説明

包装材料を殺菌するための方法及び装置

包装材料の殺菌のため、特に、フィルム、又は、このような柔らかい覆い物質の殺菌のため方法の場合、包装材料の機械的な超音波エネルギーとの衝突が、微生物を殺すために、機械的、及び/又は、熱的なエネルギー効果により行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による方法、及び、請求項15の上位概念による装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、飲み物、食料品、又は、更なる例として、容易に腐り易い製品を袋に詰める場合、実践において、包装された製品の耐久性を伸ばすという増加する要求が生じる。充填プロセスの後に熱による殺菌をなしで済ませ、しかも、特に、改善された製品品質、必要な施設及び機械設備の減少、不良品による製造損失、及び、改善された耐久性の利点を持つ場合に、製品をいわゆる無菌で詰める(冷たく、又は、暖かく詰める)ために、特別な寸法が有効である。無菌室、又は、クリーンルームで行われる無菌の袋充填の場合は、特に、微生物による包装の汚れ、又は、繁殖を回避することである。
【0003】
備蓄ロールの包装材料が流しだされ、そして、これが、無菌室、又は、クリーンルームの外で配置されるとき、使用された備蓄ロールを新しい備蓄ロールに交換する場合に、クリーンルームの無菌を妨害させないために、包装材料は、無菌室やクリーンルームで供給されるため、供給前に、無菌室やクレーンルームに配置された包装機械を殺菌することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
過酢酸、過酸化水素(H2O2)、紫外線放射で、包装材料を殺菌することは公知である。この公知の方法は、重大な欠点がある。それは、過酢酸、又は、過酸化水素を用いるこの方法は、多大な費用、長い時間、しかも、殺菌のためにその都度必要な活動時間を保たなければならない。この方法では、効果的な殺菌が達せられるのであれば、とても少ない成果や処理能力を可能とするのみである。この方法により用いられる媒質、過酢酸、又は、過酸化水素は、使用する従業員にとって、健康上の危険を引き起こすこと、及び、包装材料に用いられる媒質のある程度の残量が通常残ってしまうことの欠点もある。
【0005】
紫外線放射、又は、紫外線光を備えた包装材料の照明は、有利なコストであり、かつ、用いられる装置の対応する教育や取り扱いが基本的で安全でもある。もちろん、紫外線放射を備えた処理では、とても不十分な殺菌効果、又は、殺菌率が達成可能であるのみである。
【0006】
本発明の課題は、過酢酸、過酸化水素、又は、そのような液状の媒体を避け、包装材料の高い効果の殺菌を可能にする方法を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題の解決のために、請求項1に対応する方法が構成される。方法を実施するための装置は請求項14の対象である。
【0008】
本発明の場合、通常レーン形状の包装材料の殺菌が、超音波エネルギーを備えた処理によって行われ、しかも、特に、包装材料の表面上にいる微生物は、機械的で熱的でもある細胞壁の破壊によって、たんぱく質の凝固によって、及び、最終的に、そのDNAの変形によって、殺され、又は、無害になる。
【0009】
このように、処理された包装材料で包装された製品、例えば、包装材料から製造された袋に満たされた製品(特に、飲み物、又は、食料品)は、信頼でき、腐る前に保護される。つまり、製品の品質、及び、耐久性は、従来の処置方法に対して明らかに改善される。超音波処理による包装材料の殺菌の場合、有害な副産物が生じず、かつ、殺菌された包装材料上に、従来の過酢酸、又は、過酸化水素の使用方法の場合のように、処理媒質の残りがない。
【0010】
本発明の更なる重要な利点は、超音波処理のために用いられる少なくとも1つの超音波システムは、それ自身をも殺菌し、かつ、包装材料は、その特性上、超音波処理によって、
変化しない、又は、本質的に変化せず、加工に有用のままである。更に、超音波処理の場合、後続の熱加工プロセスのために役に立つ包装材料の加熱が行われる可能性がある。超音波処理は、例えば、20000Hzと1GHzの間の領域、特に、20000Hzと35000Hzの間の領域の超音波周波数で行われる。
【0011】
超音波処理のために、レーン形状の包装材料の動作レーンで、1つ、又は、いくつかの超音波ユニットが備えられており、さらに、この超音波ユニットは、常時、又は、時間的に配置変更して動かされ、又は、超音波エネルギーの伝達のために、包装材料で駆動される。後者の場合、駆動の一時的な重なりが起き、それゆえ、包装材料の殺菌のすき間が効果的に避けられる。
【0012】
いずれの超音波ユニットも、例えば、電気駆動の発電機からなり、この発電機は、電気機械的な変換器として、機械的な超音波振動を、機械的な振動ユニット、又は、振動増強のための増幅器、及び、超音波頭部、又は、ソノトロード(sonotrode)から生成している。
超音波処理のために、包装材料は、ソノトロード、又は、その音圧領域上に、機械的な張力の下に引っ張られており、かつ、それゆえ、存在する菌や微生物を殺すために、超音波エネルギーとぶつかる。それによって、包装材料は、直接的に、間隔なしに、ソノトロード上で接触して動かされる。同様に、包装材料は、間隔を持って、ソノトロードと接触することなしに、ソノトロードの上を動かすことも可能である。ソノトロードと間隔を持つ、又は、間隔を持たない包装材料の移動の技術及び方法は、それぞれの使用事例に応じて存在するパラメータを選択可能である。
【0013】
包装材料の機械的な張力、ソノトロードの設置角、ソノトロードの幾何学の変更によって、超音波処理の強度は、それぞれの適用条件に適用され、特に、包装材料の破壊なしに、目的の殺菌、又は、目的の殺菌度合いが実現される。
