説明

包装容器

【課題】包装容器の内部に菓子の包み紙などを収容する。
【解決手段】容器本体10およびスリーブ20から構成され、スリーブ20の前後の開口を通して容器本体10が摺動自在に嵌挿された包装容器1において、正面板11の上端縁に連結片15が連設されるとともに、連結片15の先端に、左右各端縁にガイド片161がそれぞれ連設された仕切板16が切り離し可能に連接されている。そして、各ガイド片161を左右の側面板17,18に沿わせながら連結片15から切り離された仕切板16を背面板側に移動させ、容器本体10に収容された菓子Cの取り出しによって発生した空きスペースを利用して菓子の包み紙wなどを収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子の包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上面が開口された箱状の容器本体と、前後両端が開口された筒状のスリーブと、から構成され、菓子などが収容された容器本体をスリーブの一端側開口を通して摺動自在に嵌挿してなる菓子などの包装容器が提案されている。
【0003】
このような包装容器においては、包装を開封した後、スリーブから容器本体を引き出して、容器本体に収容された菓子、例えば、キャラメルやガムなどを取り出すようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2633463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、キャラメルやガムなどが包み紙によって個別に包装されている場合には、容器本体から菓子を取り出して包み紙を剥離するとともに、剥離した包み紙を廃棄する必要がある。このとき、近くにごみ箱が見当たらない場合には、丸めて衣服のポケットに収容し、改めてごみ箱に廃棄される。また、ときには、路上などにポイ捨てされる。
【0005】
ここで、菓子がガムの場合、ガムの噛みかすおよび包み紙が個別にポイ捨てされ、あるいは、噛みかすを包み紙で包んでポイ捨てされると、周囲の美観を損ねるばかりでなく、路面に付着したガムを除去するため、多くの時間と費用を必要とするものとなる。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、包装容器の内部に菓子の包み紙などを収容することのできる包装容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも左右の側面板、背面板、底面板、正面板を備えた容器本体と、上面部、左右の側面部および底面部を備え、前後両端が開口されたスリーブと、から構成され、スリーブの前後の開口を通して容器本体が摺動自在に嵌挿された包装容器において、前記正面板の上端縁に連結片が連設されるとともに、連結片の先端に、左右各端縁にガイド片がそれぞれ連設された仕切板が切り離し可能に連接されてなり、各ガイド片を左右の側面板に沿わせながら連結片から切り離された仕切板を背面板側に移動させ、容器本体に収容された菓子の取り出しによって発生した空きスペースを利用して菓子の包み紙などを収容することを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、スリーブより容器本体を引き出し、容器本体から菓子を取り出せば、取り出した菓子の分だけ空きスペースが発生する。ここで、連結片から仕切板を切り離して、左右のガイド片を左右の側面板に沿わせながら仕切板を背面板側に押し込むと、菓子の取り出しによって発生した空きスペースを仕切板を介して押し込まれた菓子が密着して埋めることができる。これにより、仕切板の移動に伴って正面板との間に取り出した菓子の空きスペースに相当する空間が新たに形成される。
【0009】
この結果、仕切板と正面板との間に形成された、取り出した菓子の空きスペースに相当する空間を利用して菓子の包み紙を収容することができ、路上にポイ捨てされることを防止できる。特に、ガムの噛みかすを包み紙で包んで収容することができる。
【0010】
本発明において、前記スリーブにおける上面部における容器本体の正面板に対応する側の一端部に切欠部が形成されるとともに、左右の側面部における容器本体の背面板に対応する側の他端部にそれぞれ切欠部が形成されると、菓子の取り出し時、あるいは、包み紙などの収容時、スリーブに対して容器本体の引き出しに際して指先を切欠部を通して容器本体の左右の側面板、あるいは、容器本体の連結片を把持することができ、容器本体や連結片を容易に引き出すことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、包装容器の内部に菓子の包み紙などを収容することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1乃至図3には、本発明の包装容器1の一実施形態が示されている。
【0014】
この包装容器1は、菓子Cを収容する容器本体10と、該容器本体10を摺動自在に嵌挿するスリーブ20と、から構成されている。
【0015】
容器本体10は、コートボールを図2に示す展開図にしたがって打ち抜いた後、折り目に沿って折り込むこととともに、所定部分を貼着して組み立てられる。
【0016】
