説明

包装充填装置

【課題】食品用のウェブ状包装材料を殺菌液で十分に殺菌でき、しかも、残留殺菌液の無い十分に除去できる包装充填装置を提供する。
【解決手段】ウェブ状包装材料を殺菌槽に送り、殺菌槽において殺菌液によって殺菌し、ウェブ状包装材料から残留殺菌液を残留除去手段で除去し、チューブ状に成形して縦シールし、食品を充填し、横シールして切断し、得られた予備成形体を折り畳んで容器を製造する包装充填装置において、残留除去手段が、上方に搬送されるウェブ状包装材料から残留殺菌液を除去する予備除去手段と、上方から横方向に方向変換するウェブ状包装材料を挟転して残留殺菌液を除去する挟転除去手段と、横方向に搬送されるウェブ状包装材料にエアーを噴射して残留殺菌液を完全に除去する噴射除去手段とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料で流動性食品などを無菌的に包装充填して容器を得る包装充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳、ミネラルウォーター、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の流動食品を収容する包装容器を製造する場合、ウェブ状(帯状)の包装積層材料が使用され、該包装積層材料がヒートシール、超音波シール等によってシールされることにより、包装容器が形成される。例えば、包装充填装置において、帯状包装積層材料の縁部にストリップを前もって接合し、殺菌された包装積層材料をチューブ状に成形し、無菌室内で、チューブの内側から、包装積層材料の両縁部同士を、縦シール部の内側端面を保護するストリップと共に押し当てて縦シール装置によって長手方向(縦方向)にシールした後、チューブ状の包装積層材料の中に液体食品を充填しながら、横シール装置によって横方向にシールして切断し、枕状の原型容器を形成し、該原型容器を更に所定の形状に成形して無菌包装容器を完成させる。
【0003】
図2は、包装充填装置の一例を示す概略斜視図である。ウェブ状の包装積層材料1は、リールの状態で包装充填装置に収容される。包装積層材料1は、紙基材、及び該紙基材の両面にポリエチレン樹脂が積層された可撓性の積層体から成り、必要に応じて紙基材とフィルムとの間にアルミニウム箔、ガスバリヤ性樹脂等から成るバリヤ層が形成され、包装容器14の表面に相当する部分にあらかじめ外装用の印刷が施される。
【0004】
繰り出された包装積層材料1は、搬送手段としての送り装置によって連続的に搬送され、ベンディングローラ、ダンパローラ等を経て、ストリップ付着装置3に送られ、ストリップ付着装置によって包装積層材料1の一方の縁部に沿ってストリップ2が付着される。
【0005】
続いて、包装積層材料1は、必要に応じて、プルタブ付着装置によってプルタブが付着されてる。包装積層材料1は、殺菌槽4に送られ、殺菌槽4において過酸化水素等の殺菌液によって殺菌される。包装積層材料1は、エアナイフ5に送られ、エアナイフ5によって乾燥させられた後、無菌室40の室内に送られる。包装積層材料1は、成形リング6、その他の成形リングによって徐々に変形させられてチューブ状の形状にされる。
包装積層材料1は、縦シール装置の予熱手段8からのホットエアーによって予熱されて、縦方向にシールされ、充填パイプ7を介して供給された流動性食品がチューブ状包装積層材料1内に充填される。
【0006】
チューブ内の充填液の液面を所定レベルに調整する装置に関しては、実開平1ー82102号公報に、この種の装置として、包装材料チューブ1内部に挿入された充填パイプ7の下端内部に設けられた弁と、弁より上方の充填パイプ7の外周面に上下方向に移動自在に嵌められている円筒状のフロートと、弁の揺動端とフロートとを連結している連結部材とを備えており、フロートの上下動にともなって弁を開閉することにより、充填液の液面を調整する装置を記載する。(例えば、特許文献1参照)
【0007】
チューブ状包装積層材料1は、ローラによって案内され、横シール装置10に送られ、挟まれて横方向にシールされ、横シールされた包装積層材料は、ナイフなどで切断されて枕状の原型容器13が形成される。そして、原型容器13は、最終成形搬送装置15によって搬送されて最終の形状に成形され、流動性食品を収容する包装容器14が完成する。
