説明

匂い弁別方法と匂い測定方法と匂い弁別プログラムと匂い測定プログラムと匂い弁別装置と匂い測定装置

【課題】 簡易な構成または簡易な手順で、匂いを弁別し、また匂い評価値を導きだすことのできる方法とプログラムと装置とを提供しようとする。
【解決手段】
従来の匂い弁別方法にかわって、匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサを準備し、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎にN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるM組のサンプルデータ列をM個の前記匂いグループに各々関連づけて予め記憶し、測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られる測定データ列を生成し、M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定た前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定するものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体の匂いを弁別または測定する匂い弁別方法と匂い測定方法と匂い弁別プログラムと匂い測定プログラムと匂い弁別装置と匂い測定装置とに係る。
特に測定した匂いを弁別し、また匂い評価値を決定する手順と構成に特徴の有る匂い弁別方法と匂い測定方法と匂い弁別プログラムと匂い測定プログラムと匂い弁別装置と匂い測定装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
気体の匂いを測定する匂い測定装置には、匂いセンサの形式により各種の形式のものがある。
匂いセンサの形式には、金属酸化物半導体を使用した匂いセンサ、合成被膜と水晶振動子とを組合わせた匂いセンサ、バイオセンサを用いた匂いセンサ等がある。
いずれも、測定対象の気体に含まれる匂い物質が感応部に付着して、匂いセンサの物理的特性や化学的特性や電気的特性が変化することに着目して、匂いを測定する。
匂いは、匂いの強さと匂いの種類とで特定される。気体の匂いの強さと匂いの種類とは、特定の気体の匂いをゼロ点として表現される。
匂いの種類は、匂いの質ともいう。
一般に、特定の気体は、人間が感知できない程度の弱い匂いを有する空気(以下、無臭空気と呼ぶ。)である。
通例、無臭空気は、活性炭を通過させた空気または標準空気である。
標準空気は、窒素と酸素とを空気と同等の比率に混合して得られた人工空気である。
【0003】
例えば、金属酸化物半導体匂いセンサの作動原理を説明する。
金属酸化物半導体は、金属酸化物を素材としたものであり、例えば、酸化錫または酸化亜鉛に適切な酸化触媒を混入したn型半導体である。酸化触媒の種類や作動温度や多孔質焼結構造の細孔径等を適切に選定することにより、各種の匂いに対し希望する感応特性をもつ匂いセンサを得ることができる。
気体に含まれる匂い物質の大部分は、揮発性の還元性物質である。
この気体の臭いを臭いセンサで測定するには、以下の手順で行う。
初期状態において、標準空気等の無臭空気を匂いセンサの感応部に供給する。無臭空気に含まれる酸素が匂いセンサの感応部の表面を酸化して、その金属酸化物半導体の内部の電子を奪っている。金属酸化物半導体の内部での電子が不足するので、金属酸化物半導体は電気伝導度が低くなる。したがって、電気抵抗値が高くなる。
匂い物質が、匂いセンサの感応部に付着すると、匂い物質が感応部の表面の酸素に電子を供給するので、酸素が奪っていた電子が金属酸化物半導体に戻り、金属酸化物半導体の内部での電子が増加して電気伝導度が高くなる。したがって、電気抵抗値が低くなる。
この電気伝導度または電気抵抗値の変動を、電気的に検出して定量化し、匂い測定装置として利用する。
【0004】
例えば、臭い測定装置は、匂いセンサの感応部が露出している測定空間を備えている。。匂い測定装置は、大気とともに匂い物質をエアポンプで導管を通して吸引し、測定チャンバーの測定空間に導く。匂い物質を含む気体が匂いセンサの感応部に供給されて、上述の電子の移動が生じるので、匂いセンサで匂いを感じることができる。匂いセンサの出力を取り込んだ後、匂い物質を含んだガスを測定空間から排出する。
【0005】
この様にして得た出力値は、必ずしも従来から用いている匂いの強さをあらわす匂い評価値とは一致していない。匂い測定器で得た結果を有効に利用するためには、匂いセンサの出力値を匂い評価値に変換する必要がある。
匂い評価値は、測定対象の匂いの強さを客観的に評価するために定義された値である。
例えば、匂い評価値は、臭気濃度、臭気指数または匂い成分の濃度等である。
臭気濃度や臭気指数は、官能試験によって臭気の強度を数値化したものである。
臭気濃度は、臭気が無臭の空気に拡がって薄められていてもなお感知出来るかを決定する尺度である。臭気を無臭空気で何倍に希釈したら臭わなくなるかを官能試験により決定する。臭気を無臭の清浄な空気で希釈してゆき、匂いを感じなくなったときの希釈倍率をもって臭気濃度とする。臭気濃度1000の臭気とは、その臭気を1000倍に希釈したときに、大部分の人がにおいを感じなくなることを意味する。測定方法としては、ASTM注射器法、オルファクトメータ法、セントメータ法などがあるが、日本では、三点比較式臭袋法が多くの地方自治体で使用される。
臭気指数は、臭気濃度を変換した尺度であり、以下の式で求められる。
臭気指数=10×lоg臭気濃度
臭気指数は、人間の嗅覚の感覚量に対応した尺度である。
日本では、臭気に関連する法律、条例等が、臭気濃度、臭気指数を匂いの強さを表す量として使用している。
【0006】
匂いセンサの出力値から匂い評価値を導き出すためには、匂いセンサの出力値と匂い評価値の相関を予め知っている必要が有る。
その相関は、個々の測定対象に固有のものであることが知られている。
したがって、測定対象毎に相関を知る必要がある。
一般には、予め、測定対象を測定サンプルとして、匂いセンサで匂いを測定して出力値を出力し、一方、定められた手順にしたがって匂い評価値を導く。得られた出力値と匂い評価値との相関を表す線を検量線として保存する。
検量線は、匂いセンサの出力値と匂い評価値との相関を表したものである。
例えば、検量線は、出力値と匂い評価値とを変数とする散布グラフにおいて線で表される。
測定対象の匂いを測定する手順を以下に説明する。
ステップ1:予め測定対象に関して得られた検量線を準備する。
ステップ2:測定対象の匂いを匂いセンサで測定する。
ステップ3:匂いセンサの出力値から検量線を用いて匂い評価値に換算する。
ステップ4:得られた匂い評価値を表示する。
【0007】
一方、発明者は、測定対象の匂いの質を数値化する手法を発案した。
匂いの質とは、芳香性臭気(例えば、にんにく臭)、植物性臭気(例えば、木材臭)、土臭、かび臭、魚貝臭、薬品性臭気、金属性臭気、腐敗性臭気、不快臭等のことである。
発明者は、匂いの質を数値化したものを臭香質値と名付けた。
発明者は、測定対象が同一であれば、匂いの強さが変化しても、臭香質値が変化しないことを見いだした。このことから、複数の測定対象の匂いの質が異なると臭香質値が異なり、複数の測定対象の匂いの質が近似すると臭香質値の差が小さいことが予測された。
【0008】
また、測定対象の匂いの質を弁別することは、専ら人間の感応に頼っていた。測定対象をガス分析することにより化学的に匂いの質を弁別することも考えられるが。必ずしも、人間の感覚に一致していない。
匂いの質は、原臭がまだ解明されておらず、分類も確立されていないので、「焦げ臭い臭気」「腐ったような臭気」「花のような匂い」など、なになにの様な匂いというように言語表現で表示される。
例えば、臭気の匂いの質は以下の様に分類されている。
芳香性臭気(メロン臭、すみれ臭、にんにく臭、きゅうり臭など)
植物性臭気(藻臭、青草臭、木材臭、海藻臭など)
土臭、かび臭(土臭、沼沢臭、かび臭など)
魚介臭(魚臭、肝油臭、はまぐり臭など)
薬品性臭気(フェノール臭、タール臭、油臭、油脂臭、パラフィン臭、硫化水素臭、塩素臭、クロロフェノール臭など)
金属性臭気(かなけ臭、金属臭など)
腐敗性臭気(ちゅうかい臭、下水臭、豚小屋臭、腐敗臭など)
不快臭(魚臭、豚小屋臭、腐敗臭などが強烈になった不快なにおい)
【0009】
【特許文献1】特開2003−42988号
【特許文献2】登録実用新案第3074494号
【特許文献3】特開平11−108871号
【特許文献4】特開平10−170422号
【特許文献5】特開平07−190916号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み、上記に記載の知見を基に、案出されたもので、簡易な構成または簡易な手順で、匂いを弁別し、また匂い評価値を導きだすことのできる匂い弁別方法と匂い測定方法と匂い弁別プログラムと匂い測定プログラムと匂い弁別装置と匂い測定装置とを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る匂いの質を分類した複数の匂いグループの中から測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別する匂い弁別方法を、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサを準備する匂いセンサ準備工程と、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列であるM組のサンプルデータ列をM個の前記匂いグループに各々関連づけて予め記憶するサンプル記憶工程と、
測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られるデータ列である測定データ列を生成する測定データ列生成工程と、M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する匂いグループ特定工程と、を備えるものとした。
【0012】
上記本発明の構成により、N個の匂いセンサが、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力する。M組のサンプルデータ列が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列である。M組のサンプルデータ列をM個の前記匂いグループに各々関連づけて予め記憶する。測定データ列が、測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られるデータ列である。M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定する。選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する。
その結果、M組の前記サンプルデータ列がM組の測定サンプルのN個の前記匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象のN個の前記匂いセンサに与える影響を表しており、N個の前記匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0013】
以下に、本発明の実施形態に係るいくつかの匂い弁別方法を説明する、本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0014】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い弁別方法は、前記サンプル記憶工程が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として前記演算手続により生成したM組の前記サンプルデータ列をM個の前記匂いグループに各々関連づけて得られるL×M組の前記サンプルデータ列を記録し、前記匂いグループ特定工程が、L×M組の前記サンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の前記測定サンプルから得られたM組の前記サンプルデータ列を選択し選択されたM組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する。
【0015】
上記実施形態の構成により、L×M組の前記サンプルデータ列が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に、前記測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に、N個の前記サンプル出力値を基礎として前記演算手続により生成したものである。M組の前記サンプルデータ列がM個の前記匂いグループに各々関連づけられる。L×M組の前記サンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の前記測定サンプルから得られたM組の前記サンプルデータ列を選択する。選択されたM組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する。
その結果、L個の希釈率の異なる測定サンプル毎にM組の前記サンプルデータ列がM組の匂いグループがN個の前記匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象がN個の前記匂いセンサに与える影響を表しており、匂いの強さの近似するM組の前記測定サンプルの内からN個の前記匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0016】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い弁別方法は、前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルであるC個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を生成する手順である。
【0017】
上記実施形態の構成により、C個の匂いベクトルが、N個の前記匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルである。C個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を測定サンプルデータ列、または測定データ列とする。
その結果、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの向きが匂いの質に対応することが確かめられており、データ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さと匂いの質に対応する。
【0018】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い弁別方法は、前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、前記匂いグループ特定工程が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し第一相関係数r1と第二相関係数r2との両方が1に近い値である長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定する。
【0019】
上記実施形態の構成により、C個の匂いベクトルが、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルである。長さデータ列が、C個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする。傾きデータ列が、C個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする。第一相関係数r1が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。第二相関係数r2が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。第一相関係数r1と第二相関係数r2との両方が1に近い値である長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定する。選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する。
その結果、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0020】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い弁別方法は、前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、前記匂いグループ特定工程が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し次式でM個の乗算値Rを算出しM個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定し、
R= K × |r1| × |r2|
ここで、
|r1|は、r1の絶対値であり、
|r2|は、r2の絶対値であり、
Kは、r1の符号とr2の符号の少なくとも一方がマイナスのとき「−1」で、それ以外のときに「+1」となる係数である。
【0021】
上記実施形態の構成により、C個の匂いベクトルが、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルである。長さデータ列が、C個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする。傾きデータ列が、C個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする。第一相関係数r1が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。第二相関係数r2が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。前記式で演算されるM個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した前記長さデータ列と前記傾きデータ列とを持つ1組のサンプルデータ列を選定する。選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する。
その結果、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、前記長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、前記傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0022】
上記目的を達成するため、本発明に係る測定対象の匂いの強さを評価するために定義された匂い評価値を決定するための匂い測定方法を、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサを準備する匂いセンサ準備工程と、匂いの質の異なるM個の前記測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定した前記匂いセンサの前記出力値であるサンプル出力値と前記測定サンプルの匂い評価値であるサンプル匂い評価値との対応を表すM個の検量線を記憶する検量線記憶工程と、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列であるM組のサンプルデータ列をM個の前記検量線に各々関連づけて予め記憶するサンプル記憶工程と、測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られるデータ列である測定データ列を生成する測定データ列生成工程と、M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する検量線特定工程と、特定された前記検量線を用いて測定対象の匂いを測定した前記匂いセンサの前記出力値に対応する匂い評価値を導き出す評価値導出工程と、を備えるものとした。
【0023】
上記本発明の構成により、N個の匂いセンサが、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力する。M個の検量線が、匂いの質の異なるM個の前記測定サンプルの各々毎に前記サンプル出力値と前記測定サンプルの匂い評価値であるサンプル匂い評価値との対応を表す。M組のサンプルデータ列が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎にN個の前記サンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列である。M組のサンプルデータ列をM個の前記検量線に各々関連づけて予め記憶する。測定データ列が、測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られるデータ列である。M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定する。選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する。特定された前記検量線を用いて測定対象の匂いを測定した前記匂いセンサの前記出力値に対応する匂い評価値を導き出す。
その結果、M組の前記サンプルデータ列がM組の測定サンプルのN個の前記匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象のN個の前記匂いセンサに与える影響を表しており、N個の前記匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、その検量線を用いて測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【0024】
以下に、本発明の実施形態に係るいくつかの匂い測定方法を説明する、本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0025】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定方法は、前記サンプル記憶工程が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として前記演算手続により生成したM組の前記サンプルデータ列をM個の前記検量線に各々関連づけて得られるL×M組の前記サンプルデータ列を記録し、前記検量線特定工程が、L×M組の前記サンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の前記測定サンプルから得られたM組の前記サンプルデータ列を選択し選択されたM組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する。
【0026】
上記実施形態の構成により、L×M組の前記サンプルデータ列が、M個の測定サンプルの各々毎に、前記測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に、前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として前記演算手続により生成したものである。M組の前記サンプルデータ列がM個の前記検量線に各々関連づけられる。L×M組の前記サンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の前記測定サンプルから得られたM組の前記サンプルデータ列を選択する。選択されたM組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する。
その結果、L個の希釈率の異なる測定サンプル毎にM組の前記サンプルデータ列がM組の匂いグループがN個の前記匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象がN個の前記匂いセンサに与える影響を表しており、匂いの強さの近似するM組の前記測定サンプルの内からN個の前記匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、その検量線を用いて前記出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【0027】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定方法は、前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルであるC個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を生成する手順である。
【0028】
上記実施形態の構成により、C個の匂いベクトルが、N個の前記匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルである。C個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を測定サンプルデータ列、または測定データ列とする。
その結果、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの向きが匂いの質に対応することが確かめられており、データ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さと匂いの質に対応する。
