説明

包装容器用材料

【課題】包装容器用材料に可撓性を有するバリア層を積層して、ヒビ、割れなどの欠陥がなく、包装容器用材料の厚みを薄くすることができる包装容器用材料を提供する。
【解決手段】包装容器用材料1は、紙基材2、紙基材の外側に設けられる熱可塑性樹脂外層5及びヒートシール性内層3とを含む包装容器用材料1であって、ヒートシール性内層3が、メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレンからなる第1フィルム7と、第1フィルム7の第1面に蒸着された金属蒸着層6と、第1フィルム7の第2面に直接に積層されたメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンからなるヒートシール性第2フィルム8とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリア性を有する紙包装容器を成形するために用いられる包装容器用材料に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等液体食品に使用される液体用容器は、例えば、支持層の紙基材、この紙基材の両面に積層された熱可塑性樹脂層とからなる積層体からなる包装容器用材料を用いて製造される。
バリア性紙包装容器を成形するために、支持層及び熱可塑性最内層からなる包装容器用ウェブ状積層材料に、アルミニウム箔層を積層する。また、容器形成のために高周波誘導加熱によりヒートシールする場合、ヒートシールされる帯域に、支持層と熱可塑性最内層との間に積層されたカーボンブラック導電性層若しくは、アルミニウム箔テープを設ける。(特許文献2及び3参照)
【0003】
上記のアルミニウム箔に代えて、アルミニウムなどの金属蒸着膜を用いる包装容器用材料がある。例えば、支持層及び熱可塑性最内層からなる包装容器用ウェブ状積層材料であって、高周波誘導加熱によりヒートシールされる帯域に、誘導加熱により発生した熱が最内層に伝わるように支持層と熱可塑性最内層との間に積層された導電性層を有し、導電性層が蒸着フィルムの基材フィルム外面に設けられた金属性導電材料からなる金属蒸着層である。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−262048号公報
【特許文献2】特公昭63ー222号公報
【特許文献3】特許第2694286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アルミニウム箔を用いる包装容器用材料では、アルミニウム箔が比較的に可撓性・柔軟性がなく割れ易く、アルミニウムなどの金属を蒸着する場合、基材フィムが耐熱性を要して層厚が厚くなるという不都合がある。
本発明は、包装容器用材料に可撓性を有するバリア層を積層して、ヒビ、割れなどの欠陥がなく、包装容器用材料の厚みを薄くすることができる包装容器用材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による包装容器用材料は、紙基材、紙基材の外側に設けられる熱可塑性樹脂外層及びヒートシール性内層とを含む包装容器用材料であって、
ヒートシール性内層が、メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレンからなる第1フィルムと、第1フィルムの第1面に蒸着された金属蒸着層と、第1フィルムの第2面に直接に積層されたメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンからなるヒートシール性第2フィルムとからなる、ことを特徴とする。
【0007】
この発明の好ましい態様のおける包装容器用材料は、ヒートシール性内層の厚みが10〜40μmである。
【0008】
この発明による包装容器用材料の製造方法は、紙基材、紙基材の外側に設けられる熱可塑性樹脂外層及びヒートシール性内層とを含む包装容器用材料を製造する方法であって、
メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレンからなる第1フィルムの第2面に、メタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンからなるヒートシール性第2フィルムを、直接に積層し、
第1フィルムの第1面に金属蒸着層を蒸着してヒートシール性内層を得、
紙基材面と金属蒸着層との間に、溶融接着樹脂を押出して紙基材とヒートシール性内層とを積層し、
紙基材とヒートシール性内層との積層工程と同時若しくは前後に、紙基材の外側に熱可塑性樹脂外層を押出して積層することを含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上の本発明によれば、以下の作用機能を発揮し、有利な効果が得られる。
この発明による包装容器用材料は、紙基材、紙基材の外側に設けられる熱可塑性樹脂外層及びヒートシール性内層とを含む包装容器用材料である。
熱可塑性樹脂外層は、耐水性を持ち、紙基材を保護する。ヒートシール性内層は、包装容器を成形するに際して熱で接着して成形に寄与する。
【0010】
この発明の特徴において、ヒートシール性内層が、メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレンからなる第1フィルムと、第1フィルムの第1面に蒸着された金属蒸着層と、第1フィルムの第2面に直接に積層されたメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンからなるヒートシール性第2フィルムとからなる。
メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレンは、金属蒸着に強く薄い層厚でも、その耐熱性や機械的強度に優れる。この発明において、第1フィルムを、すなわち全体的にはヒートシール性内層を薄く、換言すれば使用材料量を少なくすることができる。
【0011】
金属蒸着層は、光バリア性及び酸素バリア性並びに保香性を、包装容器用材料に付与する。
ヒートシール性第2フィルムは、メタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンからなるので、比較低温でもヒートシールできる低温シール性、分子量分布が均一で低分子成分が少なくその低分子成分の内容物への移行が少ない衛生性などを包装容器用材料に付与する。また、第1フィルムの第2面に直接に積層しても剥離することがなく、接着樹脂層を必要としないので、使用材料量を少なくすることができる。
【0012】
この発明の好ましい態様のおける包装容器用材料は、ヒートシール性内層の厚みが10〜40μmである。
内層が第1フィルムと第2フィルムとの直接組合せであるために、上記の様に層厚を薄くすることができると共に、ヒートシール性を併せ持つことができる。
【0013】
この発明による包装容器用材料の製造方法では、メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレンからなる第1フィルムの第2面に、メタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンからなるヒートシール性第2フィルムを、直接に積層する。
