説明

動物飼料用カルシウム石鹸の製造方法

動物飼料用カルシウム石鹸の製造方法が提供される。本発明によるカルシウム石鹸の新規な製造方法には、天然の油脂をCaOを用いて鹸化する工程であって、反応マスを減圧下で加熱する工程が含まれる。この方法においては、製造後に洗浄工程又は濃縮工程をおこなうことなく、80%よりも高い脂肪酸濃度を有するカルシウム石鹸を得ることができる。このように高い脂肪酸濃度に起因して、該カルシウム石鹸は、動物飼料の配合成分としての用途に特に適している。単胃動物用飼料としての該カルシウム石鹸の用途は、該石鹸の製造過程中にグリセロール及び/又は他の乳化剤の添加によってさらに改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸に富むカルシウム石鹸の新規な製造方法、該方法によって製造されるカルシウム石鹸、及び動物(特に、単胃動物)の飼料の配合成分としての該カルシウム石鹸の用法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルシウム石鹸の製造方法は、当該分野においては古くから知られている。石鹸は、トリグリセリドを含有する天然の動物脂肪又は植物脂肪からから一般的に製造されている。この場合、トリグリセリドは、塩基の存在下での鹸化反応によって塩を形成するグリセロール骨格に結合した脂肪酸(通常は長鎖脂肪酸)を含む。
【0003】
これらのトリグリセリドの一部を最も一般的に構成する脂肪酸は長鎖脂肪酸、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、リノール酸及びリノレン酸等である。鎖長の非常に短い脂肪酸、例えば、酪酸、カプリン酸、カプリル酸及びカプロン酸等も存在する。
【0004】
鹸化反応用の適当な塩基としては、無機の強アルカリ性金属塩、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等が選択される。一般に、アルカリ性の石鹸が製造され、この種の石鹸の用途は化粧品に限定されている。
【0005】
カルシウム石鹸の製造においては、アルカリ性の金属水酸化物の代わりに、酸化カルシウム(CaO)が脂肪へ添加されるが、該化合物は鹸化反応の他のパラメーターを調整する。
【0006】
米国特許第4642317号明細書には、反芻動物の第一胃内の微生物に有害な影響を及ぼすことなく、反芻動物へ給餌される脂肪の割合を増大させることを可能にする方法が記載されている。この方法は、予め調製されたカルシウム塩の形態の脂肪酸を反芻動物へ与えることからなる。天然の脂肪からこの種の塩を製造する方法の1つとして、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いる従来の天然脂肪の鹸化、アルカリ金属塩を含有する相の分離、該相の水性媒体中への溶解及び該溶解物とカルシウム塩との混合を含む方法が記載されている。
【0007】
米国特許第4826694号、同第4853233号及び同第4909138号の明細書には、反芻動物へ給餌するための組成物が開示されている。最終生成物中に含まれるトリグリセリド(5〜15%)は反芻動物用飼料として有用な組成物において重要であるということが記載されているが、該組成物の60〜80%を占める主要な成分は、主として炭素原子数が14〜18の長鎖脂肪酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
【0008】
また、これらの特許明細書には、目的の組成物の製造装置と製造方法も開示されている。この場合、該製造方法には、1種又は2種以上の過剰量の塩基性酸化物(好ましくは、CaO)を脂肪酸とトリグリセリド、水及び所望による蛋白源としての付加的な栄養物質と混合し、該混合物を十分に均質化させて発熱反応を発生させることによって対応する脂肪酸塩を形成させ、次いで混合物を平坦な平面上に広げて大部分の水分を蒸発させる工程が含まれる。この方法の1つの好ましい態様には、脂肪酸を塩基性酸化物源(好ましくは石灰(CaO))と混合する前に、脂肪酸を予め加熱する(例えば、80〜100℃に加熱する)工程が含まれることが言及されている。
【0009】
この基礎的な方法の修正法はその後で開示されている。例えば、米国特許第5234701号明細書には、カルシウム塩形成反応用水性媒体として、重炭酸塩の製造工程で放出される残存副生物である炭酸ナトリウム/重炭酸塩の水溶液を含有させることが開示されている。この炭酸ナトリウム/重炭酸塩の添加により、対応するカルシウム塩の生成を促進する脂肪酸ナトリウム塩からなる反応中間体の生成に起因して、製造効率が増大すると考えられている。