【0029】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定方法は、前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、前記検量線特定工程が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し前記第一相関係数r1と前記第二相関係数r2との両方が1に近い値である前記長さデータ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定する。
【0030】
上記実施形態の構成により、C個の匂いベクトルが、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルである。長さデータ列が、C個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする。傾きデータ列が、C個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする。第一相関係数が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。第二相関係数が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。前記第一相関係数r1と前記第二相関係数r2との両方が1に近い値である前記長さデータ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定する。選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する。
その結果、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、その検量線を用いて前記出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【0031】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定方法は、前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、前記検量線特定工程が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し次式でM個の乗算値Rを算出しM個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、
R= K × |r1| × |r2|
ここで、
|r1|は、r1の絶対値であり、
|r2|は、r2の絶対値であり、
Kは、r1の符号とr2の符号の少なくとも一方がマイナスのとき「−1」で、それ以外のときに「+1」となる係数である。
【0032】
上記実施形態の構成により、C個の匂いベクトルが、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルである。長さデータ列が、C個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする。傾きデータ列が、C個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする。第一相関係数が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。第二相関係数が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。前記式で演算されるM個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した前記長さデータ列と前記傾きデータ列とを持つ1組のサンプルデータ列を選定する。選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する。
その結果、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、その検量線を用いて前記出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【0033】
上記目的を達成するため、本発明に係る匂いの質を分類した複数の匂いグループの中から測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別する匂い弁別プログラムを、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサを有する匂い弁別装置用のデータ処理部に、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列であるM組のサンプルデータ列をM個の前記匂いグループに各々関連づけて予め記憶するサンプル記憶工機能と、測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られるデータ列である測定データ列を生成する測定データ列生成機能と、M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する匂いグループ特定機能と、を実行させるものとした。
【0034】
上記本発明の構成により、匂い弁別装置のN個の匂いセンサが、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力する。M組のサンプルデータ列が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎にN個の前記サンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列である。M組のサンプルデータ列をM個の前記匂いグループに各々関連づけて予め記憶する。測定データ列が、測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られるデータ列である。M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定する。選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する。
その結果、M組の前記サンプルデータ列がM組の測定サンプルのN個の前記匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象のN個の前記匂いセンサに与える影響を表しており、N個の前記匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0035】
以下に、本発明の実施形態に係るいくつかの匂い弁別プログラムを説明する、本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0036】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い弁別プログラムは、前記サンプル記憶機能が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として前記演算手続により生成したM組の前記サンプルデータ列をM個の前記匂いグループに各々関連づけて得られるL×M組の前記サンプルデータ列を記録し、前記匂いグループ特定機能が、L×M組の前記サンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の前記測定サンプルから得られたM組の前記サンプルデータ列を選択し選択されたM組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する。
【0037】
上記実施形態の構成により、L×M組の前記サンプルデータ列が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に、前記測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に、N個の前記サンプル出力値を基礎として前記演算手続により生成したものである。M組の前記サンプルデータ列がM個の前記匂いグループに各々関連づけられる。L×M組の前記サンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の前記測定サンプルから得られたM組の前記サンプルデータ列を選択する。選択されたM組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する。
その結果、L個の希釈率の異なる測定サンプル毎にM組の前記サンプルデータ列がM組の匂いグループがN個の前記匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象がN個の前記匂いセンサに与える影響を表しており、匂いの強さの近似するM組の前記測定サンプルの内からN個の前記匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0038】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い弁別プログラムは、前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルであるC個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を生成する手順である。
【0039】
上記実施形態の構成により、C個の匂いベクトルが、N個の前記匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルである。C個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を測定サンプルデータ列、または測定データ列とする。
その結果、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの向きが匂いの質に対応することが確かめられており、データ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さと匂いの質に対応する。
【0040】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い弁別プログラムは、前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、前記匂いグループ特定機能が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し第一相関係数r1と第二相関係数r2との両方が1に近い値である長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定する。
【0041】
上記実施形態の構成により、C個の匂いベクトルが、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルである。長さデータ列が、C個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする。傾きデータ列が、C個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする。第一相関係数が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。第二相関係数が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。第一相関係数r1と第二相関係数r2との両方が1に近い値である長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定する。選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する。
その結果、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、
匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0042】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い弁別プログラムは、前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、前記匂いグループ特定機能が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し次式でM個の乗算値Rを算出しM個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定し、
R= K × |r1| × |r2|
ここで、
|r1|は、r1の絶対値であり、
|r2|は、r2の絶対値であり、
Kは、r1の符号とr2の符号の少なくとも一方がマイナスのとき「−1」で、それ以外のときに「+1」となる係数である。
【0043】
上記実施形態の構成により、C個の匂いベクトルが、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルである。長さデータ列が、C個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする。傾きデータ列が、C個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする。第一相関係数が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。第二相関係数が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。前記式で演算されるM個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した前記長さデータ列と前記傾きデータ列とを持つ1組のサンプルデータ列を選定する。選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する。
その結果、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0044】
上記目的を達成するため、測定対象の匂いの強さを評価するために定義された匂い評価値を決定するための匂い測定プログラムを、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサを有する匂い弁別測定置用のデータ処理部に、匂いの質の異なるM個の前記測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定した前記匂いセンサの前記出力値であるサンプル出力値とM個の前記測定サンプルの匂い評価値であるサンプル匂い評価値との対応を表すM個の検量線を記憶する検量線記憶機能と、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列であるM組のサンプルデータ列をM個の前記検量線に各々関連づけて予め記憶するサンプル記憶機能と、測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られるデータ列である測定データ列を生成する測定データ列生成工程と、M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する検量線特定機能と、特定された前記検量線を用いて測定対象の匂いを測定した前記匂いセンサの前記出力値に対応する匂い評価値を導き出す評価値導出機能と、を実行させるものとした。
【0045】
上記本発明の構成により、N個の匂いセンサが、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力する。M個の検量線が、匂いの質の異なるM個の前記測定サンプルの各々毎に前記サンプル出力値と前記測定サンプルの匂い評価値であるサンプル匂い評価値との対応を表す。M組のサンプルデータ列が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列である。M組のサンプルデータ列をM個の前記検量線に各々関連づけて予め記憶する。測定データ列が、測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られるデータ列である。M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定する。選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する。特定された前記検量線を用いて測定対象の匂いを測定した前記匂いセンサの前記出力値に対応する匂い評価値を導き出す。
その結果、M組の前記サンプルデータ列がM組の測定サンプルのN個の前記匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象のN個の前記匂いセンサに与える影響を表しており、N個の前記匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、その検量線を用いて前記出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【0046】
以下に、本発明の実施形態に係るいくつかの匂い測定プログラムを説明する、本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0047】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定プログラムは、前記サンプル記憶機能が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として前記演算手続により生成したM組の前記サンプルデータ列をM個の前記検量線に各々関連づけて得られるL×M組の前記サンプルデータ列を記録し、前記検量線特定機能が、L×M組の前記サンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の前記測定サンプルから得られたM組の前記サンプルデータ列を選択し選択されたM組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する。
【0048】
上記実施形態の構成により、L×M組の前記サンプルデータ列が、M個の測定サンプルの各々毎に、前記測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に、N個の前記サンプル出力値を基礎として前記演算手続により生成したものである。M組の前記サンプルデータ列がM個の前記検量線に各々関連づけられる。L×M組の前記サンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の前記測定サンプルから得られたM組の前記サンプルデータ列を選択する。選択されたM組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する。
その結果、L個の希釈率の異なる測定サンプル毎にM組の前記サンプルデータ列がM組の匂いグループがN個の前記匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象がN個の前記匂いセンサに与える影響を表しており、匂いの強さの近似するM組の前記測定サンプルの内からN個の前記匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、その検量線を用いて前記出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【0049】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定プログラムは、前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルであるC個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を生成する手順である。
【0050】
上記実施形態の構成により、C個の匂いベクトルが、N個の前記匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルである。C個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を測定サンプルデータ列、または測定データ列とする。
その結果、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの向きが匂いの質に対応することが確かめられており、データ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さと匂いの質に対応する。
【0051】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定プログラムは、 前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、前記検量線特定機能が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し前記第一相関係数r1と前記第二相関係数r2との両方が1に近い値である前記長さデータ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定する。
【0052】
上記実施形態の構成により、C個の匂いベクトルが、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルである。長さデータ列が、C個の前記匂いベクトルの各々の長さを要素とする。傾きデータ列が、C個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする。第一相関係数が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。第二相関係数が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。前記第一相関係数r1と前記第二相関係数r2との両方が1に近い値である前記長さデータ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定する。選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する。
その結果、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、その検量線を用いて前記出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【0053】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定プログラムは、前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、前記検量線特定機能が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し次式でM個の乗算値Rを算出しM個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、
R= K × |r1| × |r2|
ここで、
|r1|は、r1の絶対値であり、
|r2|は、r2の絶対値であり、
Kは、r1の符号とr2の符号の少なくとも一方がマイナスのとき「−1」で、それ以外のときに「+1」となる係数である。
【0054】
上記実施形態の構成により、C個の匂いベクトルが、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルである。長さデータ列が、C個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする。傾きデータ列が、C個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする。第一相関係数が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。第二相関係数が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である。前記式により演算されるM個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定する。選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する。
その結果、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、
匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、その検量線を用いて前記出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【0055】
上記目的を達成するため、匂いの質を分類した複数の匂いグループの中から測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別する匂い弁別装置を、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサと、上記に記載の匂い弁別プログラムを内蔵したデータ処理部と、を備えたものとした。
【0056】
上記本発明の構成により、N個の匂いセンサが匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力する、データ処理部が上記に記載の匂い弁別プログラムを内蔵する。
その結果、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0057】
