説明

包装チーズの製造方法及びこれにより製造した包装チーズ

【課題】少なくとも2層以上に積層されているチーズを、当該積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分ける複数のチーズ切断刃を備えているチーズ切断装置を用いて、当該積層されている状態で前記チーズを複数個のチーズポーションに切り分け、当該切り分けた後の各チーズポーションをそれぞれ包装する包装チーズの製造方法とこれによって製造した包装チーズ。
【解決手段】チーズ切断装置は、複数のチーズ切断刃のそれぞれが、当該チーズ切断刃によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面の接触を遮断する形状の刃体からなり、当該刃体の一方の端に当該刃体をチーズ切断装置の本体部に固定する取付部を備えていると共に、当該取付部から当該取付部に対向する側にあたる先端部までの当該刃体の長手方向の上側部に切断部を備えていて、前記チーズ切断刃によって前記チーズを切断した際に、切断された各チーズポーションの下側部分を隣接している前記チーズ切断刃によって保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は扁平な円柱状のチーズをその中央を中心として放射状に複数個にポーションカットし、こうしてポーションカットされた各チーズ切片を包装するチーズ包装機に関する。特に、風味物質を間に挟む、異なる種類のチーズを組み合わせる、同じチーズでもサイズ(高さ)を調整する、等の事情で、少なくとも2層以上に積層されているチーズを、積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分け、切り分けられた積層されている状態の各チーズポーションを包装することに適したチーズ包装機に関する。
【0002】
また、本発明は、前記のようにポーションカットされた各チーズ切片を包装してなる包装チーズの製造方法及びこれにより製造した包装チーズに関する。
【0003】
なお、本発明においては、切断された(ポーションカットされた)「チーズ切片」(例えば、円筒状のチーズを放射状に切断した平面視で扇形の柱状体)を、「チーズポーション」という。
【背景技術】
【0004】
従来、香辛料等の風味物質をカマンベールチーズ等のカビによる表面熟成軟質チーズに添加した風味物質入りチーズ53(図11(a))の製品は、例えば、図10に示すように、熟成途中のチーズカード50(図10(a))を上下に2等分し(図10(b))、この2等分した切断面に香辛料等の風味物質52を散布した後に(図10(c))、元の状態に重ね合わせて作られている(図10(d))。
【0005】
このように香辛料等の風味物質52を挟んだ直後に、そのままチーズ包装機のチーズ切断装置によってポーションカットを行なうが、この際、従来のチーズ切断装置56(図11(a))に使用されている従来のチーズ切断刃57(図12(a))は、その幅、すなわち、切断対象のチーズ53(図11(a))の上面と下面との間に対応する上下の間隔である幅が、切断対象のチーズ53(図11(a))の上面と下面との間の間隔よりも小さいのが一般的であった。
【0006】
すなわち、チーズ切断刃57の長手方向(図12(a)中、左右方向)全長にわたって、チーズ切断刃57の幅が、切断対象のチーズ53(図11(a))の上面と下面との間の間隔と同等であるようなチーズ切断刃は使用されていなかった。
【0007】
そのため、図11(a)図示のように、チーズ切断装置56によって扁平な円柱状のチーズ53を、例えば、放射状に6ピースのチーズポーションに切断した状態では、図12(b)図示のように、チーズ切断刃57の幅が狭く、図12(b)に符号59bで示すチーズカット面の下半分まで保持し、カット面同士の接触を遮断することが出来なかった。
【0008】
そして、カット工程から各チーズポーション毎に分離する工程においても、所定のチーズポーションを取り出す際に、切断面同士の接触によって隣接する他のチーズポーションの形状にずれを生じさせたり、さらには隣接する他のチーズポーションの下層部分59bが落下してしまうという問題が生じていた。
【0009】
図11は、従来のチーズ包装機に使用されている従来のチーズ切断装置56の概略斜視図であり、図12はこの従来のチーズ切断装置で使用されている従来のチーズ切断刃57の正面図である。
【0010】
図11に示すように、風味物質を間に挟んだ風味物質入りチーズ53は、矢示55の方向からチーズ切断装置56に取り入れられ、チーズ53に向けた刃先60(図12(a))を有する6枚の放射状に配置された切断刃57a〜57fにより6個のチーズポーション59にカットされる。
【0011】
そしてカットされた各チーズポーション59は、図11(b)に示すように、切断刃57a〜57fが入刀されている状態で、チーズポーション59の径方向外側から径方向中心側に向かって支え部58a〜58fに押されることによってそれぞれ支持される。
【0012】
この支え部58a〜58fによる、径方向外側から径方向中心側に向かってチーズポーション59をチーズポーションの側面から押し付けている動作が、支え部58a〜58fの一枚ごとに、順次、解除され、各チーズポーション59が一個ずつ、上方から下方に、順次、落とし込まれ、さらに移送されて包装工程に進むことになる。
【0013】
ところが、図12(b)図示のように、チーズ切断刃57の上下の幅が狭い場合、図11(b)図示のように、隣接しているチーズ切断刃57a、57fによっても、チーズポーション59の下層部分59bを保持できないという状態が生じる。
【0014】
この場合、隣接しているチーズ切断刃57a、57fで保持されていない下層部分59bが下側方向に落下する不具合が生じることがある。
【0015】
また、支え部58a〜58fによる、径方向外側から径方向中心側に向かってチーズポーション59をチーズポーションの側面から押し付けている動作を解除し、チーズポーション59を落下させる際に、隣接する他のチーズポーション59との間に接触が生じ、特に、隣接する他のチーズポーション59の下層部分59bが、下方に落下しようとしているチーズポーション59の下層部分59bに引きずられるようにして落下、あるいは下側方向に若干移動してしまう現象が生じていた。
【0016】
これは、風味物質52を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズの上層部分59aと、下層部分59bとの間で十分な結着、一体化がなされていない一方、隣接するチーズポーション59相互の切断面に互いに接触する部分がある(特に、図11(b)、図12(b)図示のように隣接している2枚のチーズ切断刃の間に存在するチーズポーション59の下層部分59bが、隣接するチーズポーション59の下層部分59bに接触する)ことから生じているものと思われる。
【0017】
従来から切断刃においては、切断処理を行った切断刃と切断された食品との間の付着を防止することを目的とした提案がされている(例えば、特許文献1)。
【0018】
またカットされたチーズの間に風味物質を添加した後、ポーションカットを少なくとも1日以上の熟成期間をおいて行なうことにより、ポーションカット時に問題が生じないようにする技術も提案されている(特許文献2)。
【0019】
しかし、ポーションカット時に問題が生じないようにすることを目的とした前記技術においても、ポーションカットを行なう際には、少なくとも2層以上に積層されているチーズの分離されている上下各層の間では十分な結着、一体化がなされていない。
【0020】
そこで、これを積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分け、切断された各チーズポーションを順次下側方向に移動させる場合に、上層部分と結着、一体化していない下層部分が、図12(b)図示のように、チーズ切断刃57の上下の幅が狭いと、図11(b)図示のように、隣接しているチーズ切断刃57a、57fによっても、チーズポーション59の下層部分59bを保持できないという状態が生じ、隣接しているチーズ切断刃57a、57fで保持されていない下層部分59bが下側方向に落下したり、隣接するチーズポーションの下層部分に引きずられて落下してしまう、あるいは下側方向に若干移動してしまうという事態が発生してしまう。