【0010】
別の特許明細書においては、トリグリセリド形態の脂肪酸の含有量の高い脂肪酸源を使用するときに、適当な特性を有する生成物を生成させる反応条件の重要性が強調されている。例えば、米国特許第5382678号明細書には、脂肪酸源とアルカリ土類金属源を、水を添加する前に混合することの重要性が開示されている。この場合、最終生成物は粉末状の固体ではないが、粘性のない易流動性の顆粒である。この特許文献には、反応媒体を適当な温度(40〜130℃;実施例においては110℃が採用されている)に十分な時間に亘って維持し、存在する大部分のグリセリドを加水分解させることによって、所望のアルカリ土類金属塩を生成させる脂肪酸を放出させることの重要性も開示されている。
【0011】
米国特許第6229031号明細書においては、適当な温度を十分に長い時間維持することによって45%よりも多くのトリグリセリドを含む脂肪出発原料の鹸化を達成することの重要性が強調されており、また、発熱反応自体によって発生する熱のほかに付加的な熱を反応混合物へ供給することが必要であることについても言及されている。この場合、言及されている温度間隔は大きく(90〜250℃)、温度がより高いときには、添加されるCaOの濃度はより低くすることが好ましく、最終組成物中の該濃度は10〜30%にしなければならない。
【0012】
米国特許第6576667号明細書及び同第6774252号明細書には、最終的なトリグリセリドの含有量は、保存中の望ましくない変化を防止するために、全組成物の5%を超えてはならないということが記載されており、このことは、ω−3脂肪酸の含有量の高いトリグリセリドに富む脂肪原料を使用するときに十分な鹸化を達成する最良の方法は、出発原料に対して2〜3当量のCaO及びCaOに対して2〜5当量の水を使用する方法であることを提案する。
【0013】
検討した従来のいずれの文献においても、コスト的に高い高温度と得られる石鹸の手間の掛かる濃縮工程を必要とすることなく、カルシウム石鹸中の脂肪酸の濃度を60%よりも高くすることについては成功していない。脂肪酸濃度の高い動物飼料用のカルシウム石鹸を得ることは、少なくとも次の4つの主要な特性の観点から有益である。
【0014】
i)ミセルの形成。ミセルは、家畜用飼料中に含まれる脂肪及び脂肪可溶性活性物質(ビタミン)の消化と同化を促進し、これによって家畜等の成長、乳生産及び肥育が促進される。
ii)飼料自体の添加。これによって飼料の取扱、圧縮、ペレット化、顆粒化、貯蔵及び保存が促進される。
iii)濃縮脂肪製品の飼料中への包含。これによって、飼料のコストは、脂肪濃度の低い脂肪製品を使用する場合よりも低減化される。脂肪濃度が高いほど、単位量あたりのコストはより低くなる。
iv)脂肪酸濃度の高いカルシウム石鹸の包含。これによって、脂肪酸含有量の低い石鹸の場合又は石鹸形態でない脂肪原料の場合に比べて(このような場合には、動物飼料中において脂肪酸源として効率的に作用する組成物中の成分を多量に配合することが必要となる)、最終的な飼料組成物中での石鹸の使用量を低減させることが可能となる。従って、飼料配合の融通性がより高くなり、その他の原料を配合する余地が確保される。
【0015】
脂肪原料を評価するための最も重要な基準は、該原料の総エネルギー量である。この値は、基本的には脂肪原料の総エネルギー量と小腸内での消化能によって左右され、また、該消化能は実質的には小腸内での可溶化能とミセル形成能によって左右される。反芻動物の消化系の特異性に起因して(反芻動物においては、補給脂肪は、反芻動物の第一胃内でトリグリセリドの加水分解によって放出される脂肪酸を水素化して飽和させる該第一胃内の微生物に影響を及ぼす)、反芻動物における脂肪の吸収性は、単胃動物の場合とは異なる。従って、動物飼料用脂肪の有用性は、脂肪が反芻動物用飼料へ配合されるか、又は単胃動物用飼料へ配合されるかによって異なる。
【0016】
エネルギー量と同様に、脂肪原料を評価するための別の重要な基準は、該原料の入手可能性及び他のエネルギー源に対する相対的な価格である。これらの2つの理由により、天然の脂肪源の加工処理によって製造される脂肪原料を動物飼料に使用することに関心が高まっている。この分野においては、所謂「石鹸(soap)」を動物飼料(特に反芻動物用飼料)に使用することが一般的に行われるようになっているが、石鹸を単胃動物用飼料中に配合する場合に得られる結果は、主として完全脂肪(complete fat)の形態のトリグリセリドを使用するときに得られる結果よりも悪くなる。この理由は、単胃動物による脂肪の良好な消化能に対して必要なミセルの形成にとって不可欠であると考えられているグリセロールが石鹸には含まれていないからである。