上記目的を達成するため、測定対象の匂いの強さを評価するために定義された匂い評価値を決定するための匂い測定装置を、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサと、上記に記載の匂い測定プログラムを内蔵したデータ処理部と、を備えたものとした。
【0058】
上記本発明の構成により、N個の匂いセンサが、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力する。データ処理部が、上記に記載の匂い測定プログラムを内蔵する。
その結果、検量線を用いて匂いセンサの前記出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【発明の効果】
【0059】
以上説明したように本発明に係る匂いを弁別することのできる匂い弁別方法と匂い弁別プログラムと匂い弁別装置とは、その構成により、以下の効果を有する。
匂いの質に対して感応特定の異なるN個の匂いセンサを用意し、M個の測定サンプル毎にN個の匂いセンサで測定したN個の出力値を基礎として演算手続きにより導いたM組のサンプルデータ列を演算し、測定対象を測定したN個の出力値を基礎として測定データ列を演算し、M組のサンプルデータのうち測定データ列と良い相関を持つ1組の前記サンプルデータに関連づけられた前記匂いぐグループを特定する様にしたので、M組の前記サンプルデータ列がM組の測定サンプルのN個の前記匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象のN個の前記匂いセンサに与える影響を表しており、N個の前記匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0060】
また、M個の測定サンプル毎に希釈率の異なるL個の測定サンプルからL×M組の前記サンプルデータ列を用意し、その中から匂いの強さの近似するM組の前記サンプルデータから1組の前記サンプルデータを選定する様にしたので、L個の希釈率の異なる測定サンプル毎にM組の前記サンプルデータ列がM組の匂いグループがN個の前記匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象がN個の前記匂いセンサに与える影響を表しており、匂いの強さの近似するM組の前記測定サンプルの内からN個の前記匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0061】
また、演算手順においてN個の前記匂いセンサのn個を1組として組み合わせたC組の匂いセンサの集合を定め、C組の匂いセンサの出力値を要素とする匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を測定サンプルデータ列、または測定データ列とする様にしたので、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの向きが匂いの質に対応することが確かめられており、データ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さと匂いの質に対応する。
【0062】
また、演算手順においてN個の前記匂いセンサの2個を1組として組み合わされたC組の匂いセンサの集合を定め、C組の匂いセンサの集合の2個の出力値を成分とする2軸座標系でのC組の匂いベクトルの長さと傾きとから夫々長さデータ列と傾きデータ列とを生成し、測定サンプルと測定対象との長さデータ列に関する相関係数と測定サンプルと測定対象との傾きデータ列に関する相関係数との両方を用いて相関をチェックする様にしたので、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0063】
また、測定サンプルと測定対象との長さデータ列に関する相関係数と測定サンプルと測定対象との傾きデータ列に関する相関係数との特殊な乗算値を用いて相関をチェックする様にしたので、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0064】
以上説明したように本発明に係る匂い評価値を導きだすことのできる匂い測定方法と匂い測定プログラムと匂い測定装置は、その構成により、以下の効果を有する。
匂いの質に対して感応特定の異なるN個の匂いセンサを用意し、M個の測定サンプル毎にN個の匂いセンサで測定したN個の出力値を基礎として演算手続きにより導いたM組のサンプルデータ列を演算し、測定対象を測定したN個の出力値を基礎として測定データ列を演算し、M組のサンプルデータのうち測定データ列と良い相関を持つ1組の前記サンプルデータに関連づけられた検量線を用いて匂い評価値を導く様にしたので、M組の前記サンプルデータ列がM組の測定サンプルのN個の前記匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象のN個の前記匂いセンサに与える影響を表しており、N個の前記匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、その検量線を用いて前記出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【0065】
また、M個の測定サンプル毎に希釈率の異なるL個の測定サンプルからL×M組の前記サンプルデータ列を用意し、その中から匂いの強さの近似するM組の前記サンプルデータから1組の前記サンプルデータを選定する様にしたので、L個の希釈率の異なる測定サンプル毎にM組の前記サンプルデータ列がM組の匂いグループがN個の前記匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象がN個の前記匂いセンサに与える影響を表しており、匂いの強さの近似するM組の前記測定サンプルの内からN個の前記匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、その検量線を用いて前記出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【0066】
また、演算手順においてN個の前記匂いセンサのn個を1組として組み合わせたC組の匂いセンサの集合を定め、C組の匂いセンサの出力値を要素とする匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を測定サンプルデータ列、または測定データ列とする様にしたので、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの向きが匂いの質に対応することが確かめられており、データ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さと匂いの質に対応する。
【0067】
演算手順においてN個の前記匂いセンサの2個を1組として組み合わされたC組の匂いセンサの集合を定め、C組の匂いセンサの集合の2個の出力値を成分とする2軸座標系でのC組の匂いベクトルの長さと傾きとから夫々長さデータ列と傾きデータ列とを生成し、測定サンプルと測定対象との長さデータ列に関する相関係数と測定サンプルと測定対象との傾きデータ列に関する相関係数との両方を用いて相関をチェックする様にしたので、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、その検量線を用いて前記出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【0068】
また、測定サンプルと測定対象との長さデータ列に関する相関係数と測定サンプルと測定対象との傾きデータ列に関する相関係数との乗算値を用いて相関をチェックする様にしたので、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組の前記サンプルデータ列を選定するので、その前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、その検量線を用いて前記出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
従って、匂いを弁別し、また匂い評価値を導きだすことのできる匂い弁別方法と匂い測定方法と匂い弁別プログラムと匂い測定プログラムと匂い弁別装置と匂い測定装置とを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0069】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0070】
最初に、本発明の実施形態に係る匂い測定用装置を、図を基に、説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る匂い弁別/測定装置の概念図である。図2は、本発明の実施形態に係る匂いセンサの概念図である。図3は、本発明の実施形態に係る匂いセンサの感応特性図である。図4は、本発明の実施形態に係るデータ処理部の概念図である。図5は、本発明の実施形態に係る匂い弁別プログラムの機能ブロック図である。
以下では、匂い測定装置が4個の匂いセンサを備える場合を例にして、説明する。
【0071】
本発明の実施形態に係る匂い弁別装置の構成を説明する。
匂い弁別装置10は、匂いの質を分類した複数の匂いグループの中から測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別する装置であり、N個の匂いセンサ100と気体供給手段200と無臭ガス供給手段300と測定チャンバー400と気体排出手段500とデータ処理部600とで構成される。
N個の匂いセンサ100は、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち、匂いの強さに応じた出力値を出力するセンサ100である。
N個は、3個以上であってもよい。
以下では、説明の便宜のために、4つの匂いセンサ(100a、100b、100c、100d)を備えているとして、説明する。
【0072】
匂いグループは、匂いの質を分類したものである。
例えば、匂いグループは、「なになにの様な匂い」のように言語表現で表示されてもよい。匂いグループ名は、芳香性臭気、植物性臭気、土臭、かび臭、魚介臭、薬品性臭気、金属性臭気、腐敗性臭気、不快臭等である。
例えば、匂いグループは、匂い成分物質の名称で表示されてもよい。匂い成分の名称は、「メチルメルカプラン」「トリメチルアミン」「アセトアルデヒド」「酢酸エチル」「トルエン」「アンモニア」等である。
例えば、匂いグループは、匂いの質を代表する匂いを持った測定対象を連想する用語で表示されてもよい。測定対象を連想する用語は、「ビルピット」「印刷工場入口」印刷工場出口」「塗装工場入口」「塗装工場出口」「肉処理場入口」「肉処理場中間」「生ごみ」「活性炭脱臭器」「農業排水」「プラズマ脱臭器」等である。
【0073】
最初に、1個の匂いセンサ100の構造とその作用を説明する。
匂いセンサ100は、気体の匂いを感じることをできる感応部101をもつ。感応部101は、例えば、金属酸化物半導体で構成される。匂い物質が感応部に付着すると、感応部の電気的特定が匂い物質の量と種類により変化する。
図2は、匂いセンサの概念図を示す。
例えば、匂いセンサ100は、感応部101とヒータ102とスイッチング素子103と負荷抵抗104と電源105とで構成される。
【0074】
感応部101は、気体の匂いを感じることをできる部分である。
感応部101は、例えば、触媒が添加された金属酸化物半導体でできたものである。素材の種類、触媒の種類、構造等によって、匂いを構成する匂い分子に対する感度に大きな差が生じる。
感応部101は、後述する測定チャンバー400に露出する。
【0075】
ヒータ102は、感応部101を加熱するものであり、例えが、白金薄膜である。
感応部101とヒータ102は、一体構造をしている。ヒータ102は、通電されて発熱し、感応部101を所定の温度に加熱することができる。例えば感応部101が金属酸化物半導体である場合、所定の温度は約400℃である。この様にすると、化学反応が起き易くなると同時に、感応部101が周囲温度変化や水分の存在により影響をうけることが少なくなり、匂いセンサの感度の低下を防止できる。また、感応部101に付着した匂い分子を洗浄空気で洗浄除去するのが容易になる。
ヒータ102は、パルス電流を印加されて、発熱するのが好ましい。
【0076】
スイッチング素子103は、ヒータ102に電流を供給するための電子素子である。スイッチング素子103は、パルス状のヒータ加熱パルス106を入力され、ヒータ102にパルス状の電流を供給する。
ヒータ加熱パルス106は、入力抵抗を介して、スイッチング素子に入力されるのが好ましい。
【0077】
負荷抵抗104は、感応部101に直列接続された抵抗回路である。負荷抵抗104は、抵抗素子で構成された回路でもよいし、抵抗素子とコンデンサとが並列接続された回路でもよい。
【0078】
電源105が、感応部101とヒータ102とに電流を供給する。
匂い測定出力107が、感応部101と負荷抵抗104との接続点から出力する。
【0079】
揮発性の還元性化学物質である匂い物質が感応部101に付着すると、感応部101の酸素と匂い物質との酸化反応により吸着酸素が取り去られ、電子が動きやすくなる。感応部101の電子が増加するために、感応部の電気伝導度が高くなる。
図3は、匂い成分の濃度と感応部の電気抵抗値との関係を示している。
【0080】
臭気および香気は、一般的に単体の化学物質で存在することはまれである。種々の単体化学物質が混合した複合臭が、人間の嗅覚に刺激を与える。このために、人間の嗅覚にあたえた感覚量と匂い測定装置の出力値の相関は極めて複雑な様子となる。
匂いセンサの素子として用いる金属酸化物半導体は、良好な耐久性と嗅覚との良好な相関とを持つ。この形式の匂いセンサの感応特性は、比較的広い幅をもって多種の臭香物質に反応する。また、触媒と温度による酸化還元反応制御、多孔質な物理的形状による分子量選択性を調整して、感応特性を選択することが可能である。従って、匂い物質に対して感応選択性をもたせることが可能である。
すなわち、硫化水素などの硫黄化合物、アンモニア、アルコール等のヒドロキシル基を有するもの、アセトアルデヒド等のアルデヒド基を有するもの、酢酸などのカルボキシル基を有するもの、トリニトロアミン等のアミノ基を有するもの、酢酸エチル等のエステル結合を有するもの、トルエン・キシレン等の芳香族炭化水素などに、分類可能な特徴的な感応特性を有するセンサ素子を製作することができる。
【0081】
気体供給手段200は、気体を感応部に供給することをできる装置である。
例えば、測定チャンバー400が匂い測定装置に設けられる場合、気体供給手段200は気体導入手段210で構成される。
気体導入手段210は、気体を測定空間Hに導入する手段であり、試料吸込管211と試料バルブ212と試料導入管213とで構成される。
試料吸込管211は、外部と試料バルブ212とを連通する配管である。配管は、匂い物質の付着しにくい素材(例えば、PTFE製のチューブ)で出来ている。
試料バルブ212は開閉可能な弁である。例えは、試料バルブ212は、電気信号のオン信号またはオフ信号に従って、通路を開状態または閉状態にすることをできる。
試料導入管213は、試料バルブ212と測定チャンバー400とを連通する配管である。
従って、オン信号を試料バルブ212に与えると、試料バルブ212が開状態になり、外部から試料を測定空間Hに導入可能になる。オフ信号を試料バルブ212に与えると、試料バルブ212が閉状態になり、外部から試料を測定空間Hに導入不能になる。
【0082】
無臭ガス供給手段300は、無臭ガスを感応部に供給することをできる装置である。
例えば、測定チャンバーが匂い測定装置に設けられる場合、無臭ガス供給手段300は無臭ガス生成手段310と無臭ガス導入手段320とで構成される。
無臭ガス生成手段310は、無臭ガスを生成するものであり、例えば、活性炭が充填されたケースである。
無臭ガス導入手段320は、洗浄吸入管321と洗浄バルブ322と洗浄導入管323とで構成される。
洗浄吸入管321は、無臭ガス生成手段310と洗浄バルブ322とを連通する配管である。
洗浄バルブ322は、開閉可能な弁である。例えは、洗浄バルブ322は、電気信号のオン信号またはオフ信号に従って、通路を開状態または閉状態にすることをできる。
洗浄導入管323は、洗浄バルブ322と測定チャンバー400とを連通する配管である。
従って、オン信号を洗浄バルブ322に与えると、洗浄バルブ322が開状態になり、無臭ガスを測定空間Hへ導入可能になる。オフ信号を洗浄バルブ322に与えると、洗浄バルブ322が閉状態になり、無臭ガスを測定空間Hへ導入不能になる。
【0083】
測定チャンバー400は、密閉可能な測定空間Hを持つ容器状装置である。匂いセンサ100の感応部101が、測定空間Hに露出している。したがって、匂い物質の混ざった気体を測定空間Hに導入すると、気体が感応部に供給されて、匂い物質が感応部に付着する。
【0084】
気体排出手段500は、測定チャンバー400から気体を排出する装置であり、気体排出管501、503、505と排出バルブ502と気体排出ポンプ504とで構成される。
気体排出管501は、測定チャンバー400と排出バルブ502とを連通する配管である。
排出バルブ502は、開閉可能な弁である。例えは、排出バルブ502は、電気信号のオン信号またはオフ信号に従って、通路を開状態または閉状態にすることをできる。
気体排出管503は、排出バルブ502と気体排出ポンプ504の入口とを連通する配管である。
気体排出ポンプ504は、測定空間Hから気体を排出するポンプである。例えば、ポンプは、ファン、ブロア、ダイヤフラムポンプ等である。
気体排出管505は、気体排出ポンプ504の出口と外部とを連通する配管である。
従って、排出バルブ502にオン信号を与えて、気体排出ポンプ504を駆動すると、測定空間Hの気体が外部へ排出される。
【0085】
データ処理部600は、匂いセンサ100、気体供給手段200、無臭ガス供給手段300、及び気体排出手段500を制御して、気体の匂いを測定し、データ処理する装置である。
図4は、本発明の実施形態に係るデータ処理部の概念図を示す。
データ処理部600は、主制御部601とパルス発生部602と測定時間設定タイマー603とインターフェース部604とA/D変換部605とデータ記憶部606とデータ演算部607と表示部608とで構成される。
主制御部601は、内蔵する制御プログラムに従って作動し、パルス発生部602と測定時間設定タイマー603とインターフェース部604とA/D変換部605とデータ記憶部606とデータ演算部607と表示部608とを制御する。
パルス発生部602は、所定の周期とパルス数を有するパルス制御信号を発生し、匂いセンサ100のスイッチング素子103に供給する部分である。所定の周期とパルス数は、ヒータ102の加熱温度に応じて設定される。
測定時間設定タイマー603は、主制御部601に測定の為のタイミング信号を出力する。
【0086】
インターフェース部604は、主制御部601からの信号またはデータを外部へ出力し、外部からの信号またはデータを主制御部601に取り込むための入出力部である。インターフェース部604は、例えば、外部のパソコンに繋がる。匂いセンサ100匂い測定出力の時間変化のデータ、匂いの強度と匂いの種類の測定結果は、インターフェース部604を介して外部のパソコン20に転送される。
A/D変換部605は、匂いセンサ100(100a,100b、100c、100d)からの匂い測定出力を所定のタイミングで取り込み、アナログ/デジタル変換し、デジタルデータを主制御部601へ送る。
データ記憶部606は、主制御部601からの指定に従って、匂い測定出力を記憶する機器である。
データ演算部607は、データ記憶部606に記録された匂い測定データを取り込み、データ記憶部606に保存する。
表示部608は、データ記録部606に記録された匂い評価値及び匂いの質を必要に応じて表示する機器である。表示部608は、の匂いの強さと匂いの種類を時系列にモニターすることができる。
【0087】
本発明の実施形態に係る匂い弁別プログラムが、本発明の実施形態に係る匂い弁別装置のデータ処理部600に内蔵される。
本発明の実施形態に係る匂い弁別プログラムは、匂いの質を分類した複数の匂いグループの中から測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別するためのプログラムである。
本発明の実施形態に係る匂い弁別用プログラムは、N個の匂いセンサを有する匂い弁別装置用のデータ処理部に、サンプル記憶機能F11と測定データ列生成機能F12と匂いグループ特定機能F13と匂い弁別結果出力機能F14とを実現させる。
N個の匂いセンサは、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力する。
Nは3以上であってもよい。
【0088】
図5は、匂い弁別プログラムの機能ブロックを示す。
サンプル記憶機能F11は、M組のサンプルデータ列をM個の匂いグループに各々関連づけて予め記憶する機能である。
M組のサンプルデータ列は、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に、測定サンプルの匂いを測定したN個の匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列である
【0089】
測定データ列生成機能F12は、測定データ列を生成する工程である。
測定データ列は、1個の測定対象の匂いを測定したN個の匂いセンサの出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列である
【0090】
以下に、サンプル記憶機能F11と測定データ列生成機能F12とで用いられる 演算手続きについて、説明する。
演算手続は、N個のサンプル出力値を基礎としてデータ列を演算する手続きである。
演算手続きが、N個の匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルであるC個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を生成する手順であってもよい。
データ列は、正規化された値の列であってもよい。
例えば、データ列は、各々のデータの平均からの偏差をデータ列の標準偏差で割った値の列である。
【0091】
以下に、4個の匂いセンサで匂いを測定する手順を説明する。
測定チャンバーに無臭ガス(無臭空気)を導入する。
匂いセンサA100aを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RAzを取り込む。
匂いセンサB100bを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RBzを取り込む。
匂いセンサC100cを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RCzを取り込む。
匂いセンサD100dを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RDzを取り込む。
測定チャンバー400に測定対象または測定サンプルを導入する。
匂いセンサA100aを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RA0を取り込む。
匂いセンサB100bを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RB0を取り込む。
匂いセンサC100cを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RC0を取り込む。
匂いセンサD100dを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RD0を取り込む。
匂い測定出力センサー抵抗RA0、RB0、RC0、RD0を匂い測定出力センサー抵抗RAz、RBz、RCz、RDzを用いてゼロ点補正する。
すなわち、以下の計算をする。
Va=a1×(RAz/RA0−1)又はVa=a2×log10(RAz/RA0)
Vb=b1×(RBz/RB0−1)又はVb=b2×log10(RBz/RB0)
Vc=c1×(RCz/RC0−1)又はVc=c2×log10(RCz/RC0)
Vd=d1×(RDz/RD0−1)又はVd=d2×log10(RDz/RD0)
Va、Vb、Vc、Vdは、匂いの強さに対応した出力値である。
出力値Va、Vb、Vc、Vdは、測定対象が無臭であるときに、0となり、匂いの強さが大きくなるにつれて大きな値となる。
【0092】
例えば4個の匂いセンサが、センサA、センサB、センサC、センサDであるとすると、センサAとセンサB、センサAとセンサC、センサAとセンサD、センサBとセンサC、センサBとセンサD、センサCとセンサDとの出力値を直交成分とする匂いベクトルAB、匂いベクトルAC、匂いベクトルAD、匂いベクトルBC、匂いベクトルBD、匂いベクトルCDをつくることができる。
データ列は、この6個の匂いベクトルを表す数値で構成される。
【0093】
匂いグループ特定機能F13は、M組のサンプルデータ列の中から測定データ列と良い相関を持った1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定する機能である。
匂いグループ特定機能F13が、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列と測定データ列とを一対の標本列とするM個の相関係数を算出し、M個の相関係数のうちで最も値の大きな相関係数を算出した1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定してもよい。
【0094】
一対の標本列(X1、X2、X3・・・・・、Xi)と(Y1、Y2、Y3・・・・・、Yi)との相関係数は、以下の数式で表される。



