説明

包装体

【課題】従来に比して、製品を収納しても包装箱高さはそれほど高くならず、包装箱への箱入れが容易で、包装箱内の空間を減らすことができ、輸送効率が向上する包装体を提供する。
【解決手段】多段に積み重ねてゆくことのできる包装体10である。長手方向を横向きにした被包装物であるハニカム構造体11の側面部11cを支持する受台12と、ハニカム構造体11及び受台12を側面から包囲する保護部材13と、ハニカム構造体11、受台12、及び保護部材13を収納する箱体とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に係り、更に詳しくは、ハニカム構造体を破損することなく良好に保管及び輸送することができる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ハニカム構造体を保管、輸送するための包装体(包装箱)は、プラスチック、段ボール等の材料から作製されているが、作製が容易で、軽量且つ低コストである段ボール箱が主に用いられている。
【0003】
上記包装体(包装箱)は、例えば、図6及び図7に示すように、その保管及び搬送の際、多段積みされる。このとき、上記包装箱18は、包装箱18の高さ方向の中間部に配設された位置決めトレー16の貫通孔(収容予定のハニカム構造体11の横断面形状と同じ大きさ)に、ハニカム構造体11を縦置状態(ハニカム構造体の貫通孔方向を上下とする状態)で収容する形態であり、上段の包装箱18の荷重は、下段の包装箱18に収容されたハニカム構造体11(被包装物)により支持されている(特許文献1を参照)。
【0004】
しかしながら、近年、ハニカム構造体の大型化が進み、製品高さ(長さ)が大きくなって30cm以上にもなると、重量が重くなって保持しづらく、包装箱への箱入れが困難になるという問題が生じてきた。
【0005】
また、ハニカム構造体などの製品が収納された包装箱の重量は人間が取り扱い易い重量とされているため、包装箱へ収納出来る製品数が限定されることになり、結果として、輸送効率が悪くなるという問題があった。
【特許文献1】特開2003−112771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来に比して、製品を収納しても包装箱高さはそれほど高くならず、包装箱への箱入れが容易で、包装箱内の空間を減らすことができ、輸送効率が向上する包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明によれば、以下に示す包装体が提供される。
【0008】
[1] 多段に積み重ねてゆくことのできる包装体であって、ハニカム構造体の長手方向を横向きにしてなる包装体。
【0009】
[2] 該ハニカム構造体の側面部を支持する受台と、該ハニカム構造体及び該受台を側面から包囲する保護部材と、該ハニカム構造体、該受台、及び該保護部材を収納する箱体とからなる、上記[1]に記載の包装体。
【0010】
[3] 該受台が、該ハニカム構造体の側面部と相補形状の受部を有し、該ハニカム構造体の側面部を下方から均等に支持する、上記[2]に記載の包装体。
【0011】
[4] 該受台が、該ハニカム構造体の長手方向(貫通孔方向)端縁部を除いて該ハニカム構造体の側面部を下方から支持する、上記[3]に記載の包装体。
【0012】
[5] 該保護部材の高さが該ハニカム構造体の直径以上である、上記[2]〜[4]のいずれかに記載の包装体。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装体によれば、従来の縦置き収納に比して、ハニカム構造体などの製品を収納しても包装箱の高さはそれほど高くならず、包装箱への出し入れが容易であり、しかも包装箱内の空間を減らすことができることから、輸送効率を向上させることができるという効果を奏する。
【0014】
該受台が、該ハニカム構造体の長手方向(貫通孔方向)端縁部を除いて該ハニカム構造体の側面部を下方から支持するようにした場合には、最も弱く欠けやすい箇所である端縁部を保護することができるという効果を奏する。また、該保護部材の高さが、該ハニカム構造体の直径以上とした場合には、ハニカム構造体を外部からの衝撃などから有効に保護することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための実施の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0016】
図1は、本発明に係る包装体の一実施形態を説明する分解斜視図である。本発明の包装体は、横向きに載置されたハニカム構造体11の側面部(下方側)を支持する受台12と、ハニカム構造体11及び受台12を側面から包囲する保護部材13と、図2に示すような、ハニカム構造体11、受台12、及び保護部材13を収納する箱体14とから構成されている。
【0017】
ここで、ハニカム構造体11は、その貫通孔の入口側端面11a及び出口側端面11bと、該入口側端面11a及び該出口側端面11bを連結する側面部11cによりその外形を形成している。
【0018】
