説明

勾配領域を有する多層中間層

本発明は、多層ガラスパネル型用途において、パネルを通して透過される音量を減少させるために用いることができるが、一方で、勾配領域中に着色領域も供給する多層中間層を提供する。音響効果は、単一多層中間層として組み合わされた、異なる組成を有する2以上のポリマーシートを用いることによって達成することができ、勾配領域効果は、個々の層の1以上の勾配領域中に着色領域を形成することによって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー中間層、およびポリマー中間層を含んでいるガラスパネルの分野に属し、より具体的には本発明は、多熱可塑性シートを含んでいるポリマー中間層の分野に属す。
【背景技術】
【0002】
ポリ(ビニルブチラール)(PVB)は、光透過ラミネート、例えば安全ガラスまたはポリマーラミネートにおける中間層として用い得るポリマーシートの製造において通常用いられている。安全ガラスは多くの場合、2枚のガラスシートの間に配置されたポリ(ビニルブチラール)シートを含んでいる透明ラミネートのことを指す。安全ガラスは多くの場合、建築用および自動車開口部において透明なバリヤを供給するために用いられている。この主な機能は、開口部を通る侵入またはガラスの破片の分散を許すことなく、エネルギー、例えば物体からの打撃によって引き起こされたエネルギーを吸収し、このようにして閉鎖区域内の物体または人への損傷または負傷を最小限にすることである。安全ガラスはまた、他の有利な効果を与えるため、例えば雑音を緩和するため、UVおよび/またはIR光透過を減少するため、および/または窓開口部の外見的および審美的魅力を向上させるためにも用いることができる。
【0003】
熱可塑性中間層の配合についての重要な考察事項は、最終製品の音響透過特徴である。一般に、ガラスを通して透過される外部騒音のレベルを減少させる中間層を用いることが望ましい。音響性能を改良するために変性されている従来の単一ポリマーシート中間層は通常、ガラスを通す音響透過の割合を減少させるために変性された1以上の物理的特徴を有する。このような音響抑制における従来の試みは、低いガラス転移温度を有する熱可塑性ポリマーを用いることを含んでいる。しかしながら音響透過特徴を改良するために配合された単一シート中間層は、一般的には取扱いが難しく、実際に使用することができる組成バリエーションが限定されている。
【0004】
中間層の扱い易さを維持しつつも音響透過特徴を改良するための最近の試みは、従来の単一ポリマーシート中間層の代わりに多ポリマーシート層を用いることを含んでいる。例えば層が異なった特徴を有する熱可塑性ポリマーの2つの隣接層が使用されてきている(例えば米国特許5,340,654、米国特許5,190,826および米国特許出願2003/0139520A1参照)。
【0005】
残念ながら、多層中間層の出現は、単一中間層について克服されてしまった課題の再出現を生じる結果となった。例えばより厚い単一ポリマーシート中間層中への着色勾配の組み込みが、しばらくの間公知であったが(例えば米国特許4,316,868および米国特許3,799,718参照)、2以上のより薄いポリマーシートを有する多層中間層中への着色勾配の組み込みは、加工処理の難しさを示し、これの結果として、最終合わせガラス製品における標準以下の外見、安定性および/またはガラス接着を生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,340,654号明細書
【特許文献2】米国特許第5,190,826号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0139520号明細書
【特許文献4】米国特許第4,316,868号明細書
【特許文献5】米国特許第3,799,718号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
容易な加工処理を可能にし、光学的品質にマイナスの影響を与えずに多層ガラスパネル、具体的にはポリ(ビニルブチラール)層を含んでいる多層ガラスパネルの音響抑制特徴を向上させるために、さらに改良組成物および方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、多層ガラスパネル型用途において、パネルを通して透過される音量を減少させるために用いることができる一方、勾配領域中に着色領域も供給する多層中間層を提供する。音響効果は、単一多層中間層として組み合わされた、異なる組成を有する2以上のポリマーシートを用いることによって達成することができ、勾配領域効果は、個々の層の1以上の勾配領域中に着色領域を形成することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の多マニホールド同時押出し装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によれば、驚くべきことに着色領域を、例えば多マニホールド同時押出し装置を用いて、多層音響型中間層の勾配領域中に組み込むことができることがここに見い出された。
【0011】
本明細書において用いられる場合、「勾配領域」とは、従来から勾配が形成されている最終製品におけるフロントガラスの頂部部分に対応するポリマーシートの部分である。本発明の勾配領域は、運転者の視野を覆い隠さない、適切なあらゆる高さを有していてもよい。勾配領域は、中間層の最上端まで延びていてもよく、またはこれは、この勾配領域の一部でない勾配領域の上に小さい領域を残す、中間層の頂部に位置するストライプであってもよい。様々な実施形態において、「勾配領域」とは、車両の内部から見た場合、完成車両フロントガラスに設置されているようなポリマーシートの頂部部分のことを指す。様々な実施形態において、中間層の勾配領域は、完成フロントガラスの頂部8cmから26cmに相当する。勾配領域は、フロントガラスのこの部分に当たる太陽輻射の一部を遮断する遮蔽勾配を供給するために、従来から用いられてきた。
【0012】
本明細書において用いられる場合、中間層中の各ポリマーシートは勾配領域を有するが、この領域は着色を含まなくてもよく、それによってこの勾配領域を、「透明」領域として知られるポリマーシートの残りの部分と区別できなくしてもよい。
【0013】
本発明の中間層は、ポリマーシートの勾配領域中に少なくとも1つの着色領域を含んでいる。本明細書において用いられる場合、「着色領域」とは、ポリマーシートの残りの部分と区別される色彩または外見を結果として生じる顔料、染料または他の着色料を有する勾配領域の一部分である。様々な実施形態において、顔料は、着色領域へ色彩を付与するために用いられる。
【0014】
様々な実施形態において、着色領域は、色彩が勾配領域全体において一貫した組成および光学的特徴を有するように、勾配領域中に形成されてもよい。他の実施形態において、着色は、均一または不均一に変わり、所望の視覚効果を有する勾配を生成する。例えば勾配は、直線的、指数関数的または不連続に、透明から不透明にわたってもよく、例えば光学密度の値は、勾配領域中で0から4の範囲にある。パターンおよび画像もまた、着色領域中に形成されてもよい。別の実施形態において、着色領域は、勾配領域の規定された副領域中に形成されてもよい。例えば着色領域は、勾配領域と同じ高さを有するが、幅が半分だけの勾配領域の中心部副領域中に形成されてもよく、その結果、着色を有する勾配領域の長方形副領域を生じる。副領域中の着色の多くの他の形状および分布が可能であり、本発明の範囲内にある。黒、白および灰色、ならびにすべての他の色彩が、着色領域の範囲内に含まれる。
【0015】
着色領域は、あらゆる適切な方法で形成することができ、好ましい実施形態において、着色領域は、例えば同時押出しまたは押出しコーティング技術を用いた押出しの間、ポリマー層中に形成される。例えば同時押出しの実施形態において、ポリマー樹脂を含んでいるポリマーメルト、可塑剤、添加剤および着色剤が混合され、従来のポリマーメルトと同時押出しされ、その結果、勾配領域がこの中に形成されている単一ポリマーシートを生じる。ここでは着色剤が、この勾配領域を通って分散されている。
【0016】
着色領域は、中間層中の1以上のポリマーシートの勾配領域中に形成され得る。1以上のポリマーシートが着色領域を有する中間層の場合、多着色領域は、同一または異なって着色されていてもよい。異なるパターンまたは色が用いられるならば、単層における着色領域を用いた場合達成するのがより難しい、または不可能であるような組み合わせ効果を作り出すことができる。多着色領域実施形態において、着色領域は、同じ形状またはサイズであってもよく、またはこれらは異なっていてもよい。例えば、勾配領域全体を占める第一ポリマーシート中に第一着色領域が形成されてもよく、第二ポリマーシートにおいて勾配領域の副領域を占める第二着色領域が形成されてもよい。
