説明

動画ファイル送信サーバおよびその動作制御方法

【目的】比較的迅速に携帯電話の表示に適した動画を表示する。
【構成】動画Mのうち,変換後が携帯電話に表示可能な変換対象部分が,携帯電話の機種および携帯電話会社ごとに変換される。携帯電話の機種,携帯電話会社ごとに先頭部分の動画ma1〜man,mb1〜mbn,mc1〜mcnが生成される。携帯電話から動画ファイルがリクエストされると,携帯電話の機種,携帯電話会社に対応する先頭部分の動画が見つけられる。見つけられた先頭部分がリクエストした携帯電話に送信される。先頭部分の送信中に変換対象部分の残りの部分である残部分が変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,動画ファイル送信サーバおよびその動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表されるクライアント端末装置に向けた動画送信サービスが発表されている。携帯電話向けの動画送信においては,映像はMPEG4(Moving Picture Experts Group phase 4) Video形式,音声はAAC(Advanced Audio Coding)形式,AMR(Adaptive Multi-Rate CODEC)などが多く採用されている。また,多重化ファイル・フォーマットは3GPP(3rd Generation Partnership Project),3GPP2などの複数が利用されている。さらに,携帯電話のキャリアごとに独自のフォーマットを利用することもある。
【0003】
送信対象のクライアント端末装置において表示できるようなフォーマット等をもつ動画ファイルをクライアント端末装置に送信する必要がある。動画ファイルは,多数の形式,フォーマットが利用されているので,クライアント端末装置の機種ごとにあらかじめ生成したのでは極めて多くの種類の動画ファイルを用意する必要がある。クライアント端末装置の表示に適した動画ファイルをあらかじめ生成したのでは,動画ファイルを記憶するのに必要なメモリ領域が大きくなってしまう。また,クライアント端末装置からのリクエストに応じて,そのリクエストされたクライアント端末装置の表示に適した動画ファイルを生成するのでは,クライアント端末装置に送信するまでに時間がかかってしまう。
【0004】
このために,送信用動画を中間的な状態まで伸張しておき,ネットワークの負荷を検知し,送信用動画の符号量を決定して送信用動画を生成するもの(特許文献1),ユーザからの指定により,画像の圧縮形式,画像サイズおよび品質を決定してユーザに送信するもの(特許文献2),複数種類の動画形式に対応し,送信先の通信手段の方式に対応させた形式に動画を変換するもの(特許文献3),クライアント端末装置の機種を判別し,機種に応じた動画生成パラメータを決定し,送信用動画を生成するもの(特許文献4),クライアント端末装置の属性データに応じてフォーマット変換を行い,クライアント端末装置に送信するもの(特許文献5)などがある。
【特許文献1】特開平9-298749号公報
【特許文献2】特開2002-82861号公報
【特許文献3】特開2004-88500号公報
【特許文献4】特開2004-222124号公報
【特許文献5】特開2006-343830号公報
【0005】
しかしながら,動画ファイルを記憶するメモリ領域をできるだけ小さくしつつ,クライアント端末装置への動画ファイルの送信までの時間を短縮することはできない。
【発明の開示】
【0006】
この発明は,動画ファイルを記憶するメモリ領域をできるだけ小さくしつつ,クライアント端末装置への動画ファイルの送信までの時間を短縮することを目的とする。
【0007】
この発明による動画ファイル送信サーバは,クライアント端末装置が動画を表示できるようなファイル・フォーマット,1フレームの画素数,ビット・レート,フレーム・レートおよびデータ量(の少なくとも1つ)をもつ動画ファイルの先頭部分を,クライアント端末装置の機種ごとに記憶する先頭部分記憶手段,クライアント端末装置から送信された動画ファイル・リクエストを受信する動画ファイル・リクエスト受信手段,上記先頭部分記憶手段によって記憶されている動画ファイルの先頭部分のうち,上記動画ファイル・リクエスト受信手段によって受信した動画ファイル・リクエストに対応した動画ファイルの先頭部分であって,