説明

匂い測定装置と匂い測定方法

【課題】簡易な構成で、匂いの測定のスループットまたは精度を向上させ、または洗浄処理に要する標準空気の消費量を少なくすることのできる匂い測定装置と匂い測定方法とを提供しようとする。
【解決手段】従来の気体の匂いを測定する匂い測定装置にかわって、気体の匂いを感じることをできる感応部101をもつ匂いセンサ100と、気体を前記感応部101に供給することをできる気体供給手段200と、オゾンガスを前記感応部101に供給することをできるオゾンガス供給手段300と、を備えるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体の匂いを測定する匂い測定装置と匂い測定方法とに係る。特に匂いを測定する手順とその構造に特徴の有る匂い測定装置と匂い測定方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
気体の匂いを測定する匂い測定装置には、匂いセンサの形式により各種の形式のものがある。
匂いセンサの形式には、金属酸化物半導体を使用した匂いセンサ、合成被膜と水晶振動子とを組合わせた匂いセンサ、バイオセンサを用いた匂いセンサ等がある。
いずれも、測定対象の気体に含まれる匂い物質が感応部に付着して、匂いセンサの物理的特性や化学的特性や電気的特性が変化することに着目して、匂いを測定する。
匂いは、匂いの強さと匂いの種類とで特定される。気体の匂いの強さと匂いの種類とは、特定の気体の匂いをゼロ点として表現される。
一般に、特定の気体は、人間が感知できない程度の弱い匂いを有する空気(以下、無臭空気と呼ぶ。)である。
通例、無臭空気は、活性炭を通過させた空気または標準空気である。
標準空気は、窒素と酸素とを空気と同等の比率に混合して得られた人工空気である。
【0003】
例えば、金属酸化物半導体匂いセンサの作動原理を説明する。
金属酸化物半導体は、金属酸化物を素材としたものであり、例えば、酸化錫または酸化亜鉛に適切な酸化触媒を混入したn型半導体である。酸化触媒の種類や作動温度や多孔質焼結構造の細孔径等を適切に選定することにより、各種の匂いに対し希望する感応特性をもつ匂いセンサを得ることができる。
気体に含まれる匂い物質の大部分は、揮発性の還元性物質である。
この気体の臭いを臭いセンサで測定するには、以下の手順で行う。
初期状態において、標準空気等の無臭空気を匂いセンサの感応部に供給する。無臭空気に含まれる酸素が匂いセンサの感応部の表面を酸化して、その金属酸化物半導体の内部の電子を奪っている。金属酸化物半導体の内部での電子が不足するので、金属酸化物半導体は電気伝導度が低くなる。したがって、電気抵抗値が高くなる。
匂い物質が、匂いセンサの感応部に付着すると、匂い物質が感応部の表面の酸素に電子を供給するので、酸素が奪っていた電子が金属酸化物半導体に戻り、金属酸化物半導体の内部での電子が増加して電気伝導度が高くなる。したがって、電気抵抗値が低くなる。
この電気伝導度または電気抵抗値の変動を、電気的に検出して定量化し、匂い測定装置として利用する。
【0004】
例えば、臭い測定装置は、匂いセンサの感応部が露出している測定空間を備えている。。匂い測定装置は、大気とともに匂い物質をエアポンプで導管を通して吸引し、測定チャンバーの測定空間に導く。匂い物質を含む気体が匂いセンサの感応部に供給されて、上述の電子の移動が生じるので、匂いセンサで匂いを感じることができる。匂いセンサの出力を取り込んだ後、匂い物質を含んだガスを測定空間から排出する。
匂い物質の大部分が有機化学物質であるので、匂い物質が匂いセンサの感応部、導管、測定チャンバーの内面に付着する。特に、匂い物質は、感応部と電子を共有して強固に付着する。
1つの匂いサンプルを測定した後には、洗浄処理が必要である。仮に、洗浄処理を行なわないと、次の匂いサンプルを測定する際に感応部に付着した匂い物質が測定誤差の原因となる。
洗浄処理では、無臭空気を測定空間に導く。通例、数分〜十数分の間、洗浄処理を継続することで、匂いセンサの出力が初期状態に戻る。
洗浄処理に要する時間は、匂い物質の匂いの強さと匂いの種類による。例えば、苺やバニラに匂いはとれにくく、洗浄処理に、十数分の時間を要する。洗浄処理に時間を要すると、匂い測定のスループットが低下する。また、洗浄処理に十分な時間をとらないと、測定精度が向上しない。また特に標準空気は、人工的につくられているので、高価であり、その消費量を少なくしたいという要請があった。
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3074494号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、簡易な構成で、匂いの測定のスループットまたは精度を向上させ、または洗浄処理に要する標準空気の消費量を少なくすることのできる匂い測定装置と匂い測定方法とを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る気体の匂いを測定する匂い測定装置を、気体の匂いを感じることをできる感応部をもつ匂いセンサと、気体を前記感応部に供給することをできる気体供給手段と、オゾンガスを前記感応部に供給することをできるオゾンガス供給手段と、を備えるものとした。
【0008】
上記本発明の構成により、前記匂いセンサの感応部が気体の匂いを感じることをでき、
前記気体供給手段が気体を前記感応部に供給することをでき、前記オゾンガス供給手段がオゾンガスを前記感応部に供給することをできるので、気体を前記感応部に供給し気体に含まれた匂い物質が感応部に付着した後で、オゾンガスを前記感応部に供給すると、オゾンガスの酸化力が、感応部に付着した匂い物質の還元力を低下させ、匂い物質が感応部から離れやすくなり、また、匂いセンサの出力が初期状態へ戻る時間を短くすることをできる。
【0009】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定装置は、前記オゾンガス供給手段が、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応したオゾン濃度を持ったオゾンガスを供給する、
上記本発明の構成により、前記感応部へ供給されたオゾンガスのオゾン濃度が前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応するので、オゾンガスの酸化力を前記感応部に付着した匂い物質の量または種類に対して最適化して、匂いセンサの出力が初期状態に戻る時間を短くすることをできる。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る気体の匂いを測定する匂い測定装置を、気体の匂いを感じることをできる感応部を持った匂いセンサと、前記感応部が露出した測定空間を持った測定チャンバーと、気体を前記測定空間に導入する気体導入手段と、オゾンガスを生成するオゾンガス生成手段と、前記オゾンガスを前記測定空間へ導入するオゾンガス導入手段と、を備えるものとした。
【0011】
上記本発明の構成により、匂いセンサの感応部が気体の匂いを感じることをでき、前記感応部が測定チャンバーの測定空間に露出し、前記気体導入手段が気体を前記測定空間に導入し、オゾンガス生成手段がオゾンガスを生成し、オゾンガス導入手段がオゾンガスを前記測定チャンバーへ導入するので、気体を前記測定空間に導入し気体に含まれた匂い物質が測定空間の壁面と感応部に付着した後で、オゾンガスを前記測定空間に導入すると、オゾンガスの酸化力が、測定空間の壁面と感応部とに付着した匂い物質の還元力を低下させ、匂い物質が感応部から離れやすくなり、また、匂いセンサの出力が初期状態へ戻る時間を短くすることをできる。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る気体の匂いを測定する匂い測定装置を、気体の匂いを感じることをできる感応部を持った匂いセンサと、前記感応部が露出した測定空間を持った測定チャンバーと、気体を前記測定空間に導入する気体導入手段と、前記測定空間でオゾンを生成するオゾンガス生成手段と、を備えるものとした。
【0013】
上記本発明の構成により、匂いセンサの感応部が気体の匂いを感じることをでき、前記感応部が測定チャンバーの測定空間に露出し、前記気体導入手段が気体を前記測定空間に導入し、前記オゾンガス生成手段が前記測定空間でオゾンを生成するので、気体を前記測定空間に導入し気体に含まれた匂い物質が測定空間の壁面と感応部に付着した後で、オゾンガスを前記測定空間で生成すると、オゾンガスの酸化力が測定空間の壁面と感応部とに付着した匂い物質の還元力を低下させ、匂い物質が感応部から離れやすくなり、また、匂いセンサの出力が初期状態へ戻る時間を短くすることをできる。