【0014】
超音波振動の伝導は、空中で、相対的に弱いため、包装材料上の湿度、又は、流動性は、つまり、例えば、超音波処理の前、及び/又は、超音波処理の間、均一であることが不可欠である。その際、例えば、濃縮することによって使用される。包装材料での超音波エネルギーの開始は、この方法では、約数倍にまで上げられる。それから、超音波処理の熱的な効果は、例えば、処理のために湿らされた包装材料の乾燥速度を速めることも実現する。
【0015】
本発明の更なる構成は、下位の請求項に基づく。本発明は、以下に、図面に基づいて、実施例で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】包装フィルムの形態で、レーン状の包装材料を殺菌するための装置を示したものである。
【図2】包装装置を備いて使用した場合の図1の装置を示したものである。
【図3】いくつかの超音波ユニットを備えた超音波システムと共に、備蓄ロール、又は、フィルムロールから流し出された包装材料上の平面図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1で、1は、包装フィルム(例えば、圧縮フィルム)の形態での包装材料であり、この包装材料1は、クリーンルーム2に導かれ、かつ、その際、クリーンルーム2への入場を構成する移動路で超音波ユニット3を通過し、この移動路で、包装材料1は、包装材料1上に存在する菌や微生物から殺菌、又は、滅菌するために、機械による超音波エネルギーとぶつかる。超音波ユニット3は、記載された実施形態の場合、例えば、20000から35000Hzの周波数を備えた機械による超音波振動の生成のために、例えば、配電電圧を供給する超音波生成器、又は、コンバータ4と、超音波生成器、又は、コンバータ4から機械による超音波振動を増大させる増幅器、又は、ブスター5と、及び、包装材料1の全体のレーン幅に及ぶ装置表面、又は、接触表面を構成する超音波頭部、又は、ソノトロード(Sonotrode)6とから構成される。この上を、包装材料1が、ぴんと張って導かれ、この場合、ソノトロード6は、例えば、包装材料1に対して、押し付けられて、ぴったりとくっついている。
【0018】
モータ駆動の前ロール7によって、包装材料1は、ソノトロード6上を(搬送方向A)に動かされる。同様に、超音波ユニット3のように、モータのロール7がクリーンルーム2に配置され、このクリーンルーム2は、殺菌された空気を層流の下で備えている。
【0019】
包装材料1の機械的な張力の変化によって、及び/又は、ソノトロード6の設置角度の変化によって、及び/又は、ソノトロード6の幾何学の選択によって、及び/又は、接触前に、包装材料1上の流体を確保することによって、及び/又は、ソノドロード6の接触の間、超音波処理の強度を、その時々の必要条件に適合させる。超音波処理に影響を及ぼし、又は、超音波処理を促進する流体、又は、超音波処理に影響を及ぼし、又は、超音波処理を促進する気体の媒体の調達は、例えば、対応するノズルを介して行われる。このノズルは、搬送方向Aで、ソノトロード6の前に配置され、かつ、ソノトロード6の接触表面が接触する側上、つまり、図1の図面の場合、包装材料1の下側に向けられる、又は、ソノトロード6自身上にある。
【0020】
図2は、再度、部分的、かつ、図解により記載された包装装置を備える装置の構成要素を結合した包装材料1の殺菌のための超音波ユニット3の本質で形成された装置を描いたものであり、その装置で、包装材料1から包装、例えば、袋が作成され、かつ、この包装で、製品の無菌の包装が行われる。
【0021】
図2で、クリーンルームの外側に配置された備蓄ロール8が描かれる場合、この備蓄ロール8から、様々な方向に、レーン状の包装材料1が(搬送方向Aに)流しだされ、しかも、再び、クリーンルーム2への入場口で、又は、その境に配置された超音波ユニット3のソノトロード6上の張力の下にある。
【0022】
ソノトロード6の通過し、かつ、モータ駆動の前ロール7の後で、いくつかのロールでならされて形成される緩衝器9を介して、図2で記載されておらず、かつ、クリーンルーム2で欠けている包装装置に、包装材料が達する。
【0023】
好ましくは、包装材料1の流し出しは、モータ駆動の前ロールと、ソノトロード6を介して、連続的に行われる。この流し出しは、目的の殺菌効果、または、目的の殺菌装置の程度を確保する超音波ユニット3で、包装材料1に導かれる超音波エネルギーの考慮の下の速度を持って行われる。倉庫9の後で、例えば、包装材料1の不連続的な送り動作が、包装装置で行われる。
【0024】
図3は、再度、備蓄ロール8から、搬送方向Aに、送り出される包装材料1上の上面図を示す。この材料を殺菌するために、この実施形態の場合、全体で超音波ユニット3を備え、詳細には、それぞれソノトロード6を備えている。包装材料が機械的な張力で引っ張るソノトロード6は、グループ化して、包装材料の表面を覆う処理のために配置されており、しかも、図示した実施形態の場合、搬送方向Aに対して横方向に位置している4つの列を備え、この4つの列のうち、搬送方向Aに対して、第1及び第3列が、それぞれ、包装材料1のレーンの中央に、縦に延在して搬送方向Aに対して垂直に位置している1つのソノトロード6を備え、かつ、第2と第4の列が縦に延在して搬送方向Aに対して垂直に位置している2つのソノトロード6を包装材料のレーンの端部領域に備えられている。グループ化は、更に、ソノトロード6は、隣接する列と重なり合って選択される。個々の超音波ユニット3は、例えば、同時に駆動され、又は、特に、高超音波エネルギーによるユニット、及び/又は、包装材料1の過負荷を避けるために、超音波ユニット3の交互の駆動を行ってもよい。それから、超音波ユニットの駆動は、どんなことがあっても、包装材料1の殺菌装置での欠陥を避けるように行われる。好ましくは、超音波ユニットの駆動の重なり合ういずれの時点にも適用される。