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置が表示できる動画ファイルの先頭部分を,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置に送信する先頭部分送信手段,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置が表示できるように,上記先頭部分送信手段によって送信された動画ファイルの先頭部分の残りの動画ファイル部分である残部分のファイル・フォーマット,1フレームの画素数,ビット・レート,フレーム・レートおよびデータ量(の少なくとも1つ)を変換する残部分変換手段,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置から送信された残部分リクエストを受信する残部分リクエスト受信手段,ならびに上記残部分リクエスト受信手段によって受信した残部分リクエストを送信したクライアント端末装置に,上記残部分変換手段において変換された残部分を送信する残部分送信手段を備えていることを特徴とする。
【0008】
この発明は,上記動画ファイル送信サーバに適した動作制御方法も提供している。すなわち,この方法は,先頭部分記憶手段が,クライアント端末装置が動画を表示できるようなファイル・フォーマット,1フレームの画素数,ビット・レート,フレーム・レートおよびデータ量をもつ動画ファイルの先頭部分を,クライアント端末装置の機種ごとに記憶し,動画ファイル・リクエスト受信手段が,クライアント端末装置から送信された動画ファイル・リクエストを受信し,先頭部分送信手段が,上記先頭部分記憶手段によって記憶されている動画ファイルの先頭部分のうち,上記動画ファイル・リクエスト受信手段によって受信した動画ファイル・リクエストに対応した動画ファイルの先頭部分であって,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置が表示できる動画ファイルの先頭部分を,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置に送信し,残部分変換手段が,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置が表示できるように,上記先頭部分送信手段によって送信された動画ファイルの先頭部分の残りの動画ファイル部分である残部分のファイル・フォーマット,1フレームの画素数,ビット・レート,フレーム・レートおよびデータ量を変換し,残部分リクエスト受信手段が,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置から送信された残部分リクエストを受信し,残部分送信手段が,上記残部分リクエスト受信手段によって受信した残部分リクエストを送信したクライアント端末装置に,上記残部分変換手段において変換された残部分を送信するものである。
【0009】
この発明によると,クライアント端末装置が動画を表示できるようなファイル・フォーマット,1フレームの画素数,ビット・レート,フレーム・レートおよびデータ量をもつ動画ファイルの先頭部分が,クライアント端末装置の機種ごとに記憶されている。クライアント端末装置から動画ファイル・リクエストがあると,その動画ファイル・リクエストに対応する動画ファイルの先頭部分であって,動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置が表示できる動画ファイルの先頭部分が,動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置に送信される。クライアント端末装置が表示できる動画ファイルの先頭部分があらかじめ生成されているので,その先頭部分をクライアント端末装置にすぐに送信できる。また,動画ファイルの全体ではなく,クライアント端末装置が表示できるデータ量をもつ先頭部分があらかじめ生成されているので,先頭部分を記憶するメモリ領域も比較的少なくて済む。
【0010】
先頭部分がクライアント端末装置に送信されている間に,先頭部分の残りの動画部分である残部分が変換される。残部分のリクエストがあると,変換された残部分が動画ファイル送信サーバからクライアント端末装置に送信される。クライアント端末装置のユーザは,先頭部分だけでなく,残りの動画部分も閲覧できるようになる。
【0011】