【0014】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定装置は、前記オゾンガス生成手段が、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応したオゾン濃度を持ったオゾンガスを生成する、
上記本発明の構成により、生成されたオゾンガスのオゾン濃度が前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応するので、オゾンガスの酸化力を前記感応部に付着した匂い物質の量または匂いの種類に対して最適化して、匂いセンサの出力が初期状態に戻る時間を短くすることをできる。
【0015】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定装置は、前記オゾンガス生成手段が単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを持ったパルス状にオゾンを生成でき、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応して単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを決定する。
上記本発明の構成により、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応して単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを決定して、単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを持ったパルス状にオゾンを生成できるので、簡易な制御によりオゾンガスのオゾン濃度を調整して、オゾンガスの酸化力を前記感応部に付着した匂い物質の量または匂いの種類に対して最適化して、匂いセンサの出力が初期状態に戻る時間を短くすることをできる。
【0016】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定装置は、前記オゾンガス生成手段が、放電により酸素をオゾン化するオゾン化機器を有し、単位パルスの持続時間が前記放電の放電時間である。
上記本発明の構成により、オゾン化機器が放電により酸素をオゾン化し、単位パルスの持続時間が前記放電の放電時間であるので、放電時間を調整する簡易な構成で、オゾン濃度を調整できる。
【0017】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定装置は、前記匂いセンサが金属酸化物半導体センサであって、前記オゾン濃度が0.2ppmから1.00ppmまでの間の値から選択される。
上記本発明の構成により、前記匂いセンサが金属酸化物半導体センサであって、前記オゾン濃度が0.2ppm以上から1.00ppmの間の値から選択されるので、簡易な制御によりオゾンガスの酸化力が感応部に過剰に作用することを抑制して、匂いセンサの出力が初期状態へ戻る時間を短くすることをできる。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明に係る気体の匂いを測定する匂い測定方法を、気体の匂いを感じる感応部を持った匂いセンサを準備する準備工程と、気体を前記感応部に供給する気体供給工程と、オゾンガスを前記感応部に供給するオゾンガス供給工程と、を備えるものとした。
【0019】
上記本発明の構成により、匂いセンサの感応部が気体の匂いを感じることをでき、気体を前記感応部に供給し、オゾンガスを前記感応部に供給するので、気体を前記感応部に供給し気体に含まれた匂い物質が感応部に付着した後で、オゾンガスを前記感応部に供給すると、オゾンガスの酸化力が、感応部に付着した匂い物質の還元力を低下させ、匂い物質が感応部から離れやすくなり、また、匂いセンサの出力が初期状態へ戻る時間を短くすることをできる。
【0020】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定方法は、前記オゾンガス供給工程が、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応したオゾン濃度を持ったオゾンガスを供給する。
上記本発明の構成により、供給されたオゾンガスのオゾン濃度が前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応するので、オゾンガスの酸化力を前記感応部に付着した匂い物質の量または匂いの種類に対して最適化して、匂いセンサの出力が初期状態に戻る時間を短くすることをできる。
【0021】
上記目的を達成するため、本発明に係る気体の匂いを測定する匂い測定方法を、気体の匂いを感じる感応部を持った匂いセンサと前記感応部が露出した測定空間を持った測定チャンバーとを準備する準備工程と、気体を測定空間に導入する気体導入工程と、オゾンガスを生成するオゾンガス生成工程と、前記オゾンガスを前記測定空間へ導入するオゾンガス導入工程と、を備えるものとした。
【0022】
上記本発明の構成により、匂いセンサの感応部が気体の匂いを感じることをでき、前記感応部が測定チャンバーの測定空間の内部に露出し、気体を前記測定空間に導入し、オゾンガスを生成して前記測定空間へ導入するので、気体を前記測定空間に導入し気体に含まれた匂い物質が測定空間の壁面と感応部に付着した後で、オゾンガスを生成して前記測定空間に供給すると、オゾンガスの酸化力が、測定空間の壁面と感応部とに付着した匂い物質の還元力を低下させ、匂い物質が感応部から離れやすくなり、また、匂いセンサの出力が初期状態へ戻る時間を短くすることをできる。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明に係る気体の匂いを測定する匂い測定方法を、気体の匂いを感じる感応部を持った匂いセンサと前記感応部を内部に露出した測定空間を持った測定チャンバーとを準備する準備工程と、気体を前記測定空間に導入する気体導入工程と、前記測定空間でオゾンを生成するオゾンガス生成工程と、を備えるものとした。
【0024】
上記本発明の構成により、匂いセンサの感応部が気体の匂いを感じることをでき、前記感応部が測定チャンバーの測定空間に露出し、気体を前記測定空間に導入し、前記測定空間でオゾンを生成するので、気体を前記測定空間に導入し気体に含まれた匂い物質が測定空間の壁面と感応部に付着した後で、オゾンガスを前記測定空間で生成すると、オゾンガスの酸化力が測定空間の壁面と感応部とに付着した匂い物質の還元力を低下させ、匂い物質が感応部から離れやすくなり、また、匂いセンサの出力が初期状態へ戻る時間を短くすることをできる。
【0025】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定方法は、前記オゾンガス生成工程が、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応したオゾン濃度を持ったオゾンガスを生成する。
上記本発明の構成により、生成されたオゾンガスのオゾン濃度が前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応するので、オゾンガスの酸化力を前記感応部に付着した匂い物質の量または種類に対して最適化して、匂いセンサの出力が初期状態に戻る時間を短くすることをできる。
【0026】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定方法は、前記オゾンガス生成工程が単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを持ったパルス状にオゾンを生成でき、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応して単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを決定する。
上記本発明の構成により、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応して単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを決定して、単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを持ったパルス状にオゾンを生成できるので、簡易な制御によりオゾンガスのオゾン濃度を調整して、オゾンガスの酸化力を前記感応部に付着した匂い物質の量または種類に対して最適化して、匂いセンサの出力が初期状態に戻る時間を短くすることをできる。
