説明

包装体

【課題】ミシン目に沿った円滑な開封を容易に行うことができる包装体を提供する。
【解決手段】包装体10は、延伸方向を有し、且つ、その延伸方向に熱収縮性を有するシュリンクフィルムで形成される。包装体10は、被包装物品100の周囲に配置されてシュリンク包装される環状の基材12を含む。基材12には、その延伸方向に直交する方向に延びて、且つ、その延伸方向に所定の間隔を隔てて、たとえば2列のミシン目列16,18を有するミシン目部14が配設される。基材12には、ミシン目部14の近傍に、ミシン目部14の開封を支援する摘み部材30が配設されると共に、ミシン目部14の位置および/またはミシン目部14の開封方向を示す表示部36が設けられる。この包装体10において、ミシン目部14は、基材12が被包装物品100にシュリンクされる箇所の影響を受け難い部位に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、包装体に関し、特に、たとえば蓋付きの食品容器等の被包装物を包装するのに用いられ、その開封性が改良された包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明の背景となる従来の包装体には、たとえば蓋付きの食品容器の上面から熱収縮性を有するシュリンクフィルムを全面に覆い、シュリンクフィルムを熱収縮させることによって、当該シュリンクフィルムを蓋付きの容器全面に密封包装したものがあった(例えば、特許文献1参照)。この場合、シュリンクフィルムの上面には、予め、当該シュリンクフィルムを開封し易いように、ミシン目が設けられている。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3079096号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の包装体では、シュリンクフィルムを蓋付きの食品容器に熱収縮させて包装させるときに、熱収縮による緊張によってミシン目周辺にシワが発生してミシン目が広がって見た目が悪くなったり、あるいは、ミシン目に亀裂が発生して不用意な裂け目が走ったりするなどの不具合を生じる恐れがあった。
また、この従来の包装体では、シュリンクフィルムに、単に、1本の直線状のミシン目が設けられているだけなので、たとえばフィルムの延伸方向等によっては、ミシン目を開封する途中で、ミシン目から不本意な方向に破断が生じる恐れがあり、この場合、ミシン目に沿った円滑できれいな開封が困難になるという不具合が生ずるものであった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、ミシン目に沿った円滑な開封を容易に行うことができる、包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1にかかる本願発明は、その中に被収納物が収納される容器本体と容器本体に取付けられる蓋体とを有する被包装物品において、蓋体が容器本体から外れないように、被包装物品に包装される包装体であって、包装体は、延伸方向を有し、延伸方向に熱収縮性を有するシュリンクフィルムで環状に形成され、容器本体および蓋体の周囲を取り囲むように配置されると共に、容器本体および/または蓋体に部分的にシュリンク包装される基材と、基材の延伸方向に直交する方向に延びるように、且つ、基材の延伸方向に所定の間隔を隔てて複数列配設され、シュリンク包装された基材を開封させるミシン目部と、その一方側がミシン目部の近傍に固定され、その主面が基材と離間可能に配設されて、ミシン目部の開封を支援する摘み部材とを含み、ミシン目部は、基材が被包装物品にシュリンクされる箇所の影響を受け難い部位に配設されていることを特徴とする、包装体である。
請求項1にかかる本願発明では、環状の基材が被包装物品である容器本体と蓋体との周囲を取り囲むように配置されてシュリンク包装される。この場合、包装体は、容器本体および/または蓋体に、部分的にシュリンク包装される。シュリンク包装された被包装物品の基材は、基材に設けられたミシン目部によって開封可能となる。ミシン目部は、基材の延伸方向に直交する方向に延びるように形成されると共に、基材の延伸方向に所定の間隔を隔てて、複数列に配設されているので、基材をミシン目部によって開封する途中で、ある列のミシン目部から外れて基材の延伸方向に基材の破断が進行しようとした場合であっても、他の列のミシン目部によって開封を継続することができる。この場合、ミシン目部から不本意な方向に破断が生じる恐れがなく、シュリンク包装された基材を被包装物品からスムーズに開封させることが可能となる。さらに、ミシン目部は、基材が被包装物品にシュリンクされる箇所の影響を受け難い部位に配設されているため、当該基材をシュリンク包装させたときに、熱収縮による緊張によってミシン目部周辺にシワが発生してミシン目部が広がって、見た目が悪くなったり、ミシン目部に亀裂が発生して不用意な裂け目が走ったりするなどの不具合も解消することが可能となる。