この容器本体10は、図2の展開図において、正面板11の左端縁に底面板12、背面板13および糊代14が折り目a,b,cを介して順に連設されるとともに、正面板11の右端縁に連結片15および仕切板16が折り目d,eを介して順に連設される一方、底面板12の上下各端縁に左側面板17および右側面板18が折り目f,gを介してそれぞれ連設され、また、左側面板17の左右各端縁および右側面板18の左右各端縁にフラップ19が折り目hを介してそれぞれ連設され、さらに、仕切板16の上下各端縁にガイド片161が折り目iを介してそれぞれ連設されて構成されている。
【0017】
そして、左側面板17の背面板13側端部近傍の上端部および右側面板18の背面板13側端部近傍の下端部には、底面板12に関して対称に略弓形状の切欠部17a,18aがそれぞれ形成されている。
【0018】
また、連結片15に対する仕切板16の折り目eは、中間部および左右端部のみをスポット状に連接するものであり、わずかな力を加えることによって連結片15に対して仕切板16を切り離すことができる。さらに、連結片15の正面板11側端部の幅は、底面板12の幅(左右の側面板17,18との折り目f,g間の間隔)よりもわずかに大きく設定されており、底面板12に対して折り目f,gに沿って左側面板17および右側面板18をそれぞれ谷折りして立ち上げた際、連結片15の基端部が左側面板17および右側面板18の上端縁にわたって支持されるようになっている。
【0019】
さらにまた、仕切板16の幅(ガイド片161との折り目i,i間の間隔)は、底面板12の幅(折り目f,g間の間隔)よりもわずかに小さく設定されており、底面板12に対して折り目f,gに沿って左側面板17および右側面板18をそれぞれ谷折りして立ち上げた際、ガイド片161をそれぞれ左側面板17および右側面板18の各内面に沿わせつつ、仕切板16を左側面板17および右側面板18間に配設することができる。また、仕切板16の高さ(連結片15との折り目eおよび仕切板16の先端縁間の間隔)は、左右の側面板17,18の高さ(底面板12との折り目f,gおよび左右の側面板17,18の先端縁間の間隔)と同等もしくは若干小さく設定されている。
【0020】
次に、このように構成された容器本体10の組み立て手順について説明する。
【0021】
まず、図2の展開図にしたがってコートボールを打ち抜くとともに、裏面が上面を向くように反転させ(図4(a)参照)、糊代14の裏面に接着剤を塗布した後、左側面板17および右側面板18を底面板12に対してそれぞれ折り目f,gに沿って谷折りするとともに、仕切板16を連結片15に対して折り目eに沿って谷折りする(図4(b)参照)。次いで、各フラップ19を左側面板17および右側面板18に対してそれぞれ折り目hに沿って谷折りする一方、各ガイド片161を仕切板16に対してそれぞれ折り目iに沿って谷折りした後、背面板13を底面板12に対して折り目bに沿って谷折りするとともに、糊代14を背面板13に対して折り目cに沿って谷折りし、フラップ19および背面板13に貼着する(図4(c)参照)。その後、正面板11を底面板12に対して折り目aに沿って谷折りするとともに、各ガイド片161が左側面板17の内面および右側面板18の内面に沿うように連結片15を正面板11に対して折り目dに沿って谷折りすることにより、容器本体10が形成される(図1参照)。
【0022】
この際、左側面板17および右側面板18の上端縁にわたって連結片15の左右基端部が載置されることにより、容器本体10には、正面板11、連結片15、仕切板16、底面板12、左右の側面板17,18によって収納空間が区画されている。
【0023】
このような容器本体10が形成されたならば、糊代14、仕切板16、底面板12、左側面板17、右側面板18によって区画される空間に設定個数の菓子Cを収容すればよい。
【0024】
一方、スリーブ20は、図3の展開図において、底面部21の下端縁に、右側面部22、上面部23、左側面部24および糊代25が折り目p,q,r,sを介して順に連設されて構成されている。そして、上面部23には、容器本体10の正面板11に対応する一端部に略三角形状の切欠部23aが形成され、また、右側面部22および左側面部24には、容器本体10の背面板13に対応する他端部に略三角形状の切欠部23aがそれぞれ形成されている。
【0025】
ここで、スリーブ20の内寸は、スリーブ20に対して容器本体10を円滑に摺動することができるように、容器本体10の外寸に対応して設定されている。
【0026】
次に、このように構成されたスリーブ20の組み立て手順について説明する。
【0027】
まず、図3の展開図にしたがってコートボールを打ち抜くとともに、裏面が上面を向くように反転させた後、左側面部24に対して糊代25を折り目sに沿って谷折りし、糊代25の表面に接着剤を塗布する。次いで、上面部23に対して右側面部22を底面部21とともに折り目qに沿って谷折りし、底面部21の裏面を糊代25の表面に貼着する。その後、底面部21に対して右側面部22を折り目pに沿って谷折りするように起立させることにより、前後両端が開口されたスリーブ20が形成される(図1参照)。
【0028】
スリーブ20が形成されたならば、スリーブ20の前端開口を通して菓子Cが収容された容器本体10をその背面板13側から嵌挿して押し込み、容器本体10の周囲をスリーブ20によって包囲した後、詳細には図示しないが、包装容器1をフィルムで包装して出荷される。
【0029】
ところで、店頭にて菓子などを購入した消費者が菓子などを食する場合は、フィルムを剥離した後、図5に示すように、スリーブ20の左右の側面部22,24に形成された切欠部22a,24aを通して容器本体10の左右の側面板17,18を把持し、正面板11を背面板13側に向けて押し込むことにより、スリーブ20から容器本体10を引き出すことができる。容器本体10を引き出せば、左右の側面板17,18に形成された切欠部17a,18aを通して容器本体20に収容された菓子Cを摘み上げることができる(図5参照)。菓子Cの取り出しを終了すれば、スリーブ20に対して容器本体10を押し込んで収納する。
