説明

包被切断方法及び装置

【課題】シャッタ装置におけるシャッタの閉動作開始位置を変更した場合であっても、包被食品を常に同一の外観形状に包被切断することのできる包被切断方法及び装置を提供する。
【解決手段】食品材供給部から連続的に下方向へ供給される棒状の食品材を包被切断する方法であって、前記食品材とほぼ同速で下降自在又は前記食品材の下降速度に対して相対的に下降速度を制御自在のシャッタ装置15に開閉自在に備えたシャッタ機構17によって前記食品材の包被切断を行うに当り、前記シャッタ装置15の上下動動作及び前記シャッタ機構17の開閉動作並びに前記食品材から切断分離される包被食品19を下側から支持する包被食品受け部材21,23の上下動動作をそれぞれ個別に制御し、前記シャッタ機構17の閉動作開始位置に拘りなく前記シャッタ装置15と前記包被食品受け部材21,23との間隔寸法が予め設定された間隔寸法にあるときに、前記シャッタ機構17による前記食品材の包被切断を終了するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内包材の周囲を外皮材によって被覆した棒状の食品材を包被切断する方法及び装置に係り、さらに詳細には、包被切断によって前記食品材から切断分離される包被食品の外観形状を常に同一形状に切断分離することのできる包被切断方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包被切断装置は、一般的には、内材供給部から供給された内包材の周囲を、外皮材供給部から供給される外皮でもって被覆した棒状の食品材を、食品材供給部の1例としての重合ノズルから下方向へ連続的に吐出し、上下動自在なシャッタ装置に開閉自在に備えたシャッタ機構によって前記食品材を包被切断する構成である。そして、包被切断によって前記食品材から切断分離される包被食品を下側から支持する包被食品受け部材を上下動自在に備えている。
【0003】
前記構成において、シャッタ機構によって食品材の包被切断を行うときに、包被食品における外皮材の厚さを、上部側を厚くしたり、又は下部側を厚くするために前記シャッタ機構における閉動作速度を制御することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2641033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載の構成は、シャッタ装置におけるシャッタ機構の開閉動作を制御モータによって行う構成である。したがって、シャッタ機構の開閉動作を、所望の動作パターンによって行うことが可能である。
【0006】
しかし、前記シャッタ装置の上下動作及び包被食品受け部材の上下動は、共通のモータによって回転されるゲート昇降カム及びコンベア昇降カムのカム曲線に従って行われるものである。したがって、前記シャッタ装置の上下動作パターンはゲート昇降カムのカム曲線に従った一定の動作パターンであり、前記包被食品受け部材の上下動作パターンはコンベア昇降カムのカム曲線に従った一定の動作パターンである。そして、共通のモータによって各カムが回転されるので、シャッタ装置の上下動作と包被食品受け部材の上下動は常に同期した関係にある。換言すれば、シャッタ装置の上下動作パターンと包被食品受け部材の上下動作パターンは位相のずれを生じることなく保持されているものである。
【0007】
上述のごとき構成において、前述のごとくシャッタ装置におけるシャッタ機構の開閉速度を種々変更すると、シャッタ機構によって包被切断される包被食品の切断終了時点(切断終了位置)が前記シャッタ装置、包被食品受け部材の上下動作パターンに対して位相をずらした位置になりがちになる。
【0008】
したがって、前記シャッタ装置と包被食品受け部材との間隔寸法が適正の間隔寸法よりも大きな状態にあるときに食品材の包被切断を終了すると、切断分離される包被食品は自重によって垂れ下って上下に伸びた状態の形状になり易く、逆に、前記シャッタ装置と包被食品受け部材との間隔寸法が適正の間隔寸法よりも小さなときに食品材の包被切断を終了すると、包被食品は上下方向から押圧されて潰れた状態の形状になり易いものである。すなわち、包被食品の外観形状が一定しないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、食品材供給部から連続的に下方向へ供給される棒状の食品材を包被切断する方法であって、前記食品材とほぼ同速で下降自在又は前記食品材の下降速度に対して相対的に下降速度を制御自在のシャッタ装置に開閉自在に備えたシャッタ機構によって前記食品材の包被切断を行うに当り、前記シャッタ装置の上下動動作及び前記シャッタ機構の開閉動作並びに前記食品材から切断分離される包被食品を下側から支持する包被食品受け部材の上下動動作をそれぞれ個別に制御し、前記シャッタ機構の閉動作開始位置に拘りなく前記シャッタ装置と前記包被食品受け部材との間隔寸法が予め設定された間隔寸法にあるときに、前記シャッタ機構による前記食品材の包被切断を終了することを特徴とするものである。