また、請求項1にかかる本願発明では、その一方側がミシン目部の近傍に固定され、その主面が基材と離間可能に配設された摘み部材によって、ミシン目部を開封し易いように当該ミシン目部の開封が支援されている。
なお、請求項1にかかる本願発明において、さらに、ミシン目部の近傍には、ミシン目部の位置および/またはミシン目部の開封方向を示す表示部が配設されるものであってもよい。この場合、ミシン目部の開封を行う者に、当該ミシン目部の位置および/または当該ミシン目部の開封方向を簡単に明示することも可能となる。
請求項2にかかる本願発明は、請求項1にかかる発明に従属する発明であって、複数列のミシン目部は、2列に配設されたミシン目列を含み、一方のミシン目列および他方のミシン目列は、それぞれ、所定の切れ目長さを有する直線状の複数の切れ目部が、基材の延伸方向に直交する方向に所定の間隔をもって直線状に配設され、且つ、一方のミシン目列の各切れ目部の間に位置し、切れ目部が設けられていない非切れ目部と、他方のミシン目列の各切れ目部とが、基材の延伸方向に見て対向配置されるように配設され、切れ目部の切れ目長さをaとし、切れ目部の間隔をbとし、一方のミシン目列および他方ミシン目列間の間隔をcとしたとき、b≧a≧cを満足するように、一方のミシン目列および他方のミシン目列が形成されることを特徴とする、包装体である。
請求項2にかかる本願発明では、2列に配列されたミシン目列のそれぞれが、複数の切れ目部と複数の非切れ目部とを交互に有すると共に、一方のミシン目列の切れ目部と他方のミシン目列の非切れ目部とは、基材の延伸方向に見て対向配置され、さらに、上記b≧a≧cを満足するように、一方のミシン目列および他方のミシン目列が形成されている。そのため、請求項2にかかる本願発明では、請求項1にかかる発明の作用・効果に加えて、シュリンク包装された被包装物品から基材を開封する場合、その途中で、一方のミシン目列から外れて破断が進行しようとした場合でも、他方のミシン目列の切れ目部によって、被包装物品からシュリンク包装された基材を、より一層スムーズに開封させることが可能となる。
請求項3にかかる本願発明は、請求項2にかかる発明に従属する発明であって、ミシン目列の各切れ目部は、ミシン目列が直線状に延びる方向に見て、当該ミシン目列の長手方向の一端側に向く始端部と、当該ミシン目列の長手方向の他端側に向く終端部とを有し、一方のミシン目列および他方のミシン目列を基材の延伸方向から見た、一方のミシン目列の終端部と、他方のミシン目列の始端部との間の間隔をdとしたとき、b≧a≧c≧dを満足するように、一方のミシン目列および他方のミシン目列が形成されることを特徴とする、包装体である。
請求項3にかかる本願発明では、上記b≧a≧c≧dを満足するように、一方のミシン目列および他方のミシン目列が形成されているため、請求項2にかかる発明の作用・効果に加えて、シュリンク包装された被包装物品から基材を開封する場合、その途中で、一方のミシン目列から外れて破断が進行しようとした場合でも、他方のミシン目列によって、被包装物品からシュリンク包装された基材を、さらにより一層スムーズに開封させることが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
したがって、本願発明よれば、ミシン目に沿った円滑な開封を容易に行うことができる包装体を提供することができる。
【0008】
本願発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[実施例]
図1の(A)は、本願発明にかかる実施形態の一例を示す斜視図解図であり、図1の(B)は、図1の(A)のB−B線における断面図解図である。また、図2の(A)は、図1に示す包装体によって被包装物品をシュリンク包装した状態の一例を示す斜視図解図であり、図2の(B)は、その開封途中の状態を示す斜視図解図である。さらに、図3は、図1の(A),(B)に示す包装体に適用されるミシン目の一例を示す要部拡大平面図解図である。
本実施形態例では、たとえば図2に示すように、食品容器等の被包装物品100をシュリンク包装するための包装体10の構造の一例について説明する。被包装物品100は、
例えば、その中に、茹でられたソバやウドン、小袋に入れられたツユや乾燥処理されたネギ,エビ,シイタケ,その他の具材等の被収納物(図2には図示せず)が収納される容器本体102と、当該容器本体102に取付けられる蓋体104とを有する。
被包装物品100の蓋体104は、容器本体102から外れないように、図1の(A),(B)に示すように、たとえば環状に形成された包装体10によって被包装物品100にシュリンク包装されるものとなっている。