【0030】
一方、取り出した菓子Cの包み紙wを除去して菓子Cを食した際、除去した包み紙wについては、小さく折り畳んで容器本体10に形成された収納空間に収容すればよい。
【0031】
すなわち、スリーブ20の上面部23に形成された切欠部23aを通して容器本体10の連結片15を押圧しつつ引き出すことにより、仕切板16に対する連結片15のスポット状の折り目eを切り離す。そして、連結片15を引き出しつつ、正面板11を底面板12に対して引き下げる方向に折り曲げ、スリーブ20の前端開口を開放する(図6(a)参照)。次いで、小さく折り畳んだ包み紙wをフラップ19を押し開いて押し込むことにより、スリーブ20の上面部23、容器本体10の底面板12、左右の側面板17,18、仕切板16、フラップ19によって区画された収納空間に包み紙wを収容することができる(図6(b)参照)。
【0032】
また、菓子Cを容器本体10から取り出すことにより、容器本体10の背面板13側には、取り出した菓子Cの容積に相当する空きスペースが発生することから、順次包み紙wを押し込むことによって連結板15から切り離された仕切板16を背面板13に向けて押圧し、仕切板16を介して菓子Cを背面板13側に発生した空きスペースを埋めるように移動させることができる。この際、仕切板16に連設されたガイド片161が、スリーブ20の上面部23に浮き上がりが規制されてそれぞれ左右の側面板17,18の内面に沿って摺接し、仕切板16の倒れ込みを防止する。したがって、仕切板16を移動させることによって収納空間を拡大させ、拡大された収納空間に包み紙wを収容することができる。つまり、菓子Cを取り出すことによって発生する空きスペースを包み紙wの収容空間に利用することができ、包み紙wをあふれさせることなく収容することが可能となる。
【0033】
このようにして、包み紙wを収容した後、連結片15を差し込みフラップとしてスリーブ20の上面部23の内面に沿うように差し込むことにより、容器本体10に収容された包み紙wの脱落を防止するように、スリーブ20の前端開口を正面板11によって閉鎖することができる。
【0034】
なお、菓子がガムの場合には、ガムの噛みかすを包み紙wにくるんで容器本体10の収納空間に収容することができる。
【0035】
このように、容器本体10に仕切板16の移動に伴って容積を拡大可能な包み紙wの収容空間を形成することにより、菓子Cの包み紙wなどを収容空間に収容することができ、路上などへの包み紙wなどのポイ捨てを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の包装容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の包装容器を構成する容器本体の展開図である。
【図3】図1の包装容器を構成するスリーブの展開図である。
【図4】図2の容器本体の組立要領を説明する工程図である。
【図5】図1の包装容器に収容された菓子を取り出す場合の説明図である。
【図6】本発明の包装容器に包み紙を収容する場合を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 包装容器
10 容器本体
11 正面板
12 底面板
13 背面板
14 糊代
15 連結片
16 仕切板
161 ガイド片
17,18 側面板
17a,18a 切欠部
20 スリーブ
21 底面部
22,24 側面部
23 上面部
22a,23a,24a 切欠部
25 糊代
a,b,c,d,e,f,g,h,i 容器本体の折り目
p,q,r,s スリーブの折り目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも左右の側面板、背面板、底面板、正面板を備えた容器本体と、上面部、左右の側面部および底面部を備え、前後両端が開口されたスリーブと、から構成され、スリーブの前後の開口を通して容器本体が摺動自在に嵌挿された包装容器において、前記正面板の上端縁に連結片が連設されるとともに、連結片の先端に、左右各端縁にガイド片がそれぞれ連設された仕切板が切り離し可能に連接されてなり、各ガイド片を左右の側面板に沿わせながら連結片から切り離された仕切板を背面板側に移動させ、容器本体に収容された菓子の取り出しによって発生した空きスペースを利用して菓子の包み紙などを収容することを特徴とする包装容器。
【請求項2】
請求項1記載の包装容器において、前記スリーブにおける上面部における容器本体の正面板に対応する側の一端部に切欠部が形成されるとともに、左右の側面部における容器本体の背面板に対応する側の他端部にそれぞれ切欠部が形成されることを特徴とする包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−7042(P2009−7042A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171115(P2007−171115)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000106885)シグマ紙業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】