説明

包装容器

【課題】収容された液体食品の温度が適正であるかどうかを容易に判断することができるようにする。
【解決手段】流動性を有する食品を収容し、所定の箇所に温度表示領域AR1が設定された包装容器本体10と、温度表示領域AR1に被覆された温度表示層38とを有する。温度表示層38は、所定の温度で色調が変化する色調変化材から成る。温度表示領域AR1に温度表示層38が被覆され、温度表示層38は、所定の温度で色調が変化する色調変化材から成るので、温度表示層38の色調によって、包装容器p内の流動性を有する食品の温度が適正であるかどうかを容易に判断することができる。液体食品を飲用したときの飲み心地を良くすることができる。包装容器pが加温されていることに気がつかないで包装容器pに触れることがなくなるので、加温されていることに驚くことがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳、清涼飲料等の流動性を有する食品、例えば、液体食品は、一般に、包材を成形することによって形成された包装容器に収容され、販売されるようになっている。該包装容器には、頂壁が平坦(たん)にされたブリック型、多面体型等の包装容器、又は頂壁が屋根状の形状を有するゲーブルトップ型の包装容器がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−190958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の包装容器においては、収容されている液体食品の温度が適正であるかどうかを判断するのが困難である。
【0004】
例えば、前記包装容器は、店舗で、ホットショーケースに収容されて加温されて販売されることがあるが、収容された液体食品の温度が適正であるかどうかを判断するのが困難であるので、包装容器内の液体食品が十分な温度に加温されていない場合、飲用したときの飲み心地が悪くなってしまう。また、包装容器が加温されていることに気がつかないで包装容器に触れ、驚いてしまうことがある。
【0005】
さらに、包装容器は、店舗で、冷蔵ショーケースに収容されて冷却されて販売されることがあるが、収容された液体食品の温度が適正であるかどうかを判断するのが困難であるので、包装容器内の液体食品が十分な温度に冷却されていない場合、飲用したときの飲み心地が悪くなってしまう。
【0006】
本発明は、前記従来の包装容器の問題点を解決して、収容された液体食品の温度が適正であるかどうかを容易に判断することができるようにした包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の包装容器においては、流動性を有する食品を収容し、所定の箇所に温度表示領域が設定された包装容器本体と、前記温度表示領域に被覆された温度表示層とを有する。
【0008】
そして、該温度表示層は、所定の温度で色調が変化する色調変化材から成る。
【0009】
本発明の他の包装容器においては、さらに、前記色調変化材は、加熱されて溶融させられたときに流動性を有する材料に、示温材料を混練した材料から成る。
【0010】
本発明の更に他の包装容器においては、さらに、前記加熱されて溶融させられたときに流動性を有する材料は、ホットメルト接着剤である。
【0011】
本発明の更に他の包装容器においては、さらに、前記温度表示領域にあらかじめ所定のメッセージが印刷される。
【0012】
そして、前記色調変化材は、所定の示温温度で色調が有彩色と透明との間で変化するように組成設計される。
【0013】
本発明の更に他の包装容器においては、さらに、前記色調変化材は、所定の示温温度以上で色調が透明になる。
【0014】
本発明の更に他の包装容器においては、さらに、前記温度表示層の被覆と、包装容器本体へのストローパッケージの貼着とが同じ工程で行われる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、包装容器においては、流動性を有する食品を収容し、所定の箇所に温度表示領域が設定された包装容器本体と、前記温度表示領域に被覆された温度表示層とを有する。
【0016】
そして、該温度表示層は、所定の温度で色調が変化する色調変化材から成る。
【0017】
この場合、前記温度表示領域に温度表示層が被覆され、該温度表示層は、所定の温度で色調が変化する色調変化材から成るので、温度表示層の色調によって、包装容器内の流動性を有する食品の温度が適正であるかどうかを容易に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、流動性を有する食品としての液体食品を収容する包装容器として、ブリック型の包装容器について説明する。