【0010】
すなわち、包装体10は、たとえば平面視矩形帯状の基材12を含む。包装体10は、当該基材12の長手方向の一端部および他端部を接続して環状に形成したもの、あるいは、環状に一体成形された基材12等で形成されている。包装体10は、図2の(A)に示すように、たとえば被包装物品100の上面から両側面および下面の周囲にわたって所定の幅をもって包装される。基材12は、たとえばその長手方向に延伸方向を有すると共に、当該延伸方向に熱収縮性を有するものである。
【0011】
基材12としては、たとえばTD方向(横方向)に延伸された横一軸延伸フィルムが用いられ、本実施形態例では、環状に形成された基材12の周方向に延伸方向を有するものとなっている。また、基材12は、その延伸方向に熱収縮性を有するたとえばポリエステル樹脂からなるシュリンクフィルムで形成されている。そして、当該基材12は、被包総物品100に包装された箇所のうち、特に、たとえば蓋体104の長手方向の両側部から容器本体102の長手方向の両側部にわたって巻き付けられた箇所の少なくとも一部分が、シュリンク包装されるものである。
【0012】
また、包装体10の基材12には、たとえば図1の(A)に示すように、当該基材12の周方向(延伸方向)に直交する方向に延びるように配設され、且つ、基材12の周方向(延伸方向)に所定の間隔を隔てて複数列配設されたミシン目部14を有する。ミシン目部14は、基材12が被包装物品100にシュリンクされる箇所の影響を受け難い部位に、配設されていることを特徴としている。ミシン目部14は、特に、基材12が被包装物品100にシュリンクされる箇所を除いた部位、つまり、熱収縮の影響を全く受けない非シュリンク部位に、配設されることが最も好ましいものとなる。
ミシン目部14は、図3に示すように、基材12の延伸方向に所定の間隔を隔てて、たとえば2列に配列されたミシン目列16および18を含む。一方のミシン目列16および他方のミシン目列18は、それぞれ、基材12の周方向の中間部で、且つ、その幅方向の一端側から他端側にかけて形成されている。また、一方のミシン目列16および他方のミシン目列18は、基材12の周方向(延伸方向)に所定の間隔を隔てて形成されている。
【0013】
さらに、一方のミシン目列16および他方のミシン目列18は、それぞれ、所定の切れ目長さaを有する直線状の複数の切れ目部16Aおよび18Aが、基材12の延伸方向に直交する方向に所定の間隔bをもって、たとえば平面視直線状に配設されている。この場合、一方のミシン目列16の各切れ目16Aおよび他方のミシン目列18の各切れ目部18が、それぞれ、基材12の幅方向の一端側から他端側にかけて所定の間隔bを隔てて直線状に配列されている。
なお、本実施形態例では、一方のミシン目列16の切れ目部16Aの切れ目長さaと、他方のミシン目列18の切れ目部18Aの切れ目長さaとが、同じ長さに形成されている。また、一方のミシン目列16の切れ目部16Aの間隔bと、他方のミシン目列18の切れ目部18Aの間隔bとが、同じ長さに形成されている。
【0014】
また、一方のミシン目列16の各切れ目16Aおよび他方のミシン目列18の各切れ目部18Aは、図3に示すように、それぞれ、基材12の延伸方向に直交する方向に見て、その一方側に向く始端部20と、その他方側に向く終端部22とを有する。この場合、本実施形態例では、各始端部20が基材12の幅方向の一端側に向く位置に配置され、各終端部22が基材12の幅方向の他端側に向く位置に配置されている。
【0015】
さらに、一方のミシン目列16の各切れ目部16Aの間には、つまり、当該ミシン目列16の切れ目部16A間の間隔b部分に位置する基材12の部分に、切れ目部が設けられていない非切れ目部24Aが設けられている。同様に、他方のミシン目列18の各切れ目部18Aの間には、つまり、当該ミシン目列18の切れ目部18A間の間隔b部分に位置する基材12の部分に、非切れ目部26Aが設けられている。
この場合、基材12の延伸方向(基材12の周方向)に見て、一方のミシン目列16の各非切れ目部24Aと他方のミシン目列18の各切れ目部18Aとが対向配置されるように配設され、且つ、一方のミシン目列16の各切れ目部168Aと他方のミシン目列18の各非切れ目部26Aとが対向配置されるように配設されている。
【0016】
また、本実施形態例では、図3に示すように、ミシン目列16の切れ目部16Aおよび他方のミシン目列18の切れ目部18Aの切れ目長さをaとし、一方の切れ目部16A間の間隔および他方の切れ目部18A間の間隔をそれぞれbとし、一方のミシン目列16および他方ミシン目列18間の間隔をcとしたとき、b≧a≧cを満足するように、一方のミシン目列16および他方のミシン目列18が形成されている。この場合、b>a≧cに設定されることがさらに好ましいものとなっている。