【0021】
このような事態の発生を未然に防止できる機能を備えたチーズ包装機(扁平な円柱状のチーズをその中央を中心として放射状に複数個にポーションカットし、こうしてポーションカットされた各チーズポーションを包装するチーズ包装機)はこれまで提案されていなかった。
【特許文献1】特開平11−123696号公報
【特許文献2】特開2007−20536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
前述したように、風味物質などを間に挟む、異なる種類のチーズを組み合わせる、同じチーズでもサイズ(高さ)を調整するなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズの分離されている上下各層の間で十分な結着、一体化がなされていない場合であって、これを積層されている状態でチーズ切断刃によって複数個のチーズポーションに切り分け、当該切断された各チーズポーションを、チーズ切断刃を挟んで隣接している各チーズポーション毎に順次下側方向に移動させるときに、上層部分と結着、一体化していない下層部分が、隣接するチーズポーションの下層部分に引きずられて落下してしまう、あるいは下側方向に若干移動してしまうと、包装工程において前記のように積層されている各ポーションを包装する際に、上層部分と下層部分とがずれていて、包装が困難になるというような問題が生じる。
【0023】
そこで、この発明は、風味物質を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズの分離されている上下各層の間で十分な結着、一体化がなされていない場合であって、これを積層されている状態でチーズ切断刃によって複数個のチーズポーションに切り分け、当該切断された各チーズポーションをチーズ切断刃を挟んで隣接している各チーズポーション毎に順次下側方向に移動させるときに、上層部分と結着、一体化していない下層部分が、隣接するチーズポーションの下層部分に引きずられて落下してしまう、あるいは下側方向に若干移動してしまうという事態の発生を未然に防止でき、ポーションカットを良好に行うことができるチーズ包装機を提案することを目的にしている。
【0024】
また、本発明は、前記のようにポーションカットされた各チーズ切片を包装してなる包装チーズの製造方法及びこれにより製造した包装チーズを提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、チーズ包装機に具備されているチーズ切断機に採用されているチーズ切断刃の刃体の形状を工夫改良することによって、前記課題の解決を図ったものである。
【0026】
すなわち、前記目的を達成するために本発明は、風味物質を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズを、積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分けるチーズ切断刃を有するチーズ切断装置を備えていて、前記チーズポーションの包装を行うチーズ包装機であって、前記チーズ切断刃は、当該チーズ切断刃によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面の接触を遮断する形状の刃体からなり、当該刃体の一方の端に当該刃体をチーズ切断装置の本体部に固定する取付部を備えていると共に、当該取付部から当該取付部に対向する側にあたる先端部までの当該刃体の長手方向の上側部に切断部を備えていることを特徴とするチーズ包装機を提案するものである。
【0027】
また、本発明が提案する他のチーズ包装機は、風味物質を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズを積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分けるチーズ切断刃を有するチーズ切断装置を備えていて、前記チーズポーションの包装を行うチーズ包装機であって、前記チーズ切断刃は、当該チーズ切断刃によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面を覆う大きさを有する刃体からなり、複数個のチーズポーションに切り分けたチーズ切断後も前記積層チーズの最下層の切断面に切断刃が接触しているだけの刃幅を有し、当該刃体の一方の端に当該刃体をチーズ切断装置の本体部に固定する取付部を備えていると共に、当該取付部から当該取付部に対向する側にあたる先端部までの当該刃体の長手方向の上側部に切断部を備え、当該切断部を一辺とする方形状であることを特徴とするものである。
【0028】
このような本発明のチーズ包装機に具備されている本発明のチーズ切断装置に採用されている本発明のチーズ切断刃によれば、チーズ切断刃を当該切断刃によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面の接触を遮断する形状の刃体からなるものとすることにより、あるいは、チーズ切断刃によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面を覆う大きさを有する刃体からなるものとすることにより、従来のチーズ切断刃では、その幅(チーズの上下面の間隔に対応する幅)が狭いことにより、隣接するチーズ切断刃の間に存在する、当該隣接するチーズ切断刃によって切断されたチーズポーションの下半分部分を当該隣接するチーズ切断刃で効果的に保持できなかったものが、保持できるようになる。
【0029】
これによって、チーズ切断刃によって切り分けられた複数個のチーズポーションを、チーズ切断刃を挟んで隣接している各チーズポーション毎に、上方から順次、下側に落下させるときに、上層と結着、一体化していない下層が、隣接するチーズポーションの下層に引きずられて落下してしまう、あるいは下側方向に若干移動してしまうという事態の発生を未然に防止でき、ポーションカットを良好に行うことができる。
【0030】
前記いずれのチーズ包装機においても、前記チーズ切断刃の刃体には、当該刃体の一方の側面と他方の側面との間をつなぐ、少なくとも1以上の開口が設けられている形態にすることができる。
【0031】
前述したように、本発明によれば、従来のチーズ包装機に具備されている従来のチーズ切断機に採用されている従来のチーズ切断刃では、その幅(チーズの上下面の間隔に対応する幅)が狭いことにより、隣接するチーズ切断刃の間に存在する、当該隣接するチーズ切断刃によって切断されたチーズポーションの下半分部分を当該隣接するチーズ切断刃で効果的に保持できなかったものが、保持できるようになる。
【0032】
このように、隣接するチーズポーションの切断面同士の接触を刃体で遮断することで、隣接するチーズポーションの落下等の影響を抑えることができた。
【0033】
しかしチーズポーションの切断面と刃体が接触する面積が広い場合は、当該刃体へのチーズ付着量が増加するという新たな問題が生じる。
【0034】
そこで、チーズ切断刃を当該切断刃によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面の接触を遮断する形状の刃体からなるものとする、あるいは、チーズ切断刃によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面を覆う大きさを有する刃体からなるものとするという条件下で、当該刃体へのチーズ付着量を抑えるために、刃体に少なくとも1以上の貫通した開口を設け、チーズの付着量を抑えたものである。
【0035】
以上説明した本発明のチーズ包装機におけるいずれのチーズ切断刃においても、前記切断刃の刃体は、前記取付部に対向する側にあたる先端部において、下側に切欠部又は傾斜部を備えた形態にすることができる。