【0017】
ガラスへの多層中間層の接着は、接着制御剤の使用を通して制御される。接着制御剤は例えば、カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩またはマグネシウム塩の形態にあってもよい。着色領域を有する勾配領域中の接着レベルは、隣接透明領域中の接着レベルと同じレベルにあるのが好ましく、これは、様々な政府標準に記載されている衝撃基準(例えばANSI Z26.01項目1およびEC R43)に合致するように適切に制御される。勾配領域中でのより低い接着は、衝撃を受けた場合、ガラスを中間層から脱結合させる、または剥離させる可能性があり、その結果、ガラスの破片、または割れて飛び散ったガラスの破片を生じ、それによって合わせガラスの安全特性を無効にする。
【0018】
本発明の目的のために、例えばガラスへの中間層の接着は、下に記載されているように加撃(pummel)接着によって測定することができる。透明領域と勾配領域との間の接着差、すなわち接着デルタは、好ましくは1ポンメル単位未満である。
【0019】
本発明の様々な実施形態において、着色領域を有する勾配領域は、ポリマーシートの残りの部分中の接着制御剤濃度よりも低い接着制御剤濃度を有する。様々な実施形態において、勾配領域の総アルカリ滴定濃度は、ポリマーシートの透明領域の総アルカリ滴定濃度よりも少なくとも4低い。この差は、同時押し出しの間に透明領域および勾配領域を形成するために用いられる、1以上のメルト中の塩濃度を変えることによって容易に得ることができる。勾配領域中の接着制御剤の相対濃度を変えることによって、例えばガラスへの勾配領域の接着を増加させることができる。
【0020】
本発明の様々な実施形態において、着色領域を含んでいる勾配領域の接着は、勾配領域を形成するために用いられるメルト中へのエポキシ樹脂の組み込みを通して改良される。適切な任意のエポキシ樹脂を用いてよく、好ましい実施形態において、エポキシ組成物は、(a)ビスフェノール−Aのモノマージグリシジルエーテルを含んでいるエポキシ樹脂;(b)ビスフェノール−Fのモノマージグリシジルエーテルを含んでいるエポキシ樹脂;(c)ビスフェノール−Aの水素化ジグリシジルエーテルを含んでいるエポキシ樹脂;(d)ポリエポキシド化フェノールノボラック;(e)ポリグリコールのジエポキシド、またはエポキシ末端ポリエーテルとしても公知であるもの;(f)グリシジルアルキルエーテル;および(g)(a)から(f)までの前記エポキシ樹脂のいずれかの混合物から選択される。これらの種類に関する別の情報は、「Encyclopedia of Polymer Science and Technology」、第6巻、1967年、Interscience Publishers,N.Y.209−271ページにある。エポキシ樹脂は、着色領域において用いられている主要樹脂(例えばポリ(ビニルブチラール))に対して100当たり0.5から10部、または着色領域において用いられている主要樹脂に対して100当たり1から5部の濃度で組み込まれてもよい。
【0021】
種類(a)のビスフェノール−Aの商業的に入手できる適切なジグリシジルエーテルは、Dow Chemical CompanyからのDER331である。種類(b)のビスフェノール−Fエポキシのジグリシジルエーテルは、EPON樹脂DPL−862であり、種類(c)のビスフェノール−Aエポキシの水素化ジグリシジルエーテルは、EPONEX樹脂1510であり、後者のどちらもShell Chemical Companyから入手できる。種類(d)のポリエポキシド化フェノールホルムアルデヒドノボラックは、Dow ChemicalからDEN 431として入手できる。種類(e)のポリ(オキシプロピレン)グリコールのジエポキシドは、Dow ChemicalからDER 732として入手できる。種類(f)のグリシジルアルキルエーテルは、HexionからHeloxy Modifier 116として入手できる。
【0022】
本発明の様々な実施形態において、勾配領域は、中間層のより大きな割合まで広げられている。従来の用途において例えば、勾配領域の高さ対この下の透明領域の高さの比、即ち「勾配対透明比」は、0.1から0.25である。勾配領域が増加されている本発明の実施形態において、勾配対透明比は、0.25超、0.3超または0.4超である。これらの実施形態は、フロントガラスおよびサンルーフと単一合わせガラスパネルとを統合する用途にとって特に有用である。これらの実施形態において、勾配領域は、前部視野の頂部にある通常の出発点からサンルーフ区域まで延びている。この型の勾配領域の他の用途もまた、本発明の範囲内にある。
【0023】
本発明の多層中間層は好ましくは、多マニホールド同時押出し装置、例えば図1に示されている装置を用いて形成される。概略断面図に一般に10として示されているように、押出し装置は、第一ダイマニホールド12、第二ダイマニホールド14および第三ダイマニホールド16を有する。プローブ18が、第一ダイマニホールド中に配置されている。プローブ18は、おおよそ所望の最終着色領域の幅である幅を有するオリフィスを有する。
【0024】
図1に示されている装置は、各マニホールド(12、14、16)から押出し開口部20の方へ向かってポリマーメルトを同時に押出すことによって作動し、ここで多層中間層は、3つの個々の層の複合体として押出される。シート厚さは、押出し開口部20のところのダイリップ間の距離を調節することによって変えることができる。プローブはまた、最終中間層中の1以上の着色領域の位置を変えるために、第一プローブ18に加えて、またはこれに代えて、第二マニホールド14および/または第三マニホールド16へ追加されてもよい。
【0025】
他の実施形態において、押出し装置は、2、3以上のダイマニホールドを有してもよく、これらの各々には、別個のポリマーメルトが供給されてもよい。プローブは、1以上の同時押出しメルトの中に着色領域を形成するために、1以上のマニホールドに挿入されてもよい。
【0026】
ガラスパネルを通る音響透過を減少させる機能を果たす本発明の多層中間層は、例えば当分野において公知のものを含むが、様々な炭素長のアセタールの使用を教示している米国特許5,190,826および異なる重合度の使用を教示している日本特許出願3124441Aおよび米国特許出願2003/0139520A1および組成差として2枚の隣接シートの1つにおける少なくとも5モル%の残留アセテートレベルの使用を教示している米国特許3,377,848および米国特許5340,654に開示されているものに限定されない。
【0027】
好ましい実施形態において、多層中間層をパネル中に組み込むことによって、優れた音響抑制特徴を多層ガラスパネルに付与することができる。この場合中間層は、異なる可塑剤濃度を有する2枚のポリマーシートを含んでいる。本明細書全体において詳細に記載されているように、異なる可塑剤濃度を安定的に含有するようにポリマーシートを調合することによって、多層ガラスパネルを通る音響透過は、例えば該周波数または周波領域において2デシベル超だけ減少させることができることが発見された。さらには、3つのポリマーシート層を有する実施形態は、容易に取り扱えるように配合することができ、従来方法における従来中間層の直接代替物として使用することができるので、本発明の中間層は、多くの用途において使用可能であり、これらの用途において用いられる製造方法への修正を必要としない。例えば自動車のフロントガラス用途は、従来のポリマー中間層の使用を含んでいてもよく、この層は、最終フロントガラスを形成するために用いられる積層方法を変えることなく、本発明の中間層と替えることができる。
【0028】
本明細書において用いられる場合、「中間層」は、多層ガラス用途、例えばフロントガラスおよび建築用ガラスにおける安全ガラスにおいて用いることができるあらゆる熱可塑性構成物であり、「多層」中間層は、積層プロセスまたは同時押出しプロセスを通して、2以上の個別層を単一中間層として組み合わせることによって形成されるあらゆる中間層である。
【0029】