【0017】
石鹸中にグリセロール(グリセリン)が存在するということは、該石鹸が単胃動物用飼料に配合できることを意味し、これによって、トリグリセリドを使用する場合に比べてコストが低減化され、また、動物に対して、より適当な形態(即ち、当該分野においては一般的な液状形態で脂肪を与える場合よりも好ましい粉状又は顆粒状の形態)で脂肪を与えることができる。従って、本発明においては、脂肪及び/又は油の鹸化後に得られるグリセロールは分離又は除去されない。所望により、本発明方法においては、動物飼料用に認可されているグリセロール及び/又は乳化剤を製造過程中に付加的に添加することができ、これによって、単胃動物用飼料に対してより適当なこれらの化合物を高濃度で含有する本発明による石鹸が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、脂肪酸に富むカルシウム石鹸の新規な製造方法、該方法によって製造されるカルシウム石鹸、及び動物の飼料の配合成分としての該カルシウム石鹸の用法を提供するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前述のように、脂肪の鹸化に直接的に基づく既知の石鹸製造法を用いることによっては、60%よりも高い脂肪酸濃度を有する石鹸を製造することは困難である。本発明は、天然の脂肪の鹸化により、アルカリ土類金属から70%よりも高い脂肪酸濃度(好ましくは、82〜86%の脂肪酸濃度)を有する石鹸(特にカルシウム石鹸)の製造方法を開示する。
【0020】
既知の石鹸(一般的には、ナトリウム石鹸)の製造法を用いて60%よりも高い脂肪酸濃度を達成するためには、該製造法へ最終的な濃縮工程を加えることが必要である。このためには、製造される石鹸(脂肪酸濃度:約60%又は60%未満)を洗浄し、加圧下で80〜90℃まで加熱される。このようにして加熱されて加圧処理に付された石鹸は、約2 bar の真空室内で破砕される。真空室から大気圧下で室温の条件下へ取り出される石鹸は、含有水の一部を失ってペースト状の外観を呈し、該石鹸の脂肪酸濃度を70%よりも高くすることが必要となる。真空条件下でのこの濃縮工程は費用のかさむ工程であり、また、製造される石鹸に砂状のきめをもたらす。
【0021】
本発明方法を用いる場合には、脂肪酸濃度の高い(82〜86%)カルシウム石鹸が鹸化工程後に直接的に得られるので、この最終的な濃縮工程は不要となる。
【0022】
本発明による方法には、天然の脂肪及び/又は油を酸化カルシウムと混合し、該混合物へ水を添加し、次いで得られた混合物を高圧反応器内で加熱する工程が含まれる。天然の脂肪及び/又は油を酸化カルシウムと反応させた後、反応マスを冷却させる。このようにして製造されるカルシウム石鹸は、トリグリセリドの鹸化によって生成するグリセロールを含有する。付加的な洗浄工程、濃縮工程(例えば、真空条件下での濃縮工程)又は類似の工程は不要である。得られる石鹸は常套の成形処理、例えは、ブロックへの押出処理、ペレット化処理、圧縮処理又は顆粒化処理等に付されるだけである。
【0023】
従って、本発明による1つの目的は、脂肪酸含有量が80%よりも高いカルシウム石鹸の新規な製造法を保護することである。本発明の範囲には、本発明による該製造法の次の実施態様も包含される。即ち、付加的量のグリセロール及び/又は動物飼料用に認可されたその他の乳化剤を鹸化反応の前に添加することによって、全組成物に対する脂肪酸の濃度はより低くなるが、より高濃度のグリセロール及び/又は付加的なその他の乳化剤を含有する石鹸が製造される。
【0024】
本発明の別の目的は、上記製造法によって得られる脂肪酸含有量の高いカルシウム石鹸を保護することである。
【0025】
本発明の最後の目的は、脂肪酸含有量の高いカルシウム石鹸であって、所望によりグリセロールの含有量を高め、及び/又は動物飼料用に認可された乳化剤を付加的に含有するカルシウム石鹸を動物飼料(特に、単胃動物用の飼料)において使用する方法を保護することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