【0036】
本発明チーズ包装機に採用されている本発明のチーズ切断刃を、前記先端部を中心側とし、前記取付部が径方向外側になるように複数枚放射状に配置して本発明のチーズ切断装置を構成した場合を考慮し、放射状の中心に位置する各切断刃の刃体の先端部の面積を小さくすることでチーズポーションとの接触面を少なくして、平面視で扇形となるチーズポーションの先鋭部の欠けを防止するものである。
【0037】
また、以上説明した本発明のチーズ包装機におけるいずれのチーズ切断刃においても、前記チーズ切断刃は、更に、前記チーズポーション相互の切断面の接触を遮断する板状部材を、前記刃体の一部または前記取付部の一部から、当該刃体の下部で当該刃体と平行に延在するように備えている形態にすることができる。
【0038】
あるいは、以上説明した本発明のチーズ包装機において、前記チーズ切断装置は、前記チーズポーション相互の切断面の接触を遮断する、前記刃体から分離して前記チーズ切断装置の本体部に固定取付けしたL字状の板状部材を、前記刃体の下部に、前記刃体と平行となる位置に、更に、備えている形態にすることができる。
【0039】
上記板状部材は、いずれも刃体の下部においてチーズポーション相互の切断面の接触を遮断するものである。
【0040】
次に、前記目的を達成するために本発明が提案する更に他のチーズ包装機は、風味物質を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズを、積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分けるチーズ切断刃を有するチーズ切断装置を備えていて、前記チーズポーションの包装を行うチーズ包装機であって、前記チーズ切断刃は、当該チーズ切断刃によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面の接触を遮断する形状の刃体からなり、当該刃体の一方の端に当該刃体をチーズ切断装置の本体部に固定する取付部を備えていると共に、当該取付部から当該取付部に対向する側にあたる先端部までの当該刃体の長手方向の上側部に切断部を備え、当該切断部の下側に、当該切断部から下側に向かって延び、隣接するチーズポーション相互の切断面の接触を遮断する少なくとも1以上の棒状又は細長い板状の分離部材を備えていることを特徴とするものである。
【0041】
このように上側に刃先部を備えている刃体の下に棒状又は細長い板状の分離部材を備えていることにより、チーズを当該チーズ切断刃を挟んで複数の隣接するチーズポーションに切断したときに、前記棒状又は細長い板状の分離部材によって、隣接するチーズポーション相互の切断面の接触防止と、チーズの付着量の増加防止との双方の効果が達成される。また、前記棒状又は細長い板状の分離部材によって隣接する2枚のチーズ切断刃によって切断され、当該隣接する2枚のチーズ切断刃の間に存在するチーズポーションは、上側から下側まで、全体が、刃体及び棒状の分離部材、又は刃体及び細長い板状の分離部材によって安定して保持されるという効果をもたらすことができる。
【0042】
棒状又は細長い板状の分離部材であれば、チーズの付着量は少なく、また刃体及び刃体から刃体の下側に向かって延びる棒状又は細長い板状の分離部材によって、前記の切断されているチーズポーションが上側から下側まで全体が保持されるからである。
【0043】
また、前記目的を達成するために本発明が提案する更に他のチーズ包装機は、風味物質を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズを、積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分けるチーズ切断刃を有するチーズ切断装置を備えていて、前記チーズポーションの包装を行うチーズ包装機であって、前記チーズ切断刃は、当該チーズ切断刃を構成する刃体の一方の端に当該刃体をチーズ切断装置の本体部に固定する取付部を備え、当該刃体は、切り分けられた積層チーズを積層されている状態で刃体の間に保持したままチーズポーションの最下層を0.05N以下の力で下から引っ張っても落下しないものである。
【0044】
0.05Nとは、ポーションに切り分けるまでのチーズ搬送中にチーズの最下部が落下しない状態のチーズを、チーズの最下部を下から引っ張っても落下しない力の度合いである。
【0045】
チーズを複数のチーズポーションに切断したときに、隣接する2枚の刃体の間に存在する当該隣接する2枚の刃体によって切断されたチーズポーションを、当該隣接する2枚の刃体の間に存在している状態から0.05N以下の力で下から引っ張っても落下しないと、隣接するチーズポーションの移動による影響を受けるおそれがないので好ましい。
【0046】
更に、前記目的を達成するために本発明が提案する更に他のチーズ包装機は、風味物質を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズを、積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分けるチーズ切断刃を有するチーズ切断装置を備えていて、前記チーズポーションの包装を行うチーズ包装機であって、当該切断刃を構成する刃体はその一方の端に当該刃体をチーズ包装機の本体部に固定する取付部を備え、当該刃体は、少なくとも2層以上に積層されているチーズを積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分ける際に当該刃体に付着するチーズの量または、チーズカスをチーズ1ポーションの重量の5%以下に抑えるものである。
【0047】
少なくとも2層以上に積層されているチーズを積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分ける際に当該刃体に付着するチーズの量またはチーズカスを、チーズ1ポーションの重量の5%以下に抑えると、長時間運転で発生する掃除による停止回数が減少できる、また、チーズポーションの切断面に与える影響が僅少であるので好ましい。
【0048】
以上に説明した本発明のいずれのチーズ包装機に採用されている本発明のチーズ切断刃においても、前記切断刃の刃体の表面を凸凹加工、フッ素樹脂加工(例えば、テフロン(登録商標)加工)、又はチタン加工等がなされている形態にすることができる。刃体へのチーズ付着防止の効果をより高めるためである。
【0049】
なお、以上に説明した本発明のいずれのチーズ包装機においても、前記チーズ切断装置は、複数枚のチーズ切断刃を、各チーズ切断刃の前記先端部がチーズ切断装置における中心側、前記取付部がチーズ切断装置における径方向外側になるようにして、複数枚放射状に配列されている状態で備えているものとすることができる。
【0050】
以上に説明した本発明のチーズ包装機に具備されている本発明のチーズ切断装置によるチーズ切断方法は、前記本発明のチーズ包装機に具備されている本発明のチーズ切断装置を用いて、風味物質を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズを、積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分けるチーズ切断方法であって、前記チーズを前記切断刃の上方から前記切断刃の下側方向に向けて押し付けて複数個のチーズポーションに切断する工程と、切断されたチーズポーションを前記切断刃で仕切られた状態でそれぞれ分離する工程を備えてなるものである。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、風味物質を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズの分離されている上下各層の間で十分な結着、一体化がなされていない場合であって、これを積層されている状態でチーズ切断刃によって複数個のチーズポーションに切り分け、当該切断された各チーズポーションを、チーズ切断刃を挟んで隣接している各チーズポーション毎に、上方から順次下側方向に移動させるときに、上層部分と結着、一体化していない下層部分が、隣接するチーズポーションの下層部分に引きずられて落下してしまう、あるいは下側方向に若干移動してしまうという事態の発生を未然に防止でき、ポーションカットを良好に行うことができるチーズ切断装置を備えているチーズ包装機を提供することができる。