【0027】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定方法は、前記オゾンガス生成工程が、放電により酸素をオゾン化し、単位パルスの持続時間が放電の放電時間である。
上記本発明の構成により、放電により酸素をオゾン化し、単位パルスの持続時間が前記放電の放電時間であるので、放電時間を調整する簡易な構成で、オゾン濃度を調整できる。
【0028】
さらに、本発明の実施形態に係る匂い測定方法は、前記匂いセンサが金属酸化物半導体センサであって、前記オゾン濃度が0.2ppmから1.00ppmまでの間の値から選択される。
上記本発明の構成により、前記匂いセンサが金属酸化物半導体センサであって、前記オゾン濃度が0.2ppmから1.00ppmまでの間の値から選択されるので、簡易な制御によりオゾンガスの酸化力が感応部に過剰に作用することを抑制して匂いセンサの出力が初期状態へ戻る時間を短くすることをできる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明に係る気体の匂いを測定する匂い測定装置と匂い測定方法は、その構成により、以下の効果を有する。
匂いを感じる感応部をもった匂いセンサを用意し、気体を感応部に供給でき、オゾンガスを感応部に供給できる様にしたので、気体を前記感応部に供給し気体に含まれた匂い物質が感応部に付着した後で、オゾンガスを前記感応部に供給すると、オゾンガスの酸化力が、感応部に付着した匂い物質の還元力を低下させ、匂い物質が感応部から離れやすくなり、また、匂いセンサの出力が初期状態へ戻る時間を短くすることをできる。
さらに、供給されたオゾンガスのオゾン濃度が前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応するので、オゾンガスの酸化力を前記感応部に付着した匂い物質の量または種類に対して最適化して、匂いセンサの出力が初期状態に戻る時間を短くすることをできる。
また、匂いを感じる感応部をもった匂いセンサを用意し、感応部を測定チャンバーの測定空間に露出させ、気体を測定空間に導入して、オゾンガスを測定空間に導入できる様にしたので、気体を前記測定空間に導入し気体に含まれた匂い物質が測定空間の壁面と感応部に付着した後で、オゾンガスを前記測定空間に供給すると、オゾンガスの酸化力が、測定空間の壁面と感応部とに付着した匂い物質の還元力を低下させ、匂い物質が感応部から離れやすくなり、また、匂いセンサの出力が初期状態へ戻る時間を短くすることをできる。
また、匂いを感じる感応部をもった匂いセンサを用意し、感応部を測定チャンバーの測定空間の内部に露出させ、気体を測定空間に導入し、前記測定空間でオゾンを生成できる様にしたので、気体を前記測定空間に導入し気体に含まれた匂い物質が測定空間の壁面と感応部に付着した後で、オゾンガスを前記測定空間に生成すると、オゾンガスの酸化力が測定空間の壁面と感応部とに付着した匂い物質の還元力を低下させ、匂い物質が感応部から離れやすくなり、また、匂いセンサの出力が初期状態へ戻る時間を短くすることをできる。
また、生成されたオゾンガスのオゾン濃度が前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応するので、オゾンガスの酸化力を前記感応部に付着した匂い物質の量または種類に対して最適化して、匂いセンサの出力が初期状態に戻る時間を短くすることをできる。
また、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応して単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを決定して、単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを持ったパルス状にオゾンを生成できるので、簡易な制御によりオゾンガスのオゾン濃度を調整して、オゾンガスの酸化力を最適化することをできる。
また、放電により酸素をオゾン化し、単位パルスの持続時間が前記放電の放電時間であるので、放電時間を調整する簡易な構成で、オゾン濃度を調整できる。
また、前記匂いセンサが金属酸化物半導体センサであって、前記オゾン濃度が0.2ppmから1.00ppmまでの間の値から選択されるので、簡易な制御によりオゾンガスの酸化力が感応部に過剰に作用することを抑制して匂いセンサの出力が初期状態へ戻る時間を短くすることをできる。
従って、簡易な構成で、匂いの測定のスループットまたは精度を向上させ、または洗浄処理に要する標準空気の消費量を少なくすることのできる匂い測定装置と匂い測定方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0031】
最初に、本発明の第一の実施形態に係る匂い測定装置10を、図を基に、説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る匂い測定装置の概念図である。
以下では、匂い測定装置が測定チャンバーを備える場合を例にして、説明する。
【0032】
匂い測定装置10は、気体の匂いを測定する装置であって、匂いセンサ100と気体供給手段200とオゾンガス供給手段300と測定チャンバー400と気体排出手段500とデータ処理部600とで構成される。
【0033】
匂いセンサ100は、気体の匂いを感じることをできる感応部をもつセンサである。感応部は、例えば、金属酸化物半導体で構成される。匂い物質が感応部に付着すると、感応部の電気的特定が匂い物質の量と種類により変化する。
電気的特性と匂い物質の量と種類との相関関係の異なる複数の匂いセンサを持つのが好ましい。例えば、1つの匂いセンサ100aは分子量の大きな匂い物質に対して電気的特性の変動が大きく、他の1つの匂いセンサ100bは、分子量の小さな匂い物質に対して電気的特性の変動が大きい。
2つの匂いセンサ100a、100bの匂い測定出力の組み合わせから、匂い物質の量と匂い物質の種類を特定することができる。
後段で、匂いセンサ100の構造を詳述する。
【0034】
測定チャンバー400は、密閉可能な測定空間Hを持つ容器状装置である。匂いセンサ100の感応部101が、測定空間Hに露出している。したがって、匂い物質の混ざった気体を測定空間Hに導入すると、気体が感応部に供給されて、匂い物質が感応部に付着する。
【0035】
気体供給手段200は、気体を感応部に供給することをできる装置である。
例えば、測定チャンバー400が匂い測定装置に設けられる場合、気体供給手段200は気体導入手段210で構成される。
気体導入手段210は、気体を測定空間Hに導入する手段であり、試料吸込管211と試料バルブ212と試料導入管213とで構成される。
試料吸込管211は、外部と試料バルブ212とを連通する配管である。配管は、匂い物質の付着しにくい素材(例えば、PTFE製チューブ)で出来ている。
試料バルブ212は開閉可能な弁である。例えは、試料バルブ212は、電気信号のオン信号またはオフ信号に従って、通路を開状態または閉状態にすることをできる。
試料導入管213は、試料バルブ212と測定チャンバー400を連通する配管である。
従って、オン信号を試料バルブ212に与えると、試料バルブ212が開状態になり、外部から試料を測定空間Hに導入可能になる。オフ信号を試料バルブ212に与えると、試料バルブ212が閉状態になり、外部から試料を測定空間Hに導入不能になる。
【0036】
オゾンガス供給手段300は、オゾンガスを感応部に供給することをできる装置である。
例えば、測定チャンバーが匂い測定装置に設けられる場合、オゾンガス供給手段300はオゾンガス生成手段310とオゾンガス導入手段320とで構成される。
オゾンガス導入手段320は、オゾンガスを測定空間Hに導入する装置であり、洗浄吸込管321と洗浄バルブ322と洗浄導入管323とで構成される。
洗浄吸入管321は、オゾンガス生成手段310と洗浄バルブ322とを連通する配管である。
洗浄バルブ322は、開閉可能な弁である。例えは、洗浄バルブ322は、電気信号のオン信号またはオフ信号に従って、通路を開状態または閉状態にすることをできる。
洗浄導入管323は、洗浄バルブ322と測定チャンバー400とを連通する配管である。
従って、オン信号を洗浄バルブ322に与えると、洗浄バルブ322が開状態になり、オゾンガスを測定空間Hへ導入可能になる。オフ信号を洗浄バルブ322に与えると、洗浄バルブ322が閉状態になり、オゾンガスを測定空間Hへ導入不能になる。
オゾンガス生成手段310は、オゾンガスを生成する装置である。
後段で、オゾンガス生成手段310の構造を詳述する。
【0037】