脂肪又は油は、これらの融点よりも僅かに高い温度(一般的には、20℃〜50℃)まで加熱されたときに添加されなければならない。脂肪酸と同じモル数の酸化カルシウムを、鹸化されるべき天然の脂肪源又は油源へ添加することが必要である(添加比1:1)。
【0027】
加熱された脂肪及び/又は油へ酸化カルシウムを添加した後、水を該混合物中へ添加する。水の添加量は、少なくとも、添加される全てのCaOがCaOHになるのに必要な化学量論量であり、この量よりも可能な過剰量は、カルシウム石鹸中で達成される最終的な脂肪酸濃度に反比例しなければならない。従って、6%の過剰水は、本発明方法によって製造されるカルシウム石鹸中において約84%の脂肪酸濃度をもたらす。この濃度は、鹸化中に生成する未反応グリセロールの量(10%)を差し引いた値である。前述のように、該グリセロールは、従来技術において開示されている他の方法を利用する伝統的な場合のように分離又は洗浄されたりせずに、製造されるカルシウム石鹸の最終的な組成中に含まれる。飼料の最終的な組成中にグリセロール(グリセリン)が含まれることは単胃動物(例えば、豚及びニワトリ等)に対して得に有用である。この理由は、これらの動物の体内におけるミセル形成に起因して、グリセロールが脂肪の消化性を促進するからである。
【0028】
付加的なグリセロール及び/又は動物飼料用に認可されているその他の乳化剤を含有させるべき場合には、この種の化合物は、酸化カルシウムの添加時、酸化カルシウムの添加前、又は酸化カルシウムの添加後に添加してもよい。グリセロール及び/又は乳化剤は、カルシウムイオン源となる化合物(酸化カルシウム)の添加時に添加する態様が好ましい。いずれの態様においても、グリセロール及び/又は乳化剤は、水の添加前に添加しなければならない。従って、鹸化時においては、グリセロールは系中に存在し、均一に分散混合される。これによって、オレイン酸成分を含有する理想的な組成物を短時間で得ることが可能となる。
【0029】
本発明において用いるグリセロールは、好ましくは、未精製グリセロールである。添加されるグリセロールの割合は、最終製品に含有させるべき割合に応じて変化し、また、別の添加剤も添加するかどうかによっても左右されるが、一般的には4%〜12%である。
【0030】
任意の乳化剤は、動物飼料用として欧州連合によって承認されているリスト(European Union's positive list )に記載されているいずれの乳化剤であってもよい。いずれの場合も、添加量は、個々の乳化剤の乳化能やコスト等の基準によって左右される。
【0031】
脂肪及び/又は油+酸化カルシウム+水+任意のグリセロール成分及び/又は乳化剤を含む混合物は、ステンレス鋼製反応器内において、2 bar の圧力下で100℃よりも高い温度まで加熱される。この場合、好ましい温度は100℃〜150℃であり、また、好ましい圧力は2〜4 bar である。
【0032】
動物又は植物を起源とする天然のいずれの脂肪源及び/又は油源も使用することができる。該脂肪源及び/又は油源はそのまま添加してもよく、あるいは前処理(例えば、ふかいな臭いの脱臭処理等)に付した後で添加してもよい。
【0033】
上記の製造方法はバッチ方法で行ってもよく、あるいは連続方法又は半連続方法でおこなってもよい。バッチ方法は所定の製造原料を用いて開始させ、カルシウム石鹸が生成する時点で終了させる。また、新たな製造原料(脂肪及び/又は油、CaO並びに水)の添加によって再開させる。しかしながら、連続法は、製造装置の定期的な保全作業や洗浄作業を行うとき以外は中断されない。脂肪及び/又は油は、CaOと共に連続的に添加され、水は続発的に添加され、脂肪酸に富むカルシウム石鹸は停止することなく得られる。半連続法は、上記のバッチ法と連続法の混在法である。即ち、この方法は、連続的な方法であるが、予めプログラム化された一定数のサイクルに対してのみ連続的である。
【0034】
反応原料の添加、これらの計量及び反応パラメーターの調整は自動的に行ってもよい。このような自動化手段には、前記のタイプの製造法(バッチ法、連続法及び半連続法)及び生産必要量に適合させることができるプログラムを含むコンピュータ化手段が含まれる。
【0035】
前記の反応条件下での鹸化によって製造される液状のカルシウム石鹸は、冷却後、成形処理又は押出処理によって、動物飼料において一般的に使用されているいずれかの形態(棒状形態、ブロック状形態、繊維状形態、ボール状形態、タブレット形態、ピル状形態、ペレット状形態等)へ変換される。
【0036】