本発明の様々な実施形態において、多層中間層は、互いに接触して配置された2枚のポリマーシートを含み、この場合、各ポリマーシートは、本明細書の他のところに詳細に記載されているように熱可塑性ポリマーを含み、これらのポリマーシートの少なくとも1つは、着色領域を有する勾配領域を有する。熱可塑性ポリマーは、各シートにおいて同一または異なっていてもよい。これらの実施形態において、音響抑制効果は、異なる可塑剤含量を有する各ポリマーシートを製造し、次いで2つの層を互いに積層して単一多層中間層を形成することによって中間層へ付与される。これらのポリマーシートの組成は、1つのポリマーシートから別のポリマーシートへの可塑剤の正味の移行が、ごくわずかであるかまたはゼロであり、それによって可塑剤差を維持するようなものである。
【0030】
本発明の様々な実施形態において、多層中間層の勾配領域中の着色領域は、多層中間層中のポリマーシートのうちの1つにおける可塑剤濃度と同じ可塑剤濃度を有するように安定的に配合され得る。これは、この中に着色領域が形成されているポリマーシート中の透明領域を含む。
【0031】
本発明の様々な実施形態において、多層中間層の勾配領域中の着色領域は、多層中間層のポリマーシートの可塑剤濃度のいずれとも異なる可塑剤濃度を有するように安定的に配合され得る。これは、この中に着色領域が形成されているポリマーシート中の透明領域を含む。
【0032】
本発明の様々な実施形態において、ポリマーシートは、各シート中に同じ可塑剤濃度を有するように安定的に配合することができるが、一方で、多層中間層の勾配領域中の着色領域は、ポリマーシートの可塑剤濃度とは異なる可塑剤濃度を有するように安定的に配合される。これは、この中に着色領域が形成されているポリマーシート中の透明領域を含む。
【0033】
本明細書において用いられる場合、「可塑剤含量」は、重量あたりの重量ベースで100樹脂(phr)部あたりの部として測定することができる。例えば30gの可塑剤が100gのポリマー樹脂へ添加されるならば、結果として生じる可塑化ポリマーの可塑剤含量は、30phrである。本明細書全体に用いられる場合、ポリマーシートの可塑剤含量が示されている時、この特別なシートの可塑剤含量は、この特別なシートを生成するために用いられたメルト中の可塑剤のphrを参照して決定される。
【0034】
未知の可塑剤含量のシートの場合、可塑剤含量は、湿潤化学方法であって、適切な溶媒または溶媒混合物がこのシートから可塑剤を抽出するために用いられる方法によって決定することができる。サンプルシートの重量および抽出されたシートの重量を知ることによって、可塑剤含量(phr)を計算することができる。2つのポリマーシート中間層の場合、1つのポリマーシートは、ポリマーシートの各々における可塑剤含量が測定される前にもう1つのポリマーシートから物理的に分離され得る。
【0035】
本発明の様々な実施形態において、2枚のポリマーシートの可塑剤含量は、少なくとも8phr、10phr、12phr、15phr、18phr、20phrまたは25phrだけ異なる。各シートは、例えば30から100phr、40から90phrまたは50から80phrを有してもよい。
【0036】
本発明の様々な実施形態において、ポリマーシートの熱可塑性ポリマー成分の残留ヒドロキシル含量は異なり、このことは、安定可塑剤差を有するシートの製造を可能にする。本明細書において用いられる場合、残留ヒドロキシル含量(ビニルヒドロキシル含量またはポリ(ビニルアルコール)(PVOH)含量としての)とは、加工処理が完了した後、ポリマー鎖上の側基として残留するヒドロキシル基の量のことを指す。例えばポリ(ビニルブチラール)は、ポリ(ビニルアセテート)をポリ(ビニルアルコール)へ加水分解し、次いでポリ(ビニルアルコール)とブチルアルデヒドとを反応させてポリ(ビニルブチラール)を形成することによって製造することができる。ポリ(ビニルアセテート)を加水分解するプロセスにおいて、一般的にはアセテート側基のすべてがヒドロキシル基へ転化されるわけではない。さらにはブチルアルデヒドとの反応は一般的には、結果としてすべてのヒドロキシル基がアセタール基へ転化されるわけではない。その結果、いずれかの最終ポリ(ビニルブチラール)において一般的には、ポリマー鎖上の側基として残留アセテート基(ビニルアセテート基など)および残留ヒドロキシル基(ビニルヒドロキシル基など)が存在する。本明細書において用いられる場合、残留ヒドロキシル含量は、ASTM 1396による重量パーセントベースで測定される。
【0037】
本発明の様々な実施形態において、2枚の隣接ポリマーシートの残留ヒドロキシル含量は、少なくとも1.8%、2.0%、2.2%、2.5%、3.0%、4.0%、5.0%、7.5%または少なくとも10%だけ異なっていてもよい。この差は、大きい方の残留ヒドロキシル含量を有するシートの残留ヒドロキシル含量から、低い方の残留ヒドロキシル含量を有するシートの残留ヒドロキシル含量を引くことによって計算される。例えば、第一ポリマーシートが残留ヒドロキシル含量20重量パーセントを有し、第二ポリマーシートが残留ヒドロキシル含量17重量パーセントを有するならば、その場合にはこれら2枚のシートの残留ヒドロキシル含量は、3重量%だけ異なる。
【0038】
所与の型の可塑剤の場合、ポリ(ビニルブチラール)中のこの可塑剤の適合性は、大部分ヒドロキシル含量によって決定される。典型的には、大きい方の残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルブチラール)は、減少した可塑剤適合性または能力を結果として生じる。同様に、低い方の残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルブチラール)は、増加した可塑剤適合性または能力を結果として生じる。これらの特性は、各ポリ(ビニルブチラール)ポリマーのヒドロキシル含量を選択するため、および適切な可塑剤負荷を可能にするようにポリマーシートの各々を配合し、ポリマーシート間の可塑剤含量の差を安定的に維持するために用いることができる。
【0039】
当分野において公知であるように、残留ヒドロキシル含量は、反応時間、反応体濃度および製造プロセスにおける他の変数を制御することによって制御することができる。様々な実施形態において、これら2枚のシートの残留ヒドロキシル含量は、次のとおりである。第一シート25%未満および第二シート23%未満;第一シート23%未満および第二シート21%未満;第一シート21%未満および第二シート19%未満;第一シート20%未満および第二シート17%未満;第一シート18%未満および第二シート15%未満;第一シート15%未満および第二シート12%未満である。これらの実施形態のいずれにおいても、これら2つの層間のヒドロキシル含量の差について前のパラグラフで示されている値のどれを用いてもよい。
【0040】
本明細書において用いられる場合、ポリマーシートの引張り破断応力または引張り強さは、JIS K6771に記載されている方法に従って規定され、測定される。本発明の様々な実施形態において、これら2枚のポリマーシートは、次のものに従う引張り破断応力を有する。この場合、次のリスト中の第一ポリマーシートは、低い方の可塑剤含量を有するポリマーシートである。即ち、第一ポリマーシートは1平方センチメートルあたり135kg超であり、第二ポリマーシートは1平方センチメートルあたり120kg未満である;第一ポリマーシートは1平方センチメートルあたり150kg超であり、第二ポリマーシートは1平方センチメートルあたり135kg未満である;第一ポリマーシートは1平方センチメートルあたり165kg超であり、第二ポリマーシートは1平方センチメートルあたり150kg未満である;または第一ポリマーシートは1平方センチメートルあたり180kg超であり、第二ポリマーシートは1平方センチメートルあたり165kg未満である;または一般に、これら2枚のポリマーシートは、引張り破断応力において1平方センチメートルあたり少なくとも15kgだけ異なる。
【0041】
本発明の目的のために、多層中間層における、組成物(A)から形成された第一ポリマーシートと組成物(B)から形成された第二ポリマーシート間の音響透過損失の差は、次のことに従って決定される。
【0042】
まず、0.7620mm(30ミル)の厚さを有し、および(A)から構成された第一ポリマーシート(シートA)、および0.7620mm(30ミル)の厚さを有し、および(B)から構成された第二ポリマーシート(シートB)を形成する。
【0043】
どちらのシート、即ちシートAまたはシートBが、より高い引張り弾性率を有するか決定する(本明細の他のところの手順を参照されたい。)。
【0044】