【0017】
さらに、一方のミシン目列16および他方のミシン目列18を基材12の延伸方向から見た場合に、一方のミシン目列16の終端部22と、他方のミシン目列18の始端部20との間の間隔をdとしたとき、b≧a≧c≧dを満足するように、一方のミシン目列16および他方のミシン目列18が形成されている。この場合、b>a≧c≧dに設定されることがさらに好ましいものとなり、また、発明者の実験によれば、dが0.5mmに設定されていると、ミシン目列16および18の切断のし易さの点で言うと、最も好ましいものとなっていることがわかった。
さらに、一方のミシン目列16のうち、基材12の幅方向の一端側に位置する切れ目部16Aの始端部20が、ノッチ部28として兼用されている。
【0018】
また、本実施形態例では、上記d=0とすることによって、たとえば図4に示すようなミシン目列16,18のミシン目構造とすることも可能である。この場合、一方のミシン目列16の間隔bと、他方のミシン目列18の切れ目部18Aの切れ目長さaとが、同じ長さに形成されている。
【0019】
一方、本実施形態例にかかる包装体12には、ミシン目部14の近傍に、ミシン目部14のミシン目列16および18の開封を支援する摘み部材30が配設されている。摘み部材30は、たとえば矩形状の摘み片32を含む。摘み片32は、図1の(B)に示すように、摘み片32の裏面で且つその長手方向の一端側寄りの部位(固定部34)が、接着剤等の固着手段によって、基材12の表面に固定されている。
【0020】
また、摘み片32の上面で且つその長手方向の一端側には、ミシン目部14の位置を示すと共に、ミシン目列16および18の開封方向を示す表示部36が配設されている。表示部36は、図1の(A)および図2の(A),(B)に示すように、たとえば基材12の幅方向の一端から他端にかけて連続して設けられたたとえば平面視略二等辺三角形の印刷部38を含む。印刷部30の各二等辺三角形の各頂角は、それぞれ、ミシン目列16および18の開封方向に向いて印刷され、当該ミシン目列16および18の開封方向を示すものとなっている。なお、印刷部38は、平面視略二等辺三角形以外にも、矢印や指先等の図形や、「ここから剥がす」,「ここを引張る」等,その他の文字などで形成するようにしてもよい。
【0021】
次に、上述したミシン目部14のミシン目列16,18において、図3に示したたとえばa,b,cの設定条件を変えた場合のミシン目部による引張破壊強度およびミシン目部の破断状況の官能評価についての試験結果を示す。この試験では、基材12に相当する試験片40として、たとえばTD方向(横方向)に延伸され、且つ、その延伸方向に熱収縮性を有するポリエステルフィルムを用いた。試験片40は、たとえば図5に示すように、ロール状に巻かれた原反40Aから引き出し、たとえば長さ200mm、幅15mmに切断したものを用いた。なお、試験片40に用いられるポリエステルフィルムのMD方向およびTD方向についての引張破壊強度、フィルム厚換算後の引裂強度、および引張伸度等の強度を[表1]に示した。
【0022】
当該ミシン目部の破断状況の官能評価についての試験では、先ず、上述の方法により得られた試験片40に、たとえば図3で示したa,b,cの設定条件を変えた場合のミシン目部14のミシン目列16および18に相当するミシン目部46を形成した。この場合、ミシン目部46の各切れ目部は、たとえばその周囲に切断部(凸部)と非切断部(凹部)とが繰り返し形成された円形状の回転刃物(図示せず)を試験片40に押し付ける方法によって形成される。回転刃物としては、刃物比率の違うたとえば3種類の回転刃物が用いられる。なお、刃物比率とは、回転刃物の切断部(凸部)の長さと非切断部(凹部)の長さ(mm)を示すものである。
【0023】
次に、試験片40は、たとえば図5に示すように、2つのつかみ具42および44間に把持される。その後、たとえばJIS規格のK7127(プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法)に準拠した方法によって引張試験を行った。この試験では、引張強度を測定し、これを破壊強度とした。
そして、この試験では、試験片40に設けられるミシン目部46の態様を上記a,b,cの設定条件を変えて、引張試験を実施し、当該ミシン目部46の破断状況の官能評価を行った。なお、この官能評価とは、ミシン目部で試験片40がスムーズに切断されたか否かを示す評価のことを示すものである。
【0024】