【0010】
また、棒状の食品材を下方向へ供給する食品材供給部と、前記食品材を包被切断するためのシャッタ機構を備えて上下動自在なシャッタ装置と、前記食品材から切断分離される包被食品を下側から支持する上下動自在な包被食品受け部材と、前記シャッタ装置の上下動を行うためのシャッタ上下動用モータと、前記シャッタ機構の開閉動作を行うためのシャッタ開閉用モータと、前記包被食品受け部材を上下動するための受け部材上下動用モータと、前記シャッタ装置の上下動作パターンに従って前記シャッタ上下動用モータの回転を制御するモータ制御部と、前記包被食品受け部材の上下動作パターンに従って前記受け部材上下動用モータの回転を制御するモータ制御部と、前記シャッタ機構の閉動作開始位置又は閉動作速度を入力する入力手段と、前記シャッタ装置の上下動パターンと前記包被食品受け部材の上下動パターンとによって定まる前記シャッタ装置と前記包被食品受け部材との間隔寸法が予め設定された所定の間隔寸法においての前記シャッタ機構による包被切断終了位置と前記入力手段によって入力された閉動作開始位置又は閉動作速度に基いて前記シャッタ機構の閉動作速度又は閉動作開始位置を演算する演算手段と、この演算手段の演算結果に基いて前記シャッタ開閉用制御モータの回転を制御するモータ制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
また、棒状の食品材を下方向へ供給する食品材供給部と、前記食品材を包被切断するためのシャッタ機構を備えて上下動自在なシャッタ装置と、前記食品材から切断分離される包被食品を下側から支持する上下動自在な包被食品受け部材と、前記シャッタ装置の上下動を行うためのシャッタ上下動用モータと、前記シャッタ機構の開閉動作を行うためのシャッタ開閉用モータと、前記包被食品受け部材を上下動するための受け部材上下動用モータと、前記シャッタ装置の上下動作パターンに従って前記シャッタ上下動用モータの回転を制御するモータ制御部と、前記包被食品受け部材の上下動作パターンに従って前記受け部材上下動用モータの回転を制御するモータ制御部と、前記シャッタ装置の上下動作パターンと前記包被食品受け部材の上下動パターンとによって定まる前記シャッタ装置と前記包被食品受け部材との間隔寸法が予め設定された所定の間隔寸法においての前記シャッタ上下動用モータ及び前記受け部材上下動用モータの所定の回転位置において前記シャッタ機構の包被切断を終了すべく、前記シャッタ機構の閉動作速度の異なる複数の開閉動作パターンを格納した動作パターン格納部と、この動作パターン格納部から所望の開閉動作パターンを選択するパターン選択手段と、このパターン選択手段により選択された開閉動作パターンに従って前記シャッタ開閉用モータの回転を制御するモータ制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
また、前記包被切断装置において、前記受け部材上下動用モータによって回転される上下動用カムと前記包被食品受け部材とをリンク機構を介して連動連結して備え、前記包被食品受け部材の上下動作位置を上下に変更するために、前記上下動用カム及び前記包被食品受け部材を一体的に上下位置調節可能に備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シャッタ機構の閉動作開始位置に拘りなく、シャッタ機構による包被切断終了位置は、シャッタ装置と包被食品受け部材との間隔寸法が予め設定された間隔寸法にあるときであるので、包被食品の外観形状は常に一定になるものであり、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る包被切断装置の全体構成を概念的、概略的に示した正面説明図である。
【図2】制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】シャッタ機構の開閉動作、シャッタ装置の上下動作及び包被食品受け部材の上下動作の動作パターンを示すタイムチャートである。