2.1mm厚さのフロートガラスの2層間にシートAの47cm×74cm長方形を積層して、パネルAを形成する。
【0045】
2.1mm厚さのフロートガラスの2層間にシートBの47cm×74cm長方形を積層して、パネルBを形成する。
【0046】
高い方の引張り弾性率を有するシートを有するパネルの一致周波数を決定する(手順については、本明細書の他のところを参照されたい。)。これらは「対照パネル」および「対照中間層」と呼ばれる。
【0047】
20℃の固定温度において、ASTM E90(95)を用いて最終工程で決定された一致周波数において、パネルAおよびパネルBの音響透過損失(STL)を測定する。
【0048】
次いで多層中間層中の2枚のシート間の音響透過損失の差が、次のように計算される。
【0049】
【化1】

【0050】
本発明の目的のためには、「一致周波数(coincident frequency)」とは、音響透過損失対1/3オクターブバンド周波数のプロットから実験により決定することができる「一致効果」により、パネルが音響透過損失中に下落(dip)を示す周波数を意味する。本発明の様々な実施形態において、パネルの一致周波数は典型的には、2,000から6,000ヘルツの範囲内にあり、同様に、アルゴリズム、
【0051】
【数1】

(「d」は、総ガラス厚さ(mm)であり、「f」はヘルツである。)
から、対照パネルにおけるガラスの組み合わされたガラス厚さに等しい厚さを有するガラスのモノリシックシートから評価することもできる。
【0052】
本明細書において用いられる場合、対照パネルの一致周波数はまた「対照周波数」とも呼ばれる。
【0053】
ガラスの2つの外層を有する典型的なラミネートにおいて、「組み合わされたガラスの厚さ」は、ガラスの2つの層の厚さの合計である。ガラスの3以上の層を有するより複雑なラミネートにおいて、組み合わされたガラスの厚さは、ガラスの3以上の層の合計である。
【0054】
本発明の様々な実施形態において、本発明の多層中間層は、少なくとも2デシベル、より好ましくは4デシベル、さらにより好ましくは6デシベルまたはそれ以上、または8デシベルまたはそれ以上の音響透過損失の差(本明細書の他のところに記載されている。)を示す、少なくとも2枚のポリマーシートを含んでいる。
【0055】
本発明の様々な実施形態において、本発明の2枚の隣接ポリマーシートは、上に記載されているような異なる可塑剤含量を有し、各々はさらに、5モル%未満、4モル%未満、3モル%未満、2モル%未満または1モル%未満の残留アセテート含量を有する。これらの残留アセテート濃度は、可塑剤含量および残留ヒドロキシル含量における記載された差を有する一方で残留アセテート含量をほとんどまたはまったく有していない本発明の2枚のポリマーシートを形成するために、上に示されている残留ヒドロキシル含量と、あらゆる組み合わせにおいて組み合わされてよい。本発明の多層中間層の別の実施形態は、2を超えるポリマーシートを有する中間層であって、追加ポリマーシートの1以上が、5モル%未満、4モル%未満、3モル%未満、2モル%未満または1モル%未満の残留アセテート含量を有する中間層を含む。
【0056】
本発明の別の実施形態は、さらに第三ポリマーシートも含んでいる前記実施形態のいずれかを含む。この第三ポリマーシート層の追加は、隣接ポリマーシート間に可塑剤差を有する中間層について次の構造を有する3層構成を結果として生じる。即ち、比較的低い可塑剤含量を有する第一ポリマーシート//比較的高い可塑剤含量を有する第二ポリマーシート//第三ポリマーシートである。この第三ポリマーシートは、第一ポリマーシートと同じ組成を有してもよく、またはこれは異なっていてもよい。
【0057】
様々な実施形態において、第三ポリマーシートは、第一ポリマーシートと同じ組成を有しており、このことは、2枚の比較的取扱いが容易なシート間に積層された比較的取扱いが難しいポリマーシートを有する3層積層中間層を供給し、その結果として、比較的取扱いが容易であり、および本発明の中間層の外側の2枚のポリマーシートの組成、または同様な加工処理特徴(例えば遮断傾向)を結果として生じる組成を有する単一ポリマーシートを以前に使用していた現存プロセス中に直接組み込むことができる多層中間層を生じる。
【0058】
単一中間層中に3つのポリマーシートを使用する他の実施形態において、第三ポリマーシートは、第一ポリマーシートと異なる組成を有し、第三ポリマーシートと第二ポリマーシートとの間の組成の差は、第一ポリマーシートと第二ポリマーシートとの間の差について上で示された差のいずれであってもよい。
【0059】
例えば1つの例示的実施形態は、20%の残留ヒドロキシル含量を有する第一ポリマーシート//16%の残留ヒドロキシル含量を有する第二ポリマーシート//18%の残留ヒドロキシル含量を有する第三ポリマーシートである。この実施例において、第三ポリマーシートは、少なくとも、これが第二ポリマーシートのヒドロキシル含量よりも2%大きい残留ヒドロキシル含量を有するという点で、第二ポリマーシートとは異なることが注目される。当然ながら、本明細書全体において記載された他の差のいずれも、単独で、または組み合わせて、第三ポリマー層を第二ポリマー層から区別することができる。
【0060】
本明細書に記載された3層実施形態において、これらのポリマーシートの少なくとも1つは、勾配領域中に着色領域を有する。
【0061】
本明細書に記載された3層実施形態に加えて、別の実施形態は、3を超える層を有する中間層であって、さらには低残留ヒドロキシルシートを用いることができる、例えば交互ヒドロキシル含量、および場合により低いまたはごくわずかである残留アセテート含量を有する交互可塑剤含量を有するポリマーシートの反復を用いることができる中間層を含む。このようにして形成された中間層は、例えば4、5、6または10までの個々の層を有してもよい。
【0062】
当分野において公知であるような他の従来層が、本発明の中間層中に組み込まれてもよい。例えばポリマーフィルム(本明細書の他のところに詳細に記載されている。)、例えば金属層を有するポリエステル様ポリ(エチレンテレフタレート)、赤外線反射性堆積、またはその上に付着された他の性能層が、本発明のポリマーシートのいずれかの2つの層間に含まれてもよい。例えば2層実施形態において、中間層は、次のレイアウトで製造することができる。即ち、比較的高い可塑剤含量を有するポリマーシート//性能層を有するポリエステルフィルム//比較的低い可塑剤含量を有するポリマーシートである。一般に、熱可塑性樹脂の追加層、例えばポリ(ビニルブチラール)、ポリエステルフィルム、プライマー層、およびハードコート層が、所望の結果および特別な用途に従って本発明の多層中間層へ追加されてもよい。
【0063】
2以上の別々のポリマーシートが互いに接触して配置され、その後単一中間層中に積層されている本発明の各中間層実施形態において、同時押出し中間層が同じ層配列を有するように形成されている実施形態も存在する。これは、本発明の目的のためには、多ポリマーシートから形成されていると考えられ、「多層」中間層と考えられる。
【0064】
本発明において提供された中間層に加えて、本発明はまた、開口部を通る音響レベルを減少させる方法であって、本発明の中間層のいずれかを含んでいる多層ガラスパネルを、この開口部に配置する工程を含む方法も提供する。
【0065】
本発明はまた、中間層の製造方法であって、2枚のポリマーシートが、本明細書の他のところに記載されているように異なる組成を有する第一ポリマーシートおよび第二ポリマーシートの形成工程、およびこれら2枚のポリマーシートを互いに積層して中間層を形成する工程を含む方法も含む。
【0066】
本発明はまた、中間層の製造方法であって、3つのポリマーシートが、本明細書の他のところに記載されているような3層実施形態による組成を有する、第一ポリマーシート、第二ポリマーシートおよび第三ポリマーシートの形成工程、およびこれら3つのポリマーシートを互いに積層して中間層を形成する工程を含む方法も含む。
【0067】
本発明はまた、多層透明板ガラスの製造方法であって、当分野において公知であるように2枚の剛性透明パネル、例えばガラスまたはアクリル層間に本発明の中間層のいずれかを積層することを含む方法も含む。
【0068】
本発明はまた、本発明の多層中間層を含んでいる多層ガラスパネル、例えばフロントガラスおよび建築用窓も含む。
【0069】
同様に、ガラスパネルの代わりにプラスチック、例えばアクリルまたは他の適切な材料を有する多層透明板ガラスパネルも含まれる。
【0070】