【0019】
図1は本発明の第1の実施の形態における包装容器の斜視図である。
【0020】
図において、pは包装容器、10は包装容器pの本体、すなわち、包装容器本体であり、該包装容器本体10は、頂壁12、前壁13、後壁19、側壁20、21及び底壁22を備え、前記頂壁12の所定の位置にはパンチホールから成る注出口27が形成され、該注出口27がプルタブ28によって覆われる。この場合、購入者は、前記包装容器本体10からプルタブ28を引き剥(は)がし、注出口27を開口させ、該注出口27に唇を当て、液体食品を直接飲用することができる。
【0021】
包装容器本体10は包材を折り曲げることによって形成され、該包材は、可撓(とう)性を有する積層体から成り、図示されない紙基材、該紙基材の外側面に被覆されたポリエチレン樹脂等から成る最外層、前記紙基材の内側面に被覆されたポリエチレン樹脂等から成る最内層を備える。なお、必要に応じて前記紙基材と最内層との間にガスバリヤ性を有するバリヤ層が形成される。
【0022】
そして、前記最外層と接触させて前記プルタブ28が、最内層と接触させて図示されないインナテープが包材を挟んで配設され、図示されないプルタブシールヒータ及びカウンタドーリーによって、プルタブ28、包材及びインナテープが挟持され、加熱されて加圧される。そして、前記注出口27においては、プルタブ28とインナテープとが融着等によって接合され、注出口27の内周縁の近傍においては、プルタブ28と包材とが、また、インナテープと包材とが融着等によって接合される。
【0023】
前記包装容器本体10の所定の壁、本実施の形態においては、後壁19にストローパッケージ16が貼(ちょう)着され、該ストローパッケージ16内にストロー18が収容される。したがって、ストローパッケージ16からストロー18を取り出し、該ストロー18を前記注出口27に挿入して液体食品を飲用することもできる。
【0024】
さらに、包材の製造段階で、前記頂壁12の所定の位置にはパンチホールから成るストロー穴31が形成され、該ストロー穴31において最外層と最内層とが融着等によって接合される。したがって、ストローパッケージ16からストロー18を取り出し、該ストロー18を前記ストロー穴31に挿入して液体食品を飲用することもできる。
【0025】
ところで、前記構成の包装容器pは、収容されている液体食品の温度が適正であるかどうかを判断するのが困難である。
【0026】
例えば、前記包装容器pは、店舗で、ホットショーケースに収容されて加温されて販売されることがあるが、包装容器p内の液体食品が十分な温度に加温されていない場合、飲用したときの飲み心地が悪くなってしまう。また、包装容器pが加温されていることに気がつかないで包装容器pに触れ、驚いてしまうことがある。
【0027】
さらに、包装容器pは、店舗で、冷蔵ショーケースに収容されて冷却されて販売されることがあるが、包装容器p内の液体食品が十分な温度に冷却されていない場合、飲用したときの飲み心地が悪くなってしまう。
【0028】
そこで、包装容器pの所定の壁の所定の位置、本実施の形態においては、後壁19の上隅の位置に、液体食品の温度を表す温度表示領域AR1が設定され、該温度表示領域AR1において、前記後壁19の最外層に、所定の温度で色調が変化する材料、すなわち、色調変化材から成る温度表示層38が被覆される。本実施の形態において、温度表示領域AR1は、矩形の形状を有するが、他の所定の形状、例えば、帯状の形状、円形の形状等を有することができる。なお、本実施の形態において、色調の変化には、色の種類の変化のほかに、明度の変化、彩度の変化、透明度の変化等が含まれる。
【0029】
本実施の形態においては、前記色調変化材として、加熱されて溶融させられたときに流動性を有する材料として、例えば、ホットメルト接着剤に示温顔料、示温染料等から成る示温材料を混練した材料が使用される。
【0030】