ここで、σxは、標本列(X1、X2、X3・・・・・、Xi)の標準偏差である。σyは、標本列(Y1、Y2、Y3・・・・・、Yi)の標準偏差である。
【0095】
サンプル記憶機能F11が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に、測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に測定サンプルの匂いを測定したN個の匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続により生成したM組のサンプルデータ列をM個の匂いグループに各々関連づけて得られるL×M組のサンプルデータ列を記録し、
匂いグループ特定機能F13が、L×M組のサンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の測定サンプルから得られたM組のサンプルデータ列を選択し、選択されたM組のサンプルデータ列の中から測定データ列と良い相関を持った1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定してもよい。
【0096】
演算手続が、N個の匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、
匂いグループ特定機能F13が、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列が持つ長さデータ列と測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組のサンプルデータ列が持つ傾きデータ列と測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し、第一相関係数r1と第二相関係数r2との両方が1に近い値である長さデータ列と傾きデータ列とを持つ1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定してもよい。
例えば、匂いグループ特定機能F13が、以下の式でM個の乗算値Rを算出し、M個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さデータ列と傾きデータ列とを持つ1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定してもよい。

R= K × |r1| × |r2|

ここで、
|r1|は、r1の絶対値である。
|r2|は、r2の絶対値である。
Kは、r1の符号とr2の符号の少なくとも一方がマイナスのとき「−1」で、それ以外のときに「+1」となる係数である。
【0097】
上述の演算手続をより詳述する。
説明の理解の容易のために、測定対象にS0、測定サンプルにS1、S2、S3、S4、S5、S6の符号を付す。
例えば4個の匂いセンサが、センサA、センサB、センサC、センサDであるとすると、センサAとセンサB、センサAとセンサC、センサAとセンサD、センサBとセンサC、センサBとセンサD、センサCとセンサDとを組み合わせると、1個の測定対象の匂いを測定した4個の匂いセンサの出力値(Va、Vb、Vc、Vd)から、以下の長さデータ列と傾きデータ列をもった1組のデータ列を生成できる。
長さデータ列=(Lab、Lac、Lad、Lbc、Lbd、Lcd)
傾きデータ列=(θab、θac、θad、θbc、θbd、θcd)
ここで、
Labは、センサAとセンサBの出力値を直交成分とする匂いベクトルの長さである。
Lacは、センサAとセンサCの出力値を直交成分とする匂いベクトルの長さである。
Ladは、センサAとセンサDの出力値を直交成分とする匂いベクトルの長さである。
Lbcは、センサBとセンサCの出力値を直交成分とする匂いベクトルの長さである。
Lbdは、センサBとセンサDの出力値を直交成分とする匂いベクトルの長さである。
Lcdは、センサCとセンサDの出力値を直交成分とする匂いベクトルの長さである。
さらに、
θabは、センサAとセンサBの出力値を直交成分とする匂いベクトルの傾きである。
θacは、センサAとセンサCの出力値を直交成分とする匂いベクトルの傾きである。
θadは、センサAとセンサDの出力値を直交成分とする匂いベクトルの傾きである。
θbcは、センサBとセンサCの出力値を直交成分とする匂いベクトルの傾きである。
θbdは、センサBとセンサDの出力値を直交成分とする匂いベクトルの傾きである。
θcdは、センサCとセンサDの出力値を直交成分とする匂いベクトルの傾きである。
【0098】
長さデータ列と傾きデータ列の数値は、正規化された値であってもよい。
例えば、長さデータ列は、各々のデータから長さデータ列の平均値を引いた値を長さデータ列の標準偏差で割った値の列であり、傾きデータ列は、各々のデータから傾きデータ列の平均値を引いた値を傾きデータ列の標準偏差で割った値の列である。
【0099】
M個の測定サンプルSi(i=1、2・・6)の中の1個の測定サンプルをN個の匂いセンサで測定して得たサンプルデータ列の長さデータ列(Lab、Lac、Lad、Lbc、Lbd、Lcd)と測定対象S0をN個の匂いセンサで測定して得た測定データ列の長さデータ列(Lab、Lac、Lad、Lbc、Lbd、Lcd)とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1s0si(i=1、2・・、M)を計算し、以下のM個の第一相関係数を算出する。

r1s0s1
r1s0s2
r1s0s3
r1s0s4
r1s0s5
r1s0s6

ここで、
r1s0s1は、測定サンプルS1の長さデータ列と測定対象S0の長さデータ列を一対の標本列とする相関係数である。
r1s0s2は、測定サンプルS2の長さデータ列と測定対象S0の長さデータ列を一対の標本列とする相関係数である。
r1s0s3は、測定サンプルS3の長さデータ列と測定対象S0の長さデータ列を一対の標本列とする相関係数である。
r1s0s4は、測定サンプルS4の長さデータ列と測定対象S0の長さデータ列を一対の標本列とする相関係数である。
r1s0s5は、測定サンプルS5の長さデータ列と測定対象S0の長さデータ列を一対の標本列とする相関係数である。
r1s0s6は、測定サンプルS6の長さデータ列と測定対象S0の長さデータ列を一対の標本列とする相関係数である。
【0100】
M個の測定サンプルSi(i=1、2・・6)の中の1個の測定サンプルをN個の匂いセンサで測定して得たサンプルデータ列の傾きデータ列(θab、θac、θad、θbc、θbd、θcd)と測定対象S0をN個の匂いセンサで測定して得た測定データ列の傾きデータ列(θab、θac、θad、θbc、θbd、θcd)とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2s0si(i=1、2・・、M)を計算し、以下のM個の第二相関係数を算出する。

r2s0s1
r2s0s2
r2s0s3
r2s0s4
r2s0s5
r2s0s6

ここで、
r2s0s1は、測定サンプルS1の傾きデータ列と測定対象S0の傾きデータ列を一対の標本列とする相関係数である。
r2s0s2は、測定サンプルS2の傾きデータ列と測定対象S0の傾きデータ列を一対の標本列とする相関係数である。
r2s0s3は、測定サンプルS3の傾きデータ列と測定対象S0の傾きデータ列を一対の標本列とする相関係数である。
r2s0s4は、測定サンプルS4の傾きデータ列と測定対象S0の傾きデータ列を一対の標本列とする相関係数である。
r2s0s5は、測定サンプルS5の傾きデータ列と測定対象S0の傾きデータ列を一対の標本列とする相関係数である。
r2s0s6は、測定サンプルS6の傾きデータ列と測定対象S0の傾きデータ列を一対の標本列とする相関係数である。
【0101】
M個の測定サンプルSi(i=1、2・・、M)の1組毎に、第一相関係数と第二相関係数とを乗算したM個の乗算値R0iを算出する。