本発明の様々な実施形態において、中間層は、この中間層の1以上の層の勾配領域中に着色領域を含んでいる。
【0071】
ポリマーフィルム
本明細書において用いられる場合、「ポリマーフィルム」とは、性能向上層として機能する比較的薄い剛性ポリマー層を意味する。ポリマーフィルムは、ポリマーフィルムこれ自体が、多層透明板ガラス構造へ必要な浸透抵抗およびガラス保持特性を与えず、むしろ性能の改良、例えば赤外線吸収特徴を与えるという点で、本発明において用いられているようなポリマーシートとは異なる。ポリ(エチレンテレフタレート)は、ポリマーフィルムとして最も普通に用いられている。
【0072】
様々な実施形態において、ポリマーフィルム層は、0.013mmから0.20mm、好ましくは0.025mmから0.1mm、または0.04から0.06mmの厚さを有する。このポリマーフィルム層は場合により、1以上の特性、例えば接着または赤外線反射を改良するために表面処理される、またはコーティングされてもよい。これらの機能的性能層は、例えば赤外線太陽放射を反射させるため、および日光に暴露された時に可視光を透過するために多層堆積を含む。この多層堆積は、当分野において公知であり(例えばWO 88/01230および米国特許4,799,745参照)、例えば1以上のオングストローム厚さの金属層、および1以上(例えば2つ)の連続的に付着された光学的に共同作用する誘電層を含んでいてもよい。同様に公知であるように(例えば米国特許4,017,661および米国特許4,786,783参照)、金属層は、いずれかの組み合わされたガラス層の霜取りまたは曇り取りのために場合により電気抵抗加熱されてもよい。
【0073】
米国特許6,797,396に記載されている、本発明の場合に用いることができるポリマーフィルムの追加型は、金属層によって引き起こされることがある干渉を生じることなく、赤外線を反射させる機能を果たす非常に多数の非金属層を含んでいる。
【0074】
このポリマーフィルム層は、幾つかの実施形態において、光学的に透明であり(即ちこの層の一方の側に隣接する物体は、他方の側からこの層を通して見ている特定の観察者の目によって快適に見られる。)、通常、いずれかの隣接ポリマーシートのものよりも大きい、幾つかの実施形態においては有意により大きい引張り弾性率を組成に無関係に有する。様々な実施形態において、このポリマーフィルム層は、熱可塑性材料を含んでいる。適切な特性を有する熱可塑性材料の中には、ナイロン、ポリウレタン、アクリル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン、セルロースアセテートおよびトリアセテート、塩化ビニルポリマーおよびコポリマーなどがある。様々な実施形態において、このポリマーフィルム層は、材料、例えば記載された特性を有する再ストレッチ熱可塑性フィルムを含んでいる。これらは、ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンテレフタレート)グリコール(PETG)を含む。様々な実施形態において、ポリ(エチレンテレフタレート)が用いられ、様々な実施形態において、このポリ(エチレンテレフタレート)は、強度を改良するために二軸ストレッチされており、高温へ付された時に低い収縮特徴を与えるために熱安定されている(例えば150℃で30分後、両方向において2%未満の収縮)。
【0075】
本発明の場合に用いることができるポリ(エチレンテレフタレート)フィルムのための様々なコーティングおよび表面処理技術は、欧州出願番号0157030に開示されている。本発明のポリマーフィルムはまた、当分野において公知であるように、ハードコートおよび/または曇り止め層を含んでいてもよい。
【0076】
ポリマーシート
本発明において用いられる場合、「ポリマーシート」とは、積層透明板ガラスパネルへ適切な浸透抵抗およびガラス保持特性を与える中間層としての使用のために、単独で、または1を超える層の堆積として、適切な薄層中にいずれかの適切な方法によって形成されたいずれかの熱可塑性ポリマー組成物を意味する。可塑化ポリ(ビニルブチラール)は、ポリマーシートを形成するために最も普通に用いられている。
【0077】
ポリマーシートは、適切ないずれのポリマーを含んでいてもよく、好ましい実施形態においてこのポリマーシートは、ポリ(ビニルブチラール)を含んでいる。このポリマーシートのポリマー成分としてポリ(ビニルブチラール)を含んでいる、本明細書に示された本発明の実施形態のいずれかにおいて、ポリマー成分がポリ(ビニルブチラール)からなっている、または本質的にこれからなっている別の実施形態が含まれる。これらの実施形態において、本明細書に開示されている添加剤における変形例のいずれも、ポリ(ビニルブチラール)からなっている、または本質的にこれからなっているポリマーを有するポリマーシートとともに用いることができる。
【0078】
1つの実施形態において、このポリマーシートは、部分的にアセタール化されたポリ(ビニルアルコール)をベースとしたポリマーを含んでいる。別の実施形態において、このポリマーシートは、ポリ(ビニルブチラール)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレンビニルアセテート)、これらの組み合わせなどからなる群から選択されたポリマーを含んでいる。他の実施形態においてこのポリマーシートは、可塑化ポリ(ビニルブチラール)を含んでいる。別の実施形態においてこのポリマーシートは、ポリ(ビニルブチラール)および1以上の他のポリマーを含んでいる。適切な可塑化能力を有する他のポリマーも用いることができる。好ましい範囲、値および/または方法が、具体的にポリ(ビニルブチラール)について(例えば非限定的に、可塑剤、成分割合、厚さおよび特徴向上添加剤について)示されている本明細書のセクションのいずれにおいても、これらの範囲はまた、適用できる場合は、ポリマーシート中の成分と同様に有用な、本明細書に開示された他のポリマーおよびポリマーブレンドにも当てはまる。
【0079】
ポリ(ビニルブチラール)を含んでいる実施形態については、ポリ(ビニルブチラール)は、ポリ(ビニルアルコール)とブチルアルデヒドとを酸触媒の存在下に反応させること、次いで触媒の中和、分離、安定化、およびこの樹脂の乾燥を含む公知のアセタール化プロセスによって生成することができる。ただし様々な実施形態において、残留ヒドロキシル含量は、本明細書の他のところに記載されているように制御されるという了解の下においてである。
【0080】
様々な実施形態において、このポリマーシートは、1モルあたり30,000、40,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、120,000、250,000または350,000g(g/モルまたはダルトン)超の分子量を有するポリ(ビニルブチラール)を含んでいる。少量のジアルデヒドまたはトリアルデヒドもまた、分子量を350ダルトン超に増加させるためにアセタール化工程の間に添加されてもよい(例えば米国特許4,874,814および米国特許4,814,529および米国特許4,654,179参照)。本明細書において用いられる場合、「分子量」という用語は、重量平均分子量を意味する。
【0081】
追加の従来のポリマーシートが、可塑剤含量差を有するとして上記されている実施形態のいずれかに加えて用いられるならば、これらの追加の従来のポリマーシートは、樹脂100部あたり(phr)20から60、25から60、20から80または10から70部の可塑剤を含んでいてもよい。当然ながら、特別の用途に適切であるような他の量も用いることができる。幾つかの実施形態において、この可塑剤は、20未満、15未満、12未満または10未満の炭素原子の炭化水素セグメントを有する。
【0082】
ポリマーシートを形成するために、いずれかの適切な可塑剤が、本発明のポリマー樹脂へ添加されてもよい。本発明のポリマーシートにおいて用いられる可塑剤はとりわけ、多塩基酸または多価アルコールのエステルを含み得る。適切な可塑剤は、例えばトリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ヘプチルアジペートとノニルアジペートとの混合物、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジブチルセバケート、ポリマー可塑剤、例えば油変性セバシンアルキド、およびホスフェートとアジペート、例えば米国特許番号3,841,890に開示されているもの、およびアジペート、例えば米国特許番号4,144,217に開示されているものとの混合物、および前記のものの混合物および組み合わせを含む。用いることができる他の可塑剤は、米国特許番号5,013,779に開示されているような、CからCアルキルアルコールとシクロCからC10アルコール、およびCからCアジペートエステル、例えばヘキシルアジペートとから製造された混合アジペートである。好ましい実施形態において、可塑剤は、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキサノエート)である。