そして、上述した引張試験により得られた官能評価の結果を[表2]、[表3]、[表4]および[表5]に示す。この場合、[表2]〜[表5]の表中において、「刃物比率」の欄に記載された数値の前者および後者は、それぞれ、たとえば図3に示した上記a(切れ目部の長さ)およびb(切れ目部間の間隔)の長さを示すものであって、「左右間隔」の欄に記載された長さは、図3に示すc(一方および他方のミシン目列の間隔)を示すものである。また、「ミシン目イメージ」の欄には、上記a,b,cの設定条件により規定されたミシン目部の構造を示すイメージ図を示すものである。さらに、「引き裂きイメージ」とは、上記a,b,cの設定条件により規定されたミシン目部により試験片40が切断される状態のイメージ図を示すものである。さらに、「破壊強度」の欄において、測定値が記載されておらず、「平均値」の欄だけに記載されている数値([表2]では18.0、[表3]では16.0および23.0、[表4]では26.0、[表5]では30.0、)は、期待値を示すものである。
【0025】
さらに、「官能評価」の欄の◎は、とてもスムーズに切断されたことを示し、○は、スムーズに切断されたことを示し、△は、あまりスムーズに切断されなかったことを示し、×は、スムーズに切断することができなかったことを示す評価となっている。
なお、[表5]の「その他」の欄に記載された「ノッチ必要」とは、ミシン目部がたとえば図3に示すノッチ部28に相当するノッチが必要であることを示している。この場合、当該ノッチがないと、ミシン目部をスムーズ切断することができないものとなる。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
【表3】

【0029】
【表4】

【0030】
【表5】

【0031】
[表2]、[表3]および[表4]に示すように、b>a≧cを満足するものは、切れ目部46により試験片40がとてもスムーズに切断されるか、または、スムーズに切断されるものとなっていることがわかった。また、b=a=c(但し、1.0mm<c<0.5mm)を満足するものも良好な官能評価が得られていることがわかった。さらに、b=a>c(但し、c=0.5mm)を満足するものも良好な官能評価が得られていることがわかった。さらに、b=a>c(但し、c=0.5mm)を満足するものも良好な官能評価が得られていることがわかった。
【0032】
また、この試験結果によれば、試験片40の強度的な面で言うと、試験片40の引張方向となるTD方向の破壊強度が15〜20N/15mmに設定されることにより、試験片40に適度な強度を維持させることができ、且つ、ミシン目部46がスムーズに切断されることがわかった。
【0033】
一方、[表5]に示すように、c=0(但し、b=a)になっているものは、ミシン目列が1列となって、切れ目部46により試験片40があまりスムーズに切断されず、しかも、ノッチを必要とすることがわかった。また、c=0(但し、b>a)になっているものは、ノッチを有していても、切れ目部46をスムーズに切断することができないことがわかった。
【0034】
本実施形態例では、基材12が被包装物品100にシュリンクされる箇所の影響を受け難い部位に、ミシン目部14が配設されているので、基材12をシュリンク包装させたときに、熱収縮による緊張によってミシン目部14の周辺にシワが発生してミシン目部14が広がって、見た目が悪くなったり、ミシン目部14に亀裂が発生して不用意な裂け目が走ったりするなどの不具合を解消することができる。また、本実施形態例では、ミシン目部14の2つのミシン目列16,18が、基材12の延伸方向に直交する方向に延びるように形成されると共に、基材12の延伸方向に所定の間隔を隔てて、2列に配設されているので、基材12をミシン目部14によって開封する途中で、たとえば一方のミシン目列16から外れて基材12の延伸方向に基材12の破断が進行しようとしても、他方のミシン目列18によって開封を継続することができる。すなわち、ミシン目部14から不本意な方向に破断が生じる恐れがなく、シュリンク包装された基材12を被包装物品100からスムーズに開封させることができる。
【0035】
さらに、本実施形態例では、2列に配列されたミシン目列16,18のそれぞれが、複数の切れ目部16A,18Aと複数の非切れ目部24A,26Aとを交互に有すると共に、一方のミシン目列16の切れ目部16Aと他方のミシン目列18の非切れ目部26Aとは、基材12の延伸方向に見て対向配置され、且つ、図3に示すように、上記b≧a≧c≧dを満足するように、一方のミシン目列16および他方のミシン目列18が形成されている。そのため、本実施形態例にかかる包装体10では、シュリンク包装された被包装物品100から基材12を開封する場合、その途中で、たとえば一方のミシン目列16から外れて破断が進行しようとした場合でも、他方のミシン目列18によって、被包装物品100からシュリンク包装された基材12を、とてもスムーズに開封させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(A)は本願発明にかかる実施形態の一例を示す斜視図解図であり、(B)は(A)のB−B線における断面図解図である。
