説明

包装展示兼用箱

【課題】輸送時の包装状態を確実に維持しつつ、店頭での展示作業を簡単に行なうことができるようにする。
【解決手段】外枠1とこれに内装されるトレー2とから成り、外枠1は、コーナー部を介して隣り合う各一対の側壁11及び端壁12,13を備え、底面が開口したものとし、トレー2は、コーナー部を介して隣り合う各一対の側壁21及び端壁22,23並びに底壁29を備え、天面が開口したものとし、外枠1の側壁11の下端に連設した折上片15を内側上方へ折り曲げ、トレー2の側壁21の上端に連設した折下片27を外側下方へ折り曲げ、折上片15と折下片27とを噛み合わせ、外枠1の端壁12を開くと、外枠1からトレー2を引き出せるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品の輸送及び店頭での展示に兼用できる箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の包装展示兼用箱として、下記特許文献1には、図11に示すように、正面側が低くなったトレー51と、これに被せるカバー52とから成り、トレー51に商品を載せ、トレー51とカバー52とを、トレー51の側壁53に設けた指穴54の両側方に位置する接着部55で貼り合わせて商品を包装するものが記載されている。
【0003】
この箱を小売店へ配送し、店頭で商品を展示する際には、指穴54に指を掛けて、カバー52を引き上げることにより、接着部55の接着を剥がし、トレー51に商品を載せたまま、トレー51からカバー52を除去して、図12に示すように、トレー51を天面から正面にかけて開放し、商品を買物客から見えやすいようにして展示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−533286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記包装展示兼用箱では、輸送時に側壁53が押されたりすると、接着部55の接着が不意に剥がれ、トレー51とカバー52とが分離してしまうおそれがある一方、この接着をあまり強力にすると、展示作業時に接着を剥がすことが難しくなる。
【0006】
そこで、この発明は、輸送時の包装状態を確実に維持しつつ、店頭での展示作業を簡単に行なうことができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明に係る包装展示兼用箱は、外枠とこれに内装されるトレーとから成り、前記外枠は、コーナー部を介して隣り合う各一対の側壁及び端壁を備え、底面が開口したものとし、前記トレーは、コーナー部を介して隣り合う各一対の側壁及び端壁並びに底壁を備え、天面が開口したものとし、外枠の側壁の下端に連設した折上片を内側上方へ折り曲げ、トレーの側壁の上端に連設した折下片を外側下方へ折り曲げ、折上片と折下片とを噛み合わせ、外枠の端壁を開くと、外枠からトレーを引き出せるようにしたのである。
【0008】
また、前記外枠にトレーを内装した状態で、外枠の天面を開き、トレーの底壁を形成する底板を上方へ折り曲げて、扁平に折り畳めるようにしたのである。
【0009】
さらに、前記外枠の折上片及びトレーの側壁の上端を、正面側が低くなるように傾斜させ、外枠からトレーを引き出すと、折上片と折下片とが、折下片の延出方向に相対移動して、これらの噛み合いが外れるようにしたたのである。
【発明の効果】
【0010】
この包装展示兼用箱では、外枠の折上片とトレーの折下片とが噛み合っているので、外枠の底面が開口していても、トレーが外枠の底面から抜け落ちることがなく、包装状態が確実に維持される。
【0011】
また、店頭では、外枠の端壁を開いて、外枠からトレーを引き出すだけで、トレーに収納した商品を簡単に展示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施形態に係る包装展示兼用箱の包装状態を示す斜視図
【図2】同上のII−II線に沿った断面図
【図3】同上の外枠及びトレーのブランクを示す図
【図4】同上の外枠及びトレーの組立状態を示す分解斜視図
【図5】同上の外枠にトレーを内装した状態を示す斜視図
【図6】同上の折畳状態を示す斜視図
【図7】同上の折畳状態を示す平面図
【図8】同上の組み立てた外枠の開放過程を示す斜視図
【図9】同上のトレーの引き出し過程を示す斜視図
【図10】同上の引き出したトレーを示す斜視図
【図11】従来の包装展示兼用箱の包装状態を示す斜視図
【図12】同上のカバーを外したトレーを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
この包装展示兼用箱は、図1及び図2に示すように、段ボール製の外枠1と、これに内装される板紙製のトレー2とから成る。
【0015】
図3に示すように、外枠1のブランクでは、一対の側壁11が正面となる端壁12を介して連設され、一方の側壁11の外端に背面となる端壁13が、他方の側壁11の外端に継代片14がそれぞれ連設されている。
【0016】
各側壁11の下端には折上片15が連設され、折上片15の先端縁は、上方への折曲時に正面側が低くなるように傾斜している。端壁12,13の上端には蓋板16が、側壁11の上端には蓋板17がそれぞれ連設されている。
【0017】
端壁12の両側には、下端の側壁11との境界から少し内側へ離れた位置から上方へかけて斜めに外側へ向かい、側壁11との境界に沿って上端へ至るジッパ型の切目線18が入れられている。
【0018】
トレー2のブランクでは、一対の側壁21が正面となる端壁22を介して連設され、一方の側壁21の外端に後側となる端壁23が、他方の側壁21の外端に継代片24がそれぞれ連設されている。側壁21は、正面側が低くなるように上端が傾斜し、端壁22は端壁23よりも高さが低くなっている。
【0019】
各側壁21の下端には底板25が、端壁22,23の下端には底板26がそれぞれ連設され、これらによりワンタッチ式の組立底が形成される。そして、各側壁21の傾斜した上端には折下片27が、端壁22の上端には重合板28がそれぞれ連設されている。
【0020】
上記のようなブランクを包装展示兼用箱とするため、図4に示すように、外枠1を組み立てるには、一対の側壁11及び端壁12,13を角筒状に折り曲げ、継代片14を端壁13の内面に貼り付け、折上片15を内側上方へ折り曲げる。