上記残部分変換手段によって変換された残部分を記憶する残部分記憶手段をさらに備えてもよい。
【0012】
上記残部分記憶手段に記憶されている残部分のうち,最後に残部分リクエストがあった時または残部分に対応する動画ファイルの動画ファイル・リクエストがあった時から一定時間以内に残部分リクエストが無かった残部分を消去する残部分消去手段をさらに備えてもよい。
【0013】
上記クライアント端末装置は,たとえば,携帯電話である。その場合には,上記最後に残部分リクエストがあった時または残部分に対応する動画ファイルの動画ファイル・リクエストがあった時から一定時間以内に残部分リクエストが無かったかどうかは,携帯電話のキャリアに無関係に上記残部分リクエストまたは上記動画ファイルのリクエストの有無にもとづくものとすることができる。
【実施例】
【0014】
図1は,この発明の実施例を示すもので,画像送信サーバ1の電気的構成を示すブロック図である。
【0015】
画像送信サーバ1は,クライアント端末装置からのリクエストに応じて,クライアント端末装置に動画ファイルを送信するものである。特に,この実施例においては,動画の一部分である先頭部分が,リクエストしたクライアント端末装置における表示に適するようにあらかじめフォーマット変換等されて記憶されている。フォーマット変換等された先頭部分がクライアント端末装置に送信される。フォーマット変換等されていない残りの部分は,先頭部分が送信されている間にフォーマット変換等される。動画ファイルのすべてが変換されて記憶されていないので,記憶に必要なメモリ領域が比較的少なくて済む。また,変換済みの動画ファイルの先頭部分は,リクエストに応じてすぐにクライアント端末装置に送信できるので,クライアント端末装置のユーザは,リクエストした動画をすぐに閲覧できる。
【0016】
画像送信サーバ1の全体の処理は,CPU8によって統括される。
【0017】
画像送信サーバ1には,動画ファイルを取得する動画取得装置2が含まれている。この動画取得装置2によって取得された動画ファイルは,データベース制御装置7によって送信動画データベース6に格納される。また,画像送信サーバ1には,先頭部分を決定する処理などが行われる処理制御装置3,動画ファイルを符号化する符号化装置4,送信動画を生成する送信動画生成装置5なども含まれている。
【0018】
画像送信サーバ1には,所定のデータを記憶するメイン・メモリ10,メイン・メモリ10を制御するメモリ制御装置9も含まれている。また,画像送信サーバ1には,クライアント端末装置の仕様を示すデータが格納されている端末仕様データベース12,端末仕様データベース12に格納されているデータを取得する端末仕様取得装置11も含まれている。さらに,画像送信サーバ1には,クライアント端末装置に動画ファイルを送信する動画送信装置13およびクライアント端末装置から送信されるリクエストを受け付ける送信要求受付装置14も含まれている。
【0019】
この実施例では,クライアント端末装置は携帯電話とされるが,他の端末装置についても利用できるのはいうまでもない。
【0020】
図2は,端末仕様データベース12に格納されている端末仕様テーブルの一例である。
【0021】
端末仕様テーブルには,携帯電話のキャリア(いわゆる携帯電話会社)ごとに,かつ携帯電話の機種ごとに,それぞれの携帯電話において動画を再生するために適した表示仕様が規定されている。表示仕様には,動画ファイルのフォーマット,1フレーム(1駒)を構成する画像の画素数(横および縦の画素数),ビット・レート,フレーム・レート,受信可能なデータ量がある。クライアント端末装置から画像サーバ1に動画ファイルがリクエストされることにより,リクエストしたクライアント端末装置のキャリアおよび機種が判定される。判定された機種に対応する表示仕様が端末仕様データベース12に格納されている端末仕様テーブルから読み出されることとなる。読み出された表示仕様にしたがって,動画ファイルを変換することにより,リクエストしたクライアント端末装置における表示に適した動画ファイルが得られることとなる。
【0022】
図3は,この実施例における先頭部分の生成の仕方を示している。
【0023】
動画ファイルによって表される動画Mがあるものとする。この動画Mのうち,先頭の一部分を変換対象部分M1とし,残りの部分を残部分M2とする。
【0024】
