説明

包装容器

【課題】 容器本体及び蓋体の強度を強化させて再封性と開封性がより良好で、また搬送
中等に生ずる内容物の移動や片寄りが確実に防止され、しかも内容物の取り出しが更に容易な包装容器を提供する。
【解決手段】底部3を有する容器本体1の側面部8の周縁11に矩形環状の突起フランジ10が形成され、突起フランジ10の内周に落込段部12が形成されているとともに、蓋体2の蓋部4の周縁13に突起フランジ10に嵌合する受フランジ14が形成されて、この受フランジ14の内周に落込段部12に嵌合する落込突部15が形成された容器本体1と蓋体2からなる包装容器において、容器本体1における落込段部12の四隅と蓋体2における落込突部15の四隅に相互に係合する略水平部16c,17cを挟んで配置される外側に傾斜した落込傾斜部16a,16b,17a,17bをそれぞれ形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切り昆布の佃煮等のような食品を密封状態に収容する包装容器、特に合成樹脂シートを押型・成形して形成された比較的浅い蓋付箱状を呈する包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、切り昆布の佃煮等のような食品を密封状態に収容する包装容器として種々のものがあるが、合成樹脂シートを押型・成形して形成された比較的浅い蓋付箱状を呈するものが知られており、これらの包装容器は容器本体の側面部周縁に矩形状の突起フランジが形成され、一方蓋体の蓋部周縁に、その突起フランジに嵌合する矩形状の受フランジを形成させた構造になっている。
【0003】
しかしながら、容器本体の突起フランジに蓋体の受フランジが単に嵌合して封鎖される構造の包装容器にあっては、一般的に容器本体と蓋体の強度が使用状態によっては十分とは言えず、不注意に蓋体開封を行うと、容器本体と蓋体の周縁、特に容器本体の突起フランジと蓋体の受フランジ内周の四隅部分、或いは各フランジ部分が変形し易く、繰り返し開閉を行っても密封性が失われない再封性に欠ける場合があり、密封性を追求するあまり開けにくい面もあった。
【0004】
特に、この種の容器では、佃煮などの内容物における品質保持期間を確保する目的で容器本体の突起フランジと蓋体の受フランジとの間に熱可塑性や熱硬化性の接着剤層を介在させて熱溶着により開封可能に密封するものが殆どであり、そのため、蓋体が開けにくく、また、開封したときに変形し易く、再封性に欠けるという問題がより顕著である。
【0005】
更に、容器本体の底面は、一般に部分的に凹凸面が施されているが、凹凸形状にしただけでは、搬送中や移動中に内容物が一方側へ移動、又は片寄った収容が生ずる。また、内容物を取出す際に、容器底面にへばり付いて取り出し難いと言った問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−8254号公報
【特許文献2】特開2000−203608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、容器本体及び蓋体の強度を強化させて再封性と開封性がより良好で、また搬送中等に生ずる内容物の移動や片寄りが確実に防止され、しかも内容物の取り出しが更に容易な包装容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するためになされた本発明に係る包装容器は、底部を有する容器本体の側面部周縁に矩形環状の突起フランジが形成され、該突起フランジの内周に落込段部が形成されているとともに、蓋体の蓋部周縁に前記突起フランジに嵌合する受フランジが形成されて、この受フランジの内周に前記落込段部に嵌合する落込突部が形成された容器本体と蓋体からなる包装容器において、前記容器本体における落込段部の四隅と前記蓋体における落込突部の四隅に相互に係合する外側に傾斜した落込傾斜部がそれぞれ形成され、容
器本体の中心部外周と蓋体の蓋中央部外周に、相互に噛合する犬歯突起を配置すると、犬歯突起が犬歯としての役割を果たして、収容された内容物を上下各四本の犬歯による噛合によって挟持して、包装容器の搬送や移動による内容物の移動や片寄り収容が防止されることを特徴とする。
【0009】
更に、容器本体の底部に、中心部外周に単形状又は複数形状の錐形状突起を形成し、これらの錐形状突起群が滑り止めとして作用し、特に錐形状突起がストッパ効果を果たして、包装容器の搬送や移動による内容物の移動や片寄り収容が防止される。
【0010】