【0052】
また、本発明によれば、前記のようにポーションカットされた各チーズ切片を包装してなる包装チーズの製造方法及びこれにより製造した包装チーズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のチーズ切断装置を備えている本発明のチーズ包装機の一例を説明する概要図。
【図2】(a)本発明のチーズ包装機に採用されている本発明のチーズ切断装置の実施例を示す概略斜視図、(b)チーズが各チーズポーションに切り分けられ、隣接するチーズ切断刃、支持部によって保持及び支持されている状態を説明する斜視図。
【図3】(a)、(b)、(c)は、それぞれ、本発明のチーズ切断装置に採用されている本発明のチーズ切断刃の正面図。
【図4】(a)、(b)は、それぞれ、本発明のチーズ切断装置に採用されている本発明のチーズ切断刃の正面図。
【図5】(a)、(b)、(c)は、それぞれ、本発明のチーズ切断装置に採用されている本発明のチーズ切断刃の正面図。
【図6】(a)、(b)は、それぞれ、本発明のチーズ切断装置に採用されている本発明のチーズ切断刃の正面図。
【図7】(a)、(b)は、それぞれ、本発明のチーズ切断装置に採用されている本発明のチーズ切断刃の正面図。
【図8】(a)、(b)、(c)は、それぞれ、本発明のチーズ切断装置に採用されている本発明のチーズ切断刃の正面図。
【図9】(a)、(b)は、それぞれ、本発明のチーズ切断装置に採用されている本発明のチーズ切断刃の正面図。
【図10】(a)〜(d)は、風味物質を挟んだ2層チーズの製造工程を説明する図。
【図11】(a)従来使用されているチーズ切断装置の概略斜視図、(b)チーズが各チーズポーションに切り分けられ、隣接するチーズ切断刃、支持部によって保持及び支持されている状態を説明する斜視図。
【図12】(a)、(b)は、それぞれ、従来のチーズ切断刃の正面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、図1を参照して本発明の包装チーズの製造方法に使用する本発明のチーズ包装機の実施形態を説明する。
【0055】
図1は、本発明のチーズ切断装置11を備えている本発明のチーズ包装機10の概要を説明する図である。
【0056】
図1に示すように、チーズ包装機10は、ベルトコンベア100で運ばれてきた、風味物質を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されている扁平な円柱状のチーズ31を、符号107で示されている製品のように、放射状に6個のチーズポーション15に切断するチーズ切断装置11と、各包装機器を備えている。
【0057】
包装機器には、主としてチーズ切断装置11によって切断されたチーズポーション15を配列・搬送する装置102、チーズポーション15を包装する装置105、包装されたチーズポーション15を配列・搬送する装置106が含まれている。
【0058】
すなわち、コンベア100で運ばれてきた(矢示101aの方向)、風味物質を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されている扁平な円柱状のチーズ31を矢示(101b〜101e)方向に図示しない搬送装置でチーズ切断装置11に搬送する。
【0059】
チーズ切断装置11は、後述するように6枚のチーズ切断刃を中心から放射状に配置したもので、その刃先である切断部を真上に向けて置かれている。チーズ31はチーズ切断装置11と同心円の中心真上から、チーズ切断装置11に搬入され、チーズ切断刃により6個のチーズポーション15にカットされる。
【0060】
チーズ切断装置11では、チーズ切断刃をチーズ31に入刀した状態に保持し、チーズポーション15をそれぞれ配列・搬送する装置102に落下させて送る(矢示101f)。
【0061】
送られたチーズポーション15は矢示(101g、101h)の向きに回転、直進して包装する装置105に搬送される(矢示101i)。
【0062】
包装する装置105でそれぞれ包装されたチーズポーション15は、包装されたチーズポーション15を配列・搬送する装置106を経て、製品(107)として出荷される(101k)。
【0063】
上記した本実施形態のチーズ包装機10は、本発明のチーズ切断装置11を備えたもので、この本発明のチーズ切断装置11に具備されている本発明のチーズ切断刃に特徴を有するものである。
【0064】
以下、添付図面を参照して本発明の特徴的な部分である本発明のチーズ切断刃を備えている本発明のチーズ切断装置11とこれを用いた本発明の包装チーズの製造方法及びこれによって製造した本発明の包装チーズについて更に説明する。
【実施例1】
【0065】
図2(a)は、本発明のチーズ包装機に含まれる本発明のチーズ切断装置11の一例を説明する概略斜視図であり、図3(a)は、このチーズ切断装置11で使用する本発明のチーズ切断刃13の正面図である。
【0066】
図1(a)図示の本発明のチーズ切断装置11は、図10(a)〜(d)で説明したように、風味物質52を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズ31(図1)を、図10(d)図示のように積層されている状態で複数個のチーズポーション15に切り分けるものである。
【0067】
チーズ切断装置11は、図11を用いて説明した従来のチーズ切断装置56において、チーズ切断用に配備されているチーズ切断刃が、図3(a)図示のチーズ切断刃13に置き換えられている点のみ相違しているものである。
【0068】
チーズ切断装置11は、図3(a)図示の本発明のチーズ切断刃13が、図2(a)図示の例では、先端部(図3(a)中、右側端部)を中心側とし、取付部22(図3(a)中、左側部)が径方向外側になるように複数枚放射状に配置されている。図2(a)図示の例では6枚の切断刃13a、13b、13c、13d、13e、13fが放射状に配置されている。なお、本明細書において、切断刃13a〜13fを総称して「切断刃13」と表すことがある。
【0069】
このような本発明のチーズ切断装置11に使用される本発明のチーズ切断刃13は、図10(a)〜(d)で説明したように、風味物質52を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズ31(図2)を、図10(d)図示のように積層されている状態で複数個のチーズポーション15に切り分けるものである。
【0070】
そして、このチーズ切断刃13は、図3(a)図示のように切断刃13によって切断された隣接するチーズポーション15相互の切断面の接触を遮断する形状の刃体21からなる。この刃体21は、その一方の端(図3(a)中、左側部)に刃体21を図2図示のチーズ切断装置11に固定する取付部22を備えている。また、この刃体21は、取付部22から取付部22に対向する側にあたる先端部(図3(a)中、右側端部)までの刃体21の長手方向の上側部に先鋭部からなる刃先部23を備えている。
【0071】
すなわち、本発明のチーズ切断刃13は、チーズ切断刃13によって切断された隣接するチーズポーション15相互の切断面を、図3(a)図示のように覆う大きさを有する刃体21からなる。そして、この刃体21の一方の端(図3(a)中、左側部)に刃体21を図2(a)図示のチーズ切断装置に固定する取付部22を備え、取付部22から取付部22に対向する側にあたる先端部(図3(a)中、右側端部)までの刃体21の長手方向の上側部に先鋭部からなる刃先部23を備え、図3(a)図示のように、この刃先部23を一辺とする方形状を有するものである。