【0083】
接着制御剤(ACA)もまた、所望の接着性を付与するために本発明のポリマーシート中に含むことができる。これらの作用物質は、例えば3ポリマーシート実施形態において外側シート中に組み込むことができる。米国特許5,728,472に開示されているACAのいずれも用いることができる。これに加えて、残留ナトリウムアセテートおよび/またはカリウムアセテートは、酸中和において用いられている組み合わされた水酸化物の量を変えることによって調節することができる。様々な実施形態において、本発明のポリマーシートは、ナトリウムアセテートに加えて、マグネシウムビス(2−エチルブチレート)(ケミカルアブストラクト番号79992−76−0)を含んでいる。マグネシウム塩は、ポリマーシートのガラスへの接着を制御するのに有効な量で含まれてもよい。
【0084】
添加剤は、最終製品における性能を向上させるためにポリマーシート中に組み込まれてもよい。このような添加剤は、当分野において公知であるように、可塑剤、染料、顔料、安定剤(例えば紫外線安定剤)、酸化防止剤、難燃剤、他のIR吸収剤、抗ブロック剤、前記添加剤の組み合わせなどを含むが、これらに限定されない。
【0085】
可視線または近赤外線スペクトル中で光を選択的に吸収する作用物質は、適切なポリマーシートのいずれに添加されてもよい。用いることができる作用物質は、染料および顔料、例えばインジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物またはランタンヘキサボライド(LaB)を含む。
【0086】
本発明のポリマーシートおよび多層中間層を生成するために適切ないずれの方法も用いることができる。ポリ(ビニルブチラール)の適切な製造方法の詳細は、当業者に公知である(例えば米国特許2,282,057および米国特許2,282,026参照)。1つの実施形態において、B.E.WadeによるEncyclopedia of Polymer Science and Technology、第3版、第8巻、381−399ページ(2003年)における「Vinyl Acetal Polymers」に記載されている溶媒方法を用いることができる。別の実施形態において、この文献中に記載されている水性方法を用いることができる。ポリ(ビニルブチラール)は、例えばSolutia Inc.,St.Louis,MissouriからButvar(商標)樹脂として様々な形態で商業的に入手できる。
【0087】
本明細書において用いられる場合、「樹脂」とは、酸触媒作用およびポリマー先駆物質のその後の中和の結果生じる混合物から除去されるポリマー(例えばポリ(ビニルブチラール))成分のことを指す。樹脂は一般に、ポリマー、例えばポリ(ビニルブチラール)に加えて他の成分、例えばアセテート、塩およびアルコールを有する。本明細書において用いられる場合、「メルト」とは、樹脂と可塑剤、および場合により他の添加剤との混合物のことを指す。
【0088】
ポリ(ビニルブチラール)層の1つの例示的形成方法は、樹脂、可塑剤および添加剤を含んでいる溶融ポリ(ビニルブチラール)を押出すこと、および次いでこのメルトを、シートダイ(例えば垂直方向寸法よりも、1つの寸法が実質的に大きい開口部を有するダイ)を強制的に通すことを含む。ポリ(ビニルブチラール)層の別の例示的形成方法は、メルトをダイからローラー上へキャストすること、樹脂を固化すること、その後固化された樹脂をシートとして取り出すことを含む。どちらの実施形態においても、この層のどちらかの側または両側における表面テキスチャーは、ダイ開口部の表面を調節することによって、またはローラー表面においてテキスチャーを与えることによって制御されてもよい。層テキスチャーの制御のための他の技術は、材料のパラメーター(例えば樹脂および/または可塑剤の水含量、溶融温度、ポリ(ビニルブチラール)の分子量分布、または前記パラメーターの組み合わせ)を変えることを含む。さらにはこの層は、積層プロセスの間にこの層の脱気を容易にするために、一時的表面不規則性を規定する、間隔があけられた突起を含むように構成されてもよく、この後、積層プロセスの高温および高圧は、これらの突起をこの層中に融解するようにし、これにより結果として滑らかな仕上げを生じる。
【0089】
多層中間層の製造は、当分野の公知技術を用いて、例えばポリマーシートの3層を独立して生成し、次いで例えば圧力および熱の適切な条件下に3枚のシートを互いに積層して、単一多層中間層を生じることによって達成することができる。
【0090】
様々な実施形態において、本発明の中間層は、0.1から2.5ミリメートル、0.2から2.0ミリメートル、0.25から1.75ミリメートルおよび0.3から1.5ミリメートル(mm)の総厚さを有してもよい。多層中間層の個々のポリマーシートは例えば、共に加えられた時、上に示された総厚さ範囲を結果として生じるほぼ等しい厚さを有してもよい。当然ながら他の実施形態において、これらの層の厚さは異なっていてもよく、上に示された総厚さにさらに加わってもよい。
【0091】
上に記載されているポリマーシートのパラメーターは、ポリ(ビニルブチラール)型層である本発明の多層構成中のあらゆる層に同様に当てはまる。
【0092】
次のパラグラフは、ポリマーシートの特徴を改良するためおよび/または測定するために用いることができる様々な技術について記載する。
【0093】
ポリマーシート、および特にポリ(ビニルブチラール)層の透明度は、曇り価を測定することによって決定することができる。これは、この層の通過において入射ビームの方向から散乱される光の量の定量化である。曇りパーセントは、次の技術に従って測定することができる。曇りの量を測定するための装置、即ちHunter Associates(Reston,VA)から入手できる曇り計モデルD25を、ASTM D1003−61(1977年に再承認された)手順Aに従って、発光体Cを観察者角度2度で用いて使用することができる。本発明の様々な実施形態において、曇りパーセントは、5%未満、3%未満および1%未満である。
【0094】
可視光透過は、UV−Vis−NIR分光光度計、例えばPerkin Elmer Corp.によって製造されているLambda900を用い、国際標準ISO9050:1990に記載されている方法によって定量化することができる。様々な実施形態において、本発明のポリマーシートを通る透過は、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%である。
【0095】
加撃接着は、次の技術に従って測定することができ、「ポンメル」が本明細書において、ガラスへのポリマーシートの接着を定量化するために参照される場合、次の技術がポンメルを決定するために用いられる。2プライガラスラミネートサンプルが、標準オートクレーブ積層条件を用いて調製される。これらのラミネートは、約−18℃(0°F)へ冷却され、ガラスを破壊するためにハンマーを用いて手動で打たれる。ポリ(ビニルブチラール)層へ接着されないすべての破壊されたガラスは次いで除去され、ポリ(ビニルブチラール)層へ接着されたままのガラスの量は、一組の標準と視覚的に比較される。これらの標準は、様々な程度のガラスが、ポリ(ビニルブチラール)層へ接着されたままである尺度に相当する。特にゼロのポンメル標準において、ポリ(ビニルブチラール)層へ接着されたままのガラスはゼロである。10のポンメル標準において、100%のガラスが、ポリ(ビニルブチラール)層へ接着されたままである。本発明のポリ(ビニルブチラール)層は、例えば3から10のポンメル値を有し得る。
【0096】
引張り破断応力は、JIS K6771に記載されている手順に従って、ポリマーシートについて決定することができる。
【0097】
本明細書において用いられる場合、「滴定濃度」は、次の方法を用いて、シートサンプル中の酢酸ナトリウムおよび酢酸カリウム(本明細書において用いられる場合「総アルカリ滴定濃度」)、およびマグネシウム塩について決定することができる。
【0098】