【図4】包被食品受け部材を上下動する機構の詳細説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る包被切断装置について説明するに、包被切断装置すなわち包あん機の全体的構成は既知であるが、理解を容易にするために、先ず包被切断装置の全体的構成について概略的に説明する。
【0016】
包被切断装置1は、図1に概念的、概略的に示すように、箱状のフレーム3を備えており、このフレーム3の上部には、例えばあん等のごとき内包材を収容する内包材用ホッパー5を備えていると共に、例えばパン生地等のごとき外皮材を収容する外皮材用ホッパー7を備えている。上記内包材用ホッパー5及び外皮材用ホッパー7内には、収容されている食材(内包材、外皮材)を送り出すためのスクリューコンベア(図示省略)がそれぞれ回転自在に内装されている。
【0017】
そして、前記各スクリューコンベアによって送り出された食材を重合ノズル9へ供給するために、前記各ホッパー5,7には、ベーンポンプなどのごとき食材供給装置としての内包材供給部11、外皮材供給部13がそれぞれ備えられている。前記重合ノズル9は、前記内包材供給部11から供給された内包材の周囲を、外皮材供給部13から供給される外皮材でもって被覆した棒状の食品材を一定速度で連続的に下方向へ吐出するものである。すなわち、前記重合ノズル9は、棒状の食品材を下方向へ供給する食品材供給部を構成するものである。なお、棒状の食品材を下方向へ供給する構成としては、例えば、特開平5−219874号公報に記載されているように、シート生地を巻き上げ装置によって棒状の生地に巻き上げ、この棒状生地を下方向へ供給する構成とすることも可能である。
【0018】
なお、前記重合ノズル9や内包材供給部11及び外皮材供給部13などの構成は周知の構成であるから、より詳細な説明は省略する。
【0019】
前記重合ノズル9の下側には、当該重合ノズル9から下方向へ吐出される棒状の前記食品材の包被切断を行うためのシャッタ装置15が上下動自在に備えられている。このシャッタ装置15は、複数のシャッタ片を環状に配置して開閉自在なシャッタ機構17を備えており、このシャッタ機構17の開閉動作によって前記食品材の包被切断を行うものである。なお、上記シャッタ装置15は周知の構成でよいものであるから、シャッタ装置15についてのより詳細な説明は省略する。
【0020】
前記シャッタ装置15の下側には、前記食品材から包被切断された包被食品19を下側から支持する包被食品受け部材の1例としてのコンベア21が備えられている。このコンベア21は、前記包被食品19を次工程へ搬送する作用をなすもので、このコンベア21の前記シャッタ装置15に対応した部分を上下動するために、昇降部材23が上下動自在に備えられている。
【0021】
上記構成において、食品材供給部の1例としての重合ノズル9から食品材が一定速度で下方向へ吐出(供給)されているときに、シャッタ装置15を、上記食品材の下降速度と同一速度又は食品材の下降速度より僅かに大きい速度で下降し、シャッタ機構17を閉動作を行うことにより、食品材の包被切断が行われる。その後、前記シャッタ機構17を開作動し、かつシャッタ装置15を元の上昇位置へ復帰した後、再び下降動作とシャッタ機構17の閉動作を繰り返すことにより前記食品材から包被食品19が次々に包被切断されることになる。
【0022】
前述のごとく、シャッタ装置15を下降しつつシャッタ機構17を閉動作して食品材の包被切断を行うとき、昇降部材23は前記食品材から切断分離される包被食品19を、コンベア21を介して下側から支持して次第に下降するものである。ここで、前述のごとく食品材の包被切断を行うとき、前記シャッタ装置15におけるシャッタ機構17と昇降部材23との上下方向の間隔寸法が予め設定された間隔であって一定であれば、食品材から切断分離される包被食品19の外観形状は一定に保持されることになる。
【0023】
ところが、内包材や外皮材の特性に対応したり、外皮材の皮回りを調節するために、前記シャッタ機構17の閉動作速度を変更すると、シャッタ機構17によって食品材の包被切断を終了するときにおけるシャッタ機構17と昇降部材23との上下方向の間隔寸法が種々変化することがある。したがって、食品材から包被食品19を切断分離するときの昇降部材23による包被食品19の支持状態が一定せずに、包被食品19の上部側が下部側よりも細くなった形状や、上下方向に押圧されて潰れた形態の外観形状になり易いという問題がある。
【0024】