また、落込段部と落込突部の四隅に形成された落込傾斜部が支持板乃至は補強板としての役割を果たし、容器本体の周縁及び蓋体の蓋部の周縁の強度、特に容器本体と蓋体の周縁四隅の強度が強化されて開封の際の変形が防止され、再封性と開封性が維持される。
【発明の効果】
【0011】
以上の手段を有する本発明によれば、容器本体及び蓋体の強度を強化させて再封性と開封性が良好で、また搬送中等に生ずる内容物の移動や片寄りが防止され、しかも内容物の取り出しが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る蓋体を開けた状態の包装容器の分解斜視図である。
【図2】図1に示した実施の形態において蓋体を閉じた場合のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図3】図1に示した実施の形態において蓋体を閉じた場合のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る包装容器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示した本発明の実施の形態について、説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る蓋体を開けた状態の包装容器の分解斜視図、図2はその蓋体を閉じた状態(図示せず)のA−A拡大断面図、図3はそのB―B拡大断面図である。
【0014】
この実施形態の包装容器は、底部3を有する容器本体1と容器本体1を封鎖する蓋体2からなる。容器本体1と蓋体2は、塩化ビニル,ポリエチレンやポリエチレンテレフタート等の合成樹脂シートで製造されている。容器本体1は、底部3が最も狭く開口上方に向かって漸次拡大する矩形状容器になっている。蓋体2は、平坦な広い板状の蓋部4を有する矩形状蓋になっている。
【0015】
容器本体1の底部3は、中央部に矩形の平坦部5を有し、平坦部5の外周にはピラミッド(四角錐)状の錐形状突起6が複数模様状に配置され、ストッパの役割を果たして内容物の移動を防止している。
【0016】
即ち、容器本体1に収容された内容物が搬送等の際にずれるのを防止して容器本体1の中央に留まるようにしている。また、箸等を使用して内容物を取り出す際にも、錐形状突起6によって、内容物と底面との間に隙間が生ずるので、容器底面にへばり付くことがなく、容易に取り出すことができ、まだ食べずに残った内容物は、容器本体1の中央部に集め再封鎖して、気密保存することができる。
【0017】
容器本体1の側面部8には、縦リブ9が縦格子状に配置され、側面を強化している。側面部8の周縁11には矩形環状に突出した突起フランジ10が形成され、また突起フラン
ジ10の内周には落込んだ落込段部12が形成されている。蓋体2は、蓋部4の周縁13には突起フランジ10に嵌合する受フランジ14が形成されている。受フランジ14の内周には落込段部12に嵌合する降下した落込突部15が形成されている。この突起フランジ10と受フランジ14の嵌合によって容器本体1と蓋体2の気密性が図られ、更に落込段部12と落込突部15の嵌合によってより高い気密性が得られる。
【0018】
容器本体1の落込段部12は2段になっており、その下段の落込の四隅には、それぞれ頂部から底部へ向けて外側に傾斜した略水平部16cを挟んで配置される一対の落込傾斜部16a,16bが形成されている。一方、蓋体2の落込突部15は、同様に2段になっており、その下段の落込の四隅には、それぞれ頂部から底部へ向けて外側に傾斜した略水平部17cを挟んで配置される一対の落込傾斜部17a,17bが形成されている。これらの落込段部12と落込突部15に形成された落込傾斜部16a,17a及び16b17bは、容器本体1を蓋体2で封鎖した際に、相互に係合して落込段部12と落込突部15の強度、特にそれらの四隅の強度が強化されると共に、嵌合強度が高められて包装容器の四隅の気密性が高められる。
【0019】
容器本体1の突起フランジ10には、その各辺の外側の位置に凹んだ連続する一条の補強リブ18が突起フランジ10の軸線に沿って形成されている。一方、蓋体2の受フランジ14には、補強リブ18に対応させて各辺の外側の位置に突起した連続する一条の補強リブ19が受フランジ14の軸線に沿って形成されている。この補強リブ19は、連続する一条のリブで形成してもよいが、図に示すように断続する複数のリブで構成されている。因みに、補強リブ19を複数のリブで構成すると、強度が強化できる。
【0020】
