情報収集処理を実施可能な情報収集施設に設置されるとともに、通信網を介して動物販売管理装置に接続され、販売済動物商品の情報収集施設にて収集された獣医学的情報を入力する情報収集施設側端末とを備え、
動物販売管理装置には、各動物商品について収集された獣医学的情報を情報収集施設側端末から通信網を介して受信する獣医学的情報受信手段と、受信した獣医学的情報を動物商品と対応付けて記憶・蓄積する獣医学的情報データベースと、選択された特定の動物商品と血統上の関連を有する他の動物商品の獣医学的情報を、獣医学的情報データベースにおいて血統情報に基づき検索する血統/獣医学的情報検索手段と、その検索結果を出力する検索出力手段と、が設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記本発明の動物販売管理システムの構成によると、動物販売管理装置には、動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶しておく。他方、検査、診察又は病気治療の少なくともいずれかを含む獣医学的情報収集処理を実施可能な情報収集施設に情報収集施設側端末を適宜設置して、通信網を介してこれを動物販売管理装置に接続するとともに、販売済動物商品の該情報収集施設にて収集された獣医学的情報を情報収集施設側端末側で入力し、通信網を介して動物販売管理装置にこれを送る。獣医学的情報は動物商品及びその血統情報と対応付けて獣医学的情報データベースとして蓄積されるので、ある動物商品について、これと血統上の関連を有する他の動物商品の治療病歴情報を、上記データベース上で簡単に検索することができる。
【0010】
上記の検索結果を出力し、その結果を参照することで、次のような種々の効果を達成することができる。
(1)これから販売しようとする(あるいは販売を考えている)動物商品の過去の血統における獣医学的情報を統計的に把握することができ、その把握結果に基づいて当該動物商品の獣医学的かつ遺伝学的評価を行なうことができる。その評価結果は、販売上の様々なアクション(例えば、ペットの価格の設定や、最悪の場合は販売の回避など)に反映させることができる。
(2)ブリーダー等に上記の情報をフィードバックすることで、新たにペットを繁殖させる場合にも、遺伝学的な問題の大きい血統は回避するなど、生まれてくるペットの品質向上を図ることができる。この場合、ある動物商品について、これと血縁関係にある動物商品(以下、血統グループともいう)の獣医学的情報を集め、血統グループ全体の獣医学的情報を統計的に把握することができれば、その把握結果に基づいて、どの血統が交配に不向きであるか、などの判断を容易に下すことができる。
【0011】
獣医学的情報には、上記の検査、診察又は病気治療の少なくともいずれかの結果情報が含まれる。診察の結果情報として、どのような病気にかかっているかの情報ももちろん得られるが、「特に異常なし(つまり病気でない)」との結果が情報して得られることもある。治療を行なえば、その治療内容についての情報も収集できる(ただし、診察のみで治療を行なわない場合もありえる)。また、検査は、病気だけでなく、それ以外の種々の情報をも収集するためのものであり、例えばペットの色柄や毛並み、骨格、性格、発育状況、寄生虫やノミ・ダニなどの発生状況などについての情報も収集可能である。また、出荷前の動物商品については、臨床検査を実施することも可能であり、健康状態推移や病気経過などの情報を詳細に収集することができる。
【0012】
動物販売管理装置には、これから販売しようとする動物商品である販売前動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶する販売前動物商品情報記憶部と、すでに販売済みの動物商品である販売済動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶する販売済動物商品情報記憶部とが設けられ、
動物販売管理装置において、獣医学的情報受信手段は、既に販売済の動物商品である販売済動物商品の獣医学的情報を情報収集施設側端末から通信網を介して受信するものであり、血統/獣医学的情報検索手段は、販売前動物商品に対し、血統上の関連を有する販売済動物商品の獣医学的情報を、獣医学的情報データベースにおいて血統情報に基づき検索するものとして構成できる。
【0013】
上記のように構成すると、検索された獣医学的情報に基づいて、これから販売しようとする(あるいは販売を考えている)動物商品、つまり販売前動物商品の過去(つまり、販売済動物商品)の血統に、遺伝学的な問題が発生しやすいかどうかを統計的に把握することができ、ひいては、その販売前動物商品に将来的に病気が発生しやすいかどうかを予測することができる。その予測結果は、販売上の様々なアクション(例えば、ペットの価格の設定や、最悪の場合は販売の回避など)に反映させることができる。
【0014】
情報収集施設側端末は、販売済動物商品が病気治療を受ける動物病院に設置されるとともに、販売済動物商品の動物病院での治療病歴情報を入力する動物病院側端末とすることができる。購入したペットが病気にかかった場合、その治療を受ける動物病院に情報収集施設側端末を設置しておけば、その病気診察(あるいは診断)の結果や、治療実績の情報である治療病歴情報を、前述の獣医学的情報として効率的に収集でき、また、病歴に基づく血統評価を効果的に行なうことができる。ただし、端末が置かれる情報収集施設は動物病院に限定されるものではなく、獣医師が駐在ないし出張するペットショップや検査診療所(この場合、診察、治療、あるいは臨床検査に係る情報が収集可能である)にも端末を置くことができる。また、ペットの鑑定や品質評価の専門家が駐在ないし出張するペットショップも端末が置かれる情報収集施設として利用でき、ペットの色柄や毛並み、骨格、性格、発育状況、寄生虫やノミ・ダニなどの発生状況などに係る検査情報が収集可能である。
【0015】
次に、本発明の動物販売管理システムには、上記血統/獣医学的情報検索手段が検索した、販売前動物商品と血統上の関連を有する販売済動物商品の治療病歴情報に基づいて、販売前動物商品の品質評価を行なう品質評価手段を設けることができる。これにより、販売済動物商品における病歴と血統との関連における販売前動物商品の品質の良否判定を、より能率的に行なうことができる。
【0016】
具体的には、品質評価手段は、販売前動物商品と血統上の関連を有する販売済動物商品において、治療病歴を有した販売済動物商品が多いほど販売前動物商品の品質を低く評価するものとすることができる。治療病歴に多寡によって、同一血統グループに属する動物商品の統計的な評価を容易に行なうことができる。また、品質評価手段は、販売前動物商品と血統上の関連を有する販売済動物商品において、検索された治療病歴の遺伝性が高いほど販売前動物商品の品質を低く評価するものとすることができる。遺伝性の高い病気は同じ血統グループ内での発生頻度が高く、血統の良否判定における遺伝学的な信頼度をより高めることができる。この場合、上記治療病歴の数的な評価と組み合わせるとより効果的であり、さらに、販売前動物商品と血統上の関連を有する販売済動物商品において、治療病歴が検索された販売済動物商品の、販売前動物商品に対する親等が近いほど、当該販売前動物商品の品質を低く評価するものとすれば、遺伝学的な信頼度をさらに高めることができる。
【0017】
また、上記構成においては、病気の遺伝性情報を、評価対象となる動物商品の種別に応じて異なる内容に定めた遺伝性評価テーブルを設けることができる。品質評価手段は、販売済動物商品の種別に対応した遺伝性情報を前記遺伝性評価テーブルから読み出し、該情報に基づいて、検索された前記治療病歴の遺伝性を評価するものとすることができる。動物の種別(例えば犬や猫の場合、犬種や猫種)によって、遺伝性の病気の種類が異なる場合がある。上記構成によると、遺伝性病歴の多寡に応じた血統評価を、動物の種別毎により正確に行なうことができるようになる。
【0018】
また、本発明の動物販売管理システムにおいては、通信網を介して動物診療保険管理装置を接続することができる。該動物診療保険管理装置には、販売済動物商品と、該販売済動物商品が加入している動物診療保険の特定情報である保険特定情報と、保険実績情報とを対応付けて記憶することができる。そして、動物病院側端末装置には、治療を受ける販売済動物商品の治療病歴情報を入力する治療病歴情報入力手段と、保険特定情報を入力する保険特定情報入力手段と、血統情報を入力する血統情報入力手段と、治療病歴情報を血統情報と対応付けた形で動物販売管理装置に送信する一方、該治療病歴情報を、保険実績情報の一部として保険特定情報と対応付けて動物診療保険管理装置に送信する病歴情報送信手段とを設けることができる。