そこで、本実施形態においては、前記シャッタ装置15の上下動作を制御するために、シャッタ装置15の上下動はサーボモータなどのごときシャッタ上下動用モータ25を備えていると共に、シャッタ機構17の開閉動作を行うためのサーボモータ等のごときシャッタ開閉用モータ27(図2参照)を備えている。さらに、前記昇降部材23の上下動作を行うためのサーボモータ等のごとき受け部材上下動用モータ29を備えている。
【0025】
前記包被切断装置1の動作を制御するための制御装置31はコンピュータ等からなるものであって、図2に示すように、中央処理装置(CPU)33を備えていると共にROM35、RAM37、入力手段39及び表示手段41を備えている。さらに前記制御装置31には、前記シャッタ機構17における開閉動作の各種の開閉動作パターンを格納した動作パターン格納部43A、前記シャッタ装置15における上下動作の各種の動作パターンを格納した動作パターン格納部43B及び前記昇降部材23の上下動作の各種の動作パターンを格納した動作パターン格納部43Cを備えた動作パターン格納手段43が備えられている。
【0026】
また、前記制御装置31には、前記動作パターン格納手段43における各動作パターン格納部43A,43B,43Cからそれぞれの動作パターンを選択するためのパターン選択手段(動作パターン選択手段)45が備えられていると共に、上記パターン選択手段45によって選択された動作パターンを解析するパターン解析部47が備えられている。そして、前記パターン解析部47によって解析された動作パターンに従って前記各モータ25,27,29の回転をそれぞれ制御するモータ制御部49A,49B,49Cが備えられている。
【0027】
また、前記入力手段39によって前記シャッタ機構17の閉動作開始位置又は閉動作速度を入力したときに、シャッタ機構17におけるシャッタの閉動作速度又は閉動作開始位置を演算するための演算手段51が備えられている。この演算手段51は、前記シャッタ装置15の上下動作パターンと前記昇降部材23の上下動作パターンとの関係によって予め設定された上記両上下動作パターンの所定の位置においてシャッタ機構17の閉動作を終了するために、上記所定の位置と閉動作開始位置又は閉動作速度とに基いてシャッタ機構17における閉動作速度又は閉動作開始位置を演算するものである。そして、上記演算手段51の演算結果に基いて、モータ制御部49Bを介してシャッタ開閉用モータ27の開閉動作又は閉動作開始位置が制御されるものである。
【0028】
以上のごとき構成において、シャッタ装置15の上下動作パターンが、例えば図3に示すパターンP1であり、昇降部材23の上下動パターンがパターンP2であり、前記パターンP1の上死点位置UDを回転位置の0度とすると、下死点位置LDは回転位置の180度となる。パターンP2においては、回転位置0度において上死点位置UDであり、回転位置の約180度〜約300度の範囲において下死点位置LDである。
【0029】
既に理解されるように、シャッタ装置15が上下動する動作パターンP1と昇降部材23が上下動する動作パターンP2とが異なるので、例えば回転位置R1,R2,R3において、シャッタ装置15と昇降部材23との上下方向の間隔寸法はそれぞれ異なるものである。ここで、前記シャッタ機構17の閉動作の終了位置が前記回転位置R3である場合には、シャッタ機構17の閉動作開始位置に拘りなくシャッタ装置15(シャッタ機構17)と昇降部材23との上下方向の間隔寸法が常に一定の位置(回転位置R3の位置)でシャッタ機構17の閉動作の終了が行われることが望ましいものである。
【0030】
すなわち、シャッタ機構17の開閉動作パターンがP3であって、回転位置Aにおいて閉動作を開始し、回転位置B(R3)で閉動作を終了する。そして回転位置Cまで閉動作を停止した状態を保持し、上記回転位置Cにおいて開動作を開始する。シャッタ機構17の開閉動作パターンP3において、内包材や外皮材の特性に対応して閉動作開始位置を例えば回転位置A1,A2に変更すべく、入力手段39から回転位置A1,A2を制御装置31に入力すると、この回転位置A1,A2と前記回転位置Bとに基き、演算手段51によってシャッタ機構17の閉動作速度が演算される。
【0031】
そして、この演算手段51の演算結果に基いて、モータ制御部49Bを介してシャッタ開閉用モータ27の回転速度が制御される。したがって、シャッタ機構17の閉動作開始位置に拘りなく閉動作終了位置Bは常に一定に保持されるものである。よって、シャッタ機構17が閉動作を終了して棒状の食品材から包被食品19を切断分離するとき、シャッタ機構17と昇降部材23との上下方向の間隔寸法は常に一定に保持されるものであり、前記包被食品19の外観形状を一定に保持して包被切断を行い得るものである。