第1フィルムと第2フィルムとの直接積層であるので、接着樹脂を塗布、積層する工程を必要としないので、製造工程を簡略化することができ安価に製造することができる。
【0014】
第1フィルムの第1面に金属蒸着層を蒸着してヒートシール性内層を得る。第1フィルムのメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレンは、金属蒸着に強く薄い層厚でも、その耐熱性や機械的強度に優れるので、薄いフィルムでも容易に支障なく蒸着することができる。
【0015】
紙基材面と金属蒸着層との間に、溶融接着樹脂を押出して紙基材とヒートシール性内層とを積層する。紙面と金属面とを溶融押出しによって積層するので、紙とアルミニウム箔とを溶融押出しによって積層する類似の工程を転用することができ、簡易に製造することができる。
【0016】
紙基材とヒートシール性内層との積層工程と同時若しくは前後に、紙基材の外側に熱可塑性樹脂外層を押出して積層する。この積層によって、紙基材の外側に熱可塑性樹脂外層を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明による包装容器用材料の一例を説明する断面正面図である。
【図2】この発明による包装容器用材料の製造方法の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示す包装容器用材料の例では、紙基材2、紙基材2の外側に設けられる熱可塑性樹脂外層5及びヒートシール性内層3とを含む包装容器用材料1である。
【0019】
この形態において、ヒートシール性内層3が、メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレンからなる第1フィルム7と、第1フィルム7の第1面に蒸着された金属蒸着層6と、第1フィルム7の第2面に直接に積層されたメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンからなるヒートシール性第2フィルム8とからなる。
耐熱性や機械的強度に優れる第1フィルム7をを薄くすることができる。
【0020】
金属蒸着層6は、光バリア性及び酸素バリア性並びに保香性を包装容器用材料1に付与する。
ヒートシール性第2フィルム8は、低温シール性、低分子成分の内容物への移行が少ない衛生性などを包装容器用材料に付与する。第1フィルム7に直接に積層し接着樹脂層を必要としない。
この態様においては、第1フィルムの第1面に、金属、例えば、金属アルミニウム、アルミニウム合金などを真空蒸着することによって得られる。金属蒸着の方法及び蒸着層の厚みなどは、種々の方法により行うことができる。例えば、蒸着方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法等が用いられる。
【0021】
この形態の包装容器用材料は、ヒートシール性内層3の厚みが10〜40μm、好ましくは、12〜25μmである。
好ましい態様において、金属蒸着面9にアクリル系のコート材料を施すこともできる。このコート材によって、水蒸気バリアー性能を向上させることができる。
【0022】
図2に示す包装容器用材料の製造工程では、先ず、メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレンからなる第1フィルム7の第2面に、メタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンからなるヒートシール性第2フィルム8を、直接に積層する。
第1フィルムと第2フィルムとを種々の積層方法で直接積層する。
【0023】
第1フィルムの第1面に、蒸着装置10によって、アルミニウムなどの金属を、蒸着層6として蒸着してヒートシール性内層3を得る。蒸着装置としては、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法等による装置がある。メタロセン触媒のポリプロピレンは、金属蒸着に強いので、薄いフィルムでも容易に支障なく蒸着することができる。
【0024】
次いで、紙基材2をロールから引出し、紙基材2面と金属蒸着6層との間に、溶融接着樹脂4を押出して紙基材2とヒートシール性内層3とを積層する。紙とアルミニウム箔とを溶融押出しによって積層する工程を転用することができる。
【0025】
図2に示す態様では、紙基材とヒートシール性内層との積層工程後に、紙基材2の外側に熱可塑性樹脂外層5を押出して積層し、包装容器用材料1を得る。
【0026】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明は、容器の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1・・・ 包装容器用材料
2・・・ 紙基材
3・・・ ヒートシール性内層
4・・・ 溶融接着樹脂
5・・・ 熱可塑性樹脂外層
6・・・ 金属蒸着層
7・・・ 第1フィルム
8・・・ 第2フィルム
9・・・ 金属蒸着面
10・・・蒸着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材、該紙基材の外側に設けられる熱可塑性樹脂外層及びヒートシール性内層とを含む包装容器用材料であって、
該ヒートシール性内層が、メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレンからなる第1フィルムと、該第1フィルムの第1面に蒸着された金属蒸着層と、該第1フィルムの第2面に直接に積層されたメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンからなるヒートシール性第2フィルムとからなる、
包装容器用材料。
【請求項2】
該ヒートシール性内層の厚みが10〜40μmである、請求項1記載の包装容器用材料。
【請求項3】
紙基材、該紙基材の外側に設けられる熱可塑性樹脂外層及びヒートシール性内層とを含む包装容器用材料を製造する方法であって、
メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレンからなる第1フィルムの第2面に、メタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンからなるヒートシール性第2フィルムを、直接に積層し、
該第1フィルムの第1面に金属蒸着層を蒸着してヒートシール性内層を得、
該紙基材面と該金属蒸着層との間に、溶融接着樹脂を押出して該紙基材と該ヒートシール性内層とを積層し、
該紙基材と該ヒートシール性内層との積層工程と同時若しくは前後に、該紙基材の外側に該熱可塑性樹脂外層を押出して積層することを含む、
包装容器用材料の製造法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−1107(P2011−1107A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147111(P2009−147111)
【出願日】平成21年6月21日(2009.6.21)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】