【0072】
図2(a)に例示する本発明のチーズ切断装置11は、6枚のチーズ切断刃13a〜13fが、それぞれ先端部(図3(a)中、右側端部)を径方向の中心、取付部22が径方向外側に向けて配置されて、各切断刃13a〜13fの取付部22がチーズ切断装置11の輪状体にねじ又は溶接などの手段によって固定取り付けされているものである。
【0073】
図2(a)図示のチーズ切断装置11では、切断刃13により切断された6個のチーズポーション15は、図2(a)に示すように切断刃13a〜13fが入刀されている状態で、図2(b)に示すようにチーズポーション15を径方向外側から径方向中心側に向かって押し付ける支え部16a、16b、16c、16d、16e、16f(以下、総称して「支え部16」と表すことがある)の働きによってそれぞれ支持される。
【0074】
この支え部16a〜16fが、一枚ずつ、順次、前述した径方向外側から径方向中心側に向かってチーズポーション15を押し付ける支持動作を解除することにより、各チーズポーション15が、一個ずつ、上方から順次、下方に落とし込まれ、さらに移送されて、包装する工程(図1の包装する装置105)に進むことになる。
【0075】
図2(a)図示の本発明のチーズ切断装置11によるチーズ31の切断は、風味物質52を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズ31を、積層されている状態で複数個のチーズポーション15に切り分けるものである。
【0076】
例えば、図10(a)〜(d)で説明したように、風味物質52を間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されている円柱状のチーズ31(図2(a))を、図示のように積層されている状態で、チーズ切断装置11の上部同軸上の上方から、図2(a)に矢印14で示すように、切断刃13の下側方向に向けて押し付けて複数個のチーズポーション15に切断する。
【0077】
すなわち、チーズ切断装置11に配備されている切断刃13の上側部は先鋭部からなる刃先部23となっているので、チーズ31は底部から天部に向けて刃先23が侵入して放射状に6個のチーズポーション15に切断される。
【0078】
チーズ31が上から下に向けて矢印14のように移動することは、相対運動としては刃先部23がチーズ31の底部から天部まで移動することであり、チーズ31は6個の図2(a)図示のような平面扇形状のチーズポーション15に切断される。
【0079】
こうしてチーズ切断装置11の切断刃13によって切断されたチーズポーション15は、隣接するチーズ切断刃、例えば、図2(b)図示のように、隣接するチーズ切断刃13a、13fによって、図2(b)に符号15で示されるその下半分部分を安定的に保持されつつ、各支え部16、例えば、支え部16fによって、径方向外側から径方向中心側に向かって押されて、支持される。
【0080】
ここで、支え部16a、16b、16c、16d、16e、16fが一枚ずつ、順次、前述した径方向外側から径方向中心側に向かって各チーズポーション15をチーズの側面から押し付けた状態のものを、各チーズ15が一個ずつ、上方から順次、下方に落とし込まれ、チーズ切断装置11の下部に配置されている装置(図1の配列・搬送する装置102)に落下させられる。
【0081】
すなわち、前記のように切断されたチーズポーション15は切断刃13a、13b、13c、13d、13e、13fで仕切られた状態でそれぞれ分離され、チーズ切断装置11の下部に配置されている装置(図1の配列・搬送する装置102)に落下させられる。
【0082】
図2(a)図示のように、チーズ31が6個の平面視で扇形状のチーズポーション15に切断されたとき、6個のチーズポーション15は、それぞれ、切断された隣接するチーズポーション15相互の切断面の接触を遮断する形状の刃体21からなる切断刃13、すなわち、切断された隣接するチーズポーション15相互の切断面を覆う大きさを有する刃体21からなる切断刃13によって、隣接するチーズポーション15から切り分けられているので、隣接する各チーズポーション15の切断面同士の接触が防止されている。
【0083】
また切断刃13の形状によって、切断された隣接するチーズポーション相互の切断面の接触を遮断することにもなっている。
【0084】
したがって、風味物質52などを間に挟むなどの事情で少なくとも2層以上に積層されているチーズの分離されている上層15a、下層15bの間で十分な結着、一体化がなされていない場合であって、これを図10(d)、図1図示のように積層されている状態で複数個のチーズポーション15に切り分け、切断された各チーズポーション15を上方から順次、下側方向に移動させるときに、上層51aと結着、一体化していない下層51bが、隣接するチーズポーションの下層15bに引きずられて落下してしまう、あるいは下側方向に若干移動してしまうという事態の発生を未然に防止でき、ポーションカットを良好に行うことができる。
【0085】
すなわち、チーズ切断刃13は、図3(a)図示のように切断刃13によって切断された隣接するチーズポーション15相互の切断面の接触を遮断する形状の刃体21からなり、また、切断刃13によって切断された隣接するチーズポーション相互15の切断面を、図3(a)図示のように覆う大きさを有する刃体21からなるので、チーズ切断装置11の切断刃13によって切断されたチーズポーション15は、隣接するチーズ切断刃、例えば、図2(b)図示のように、隣接するチーズ切断刃13a、13fによって、図2(b)に符号15で示されるその下半分部分をも安定的に保持されつつ、各支え部16、例えば、支え部16fによって、径方向外側から径方向中心側に向かって押されて、支持される。
【0086】
なおかつ、図2(a)図示のように、チーズ31が6個の平面扇形状のチーズポーション15に切断されたとき、6個のチーズポーション15は、それぞれ、切断された隣接するチーズポーション15相互の切断面の接触を遮断する形状の刃体21からなる切断刃13、すなわち、切断された隣接するチーズポーション15相互の切断面を覆う大きさを有する刃体21からなる切断刃13によって、隣接するチーズポーション15から切り分けられて、隣接する各チーズポーション15の切断面同士の接触が防止されている。そこで、支え部16a〜16fが一枚ずつ、順次、径方向外側から径方向中心側に向かって各チーズポーション15をチーズの側面から押し付けている状態のものを、当該押し付け状態を解除することにより、各チーズ15が一個ずつ、上方から順次、下方に落とし込まれ、チーズ切断装置11の下部に配置されている装置(図1の配列・搬送する装置102)に落下していくとき、上層15aと結着、一体化していない下層15bが、隣接するチーズポーションの下層15bに引きずられて落下してしまう、あるいは下側方向に若干移動してしまうという事態の発生を未然に防止でき、ポーションカットを良好に行うことができる。
【0087】
こうして図1の配列・搬送する装置102に落下されたチーズポーション15は、包装工程(図1の包装する装置105)に移送される。
【実施例2】
【0088】
図3(b)は本発明の他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)を用いて実施例1で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0089】
図3(b)図示の切断刃13において刃体21は、長方形状のものを先端部に傾斜32を付けるべく刃先部の先端位置から下方に向けて三角部分33切り取ったものである。そして刃体21には長手方向に3個の開口35を設けたものである。
【0090】
図3(b)図示のように、切断刃13の刃体21は、長方形状であり、切断刃13によって切断された隣接するチーズポーション15相互の切断面の接触を遮断する形状を有する、すなわち、切断刃13によって切断された隣接するチーズポーション15相互の切断面を覆う大きさを有する。