【0019】
ペットや家畜などの動物が動物病院で診療を受けようとする場合に、人的社会での健康保険制度に相当するシステムを動物診療の世界でも実現した、いわゆる動物診療保険システムが既に実用化されている。このシステムでは、一定の保険料を納めると、保険加入している動物病院にて治療を受ければ、その治療費の一部が保険運用資金から拠出され、保険加入者の治療負担を減ずることができる。
【0020】
動物診療保険の適用を受けるのに好都合なのは、当然、保険に加入している動物病院ということになる(ただし、保険未加入の病院であっても実費治療を受け、後日、保険会社への請求により保険金を受け取ることは可能であるが、後の手続きが面倒である)。上記の構成によると、保険適用を前提に病院に連れて来られた販売済動物商品は、その病院で治療を受けることで、獣医師により病歴情報が収集される。その病歴情報は、保険適用の可否や、治療実績に応じた保険適用額の算出などに必須な情報なので、保険実績情報の一部として保険特定情報と対応付けて動物診療保険管理装置に送信される。これは、当然、血統情報と対応付けた形で動物販売管理装置に送信する治療病歴情報として流用できるので、血統評価用の新たな治療病歴情報を作成する手間を省くことができる。また、購入した動物商品を保険加入させることで、かかりつけとなる動物病院も病院側端末が配置された保険対応病院に限定することができ、治療病歴情報の収集をより遺漏無く行なえるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する(なお、本明細書において「情報」と「データ」とは、特に断りのない限り、概念上の差はないものとして取り扱う)。図1は、本発明の一実施形態である動物販売管理システム1の全体概略を示すものであり、動物販売管理装置(以下、単に販売管理装置ともいう)2、購入者側端末5、動物診療保険管理装置(以下、単に保険管理装置ともいう)3、動物病院側端末(情報収集施設側端末)6、販売店側端末8及びメールサーバ7が、インターネット(通信網)4を介して接続された構造を有する。販売管理装置2と保険管理装置3とは、いずれもサーバコンピュータとして構成されるが、複数のコンピュータがネットワーク上で連携することで仮想的に一体の装置として構成されたものも概念に含む。
【0022】
購入者側端末5は、インターネット4にアクセスする不特定多数の利用者の手元に置かれるコンピュータであり、動物販売管理装置2をサーバとして運営されるオンラインペットショップ(実体は動物販売管理装置2が機能実現するペットショップサーバということになる)にアクセスすることで、ペットの購入端末として機能する。一方、販売店側端末8は店頭販売型のペットショップに置かれ、購入者が店頭を訪問してペットを購入する際に、店員によって操作されるものであるが、機能自体は購入者側端末5とほぼ同じである。一方、動物病院側端末6は、保険管理装置3により管理されている動物診療保険の加入動物病院(また、動物販売管理装置2が運営するペット(動物)販売ホームページが、販売した動物商品の、購入者への引渡し先として指定する動物病院でもある)に設置されるものである。なお、動物病院側端末6は情報収集施設側端末の一つを構成するものであるが、該端末が置かれる情報収集施設は動物病院に限定されるものではなく、獣医師が駐在ないし出張するペットショップや検査診療所も利用できる。この場合、販売店側端末8を情報収集施設側端末としても利用することができ、例えば後述の前置検査にて、診察、臨床検査に係る情報が収集可能である。また、ペットショップにペットの鑑定や品質評価の専門家を駐在ないし出張させることで、上記の前置検査にて、ペットの色柄や毛並み、骨格、性格、発育状況、寄生虫やノミ・ダニなどの発生状況などに係る検査情報も合わせて収集するようにしている。
【0023】
図2に示すように、販売管理装置2は、バスを介してCPU24、基本制御プログラムを格納したROM25、記憶装置32内にインストールされた本発明のシステムの機能実現を担う基本管理プログラム42(図3)のワークエリアとして機能するRAM26、及び入出力インターフェース部(以下、I/O部ともいう)23を有するコンピュータとして構成されている。I/O部23には上記の記憶装置32を始め、インターネット4(図1)との接続を行なう通信インターフェース(モデム、ルータ、ターミナルアダプタなど)27、マウス及びキーボードからなる入力部28、表示出力用のモニタ30、及び印刷出力用のプリンタ31を備える。
【0024】
図4に示すように、購入者側端末5(あるいは販売店側端末8)も同様に、CPU124、ROM125、記憶装置132内にインストールされたホームページ表示用のブラウザソフト、メールソフトなどのワークエリアとして機能するRAM126、及びI/O部123を有するコンピュータとして構成されている。I/O部123には、記憶装置132を始め、インターネット4(図1)との接続を行なう通信インターフェース127、入力部128、モニタ130及びプリンタ131を備える。
【0025】
また、図5に示すように、病院側端末6も同様に、CPU224、ROM225、記憶装置232内にインストールされたホームページ表示用のブラウザソフトなどのワークエリアとして機能するRAM226、及びI/O部223を有するコンピュータとして構成されている。I/O部223には、記憶装置232を始め、インターネット4(図1)との接続を行なう通信インターフェース227、入力部228、モニタ230及びプリンタ231を備える。記憶装置232には、本発明のシステムにおける病院側端末6の基本処理を行なうための管理プログラム53が格納されている。
【0026】
図6は保険管理装置3の構成を示すもので、CPU324、ROM325、記憶装置332内にインストールされた、本発明のシステムの機能実現を担う管理プログラム59などののワークエリアとして機能するRAM326、及びI/O323を有するコンピュータとして構成されている。I/O部323には、記憶装置332を始め、インターネット4(図1)との接続を行なう通信インターフェース327、入力部328、モニタ330及びプリンタ331を備える。
【0027】
図3は、販売管理装置2の記憶装置32内の詳細を示すものである。記憶装置32には、動物商品情報41wを記憶する動物商品情報記憶部41が形成されている。該動物商品情報41wは、商品ID41a、動物品種41b、性別41c、ブリーダー名41d、血統情報41e、年齢(あるいは生年月日)41f、価格41g、商品画像41hとその撮影日41i、別の商品画像41jとその撮影日41k、商品の販売店41l、及びフィードバック評価情報41mなどのデータを含むものであり、商品毎に異なる商品ID41aを付されて互いに対応付けて記憶されている。フィードバック評価情報41mは、商品ID41aが特定する動物商品(販売前動物商品)について、血統にて関連付けられる販売済動物商品の獣医学的情報(本実施形態では、病歴情報と後述の前置検査の結果情報)に基づいて作成される、当該販売前動物商品の評価情報であるが、その詳細は後述する。
【0028】
また、記憶装置32には、前述の基本管理プログラム42、図9〜図11のような販売ホームページをインターネット4上にアップロードするための販売ホームページデータ43、及び動物商品とセットで販売(加入)される動物診療保険の情報44も記憶されている。
【0029】
以下、システムの動作について説明する。図12は、購入者側端末5と販売管理装置2との間の、主として動物商品購入処理の流れを示すものである。図14は、販売管理装置2と保険管理装置3との間の、主として動物商品購入処理に随伴した保険加入用のデータトランスファ処理の流れを示すものである。さらに、図15は、販売管理装置2と動物病院側端末6との間の、主として動物商品引渡し処理と、動物病院からの動物商品に対する診察結果のフィードバック処理の流れを示すものである。このように、複数群のコンピュータ間での通信(電子メールを含む)により連携的にシステム上の処理が進行することになるが、以下においては、購入者の視点から見た流れ追跡を重視した形で説明を進める。説明の順序は、必ずしも各図のフローチャート上の流れを優先したものとはなっていないので、説明の途中で随時、参照すべきフローチャートのステップ番号を挿入し、理解の便宜を図るものとする。
【0030】