重量が測られる各シートサンプル中の樹脂の量を決定するために、次の方程式が用いられる。ここでPHRは、元のシートサンプル調製物中の可塑剤および樹脂へのあらゆる他の添加剤を含む、100ポンドの樹脂あたりのポンドとして規定される。
【0099】
【数2】

【0100】
シートサンプル中の樹脂約5gは、第一にシートサンプルの量を評価するために用いられる標的質量であり、シートサンプル中の樹脂の計算された質量が、各滴定濃度決定のために用いられる。すべての滴定は、同じ日に完了されるべきである。
【0101】
シートサンプルが、ビーカーにおいてメタノール250ml中に溶解される。シートサンプルが完全に溶解されるのに8時間までかかり得る。メタノールのみでのブランクも、ビーカーにおいて調製される。サンプルおよびブランクは各々、pH2.5で停止するようにプログラミングされた自動pH滴定装置を用いて、0.00500規定HClで滴定される。pH4.2を得るために各々サンプルおよびブランクへ添加されたHClの量が記録される。HCl滴定は、次の式に従って決定される。
【0102】
【数3】

【0103】
マグネシウム塩滴定濃度を決定するために、次の手順が用いられる。
塩化アンモニウム54g、およびメタノールで1リットルへ希釈された水酸化アンモニウム350mlから調製された、pH10.00緩衝液12から15ml、およびエリオクロムブラック(Erichrome Black)T指示薬12から15mlが、ブランクおよび各シートサンプルへ添加される。これらのすべては、上記のようにHClで既に滴定されている。次いで滴定剤は、0.3263gのテトラナトリウムエチレンジアミンテトラアセテートニ水和物、5ml水から調製され、メタノールで1リットルに希釈された0.000298g/mlのEDTA溶液へ変更される。EDTA滴定は、596nmにおける光透過によって測定される。まず透過率%は、サンプルまたはブランク中で100%に調節され、その後滴定が開始され、一方で、溶液は明るいマゼンタ−ピンク色である。596nmにおける透過率が一定になる時、EDTA滴定が完了し、溶液は濃い藍色になる。インディゴブルー終点を得るまで滴定されるEDTAの容積が、ブランクおよび各シートサンプルについて記録される。マグネシウム塩滴定濃度は、次の式に従って決定される。
【0104】
マグネシウム塩滴定濃度[樹脂1グラムあたりマグネシウム塩1×10−7モルとして]=(0.000298g/mlのEDTA×(サンプルについてのEDTAのml−ブランクについてのEDTAのml))/(シートサンプル中の樹脂のグラム)×380.2g/モルEDTA×0.0000001
この結果から、樹脂1グラムあたりのアセテート塩1×10−7モルとしての総アルカリ滴定濃度は、次の式に従って計算することができる。
【0105】
総アルカリ滴定濃度=シートのHCl滴定濃度−(2×総マグネシウム塩滴定濃度)
酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウムのどちらかに起因する総アルカリ度滴定濃度のポーションは、まず上記のように総アルカリ度滴定濃度を決定することによって決定することができる。総アルカリ度滴定濃度を決定した後、ポリマーシートに対する破壊的分析が、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)によって実施することができる。これは、結果としてカリウムについてのppm濃度およびナトリウムについてのppm濃度を生じる。
【0106】
酢酸ナトリウムに起因するアルカリ滴定濃度は、本明細書において、総アルカリ滴定濃度×比[ナトリウムppm/(ナトリウムppm+カリウムppm)]として規定される。
【0107】
酢酸カリウムに起因するアルカリ滴定濃度は、本明細書において、総アルカリ滴定濃度×比[カリウムppm/(ナトリウムppm+カリウムppm)]として規定される。
【実施例】
【0108】
様々な量の3GEH(トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキサノエート))が配合された、記載された残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルブチレート)シート、およびこれらのシート厚さが、表1に列挙されている。これらのシートは、本発明の中間層を構成するために用いられる、または対照パネルを製造するための対照中間層として用いられる。すべてのシートにおいて、残留アセテート含量はごくわずかであり、1モル%未満である。
【0109】
【表1】

【0110】
従来の中間層および本発明の中間層の例は、表2に示されており、1つのアスタリスクは、これらの中間層が冷たい温度、典型的には10℃で、または室温、典型的には20から23℃でのどちらかで保存されることを示しており、2つのアスタリスクは、シートが対照シートであることを示している。
【0111】
【表2】

【0112】
従来の合わせガラス(対照パネル)、および対照パネルに対して音響性能の改良を有する中間層からなる合わせガラスの例が、表3に示されている。シート1およびシート3は、対照シートである。表3に列挙されているこれらのシートのSTLは、典型的な合わせガラス構成に従って対照中間層として用いられる時に得られる。表3において、1つのアスタリスクは、2枚の対称ガラスシート(これらのガラスシートの各々は等しい厚さを有する。)を含むガラスラミネートを示し、「STL」は、音響透過損失のことを指す。
【0113】
【表3】

【0114】
本発明の中間層の勾配領域の接着に対する塩濃度の効果が、表4に示されている。1つのアスタリスクは、ラミネートが2枚の対称ガラスシート(2.1mm)(これらのガラスシートの各々は等しい厚さを有する。)を含むことを示している。
【0115】
【表4】

【0116】
本発明の中間層の勾配領域の接着に対する着色領域中へのエポキシ樹脂の組み込みの効果が、表5に示されている。1つのアスタリスクは、ラミネートが2枚の対称ガラスシート(2.1mm)を含む、即ちこれらのガラスシートの各々が等しい厚さを有することを示しており、2つのアスタリスクは、マグネシウム塩滴定濃度が、すべての実施例において同じであることを示し、3つのアスタリスクは、エポキシ−1:DER732およびエポキシ−2:Heloxy116を示している。
【0117】
【表5】

【0118】
本発明によって、着色領域を有する勾配領域を有し、音響透過を減少させ、取扱いが容易で、および多層構成体中へ容易に組み込まれる多層中間層、例えばフロントガラスおよび建築用窓のための合わせガラスパネルを提供することが今や可能である。
【0119】
本発明は、例示的実施形態を参照して記載されているが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更がなされてもよく、および同等のものが本発明の要素と替えられてもよいことは、当業者によって理解される。これに加えて、本発明の本質的範囲から逸脱することなく、特別な状況または材料を本発明の教示へ適合させるために、多くの修正がなされてもよい。従って本発明は、この発明を実施するために考察された最良の方法として開示された特別な実施形態へ限定されるわけではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲に入るすべての実施形態を含むものと意図される。
【0120】
本発明のいずれかの単一成分に対して示された範囲、値または特徴のいずれも、適合性がある場合は、本明細書全体に示されているように、これらの成分の各々について規定された値を有する実施形態を形成するために、本発明の他の成分のいずれかに対して示されたいずれかの範囲、値または特徴と互換的に用いることができることが、さらに理解される。例えば適切な場合、本発明の範囲内にあるが、列挙するのが面倒になるような多くの置換を形成するために、可塑剤について示された範囲のいずれかに加えて示された範囲のいずれかにおいて残留アセテート含量を含んでいるポリマーシートが形成されてもよい。
【0121】
要約書またはいずれかの特許請求の範囲中に示されているいずれの図面の参照番号も、例証を目的とするだけであり、特許請求されている発明を、いずれかの図面に示されているいずれか1つの特別な実施形態に限定すると考えるべきでない。
【0122】
図面は、他の指摘がなければ、一定の縮尺で描かれているわけではない。
【0123】
本明細書において参照されている学術論文、特許、出願および書籍を含む各参考文献は、この全体が参照して本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー中間層であって、