気体排出手段500は、測定チャンバー400から気体を排出する装置であり、気体排出管501、503、505と排出バルブ502と気体排出ポンプ504とで構成される。
気体排出管501は、測定チャンバー400と排出バルブ502とを連通する配管である。
排出バルブ502は、開閉可能な弁である。例えは、排出バルブ502は、電気信号のオン信号またはオフ信号に従って、通路を開状態または閉状態にすることをできる。
気体排出管503は、排出バルブ502と気体排出ポンプ504の入口とを連通する配管である。
気体排出ポンプ504は、測定空間Hから気体を排出するポンプである。例えば、ポンプは、ファン、ブロア、ダイヤフラムポンプ等である。
気体排出管501は、気体排出ポンプ504の出口と外部とを連通する配管である。
従って、排出バルブ502にオン信号を与えて、気体排出ポンプ504を駆動すると、測定空間Hの気体が外部へ排出される。
【0038】
データ処理部600は、匂いセンサ100、気体供給手段200、オゾンガス供給手段300、及び気体排出手段500を制御して、気体の匂いを測定し、データ処理する装置である。
後段で、データ処理部600の構成を詳述する。
【0039】
次に、本発明の第二の実施形態に係る匂い測定装置10を、図を基に、説明する。
図2は、本発明の第二の実施形態に係る匂い測定装置の概念図である。
【0040】
匂い測定装置10は、気体の匂いを測定する装置であって、匂いセンサ100と気体供給手段200とオゾンガス供給手段300と測定チャンバー400と気体排出手段500とデータ処理部600とで構成される。
匂いセンサ100と気体供給手段200と測定チャンバー400と気体排出手段500とデータ処理部600の構成は、第一の実施形態に係る匂い測定装置のものの構成と同じなので、説明を省略する。
オゾンガス供給手段300は、オゾンガスを感応部に供給することをできる装置である。
例えば、匂い測定装置が測定チャンバーを設けられる場合、オゾンガス供給手段300はオゾンガス生成手段310と洗浄ガス導入手段320とで構成される。
洗浄ガス導入手段320の構造は、第一の実施形態に係る匂い測定装置10のオゾンガス導入手段320の構造と同じなので、説明を省略する。
オゾンガス生成手段310は、測定空間Hでオゾンを生成する装置である。オゾンガス生成手段310は、測定空間Hの中の酸素をオゾン化する。
後段で、オゾンガス生成手段310の構成を詳述する。
【0041】
以下に、本発明の実施形態に係る匂いセンサ100の構造を、図を基に説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る匂いセンサの概念図である。
匂いセンサ100は、気体の匂いを感じることをできる感応部をもつセンサであり、感応部101とヒータ102とスイッチング素子103と負荷抵抗104と電源105とで構成される。
匂い測定装置10は、複数の匂いセンサ100を有するのが好ましい。例えば、2個の匂いセンサは、匂いセンサ100a、匂いセンサ100bと呼称する。
【0042】
感応部101は、気体の匂いを感じることをできる部分である。
感応部101は、例えば、触媒が添加された金属酸化物半導体でできたものである。素材の種類、触媒の種類、構造等によって、匂いを構成する匂い分子に対する感度に大きな差が生じる。
複数の匂いセンサ100a、100bの感応部101の匂い分子に対する感度に差を設けるのが好ましい。
例えば、匂いセンサ100aの感応部101は、分子量が比較的大きく揮発性の低い重質系の匂い分子に対して高い感度を持つ。重質系の匂い分子の代表例は、不飽和芳香族炭化水素化合物である。
例えば、匂いセンサ100bの感応部101は、分子量が比較的小さく揮発性の高い軽質系の匂い分子に対して高い感度を持つ。軽質系の匂い分子の代表例は、アルコールである。
【0043】
ヒータ102は、感応部101を加熱するものであり、例えが、白金薄膜である。
感応部101とヒータ102は、一体構造をしている。ヒータ102は、通電されて発熱し、感応部101を所定の温度に加熱することができる。例えば感応部101が金属酸化物半導体である場合、所定の温度は約400℃である。この様にすると、感応部101が周囲温度変化や水分の存在により影響をうけることが少なくなり、匂いセンサの感度の低下を防止できる。また、感応部101に付着した匂い分子を洗浄空気で洗浄除去するのが容易になる。
ヒータ102は、パルス電流を印加されて、発熱するのが好ましい。
【0044】
スイッチング素子103は、ヒータ102に電流を供給するための電子素子である。スイッチング素子103は、パルス状のヒータ加熱パルス106を入力され、ヒータ102にパルス状の電流を供給する。
ヒータ加熱パルス106は、入力抵抗を介して、スイッチング素子に入力されるのが好ましい。
【0045】
負荷抵抗104は、感応部101に直列接続された抵抗回路である。負荷抵抗104は、抵抗素子で構成された回路でもよいし、抵抗素子とコンデンサとが並列接続された回路でもよい。
【0046】
電源105が、感応部101とヒータ102とに電流を供給する。
匂い測定出力107が、感応部101と負荷抵抗104との接続点から出力する。
【0047】
揮発性の還元性化学物質である匂い物質が感応部101に付着すると、感応部101の酸素に電子を供給する。感応部101の酸素が増加するために、感応部の電気伝導度が高くなる。
複数の匂いセンサ100a、100bの匂い測定出力Vccをモニタすると、匂い物質の量と種類とを測定することができる。
【0048】
以下に、2つの匂いセンサの匂い測定出力Vccを用いて、匂いの強さと匂いの種類を測定する方法を、図を基に、説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る匂い出力のベクトル図である。
図中において、
Aоは、匂いセンサ100aの出力値Vccである。
Azは、匂いセンサ100aの校正値Vccである。
Bоは、匂いセンサ100bの出力値Vccである。
Bzは、匂いセンサ100bの校正値Vccである。
出力値Aо、Bоは、ガスを感応部に供給した際の、匂い測定出力Vccである。
校正値Az、Bzは、無臭空気を感応部に供給した際の、匂い測定出力Vccである。
ベクトル図は、重質系に感度の高い匂いセンサ100aの出力値Vccを校正値Vccで校正した値(Aо−Az)をX軸の要素とし、軽質系に感度の高い匂いセンサ100bの出力値Vccを校正値Vccで校正した値(Bо−Bz)をY軸の要素としたときに得られるベクトルを表示した直交座標系である。このベクトルを匂いベクトルと呼称する。
図4は、軽質系の匂い成分が重質系の匂い成分より多い匂い1を表す匂いベクトルと重質系の匂い成分が軽質系の匂い成分より多い匂い2を表す匂いベクトルとを示している。
このベクトル図において、匂いベクトルの長さを「匂いの強さ」と呼び、匂いベクトルの傾きまたは向きを「匂いの種類」を表す「香質」と呼ぶ。
この「匂いの強さ」と「香質」とが匂いの強さと匂いの種類に対する相関が、人間の感度に近似していることが、実験により確かめられている。
【0049】
以下に、本発明の実施形態に係るデータ処理部600を詳述する。
図5は、本発明の実施形態に係るデータ処理部の概念図である。
データ処理部600は、主制御部601とパルス発生部602と測定時間設定タイマー603とインターフェース部604とA/D変換部605とデータ記憶部606とデータ演算部607と表示部608とで構成される。
主制御部601は、内蔵する制御プログラムに従って作動し、パルス発生部602と測定時間設定タイマー603とインターフェース部604とA/D変換部605とデータ記憶部606とデータ演算部607と表示部608とを制御する。
パルス発生部602は、所定の周期とパルス数を有するパルス制御信号を発生し、各匂いセンサ100a、100bのスイッチング素子103に供給する部分である。所定の周期とパルス数は、ヒータ102の加熱温度に応じて設定される。
測定時間設定タイマー603は、主制御部601に測定の為のタイミング信号を出力する。
インターフェース部604は、主制御部601からの信号またはデータを外部へ出力し、外部からの信号またはデータを主制御部601に取り込むための入出力部である。インターフェース部604は、例えば、外部のパソコンやオゾンガス生成手段310に繋がる。匂いセンサ100a、100bの匂い測定出力の時間変化のデータ、匂いの強度と匂いの種類の測定結果は、インターフェース部604を介して外部のパソコン20に転送される。
A/D変換部605は、各匂いセンサ100a、100bからの匂い測定出力を所定のタイミングで取り込み、アナログ/デジタル変換し、デジタルデータを主制御部601へ送る。
データ記憶部606は、主制御部601からの指定に従って、匂い測定出力を記憶する機器である。