特に、本実施の形態では、容器本体1における落込段部12の四隅の下方に補強用段部20が形成されており、より容器本体1の強度が増している。
【0021】
この包装容器を使用する際には、容器本体1に食品等の内容物を収容して不活性ガス(窒素ガス)を充填後、予め容器本体1の突起フランジ10または蓋体2の受フランジ14の少なくとも一方に施した熱可塑性の接着剤や熱硬化性の接着剤からなる接着シートを用いて熱圧着等で容器本体1と蓋体2とを密閉する。このようにすることによって、内容物の長期保存を可能にするばかりか容器本体1及び蓋体2自体の強度が強化させて再封性と開封性が良好になる。
【0022】
図4は、本発明の他の実施形態を示したものである。この実施形態の収容容器は、容器本体1の中央平坦部5の外周の各角部に犬歯突起21を配置し、これに対応させて蓋体2の蓋部4の中央部外周の各角部に犬歯突起22を配置した構造になっている。この場合、容器本体1を蓋体2で封鎖した際に、内容物を上下各4つの犬歯突起21,22で噛み挟むことによって、搬送等の際の内容物の移動や片寄りを防止している。
【0023】
この場合も、容器本体1の平坦部5の外周にはピラミッド(四角錐)状の錐形状突起6が複数模様状に配置されているので、これらの突起6がストッパの役割を果たし、内容物の移動が確実に防止される。その他の構成については、前記実施の形態と同様であるので、説明は省略する。
【0024】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、落込段部及び落込突部に形成する落込傾斜部は、落込段部及び落込突部の上段側に形成してもよいことは言うまでもない。また上記実施の形態では、突起フランジ,受フランジに形成される補強リブは、連続するリブ又は断続する複数のリブからなる一条のリブで構成されているが、複数条のリブで構成してもよく、それらのリブは、連続するリブからなるものでも、断続するリブからなるものでもよい。
【0025】
補強リブの形成位置は、突起フランジ及び受フランジの各辺の内側,外側,中心等が選べる。なお、両フランジに形成される補強リブについては、気密性を確保する観点から、相互に嵌合することが必要である。また、容器本体の底部に形成される錐形状突起は、ピラミッド(四角錐)に限らず、円錐形,三角錐形,その他の多角錐形状にすることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 容器本体、2 蓋体、3 底部、4 蓋部、6 錐形状突起、8側面部、10 突起フランジ、11 周縁、12 落込段部、13 周縁、14 受フランジ、15 落込突部、16
a,16b,17a,17b 落込傾斜部、 18,19 補強リブ、20 補強用段部、
21,22 犬歯突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部を有する容器本体の側面部周縁に矩形環状の突起フランジが形成され、該突起フランジの内周に落込段部が形成されているとともに、蓋体の蓋部周縁に前記突起フランジに嵌合する受フランジが形成されて、この受フランジの内周に前記落込段部に嵌合する落込突部が形成された容器本体と蓋体からなる包装容器において、前記容器本体における落込段部の四隅と前記蓋体における落込突部の四隅に相互に係合する2段からなる頂部から底部へ向けて外側に傾斜した略水平部を挟んで配置される一対の落込傾斜部と、前記落込傾斜部と対応する2段からなる頂部から底部へ向けて外側に傾斜した略水平部を挟んで配置される一対の落込傾斜部を備えた蓋体から形成されていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記容器本体における落込段部の四隅の下方に補強用段部が形成されている請求項1に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−71897(P2012−71897A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266235(P2011−266235)
【出願日】平成23年12月5日(2011.12.5)
【分割の表示】特願2006−284554(P2006−284554)の分割
【原出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000119438)井和工業株式会社 (9)
【出願人】(591183625)フジッコ株式会社 (15)
【Fターム(参考)】