【0032】
また、内包材や外皮材の特性に対応して前記シャッタ機構17の閉動作速度が入力手段39から制御装置31に入力されると、閉動作終了位置は回転位置B(R3)であり、シャッタ機構17の開閉動作距離(開状態から閉状態にシャッタ機構が動作するときの移動距離)は一定であるから、例えば閉動作速度が大きい場合には回転位置A2が演算される。逆に、閉動作速度が小さい場合には回転位置A1が演算されることになる。そして、この演算された回転位置A1,A2において、入力された(設定された)閉動作速度でシャッタ機構17の閉動作が開始され、回転位置B(R3)で閉動作を終了して包被食品19の包被切断を終了することになる。
【0033】
なお、前記シャッタ機構17の閉動作終了位置すなわち食品材の包被切断終了位置が前記回転位置Bより手前の位置、例えば60度の位置である場合には、シャッタ装置15と昇降部材23との間隔が、回転位置Bの予め設定された所定の間隔寸法よりも狭いので、前記食品材から切断分離される包被食品は押し潰される傾向にある。そして、前記包被切断終了位置が前記回転位置Bより後側の位置、例えば120度の位置になると、前記シャッタ装置15の昇降部材23との間隔が所定の間隔寸法よりも大きくなるので、包被食品は上下に伸びた形態となり易いものである。したがって、食品材の包被切断は、常に回転位置Bにおいて終了することが望ましいものである。
【0034】
ところで、前記動作パターン格納手段43における動作パターン格納部43Aには、動作パターン格納部43Bに格納されている前記動作パターンP1及び動作パターン格納部43Cに格納されている動作パターンP2に対応した開閉動作パターンP3であって、シャッタ機構17の閉動作速度が異なるものの閉動作終了位置は常に回転位置Bである各種の動作パターンが格納されているものである。したがって、パターン選択手段45によって動作パターン格納部43Aからシャッタ機構17の開閉動作パターンを選択してシャッタ開閉用モータ27の回転を制御した場合であっても、シャッタ機構17の閉動作終了位置(包被切断終了位置)は常に回転位置Bとなるものであり、包被食品19の外観形状を一定に保持して包被切断を行い得るものである。
【0035】
ところで、包被食品19の外形形状を相似的に大きく又は小さくして包被切断を行う場合がある。そこで、本実施形態においては、昇降部材21の上下動作パターンP2を変更することなく、シャッタ装置15の上下動作パターンP1に対して上下に平行移動可能に構成してある。
【0036】
より詳細には、図4に示すように、前記フレーム3内にはガイドフレーム53が立設してあり、このガイドフレーム53には受け部材上下動用モータ29Aが上下位置調節可能に備えられている。すなわち、前記ガイドフレーム53には昇降ブラケット55が上下動自在に備えられており、この昇降ブラケット55には前記受け部材上下動用モータ29Aが装着してある。そして、上記昇降ブラケット55には、前記受け部材上下動用モータ29Aに連動連結した回転軸57が水平にかつ回転自在に備えられており、この回転軸57には適宜形状の上下動用カム59が取付けてある。
【0037】
さらに、前記昇降ブラケット55には、前記上下動用カム59と前記昇降部材23とを連動連結したリンク機構が備えられている。すなわち、昇降ブラケット55には、枢軸61を介して作動杆63が上下方向に揺動自在に支承されており、この作動杆63の基端部には、前記上下動用カム59に接触したカムフォロア65が備えられている。そして、この作動杆63の先端側に設けた長手方向の長孔67には、昇降部材23に水平にかつ一体的に取付けたピン69の先端部に備えたローラ71が移動自在に係合してある。
【0038】
なお、前記昇降部材23は、前記フレーム3に備えたガイド部材73に上下動自在に案内支承されているものである。そして、前記ピン69とフレーム3に取付けた係止部材75との間には、昇降部材23を常に下方向へ付勢するコイルスプリングなどのごとき弾性部材77が張設してある。
【0039】
前記ガイドフレーム53に対して前記昇降ブラケット55を上下動するために、前記昇降ブラケット55には上下方向のラック79が一体的に取付けてあり、このラック79には、前記ガイドフレーム53に水平にかつ回転自在に支持された回転軸81に備えたピニオン83が噛合してある。そして、前記回転軸81を回転するために、当該回転軸81に直交する方向に設けた回転軸85が前記ガイドフレーム53及び前記フレーム3に水平にかつ回転自在に支持されており、この回転軸85の外端部にはハンドル87が備えられている。そして、前記回転軸85の内端部に備えたウォーム89には、前記回転軸81に備えたウォームホイール91が噛合してある。