データ演算部607は、データ記憶部606に記録された匂い測定データを取り込み、上述した匂いベクトルを演算し、データ記憶部606に保存する。
表示部608は、データ記録部606に記録された匂いの強度及び匂いの種類を必要に応じて表示する機器である。表示部608は、測定対象の匂いに対応した匂いベクトルを表示し、匂いベクトルの長さと傾きからそれぞれの匂いの強さと匂いの種類を時系列にモニターすることができる。
【0050】
以下に、本発明の実施形態に係るオゾンガス生成手段310を、図を基に、説明する。
図6は、本発明の実施形態に係るオゾン生成装置の概念図である。
以下では、本発明の第一の実施形態にかかる匂い測定装置に用いるオゾンガス生成装置を例に説明する。
本発明の第二の実施形態にかかる匂い測定装置に用いるオゾンガス生成装置では、後述するオゾナイザが測定チャンバー400に設けられた点を除き、同じ構造を有する。
オゾンガス生成手段310は、オゾナイザ311とオンパルス発生回路312と制御回路313と計数回路314とデコーダ部315と通信インターフェース回路316と電源回路317とオゾンチャンバー318とで構成される。
【0051】
オゾナイザ311は、オンパルス信号に応じて電極間で無声放電をして、酸素をオゾン化する電子機器である。オゾナイザ311の1対の電極がオゾンチャンバ318の内部空間に露出する。1対の電極の間で無声放電をすると、オゾンチャンバ318の中の空気中の酸素の一部がオゾン化する。
オンパルス発生回路312は、制御回路313からの制御信号に応じて、所定の長さのオンパルス信号を出力し、オゾナイザ311に供給する回路である。
制御装置313は、外部コンピュータ20からの指令信号に従い、オンパルス発生回路312を制御して、所定の長さを持ったパルスを発生させる装置である。
計数回路314は、計数をカウントする回路である。一般には、初期状態で与えられた数を所定のタイミング信号にしたがって減算し、結果を出力する回路である。
デコーダ部315は、通信インターフェース回路316を介して、外部コンピュータ20から与えられた指令信号を解読して、解読した指令信号を制御回路へ送る回路である。
通信インターフェース回路316は、外部コンピュータ20と通信をするための入出力回路である。
電源回路317は、オゾナイザ311に電源を供給する回路である。
オゾンチャンバー318は、無臭空気を通過可能な内部空間をもった容器である。
【0052】
図7は、本発明の実施形態に係るオンパルス信号の概念図である。
オンパルス発生回路312が出力するオンパルス信号は、オン信号とオフ信号とが直列に列なっている。オン時間T1は、オン信号の継続時間である。オフ時間T2は、オフ信号の継続時間である。
オン信号を受信すると、オゾナイザ311は1対の電極の間で無声放電を続ける。
オフ信号を受けると、オゾナイザ311は無声放電を停止する。
【0053】
以下に、オゾンガス生成装置310の作動を、図を基に、説明する。
図8は、本発明の実施形態に係るオゾン生成装置の作用図である。
図9は、本発明の実施形態に係るオゾン生成装置のタイムチャート図である。
制御回路313が、洗浄指令を受け取る。洗浄指令を、パルス幅の指令とパルス数の指令にデコードする。
パルス幅の指令を、予め定められえた所定のパルス幅のどれに相当するか決定する。
例えば、300msec、500msec、1sec、または2secの中から選択する。決定したパルス幅をオンパルス発生回路312にセットする。
パルス数が予め定められた所定のパルス数のどれに相当するかを決定する。
例えば、1パルス、2パルス、3パルス、4パルルの中から選択する。
決定したパルス数を計数回路314にセットする。
オンパルス発生回路312が、セットされたパルス幅に従ってオンパルス信号をオゾナイザ311に出力する。
オゾナイザ311がオンパルス信号に従って、1対の電極の間で無声放電する。
計数回路314が、オンパルス信号を出力する度に、セットされた計数を減算し、ゼロになると、オンパルス信号の出力を停止する。
オゾンチャンバー318の中の空気中の酸素の一部がオゾン化され、パスル幅とパルス数に対応したオゾン濃度のオゾンガスが生成される。
パルス幅が長くなると、オゾン濃度が大きくなる。
パルス数が多くなると、オゾン濃度が大きくなる。
【0054】
匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応したオゾン濃度を持ったオゾンガスを導入するのが好ましい。
例えば、匂いセンサの匂い測定出力が校正値に復帰する時間が短くなる最適のオゾン濃度を試験により予め求めて、匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせとオゾン濃度の対応表を作成し、その対応表をデータ処理部600のデータ記憶部606に記憶する。オゾンを生成する際は、その対応表から最適のオゾン濃度を読み出し、オゾンガスを生成する。
また、匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応した単パルスの持続時間Tとパルス数Nとをもったパルスでオゾンを生成するのが好ましい。
例えば、匂いセンサの匂い測定出力が校正値に復帰する時間が短くなる最適の単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを試験により予め求めて、匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせと単パルスの持続時間Tとパルス数Nとの対応表を作成し、その対応表をデータ処理部600のデータ記憶部606に記憶する。オゾンを生成する際は、その対応表から最適の単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを読み出し、オゾンガスを生成する。
特に、前記オゾンガス生成手段が、無声放電により酸素をオゾン化するオゾン化機器を有する場合、単位パルスの持続時間が前記無声放電の放電時間であるのが好ましい。
また特に、匂いセンサが金属酸化物半導体センサである場合に、前記オゾン濃度が0.2ppmから1.00ppmまでの間の値から選択されるのが好ましい。
【0055】
図9は、オゾンガス生成手段が洗浄指令を受け取った場合のタイムチャートを示す。
洗浄指令:洗浄指令を外部コンピュータからを受けとる。
命令解読:洗浄指令を解読して、パルス幅とパルス数(2パルス)を読みとる。
オンパルス発生:パルス幅に対応した幅のオンパルス信号を発生する。
オゾン発生:オンパルス信号に応じた時間だけ無声放電をおこない、空気中の酸素の一部をオゾン化する。
オンパルス発生:パルス幅に対応した幅のオンパルス信号を発生する。
オゾン発生:オンパルス信号に応じた時間だけ無声放電をおこない、空気中の酸素の一部をオゾン化する。
【0056】
次に、本発明の第一実施形態に係る匂い測定方法を、図を基に、説明する。
図10は、本発明の第一実施形態に係る匂い測定方法の手順図である。
匂い測定方法S10は、気体の匂いを測定する方法であって、準備工程S11と無臭空気供給工程S12と校正値取込工程S13と気体供給工程S14と匂いデータ取込工程S15とオゾンガス供給工程S16と校正値復帰確認工程S17とで構成される。
【0057】
(準備工程)
準備工程S11は、気体の匂いを感じる感応部を持った匂いセンサを用意する工程である。
【0058】
(無臭空気供給工程)
無臭空気供給工程S12は、無臭空気を感応部に供給する工程である。
無臭空気は、大気を活性炭に通過させたもの、または標準空気である。
無臭空気の酸素が感応部に付着する。
付着した酸素が感応部を酸化して、感応部である金属酸化物半導体の中の電子を奪い、電気伝導度が低い状態になる。
時間が経過すると、匂いセンサの匂い測定出力が所定の値に安定する。
【0059】
(校正値取込工程)
校正値取込工程S13は、匂いセンサの校正値を取り込む工程である。
匂いセンサの出力である匂い測定出力をモニタして、匂い測定出力が安定するのを待つ。例えば、匂い測定出力が所定の時間を経過する間に所定の値の幅を越えないばあい、匂い測定出力が安定したと判定する。例えば、所定の幅は、予測される校正値の±10%以内である。
匂い測定出力が安定したと判断すると、匂い測定出力を校正値Az、Bzとして記憶する。
【0060】
(気体供給工程)
気体供給工程S14は、気体を感応部に供給する工程である。
気体を感応部に供給すると、気体の中の匂い物質が感応部に付着する。
通常の匂い物質は、揮発性の還元性化学物質であるので、感応部の酸素に電子を供給する。電子を供給されるので、金属酸化物半導体の中で電子が増加して、感応部の電気伝導度が高くなる。