まず、販売管理装置2からは、動物商品情報41wは通信インターフェース27を介して動物診療保険情報44とともに購入者側端末5に送信される(動物商品情報送信手段)。具体的には、販売管理装置2において、図2のアップロードメモリ48を使用して、販売ホームページ(以下、HPとも記載する)をインターネット上にアップロードする(図12:HS1)。購入者側端末5側では、ブラウザソフトウェア49を立ち上げ、販売HPのURL入力により販売管理装置2にアクセスする(図12:CS1)。これにより、購入者側端末5は販売管理装置2から動物商品情報41wを販売HPに組み込んだ形でダウンロードすることができる(HS2,CS2)。
【0031】
図9は、その販売HPのトップページ(モニタ130に出力される)の出力例を示すものであり、商品案内アイコン70,71が表示されている。このうち、商品案内アイコン70は、動物商品の品種毎に設けられ、マウスクリックにより対応する品種の購入ページのURLが入力されて、該当ページへジャンプする(つまり、該当ページへのリンクが張られている)。このジャンプ先のページは図示していないが、品種別の動物商品の画像と、その購入ボタンとが対応付けて表示される。また、商品案内アイコン71は、特定の推奨商品(特選商品)のピックアップページへのリンクを張るものである。
【0032】
図10にそのピックアップページの内容を示している。ここには、個別の動物商品の画像79と、マウスクリックにより操作する購入ボタン73が設けられている。なお、本実施形態では、購入ボタン73のクリックにより、動物商品の購入確定とともに、動物診療保険への加入意思確定も同時に行なうようにしている(ただし、一点鎖線で示すように、保険加入ボタン74を別途設け、動物商品の購入と保険加入とを分離することにより、保険加入を任意とする構成も可能である)。また、商品画像79とともに、これら動物商品の両親の血統情報75も表示されている(図3の血統情報41eが読み出され、表示されたものである)。
【0033】
図3に示すように、販売管理装置2において、動物商品情報記憶部41に記憶されている動物商品情報41wには、撮影日を異ならせて複数撮影された動物商品の画像情報41h,41jが含まれている(各々日付データ41i,41kが随伴している)。図3では、2つの日付の画像情報だけが記憶されているが、もっと多くの日付の画像情報が記憶されてもよい。そして、購入者側端末5に送信される動物商品情報41wには、画像情報のうち、撮影日の異なる少なくとも2つの画像情報41h,41jが含まれており、購入者側端末5には該画像情報41h,41jの表示部(表示手段)76,77(図11)が設けられている。
【0034】
具体的には図10において、商品画像79がページリンクボタンを兼ねており、この画像79をクリックすると、図11に示すように、対応商品の詳細ページにジャンプする。画像情報41h,41jによる撮影日の異なる商品画像76,77が複数表示される。これにより、購入者は、自分が購入しようとする動物商品が健全に成長してきていることをこれらの画像から確認でき、安心感を得ることができる。なお、図11においては、商品画像76,77に係る子犬の両親の画像78も合わせて表示されている。
【0035】
なお、販売管理装置2において、同一の動物商品に対する新しい撮影日の画像情報41hが動物商品情報記憶部41に追加される毎に、動物商品情報送信手段は該追加された画像情報41hを購入者側端末5へ随時送信するようにしてもよい。購入を迷っている利用者は、日を追って新しい画像に更新されてゆくのを見ることで、購入意欲をくすぐられることになる。
【0036】
図9に戻り、トップページの下部には、動物診療保険情報44に基づく動物診療保険加入の案内情報が表示されている。なお、詳細ボタン72も形成され、これをクリックすると、張られたリンクにより、動物診療保険情報44に基づく動物診療保険の詳細情報ページにジャンプする。これにより、利用者は動物診療保険についてさらに詳しい情報を得ることができる。
【0037】
図4において、購入者側端末5は、販売HPへのアクセスにより、通信インターフェース127を介して動物商品情報と動物診療保険情報とを受信する(動物商品情報受信手段)。また、購入選択した動物商品の特定情報(動物商品ID41a(図3))を、購入者データ(購入者特定情報)とともに動物購入情報として販売管理装置2に送信する(動物購入情報送信手段)(以上、図12:CS3,CS4)。具体的には、入力部28により、図10の購入ボタン73をクリックして、購入する動物商品を選択する(動物商品選択手段)。すると、図示しない購入ページにジャンプし、そこで入力部28により購入者データ47dを入力する(入力手段:CS6)。
【0038】
図2の販売管理装置2は、上記のようにして入力した動物購入情報を受信する(動物購入情報受信手段:HS4)。図3に示すように、動物商品ID41aと購入者データ47dとは、互いに対応付けられて動物商品管理情報記憶部47に格納される。動物商品管理情報記憶部47内の商品管理情報47wは、商品ID47a、商品の入荷日47b、販売経過データ47c、購入者データ47d、保険管理データ(保険管理装置3(図6)からフィードバックされる保険加入の完了/未完を示すデータである)47e、前置検査結果データ47f、引渡し前診察結果データ47g、引渡し可否データ47h、引渡し病院データ47i、品質管理データ47iなどが記憶されている。動物購入情報を受信すれば購入決定を確定し、動物商品管理情報記憶部47の販売経過データ47cに、図7に示すように購入日のデータを書き込む(HS4)。その後、購入者から代金の入金があれば、入金日の書き込みを行なう。
【0039】
本実施形態では、前述のごとく、動物商品の購入選択が動物診療保険の加入意思決定入力も兼ねているので、販売管理装置2は、購入決定の情報を購入者側端末5から受信すると、購入者データ47dの一部又は全部(本実施形態では全部)を保険加入者データ(保険加入希望者特定情報)として、購入に係る動物商品情報(本実施形態では、品種、性別、血統及び年齢の各データを含む)57dとともに保険管理装置3に転送する(保険加入希望者特定情報転送手段)(図14:HS51)。
【0040】
図6の保険管理装置3は、上記の保険加入者データ57cを動物商品情報57dとともに受信する(保険加入者データ受信手段:IS1)。また、記憶装置332内には、保険加入者データ(又は保険加入予定者情報:加入経過情報57bにより識別される)57cと保険対象動物情報57dとを互いに対応付けた形で管理登録する保険管理登録記憶部(保険管理登録手段)57が設けられている。保険管理装置3は、受信した動物情報57d(図3の動物商品情報41wの一部)と保険加入者データ57c(図3の購入者データ47d)とに基づいて、その動物商品を保険対象動物とし、その動物商品の購入者を保険加入者又は保険加入予定者として、保険管理登録記憶部57に登録する(保険登録手段:IS2,IS3)。
【0041】
具体的には、保険管理登録記憶部57は、受信した保険加入者データ57cに基づいて、動物商品の購入者をひとまず保険加入予定者として登録する(IS2)。具体的には、加入経過情報57bを「加入予定」に設定することにより行なう。他方、記憶装置332には、保険対象動物情報57dと保険加入者データ57cとを記入必須事項として含む保険加入申込書フォーム58の記憶部58が設けられている。入力部328からのコマンド入力により、その記憶された保険加入申込書フォーム58が読み出され(IS4)、受信した動物商品情報57dと保険加入者データ57cから必要な項目を抽出し(IS5)、保険加入申込書フォーム58の指定位置に合成し(IS6)、その合成された結果を出力する(IS7)。
【0042】
図8は、保険加入申込書フォーム58の一例を模式的に示すものである。動物情報57dに含まれる品種、名称、性別及び年齢、保険加入者データ57cに含まれる、加入者の氏名、性別、生年月日、住所、電話番号が必須記載項目とされ、さらに、日付と署名・捺印の欄も形成されている。署名・捺印は加入者による人的な自署及び押印によりなされるものである。そして、動物情報57dと保険加入者データ57cとの該等記入欄SP,S,A,XC,XE,XF,XD,XGは、原フォームでは空欄とされている。これらの欄も加入者が自分で記入することができるが、手間を省くために保険管理装置3では、販売管理装置2から受信した動物情報57dと保険加入者データ57cとの必要な部分を保険加入申込書フォーム58のデータに流し込み、これをプリンタ331から紙出力する(なお、フォーム58のデータを電子メール等で送信することも「出力」の概念に属する。)。紙出力された保険加入申込書フォーム58は郵送等により購入者の元へ送られる。これを受け取った購入者は、残った空欄を埋めて署名捺印し、再度保険会社へ送り返す。申込書の記載事項に誤りがなければ保険加入契約は成立する。図6の保険管理登録記憶部57は、保険加入予定者として登録されている動物商品の購入者のうち、上記のようにして保険加入申込書フォーム58を介して保険契約手続が完了した購入者を、保険加入者として登録変更する(登録変更手段)。具体的には、加入経過データ57bにおいて「加入予定」となっているのを、「加入済み」へとデータ書き換えする(IS9,IS10:ただし、IS9は、処理流れの理解の便宜を図るために追記した人為的なステップである)。保健管理登録記憶部57の内容を出力して閲覧すれば、加入予定のまま残っている加入者データを容易に発見でき、適切な督促を行なうことができる。