【0025】
本発明は、前述したように、実施例として記載されている。本発明に基づく思想を逸脱することなしに、多くの変更をすることが可能であることは自明である。
【符号の説明】
【0026】
1 包装材料、又は、フィルム
2 クリーンルーム
3 超音波ユニット
4 コンバータ、又は、超音波振動生成器
5 増幅器、又は、ブスター
6 ソノトロード
7 モータ駆動の前ロール
8 備蓄ロール
9 緩衝器
A 搬送方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料の殺菌のため、特に、フィルム、又は、このような柔らかい覆い物質の殺菌のため方法において、
包装材料(1)の機械的な超音波エネルギーとの衝突が、微生物を殺すために、機械的、及び/又は、熱的なエネルギー効果によるものであることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
包装材料(1)は、機械的な張力の下で、少なくとも1つの超音波ユニット(3)の少なくとも1つの超音波頭部(6)上を動かされることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
超音波頭部(6)は、ストリップ状の包装材料(1)のレーンに対して横に延在する少なくとも1つの枠縁の接触領域を包装材料(1)のために形成することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2、又は、3に記載の方法において、
包装材料は、連続的に、超音波頭部(6)上を動かされることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の方法において、
超音波処理の強度は、
包装材料(1)上の、超音波振動、又は、超音波エネルギーの効果的な角度の変更によって、及び/又は、
少なくとも1つの超音波頭部(6)の幾何学の変更によって、及び/又は、
少なくとも1つの超音波頭部(6)に対して、包装材料の圧力によって、
変更可能であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5において、
超音波頭部(6)の設置角度は、調節可能であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の方法において、
包装材料(1)上に、超音波処理の前、及び/又は、超音波処理の間に、この処理を促進する媒質が用いられることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
媒質は、液体、及び/又は、気体であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7、又は、8に記載の方法において、
超音波処理を促進させる媒質は、包装材料(1)上で、少なくとも1つの超音波頭部(6)から、超音波エネルギーの伝達を改善させる媒質であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の方法において、
超音波処理を促進させる媒質は、少なくとも1つの超音波頭部(6)を介して、包装材料(1)上に用いられることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の方法において、
超音波処理は、いくつかの超音波頭部(6)、又は、いくつかの超音波ユニット(3)によって行われ、しかも、常時、又は、時間的に配置変更することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の方法において、
約20000Hzと1GHzの間の領域の周波数を備えた超音波処理が行われることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
約20000Hzと35000Hzの間の領域の周波数を備えた超音波処理が行われることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の方法において、
超音波エネルギーは、包装材料(1)が少なくとも1つの超音波頭部(6)を通過する速度に依存して制御されることを特徴とする方法。
【請求項15】
包装材料(1)、特に、フィルム、又は、このような柔らかい覆い物質の殺菌のため装置において、
超音波頭部(6)を備えた少なくとも1つの超音波ユニットを有する超音波システムは、超音波頭部(6)を介して、レーン状の包装材料(1)に導かれることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、
少なくとも1つの超音波頭部(6)は、少なくとも1つの包装材料(1)のレーンに対して横に延在する枠縁の装置表面を包装材料のために形成すること特徴とする装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置において、
包装材料(1)が、超音波頭部(6)、又は、この接触領域に対して接触することによる張力は、調節可能であることを特徴とする装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−519140(P2010−519140A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550215(P2009−550215)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000244
【国際公開番号】WO2008/104246
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(598125028)カーハーエス・アクチエンゲゼルシヤフト (125)
【Fターム(参考)】