【0040】
上記構成により、受け部材上下動用モータ29Aを回転駆動すると、上下動用カム59が回転されるので、上下動用カム59の輪部の形状に対応して作動杆63が上下に揺動され、昇降部材23が上下動されることになる。すなわち、前記上下動用カム59の1回転により前記昇降部材23は前記上下動作パターンP2に従った上下動作を行うものである。そして、前記上下動用カム59の1回転時に、受け部材上下動用モータ29Aの回転速度を種々変更することにより、前記上下動作パターンP2を種々の上下動作パターンに変更することができるものである。
【0041】
また、前記構成により、ハンドル87を回転すると、ウォーム89、ウォームホイール91を介して回転軸81が回転されるので、ピニオン83、ラック79を介して昇降ブラケット55が上下動される。したがって、昇降ブラケット55に装着した受け部材上下動用モータ29A及び作動杆63が一体的に上下動され、かつ上記作動杆63を介して昇降部材23が一体的に上下動されることになる。したがって、前記昇降部材23の上下動作パターンP2を変更することなく、昇降部材23の上下動作領域を上下に位置調節できることになる。
【0042】
なお、ウォーム89、ウォームホイール91の噛合関係により、昇降ブラケット55は、上下調整した位置に保持されるものである。
【0043】
既に理解されるように、昇降部材23の上下動作パターンP2を変更することなく昇降部材23の上下動作領域を上下に調節できるものであるから、図3において、シャッタ装置15の上下動作パターンP1に対して昇降部材23の上下動作パターンP2を上下に平行移動することに等しいものである。したがって、前記包被切断終了位置としての前記回転位置B(R3)においてのシャッタ装置15と昇降部材23との上下方向の間隔寸法を所望の間隔寸法に変更できるものである。よって、同一特性の内包材、外皮材の包被食品19の外形形状を相似的に大きく又は小さくする場合であっても容易に対応し得るものである。
【0044】
前述したように、包被食品19の外形形状を相似的に大きく又は小さくして、包被切断を行う場合には、前記シャッタ機構17と昇降部材23との上下方向の間隔寸法を大きく、又は小さく変更する必要がある。この場合、シャッタ装置15の上下動作パターンP1と対をなし昇降部材23の上下動作パターンP2を関連付けて格納し、この関連付けされた上下動作パターンP1,P2に関連付けてシャッタ開閉動作の各種動作パターンP3を格納し、この関連付けされた3つの動作パターンP1,P2,P3を選択して各モータ25,29,27の回転を制御することにより、外観形状の大きな、又は小さな包被食品19の包被切断を行うことも可能である。
【0045】
以上のごとき説明より理解されるように、シャッタ装置15におけるシャッタ機構17の開閉動作は、閉動作開始位置に拘りなく常に一定の回転位置Bにおいて終了するものであるから、この回転位置Bにおいてはシャッタ機構17と昇降部材23との上下方向の間隔寸法は常に一定であり、棒状の食品材から包被切断して分離される包被食品19の外観形状は常に一定になるものである。
【0046】
換言すれば、シャッタ機構17の閉動作開始位置に拘りなく、シャッタ機構17と昇降部材23との間隔寸法が予め設定された間隔寸法にある回転位置Bにおいて包被切断を終了する構成であるから、包被切断された包被食品19の外観形状は一定形状に保持されるものであり、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【符号の説明】
【0047】
1 包被切断装置
5 内包材用ホッパー
7 外皮材用ホッパー
9 重合ノズル
11 内包材供給部(内包材供給装置)
13 外皮材供給部(外皮材供給装置)
15 シャッタ装置
17 シャッタ機構
19 包被食品
21 コンベア(包被食品受け部材)
23 昇降部材
25 シャッタ上下動用モータ
27 シャッタ開閉用モータ
29 受け部材上下動用モータ
31 制御装置
43 動作パターン格納手段
45 パターン選択手段
47 パターン解析部
49A,49B,49C モータ制御部
51 演算手段
53 ガイドフレーム
55 昇降ブラケット
57,85 回転軸
59 上下動用カム
63 作動杆
79 ラック
83 ピニオン
87 ハンドル
89 ウォーム