変換対象部分M1が上述した携帯電話会社および携帯電話機種ごとに,表示に適するように変換される。すると,携帯電話キャリアAの携帯電話機種a1に適した先頭部分ma1が生成される。同様に,携帯電話キャリアAの携帯電話機種a2〜anのそれぞれに適した先頭部分ma2〜manが生成される。さらに,携帯電話キャリアBの携帯電話機種b1〜bn,携帯電話キャリアBの携帯電話機種c1〜cnのそれぞれに適した先頭部分mb1〜mbn,mc1〜mcnが生成される。生成された先頭部分ma1〜man,mb1〜mbn,mc1〜mcnは,携帯電話ごとの表示仕様が異なっているからデータ量,再生時間も異なることとなる。
【0025】
この実施例では,このように携帯電話会社および機種ごとに適した先頭部分が,動画送信サーバ1に記憶されているすべての動画について,あらかじめ送信動画生成装置5において生成されて送信動画データベース6に記憶されている。リクエストがあった携帯端末装置に対応する先頭部分が画像送信サーバ1から携帯電話に送信される。先頭部分の送信後に,残部分M2がそのリクエストされた携帯電話における表示(再生)に適した変換が行われ,携帯電話に送信される。
【0026】
図4は,送信動画データベース6に格納されている動画Mの先頭部分テーブルの一例である。他の動画についても同様の先頭部分テーブルが送信動画データベース6に格納されている。
【0027】
上述のように,先頭部分テーブルには,携帯電話会社および携帯電話機種ごとに先頭部分が格納されている。また,先頭部分テーブルには,それぞれの先頭部分によって表される動画の時間(先頭部分時間)も格納されている。先頭部分時間により,先頭部分が元の動画Mのどの時間まで再生されるかがわかる。この先頭部分時間により,残部分の開始時間が分かることとなるので,その開始時間から残部分を変換し,携帯電話に送信すればよいことがわかる。さらに,先頭部分テーブルには後述のように,変換された残部分も先頭部分に対応して格納される。
【0028】
図5は,ある一つの動画Mについて先頭部分の生成処理手順を示すフローチャートである。他の動画についても同様の処理が行われる。
【0029】
送信動画データベース6に格納されている動画ファイルのうち処理対象の動画ファイルが取得される(ステップ21)。送信動画データベース6に格納されていずに,動画取得装置2を用いて動画ファイルを取得してもよい。動画取得装置2において取得された動画ファイルは,送信動画データベース6に格納される。
【0030】
つづいて,端末仕様データベース12から所望の端末仕様が読み取られる(ステップ22)。読み取られた端末仕様を用いて,その端末仕様の携帯電話が表示できるように変換対象部分を変換する変換パラメータ(後述する変換対象時間)および変換対象部分が決定される(ステップ23)。決定された変換対象部分が変換パラメータを用いて変換され,先頭部分が得られる(ステップ24)。先頭部分は,端末仕様データベース12から読み取られた端末仕様をもつ携帯電話会社および携帯電話機種において表示に適したフォーマット,画素数,ビット・レート(映像,音声),フレーム・レート,データ量となっている。したがって,その端末仕様をもつ携帯電話から動画ファイルのリクエストがあった場合に先頭部分が送信されると,その先頭部分の動画が携帯電話において表示できるようになる。変換により得られた先頭部分およびその先頭部分時間は,上述したように動画ファイルごとに形成されている先頭部分テーブルに格納されることにより送信動画データベース6に格納される(ステップ25)。
【0031】
その動画Mについて,端末仕様データベース12に格納されているすべての携帯電話について先頭部分が生成されるまでステップ22から25までの処理が繰り返される(ステップ26)。
【0032】
ある動画Mについて図5に示す処理が終了すると,他の動画について図5に示す処理が行われる。
【0033】
変換対象部分は,具体的には,式1にしたがって得られる変換対象時間t1までの部分となる。
【0034】
変換対象時間t1=(携帯電話の最大受信可能データ量)/(映像+音声ビット・レート)・・・式1
【0035】