【特許文献1】実開平1ー82102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ウェブ状の包装積層材料は、食品に使用されるので、無菌用に十分殺菌されるべきであるが、殺菌に使用された化学薬品が包装材料に残留すべきではない。
本発明は、食品用のウェブ状包装材料を殺菌液で十分に殺菌でき、しかも、残留殺菌液の無い十分に除去できる包装充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の包装充填装置は、折り目線が付されたウェブ状包装材料を殺菌槽に送り、殺菌槽において殺菌液によって殺菌し、殺菌槽から上方に次いで横方向に搬送されるウェブ状包装材料から残留殺菌液を残留除去手段で除去し、無菌室内でウェブ状包装材料をチューブ状に成形して包装材料の両端部で縦シールし、チューブ状包装材料内に液体食品を充填し、包装材料の横断方向に横シールして横シール帯域で切断し、得られた予備成形体を折り目線に沿って折り畳んで容器を製造する包装充填装置において、
残留除去手段が、上方に搬送されるウェブ状包装材料から残留殺菌液を除去する予備除去手段と、上方から横方向に方向変換するウェブ状包装材料を挟転して残留殺菌液を除去する挟転除去手段と、横方向に搬送されるウェブ状包装材料にエアーを噴射して残留殺菌液を完全に除去する噴射除去手段とからなる、
ことを特徴とする。
【0010】
この発明の好ましい態様において、予備除去手段が、ウェブ状包装材料にエアーを噴射して残留殺菌液を除去する。
【0011】
この発明の好ましい態様において、予備除去手段が、回転するカレンダーロールでウェブ状包装材料を挟持し押圧して残留殺菌液を除去する。
【発明の効果】
【0012】
この発明による包装充填装置では、折り目線が付されたウェブ状包装材料を殺菌槽に送り、殺菌槽において殺菌液によって殺菌し、殺菌槽から上方に次いで横方向に搬送されるウェブ状包装材料から残留殺菌液を残留除去手段で除去する。
ウェブ状包装材料は殺菌槽内の殺菌液に浸漬し殺菌液によって殺菌される。この殺菌と食品加工とによって充填された食品は長期に保存可能になる。
また、残留している殺菌液が残留除去手段で除去される。この除去によって、食品への化学薬品の混入を防止し食品の安全性を担保する。
【0013】
この包装充填装置では、無菌室内でウェブ状包装材料をチューブ状に成形して包装材料の両端部で縦シールし、チューブ状包装材料内に液体食品を充填し、包装材料の横断方向に横シールして横シール帯域で切断し、得られた予備成形体を折り目線に沿って折り畳んで容器を製造する。
無菌雰囲気下で製造されているので、数ヶ月間、半年間の長期にわたって常温で保存することができる。
【0014】
この発明による包装充填装置の特徴において、残留除去手段が、上方に搬送されるウェブ状包装材料から残留殺菌液を除去する予備除去手段と、上方から横方向に方向変換するウェブ状包装材料を挟転して残留殺菌液を除去する挟転除去手段と、横方向に搬送されるウェブ状包装材料にエアーを噴射して残留殺菌液を完全に除去する噴射除去手段とからなる。
残留除去手段が、予備除去手段と、挟転除去手段と、噴射除去手段との3段階からなり、それぞれが異なる機能作用を果たす。
【0015】
予備除去手段は、大まかに残留殺菌液を除去し、残留量の85%〜97%を上方に搬送されるウェブ状包装材料から除去する。ウェブ状包装材料が上方に搬送されるので、ここで除去された殺菌液は下方に落下若しくは流れ落ちる。
挟転除去手段は、回転するカレンダーロールでウェブ状包装材料を挟持し押圧して残留殺菌液を除去し、殆どの残留殺菌液を除去し、残留量の15%〜3%を搬送されるウェブ状包装材料から除去する。ここで、ウェブ状包装材料は上方から横方向に方向変換するが、まだ、残留殺菌液を完全に除去することができていない。
噴射除去手段では、横方向に搬送されるウェブ状包装材料にエアーを噴射して残留殺菌液を完全に除去する。エアーによって湿分に残った微量の残留殺菌液も乾燥、離脱して完全に残留殺菌液を除去することができる。
【0016】