R01 = K × |r1s0s1| × |r2s0s1
R02 = K × |r1s0s2| × |r2s0s2
R03 = K × |r1s0s3| × |r2s0s3
R04 = K × |r1s0s4| × |r2s0s4
R05 = K × |r1s0s5| × |r2s0s5
R06 = K × |r1s0s6| × |r2s0s6

ここでKは、r1s0siの符号、r2s0siの符号の少なくとも一方が負のときに「−1」、それ以外は「+1」となる係数である。

M個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さデータ列と傾きデータ列とを持つ1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定する。
例えば、R01が最も大きな値である場合に、測定サンプルS1の属する匂いグループを特定する。
【0102】
匂い弁別結果出力機能F14は、特定した匂いグループを画面等に出力する機能である。
特定された匂いグループを出力してもよい。
また、相関係数により匂いグループを特定した場合は、匂いグループと相関係数r1、r2とを出力しても良い。
また、乗算値により匂いグループを特定した場合は、匂いグループと乗算値Rとを出力しても良い。
【0103】
次に、本発明の実施形態に係る匂い測定装置を、図を基に、説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る匂い測定プログラムの機能ブロック図である。図7は、本発明の実施形態に係る検量線の概念図その1である。図8は、本発明の実施形態に係る匂いベクトルの概念図である。図9は、本発明の実施形態に係る検量線の概念図その2である。
以下では、匂い測定装置が4個の匂いセンサを備える場合を、例に説明する。
【0104】
最初に、匂い測定装置の構成を説明する。
匂い測定装置10は、測定対象の匂いの強さを評価するために定義された匂い評価値を決定するための装置であって、N個の匂いセンサ100と気体供給手段200と無臭ガス供給手段300と測定チャンバー400と気体排出手段500とデータ処理部600とで構成される。
N個の匂いセンサは、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力する
Nは、3以上の数値であってもよい。
【0105】
匂い評価値は、測定対象の匂いの強さを評価するために定義された値である。
例えば、匂い評価値は、匂い物質濃度である。匂い物質濃度は、測定対象の匂い成分の濃度(ppm)である。
【0106】
例えば、匂い評価値は、臭気濃度である。臭気濃度は、臭気を無臭の正常な空気で希釈してゆき、匂いを感じなくなったときの希釈倍率の値である。測定法としては、三点比較式臭袋法、ASTM注射器法、オルファクトメータ法、セントメータ法などがある。
【0107】
例えば、匂い評価値は、臭気指数である。臭気指数は、臭気濃度を以下の様に変換した値である。
臭気指数=10×lоg臭気濃度
【0108】
例えば、匂い評価値は、臭気強度である。臭気強度は、臭気に感覚的強さを示す基準値である。4段階、5段階、6段階、7段階、8段階などであらわす。6段階臭気強度表示法では、以下の様に数値化する。
0 無臭
1 やっと感知できるにおい
2 何のにおいであるかがわかる弱い匂い
3 らくに感知できるにおい
4 強いにおい
5 強烈なにおい
【0109】
N個の匂いセンサ100と気体供給手段200と無臭ガス供給手段300と測定チャンバー400と気体排出手段500の構成は、本発明の実施形態の匂い弁別装置のものと同じなので、説明を省略する。
【0110】
以下に、本発明の実施形態に係るデータ処理部600を詳述する。
データ処理部600の構成は、データ処理部に内蔵する匂い測定用プログラムが異なる以外は、同じなので、異なる点のみ説明する。

表示部608は、データ記録部606に記録された匂いの強度、匂いの種類、匂いグループまたは匂い評価値を必要に応じて表示する機器である。表示部608は、測定対象の匂いに対応した匂いベクトルを表示し、匂いベクトルの長さと傾きからそれぞれの匂いの強さと匂いの種類を時系列にモニターすることができる。
【0111】
本発明の実施形態に係る匂い測定プログラムが、本発明の実施形態に係る匂い測定装置のデータ処理部600に内蔵される。
本発明の実施形態に係る匂い測定プログラムは、測定対象の匂いの強さを評価するために定義された匂い評価値を決定するためのプログラムであり、N個の匂いセンサを有する匂い弁別測定置用のデータ処理部に、検量線記憶機能F21とサンプル記憶機能F22と測定データ列生成工程F23と検量線特定工程F24と評価値導出工程F25とを実行させる。
N個の匂いセンサは、N個の匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力する
【0112】
検量線記憶機能F21は、M個の検量線を記憶する工程である。
M個の検量線は、匂いの質の異なるM個の測定サンプルの各々毎に、測定サンプルの匂いを測定した匂いセンサの出力値であるサンプル出力値と測定サンプルの匂い評価値であるサンプル匂い評価値との対応を表すものである。
一般に、1個の検量線は、測定対象の匂いを測定した匂いセンサの出力値であるサンプル出力値と測定サンプルの匂い評価値であるサンプル匂い評価値との対応を表す線で表される。
例えば、検量線は、サンプル出力値とサンプル匂い評価値とを座標軸とに描かれる線である。サンプル匂い評価値は、検量線を参照してサンプル出力値から演算により求められる。
図7は、特定の1個の匂いセンサの出力値Vと臭気指数または匂い成分の濃度との関係を表す検量線を示している。
【0113】
例えば、検量線は、特定の2個の匂いセンサのサンプル出力値から求められる臭香強度値とサンプル匂い評価値とを座標軸とに描かれる線である。サンプル匂い評価値は、検量線を参照して臭香強度値から演算により求められる。
図8は、特定の2個の匂いセンサの出力値Va、Vbから臭香強度値とLabを導き出す例を示している。
複数の匂いセンサ100の匂い測定出力Vccをモニタすると、匂い物質の量と種類とを測定することができる。
【0114】
例えば、2つの匂いセンサ100(例えば、匂いセンサA100aと匂いセンサB100bと)で匂い物質の量と種類とを測定する手順を説明する。
【0115】
匂いセンサA100aの感応特性と匂いセンサB100bの感応特性とが匂いの質によって異なっている。
例えば、匂いセンサA100aは分子量の大きな匂い物質に対して電気的特性の変動が大きく、匂いセンサB100bは、分子量の小さな匂い物質に対して電気的特性の変動が大きい。
【0116】
例えば、匂いセンサA100aの感応部101は、分子量が比較的大きく揮発性の低い重質系の匂い分子に対して高い感度を持つ。重質系の匂い分子の代表例は、不飽和芳香族炭化水素化合物である。
例えば、匂いセンサB100bの感応部101は、分子量が比較的小さく揮発性の高い軽質系の匂い分子に対して高い感度を持つ。軽質系の匂い分子の代表例は、アルコールである。
匂いセンサA100a、匂いセンサB100bの匂い測定出力の組み合わせから、匂い物質の量と匂い物質の種類を特定することができる。
【0117】
匂いセンサAと匂いセンサBの個々の構造は、本発明の実施形態に係る匂い弁別装置で説明したものと同じなので、説明を省略する。
【0118】
複数の匂いセンサ100a、100bの匂い測定出力Vccから求められるセンサーの抵抗値Rをモニタすると、匂い物質の量と種類とを測定することができる。
【0119】
以下に、2つの匂いセンサの匂い測定センサー抵抗値Rを用いて、匂いの強さと匂いの種類を測定する方法を、図を基に、説明する。
図8において、
RA0は、匂いセンサー200aの出力抵抗値である。
RAzは、匂いセンサー200aの校正抵抗値である。
RB0は、匂いセンサー200bの出力抵抗値である。
RBzは、匂いセンサー200bの校正抵抗値である。
出力値RA0、RB0は、ガスを感応部に供給した際の、匂い測定出力抵抗値Rである。
校正値RAz、RBzは、無臭空気を感応部に供給した際の、匂い測定校正抵抗値Rである。
ベクトル図は、重質系に感度の高い匂いセンサA100aの出力抵抗値Rを抵抗校正値Rで校正した値(a1×(RAz/RA0−1)又はa2×log10(RAz/RA0))をX軸の要素とし、軽質系に感度の高い匂いセンサB100bの出力抵抗値Rを校正抵抗値Rで校正した値(b1×(RBz/RB0−1)またはb2×log10(RBz/RB0))をY軸の要素としたときに得られるベクトルを表示した直交座標系である。このベクトルも匂いベクトルである。
図8中で、軽質系の匂い成分が重質系の匂い成分より多い匂い1を表す匂いベクトルと重質系の匂い成分が軽質系の匂い成分より多い匂い2を表す匂いベクトルとを示している。
このベクトル図において、例えば、匂いベクトルの長さLabに対応する値を「臭香強度値」と呼び、匂いベクトルの傾きθabに対応する値を「匂いの種類」を表す「臭香質値」と呼ぶ。
この「臭香強度値」と匂いの強さとの相関と「臭香質値」と匂いの種類に対する相関とが、人間の感度に近似していることが、実験により確かめられている。
例えば、臭香強度値は、出力値Vaと出力値Vbとの両方の増減傾向に略一致して増減する。
出力値Vaが増加すると臭香強度値が増加し、出力値Vaが減少すると臭香強度値が減少しする。さらに、出力値Vbが増加すると臭香強度値が増加し、出力値Vbが減少すると臭香強度値が減少する。
【0120】
例えば、臭香強度値は、出力値Vaの二乗と出力値Vbの二乗との和の平方根である。
すなわち、



例えば、臭香強度値は、出力値Vaと出力値Vbの積である。
すなわち、
臭香強度値=Va×Vb
例えば、臭香強度値は、出力値Vaである。
すなわち、
臭香強度値=Va
例えば、臭香強度値は、出力値Vbである。
すなわち、
臭香強度値=Vb
【0121】
例えば、臭香質値は、出力値Vaを出力値Vbで割った値である。
すなわち、
臭香質値=出力値Va/出力値Vb
例えば、臭香質値は、出力値Vbを出力値Vaで割った値である。
すなわち、
臭香質値=出力値Vb/出力値Va
例えば、臭香質値は、以下の角度θである。
すなわち、
tanθ=出力値Va/出力値Vb
例えば、臭香質値は、以下の角度θである。
すなわち、
tanθ=出力値Vb/出力値Va
【0122】
図9は、その臭香強度値と臭気指数または匂い成分の濃度との関係を表す検量線を示している。
以下に、検量線をタイプ別に説明する。
【0123】
検量線が、測定対象を異なる倍率で希釈して得た複数の測定サンプルを匂いセンサで測定して得たサンプル出力値と複数の測定サンプルから定義された手順に従って求められたサンプル匂い評価値とを要素とする少なくとも2つの測定点を基として近似的に得られたものであってもよい。
測定対象を異なる倍率で希釈して複数の測定サンプルを作る。
複数の測定サンプルの各々を測定してサンプル出力値を得る。
複数の測定サンプルの各々を定義された手順に従ってサンプル匂い評価値を求める。
求められたサンプル出力値とサンプル匂い評価値とを要素として持つ測定点から近似的に検量線を求める。
例えば、検量線が、複数の測定点を直線で繋いだ折線であってもよい。
例えば、検量線が、複数の測定点から最小二乗法により求められた曲線であってもよい。曲線は、匂い評価値を変数とする指数関数またはN次の関数であってもよい。
【0124】
検量線を指数関数で表す場合、以下の様な式で表されてもよい。
Rs=Kseμx
ここで、Rsは、出力値である。Ksは、係数1である。μは、係数2である。xは匂い評価値である。例えば、匂い評価値は、臭香指数はまた匂い成分の濃度である。
検量線を匂い評価値を変数とする指数関数で近似すると、指数関数の係数Ks、μを定めるだけで検量線を定義でき、また指数曲線が臭香強度値と匂い評価値の相関によく一致し、簡易な構成で検量線をとりあつかうことをできる。
また、係数Ks、μを定めるだけで、検量線を決定できるので、記憶部が、少ない容量で多くの検量線を記憶できる。
測定対象が異なると、係数Ks、μの値が異なる。
【0125】
検量線が、測定対象を異なる倍率で希釈して得た複数の測定サンプルのサンプル臭香強度値と複数の測定サンプルから定義された手順に従って求められたサンプル匂い評価値とを要素とする少なくとも2つの測定点を基として近似的に得られたものであってもよい。
測定対象を異なる倍率で希釈して複数の測定サンプルを作る。
複数の測定サンプルの各々を測定して出力値Vaと出力値Vbとを測定する。
出力値Vaと出力値Vbとから、サンプル臭香強度値とサンプル臭香質値とを導き出す。
複数の測定サンプルの各々を定義された手順に従ってサンプル匂い評価値を求める。
求められたサンプル出力値とサンプル匂い評価値とを要素として持つ測定点から近似的に検量線を求める。
例えば、検量線が、複数の測定点を直線で繋いだ折線であってもよい。
例えば、検量線が、複数の測定点から最小二乗法により求められた曲線であってもよい。曲線は、匂い評価値を変数とする指数関数またはN次関数であってもよい。
例えば、検量線が、2点の測定点を結ぶ匂い評価値を変数とする指数関数であってもよい。
【0126】
検量線が、匂い評価値を変数とする指数関数で表される場合を詳述する。
Rs=Kseμx
ここで、Rsは、臭香強度値である。Ksは、係数1である。μは、係数2である。xは匂い評価値である。例えば、匂い評価値は、臭香指数はまた匂い成分の濃度である。
検量線を匂い評価値を変数とする指数関数で近似すると、指数関数の係数Ks、μを定めるだけで検量線を定義でき、また指数曲線が臭香強度値と匂い評価値の相関によく一致し、簡易な構成で検量線をとりあつかうことをできる。
また、係数Ks、μを定めるだけで、検量線を決定できる。
サンプル臭香質値が異なると、係数Ks、μの値が異なる。
【0127】
サンプル記憶機能F22は、M組のサンプルデータ列をM個の検量線に各々関連づけて予め記憶する工程である。
M組のサンプルデータ列は、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に、測定サンプルの匂いを測定したN個の匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列である
【0128】
測定データ列生成工程F23は、測定データ列を生成する工程である。
測定データ列は、測定対象の匂いを測定したN個の匂いセンサの出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列である。
【0129】
サンプル記憶機能F22と 測定データ列生成工程F23とで用いる演算手順は、N個の匂いセンサの出力値を基礎にデータ列を演算する手順である。
演算手続が、N個の匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルであるC個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を生成する手順であってもよい。
演算手順の事例は、匂い弁別方法の説明で記載したものと同じなので、説明を省略する。
【0130】
検量線特定機能F24は、M組のサンプルデータ列の中から測定データ列と良い相関を持った1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定するものである。
検量線特定機能F24が、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列と測定データ列とを一対の標本列とするM個の相関係数を算出し、M個の相関係数のうちで最も値の大きな相関係数を算出した1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定してもよい。
【0131】
サンプル記憶機能F22が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に測定サンプルの匂いを測定したN個の匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続により生成したM組のサンプルデータ列をM個の検量線に各々関連づけて得られるL×M組のサンプルデータ列を記録し、
検量線特定機能F24が、L×M組のサンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の測定サンプルから得られたM組のサンプルデータ列を選択し選択されたM組のサンプルデータ列の中から測定データ列と良い相関を持った1組のサンプルデータ列を選定し選定されたサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定してもよい。
【0132】
演算手続が、N個の匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、
検量線特定機能F24が、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列が持つ長さデータ列と測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組のサンプルデータ列が持つ傾きデータ列と測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し、第一相関係数r1と第二相関係数r2との両方が1に近い値である長さデータ列と傾きデータ列とを持つ1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定してもよい。
例えば、検量線特定機能F24が、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列が持つ長さデータ列と測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組のサンプルデータ列が持つ傾きデータ列と測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数r2とを演算し、である第二相関係数とを乗算したM個の乗算値を算出し、以下の式でM個の乗算値Rを算出し、M個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さデータ列と傾きデータ列とを持つ1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定してもよい。