【0091】
かかる形態を有する刃体21切断刃13によって隣接するチーズポーション15が切り分けられているので、隣接する各チーズポーション15の切断面同士の接触が防止され、同時に、切断されたチーズポーションは、隣接するチーズ切断刃、例えば、図2(b)図示のように、隣接するチーズ切断刃13a、13fによって、図2(b)に符号15で示されるその下半分部分をも安定的に保持される。
【0092】
また、開口35によって刃体21の一方の側面と他方の側面との間がつながれ、開口35を3個並設して設けることで、隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21となっていると共に、刃体21へのチーズ付着を防止することができる。
【0093】
更に、先端部に傾斜32を設けることで、平面視で扇形のチーズポーション15の先端中心部の破損欠落を防止することができる。刃体21との接触部分を低減して摩擦力等を抑えたからである。
【実施例3】
【0094】
図3(c)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)、図3(b)を用いて実施例1、2で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1、2と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0095】
本実施例では、実施例2で設けた傾斜にかえて刃先部23の先端部の下側に長方形状の切欠き34を形成したものであり、横並びに設けた刃体21の側面と他方の側面との間をつなぐ、3個の開口35は取付部22に向けて徐々に開口面積が小さくなっている。
【0096】
切り欠き34を設けたことで、平面視で扇形のチーズポーション15の先端中心部の破損欠落を防止することができる。
【0097】
また開口35の大きさを、チーズポーション15の断面に接する部分を大きめにとって、チーズの付着部分を予め除いたものである。これより刃体21へのチーズ付着量を低減させることができる。
【0098】
また本実施例での刃体21は、隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっている。
【実施例4】
【0099】
図4(a)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0100】
本実施例では、実施例2で設けた開口35のうち取付部22側の開口の枠を取り除き、開口部分を切り欠きにしたものである。
【0101】
これはチーズポーション15の切断面と触れない部分に刃体21が必要ないとの理由に基づくものである。これにより刃体21は実施例2よりも小さくなるが、隣接するチーズポーション15の落下防止という本来の効果を維持しつつ、刃体21へのチーズ付着量の減少を図るものである。
【0102】
上記開口35は、刃体21の一方の側面との間をつなぐものであり、また本実施例での刃体21は、隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっている。
【実施例5】
【0103】
図4(b)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0104】
図4(b)図示の切断刃13は、刃先部23の下側に、刃先部23から下側に向かって延び、隣接するチーズポーション15相互の切断面の接触を遮断する棒状の分離36a、36bを備えているものである。
【0105】
分離部材36a、36bを取付けることで、隣接するチーズポーション15の切断面相互が接触することを防止できる。そして棒状の分離部材36a、36bとしたことでチーズ付着量の減少も図ることができる。
【0106】
即ち切断刃13は、切断刃13によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面の接触を遮断する形状の刃体21からなり、刃体21の一方の端に刃体21をチーズ切断装置11の本体部に固定する取付部22を備えていると共に、取付部21から取付部21に対向する側にあたる先端部までの刃体21の長手方向の上側部に切断部23を備え、切断部23の下側に、切断部23から下側に向かって延び、隣接するチーズポーション相互の切断面の接触を遮断する2本の棒状の分離部材36a、36bが配備されているものである。
【0107】
なお、図示の例では、分離部材36a、36bは棒状のものとしたが、分離部材36a、36bとして、細長い板状のものを一枚又は複数枚採用しても同様の作用・効果を発揮させることができる。
【0108】
(試験例)
以上の実施例1〜5で説明した本発明のチーズ切断刃13各6枚を、それぞれ、図2図示の本発明のチーズ切断装置11に取り付け、実施例1で説明した本発明のチーズ切断方法により、風味物質52などを間に挟んで2層に積層されているチーズの分離されている上層15a、下層15bの間で十分な結着、一体化がなされていない場合であって、これを図10(d)、図2図示のように積層されている状態で複数個のチーズポーション15に切り分け、切断された各チーズポーション15を隣接するチーズポーション15ごとに、上方から順次、下側方向に落下させる試験を行った。
【0109】
また、切断された各チーズポーション15を隣接するチーズポーション15ごとに、上方から順次、下側方向に落下させるときに、上層15aと結着、一体化していない下層15bが、隣接するチーズポーションの下層15bに引きずられて落下する回数を、図3(b)図示の本発明の切断刃13が取り付けられている図2図示の本発明のチーズ切断装置11を使用した場合と、図12図示の現状の切断刃57(切断刃(現))が取り付けられている図11図示の従来のチーズ包装機とで比較した。
【0110】
この試験のデータ一覧を表1に示す。表1では実施例1〜実施例5までの切断刃をそれぞれ記号N1〜N5と表示する。
【表1】

【0111】
表1の一覧に示すように、従来のチーズ切断刃、従来のチーズ包装機では、チーズポーション15の取り出しの際、他のチーズポーション15を高頻度で落下させているが、実施例1から5までのチーズ切断刃13を使用した本発明のチーズ切断装置11は隣接するチーズポーション15の落下防止という当初の目的を達成することができた。
【0112】
そして切断刃13へのチーズ付着量については、従来のチーズ切断刃を使用したものは、少ないとのデータがある一方、実施例2のものは付着量が少ないものの、実施例4は多少ありで、実施例1、3は多量という結果となった。実施例5の付着量は少ないものの、カスが多いとの結果であった。
【0113】
よって実施例2のように、十分な開口を取ることで隣接するチーズポーション15の落下防止を図るとともに、チーズの付着も抑えることができることが判明した。
【0114】
また、表1の一覧に示すように、従来の切断刃57が落下率4.7パーセントであるのに対し、実施例2では594回の取り出しにおいて、隣接するチーズポーション15の落下は皆無であった。
【0115】
以下、チーズ切断刃13の他の実施例(実施例6ないし実施例17)について、上記した実施例との変更部分を中心に説明する。
【実施例6】
【0116】
図5(a)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0117】
図5(a)図示の切断刃13は、実施例1の切断刃13の刃体21に横長形状の開口35を設けたものである。実施例1と比較して開口35を広く設けたことから刃体21へのチーズ付着量の減少を図ることができる。
【0118】
また上記開口35は、刃体21の一方の側面との間をつなぐものであり、また本実施例での刃体21は、隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっている。
【実施例7】
【0119】
図5(b)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0120】