たとえば,携帯電話の再生可能最大映像ビット・レートが192kbps,再生可能最大音声ビット・レートが64kbps,最大受信可能データ量が1Mbyteの場合には,変換対象時間t1は,t1=(1Mbyte×8bit)/(192bps+64kbps)=31.25秒となる。余裕をもって,変換対象時間t1は30秒とされ,動画の最初から30秒までの部分が変換対象部分となる。携帯電話の再生可能最大映像ビット・レートが128kbps,再生可能最大音声ビット・レートが64kbps,最大受信可能データ量が1Mbyteの場合に,マージン係数を0.95とすると,変換対象時間t1は,t1=(1Mbyte×8bit×0.95)/(128bps+64kbps)=約40秒となる。動画の最初から40秒までの部分が変換対象部分となる。
【0036】
マージン係数は0.95としたが,たとえば,−3秒などの固定値としてもよい。また,最大映像/音声ビット・レートを利用しているが,最大値ではなくともよい。さらに,変換対象部分は,式1から算出しているが,動画の一部分を実際に変換し,変換された部分のうち,携帯電話が受信できる部分を先頭部分(変換対象部分)としてもよい。
【0037】
図6および図7は,先頭部分を送信する画像送信サーバ1の処理手順を示すフローチャートである。
【0038】
クライアント端末装置からの動画ファイル・リクエストが画像送信サーバ1において受信されると(ステップ31),そのリクエストに含まれているクライアント端末装置の機種が取得される(ステップ32)。たとえば,リクエストに含まれるUserAgentからクライアント端末装置の機種および携帯電話会社が取得される。
【0039】
動画ファイル・リクエストによりリクエストされた動画ファイルの先頭部分テーブルが見つけられ,見つけられた先頭部分テーブルのうち,動画ファイル・リクエストを送信した携帯電話の携帯電話会社および機種に対応して格納されている先頭部分が読み取られる。読み取られた先頭部分が画像送信サーバ1から動画ファイル・リクエストを送信した携帯電話に送信される(ステップ33)。また,動画ファイル・リクエストの受信時刻が記憶される(ステップ34)。
【0040】
動画が短い場合には上述した変換対象部分を変換すると残部分が存在しない場合がある。このために,残部分が存在するかどうかが確認される(ステップ35)。残部分がある場合には(ステップ35でYES),リクエストされた元の動画から残部分が抽出される(ステップ36)。図4の先頭部分テーブルに示されているように,先頭部分に対応して先頭部分時間が格納されている。先頭部分が決定されると,その先頭部分に対応する先頭部分時間も分かる。元の動画の先頭部分時間までの部分が変換対象部分に相当するから,その先頭部分時間後の部分が残部分となる。
【0041】
残部分が抽出されると,上述した先頭部分と同様に,その残部分の変換パラメータが決定され,決定された変換パラメータを用いて,リクエストした携帯電話での表示に適するように変換される(ステップ38)。変換された残部分は,先頭部分に対応して先頭部分テーブルに格納されることにより送信動画データベース6に格納される(ステップ39)。変換された残部分が記憶されるので,その後に残部分のリクエストがあった場合でも残部分の変換処理を行うことなく変換された残部分を携帯電話に送信できる。残部分のデータ量が多く,すべての残部部分を変換するとリクエストした携帯電話が受信できない場合には,受信できるデータ量の残部分が変換されることとなるのはいうまでもない。その後,さらに残りの残部分が変換される。
【0042】
図8は,画像送信サーバ1における残部分送信処理手順を示すフローチャートである。
【0043】
動画ファイル・リクエストを送信した携帯電話において先頭部分の閲覧が終了すると,その携帯電話から画像送信サーバ1に残部分リクエストが送信される。送信された残部分リクエストが画像送信サーバ1において受信されると(ステップ41),その残部分リクエストを送信した携帯電話の機種および携帯電話会社が,残部分リクエストから取得される(ステップ42)。携帯電話の機種および携帯電話会社に対応する残部分が送信動画データベース6から読み取られ,読み取られた残部分が画像送信サーバ1から携帯電話に送信される(ステップ43)。
【0044】
また,残部分リクエストの受信時刻が記憶される(ステップ43)。その後,動画ファイル・リクエストの受信時刻,残部分リクエストの受信時刻などにもとづいて残部分が削除される(ステップ45)。もっとも,残部分は必ずしも削除する必要はないし,残部分の送信直後に削除してもよいし,変換された残部分を送信動画データベース6に記憶せずに動画ファイル・リクエストがあるたび残部分を生成するようにしてもよい。
【0045】
図9は,残部分削除処理手順(図8ステップ45の処理手順)を示すフローチャートである。