R= K × |r1| × |r2|

ここで、
|r1|は、r1の絶対値である、
|r2|は、r2の絶対値である。
Kは、r1の符号とr2の符号の少なくとも一方がマイナスのとき「−1」で、それ以外のときに「+1」となる係数である。
【0133】
検量線を特定する具体的事例は、本発明の実施形態である匂い弁別装置で説明した匂いグループを特定する手順と同じなので、説明を省略する。
【0134】
評価値導出機能F25は、特定された検量線を用いて測定対象の匂いを測定した匂いセンサの出力値に対応する匂い評価値を導き出す工程である。
検量線を用いて、N個の匂いセンサの内の特定の1個の匂いセンサの出力値に対応する匂い評価値を求めてもよい。
検量線を用いて、N個の匂いセンサの内の特定の2個の匂いセンサの出力値から導き出した臭香強度値に対応する匂い評価値を求めてもよい。
例えば、匂いセンサAと出力値Aと匂いセンサBの出力値Bとから臭香強度値を導き出し、選択したした検量線を用いて匂い評価値を求める。
例えば、検量線を用いて、臭香強度値から、匂い成分の濃度(ppm)または臭気指数を導き出す。
【0135】
計測結果出力機能F27は、導き出した匂い評価値を表示する。
表示部608に、求められた匂い評価値をグラフ表示または数値表示する。
【0136】
次に、本発明の実施形態に係る匂い弁別方法を、図を基に、説明する。
図10は、本発明の実施形態に係る匂い弁別方法の手順図である。
本発明の実施形態に係る匂い弁別方法は、匂いの質を分類した複数の匂いグループの中から測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別する方法である。
本発明の実施形態に係る匂い弁別方法は、匂いセンサ準備工程S11とサンプル記憶工程S12と測定データ生成工程S13と匂いグループ特定工程S14とで構成される。
【0137】
(匂いセンサ準備工程)
匂いセンサ準備工程S11は、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサを準備する工程である。
【0138】
(サンプル記憶工程)
サンプル記憶工程S12は、M組のサンプルデータ列をM個の匂いグループに各々関連づけて予め記憶する工程である。
M組のサンプルデータ列は、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に測定サンプルの匂いを測定したN個の匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列である
【0139】
(測定データ列生成工程)
測定データ列生成工程S13は、測定データ列を生成する工程である。
測定データ列は、測定対象の匂いを測定したN個の匂いセンサの出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列である
測定チャンバーに無臭ガス(無臭空気)を導入する。
匂いセンサA100aを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RAzを取り込む。
匂いセンサB100bを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RBzを取り込む。
匂いセンサC100cを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RCzを取り込む。
匂いセンサD100dを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RDzを取り込む。
測定チャンバー400に測定対象または測定サンプルを導入する。
匂いセンサA100aを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RA0を取り込む。
匂いセンサB100bを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RB0を取り込む。
匂いセンサC100cを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RC0を取り込む。
匂いセンサD100dを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RD0を取り込む。
匂い測定出力センサー抵抗RA0、RB0、RC0、RD0を匂い測定出力センサー抵抗RAz、RBz、RCz、RDzを用いてゼロ点補正する。
すなわち、以下の計算をする。
Va=a1×(RAz/RA0−1)又はVa=a2×log10(RAz/RA0)
Vb=b1×(RBz/RB0−1)又はVb=b2×log10(RBz/RB0)
Vc=c1×(RCz/RC0−1)又はVc=c2×log10(RCz/RC0)
Vd=d1×(RDz/RD0−1)又はVd=d2×log10(RDz/RD0)
Va、Vb、Vc、Vdは、匂いの強さに対応した出力値である。
出力値Va、Vb、Vc、Vdは、測定対象が無臭であるときに、0となり、匂いの強さが大きくなるにつれて大きな値となる。
【0140】
演算手順は、本発明の匂い弁別装置と匂い弁別プログラムで説明したものと同じなので、説明を省略する。
【0141】
(匂いグループ特定工程)
匂いグループ特定工程S14は、M組のサンプルデータ列の中から測定データ列と良い相関を持った1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定する工程である。
匂いグループ特定工程S14において、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列と測定データ列とを一対の標本列とするM個の相関係数を算出し、M個の相関係数のうちで最も値の大きな相関係数を算出した1組のサンプルデータ列を選定し選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定してもよい。
【0142】
サンプル記憶工程S12において、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に、測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に測定サンプルの匂いを測定したN個の匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続により生成したM組のサンプルデータ列をM個の匂いグループに各々関連づけて得られるL×M組のサンプルデータ列を記録し、
匂いグループ特定工程S14において、L×M組のサンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の測定サンプルから得られたM組のサンプルデータ列を選択し、選択されたM組のサンプルデータ列の中から測定データ列と良い相関を持った1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定してもよい。
【0143】
演算手続が、N個の匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、
匂いグループ特定工程において、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列が持つ長さデータ列と測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組のサンプルデータ列が持つ傾きデータ列と測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し、第一相関係数r1と第二相関係数r2との両方が1に近い値である長さデータ列と傾きデータ列とを持つ1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定してもよい。
例えば、匂いグループ特定工程において、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列が持つ長さデータ列と測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組のサンプルデータ列が持つ傾きデータ列と測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し、以下の式でM個の乗算値Rを算出し、M個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さデータ列と傾きデータ列とを持つ1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定してもよい。

R= K × |r1| × |r2|

ここで、
|r1|は、r1の絶対値である。
|r2|は、r2の絶対値である。
Kは、r1の符号とr2の符号の少なくとも一方がマイナスのとき「−1」で、それ以外のときに「+1」となる係数である。
【0144】
N個の匂いセンサの出力をもちいて、匂いグループを特定する具体的な手順の事例は、匂い弁別装置と匂い弁別プログラムで説明したものと同じなので、説明を省略する。
【0145】
次に、本発明の実施形態に係る匂い測定方法を、図を基に、説明する。
図11は、本発明の実施形態に係る匂い測定方法の手順図である。
本発明の実施形態に係る匂い測定方法は、測定対象の匂いの強さを評価するために定義された匂い評価値を決定するための方法であり、匂いセンサ準備工程S21と検量線記憶工程S22とサンプル記憶工程S23と測定データ列生成工程S24と検量線特定工程S25と評価値導出工程S26とで構成される。
【0146】
(匂いセンサ準備工程)
匂いセンサ準備工程S21は、匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサを準備する工程である。
匂いセンサAは、測定対象の匂いを測定し、匂いの強さに応じた出力値Vaを出力する。
匂いセンサBは、測定対象の匂いを測定し、匂いの強さに応じた出力値Vbを出力する。
匂いセンサCは、測定対象の匂いを測定し、匂いの強さに応じた出力値Vcを出力する。
匂いセンサDは、測定対象の匂いを測定し、匂いの強さに応じた出力値Vdを出力する。
【0147】
(検量線記憶工程)
検量線記憶工程S22は、匂いの質の異なるM個の測定サンプルの各々毎に、測定サンプルの匂いを測定した匂いセンサの出力値であるサンプル出力値と測定サンプルの匂い評価値であるサンプル匂い評価値との対応を表すM個の検量線を記憶する工程である。
検量線の説明は、匂い測定装置、匂い測定プログラムでの説明と同じなので、省略する。
【0148】
(サンプル記憶工程)
サンプル記憶工程S23は、M組のサンプルデータ列をM個の検量線に各々関連づけて予め記憶する工程である。
M組のサンプルデータ列は、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に測定サンプルの匂いを測定したN個の匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列である
【0149】
(測定データ列生成工程)
測定データ列生成工程S24は、測定対象の匂いを測定したN個の匂いセンサの出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列である測定データ列を生成する工程である。
測定チャンバーに無臭ガス(無臭空気)を導入する。
匂いセンサA100aを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RAzを取り込む。
匂いセンサB100bを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RBzを取り込む。
匂いセンサC100cを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RCzを取り込む。
匂いセンサD100dを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RDzを取り込む。
測定チャンバー400に測定対象を導入する。
匂いセンサA100aを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RA0を取り込む。
匂いセンサB100bを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RB0を取り込む。
匂いセンサC100cを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RC0を取り込む。
匂いセンサD100dを駆動し、匂い測定出力センサー抵抗RD0を取り込む。
匂い測定出力センサー抵抗RA0、RB0を匂い測定出力センサー抵抗RAz、RBzを用いてゼロ点補正する。
すなわち、以下の計算をする。
Va=a1×(RAz/RA0−1)又はVa=a2×log10(RAz/RA0)
Vb=b1×(RBz/RB0−1)又はVb=b2×log10(RBz/RB0)
Vc=c1×(RCz/RC0−1)又はVc=c2×log10(RCz/RC0)
Vd=d1×(RDz/RD0−1)又はVd=d2×log10(RDz/RD0)
Va、Vb、Vc、Vdは、匂いの強さに対応した出力値である。
出力値Va、Vb、Vc、Vdは、測定対象が無臭であるときに、0となり、匂いの強さが大きくなるにつれて大きな値となる。
【0150】
(検量線特定工程)
検量線特定工程S25は、M組のサンプルデータ列の中から測定データ列と良い相関を持った1組のサンプルデータ列を選定し選定されたサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定する工程である。
検量線特定工程S15において、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列と測定データ列とを一対の標本列とするM個の相関係数を算出し、M個の相関係数のうちで最も値の大きな相関係数を算出した1組のサンプルデータ列を選定し選定されたサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定してもよい。
【0151】
サンプル記憶工程S23において、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に測定サンプルの匂いを測定したN個の匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続により生成したM組のサンプルデータ列をM個の検量線に各々関連づけて得られるL×M組のサンプルデータ列を記録し、
検量線特定工程S25において、L×M組のサンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の測定サンプルから得られたM組のサンプルデータ列を選択し選択されたM組のサンプルデータ列の中から測定データ列と良い相関を持った1組のサンプルデータ列を選定し選定されたサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定してもよい。
【0152】
演算手続が、N個の匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、
匂いグループ特定工程において、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列が持つ長さデータ列と測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組のサンプルデータ列が持つ傾きデータ列と測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し、第一相関係数r1と第二相関係数r2との両方が1に近い値である長さデータ列と傾きデータ列とを持つ1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定してもよい。
【0153】
例えば、匂いグループ特定工程において、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列が持つ長さデータ列と測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組のサンプルデータ列が持つ傾きデータ列と測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し、以下の式でM個の乗算値Rを算出し、M個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さデータ列と傾きデータ列とを持つ1組のサンプルデータ列を選定し、選定されたサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定してもよい。