【0043】
次に、本実施形態においては、図3に示すごとく、販売管理装置2の記憶装置32には、上記の動物診療保険に加入している動物病院の情報を所在地情報とともに記憶する動物病院情報記憶部45が設けられている。そして、購入者側端末5からの検索送信情報に基づいて、特定の所在地を有する動物病院の情報を上記動物病院情報記憶部45にて検索することができるようになっている(動物病院情報検索手段)。検索された動物病院の情報は、購入動物商品の保険適用先病院情報として購入者側端末5に送信される(保険適用先病院情報送信手段)(図12:HS5)。本実施形態において動物病院情報記憶部45は、購入者への動物商品の引渡し先となる複数の動物病院の情報をその所在地情報とともに記憶するものともされ、購入者側端末5は、購入選択した動物商品の特定情報を、購入者データ47d及び引渡し希望地情報とともに動物購入情報として販売管理装置2に送信するようにしている。
【0044】
引渡し地情報は後述のごとく、購入者の住所やその住所が含まれる地域(エリア)などの住所情報とし、該住所情報を参照して販売管理装置2側で引渡し動物病院を決定する方法もありえるし、販売管理装置2から提示された動物病院のリストを見て、購入者側端末5側で引渡し動物病院自体を特定し、これを引渡し地情報として販売管理装置2に送信するようにしてもよい。後者の場合は、販売管理装置2側で行なう処理は、購入者側から申し出のあった引渡し動物病院を認証するだけになるが、これも販売管理装置2側で行なう引渡し動物病院の決定処理の一つとみなす。
【0045】
本実施形態では、図3に示すように、動物病院情報記憶部45は、動物病院情報が病院名45bと特定ID45aとを含むものとされ、所在地情報は、所在地データ45dと該所在地を区分するエリア(地域)を特定するエリアID45cとを含むものとされている。これらの動物病院は全て引渡し先病院として利用可能な病院を示し、一部に保険未対応の病院も含まれていることを想定して、保険対応識別データ45eを付与している。
【0046】
また、本実施形態では、検索の便宜を考慮して住所検索テーブル46を設けている。住所検索テーブル46は郵便番号表と類似の構造を有し、例えば番地を除いた住所区分46bを単位として、これを適当なエリア毎にエリアID46aを付与し、互いに対応付けて記憶したものである。図13に示すように、購入者側端末5における動物病院の選択方法にはいくつかの方式が考えられる。左のフローに示す(I)の方法では、購入者側端末5から住所データ(例えば購入者特定データ47dに含まれるもの)を受信し(HS11)、その住所データを検索キーとして住所検索テーブル46にて該当エリアを検索し(HS12)、動物病院情報記憶部45において、そのエリアに属する動物病院を全て抽出して読み出し、結果を購入者側端末5に送信する(HS13)。購入者側端末5ではその受信結果をブラウザ上で出力することができ、引渡しを希望する動物病院を選択して販売管理装置2に送り返す(HS14)。このとき、購入者側端末5では、保険対応識別データ45eに基づいて、表示される病院のどれが保険対応であり、どれが非対応であるかを表示することが可能である。なお、購入者の住所に最も近い動物病院を1つだけ抽出して表示するようなことも可能であるが、検索エンジンが複雑化することと、利用者として近隣のいくつかの候補病院が判明したほうが何かと便利であるので、購入者側端末5では一定エリア内の複数病院を出力できるようにすることが望ましいといえる。
【0047】
他方、図13の右に示す方式(II)は、例えば都道府県リスト(プルダウンメニューあるいはマップ形式)などのエリアリスト(エリア情報)を、販売管理装置2から購入者側端末5に送信し(ホームページに組み込んでおけばよい:CS11)、購入者側端末5側でのマウスクリック選択などによりエリアを選択させる(CS12)。選択結果を受け取った販売管理装置2では、その選択されたエリアに属する動物病院の情報を購入者側端末5に返し、購入者側端末5側ではその内容をリスト表示する(CS13)。購入者側端末5では、引渡しを希望する動物病院を選択して販売管理装置2に送り返す(CS14)。
【0048】
以上の処理からも明らかなように、購入者側端末5は、購入選択した動物商品の特定情報を、購入者データ47d及び引渡し希望地情報とともに動物購入情報として販売管理装置2に送信する(動物購入情報送信手段)(図12:CS5,CS6)。また、販売管理装置2は、図3の動物病院情報記憶部45において、該動物購入情報に含まれる引渡し希望地情報(購入者側端末5にて上記選択された動物病院の病院ID45aである)に基づき、引渡し先動物病院を決定する(引渡し先動物病院決定手段)(図12:HS6)。そして、購入対象となる動物商品情報(図5では便宜的に商品ID47aだけを表示しているが、図3の動物品種41b、性別41c、年齢41fなど、後述の引渡し前診察に必要な情報も当然含まれている)、購入者特定データ47d及び引渡し日54c(引渡し通知情報)を、引渡し管理情報として、引渡し先動物病院に設置された動物病院側端末6へ送信する(引渡し管理情報送信手段)(図15:HS61)。
【0049】
図5に示すように、動物病院側端末6では、記憶装置232内に引渡管理情報記憶部54が形成され、上記の引渡し管理情報を受信し(NS1)、これに含まれる動物商品情報及び購入者データ47dを互いに対応付けて記憶する。なお、記憶した引渡し管理情報の内容は、管理プログラム53の実行により、モニタ230ないしプリンタ231から出力することができる(出力手段)。
【0050】
他方、販売管理装置2では、購入動物商品の引渡し場所として確定した動物病院の情報と、購入動物商品の引渡し日時の情報とを含む引渡し通知情報が作成され、購入者側端末5に引渡し通知情報として送信される(図12:CS7)。購入者側端末5ではこれを受信して、どこの動物病院に、購入した動物病院をいつ引き取りに行けばよいかを知ることができる。
【0051】
次に、引渡し先動物病院においては、獣医師による動物商品の診察が、該動物商品の購入者への引渡しの前に実施される。また、該引渡し先となる動物病院での診察に先立って、当該動物病院とは別の場所で、異なる獣医師あるいはペット鑑定/品質評価の専門家による品質保証用の前置検査が別途実施され、診察、臨床検査、ペットの色柄や毛並み、骨格、性格、発育状況、寄生虫やノミ・ダニなどの発生状況が検査情報として収集される。動物商品情報記憶部41には、上記の前置検査の結果情報47fが動物商品情報(商品ID47a)と対応付けた形で記憶されている。この前置検査の結果情報47fは、引渡し先動物病院の動物病院側端末6に送信される(図15:NS2、前述の引渡し管理情報に含めて送信することができる)。これは、動物病院側での動物商品の引渡し判断上の参考としても役立つ。さらに、後述するごとく、商品販売前に取得される予備的な獣医学的情報でもあり、血統情報を介した他の動物商品の病歴との相互関連把握にも利用できる。
【0052】
一方、図5において、引渡し先動物病院で実施される引渡し前診察結果の情報は、動物病院側端末6の引渡管理情報記憶部54にて、動物商品情報(商品ID47a)と対応付けて記憶されるとともに、販売管理装置2側にも送信され(NS3)、図3の動物商品管理情報記憶部47にも記憶される(HS62)。前置検査情報47fと合わせて、時系列の異なる最低2つの診察情報が動物商品毎に蓄積でき、詳細な動物商品情報41と合わせれば、品質管理上のデータとして極めて有効に活用できる。特に血統情報を利用して、後述の方法により、ある動物商品に対し一定親等内に属する動物商品(血統グループ)の獣医学的情報を検索・収集することができ、該血統グループの病気に対する遺伝的な傾向を統計把握することができる。
【0053】
また、販売管理装置2からは(あるいは動物病院側端末6からでもよい)、引渡し前診察結果のデータが保険管理装置3にも送信される(図14:HS52)。図6に示すように、この引渡し前診察結果において、万一病気発生していた場合は、これが治療実績データ57hの一部をなす病歴情報(獣医学的情報の一つ)として、保険管理登録記憶部57に記憶される。動物商品の引渡し前に病歴情報(病気発生していなければ、単なる健康診断情報となる)57hを取得できることで、保険料率等の算定等もいち早く行なうことができ、保険審査のスピードアップを図ることができる。治療実績データ57hには、本来的には、動物商品引渡し後に病気になった動物商品を、保険利用により、その引渡し病院か、あるいは保険システムに加盟している別の動物病院にて治療を受けさせることにより、獣医師が病院側端末6上にて作成するものである。