91 ウォームホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品材供給部から連続的に下方向へ供給される棒状の食品材を包被切断する方法であって、前記食品材とほぼ同速で下降自在又は前記食品材の下降速度に対して相対的に下降速度を制御自在のシャッタ装置に開閉自在に備えたシャッタ機構によって前記食品材の包被切断を行うに当り、前記シャッタ装置の上下動動作及び前記シャッタ機構の開閉動作並びに前記食品材から切断分離される包被食品を下側から支持する包被食品受け部材の上下動動作をそれぞれ個別に制御し、前記シャッタ機構の閉動作開始位置に拘りなく前記シャッタ装置と前記包被食品受け部材との間隔寸法が予め設定された間隔寸法にあるときに、前記シャッタ機構による前記食品材の包被切断を終了することを特徴とする包被切断方法。
【請求項2】
棒状の食品材を下方向へ供給する食品材供給部と、前記食品材を包被切断するためのシャッタ機構を備えて上下動自在なシャッタ装置と、前記食品材から切断分離される包被食品を下側から支持する上下動自在な包被食品受け部材と、前記シャッタ装置の上下動を行うためのシャッタ上下動用モータと、前記シャッタ機構の開閉動作を行うためのシャッタ開閉用モータと、前記包被食品受け部材を上下動するための受け部材上下動用モータと、前記シャッタ装置の上下動作パターンに従って前記シャッタ上下動用モータの回転を制御するモータ制御部と、前記包被食品受け部材の上下動作パターンに従って前記受け部材上下動用モータの回転を制御するモータ制御部と、前記シャッタ機構の閉動作開始位置又は閉動作速度を入力する入力手段と、前記シャッタ装置の上下動パターンと前記包被食品受け部材の上下動パターンとによって定まる前記シャッタ装置と前記包被食品受け部材との間隔寸法が予め設定された所定の間隔寸法においての前記シャッタ機構による包被切断終了位置と前記入力手段によって入力された閉動作開始位置又は閉動作速度に基いて前記シャッタ機構の閉動作速度又は閉動作開始位置を演算する演算手段と、この演算手段の演算結果に基いて前記シャッタ開閉用制御モータの回転を制御するモータ制御部と、を備えていることを特徴とする包被切断装置。
【請求項3】
棒状の食品材を下方向へ供給する食品材供給部と、前記食品材を包被切断するためのシャッタ機構を備えて上下動自在なシャッタ装置と、前記食品材から切断分離される包被食品を下側から支持する上下動自在な包被食品受け部材と、前記シャッタ装置の上下動を行うためのシャッタ上下動用モータと、前記シャッタ機構の開閉動作を行うためのシャッタ開閉用モータと、前記包被食品受け部材を上下動するための受け部材上下動用モータと、前記シャッタ装置の上下動作パターンに従って前記シャッタ上下動用モータの回転を制御するモータ制御部と、前記包被食品受け部材の上下動作パターンに従って前記受け部材上下動用モータの回転を制御するモータ制御部と、前記シャッタ装置の上下動作パターンと前記包被食品受け部材の上下動パターンとによって定まる前記シャッタ装置と前記包被食品受け部材との間隔寸法が予め設定された所定の間隔寸法においての前記シャッタ上下動用モータ及び前記受け部材上下動用モータの所定の回転位置において前記シャッタ機構の包被切断を終了すべく、前記シャッタ機構の閉動作速度の異なる複数の開閉動作パターンを格納した動作パターン格納部と、この動作パターン格納部から所望の開閉動作パターンを選択するパターン選択手段と、このパターン選択手段により選択された開閉動作パターンに従って前記シャッタ開閉用モータの回転を制御するモータ制御部と、を備えていることを特徴とする包被切断装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の包被切断装置において、前記受け部材上下動用モータによって回転される上下動用カムと前記包被食品受け部材とをリンク機構を介して連動連結して備え、前記包被食品受け部材の上下動作位置を上下に変更するために、前記上下動用カム及び前記包被食品受け部材を一体的に上下位置調節可能に備えていることを特徴とする包被切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−10567(P2011−10567A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155272(P2009−155272)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000115924)レオン自動機株式会社 (98)
【Fターム(参考)】