R= K × |r1| × |r2|

ここで、
|r1|は、r1の絶対値である。
|r2|は、r2の絶対値である。
Kは、r1の符号とr2の符号の少なくとも一方がマイナスのとき「−1」で、それ以外のときに「+1」となる係数である。
【0154】
(評価値導出工程)
評価値導出工程S26は、特定された検量線を用いて測定対象の匂いを測定した匂いセンサの出力値に対応する匂い評価値を導き出す工程である。
匂い評価値を導く具体的手順は、匂い測定装置、匂い測定プログラムで説明したものと同じである。
【0155】
以下に、上述の構成と方法により、匂いの質を弁別できることを、具体的なデータをもとに、説明する。
図12は、本発明の実施形態に係る匂い弁別方法の作用説明図その1である。図13は、本発明の実施形態に係る匂い弁別方法の作用説明図その2である。
5種類の測定対象S1、S2、S3、S4、S5の匂いを、4個の匂いセンサA、匂いセンサB、匂いセンサC、匂いセンサDで測定した。
測定対象の匂いグループは、S1がトルエン、S2がアンモニア、S3がキシレン、S4が硫化水素、S5がエタノールである。
【0156】
図12(A)は、5種類の測定対象(S1、S2、S3、S4、S5)を4個の匂いセンサで測定し、4個の匂いセンサの出力値から6個の匂いベクトルを作り、その匂いベクトルの長さから求めた臭香強度値を表示したグラフである。
匂いベクトルAB、AC、AD、BC、BD、CDの長さから得られた臭香強度値が、測定対象(S1、S2、S3、S4、S5)毎に折れ線で表される。
図12(B)は、5種類の測定対象を4個の匂いセンサで測定し、4個の匂いセンサの出力値から6個の匂いベクトルを作り、その匂いベクトルの傾きから求めた臭香値を表示したグラフである。
匂いベクトルAB、AC、AD、BC、BD、CDの長さから得られた臭香質値が、測定対象(S1、S2、S3、S4、S5)毎に折れ線で表される。
【0157】
図13(A)は、5種類の匂いグループの臭香強度値と5種類の匂いグループの臭香強度値とから算出した第一相関係数を5種類の匂いグループ毎に表したグラフである。
図13(B)は、5種類の匂いグループの臭香質値と5種類の匂いグループの臭香質値とから算出した第二相関係数を5種類の匂いグループ毎に表したグラフである。
図13(C)は、匂いグループ毎に第一相関係数と第二相関係数とを乗算した乗算値を表したグラフである。
図13(C)から、同一の匂いグループ同士の乗算値は当然に1となり、異なる匂いグループ同士の乗算値の多くは、0.2以下であり、大きくても0.6を上廻らないことが明らかである。
従って、匂いグループが未知の測定対象と匂いグループが既知の複数の測定サンプルをN個の匂いセンサで測定すると、本発明の匂い弁別方法で匂いを弁別できることが明らかである。
【実施例】
【0158】
以下に、未知の測定対象のい匂いを弁別する例を、図を基に、説明する。
図14は、本発明の実施例の説明図その1である。図15は、本発明の実施例の説明図その2である。図16は、本発明の実施例の説明図その3である。図17は、本発明の実施例の説明図その4である。
【0159】
図14は、5個の匂いグループに属する測定サンプルを感応特定の異なる4個の匂い
センサで測定して得た匂いベクトルの数値を表す表である。
ここで、M個の匂いグループは、トルエン、アンモニア、キシレン、硫化水素、エタノールである。
匂いセンサAは、分子量が比較的大きく揮発性の低い重質系の匂い分子に対して高い感度を持つ。重質系の匂い分子の代表例は、不飽和芳香族炭化水素化合物である。
匂いセンサBは、分子量が比較的小さく揮発性の高い軽質系の匂い分子に対して高い感度を持つ。軽質系の匂い分子の代表例は、アルコールである。
センサCとセンサDは、センサAとセンサBの中間の異なる分子量に高い感度をもつ。 臭香強度値と臭香質値とは、センサAとセンサBの出力値より算出される。
濃度は、予め濃度センサにより測定された値である。
臭気指数は、予め人間の感応試験により測定された値である。
希釈倍率は、希釈倍率1の測定サンプルを希釈した倍率である。
【0160】
図15(A)は、図13の出力値から演算して求められた希釈倍率毎の匂いベクトルの長さデータ列である。
図15(B)は、図13の力値値から演算して求められた希釈倍率毎の匂いベクトルの傾きデータ列である。
図15(C)は、図15(A)のデータを正規化して得られた希釈倍率毎の長さデータ列の正規化値である。
図15(D)は、図15(b)のデータを正規化して得られた希釈倍率毎の傾きデータ列の正規化値である。
【0161】
図16(A)は、匂いグループが未知の測定対象を4個の匂いセンサで測定して得たデータである。
図16(B)は、5組の匂いベクトルの長さデータ列である。
図16(C)は、5組の匂いベクトルの傾きデータ列である。
図16(D)は、5組の匂いベクトルの長さデータ列を正規化して得た正規化値である。
図16(E)は、5組の匂いベクトルの傾きデータ列を正規化して得た正規化値である。
【0162】
図17(A)は、匂いグループ毎の第一相関係数を示した表である。
図14のデータから測定対象の臭香強度値3298に近似する臭香強度値3395を持った測定サンプルを特定する。特定された測定サンプルの希釈倍率は3であった。希釈倍率が3である測定サンプルのデータ列の長さデータ列と測定対象の長さデータ列から匂いグループ毎の第一相関係数を演算している。
図17(B)は、匂いグループ毎の第二相関係数を示した表である。
希釈倍率が3である測定サンプルのデータ列の長さデータ列と測定対象の長さデータ列から匂いグループ毎の第一相関係数を演算している。
図17(A)と図17(B)とから、第一相関係数と第二相関係数の両方が1に近い値をもつのはトルエンであることから、測定対象がトルエンであると判定できる。
【0163】
また、 図17(C)は、匂いグループ毎の第一相関係数と第二相関係数の乗算値を示している。
図17(C)から、乗算値が最も大きいのはトルエンであることから、測定対象の匂いグループがトルエンであることが特定できる。
【0164】
サンプルデータ列に検量線を関連づけていれば、同様の手順により検量線を特定できる。
例えば、図14に示す匂いグループ毎のデータに示す臭香強度値と濃度と関係や、臭香強度値と臭気指数との関係を検量線として用いることもできる。
図18、図19は、検量線の具体例を示している。
検量線を特定できれば、臭香強度値から臭気成分の濃度や臭気指数といった公的な、客観的な匂い評価値を導くことができる。
【0165】
上述の実施形態の匂い測定装置と匂い測定方法と匂い測定用プログラムとを用いれば、以下の効果を発揮する。
以上説明したように本発明に係る匂いを弁別することのできる匂い弁別方法と匂い弁別プログラムと匂い弁別装置とは、その構成により、以下の効果を有する。
匂いの質に対して感応特定の異なるN個の匂いセンサを用意し、M個の測定サンプル毎にN個の匂いセンサで測定したN個の出力値を基礎として演算手続きにより導いたM組のサンプルデータ列を演算し、測定対象を測定したN個の出力値を基礎として測定データ列を演算し、M組のサンプルデータのうち測定データ列と良い相関を持つ1組のサンプルデータに関連づけられた匂いグループを特定する様にしたので、M組のサンプルデータ列がM組の測定サンプルのN個の匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象のN個の匂いセンサに与える影響を表しており、N個の匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組のサンプルデータ列を選定するので、そのサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
また、M個の測定サンプル毎に希釈率の異なるL個の測定サンプルからL×M組のサンプルデータ列を用意し、その中から匂いの強さの近似するM組のサンプルデータから1組のサンプルデータを選定する様にしたので、L個の希釈率の異なる測定サンプル毎にM組のサンプルデータ列がM組の匂いグループがN個の匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象がN個の匂いセンサに与える影響を表しており、匂いの強さの近似するM組の測定サンプルの内からN個の匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組のサンプルデータ列を選定するので、そのサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
また、演算手順においてN個の匂いセンサのn個を1組として組み合わせたC組の匂いセンサの集合を定め、C組の匂いセンサの出力値を要素とする匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を測定サンプルデータ列、または測定データ列とする様にしたので、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの向きが匂いの質に対応することが確かめられており、データ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さと匂いの質に対応する。
また、演算手順においてN個の匂いセンサの2個を1組として組み合わされたC組の匂いセンサの集合を定め、C組の匂いセンサの集合の2個の出力値を成分とする2軸座標系でのC組の匂いベクトルの長さと傾きとから夫々長さデータ列と傾きデータ列とを生成し、測定サンプルと測定対象との長さデータ列に関する第一相関係数r1と測定サンプルと測定対象との傾きデータ列に関する第二相関係数r2とを演算し、第一相関係数r1と第二相関係数r2の両方を用いて相関をチェックする様にしたので、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組のサンプルデータ列を選定するので、そのサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
また、上記の「第一相関係数r1と第二相関係数r2の両方を用いて相関をチェックする」のに替えて、第一相関係数r1と第二相関係数r2との乗算値を用いて相関をチェックする様にしたので、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組のサンプルデータ列を選定するので、そのサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
また、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列と測定データ列とを一対の標本列とするM個の相関係数を用いて相関をチェックする様にしたので、M個の相関係数が、M組のサンプルデータ列の各々のと測定データ列との相関を表しており、大きな相関係数をもつ1個の測定サンプルデータが1個の測定データに良い相関をもつので、そのサンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定し、測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別できる。
【0166】
以上説明したように本発明に係る匂い評価値を導きだすことのできる匂い測定方法と匂い測定プログラムと匂い測定装置は、その構成により、以下の効果を有する。
匂いの質に対して感応特定の異なるN個の匂いセンサを用意し、
M個の測定サンプル毎にN個の匂いセンサで測定したN個の出力値を基礎として演算手続きにより導いたM組のサンプルデータ列を演算し、測定対象を測定したN個の出力値を基礎として測定データ列を演算し、M組のサンプルデータのうち測定データ列と良い相関を持つ1組のサンプルデータに関連づけられた検量線を用いて匂い評価値を導く様にしたので、M組のサンプルデータ列がM組の測定サンプルのN個の匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象のN個の匂いセンサに与える影響を表しており、N個の匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組のサンプルデータ列を選定するので、そのサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定し、その検量線を用いて出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
また、M個の測定サンプル毎に希釈率の異なるL個の測定サンプルからL×M組のサンプルデータ列を用意し、その中から匂いの強さの近似するM組のサンプルデータから1組のサンプルデータを選定する様にしたので、
L個の希釈率の異なる測定サンプル毎にM組のサンプルデータ列がM組の匂いグループがN個の匂いセンサに与える影響を各々表しており、測定データ列が測定対象がN個の匂いセンサに与える影響を表しており、匂いの強さの近似するM組の測定サンプルの内からN個の匂いセンサに与える影響がその測定データ列に近い1組のサンプルデータ列を選定するので、そのサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定し、その検量線を用いて出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
また、演算手順においてN個の匂いセンサのn個を1組として組み合わせたC組の匂いセンサの集合を定め、C組の匂いセンサの出力値を要素とする匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を測定サンプルデータ列、または測定データ列とする様にしたので、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの向きが匂いの質に対応することが確かめられており、データ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さと匂いの質に対応する。
また、演算手順においてN個の匂いセンサの2個を1組として組み合わされたC組の匂いセンサの集合を定め、C組の匂いセンサの集合の2個の出力値を成分とする2軸座標系でのC組の匂いベクトルの長さと傾きとから夫々長さデータ列と傾きデータ列とを生成し、測定サンプルと測定対象との長さデータ列に関する第一相関係数と測定サンプルと測定対象との傾きデータ列に関する第二相関係数との両方を用いて相関をチェックする様にしたので、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組のサンプルデータ列を選定するので、そのサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定し、その検量線を用いて出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
また、上記の「測定サンプルと測定対象との長さデータ列に関する第一相関係数と測定サンプルと測定対象との傾きデータ列に関する第二相関係数との両方を用いて相関をチェックする」のに替えて、測定サンプルと測定対象との長さデータ列に関する第一相関係数と測定サンプルと測定対象との傾きデータ列に関する第二相関係数との乗算値を用いて相関をチェックする様にしたので、匂いベクトルの長さが匂いの強さに対応し、匂いベクトルの傾きが匂いの質に対応することが確かめられており、長さデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの強さに対応し、傾きデータ列を構成する数値が測定サンプルまたは測定対象の匂いの質に対応し、匂いの強さと匂いの質との両方に関して良い相関をもつ1組のサンプルデータ列を選定するので、そのサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定し、その検量線を用いて出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
また、M組のサンプルデータ列の各々毎に1組のサンプルデータ列と測定データ列とを一対の標本列とするM個の相関係数を用いて相関をチェックする様にしたので、M個の相関係数が、M組のサンプルデータ列の各々のと測定データ列との相関を表しており、大きな相関係数をもつ1個の測定サンプルデータが1個の測定データに良い相関をもつので、そのサンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定し、その検量線を用いて出力値を匂い評価値に換算し、測定対象の匂い評価値を導き出すことをできる。
【0167】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
匂い弁別装置と匂い測定装置を別の装置であるとして説明したが、これに限定されず、匂い弁別機能と匂い測定機能との両方を備えた匂い弁別・測定装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の実施形態に係る匂い弁別/測定装置の概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係る匂いセンサの概念図である。
【図3】本発明の実施形態に係る匂いセンサの感応特性図である。
【図4】本発明の実施形態に係るデータ処理部の概念図である。
【図5】本発明の実施形態に係る匂い弁別プログラムの機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る匂い測定プログラムの機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係る検量線の概念図その1である。
【図8】本発明の実施形態に係る匂いベクトルの概念図である。
【図9】本発明の実施形態に係る検量線の概念図その2である。
【図10】本発明の実施形態に係る匂い弁別方法の手順図である。
【図11】本発明の実施形態に係る匂い測定方法の手順図である。
【図12】本発明の実施形態に係る匂い弁別方法の作用説明図その1である。
【図13】本発明の実施形態に係る匂い弁別方法の作用説明図その2である。
【図14】本発明の実施例の説明図その1である。
【図15】本発明の実施例の説明図その2である。
【図16】本発明の実施例の説明図その3である。
【図17】本発明の実施例の説明図その4である。
【図18】本発明の実施形態にかかる検量線その1である。
【図19】本発明の実施形態にかかる検量線その2である。
【符号の説明】
【0169】
H 測定空間
F11 サンプル記憶機能