【0046】
動画ファイル・リクエストの受信時刻または残部分リクエストの受信時刻から一定時間(たとえば,3日)経過したかどうかが確認される(ステップ51)。経過していれば,その残部分が削除される(ステップ52)。残部分が削除されるので,送信動画データベース6の記憶領域が少なくなるのを防ぐことができる。
【0047】
動画ファイル・リクエストの受信時刻または残部分リクエストの受信時刻のいずれか一方から一定時間経過したかどうかによって判断してもよいし,両方の受信時刻から一定時間が経過したかどうかによって判断してもよい。動画ファイル・リクエストがあると残部分の変換処理が行われて送信動画データベース6に格納されるが,携帯電話から残部分リクエストが無かった場合には,残部分リクエストの受信時刻だけにもとづいて残部分の削除が行われると残部分は削除されないこととなる。このために,動画ファイル・リクエストの受信時刻から一定時間が経過した場合にも残部分を削除することが好ましい。
【0048】
図10は,他の残部分削除処理手順を示すフローチャートである。
【0049】
図9に示すものは,携帯電話会社および携帯電話機種ごとに対応する残部分について残部分リクエストの受信時刻から一定時間が経過したかどうかを判断し,元の動画が同じであっても携帯電話機種等が異なれば,残部分については削除されている。これに対して,図10に示すものは,元の動画が同じであれば,異なる機種等からリクエストがあった場合には残部分のリクエスト受信時刻を更新し,更新された時刻を基準に一定時間が経過したかどうかを判断するものである。
【0050】
まず,時刻パラメータTがリセット(T=0)される(ステップ61)。上述のように,動画ファイル・リクエストの受信時刻および特定の携帯電話機種および携帯電話会社の残部分リクエストが取得される(ステップ62)。取得されたいずれかの受信時刻が時刻パラメータTよりも遅い時刻を表していれば(受信時刻>T)(ステップ64でYES),取得された受信時刻のうち最終受信時刻が時刻パラメータTにセットされる(ステップ64)。
【0051】
特定の動画についてのすべての携帯電話会社および携帯電話の機種ごとにステップ62から64の処理が行われる(ステップ65)。
【0052】
現在時刻から時刻パラメータTの時刻が減算された時間が削除基準時間(たとえば,3日)を超えていれば(ステップ67でYES),特定の動画について携帯電話会社および携帯電話機種ごとに生成された残部分がすべて削除される(ステップ67)。
【0053】
図9に示す削除処理では,特定の携帯電話機種および携帯電話会社の携帯電話からのリクエストが無い場合には,その携帯電話用の動画の残部分は削除されてしまうが,図10に示す処理では特定の携帯電話からのリクエストが無くとも他の携帯電話から動画のリクエストがあった場合には,その動画の残部分は削除されないようになる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】画像送信サーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】端末仕様テーブルの一例である。
【図3】先頭部分の生成の仕方を示している。
【図4】先頭部分テーブルの一例である。
【図5】先頭部分生成処理手順を示すフローチャートである。
【図6】先頭部分送信処理手順を示すフローチャートである。
【図7】先頭部分送信処理手順を示すフローチャートである。
【図8】残部分送信処理手順を示すフローチャートである。
【図9】残部分削除処理手順を示すフローチャートである。
【図10】残部分削除処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 画像送信サーバ
3 処理制御装置
5 送信動画生成装置
6 送信動画データベース
8 CPU
13 動画送信装置
14 送信要求受付装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末装置が動画を表示できるようなファイル・フォーマット,1フレームの画素数,ビット・レート,フレーム・レートおよびデータ量をもつ動画ファイルの先頭部分を,クライアント端末装置の機種ごとに記憶する先頭部分記憶手段,
クライアント端末装置から送信された動画ファイル・リクエストを受信する動画ファイル・リクエスト受信手段,