また、匂い物質と感応部とが電子を共有する現象が生じ、いわゆる電子共有結合により匂い物質が感応部に付着する。
時間が経過すると、匂いセンサの匂い測定出力が所定の値に安定する。
【0061】
(匂いデータ取込工程)
匂いデータ取込工程S15は、気体の匂いの強さと匂いの種類を取込む工程である。
匂いセンサの出力である匂い測定出力をモニタして、匂い測定出力が安定するのを待つ。例えば、匂い測定出力が所定の時間を経過する間に所定の値の幅を越えないばあい、匂い測定出力が安定したと判定する。
匂い測定出力が安定したと判定すると、匂い測定データAо、Bоを取込む。
匂い測定データを校正値により補正し、前述したデータ処理をおこない、匂いベクトル(Aо−Az、Bо−Bz)を記憶する。
【0062】
(オゾンガス供給工程)
オゾンガス供給工程S16は、オゾンガスを感応部に供給する工程である。
オゾンガスを感応部に供給すると、酸素よりも強力なオゾンの酸化作用によって、感応部の酸素から電子を奪う。感応部の電子が不足して電気伝導度が急速に低下する。
また。オゾンガスの酸化作用が、匂い物質の還元性を低下させるので、匂い物質が感応部から離れやすくなる。
匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応したオゾン濃度を持ったオゾンガスを供給するのが好ましい。
匂いセンサが金属酸化物半導体センサである場合に、前記オゾン濃度が0.2ppmから1.00ppmまでの間の値から選択されるのが好ましい。
時間が経過すると、匂いセンサの匂い測定出力が所定の値に安定する。
【0063】
(校正値復帰確認工程)
校正値復帰確認工程S17は、匂いセンサの匂い測定出力が校正値に復帰し、または出力が安定したことを確認する工程である。
匂いセンサの出力である匂い測定出力をモニタして、匂い測定出力が安定するのを待つ。例えば、匂い測定出力が所定の時間を経過する間に所定の値の幅を越えないばあい、匂い測定出力が安定したと判定する。
匂い測定出力が安定したと判定すると、匂い測定出力が校正値に復帰したと判断する。安定した匂い測定出力が校正値Az、Bzと異なるときは、匂い測定出力を新たな校正値Az、Bzとする。
校正値復帰確認工程が完了すると、新たな気体の匂いを測定可能な状態になり、次の気体のための次の気体供給工程へ移る。
【0064】
次に、本発明の第二の実施形態に係る匂い測定方法を、図を基に、説明する。
図11は、本発明の第二実施形態に係る匂い測定方法の手順図である。
匂い測定方法S20は、気体の匂いを測定する匂い測定方法であって、準備工程S21と無臭空気供給工程S22と校正値取込工程S23と気体導入工程S24と匂いデータ取込工程S25とオゾンガス生成工程S26aとオゾンガス導入工程S26bと校正値復帰確認工程S27とで構成される。
無臭空気供給工程S22と校正値取込工程S23と匂いデータ取込工程S25と校正値復帰確認工程S27の構成は、第一の実施形態に係る匂い測定方法S10のものと同じなので、説明を省略する。
【0065】
(準備工程)
準備工程S21は、気体の匂いを感じる感応部を持った匂いセンサと感応部が露出した測定空間を有する測定チャンバーとを用意する工程である。
【0066】
(気体導入工程)
気体導入工程S24は、気体を測定空間に導入する工程である。
気体は、測定空間に導入されて、匂いセンサの感応部に供給される。気体を感応部に供給すると、気体の中に匂い物質が感応部に付着する。
通常の匂い物質は、揮発性の還元性化学物質であるので、感応部の酸素に電子を供給する。電子を供給されるので、金属酸化物半導体の中で電子が増加して、感応部の電気伝導度が高くなる。
また、匂い物質と感応部とが電子を共有する現象が生じ、いわゆる電子共有結合により匂い物質が感応部に付着する。
時間が経過すると、匂いセンサの匂い測定出力が所定の値に安定する。
【0067】
(オゾンガス生成工程)
オゾンガス生成工程S26aは、オゾンガスを生成する工程である。
例えば、無臭空気の中で無声放電をすると、無臭空気のなかの酸素がオゾン化されて、オゾンガスを生成できる。
匂いセンサが気体導入工程で感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応したオゾン濃度を持ったオゾンガスを生成するのが好ましい。
また、単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを持ったパルス状にオゾンを生成し、匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応して単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを決定するのが好ましい。
また、無声放電により酸素をオゾン化し、単位パルスの持続時間が前記無声放電の放電時間であるのが好ましい。
匂いセンサが金属酸化物半導体センサである場合に、前記オゾン濃度が0.2ppmから1.00ppmまでの間の値から選択されるのが好ましい。
【0068】
(オゾンガス導入工程)
オゾンガス導入工程S26bは、オゾンガスを測定空間に導入する工程である。
オゾンガスは、測定空間Hに導入されて、感応部101に供給される。オゾンガスを感応部101に供給すると、酸素よりも強力オゾンのな酸化作用によって、感応部の酸素から電子を奪う。感応部の電子が不足して電気伝導度が急速に低下する。
また。オゾンガスの酸化作用が、匂い物質の還元性を低下させるので、匂い物質が感応部から離れやすくなる
時間が経過すると、匂いセンサの匂い測定出力が所定の値に安定する。
【0069】
次に、本発明の第三の実施形態に係る匂い測定方法を、図を基に、説明する。
図11は、本発明の第三の実施形態に係る匂い測定方法の手順図である。
匂い測定方法S30は、気体の匂いを測定する匂い測定方法であって、準備工程S31と無臭空気供給工程S32と校正値取込工程S33と気体導入工程S34と匂いデータ取込工程S35とオゾンガス生成工程S36aと洗浄ガス導入工程S36bと校正値復帰確認工程S37とで構成される。
準備工程S31と無臭空気供給工程S32と校正値取込工程S33と気体導入工程S34と匂いデータ取込工程S35と校正値復帰確認工程S37の構成は、第二の実施形態に係る匂い測定方法のものと同じなので、説明を省略する。
【0070】
(オゾンガス生成工程)
オゾンガス生成工程S36aは、測定空間Hでオゾンを生成する工程である。
測定空間Hでオゾンを生成すると、オゾンガスが感応部101に供給される。オゾンガスを感応部101に供給すると、酸素よりも強力なオゾンの酸化作用によって、感応部の酸素から電子を奪う。感応部の電子が不足して電気伝導度が急速に低下する。
例えば、無臭空気の中で無声放電をすると、無臭空気のなかの酸素がオゾン化されて、オゾンガスを生成できる。
匂いセンサが気体導入工程で感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応したオゾン濃度を持ったオゾンガスを生成するのが好ましい。
また、単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを持ったパルス状にオゾンを生成し、匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応して単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを決定するのが好ましい。
また、無声放電により酸素をオゾン化し、単位パルスの持続時間が前記無声放電の放電時間であるのが好ましい。
また、匂いセンサが金属酸化物半導体センサである場合に、前記オゾン濃度が0.2ppmから1.00ppmまでの間の値から選択されるのが好ましい。
また、オゾンガスの酸化作用が、匂い物質の還元性を低下させるので、匂い物質が感応部から離れやすくなる
時間が経過すると、匂いセンサの匂い測定出力が所定の値に安定する。
【0071】
(洗浄ガス導入工程)
洗浄ガス導入工程S36bは、洗浄ガスを測定空間Hに導入する工程である。
例えば、洗浄ガスは無臭空気である。
特に、オゾンガス生成工程を実施中に、洗浄ガス導入工程を実施すると好ましい。この様にすると、測定空間の洗浄がより効率良く行われ、匂いセンサの匂い測定出力がすみやかに校正値に復帰することをできる。
【実施例】
【0072】
次に、本発明を検証し評価するために実施した試験結果を説明する。
最初に試験装置の構成を説明する。
図13は、試験装置の構成図である。
試験装置30は、匂い測定装置10とオゾナイザ31とオゾン放電オン・オフ回路32とDC24V電源33と手動時間制御スイッチ34と300CCチェンバー35と10リットル標準空気バッファー36と三方弁37とで構成される。