本発明に係る包装体10においては、ハニカム構造体11を、長手方向を横向きにした(ハニカム構造体の貫通孔方向が水平になるように横置きにした)状態で受台12上に載置する。
【0019】
受台12は、図4及び図5に示すように、ハニカム構造体11の側面部11cと相補形状の受部12aを有し、ハニカム構造体の側面部11cを下方から均等に支持するようにしている。
【0020】
そして、図4及び図5に示すように、受台12は、ハニカム構造体11の長手方向(貫通孔方向)端縁部(入口側端面11a及び出口側端面11b)を除いてハニカム構造体11の側面部11cを下方から支持するように構成されている。このように受台12を構成することにより、ハニカム構造体11において最も弱く欠けやすい箇所である端縁部11a、11bを保護することができる。
【0021】
本発明では、図1に示すように、2個のハニカム構造体11を受台12に載置した後、保護部材13によりハニカム構造体11及び受台12を側面から包囲し、次いで、図2に示すように、これらのハニカム構造体11、受台12、及び保護部材13を箱体14内に収納する。ここで、保護部材13は、その高さがハニカム構造体11の直径以上に高くなるように構成しているため、ハニカム構造体11を外部からの衝撃(作業中の不注意による接触など)から保護することができる。
【0022】
箱体14内にハニカム構造体11、受台12、及び保護部材13を収納した後には、図3に示すように、パレット15上に、包装体10を多段に積み重ねて、倉庫に所定期間保管されたり、また倉庫から所定場所まで輸送されることになる。
【0023】
本発明で用いる受台12としては、ポリオレフィン系樹脂のシート又は発泡シートや段ボール紙などの緩衝性を有するものが好ましい。ここで、ポリオレフィン系樹脂の発泡シートは、ポリエチレン、ポリプロピレン及びオレフィンを主体とする共重合体等の発泡シートを指すものである。特に、段ボール紙やポリエチレン樹脂の発泡シートは、弾力性に優れているため、本発明で用いる受台12として好適に用いることができる。
【0024】
なお、箱体14は一般的に用いられている段ボール紙などの緩衝性を有するものが好ましく使用できる。
【0025】
本発明で用いる保護部材13としては、プラスチックや段ボール紙などから作製されていることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上説明した通り、本発明の包装体は、ハニカム構造体という破損し易い製品を破損することなく良好に保管及び効率よく輸送することができ、産業上の利用価値が大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る包装体の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係る包装体において、ハニカム構造体、受台及び保護部材を箱体内に収納した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る包装体をパレット上に多段に積み重ねた状態を示す斜視図である。
【図4】ハニカム構造体を横向きに受台に載置した状態を示しており、端面側から見た図である。
【図5】ハニカム構造体を横向きに受台に載置した状態を示しており、側面側から見た図である。
【図6】従来の包装体を示す説明図であり、多段積みされた包装状態を示す斜視図である。
【図7】従来の包装体を示す説明図であり、図6のA−A局部断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10:包装体、11:ハニカム構造体、
11a:ハニカム構造体の入口側端面、11b:ハニカム構造体の出口側端面、
11c:ハニカム構造体の側面部、
12:受台、12a:受部、
13:保護部材、14:箱体、15:パレット、
16:位置決めトレー、18:包装箱。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段に積み重ねてゆくことのできる包装体であって、ハニカム構造体の長手方向を横向きにしてなる包装体。
【請求項2】
該ハニカム構造体の側面部を支持する受台と、
該ハニカム構造体及び該受台を側面から包囲する保護部材と、
該ハニカム構造体、該受台、及び該保護部材を収納する箱体と
からなる、請求項1記載の包装体。
【請求項3】
該受台が、該ハニカム構造体の側面部と相補形状の受部を有し、該ハニカム構造体の側面部を下方から均等に支持する、請求項2記載の包装体。
【請求項4】
該受台が、該ハニカム構造体の長手方向(貫通孔方向)端縁部を除いて該ハニカム構造体の側面部を下方から支持する、請求項3記載の包装体。
【請求項5】
該保護部材の高さが該ハニカム構造体の直径以上である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−246167(P2007−246167A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21450(P2007−21450)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】