【0021】
また、トレー2を組み立てるには、一対の側壁21及び端壁22,23を角筒状に折り曲げ、継代片24を端壁23の内面に貼り付け、2組の底板25,26を内側へ折り曲げて1組ずつ貼り合わせ、底壁29を形成する。また、折下片27を外側下方へ折り曲げ、重合板28を内側下方へ折り曲げて端壁22の裏面に貼り付ける。
【0022】
そして、外枠1の底面の開口からトレー2を押し上げるようにして、外枠1の内側にトレー2を挿入し、トレー2を少し下降させると、図5に示すように、反発で外側へ広がろうとする折下片27と側壁21との間に折上片15が挟まれ、折上片15の上端が側壁21と折下片27の稜部下面に沿うように、折上片15と折下片27とが噛み合う。
【0023】
上記のような箱は、図6及び図7に示すように、外枠1の内側にトレー2を内装したまま、蓋板16,17を開いた状態で、底板25,26を上方へ折り曲げて、扁平に折り畳むことができ、嵩張らない状態で箱を使用する業者へ効率よく輸送することができる。
【0024】
そして、業者が商品を箱詰めする際には、図5に示すように、外枠1とトレー2とを組み立てて、トレー2の底壁29を水平状態とし、蓋板16,17が開いた外枠1の天面から商品をトレー2に収納する。
【0025】
このように、上記のような箱では、外枠1とトレー2とを同時にワンタッチで組み立てて、商品を箱詰めすることができるので、包装作業の省力化を図ることができる。
【0026】
その後、図1及び図2に示すように、蓋板16,17を開じて、接着剤や粘着テープで封緘することにより、外枠1に天壁19を形成する。
【0027】
この包装状態では、外枠1の折上片15とトレー2の折下片27とが噛み合っているので、外枠1の底面が開口していても、持ち運び時に、商品の荷重を受架するトレー2が外枠1の底面から抜け落ちることがなく、包装状態が確実に維持され、外枠1とトレー2とを接着剤や粘着テープで固定する必要がない。
【0028】
一方、このように商品を包装した箱を小売店へ配送し、店頭で商品を展示する際には、箱を床や展示台に置いた状態で、図8に示すように、端壁12の先端中央の凹部に指を掛けて、端壁12を引っ張り、切目線18を切断して、端壁12を引き上げることにより、外枠1の正面を開口させる。
【0029】
この状態で、図9に示すように、トレー2を手前に引っ張ると、外枠1の側壁11に繋がって三角状に残存した端壁12の両側下部が開かれて、トレー2が外枠1から前方に引き出される。
【0030】
このとき、トレー2の側壁21及び外枠1の折上片15の上端が正面側へかけて低くなっているので、折上片15と折下片27とが、折下片27の延出方向に相対移動して、これらの噛み合いが外れ、トレー2を外枠1から引っ掛かることなく、スムーズに引き出すことができる。
【0031】
そして、図10に示すように、トレー2を完全に引き出すと、天面から正面にかけて開放されたトレー2により、商品を買物客から見えやすいように展示することができる。また、視覚的にアクセントとなる折下片27に商品のキャッチコピー等を印刷して、訴求効果を高めることもできる。
【0032】
なお、上記実施形態では、外枠1の天面を天壁19で完全に閉じるものを例示したが、通気性を要する農産物等、包装する商品によっては、外枠1の天壁19に開口部を設けるようにしてもよい。また、天壁19を外枠1とは別体の蓋としてもよい。
【0033】
また、端壁12を切目線18の切断に伴い開くようにしたが、一対の側壁11から延びる端壁12の先端同士を係合片等の手段で係合させておき、その係合を解除して端壁12を開き、外枠1からトレー2を引き出すようにしてもよい。
【0034】
さらに、外枠1の外周が四角筒状となったものを例示したが、側壁11と端壁12,13とがなすコーナー部に面取り部分を設けてもよい。この場合、端壁12は、側壁11との間に介在するコーナー部と共に開くようにすればよい。
【符号の説明】
【0035】
1 外枠
11 側壁
12,13 端壁
14 継代片
15 折上片
16,17 蓋板
18 切目線
19 天壁
2 トレー
21 側壁
22,23 端壁
24 継代片
25,26 底板
27 折下片
28 重合板
29 底壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠(1)とこれに内装されるトレー(2)とから成り、前記外枠(1)は、コーナー部を介して隣り合う各一対の側壁(11)及び端壁(12,13)を備え、底面が開口したものとし、前記トレー(2)は、コーナー部を介して隣り合う各一対の側壁(21)及び端壁(22,23)並びに底壁(29)を備え、天面が開口したものとし、外枠(1)の側壁(11)の下端に連設した折上片(15)を内側上方へ折り曲げ、トレー(2)の側壁(21)の上端に連設した折下片(27)を外側下方へ折り曲げ、折上片(15)と折下片(27)とを噛み合わせ、外枠(1)の端壁(12)を開くと、外枠(1)からトレー(2)を引き出せるようにした包装展示兼用箱。
【請求項2】
前記外枠(1)にトレー(2)を内装した状態で、外枠(1)の天面を開き、トレー(2)の底壁(29)を形成する底板(25,26)を上方へ折り曲げて、扁平に折り畳めるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包装展示兼用箱。
【請求項3】
前記外枠(1)の折上片(15)及びトレー(2)の側壁(21)の上端を、正面側が低くなるように傾斜させ、外枠(1)からトレー(2)を引き出すと、折上片(15)と折下片(27)とが、折下片(27)の延出方向に相対移動して、これらの噛み合いが外れるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装展示兼用箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−12097(P2012−12097A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151899(P2010−151899)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】