前記ホットメルト接着剤は、室温で100〔%〕固形分となる熱可塑性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニール、ポリエステル等の樹脂)をベースにした接着性混合物である。溶剤、水等が含まれていないので、例えば、100〜180〔°C〕で加熱し、溶融させると、流動性が与えられる。したがって、ホットメルト接着剤に示温材料を混練した材料を、前記温度表示領域AR1にロールコータで塗工することによって、温度表示層38を形成することができる。なお、ホットメルト接着剤は、室温ではべたつきがなく、加熱されて溶融させられることによって活性化し、各種の固体を接着させる。そして、ホットメルト接着剤は、室温下で粘着性があり、わずかな圧力を加えるだけで付着させることができる。
【0031】
前記示温材料には、可逆型の示温材料、不可逆型の示温材料、積算型の示温材料等があるが、本実施の形態においては、温度によって可逆的に色調が変化する可逆型の示温材料が使用される。前記示温顔料、示温染料等は、例えば、結晶形の転移等に伴う色調の変化を利用した材料であり、例えば、Ag2 HgI4 、Cu2 HgI4 、Ag2 HgI4 −Cu2 HgI4 固溶体等が使用される。なお、Ag2 HgI4 の色調が変化する温度を表す変色温度は、50〔°C〕であり、Cu2 HgI4 の変色温度は70〔°C〕であり、Ag2 HgI4 −Cu2 HgI4 固溶体の変色温度は35〜70〔°C〕)である。また、前記示温顔料、示温染料等として、アサガオの色素を含む有機染料化合物を使用することができる。該有機染料化合物の変色温度は、5〜70〔°C〕である。
【0032】
この場合、可逆型の示温材料が使用されるので、例えば、示温材料の温度が、色調が変化する温度、すなわち、示温温度以上になると、色調が変化するが、温度が示温温度より低くなると、元の色調に戻る。なお、前記示温温度には、ヒステリシスがあり、温度が高くなるときの示温温度は、温度が低くなるときの示温温度は高い。
【0033】
このように、本実施の形態においては、後壁19に温度表示領域AR1が設定され、該温度表示領域AR1に温度表示層38が形成されるので、包装容器pに収容されている液体食品の温度が適正であるかどうかを容易に判断することができる。
【0034】
例えば、前記包装容器pは、店舗で、ホットショーケースに収容されて加温されて販売されることがあるが、温度表示層38の色調によって、包装容器p内の液体食品が十分な温度に加温されているかどうかを判断することができる。
【0035】
したがって、液体食品を飲用したときの飲み心地を良くすることができる。また、包装容器pが加温されていることに気がつかないで包装容器pに触れることがなくなるので、加温されていることに驚くことがなくなる。
【0036】
さらに、包装容器pは、店舗で、冷蔵ショーケースに収容されて冷却されて販売されることがあるが、温度表示層38の色調によって、包装容器p内の液体食品が十分な温度に冷却されているかどうかを判断することができる。したがって、液体食品を飲用したときの飲み心地を良くすることができる。
【0037】
次に、前記温度表示層38の色調を変化させるのに伴って、所定の情報、すなわち、メッセージを表示し、購入者等に報知することができるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0038】
図2は本発明の第2の実施の形態におけるメッセージの表示例を示す図である。
【0039】
この場合、前記温度表示領域AR1において、包材を製造する段階で、後壁19の最外層又は紙基材に所定の色で所定のメッセージが、例えば、赤色で「高温、やけどに注意」等のメッセージがあらかじめ印刷される。
【0040】
そして、常温で保存可能な包装容器pを、店舗で、ホットショーケースに収容し、加温して販売する場合、充填機において、包装容器pに液体食品が充填された後、包装容器pの後壁19に、色調変化材を加熱し溶融して、前記温度表示領域AR1に矩形状に塗工する。この場合、前記色調変化材に含まれる示温顔料は、約60〔°C〕の示温温度で色調が有彩色と透明との間で変化するように組成設計され、約60〔°C〕より低い場合、有彩色になり、約60〔°C〕以上で透明になる。
【0041】
したがって、包装容器p及び液体食品の温度が約60〔°C〕より低い場合、前記温度表示領域AR1は、有彩色の色調変化材によって被覆され、前記メッセージは表示されない。これに対して、包装容器p及び液体食品の温度が約60〔°C〕以上になると、前記温度表示領域AR1は、透明な色調変化材によって被覆されることになる。その結果、前記メッセージは透過され、表示される。
【0042】