図5(b)図示の切断刃13は、実施例1の切断刃の刃体に長方形状の開口35を3個長手方向、すなわち水平方向に設けたものである。実施例1と比較して開口を3個設けたことから刃体21へのチーズ付着量の減少を図ることができる。
【0121】
また上記3個のそれぞれ開口35は、刃体21の一方の側面との間をつなぐものであり、また本実施例での刃体21は、隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっている。
【実施例8】
【0122】
図5(c)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0123】
図5(c)図示の切断刃13は、実施例2の切断刃の刃体に設けた3個の開口35を1個の横長長方形にしたものである。実施例2と比較して開口をより広く設けたことから刃体21へのチーズ付着量の減少をさらに図ることができる。
【0124】
また先端部に傾斜32を設けることで、平面視で扇形のチーズポーション15の先端中心部の破損欠落を防止することができる。刃体21との接触部分を低減して摩擦力等を抑えたからである。
【0125】
また上記開口35は、刃体21の一方の側面との間をつなぐものであり、また本実施例での刃体21は、隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっている。
【実施例9】
【0126】
図6(a)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0127】
図6(a)図示の切断刃13は、実施例1の切断刃の刃体に3個の長方形状の開口35を長手方向、すなわち水平方向に設けると共に、刃体21の先端部に図示のように逆コ字状の切り込みを設けたものである。開口を設けることで実施例1よりも刃体21に付着するチーズの量を減少させ、先端部に切り込みを入れることで、平面扇形のチーズポーション15の先端中心部の破損欠落を防止することができる。
【0128】
また上記開口35は、刃体21の一方の側面との間をつなぐものであり、また本実施例での刃体21は、隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっている。
【実施例10】
【0129】
図6(b)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0130】
図6(b)図示の切断刃13は、実施例9の3個の開口を途中にある仕切りを外して、1個の横長長方形の開口としたものである。開口をさらに広げてチーズの刃体21への付着量を減少させるものである。
【0131】
また上記開口35は、刃体21の一方の側面との間をつなぐものであり、また本実施例での刃体21は、隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっている。
【実施例11】
【0132】
図7(a)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0133】
図7(a)の図示の切断刃13は、取付部22の反対側にある刃体21の先端部を手前下に傾斜し、延在してなる刃体21と平行な板状部39を設けたものである。
【0134】
隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっていると共に、刃体21と板状部39との間には切込が形成されるため、チーズの刃体21への付着量を減少させることができるものである。
【実施例12】
【0135】
図7(b)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0136】
図7(b)の図示の切断刃13は、実施例11の板状部材39とその上部に位置する刃体21との間に形成される切込に、刃体21から方形状の突設部が2個延在されたものである。
【0137】
隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっていると共に、刃体21と板状部39との間には切込が形成されるため、チーズの刃体21への付着量を減少させることができるものである。
【実施例13】
【0138】
図8(a)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0139】
図8(a)の図示の切断刃13は、取付部22から先端部に向けて斜め上に向けて延在してなる、刃体21と平行な板状部39を設けたものである。この板上部39は先端で刃体21の先端部に向けて直角に屈曲した形状に形成されてなるものである。
【0140】
隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっていると共に、刃体21と板状部39との間には切込が形成されるため、チーズの刃体21への付着量を減少させることができるものである。
【実施例14】
【0141】
図8(b)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0142】
図8(b)の図示の切断刃13は、実施例13の板状部39の途中においてさらに刃体21側に向けて、方形状の突設部39が1個延在されたものである。すなわち刃体21と板状部39との間の切込に突設部が形成されたものである。
【0143】
本実施例での刃体21は、隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっていると共に、刃体21と板状部39との間には切込が形成されるため、チーズの刃体21への付着量を減少させることができるものである。
【実施例15】
【0144】
図8(c)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0145】
図8(c)の図示の切断刃13は、実施例13の板状部39が、取付部22にかえて刃体21の中間位置から垂下されたものである。
【0146】
このため本実施例の刃体21は、隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっていると共に、刃体21と板状部39との間には切込が形成されるため、チーズの刃体21への付着量を減少させることができるものである。
【実施例16】
【0147】
図9(a)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0148】
図9(a)の図示の切断刃13は、刃体21から分離したL字状の板状部材40を、前記刃体の下部に刃体と平行となる位置に備えてなるものである。
【0149】
このため本実施例の刃体21は、隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっていると共に、刃体21と板状部39との間には切込が形成されるため、チーズの刃体21への付着量を減少させることができるものである。
【実施例17】
【0150】
図9(b)は本発明の更に他の切断刃を説明するものであり、図2、図3(a)〜図3(c)を用いて実施例1〜3で説明した切断刃13と同一名称の部分は実施例1〜3と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0151】
図9(b)の図示の切断刃13は、実施例16の板状部材40と同一のものを同じ位置に配置したものであり、実施例16と相違するのは刃体21がその先端部から取付部22に向けて下がる傾斜となっているものである。したがって実施例16よりも、刃体21と板状部40との間が広くなり、刃体21に付着するチーズ量を減少させることができる。また本実施例での刃体21は、隣接するチーズポーション15の切断面の接触を防止する形状の刃体21ともなっている。
【0152】
なお上記各実施例では、チーズ切断装置は放射状に配置された6枚の切断刃13を備えたものであるが、6枚以外の数であってもよく、また切断刃13は放射状に限らず、例えば、並列に配置されたものであってもよい。