【0054】
獣医師は、上記の診察結果に基づいて動物商品の引渡しの可否を決定し、引渡し可否情報を作成して販売管理装置2に送信する(NS4)。これは、引渡し可否情報47hとして商品管理情報記憶部47に登録され、動物商品の品質管理等に使用することができる。この引渡し可否情報47hの内容が「引渡し可」であれば、購入者に対し指定の日に来院してもらい、そこで種々のアドバイスを獣医師から行ないつつ購入者に動物商品を引き渡す。このときの質疑応答の内容や、感想・要望・苦情などの購入者からのフィードバック情報は、引渡し完了通知情報に組み込む形で動物病院側端末6にて入力され、販売管理装置2に送信される(NS7)。また、図5において引渡管理情報記憶部54の引渡し実績データ54gを「引渡し済み」に書き換える。販売管理装置2ではこれを受信し、図7の販売経過データ47cに引渡し日を書き込み、引渡し完了の認証を行なう。また、引渡し完了通知情報に含まれるフィードバック情報を品質管理データ47jに登録する。
【0055】
一方、この診察結果が芳しくなかった場合には、動物商品の引渡しを中止したり延期したりする処置がとられる。この場合、動物病院側端末6では、引渡し中止ないし延期の理由情報が作成され、販売管理装置2に送信される。この理由情報は、図3の動物商品管理情報記憶部47内の品質管理情報47jに登録される(図15:HS65)。なお、引渡しが不可であった場合は、その動物商品情報を動物商品情報記憶部41から削除する措置を行なう(HS66)。なお、購入者側端末5へは引渡しが不能ないし延期となったことを電子メール等にて通知する。
【0056】
なお、以上の実施形態では、動物商品の購入手続きを購入者端末にて行なうオンラインショッピングの例で説明したが、動物商品の購入及び引渡し自体はペットショップ(販売店)での店頭で行なうことも可能である。この場合は、購入に伴う保険加入手続きのための保健管理装置3との情報のやり取りや、購入者データの販売管理装置2への送信などを、販売店側端末8(図1)を拠点として行なうことになる。また、動物商品の引渡しは店頭で行なうこともでき、この場合は動物病院引渡しの場合に特有な、動物病院側端末6を拠点とした上記の一連の処理も省略される。
【0057】
さて、以上のような手続きを経て購入された動物商品は、上記のごとく保険加入済であり、万一購入後に病気等にかかった場合は、保険対応病院で獣医師による診察・治療を受ける。その病院は、保険対応病院であれば、前述のごとく動物商品の引渡し病院であっても、他の病院であってもよい。保険による診察又は治療を受ければ、治療費の一部が保険会社の運用資金から拠出されることになる(これは、病院に支払う治療費の段階で天引きされる形と、支払い時は保険分込みの実費支払いとし、保険分を後日還付する形の両方がありえる)。当然、保険対応病院側では、保険適用の可否や、保険適用内容につき保険会社の承認を得るために、診察により得られた病歴(診察/治療)情報を保険会社に送付する必要がある。本発明では、その病歴情報を動物病院側端末6にて作成し、これを、インターネット4を経由して販売管理装置2に送る。
【0058】
図18は病歴情報の内容例を示すものであり、(販売済)商品ID(販売済動物商品特定情報)と対応付けた形で、その動物病院の治療実績が時系列にて入力・記録されたものであり、獣医師(ドクター)の名前、通院の日時、病名(病名を直接入力しているが、括弧内に示すように、病名コード(SC####)による入力も可能である)のデータを含む。これらのデータを含む病歴情報の送信先は販売管理装置2及び保険管理装置3であり、商品IDの特定によりこれら管理装置側で把握可能な情報、例えば販売日、血統情報、保険番号(保険特定情報)等は、動物病院側端末6で入力することも可能であるが、入力を省略することももちろん可能である。
【0059】
しかし、商品IDは販売者側の便宜により付与するものであり、購入者側で常に把握できる情報であるとは限らない(むしろ、病院診察時に覚えているほうがまれであろう)。この場合、別途保険会社から配布される保険証に記載された保険番号(保険特定情報)や、国際的に標準化されている血統書番号(血統情報の内容に一義的に対応するので、広義には血統情報と等価とみなすことができる)のほうが、購入者からはより引き出しやすい情報であり、商品特定情報に代えて病歴情報に随伴させることができる。この場合、キーボードやマウスといった汎用の入力部228が、血統情報入力手段を形成することとなる。
【0060】
しかし、血統書番号についても、血統書を来院時に提示できる購入者はまれであるから、図16に示すように、購入した販売済動物商品300に動物側血統情報記憶部301を取り付け、これに記憶されている血統情報を直接読み取る読み取り装置303を血統情報入力手段として設けてもよい。このようにすると、病歴情報を収集する際に、後述の検索処理に必須となる血統情報を遺漏無く取得ないし特定することができ、また、血統情報(血統書番号)の取り違え(特に、複数のペットを飼育する購入者にありがちなことである)といった不具合も防ぐことができる。この場合、動物側血統情報記憶部301には保険特定情報(保険番号)も合わせて記憶しておき、読み取り装置303は血統情報とともに該保険特定情報も読み取るものとしておけば、保険管理装置3に病歴情報を送信する際に必要な、保険番号の取得を遺漏することも防止できる。
【0061】
図16に示す例では、動物側血統情報記憶部301は首輪に取り付けたバーコードプレートであり、そのバーコードに血統情報あるいは保険特定情報が記憶され、読み取り装置303はそのバーコードを読み取るスキャナで構成されている。該スキャナは、病院側端末6(の入出力部223(図5)に接続される。他方、紛失や取り違えを防止するために、動物側血統情報記憶部を、販売済動物商品300に埋め込まれたICチップ(あるいはトランスポンダ)302とすることもでき、この場合は、ICチップ302からの発信電波Wに反映された動物側血統情報あるいは保険特定情報を、読み取り装置をなす専用の受信器304で読み取るようにする。なお、図3に示すごとく、保険管理装置3側に血統書番号を登録しておけば、動物側血統情報記憶部301から読み取った血統書番号を保険管理装置3に送信し、保険番号(保険特定情報)を保険管理装置3にて逆検索することもできる。保険証を忘れて初診来院したペットでも、動物側血統情報記憶部301(あるいはICチップ302)が取り付けてあれば、これに記憶されている血統情報(血統書番号)を読み取って保険管理装置3に送信し、保険番号を含む保険加入情報を容易に把握できるので、保険運用をよりスムーズに行なうことができる。この概念は、血統治療病歴検索の概念を必須とする本発明の内容とは独立した発明と捉えることもできる。
【0062】
図6に示すように、保険管理装置3においては、前述の保険管理登録記憶部57内に治療実績データ57hが、保険番号や保険有効期間などと対応付けた形で記憶されている。保険会社側では、このデータを参照して、個別の治療履歴毎に保険適用の可否や保険拠出額の算定等を行なうことができる。
【0063】
一方、上記の病歴情報は販売管理装置2へも送信される。図22は、その処理の流れの概略を示すものである。AS1及びBS1は、病院ID(特定情報)及び動物商品ID(特定情報、さらには血統情報)の送受信であり、AS2及びBS2は病歴情報の送受信である。図3に示すごとく、品質管理情報47jの一部として、販売済動物商品のID(特定情報)と対応付けた形で記憶される(図22:BS3)。図17は、その品質管理情報47jの内容を示すもので、個々の販売済動物商品のIDに対し、供給元であるブリーダー、販売店、上記病歴情報及び評価情報が対応付けられている(つまり、獣医学的情報データベースが形成されている)。評価情報は病歴情報に基づいて作成されるものであり、例えば病院側端末6で作成され、販売管理装置2に送信されるが(図22:AS3/BS4)、病歴情報を受けた販売管理装置2側で作成してもよい。詳細は以下の通りである。すなわち、図18に示すように、病気の種別毎に血統ペナルティポイントが定められており、遺伝性の強い病気ほどペナルティポイントは高く設定されている。病院側端末6では、1回の病気治療が発生するたびに、このペナルティポイントを手動入力するか、端末内に予め記憶されている病名/ペナルティポイント対応表(病名毎にペナルティポイントが一義的に定められている)上で検索して自動入力する。1つの販売済動物商品について、発生した病気の頻度が高くなるほど、また、発生した病気の遺伝性が高くなるほど、血統ペナルティポイントの合計は大きくなることは明らかである。特に遺伝性の高い病気としては、股関節形成不全、臍ヘルニア、潜在睾丸、膝蓋骨脱臼、頭蓋下顎骨骨病、鼠径ヘルニア、水頭症、心臓肥大等を例示できる。逆に遺伝性の低い病気は、軽度な外傷やストレス性による体調不良などが典型的である。