なお、通常、前記ストローパッケージ16は、ホットメルトガンを使用し、ホットメルト接着剤を後壁19に塗布することによって貼着されるが、ホットメルト接着剤に代えて色調変化材を後壁19に塗布し、ストローパッケージ16を貼着することができる。その場合、ストローパッケージ16の貼着と、色調変化材の塗工とを同じの工程で行うことができる。したがって、温度表示層38を形成するための作業を簡素化することができる。
【0043】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0044】
図3は本発明の第3の実施の形態におけるメッセージの表示例を示す図である。
【0045】
この場合、前記温度表示領域AR1において、包材を製造する段階で、後壁19の最外層又は紙基材に所定の色で所定のメッセージが、例えば、赤色で「低温で保存してください」等のメッセージがあらかじめ印刷される。
【0046】
そして、冷蔵で保存するべき包装容器pを、店舗で、冷蔵ショーケースに収容し、冷却して販売する場合、充填機において、包装容器pに液体食品が充填された後、包装容器pの後壁19に、色調変化材を加熱し溶融して、前記温度表示領域AR1に矩形状に塗工する。この場合、前記色調変化材に含まれる示温顔料は、約10〔°C〕の示温温度で色調が有彩色と透明との間で変化するように組成設計され、約10〔°C〕より低い場合、有彩色になり、約10〔°C〕以上で透明になる。
【0047】
したがって、包装容器p及び液体食品の温度が約10〔°C〕より低い場合、前記温度表示領域AR1は、有彩色の色調変化材によって被覆され、前記メッセージは表示されない。これに対して、包装容器p及び液体食品の温度が約10〔°C〕以上になると、前記温度表示領域AR1は、透明な色調変化材によって被覆されることになる。その結果、前記メッセージは透過され、表示される。
【0048】
この場合、店舗で冷蔵ショーケースに収容された包装容器pについて、前記メッセージを選択的に表示するようになっているが、冷蔵庫等の冷蔵空間に収容された包装容器pについても、前記メッセージを選択的に表示することができる。
【0049】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施の形態における包装容器の斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態におけるメッセージの表示例を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態におけるメッセージの表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10 包装容器本体
16 ストローパッケージ
38 温度表示層
AR1 温度表示領域
p 包装容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)流動性を有する食品を収容し、所定の箇所に温度表示領域が設定された包装容器本体と、
(b)前記温度表示領域に被覆された温度表示層とを有するとともに、
(c)該温度表示層は、所定の温度で色調が変化する色調変化材から成ることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記色調変化材は、加熱されて溶融させられたときに流動性を有する材料に、示温材料を混練した材料から成る請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記加熱されて溶融させられたときに流動性を有する材料は、ホットメルト接着剤である請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
(a)前記温度表示領域にあらかじめ所定のメッセージが印刷され、
(b)前記色調変化材は、所定の示温温度で色調が有彩色と透明との間で変化するように組成設計される請求項1に記載の包装容器。
【請求項5】
前記色調変化材は、所定の示温温度以上で色調が透明になる請求項4に記載の包装容器。
【請求項6】
前記温度表示層の被覆と、包装容器本体へのストローパッケージの貼着とが同じ工程で行われる請求項1に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−168800(P2007−168800A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364356(P2005−364356)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】