【0153】
また風味物質52を間に挟んだ2層のチーズとしているが、2層以上の場合であっても良い。
【符号の説明】
【0154】
10 チーズ包装機
11 チーズ切断装置
12 本体部
13 チーズ切断刃
15 チーズポーション
21 刃体
22 取付部
23 切断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2層以上に積層されているチーズを、当該積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分ける複数のチーズ切断刃を備えているチーズ切断装置を用いて、当該積層されている状態で前記チーズを複数個のチーズポーションに切り分け、当該切り分けた後の各チーズポーションをそれぞれ包装する包装チーズの製造方法であって、
前記チーズ切断装置は、
前記複数のチーズ切断刃のそれぞれが、当該チーズ切断刃によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面の接触を遮断する形状の刃体からなり、
当該刃体の一方の端に当該刃体をチーズ切断装置の本体部に固定する取付部を備えていると共に、
当該取付部から当該取付部に対向する側にあたる先端部までの当該刃体の長手方向の上側部に切断部を備えていて、
前記チーズ切断刃によって前記チーズを切断した際に、切断された各チーズポーションの下側部分を隣接している前記チーズ切断刃によって保持する
ものである
ことを特徴とする包装チーズの製造方法。
【請求項2】
少なくとも2層以上に積層されているチーズを、当該積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分ける複数のチーズ切断刃を備えているチーズ切断装置を用いて、当該積層されている状態で前記チーズを複数個のチーズポーションに切り分け、当該切り分けた後の各チーズポーションをそれぞれ包装する包装チーズの製造方法であって、
前記チーズ切断装置は、
前記複数のチーズ切断刃のそれぞれが、
当該チーズ切断刃によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面を覆う大きさを有する刃体からなり、複数個のチーズポーションに切り分けたチーズ切断後も前記積層チーズの最下層の切断面に切断刃が接触しているだけの刃幅を有することにより、前記チーズ切断刃によって前記チーズを切断した際に、切断された各チーズポーションの下側部分が隣接している前記チーズ切断刃によって保持し、
当該刃体の一方の端に当該刃体をチーズ切断装置の本体部に固定する取付部を備えていると共に、
当該取付部から当該取付部に対向する側にあたる先端部までの当該刃体の長手方向の上側部に切断部を備え、当該切断部を一辺とする方形状である
ことを特徴とする包装チーズの製造方法。
【請求項3】
前記チーズ切断刃の刃体には、当該刃体の一方の側面と他方の側面との間をつなぐ、少なくとも1以上の開口が設けられていて、前記チーズ切断刃によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面の接触の遮断は、当該開口の形成されていない部分で行われることを特徴とする請求項1記載の包装チーズの製造方法。
【請求項4】
前記チーズ切断刃の刃体には、当該刃体の一方の側面と他方の側面との間をつなぐ、少なくとも1以上の開口が設けられていることを特徴とする請求項2記載の包装チーズの製造方法。
【請求項5】
前記チーズ切断刃の刃体は、前記取付部に対向する側にあたる先端部において、下側に切欠部又は傾斜部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の包装チーズの製造方法。
【請求項6】
前記チーズ切断刃は、更に、前記チーズポーション相互の切断面の接触を遮断する板状部材を、前記刃体の一部または前記取付部の一部から、当該刃体の下部で当該刃体と平行に延在するように備えていることを特徴とする請求項1記載の包装チーズの製造方法。
【請求項7】
前記チーズ切断装置は、前記チーズポーション相互の切断面の接触を遮断する、前記刃体から分離して前記チーズ切断装置の本体部に固定取付けしたL字状の板状部材を、前記刃体の下部に、前記刃体と平行となる位置に、更に、備えていることを特徴とする請求項1記載の包装チーズの製造方法。
【請求項8】
少なくとも2層以上に積層されているチーズを、当該積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分ける複数のチーズ切断刃を備えているチーズ切断装置を用いて、当該積層されている状態で前記チーズを複数個のチーズポーションに切り分け、当該切り分けた後の各チーズポーションをそれぞれ包装する包装チーズの製造方法であって、
前記チーズ切断装置は、
前記複数のチーズ切断刃のそれぞれが、
当該チーズ切断刃によって切断された隣接するチーズポーション相互の切断面の接触を遮断する刃体からなり、
当該刃体の一方の端に当該刃体をチーズ切断装置の本体部に固定する取付部を備えていると共に、
当該取付部から当該取付部に対向する側にあたる先端部までの当該刃体の長手方向の上側部に切断部を備え、
前記刃体による、切断された隣接するチーズポーション相互の切断面の接触の遮断は、当該切断部の下側に、当該切断部から下側に向かって延び、隣接するチーズポーション相互の切断面の接触を遮断する少なくとも1以上の棒状又は細長い板状の分離部材によって行われ、
前記チーズ切断刃によって前記チーズを切断した際に、切断された各チーズポーションの下側部分が隣接している前記チーズ切断刃によって保持される
ものであることを特徴とする包装チーズの製造方法。
【請求項9】
前記各切断刃を構成する刃体は、切り分けられた積層チーズを積層されている状態で前記隣接しているチーズ切断刃を構成する刃体の間に保持したままチーズポーションの最下層を0.05N以下の力で下から引っ張っても落下しないものである
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の包装チーズの製造方法。
【請求項10】
前記各切断刃を構成する刃体は、少なくとも2層以上に積層されているチーズを積層されている状態で複数個のチーズポーションに切り分ける際に当該刃体に付着するチーズの量または、チーズ屑をチーズ1ポーションの重量の5%以下に抑えるものである
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項記載の包装チーズの製造方法。
【請求項11】
前記チーズ切断刃の刃体の表面に凸凹加工、フッ素樹脂加工又はチタン加工がなされていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項記載の包装チーズの製造方法。
【請求項12】
前記チーズ切断装置は、複数枚のチーズ切断刃を、各チーズ切断刃の前記先端部がチーズ切断装置における中心側、前記取付部がチーズ切断装置における径方向外側になるようにして、複数枚放射状に配列されている状態で備えていることを特徴する請求項1乃至請求項11のいずれか一項記載の包装チーズの製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項記載の包装チーズの製造方法によって製造した包装チーズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−125252(P2012−125252A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52584(P2012−52584)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2007−40285(P2007−40285)の分割
【原出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000006138)株式会社明治 (265)
【Fターム(参考)】