【0064】
この場合、図25に示すごとく、病気の遺伝性情報を、評価対象となる動物商品の種別に応じて異なる内容に定めた遺伝性評価テーブルを設けることができる(販売管理装置2あるいは動物病院側端末6の記憶装置内に置くことができる)。図25においては、品種(犬種あるいは猫種)と対応付ける形で、各品種において遺伝的に発生しやすい病気が記憶されており、図示はしていないが、品種毎の病気のそれぞれについて血統ペナルティポイントが定められている。該遺伝性評価テーブル上にて、治療にかかる動物の品種に対応した遺伝性病名群を参照し、病院側端末6で入力された病名についてこれと一致した病名があるかどうかを調べる。そして、一致した病名があれば、その病名に対応した血統ペナルティポイントを読み出して、図18と同様の評価処理に組み入れる。これにより、遺伝性病歴の多寡に応じた血統評価を、動物の種別毎により正確に行なうことができるようになる。
【0065】
図3に戻り、上記販売済動物商品の病歴情報を用いて、販売前動物商品のフィードバック評価情報が作成される。この作成過程で、個々の販売前動物商品に対し、血統上の関連を有する販売済動物商品の、病歴情報の検索処理が利用される。以下、フィードバック評価情報の作成処理について、図23及び図24のフローチャートを用いて説明する。
【0066】
S101ではまず、評価すべき動物商品のID(特定情報)をリードし、S102及びS103では、フィードバック評価情報に組み込むために、その動物商品の販売店やブリーダーのID(特定情報)もリードする。そして、S104で、その動物商品の血統検索となる。図24は、その詳細を示すものである。まず、S201で、基点ID(販売前動物商品であれば、その動物商品のID)の生体(動物商品)の血統情報(図3の符号41e:内容については、図10の符号75を参照)にて、その両親を特定する(父母追跡検索手段)。次に、S202では、該両親のIDに親等番号FN=1(つまり、1親等)を付与して、検索メモリ(図2:RAM26内)に記憶する。販売前動物商品(生体)は多くの場合幼少であり、普通子供はいないから、FN=1(1親等)が付与される生体は両親だけであり、この時点で検索メモリ内にはその両親のIDだけが、FN=1を付与された形で記憶される。この様子を、図19の左に表している。図19及び図20では、動物商品の性別を♂及び♀の記号で表し、検索基点となる動物商品を黒で塗りつぶし、検索済みの動物商品には、検索基点となる動物商品から見た親等番号を記入している。この親等番号の最も大きい動物商品が、そのステップでの基準動物商品である。そして、父母追跡ないし子供追跡によりそのステップで検索される、基準動物商品から1親等離れた動物商品にハッチングを付与して表している。一方、この検索処理は、販売済動物商品についても全く同様に実施できるが、この場合は、動物商品に既に子供ができていることがある。従って、S201では、直系の子供のIDも血統情報で検索する。この場合、着目している動物商品(基準動物商品)のIDが、血統情報中の両親のIDと一致する動物商品を、子供として検索することになる。S203で、親等カウンタFNVの値を初期化(初期値:1)する。
【0067】
S204では、検索メモリ内にて、親等カウンタFNVが示す親等番号の動物商品を全て検索し、その検索数をNHにセットするとともに、個々の動物商品に検索番号QNを付与し、検索メモリ内にて検索番号QN順にソートする。これは、検索基点となる動物商品(例えば販売前)のIDから、親等カウンタFNVが示す親等番号の血縁関係にある動物商品(例えば販売済)を、次の検索の基準動物商品としてセットしなおし、それらの各基準動物商品からみて1つだけ親等が離れた動物商品を検索する準備をするためである。
【0068】
具体的には、S205で検索番号QNを初期化し、S206では検索番号QNの動物商品の、その両親のIDを血統情報にて検索し、親等番号FNをFNV+1として検索メモリに記憶する(父母追跡検索手段)。また、S207では、血統情報中の両親のIDが、基準動物商品のIDと一致する動物商品を全て検索し(血縁の両親は1対だけであるが、子供の数は不定である)、親等番号FNをFNV+1として検索メモリに記憶する(子供追跡検索手段)。つまり、基準動物商品の親等番号は、S204にて親等カウンタFNVの値として設定しているから、その両親及び子供は、それよりも親等番号が1だけ離れたFNV+1である。以上の処理で、比較的近い親等内で交配が進められた場合は、既に検索メモリ内にセット済みの動物商品が重複検索されることもあるので、この場合は、その重複を取り除いてゆくようにする。
【0069】
S208では検索番号QNをインクリメントし、S209で、NHとして既に特定されている基準動物商品の総数にQNが到達するまで、S206及びS207、つまり、父母追跡検索手段又は子供追跡検索手段による血統追跡検索を反復する。そしてS210では親等カウンタFNVをインクリメントし、S204に戻って以下の処理を繰り返す。図19のごとく、FNV=1の動物商品が検索メモリ内に検索された状態であれば、S206及びS207では、その両親と子供とがFN=FNV+1=2の親等番号を付与される。この状態にて、S210でFNVがインクリメントされてS204に戻れば、S204ではFNV=2がついている動物商品が検索メモリ内で全てリストアップされ、図20の左に示すように、それらが基準動物商品としてセットしなおされる。基準動物商品は基点から見て2親等の動物商品である(性別記号の○の中に「2」と表示されているもの)。その状態でS206及びS207を実行すると、ハッチングを付与した動物商品が検索され、3親等として特定される。その後、さらに同じ処理を繰り返して4親等目を検索特定した状態が図20の右である。基点から見て、傍系の血統も含めて漏れなく検索が行なわれていることがわかる。上記の処理の反復は、S211で、親等カウンタFNVが予め定められた最大値(FNV)maxに到達すれば打ち切られ、S212で必要に応じて、その検索リストを出力する((図2のモニタ30あるいはプリンタ31)。
【0070】
図23に戻り、S104で検索された動物商品を、フィードバック評価の対象となる動物商品(例えば販売前動物商品)の血統グループとして定め、S105及びS106において、該グループに属する動物商品の前置検査の結果情報、病歴情報及び血統ペナルティ情報を、図3の品質管理情報47jにて検索する(血統/獣医学的情報検索手段)。S107では、各動物商品の血統ペナルティポイントを、販売前動物商品から見た親等により重み付け換算する。この場合、親等が離れるほど、血統ペナルティポイントに乗ずる重み付け係数の値を小さくしている。図21にその具体例を示している。1親等と2親等とは、親等換算の重み付け係数が1であり、3親等は0.9、4親等は0.8に定めてある。S108では、病歴情報の統計データ処理を行なう(例えば、病名ごとの発生頻度のヒストグラム化など)。
【0071】
親等換算された血統ペナルティポイントの合計値は、血統グループ内の病歴回数の絶対値が多いほど大きくなる。また、同じ病歴回数でも、遺伝性の高い病歴が多く含まれるほど大きくなる。さらに、同じ病歴回数でも、フィードバック評価の対象となる動物商品に対し、近い親等内に病気が発生するほど、親等換算された血統ペナルティポイントの合計値は高くなる。
【0072】
販売前動物商品については、上記処理で得られる血統ペナルティポイントの合計値が十分に小さければ、出荷を問題なく行なうことができるし、逆に血統ペナルティポイントの合計値が大きくなれば、その販売価格を低減したり、最悪の場合は販売中止の判断を下すこともできる。
【0073】
また、比較的近い血縁関係にある複数の販売後動物商品にて病気発生の頻度が高い見通しがある場合、それらの販売後動物商品の一つについて、上記販売前動物商品と全く同様にフィードドバック評価処理を行い、血統グループを特定してその血統ペナルティポイントの合計を調査すれば、その血統グループ全体の良否判断が可能であるから、例えばその情報をブリーダーにフィードバックして、該血統グループを交配に用いる際の注意を促したり、あるいは新規交配時に、その血統グループの利用を制限する助言を行なったりすることができる。