上記先頭部分記憶手段によって記憶されている動画ファイルの先頭部分のうち,上記動画ファイル・リクエスト受信手段によって受信した動画ファイル・リクエストに対応した動画ファイルの先頭部分であって,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置が表示できる動画ファイルの先頭部分を,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置に送信する先頭部分送信手段,
上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置が表示できるように,上記先頭部分送信手段によって送信された動画ファイルの先頭部分の残りの動画ファイル部分である残部分のファイル・フォーマット,1フレームの画素数,ビット・レート,フレーム・レートおよびデータ量を変換する残部分変換手段,
上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置から送信された残部分リクエストを受信する残部分リクエスト受信手段,ならびに
上記残部分リクエスト受信手段によって受信した残部分リクエストを送信したクライアント端末装置に,上記残部分変換手段において変換された残部分を送信する残部分送信手段,
を備えた動画ファイル送信サーバ。
【請求項2】
上記残部分変換手段によって変換された残部分を記憶する残部分記憶手段をさらに備えた請求項1に記載の動画ファイル送信サーバ。
【請求項3】
上記残部分記憶手段に記憶されている残部分のうち,最後に残部分リクエストがあった時または残部分に対応する動画ファイルの動画ファイル・リクエストがあった時から一定時間以内に残部分リクエストが無かった残部分を消去する残部分消去手段をさらに備えた請求項2に記載の動画ファイル送信サーバ。
【請求項4】
上記クライアント端末装置が携帯電話であり,
上記最後に残部分リクエストがあった時または残部分に対応する動画ファイルの動画ファイル・リクエストがあった時から一定時間以内に残部分リクエストが無かったかどうかは,携帯電話のキャリアに無関係に上記残部分リクエストまたは上記動画ファイルのリクエストの有無にもとづくものである,
請求項3に記載の動画ファイル送信サーバ。
【請求項5】
先頭部分記憶手段が,クライアント端末装置が動画を表示できるようなファイル・フォーマット,1フレームの画素数,ビット・レート,フレーム・レートおよびデータ量をもつ動画ファイルの先頭部分を,クライアント端末装置の機種ごとに記憶し,
動画ファイル・リクエスト受信手段が,クライアント端末装置から送信された動画ファイル・リクエストを受信し,
先頭部分送信手段が,上記先頭部分記憶手段によって記憶されている動画ファイルの先頭部分のうち,上記動画ファイル・リクエスト受信手段によって受信した動画ファイル・リクエストに対応した動画ファイルの先頭部分であって,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置が表示できる動画ファイルの先頭部分を,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置に送信し,
残部分変換手段が,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置が表示できるように,上記先頭部分送信手段によって送信された動画ファイルの先頭部分の残りの動画ファイル部分である残部分のファイル・フォーマット,1フレームの画素数,ビット・レート,フレーム・レートおよびデータ量を変換し,
残部分リクエスト受信手段が,上記動画ファイル・リクエストを送信したクライアント端末装置から送信された残部分リクエストを受信し,
残部分送信手段が,上記残部分リクエスト受信手段によって受信した残部分リクエストを送信したクライアント端末装置に,上記残部分変換手段において変換された残部分を送信する,
動画ファイル送信サーバの動作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−87716(P2010−87716A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252870(P2008−252870)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】