匂い測定装置10は、気体の匂いを測定する装置である。匂い測定装置は、2つの匂いセンサを測定チャンバー内に備えている。匂いセンサは、金属酸化物半導体を用いた形式である。試料を測定チャンバーに導入すると、匂いセンサが試料の匂いを測定する。
オゾナイザ31は、オン信号をうけると無声放電により酸素をオゾン化する機器である。
オゾン放電オン・オフ回路32は、オゾナイザ31にオン・オフ信号を出力する電子回路である。
DC24V電源33は、オゾン放電オン・オフ回路32にDC24V電源を供給する。
手動時間制御スイッチ34は、オゾン放電オン・オフ回路32はに制御指令を出力するスイッチ回路である。手動時間制御スイッチ34は、3つの組み合わせの信号を出力できる様になっている。
300CCチェンバー35は、ポリエステル製の容器である。300CCチェンバー35の内部に、オゾナイザ31の電極が露出している。オゾナイザ31が放電すると、300CCチェンバー35の空気の酸素の一部をオゾン化してオゾンガスを生成する。
10リットル標準空気バッファー36は、標準空気の充填された10リットルの容器である。標準空気は、酸素と窒素とを空気と同一の比率で混合された人工の空気である。
三方弁37は、匂い測定装置10の吸込管に設けられ、切り替えにより試料と洗浄ガスとを選択して匂い測定装置に導入できる。
【0073】
試験装置30の作動を説明する。
下記に手動時間制御スイッチ34のスイッチ番号1〜3に対応してオゾン放電オン・オフ回路32が出力するオン・オフ信号の組合わせ表を示す。
【表1】

【0074】
例えば、スイッチ番号3のスイッチを入れると、オゾン放電オン・オフ回路32がオン時間0.38秒とオフ信号9.00秒のオン・オフ信号を出力する。オゾナイザ31が、0.38秒の間に継続して放電し、9.00秒の間に放電を停止する。
図14は、1パルス乃至5パルスのパルス数でスイッチ番号1乃至スイッチ番号3のスイッチを押した場合に発生するオゾンのオゾン濃度を示す。
スイッチ1でパルス1からパルス5の放電をした場合、2.0ppmから3.00ppmのオゾン濃度のオゾンガスが生成された。
スイッチ2でパルス1からパルス5の放電をした場合、2.00ppmから12.00ppmのオゾン濃度のオゾンガスが生成された。
スイッチ3でパルス1からパルス5の放電をした場合、0.2ppmから1.00ppmのオゾン濃度のオゾンガスが生成された。
【0075】
以下に、試験装置30を用いて、気体の匂い測定をした結果を、図を基に、説明する。
出力グラフ図は、ゼロ点設定過程と測定過程と洗浄過程における時間の経過にしたがった匂いセンサ100aの匂い測定出力と匂いセンサ100bの匂い測定出力の変化の様子をしめす。
匂いグラフ図は、洗浄過程における時間の経過にしたがった匂いの強度と匂いの種類の変化の様子をしめす。
ケース1は、2ppmのトルエンを測定した後、オゾンガスを生成せずに、標準空気のみを匂い測定装置に流したケースである。
ケース2は、2ppmのトルエンを測定した後、750msecのオンパルスを3パルスだけ発生させて生成したオゾンガスを匂い測定装置に流したケースである。図20から、オゾン濃度が0.2ppm程度のオゾンガスを生成したと推測できる。
ケース3は、2ppmのトルエンを測定した後、750msecのオンパルスを1パルスだけ発生させて生成したオゾンガスを匂い測定装置に流したケースである。図20からオゾン濃度が0.8ppm程度のオゾンガスを生成したと推測できる。
【0076】
ケース1の試験結果を説明する。
ケース1は、試料ガスがトルエン2ppmで、洗浄ガスが標準空気である。
図15は、本発明の実施例ケース1の出力グラフ図である。
図16は、本発明の実施例ケース1の匂いグラフ図である。
洗浄を開始してから50秒程度で、匂い測定出力が校正値に復帰し、匂いの強度が校正値に復帰した。
【0077】
ケース2の試験結果を説明する。
ケース2は、試料ガスがトルエン2ppmで、洗浄ガスがオゾンガス(オゾン濃度0.8ppm程度)である。
図17は、本発明の実施例ケース2の出力グラフ図である。
図18は、本発明の実施例ケース2の匂いグラフ図である。
洗浄を開始すると、匂い測定出力が急激に低下し校正値を下回った。匂いの強度が急激に下がり、匂い測定出力が校正値を下回った後は異常値をしめした。これは、AоーAzが負になった為である。
【0078】
ケース3の試験結果を説明する。
ケース3は、試料ガスがトルエン2ppmであり、洗浄ガスがオゾンガス(オゾン濃度0.2m程度)である。
図19は、本発明の実施例ケース3の出力グラフ図である。
図20は、本発明の実施例ケース3の匂いグラフ図である。
洗浄を開始してから10秒程度で、匂い測定出力が校正値に復帰し、匂いの強度が安定した。
【0079】
試験では、この他に、12ppmのトルエン、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸エチル、アセトアルデヒドでも行なった。
いすれも、オゾン濃度を適切値に設定すると、匂い測定出力が短時間で校正値に復帰し、匂いの強度と匂いの種類が安定した。
また、オゾン濃度が適正値を越えていると、匂い測定出力が急激に低下して校正値を下回り、匂いの強度と匂いの種類が異常になった。また、その後に標準空気をながしても、匂い測定出力が校正値になるのに時間がかかった。
これらのことから、匂いの強度と匂いの種類に対応したオゾン濃度の適正値があることが判明した。
洗浄過程で匂いの強度と匂いの種類に対応してオゾン濃度のオゾンガスを流すと、匂い測定出力が短時間で校正値に復帰し、匂いの強度と匂いの種類が安定することがわかった。
また、パルス数を選択すると、オゾンガスのオゾン濃度を適正値にしやすいことが分かった。
特に、匂いセンサが金属酸化物半導体センサである場合に、オゾン濃度を0.2ppmから1.00ppmまでの間の値から選択すると、匂い測定出力が校正値になる時間を短くすることができた。
【0080】
上述の実施形態の匂い測定装置と匂い測定方法とを用いれば、以下の効果を発揮する。
気体の匂いを感応部101で測定できる匂いセンサ100を用意し、気体を感応部101に供給して気体の匂いを測定した後で、オゾンガスを感応部101に供給するので、オゾンガスで感応部101に付着した匂い分子を酸化して、匂いセンサ100を初期化することができる。
また、密閉可能な測定空間Hを備えた測定チャンバー400を用意し、匂いセンサの感応部101を測定空間Hに露出し、気体を測定空間Hに導入して気体の匂いを測定した後で、オゾンガスを測定空間Hに導入するので、オゾンガスが匂いセンサ100と測定空間Hの壁面に付着した匂い物質を酸化して、匂い物質を洗浄しやすくし、また、匂いセンサの感応部を初期化することができる。
また、オゾンガスのオゾン濃度を調整することで、匂いセンサ100を初期化する時間を短かくすることができる。
また、匂いセンサ100が測定した匂いの強さと匂いの種類の一方、または匂いの強さと匂いの種類の組合わせに応じてオゾン濃度を設定すると、匂いセンサを初期化する時間を短くすることができた。
また、複数の感度の異なる匂いセンサ100を用意し、匂いの強度と匂いの種類を複数の匂いセンサの出力値を要素とするベクトルであらわし、その匂いベクトルの長さを匂いの強度とし、匂いベクトルの方向、傾きを匂いの種類とするので、簡易にオゾン濃度を最適化できる。
パルス状の無声放電でオゾンを生成し、パルスの持続時間とパルス数を選択することでオゾン濃度を調整するので、簡易な構成で所望のオゾン濃度をもったオゾンガスを生成できる。
また、匂いの強度と匂いの種類の一方または匂いの強度と匂いの種類の組み合わせに対応してパルスの持続時間とパルス数を選択するので、簡易な方法で匂いセンサ100を初期化する時間を短くすることができる。
また、匂いセンサが金属酸化物半導体センサである場合に、オゾン濃度を0.2ppmから1.00ppmまでの間の値から選択するので、匂いセンサを過剰に酸化することなく、匂いセンサの初期化の時間を短くすることができる。
【0081】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
オゾン生成装置、オゾン生成工程を、無声放電によりオゾンを生成する方式で説明したがこれに限定されず、例えば、酸素をオゾン化する周波数をもった光を空気、ガス中に照射する方式でもよい。
また、匂いの強度と匂いの種類の一方、または匂いの強度と匂いの種類の組み合わせに対応してオンオフ信号のパルス長さとパルス数を設定したが、これに限定されず、例えば、匂い測定の後で、匂いセンサの匂い測定出力が減少する傾向に対応してオンオフ信号のパルス長さとパルス数を設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る匂い測定装置の概念図である。