【図2】(A)は図1に示す包装体によって被包装物品をシュリンク包装した状態の一例を示す斜視図解図であり、(B)は、その開封途中の状態を示す斜視図解図である。
【図3】図1の(A),(B)に示す包装体に適用されるミシン目の一例を示す要部拡大平面図解図である。
【図4】図1の(A),(B)に示す包装体に適用されるミシン目の他の例を示す要部拡大平面図解図である。
【図5】図1の(A),(B)に示す包装体に適用されるプラスチックフィルムおよび従来の包装体に用いられる引張試験方法を示す説明図である。
【図6】図5に示す引張試験方法によって得られた試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0037】
10 包装体
12 基材
14 ミシン目部
16 一方のミシン目列
16A 一方のミシン目列の切れ目部
18 他方のミシン目列
18A 他方のミシン目列の切れ目部
20 始端部
22 終端部
24A 一方のミシン目列の非切れ目部
26A 他方のミシン目列の非切れ目部
28 ノッチ部
30 摘み部材
32 摘み片
34 固定部
36 表示部
38 印刷部
40 試験片
40A 試験片の原反
42,44 つかみ具
46 ミシン目部
100 被包装物品
102 容器本体
104 蓋体
a 一方のミシン目列と他方のミシン目列における各切れ目部長さ
b 一方のミシン目列と他方のミシン目列における各切れ目部間の間隔
c 一方のミシン目列と他方のミシン目列との間隔
d 基材の延伸方向から見たときの一方のミシン目列の終端部と他方のミシン目列の始端部20との間の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その中に被収納物が収納される容器本体と前記容器本体に取付けられる蓋体とを有する被包装物品において、前記蓋体が前記容器本体から外れないように、前記被包装物品に包装される包装体であって、
前記包装体は、
延伸方向を有し、前記延伸方向に熱収縮性を有するシュリンクフィルムで環状に形成され、前記容器本体および前記蓋体の周囲を取り囲むように配置されると共に、前記容器本体および/または前記蓋体に部分的にシュリンク包装される基材、
前記基材の延伸方向に直交する方向に延びるように、且つ、前記基材の延伸方向に所定の間隔を隔てて複数列配設され、前記シュリンク包装された基材を開封させるミシン目部、および
その一方側が前記ミシン目部の近傍に固定され、その主面が前記基材と離間可能に配設されて、前記ミシン目部の開封を支援する摘み部材を含み、
前記ミシン目部は、前記基材が前記被包装物品にシュリンクされる箇所の影響を受け難い部位に配設されていることを特徴とする、包装体。
【請求項2】
前記複数列のミシン目部は、2列に配設されたミシン目列を含み、
前記一方のミシン目列および前記他方のミシン目列は、それぞれ、所定の切れ目長さを有する直線状の複数の切れ目部が、前記基材の延伸方向に直交する方向に所定の間隔をもって直線状に配設され、且つ、前記一方のミシン目列の各切れ目部の間に位置し、前記切れ目部が設けられていない非切れ目部と、前記他方のミシン目列の各切れ目部とが、前記基材の延伸方向に見て対向配置されるように配設され、
前記切れ目部の切れ目長さをaとし、前記切れ目部の間隔をbとし、前記一方のミシン目列および前記他方ミシン目列間の間隔をcとしたとき、
b≧a≧cを満足するように、前記一方のミシン目列および前記他方のミシン目列が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記ミシン目列の各切れ目部は、前記ミシン目列が直線状に延びる方向に見て、当該ミシン目列の長手方向の一端側に向く始端部と、当該ミシン目列の長手方向の他端側に向く終端部とを有し、
前記一方のミシン目列および前記他方のミシン目列を前記基材の延伸方向から見た、前記一方のミシン目列の終端部と、前記他方のミシン目列の始端部との間の間隔をdとしたとき、
b≧a≧c≧dを満足するように、前記一方のミシン目列および前記他方のミシン目列が形成されることを特徴とする、請求項2に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−174261(P2008−174261A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8718(P2007−8718)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(300032949)日新シール工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】