この発明の好ましい態様において、予備除去手段が、ウェブ状包装材料にエアーを噴射して残留殺菌液を除去する。この態様の噴霧によって、多量の残留殺菌液を除去し、除去された殺菌液は下方に落下若しくは流れ落ちる。
【0017】
この発明の好ましい態様において、予備除去手段が、回転するカレンダーロールでウェブ状包装材料を挟持して押圧して残留殺菌液を除去する。この態様の挟持によって、多量の残留殺菌液を絞り出して除去し、除去された殺菌液は下方に落下若しくは流れ落ちる。
この包装充填装置によって、食品用のウェブ状包装材料を殺菌液で十分に殺菌でき、しかも、残留殺菌液の無い十分に除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明による一実施例の一部残留除去手段の概要図である。
図2は、この発明に使用できる包装充填装置の一例のを示す概略斜視図である。
図3は、この発明による別の実施例の残留除去手段の概要図である。
【0019】
図2に示されるように、帯状(ウェブ状)包装積層材料1は、リールの状態で包装充填装置に収容される。包装積層材料1は、紙基材、ポリエチレン樹脂最外層、ポリエチレン樹脂最内層が積層された可撓性の積層体から成り、アルミニウム箔バリヤ層が形成され、文字模様等の印刷が施される。
【0020】
繰り出された包装積層材料1は、搬送手段によって連続的に搬送され、ベンディングローラ、ダンパローラ等を経て、ストリップ付着装置3に送られ、包装積層材料1の一方の縁部に沿ってストリップ2が付着される。
帯状包装積層材料1の縁部にストリップ2を前もって接着する際、帯状包装積層材料とストリップ2とを挟んで、一方側に、プレッシャローラを回転自在に配設して圧し、他方に、プレッシャローラによる圧力を受け、それに対向し、押さえ支持するようにカウンタローラを回転自在に配設する。
包装積層材料が搬送されるに伴って、プレッシャローラ及びカウンタローラが包装積層材料及びストリップを挟んだ状態で押圧されて回転させ、縦シール部の合せ面がシールされ接着される。
【0021】
包装積層材料1は、殺菌槽4に送られ、殺菌槽4において過酸化水素等の殺菌液によって殺菌される。
殺菌された包装積層材料1は、残留除去手段20に搬送される。
図1に示す残留除去手段20は、予備除去手段22a、22bと、挟転除去手段21a、21bと、噴射除去手段5とからなる。
この態様において、予備除去手段22a、22bは、図1に示すようにウェブ状包装材料1にエアーを噴射して残留殺菌液23を除去する。この噴霧によって、多量の残留殺菌液23を除去し、除去された殺菌液は下方に落下若しくは流れ落ちる。この態様の予備除去手段は、大まかに残留殺菌液を除去し、残留量の95%をウェブ状包装材料1から除去する。
【0022】
この態様において、挟転除去手段21a、21bは、回転するカレンダーロールでウェブ状包装材料1を挟持し押圧して残留殺菌液を除去し、殆どの残留殺菌液を除去し、残留量の5%をウェブ状包装材料1から除去する。
次いで、エアナイフの噴射除去手段5では、横方向に搬送されるウェブ状包装材料1にエアーを噴射して残留殺菌液を完全に除去する。エアーによって微量の残留殺菌液も乾燥、離脱して完全に残留殺菌液を除去する。
【0023】
包装積層材料1は、エアナイフ5によって乾燥させられた後、無菌室40に送られる。包装積層材料1は、成形リング6、その他の成形リングによって徐々に変形させられてチューブ状の形状にされる。包装積層材料1は、縦シール装置の予熱手段8からのホットエアーによって予熱されて、縦方向にシールされ、充填パイプ7を介して供給された流動性食品がチューブ状包装積層材料1内に充填される。
ホットエアーは帯状包装積層材料の縁部を加熱する。筒状成形のステップ及び予熱・シールステップにおいて、包装積層材料を無菌的に無菌室40で被い一時的に収容する。
【0024】
包装積層材料1は、縦シール装置の予熱手段8からのホットエアーによって予熱される。
チューブ状に成形され加熱された包装積層材料1の両縁部1、1同士を、縦シール装置(図示せず)によってストリップと共に押し当て、縦シールする。
包装積層材料1は、縦シール装置の予熱手段8からのホットエアーによって予熱されて、縦方向にシールされ、充填パイプ7を介して供給された流動性食品41がチューブ状包装積層材料1内に充填される。