F12 測定データ生成機能
F13 匂いグループ特定機能
F14 匂い弁別結果出力機能
F21 検量線記憶機能
F22 サンプル記憶機能
F23 測定データ列生成機能
F24 検量線特定機能
F25 評価値導出機能
F26 測定結果出力機能
S10 匂い弁別方法
S11 匂いセンサ準備工程
S12 サンプル記憶工程
S13 測定データ列生成工程
S14 匂いグループ特定工程
S20 匂い測定方法
S21 匂いセンサ準備工程
S22 検量線記憶工程
S23 サンプル記憶工程
S24 測定データ列生成工程
S25 検量線選択工程
S26 評価値導出工程
P 検量線
10 匂い測定装置
20 パソコン
100 匂いセンサ
100a 匂いセンサA
100b 匂いセンサB
100c 匂いセンサC
100d 匂いセンサD
101 感応部
102 ヒータ
103 スイッチング素子
104 負荷抵抗
105 電源
106 ヒータ加熱パルス
107 匂い測定出力
200 気体供給手段
210 気体導入手段
211 試料吸込管
212 試料バルブ
213 試料導入管
300 無臭ガス供給手段
310 無臭ガス生成手段
320 無臭ガス導入手段
400 測定チャンバー
500 気体排出手段
501 気体排出管
502 排出バルブ
503 気体排出管
504 気体排出ポンプ
505 気体排出管
600 データ処理部
601 主制御部
602 パルス発生部
603 測定時間設定タイマー
604 インターフェース部
605 A/D変換部
606 データ記憶部
607 データ演算部
608 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
匂いの質を分類した複数の匂いグループの中から測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別する匂い弁別方法であって、
匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサを準備する匂いセンサ準備工程と、
M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列であるM組のサンプルデータ列をM個の前記匂いグループに各々関連づけて予め記憶するサンプル記憶工程と、
測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られるデータ列である測定データ列を生成する測定データ列生成工程と、
M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する匂いグループ特定工程と、
を備えることを特徴とする匂い弁別方法。
【請求項2】
前記サンプル記憶工程が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として前記演算手続により生成したM組の前記サンプルデータ列をM個の前記匂いグループに各々関連づけて得られるL×M組の前記サンプルデータ列を記録し、
前記匂いグループ特定工程が、L×M組の前記サンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の前記測定サンプルから得られたM組の前記サンプルデータ列を選択し選択されたM組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の匂い弁別方法
【請求項3】
前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルであるC個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を生成する手順である、
ことを特徴とする請求項1に記載の匂い弁別方法。
【請求項4】
前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、
前記匂いグループ特定工程が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し第一相関係数r1と第二相関係数r2との両方が1に近い値である長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の匂い弁別方法。
【請求項5】
前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、
前記匂いグループ特定工程が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し次式でM個の乗算値Rを算出しM個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定し、
R= K × |r1| × |r2|
ここで、
|r1|は、r1の絶対値であり、
|r2|は、r2の絶対値であり、
Kは、r1の符号とr2の符号の少なくとも一方がマイナスのとき「−1」で、それ以外のときに「+1」となる係数である、
ことを特徴とする請求項1に記載の匂い弁別方法。
【請求項6】
測定対象の匂いの強さを評価するために定義された匂い評価値を決定するための匂い測定方法であって、
匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサを準備する匂いセンサ準備工程と、
匂いの質の異なるM個の前記測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定した前記匂いセンサの前記出力値であるサンプル出力値と前記測定サンプルの匂い評価値であるサンプル匂い評価値との対応を表すM個の検量線を記憶する検量線記憶工程と、
M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列であるM組のサンプルデータ列をM個の前記検量線に各々関連づけて予め記憶するサンプル記憶工程と、
測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られるデータ列である測定データ列を生成する測定データ列生成工程と、
M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する検量線特定工程と、
特定された前記検量線を用いて測定対象の匂いを測定した前記匂いセンサの前記出力値に対応する匂い評価値を導き出す評価値導出工程と、
を備えることを特徴とする匂い測定方法。
【請求項7】
前記サンプル記憶工程が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として前記演算手続により生成したM組の前記サンプルデータ列をM個の前記検量線に各々関連づけて得られるL×M組の前記サンプルデータ列を記録し、
前記検量線特定工程が、L×M組の前記サンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の前記測定サンプルから得られたM組の前記サンプルデータ列を選択し選択されたM組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の匂い測定方法
【請求項8】
前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルであるC個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を生成する手順である、
ことを特徴とする請求項6に記載の匂い測定方法。
【請求項9】
前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、
前記検量線特定工程が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し前記第一相関係数r1と前記第二相関係数r2との両方が1に近い値である前記長さデータ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の匂い測定方法。
【請求項10】
前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、
前記検量線特定工程が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し次式でM個の乗算値Rを算出しM個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、
R= K × |r1| × |r2|
ここで、
|r1|は、r1の絶対値であり、
|r2|は、r2の絶対値であり、
Kは、r1の符号とr2の符号の少なくとも一方がマイナスのとき「−1」で、それ以外のときに「+1」となる係数である、
ことを特徴とする請求項6に記載の匂い測定方法。
【請求項11】
匂いの質を分類した複数の匂いグループの中から測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別する匂い弁別プログラムであって、
匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサを有する匂い弁別装置用のデータ処理部に、
M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列であるM組のサンプルデータ列をM個の前記匂いグループに各々関連づけて予め記憶するサンプル記憶工機能と、
測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られるデータ列である測定データ列を生成する測定データ列生成機能と、
M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する匂いグループ特定機能と、
を実行させることを特徴とする匂い弁別プログラム。
【請求項12】
前記サンプル記憶機能が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として前記演算手続により生成したM組の前記サンプルデータ列をM個の前記匂いグループに各々関連づけて得られるL×M組の前記サンプルデータ列を記録し、
前記匂いグループ特定機能が、L×M組の前記サンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の前記測定サンプルから得られたM組の前記サンプルデータ列を選択し選択されたM組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記匂いグループを特定する、
ことを特徴とする請求項10に記載の匂い弁別プログラム
【請求項13】
前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルであるC個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を生成する手順である、
ことを特徴とする請求項10に記載の匂い弁別プログラム。
【請求項14】
前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、
前記匂いグループ特定機能が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し第一相関係数r1と第二相関係数r2との両方が1に近い値である長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定する、
ことを特徴とする請求項10に記載の匂い弁別プログラム。
【請求項15】
前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、
前記匂いグループ特定機能が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し次式でM個の乗算値Rを算出しM個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた匂いグループを特定し、
R= K × |r1| × |r2|
ここで、
|r1|は、r1の絶対値であり、
|r2|は、r2の絶対値であり、
Kは、r1の符号とr2の符号の少なくとも一方がマイナスのとき「−1」で、それ以外のときに「+1」となる係数である、
ことを特徴とする請求項10に記載の匂い弁別プログラム。
【請求項16】
測定対象の匂いの強さを評価するために定義された匂い評価値を決定するための匂い測定プログラムであって、
匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサを有する匂い弁別測定置用のデータ処理部に、
匂いの質の異なるM個の前記測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定した前記匂いセンサの前記出力値であるサンプル出力値と前記測定サンプルの匂い評価値であるサンプル匂い評価値との対応を表すM個の検量線を記憶する検量線記憶機能と、
M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として演算手続きにより得られるデータ列であるM組のサンプルデータ列をM個の前記検量線に各々関連づけて予め記憶するサンプル記憶機能と、
測定対象の匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値を基礎として前記演算手続きにより得られるデータ列である測定データ列を生成する測定データ列生成工程と、
M組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する検量線特定機能と、
特定された前記検量線を用いて測定対象の匂いを測定した前記匂いセンサの前記出力値に対応する匂い評価値を導き出す評価値導出機能と、
を実行させることを特徴とする匂い測定プログラム。
【請求項17】
前記サンプル記憶機能が、M個の匂いグループに夫々に属するM個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルを異なる倍率で希釈したL個の測定サンプルの各々毎に前記測定サンプルの匂いを測定したN個の前記匂いセンサの出力値であるN個のサンプル出力値を基礎として前記演算手続により生成したM組の前記サンプルデータ列をM個の前記検量線に各々関連づけて得られるL×M組の前記サンプルデータ列を記録し、
前記検量線特定機能が、L×M組の前記サンプルデータ列の中から測定対象の匂いの強さに近似する匂いの強さをもつM個の前記測定サンプルから得られたM組の前記サンプルデータ列を選択し選択されたM組の前記サンプルデータ列の中から前記測定データ列と良い相関を持った1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定する、
ことを特徴とする請求項16に記載の匂い測定プログラム。
【請求項18】
前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中からn個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合のn個の出力値を要素とするベクトルであるC個の匂いベクトルを表す数値で構成されるデータ列を生成する手順である、
ことを特徴とする請求項16に記載の匂い測定プログラム。
【請求項19】
前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、
前記検量線特定機能が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し前記第一相関係数r1と前記第二相関係数r2との両方が1に近い値である前記長さデータ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた検量線を特定する、
ことを特徴とする請求項16に記載の匂い測定プログラム。
【請求項20】
前記演算手続が、N個の前記匂いセンサの中から2個を1組として組合わされたC組の前記匂いセンサの集合の2個の出力値を直交2軸座標系の直交する成分とするベクトルであるC個の匂いベクトルの各々の長さを要素とする長さデータ列とC個の前記匂いベクトルの各々の傾きを要素とする傾きデータ列とを持ったデータ列を生成する手順であり、
前記検量線特定機能が、M組の前記サンプルデータ列の各々毎に1組の前記サンプルデータ列が持つ長さデータ列と前記測定データ列が持つ長さデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第一相関係数r1と1組の前記サンプルデータ列が持つ傾きデータ列と前記測定データ列が持つ傾きデータ列とを一対の標本列とする相関係数である第二相関係数r2とを演算し次式でM個の乗算値Rを算出しM個の乗算値のうちで最も大きな乗算値を算出した長さ前記データ列と前記傾きデータ列とを持つ1組の前記サンプルデータ列を選定し選定された前記サンプルデータ列に関連づけられた前記検量線を特定し、
R= K × |r1| × |r2|
ここで、
|r1|は、r1の絶対値であり、
|r2|は、r2の絶対値であり、
Kは、r1の符号とr2の符号の少なくとも一方がマイナスのとき「−1」で、それ以外のときに「+1」となる係数である、
ことを特徴とする請求項16に記載の匂い測定プログラム。
【請求項21】
匂いの質を分類した複数の匂いグループの中から測定対象の匂いの質の属する匂いグループを弁別する匂い弁別装置であって、
匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサと、
請求項11に記載の匂い弁別プログラムを内蔵したデータ処理部と、
を備えたことを特徴とする匂い弁別装置
【請求項22】
測定対象の匂いの強さを評価するために定義された匂い評価値を決定するための匂い測定装置であって、
匂いの質に対して互いに異なる感応特性を持ち匂いの強さに応じた出力値を出力するN個の匂いセンサと、
請求項16に記載の匂い測定プログラムを内蔵したデータ処理部と、
を備えたことを特徴とする匂い測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−218704(P2007−218704A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38688(P2006−38688)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(599092309)株式会社双葉エレクトロニクス (5)
【Fターム(参考)】