可塑化熱可塑性ポリマーを含み、および第一勾配領域を有する第一ポリマーシート;
可塑化熱可塑性ポリマーを含み、および第二勾配領域を有する第二ポリマーシート;
を含み、
前記第一ポリマーシートおよび前記第二ポリマーシートは、前記第一ポリマーシートおよび前記第二ポリマーシートとの間で音響透過損失において少なくとも2デシベルの差を結果として生じる組成差を有し、
前記第一勾配領域および前記第二勾配領域のうちの1つまたは両方が着色領域を含んでいる、
中間層。
【請求項2】
前記着色領域が、これが形成されているポリマーシートの透明領域の総アルカリ滴定濃度よりも少なくとも4滴定濃度低い総アルカリ滴定濃度を有する、請求項1に記載の中間層。
【請求項3】
前記着色領域が、これが形成されているポリマーシートの透明領域の総アルカリ滴定濃度よりも少なくとも8滴定濃度低い総アルカリ滴定濃度を有する、請求項1に記載の中間層。
【請求項4】
前記着色領域が、エポキシ化合物を組み込んでいる、請求項1に記載の中間層。
【請求項5】
前記着色領域が、エポキシ樹脂を組み込んでいる、請求項4に記載の中間層。
【請求項6】
前記エポキシが、ポリ(オキシプロピレン)グリコールのエポキシドまたはジエポキシドからなる群から選択される、請求項5に記載の中間層。
【請求項7】
前記第一勾配領域および前記第二勾配領域が、0.25超の勾配対透明比を有する、請求項1に記載の中間層。
【請求項8】
前記第一勾配領域および前記第二勾配領域が、0.4超の勾配対透明比を有する、請求項1に記載の中間層。
【請求項9】
前記第二ポリマーシートと接触して配置された第三ポリマーシートをさらに含んでいる、請求項1に記載の中間層。
【請求項10】
前記第二ポリマーシートの前記可塑化熱可塑性ポリマー、および前記第一ポリマーシートの前記可塑化熱可塑性ポリマーが、ポリ(ビニルブチラール)を含んでいる、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項11】
前記第二ポリマーシートの前記可塑化熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第一ポリマーシートの前記可塑化熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量よりも、少なくとも100当たり10部大きく、ならびに前記第一ポリマーシートおよび前記第二ポリマーシートは各々、5モルパーセント未満の残留アセテート含量を有する、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項12】
前記第二ポリマーシートの前記可塑化熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第一ポリマーシートの前記可塑化熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量よりも、少なくとも100当たり15部大きい、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項13】
前記第二ポリマーシートが、前記第一ポリマーシートの重量パーセンテージあたりの残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2%低い、重量パーセンテージあたりの残留ヒドロキシル含量を有する、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項14】
前記第二ポリマーシートが、前記第一ポリマーシートの重量パーセンテージあたりの残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも4%低い、重量パーセンテージあたりの残留ヒドロキシル含量を有する、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項15】
前記第二ポリマーシートが、前記第一ポリマーシートの重量パーセンテージあたりの残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも8%低い、重量パーセンテージあたりの残留ヒドロキシル含量を有する、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項16】
前記第二ポリマーシートが、17.0%未満の重量パーセンテージあたりの残留ヒドロキシル含量を有し、ならびに前記第一ポリマーシートが、20%未満の重量パーセンテージあたりの残留ヒドロキシル含量を有する、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項17】
前記第一ポリマーシートおよび前記第二ポリマーシートが各々、3モルパーセント未満の残留アセテート含量を有する、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項18】
前記第一ポリマーシートおよび前記第二ポリマーシートが各々、1モルパーセント未満の残留アセテート含量を有する、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項19】
前記着色領域が、前記勾配領域全体である、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項20】
前記着色領域が、前記勾配領域の部分である、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項21】
前記第一勾配領域が、着色領域を含んでいる、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項22】
前記第二勾配領域が、着色領域を含んでいる、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項23】
前記第一勾配領域および前記第二勾配領域が各々、着色領域を含んでいる、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項24】
多層グレージングパネルであって、
可塑化熱可塑性ポリマーを含み、および第一勾配領域を有する第一ポリマーシート;
可塑化熱可塑性ポリマーを含み、および第二勾配領域を有する第二ポリマーシート;
を含むポリマー中間層を含み、
前記第一ポリマーシートおよび前記第二ポリマーシートは、前記第一ポリマーシートおよび前記第二ポリマーシートとの間で音響透過損失において少なくとも2デシベルの差を結果として生じる組成差を有し、
前記第一勾配領域および前記第二勾配領域のうちの1つまたは両方が着色領域を含んでいる、
パネル。
【請求項25】
多層中間層の製造方法であって、
可塑化熱可塑性ポリマーを含み、および第一勾配領域を有する第一ポリマーメルト、および可塑化熱可塑性ポリマーを含み、および第二勾配領域を有する第二ポリマーシートを同時押出しすることを含み、
前記第一ポリマーシートおよび前記第二ポリマーシートは、前記第一ポリマーシートと前記第二ポリマーシートとの間で音響透過損失において少なくとも2デシベルの差を結果として生じる組成差を有し;および
前記第一勾配領域および前記第二勾配領域のうちの1つまたは両方が、着色領域を含んでいる、
方法。
【請求項26】
ポリマー中間層であって、
可塑化熱可塑性ポリマーを含み、および第一勾配領域を有する第一ポリマーシート;
可塑化熱可塑性ポリマーを含み、および第二勾配領域を有する第二ポリマーシート;
を含み、
前記第一勾配領域および前記第二勾配領域のうちの1つまたは両方が、着色領域を含んでいる、
中間層。

【図1】
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【公表番号】特表2010−508236(P2010−508236A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535400(P2009−535400)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/082530
【国際公開番号】WO2008/057788
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(500276390)ソリユテイア・インコーポレイテツド (43)
【Fターム(参考)】