説明

勾配付き坑口からのセントル引き出し解体方法

【課題】勾配付きの坑口において、勾配に沿って外部に引き出したセントルを水平な位置まで移動して安全な解体作業を可能とする。
【解決手段】勾配付きの坑口1から覆工完了後のセントル2を引き出して解体する際に、坑口1から外部に勾配に沿ってレール3を敷設するとともに、水平個所までレール3を延長して敷設しておく。そして、坑口1から外部の勾配に沿ったレール3上を移動させてセントル2を引き出して水平個所まで移動した後、その水平個所においてセントル2を解体する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勾配付きの坑口から覆工完了後のセントルを外部に引き出して解体する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルの築造において、覆工のために移動式のセントルが用いられる(例えば特許文献1参照)。覆工完了後、坑内でセントルの解体ができない場合、セントルは坑口から外部に引き出されて解体される。
【特許文献1】特開2003−410171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、勾配付きの坑口の場合、勾配に沿って外部の地面に敷設したレール上を移動させてセントルを外部に引き出した状態で解体するのは不安定な作業を強いることになる。
【0004】
本発明の課題は、勾配付きの坑口において、勾配に沿って外部に引き出したセントルを水平な位置まで移動して安全な解体作業を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明は、勾配付きの坑口から覆工完了後のセントルを引き出して解体する方法であって、坑口から外部に勾配に沿ってレールを敷設するとともに、水平個所までレールを延長して敷設しておき、坑口から外部の勾配に沿ったレール上を移動させてセントルを引き出して水平個所まで移動した後、その水平個所においてセントルを解体することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、勾配付きの坑口からセントルを外部の勾配に沿ったレール上を移動させて引き出して水平個所まで移動した後、その水平個所においてセントルを解体するため、坑内での解体ができなく、かつ勾配付きの坑口の場合でも、坑口から外部の勾配に沿って引き出したセントルを水平個所において安全でスムーズに解体できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
図1は本発明を適用した一実施形態を示すもので、1は勾配付きの坑口、2はセントル、3はレール、4はコンクリートブロック、5はコンクリート道床である。
実施例において、勾配付きの坑口1は、周回道路の直下にあり、構造上、複鉄筋(アーチ及びインバート)区間となるため、インバートの後施工ができない状況である。そのため、勾配付きの坑口1の前でセントル2を水平にするクリアランスが確保できず、勾配付きの坑口1から同一勾配で外部にセントルを引き出して解体する必要がある。
【0008】
従って、実施例では、勾配付きの坑口1から外部に、同一勾配の盛土をして、その盛土の勾配に沿ってレール3を敷設しておく。具体的には、図3に示すように、勾配付きの坑口1から同一勾配の盛土を水平盤までしておき、レール3の固定は現場の残コンで製作したコンクリートブロック4を枕として使用することによりレール3を敷設しておくことで、セントル2の移動時の反力がとれるようにした。
そして、勾配摺り付け区間は、セントル2の移動時の反力が大きくなることから、現場の捨てコンを打設して、図2に示すように、コンクリート道床5を水平盤まで敷設した。このコンクリート道床5に直にレール3を敷設した。
さらに、水平盤において、レール3を延長して敷設しておく。具体的には、図3に示すように、残コンで製作したコンクリートブロック4を枕としてレール3を敷設した。
【0009】
次に、以上の勾配付きの坑口1から覆工完了後のセントル2を外部に引き出して解体する方法について説明する。
これに先立ち、覆工完了後は、坑内のレール上に移動させてセントル2を勾配付きの坑口1の付近に戻しておく。
そして、図1及び図2に示すように、勾配付きの坑口1からセントル2を外部の勾配に沿ったレール3上に移動させて引き出し、続いて、図3に示すように、セントル2を水平盤まで移動させる。
その後、その水平盤において、図示しないが、クレーン等を用いてセントル2を解体する。
【0010】
このように、坑内での解体ができなく、かつ勾配付きの坑口1の場合において、坑口1から外部の勾配に沿って引き出したセントル2を水平盤にてスムーズに解体できて、作業の安全を確保できるものとなる。
【0011】
なお、以上の実施形態においては、坑口から外部に向かって上る勾配としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、坑口から外部に向かって下る勾配であっても良い。
また、坑口の周辺部の条件等も任意であり、その他、具体的な細部構成等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用した一実施形態を示すもので、外部から坑口側を見た概略斜視図である。
【図2】地面へのコンクリート打設を示した概略斜視図である。
【図3】セントルの移動中を示した概略斜視図である。
【符号の説明】
【0013】
1 勾配付きの坑口
2 セントル
3 レール
4 コンクリートブロック
5 コンクリート道床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
勾配付きの坑口から覆工完了後のセントルを引き出して解体する方法であって、
坑口から外部に勾配に沿ってレールを敷設するとともに、水平個所までレールを延長して敷設しておき、
坑口から外部の勾配に沿ったレール上を移動させてセントルを引き出して水平個所まで移動した後、
その水平個所においてセントルを解体することを特徴とする勾配付き坑口からのセントル引き出し解体方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−239377(P2007−239377A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65887(P2006−65887)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【Fターム(参考)】