【図2】本発明の第二の実施形態に係る匂い測定装置の概念図である。
【図3】本発明の実施形態に係る匂いセンサの概念図である。
【図4】本発明の実施形態に係る匂い出力のベクトル図である。
【図5】本発明の実施形態に係るデータ処理部の概念図である。
【図6】本発明の実施形態に係るオゾン生成装置の概念図である。
【図7】本発明の実施形態に係るオンパルス信号の概念図である。
【図8】本発明の実施形態に係るオゾン生成装置の作用図である。
【図9】本発明の実施形態に係るオゾン生成装置のタイムチャート図である。
【図10】本発明の第一の実施形態に係る匂い測定方法の手順図である。
【図11】本発明の第二の実施形態に係る匂い測定方法の手順図である。
【図12】本発明の第三の実施形態に係る匂い測定方法の手順図である。
【図13】本発明の実施例に係る匂い試験装置の概念図である。
【図14】本発明の実施例のオゾン濃度図である。
【図15】本発明の実施例ケース1の出力グラフ図である。
【図16】本発明の実施例ケース1の匂いグラフ図である。
【図17】本発明の実施例ケース2の出力グラフ図である。
【図18】本発明の実施例ケース2の匂いグラフ図である。
【図19】本発明の実施例ケース3の出力グラフ図である。
【図20】本発明の実施例ケース3の匂いグラフ図である。
【符号の説明】
【0083】
H 測定空間
10 匂い測定装置
20 パソコン
30 試験装置
31 オゾナイザ
32 オゾン放電オン・オフ回路
33 DC24V電源
34 手動時間制御スイッチ
35 300ccチェンバー
36 10リットル標準空気バッファー
37 三方弁
100 匂いセンサ
100a 匂いセンサA
100b 匂いセンサB
101 感応部
102 ヒータ
103 スイッチング素子
104 負荷抵抗
105 電源
106 ヒータ加熱パルス
107 匂い測定出力
200 気体供給手段
210 気体導入手段
211 試料吸込管
212 試料バルブ
213 試料導入管
300 オゾンガス供給手段
310 オゾンガス生成手段
311 オゾナイザ
312 オンパルス発生回路
313 制御回路
314 計数回路
315 デコーダ部
316 通信インターフェース回路
317 電源回路
318 オゾンチャンバー
320 オゾンガス導入手段(洗浄ガス導入手段)
321 洗浄吸込管
322 洗浄バルブ
323 洗浄導入管
400 測定チャンバー
500 気体排出手段
501 気体排出管
502 排出バルブ
503 気体排出管
504 気体排出ポンプ
505 気体排出管
600 データ処理部
601 主制御部
602 パルス発生部
603 測定時間設定タイマー
604 インターフェース部
605 A/D変換部
606 データ記憶部
607 データ演算部
608 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の匂いを測定する匂い測定装置であって、
気体の匂いを感じることをできる感応部をもつ匂いセンサと、
気体を前記感応部に供給することをできる気体供給手段と、
オゾンガスを前記感応部に供給することをできるオゾンガス供給手段と、
を備えることを特徴とする匂い測定装置。
【請求項2】
前記オゾンガス供給手段が、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応したオゾン濃度を持ったオゾンガスを供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の匂い測定装置。
【請求項3】
気体の匂いを測定する匂い測定装置であって、
気体の匂いを感じることをできる感応部を持った匂いセンサと、
前記感応部が露出した測定空間を持った測定チャンバーと、
気体を前記測定空間に導入する気体導入手段と、
オゾンガスを生成するオゾンガス生成手段と、
前記オゾンガスを前記測定空間へ導入するオゾンガス導入手段と、
を備えることを特徴とする匂い測定装置。
【請求項4】
気体の匂いを測定する匂い測定装置であって、
気体の匂いを感じることをできる感応部を持った匂いセンサと、
前記感応部が露出した測定空間を持った測定チャンバーと、
気体を前記測定空間に導入する気体導入手段と、
前記測定空間でオゾンを生成するオゾンガス生成手段と、
を備えることを特徴とする匂い測定装置。
【請求項5】
前記オゾンガス生成手段が、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応したオゾン濃度を持ったオゾンガスを生成する、
ことを特徴とする請求項3または請求項4のうちのひとつに記載の匂い測定装置。
【請求項6】
前記オゾンガス生成手段が単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを持ったパルス状にオゾンを生成でき、
前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応した単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを決定する、
ことを特徴とする請求項3または請求項4のうちのひとつに記載の匂い測定装置。
【請求項7】
前記オゾンガス生成手段が、放電により酸素をオゾン化するオゾン化機器を有し、
単位パルスの持続時間が前記放電の放電時間である、
ことを特徴とする請求項6に記載の匂い測定装置。
【請求項8】
前記匂いセンサが金属酸化物半導体センサであって、
前記オゾン濃度が0.2ppmから1.00ppmまでの間の値から選択される、
ことを特徴とする請求項2または請求項5のうちのひとつに記載の匂い測定装置。
【請求項9】
気体の匂いを測定する匂い測定方法であって、
気体の匂いを感じる感応部を持った匂いセンサを準備する準備工程と、
気体を前記感応部に供給する気体供給工程と、
オゾンガスを前記感応部に供給するオゾンガス供給工程と、
を備えることを特徴とする匂い測定方法。
【請求項10】
前記オゾンガス供給工程が、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応したオゾン濃度を持ったオゾンガスを供給する、
ことを特徴とする請求項9に記載の匂い測定方法。
【請求項11】
気体の匂いを測定する匂い測定方法であって、
気体の匂いを感じる感応部を持った匂いセンサと前記感応部が露出した測定空間を持った測定チャンバーとを準備する準備工程と。
気体を測定空間に導入する気体導入工程と、
オゾンガスを生成するオゾンガス生成工程と、
前記オゾンガスを前記測定空間へ導入するオゾンガス導入工程と、
を備えることを特徴とする匂い測定方法。
【請求項12】
気体の匂いを測定する匂い測定方法であって、
気体の匂いを感じる感応部を持った匂いセンサと前記感応部が露出した測定空間を持った測定チャンバーとを準備する準備工程と、
気体を前記測定空間に導入する気体導入工程と、
前記測定空間でオゾンを生成するオゾンガス生成工程と、
を備えることを特徴とする匂い測定方法。
【請求項13】
前記オゾンガス生成工程が、前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応したオゾン濃度を持ったオゾンガスを生成する、
ことを特徴とする請求項11または請求項12のうちのひとつに記載の匂い測定方法。
【請求項14】
前記オゾンガス生成工程が単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを持ったパルス状にオゾンを生成でき、
前記匂いセンサの感じた匂いの強さ若しくは匂いの種類の一方または両方の組合わせに対応して単パルスの持続時間Tとパルス数Nとを決定する、
ことを特徴とする請求項11または請求項12のうちのひとつに記載の匂い測定方法。
【請求項15】
前記オゾンガス生成工程が、放電により酸素をオゾン化し、
単位パルスの持続時間が前記放電の放電時間である、
ことを特徴とする請求項14に記載の匂い測定方法。
【請求項16】
前記匂いセンサが金属酸化物半導体センサであって、
前記オゾン濃度が0.2ppmから1.00ppmまでの間の値から選択される、
ことを特徴とする請求項10または請求項13のうちのひとつに記載の匂い測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−64554(P2006−64554A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247826(P2004−247826)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(599092309)株式会社双葉エレクトロニクス (5)
【Fターム(参考)】