【0025】
図2に示すように、チューブ状包装積層材料1は、ローラによって案内され、横シール装置10に送られ、挟まれて横方向にシールされ、横シールされた包装積層材料1は、ナイフなどで切断されて枕状の原型容器13が形成される。そして、原型容器13は、最終成形搬送装置によって搬送されて最終の形状に成形され、流動性食品を収容する包装容器14が完成する。
【0026】
図3に別の実施例を示す。図3に示す残留除去手段20は、予備除去手段22と、挟転除去手段21と、噴射除去手段5とからなる。
この態様において、予備除去手段22は、図3に示すように回転するカレンダーロール22でウェブ状包装材料1を挟持して押圧して残留殺菌液を除去する。この態様の挟持によって、多量の残留殺菌液を絞り出して除去し、除去された殺菌液は下方に流れ落ちる。
この態様の予備除去手段は、大部分の残留殺菌液を除去し、残留量の95%をウェブ状包装材料1から除去する。
【0027】
この態様においても、挟転除去手段21は、回転するカレンダーロールでウェブ状包装材料1を挟持し押圧して残留殺菌液を除去し、殆どの残留殺菌液を除去し、残留量の5%をウェブ状包装材料1から除去する。
次いで、エアナイフの噴射除去手段5では、横方向に搬送されるウェブ状包装材料1にエアーを噴射して残留殺菌液を完全に除去する。エアーによって微量の残留殺菌液も乾燥、離脱して完全に残留殺菌液を除去する。
この装置によって、食品用のウェブ状包装材料を殺菌液で十分に殺菌でき、しかも、残留殺菌液の無い十分に除去できる。
【0028】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
この発明の液面レベル調整装置によって、牛乳、ジュース、ミネラルウォーターなどの飲料、流動食品などの包装容器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明による一実施例の一部残留除去手段の概要図である。
【図2】この発明に使用できる包装充填装置の一例のを示す概略斜視図である。
【図3】この発明による別の実施例の残留除去手段の概要図である。
【符号の説明】
【0031】
1 包装積層材料
7 充填パイプ
20 残留除去手段
22 予備除去手段
21 挟転除去手段
5 噴射除去手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り目線が付されたウェブ状包装材料を殺菌槽に送り、該殺菌槽において殺菌液によって殺菌し、該殺菌槽から上方に次いで横方向に搬送されるウェブ状包装材料から残留殺菌液を残留除去手段で除去し、無菌室内で該ウェブ状包装材料をチューブ状に成形して該包装材料の両端部で縦シールし、チューブ状包装材料内に液体食品を充填し、該包装材料の横断方向に横シールして該横シール帯域で切断し、得られた予備成形体を該折り目線に沿って折り畳んで容器を製造する包装充填装置において、
該残留除去手段が、上方に搬送されるウェブ状包装材料から該残留殺菌液を除去する予備除去手段と、上方から横方向に方向変換するウェブ状包装材料を挟転して該残留殺菌液を除去する挟転除去手段と、横方向に搬送されるウェブ状包装材料にエアーを噴射して該残留殺菌液を完全に除去する噴射除去手段とからなる、
ことを特徴とする包装充填装置。
【請求項2】
該予備除去手段が、ウェブ状包装材料にエアーを噴射して残留殺菌液を除去する、請求項1記載の包装充填装置。
【請求項3】
該予備除去手段が、カレンダーロールを回転しながらでウェブ状包装材料を挟持し押圧して残留殺菌液を除去する、請求項1記載の包装充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−132332(P2010−132332A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311673(P2008−311673)
【出願日】平成20年12月7日(2008.12.7)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】