このようにして製造されるカルシウム石鹸は動物、特に、単胃動物の飼料用成分として使用される。この理由は、この種の動物の消化系は脂肪の同化に関して大きな困難性を伴うからである。
【0037】
脂肪酸よりも、脂肪から製造されるカルシウム石鹸を使用することは次のことを意味する。即ち、単胃動物における脂肪の消化における必須要素であるグリセロールは該石鹸中に存在するので、脂肪酸からの石鹸の製造過程において添加する必要はない。
【0038】
脂肪を遊離の脂肪酸の形態で添加する場合の単胃動物中における脂肪の消化性は、脂肪をトリグリセリドの形態で添加する場合に比べて、より困難である。飼料、あるいは脂肪及び/又は油へ乳化剤を添加することによって、脂肪の消化性は著しく改善される。グリセロールは異なる研究分野の文献においては乳化剤として記載されており、また、欧州連合による動物飼料用添加剤のリストにおいては乳化剤とみなされている。
【0039】
従って、遊離の脂肪酸から製造されるのではなくて、脂肪及び/又は油から製造されるカルシウム石鹸は、使用される脂肪及び/又は油に起因するグリセロールを含有するために、単胃動物用飼料においては非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸濃度が80%よりも高いカルシウム石鹸を、鹸化反応後に得られる該石鹸を洗浄処理又はいずれかの手段、特に真空条件の採用による濃縮処理に付すことなく、直接的に製造する方法であって、下記の工程a)〜d)を含む該方法:
a)天然脂肪、天然油又はこれらの2者の混合物を、これらの融点よりも僅かに高い温度まで予め加熱し、
b)天然の脂肪及び/又は油を酸化カルシウム(CaO)と1:1の割合で混合し、
c)天然の脂肪及び/又は油とCaOとの混合物に対して、少なくとも添加したCaOがCaOHへ変化するために必要な化学量論量の水を添加し、
d)2〜4bar の圧力下において、該反応混合物を100〜150℃まで加熱する。
【請求項2】

工程a)の終了後、鹸化反応がおこなわれたならば、生成する液状のカルシウム石鹸を冷却させた後、繊維状形態、棒状形態、タブレット形態、ブロック形態及び動物飼料において使用されるその他の形態に成形させる請求項1記載の方法。
【請求項3】
天然の脂肪及び/又は油を予め20〜50℃まで加熱する請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
所望により、グリセロール及び/又は動物飼料に対して認可された他の乳化剤を、加熱された天然の脂肪及び/又は油中へ予め添加する請求項1から3いずれかに記載の方法。
【請求項5】
加熱された天然の脂肪及び/又は油への所望によるグリセロール及び/又は動物飼料に対して認可された他の乳化剤の添加を、酸化カルシウムの添加の時に同時におこなう請求項4記載の方法。
【請求項6】
グリセロール及び/又は動物飼料に対して認可された他の乳化剤の所望による添加を、酸化カルシウムの添加の前におこなう請求項4記載の方法。
【請求項7】
グリセロール及び/又は動物飼料に対して認可された他の乳化剤の所望による添加を、酸化カルシウムの添加後であって、水の添加前におこなう請求項4記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7いずれかに記載の方法によって製造されるカルシウム石鹸であって、該石鹸の製造過程中に添加されるグリセロール及び/又は他の乳化剤に相当する重量を除外する最終組成物の重量に対して80重量%よりも高濃度で脂肪酸を含有する該カルシウム石鹸。
【請求項9】
請求項1から7いずれかに記載の方法によって製造される請求項8記載のカルシウム石鹸の動物飼料の配合成分としての用法。
【請求項10】
動物飼料を、好ましくは単胃動物への給餌のために使用する請求項9記載の用法。

【公表番号】特表2009−522241(P2009−522241A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547991(P2008−547991)
【出願日】平成17年12月30日(2005.12.30)
【国際出願番号】PCT/ES2005/070190
【国際公開番号】WO2007/077266
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508196623)ノレル・ソシエダッド・アノニマ (1)
【氏名又は名称原語表記】NOREL, S.A.
【Fターム(参考)】