【0074】
また、図21に示すごとく、血統グループに対する前置検査の結果情報の検索結果を参照すれば、出荷前の診察や臨床検査の結果も参照でき、病歴情報の解釈を補強することができる。また、ペットの色柄や毛並み、骨格、性格、発育状況、寄生虫やノミ・ダニなどの発生状況についても、血統グループ内の遺伝的傾向の把握に有効に活用できる。特にペットの色柄は販売するペットの商品価値を左右する重要な因子であり、よく好まれる色柄の遺伝傾向が強い血統グループを優先的に交配に利用したり、逆にあまり好まれない色柄については交配への採用を見合わせたりするなど、有益に活用することができる。
【0075】
また、図3においては、その獣医学的情報データベース(動物商品情報記憶部41+動物商品管理情報記憶部47)上にて、血統検索でなく、ブリーダーや販売店を検索項目として獣医学的情報の検索も実施することができる。例えば、検索された結果に含まれる性格、発育状況、寄生虫やノミ・ダニなどの発生状況(ここでは、これらは前置検査の結果として収集されている)などの情報を参照し、状況が芳しくない場合には、ブリーダーや販売店に改善のための指導や助言を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の動物販売管理システムの全体構成を概略にて示す概念図。
【図2】販売管理装置の構成例を示すブロック図。
【図3】図2の記憶装置の内部データ構成例を示す概念図。
【図4】購入者側端末の構成例を示すブロック図。
【図5】動物病院側端末の構成例を示すブロック図。
【図6】保健管理装置の構成例を示すブロック図。
【図7】販売経過データの構成例を示す模式図。
【図8】保険加入申込書フォームの模式図。
【図9】販売ホームページの実例を示す第一図。
【図10】同じく第二図。
【図11】同じく第三図。
【図12】通信による本発明の動物販売管理システムの、処理流れの一例を示すフローチャート。
【図13】動物病院選択処理の流れのいくつかを例示して示すフローチャート。
【図14】図12に続くフローチャート。
【図15】図14に続くフローチャート。
【図16】動物側血統情報記憶と、その読取装置の概念を示す図。
【図17】品質管理情報の内容を示す図。
【図18】病歴情報の内容を示す図。
【図19】血統検索処理の作用説明図。
【図20】図19に続く説明図。
【図21】フィードバック評価情報の内容を示す図。
【図22】病歴情報の取得処理を概念的に示すフローチャート。
【図23】フィードバック評価情報の作成処理の流れを示すフローチャート。
【図24】図23の血統検査処理のアルゴリズムを示すフローチャート。
【図25】遺伝性評価テーブルの内容の例を示す模式図。
【符号の説明】
【0077】
1 動物販売管理システム
2 動物販売管理装置
24 CPU
42 基本管理プログラム
3 動物診療保険管理装置
324 CPU
59 管理プログラム
4 インターネット(通信網)
5 購入者側端末
6 動物病院側端末
27 通信インターフェース
41 動物商品情報記憶部
41w 動物商品情報
45 動物病院情報記憶部
57 保険管理登録記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶する販動物商品情報記憶部を有した動物販売管理装置と、
前記動物商品に対する、検査、診察又は病気治療の少なくともいずれかを含む獣医学的情報収集処理を実施可能な情報収集施設に設置されるとともに、通信網を介して前記動物販売管理装置に接続され、前記動物商品の前記情報収集施設にて収集された獣医学的情報を入力する情報収集施設側端末とを備え、
前記動物販売管理装置には、各前記動物商品について収集された前記獣医学的情報を前記情報収集施設側端末から前記通信網を介して受信する獣医学的情報受信手段と、受信した獣医学的情報を前記動物商品と対応付けて記憶・蓄積する獣医学的情報データベースと、選択された特定の動物商品と血統上の関連を有する他の前記動物商品の獣医学的情報を、前記獣医学的情報データベースにおいて前記血統情報に基づき検索する血統/獣医学的情報検索手段と、その検索結果を出力する検索出力手段と、が設けられていることを特徴とする動物販売管理システム。
【請求項2】
前記動物販売管理装置には、これから販売しようとする動物商品である販売前動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶する販売前動物商品情報記憶部と、すでに販売済みの動物商品である販売済動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶する販売済動物商品情報記憶部とが設けられ、
前記動物販売管理装置において、前記獣医学的情報受信手段は、既に販売済の動物商品である販売済動物商品の獣医学的情報を前記情報収集施設側端末から前記通信網を介して受信するものであり、前記血統/獣医学的情報検索手段は、前記販売前動物商品に対し、血統上の関連を有する前記販売済動物商品の獣医学的情報を、前記獣医学的情報データベースにおいて前記血統情報に基づき検索するものである請求項1記載の動物販売管理システム。
【請求項3】
前記情報収集施設側端末は、前記販売済動物商品が病気治療を受ける動物病院に設置されるとともに、前記販売済動物商品の前記動物病院での治療病歴情報を入力する動物病院側端末である請求項2に記載の動物販売管理システム。
【請求項4】
前記血統/獣医学的情報検索手段が検索した、前記販売前動物商品と血統上の関連を有する前記販売済動物商品の治療病歴情報に基づいて、前記販売前動物商品の品質評価を行なう品質評価手段が設けられている請求項3のいずれか1項に記載の動物販売管理システム。
【請求項5】
前記品質評価手段は、前記販売前動物商品と血統上の関連を有する前記販売済動物商品において、治療病歴を有した販売済動物商品が多いほど前記販売前動物商品の品質を低く評価するものである請求項4記載の動物販売管理システム。
【請求項6】
前記品質評価手段は、前記販売前動物商品と血統上の関連を有する前記販売済動物商品において、検索された治療病歴の遺伝性が高いほど前記販売前動物商品の品質を低く評価するものである請求項4又は請求項5に記載の動物販売管理システム。
【請求項7】
病気の遺伝性情報を、評価対象となる動物商品の種別に応じて異なる内容に定めた遺伝性評価テーブルが設けられ、前記品質評価手段は、前記販売済動物商品の種別に対応した遺伝性情報を前記遺伝性評価テーブルから読み出し、該情報に基づいて、検索された前記治療病歴の遺伝性を評価する請求項6記載の動物販売管理システム。
【請求項8】
前記品質評価手段は、前記販売前動物商品と血統上の関連を有する前記販売済動物商品において、治療病歴が検索された販売済動物商品の、前記販売前動物商品に対する親等が近いほど、当該販売前動物商品の品質を低く評価するものである請求項4ないし請求項8のいずれか1項に記載の動物販売管理システム。
【請求項9】
前記通信網を介して動物診療保険管理装置が接続されるとともに、該動物診療保険管理装置には、前記販売済動物商品と、該販売済動物商品が加入している動物診療保険の特定情報である保険特定情報と、保険実績情報とが対応付けて記憶され、
前記動物病院側端末装置には、治療を受ける販売済動物商品の治療病歴情報を入力する治療病歴情報入力手段と、前記保険特定情報を入力する保険特定情報入力手段と、前記血統情報を入力する血統情報入力手段と、前記治療病歴情報を血統情報と対応付けた形で前記動物販売管理装置に送信する一方、該治療病歴情報を、前記保険実績情報の一部として前記保険特定情報と対応付けて前記動物診療保険管理装置に送信する病歴情報送信手段とが設けられている請求項3ないし請求項8のいずれか1項に記載の動物販売管理システム。
【請求項10】
前記血統情報入力手段は、前記販売済動物商品に取り付けられた動物側血統情報記憶部から前記血統情報を直接読み取る読み取り装置を有する請求項9記載の動物販売管理システム。
【請求項11】
前記動物側血統情報記憶部には前記保険特定情報も合わせて記憶され、前記読み取り装置は前記血統情報とともに該保険特定情報も読み取るものである請求項10記載の動物販売管理システム。
【請求項12】
前記動物側血統情報記憶部は前記販売済動物商品に埋め込まれたICチップである請求項10又は請求項11に記載の動物販売管理システム。
【請求項13】
前記血統/獣医学的情報検索手段は、着目している動物商品に対し、予め定められた親等内に属する前記販売済動物商品の治療病歴情報を検索するものである請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の動物販売管理システム。
【請求項14】
前記血統情報は、着目している動物商品の特定情報である元特定情報と、該着目している動物商品の父母の特定情報である父母特定情報とが対応付けられた形で記憶されてなり、
前記血統/獣医学的情報検索手段は、血統追跡の基準となる基準動物商品の父母特定情報が示す動物商品を検索することにより、前記基準動物商品の父母を血統追跡する父母追跡検索手段と、前記基準動物商品の父母特定情報と同一の元特定情報を有する動物商品を全て検索することにより、前記基準動物商品の子供を血統追跡する子供追跡検索手段と、父母ないし子供として検索された動物商品を、次の血統追跡ステップの基準動物商品とみなして、前記父母追跡検索手段又は前記子供追跡検索手段による血統追跡検索を反復させる検索反復手段と、該検索反復手段による父母ないし子供の検索反復により、基準動物商品の世代が検索開始時の基準動物商品から見て1つ離間する毎にインクリメントされる親等カウンタと、該親等カウンタのカウント値が予め定められた値に到達するに伴い、前記検索反復手段による前記血統追跡検索の反復を打ち切る検索打ち切り制御手段と、を備える請求項13に記載の動物販売管理システム。
【請求項1】
動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶する販動物商品情報記憶部を有した動物販売管理装置と、
前記動物商品に対する、検査、診察又は病気治療の少なくともいずれかを含む獣医学的情報収集処理を実施可能な情報収集施設に設置されるとともに、通信網を介して前記動物販売管理装置に接続され、前記動物商品の前記情報収集施設にて収集された獣医学的情報を入力する情報収集施設側端末とを備え、
前記動物販売管理装置には、各前記動物商品について収集された前記獣医学的情報を前記情報収集施設側端末から前記通信網を介して受信する獣医学的情報受信手段と、受信した獣医学的情報を前記動物商品と対応付けて記憶・蓄積する獣医学的情報データベースと、選択された特定の動物商品と血統上の関連を有する他の前記動物商品の獣医学的情報を、前記獣医学的情報データベースにおいて前記血統情報に基づき検索する血統/獣医学的情報検索手段と、その検索結果を出力する検索出力手段と、が設けられていることを特徴とする動物販売管理システム。
【請求項2】
前記動物販売管理装置には、これから販売しようとする動物商品である販売前動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶する販売前動物商品情報記憶部と、すでに販売済みの動物商品である販売済動物商品の情報を、当該動物商品の血統情報と対応付けて記憶する販売済動物商品情報記憶部とが設けられ、
前記動物販売管理装置において、前記獣医学的情報受信手段は、既に販売済の動物商品である販売済動物商品の獣医学的情報を前記情報収集施設側端末から前記通信網を介して受信するものであり、前記血統/獣医学的情報検索手段は、前記販売前動物商品に対し、血統上の関連を有する前記販売済動物商品の獣医学的情報を、前記獣医学的情報データベースにおいて前記血統情報に基づき検索するものである請求項1記載の動物販売管理システム。
【請求項3】
前記情報収集施設側端末は、前記販売済動物商品が病気治療を受ける動物病院に設置されるとともに、前記販売済動物商品の前記動物病院での治療病歴情報を入力する動物病院側端末である請求項2に記載の動物販売管理システム。
【請求項4】
前記血統/獣医学的情報検索手段が検索した、前記販売前動物商品と血統上の関連を有する前記販売済動物商品の治療病歴情報に基づいて、前記販売前動物商品の品質評価を行なう品質評価手段が設けられている請求項3のいずれか1項に記載の動物販売管理システム。
【請求項5】
前記品質評価手段は、前記販売前動物商品と血統上の関連を有する前記販売済動物商品において、治療病歴を有した販売済動物商品が多いほど前記販売前動物商品の品質を低く評価するものである請求項4記載の動物販売管理システム。
【請求項6】
前記品質評価手段は、前記販売前動物商品と血統上の関連を有する前記販売済動物商品において、検索された治療病歴の遺伝性が高いほど前記販売前動物商品の品質を低く評価するものである請求項4又は請求項5に記載の動物販売管理システム。
【請求項7】
病気の遺伝性情報を、評価対象となる動物商品の種別に応じて異なる内容に定めた遺伝性評価テーブルが設けられ、前記品質評価手段は、前記販売済動物商品の種別に対応した遺伝性情報を前記遺伝性評価テーブルから読み出し、該情報に基づいて、検索された前記治療病歴の遺伝性を評価する請求項6記載の動物販売管理システム。
【請求項8】
前記品質評価手段は、前記販売前動物商品と血統上の関連を有する前記販売済動物商品において、治療病歴が検索された販売済動物商品の、前記販売前動物商品に対する親等が近いほど、当該販売前動物商品の品質を低く評価するものである請求項4ないし請求項8のいずれか1項に記載の動物販売管理システム。
【請求項9】
前記通信網を介して動物診療保険管理装置が接続されるとともに、該動物診療保険管理装置には、前記販売済動物商品と、該販売済動物商品が加入している動物診療保険の特定情報である保険特定情報と、保険実績情報とが対応付けて記憶され、
前記動物病院側端末装置には、治療を受ける販売済動物商品の治療病歴情報を入力する治療病歴情報入力手段と、前記保険特定情報を入力する保険特定情報入力手段と、前記血統情報を入力する血統情報入力手段と、前記治療病歴情報を血統情報と対応付けた形で前記動物販売管理装置に送信する一方、該治療病歴情報を、前記保険実績情報の一部として前記保険特定情報と対応付けて前記動物診療保険管理装置に送信する病歴情報送信手段とが設けられている請求項3ないし請求項8のいずれか1項に記載の動物販売管理システム。
【請求項10】
前記血統情報入力手段は、前記販売済動物商品に取り付けられた動物側血統情報記憶部から前記血統情報を直接読み取る読み取り装置を有する請求項9記載の動物販売管理システム。
【請求項11】
前記動物側血統情報記憶部には前記保険特定情報も合わせて記憶され、前記読み取り装置は前記血統情報とともに該保険特定情報も読み取るものである請求項10記載の動物販売管理システム。
【請求項12】
前記動物側血統情報記憶部は前記販売済動物商品に埋め込まれたICチップである請求項10又は請求項11に記載の動物販売管理システム。
【請求項13】
前記血統/獣医学的情報検索手段は、着目している動物商品に対し、予め定められた親等内に属する前記販売済動物商品の治療病歴情報を検索するものである請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の動物販売管理システム。
【請求項14】
前記血統情報は、着目している動物商品の特定情報である元特定情報と、該着目している動物商品の父母の特定情報である父母特定情報とが対応付けられた形で記憶されてなり、
前記血統/獣医学的情報検索手段は、血統追跡の基準となる基準動物商品の父母特定情報が示す動物商品を検索することにより、前記基準動物商品の父母を血統追跡する父母追跡検索手段と、前記基準動物商品の父母特定情報と同一の元特定情報を有する動物商品を全て検索することにより、前記基準動物商品の子供を血統追跡する子供追跡検索手段と、父母ないし子供として検索された動物商品を、次の血統追跡ステップの基準動物商品とみなして、前記父母追跡検索手段又は前記子供追跡検索手段による血統追跡検索を反復させる検索反復手段と、該検索反復手段による父母ないし子供の検索反復により、基準動物商品の世代が検索開始時の基準動物商品から見て1つ離間する毎にインクリメントされる親等カウンタと、該親等カウンタのカウント値が予め定められた値に到達するに伴い、前記検索反復手段による前記血統追跡検索の反復を打ち切る検索打ち切り制御手段と、を備える請求項13に記載の動物販売管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−185394(P2006−185394A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381308(P2004−381308)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(399061628)ペプコジャパンホールディングス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(399061628)ペプコジャパンホールディングス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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